種々の酸化物に担持したRu
3(CO)
12のクラスター構造, 熱分解過程を赤外分光法を用いて検討した。Ru
3(CO)
12とSiO
2 や ZnOとの相互作用は弱いが, γ-Al
2O
3とは強く相互作用し安定な化学種を生成する。この化学種は, 2063, 1990cm
-1にCOによる赤外吸収を示し, 250℃ 排気でも分解しないことなどから, 表面に強く吸着したRu(CO)
n(n=3, 4)と推定した。
RuCl
3から得た通常の触媒の分散度は低いが(<50%), Ru
3(CO)
12から調製された触媒の分散度は高い(%gt;90%)。これら分散度の異なるRu/Al
2O
3触媒を用いて, 吸着COの赤外吸収, 吸着量を検討した結果, Ru
3(CO)
12から調製した触媒では, twin, linear 型吸着をしており, RuCl
3から得た触媒では, multiple, twin型吸着COが主であった。
分散度が高くなるにつれ, twin型吸着COの割合が増加し, さらに吸着もより強くなった。この強い吸着COは, H
2との反応性が低く, COの水素化反応において, 反応を阻害する役割を果たしていると考えられる。分散度が高いほど, CO水素化反応の turnover frequency が小さくなるというルテニウム触媒に特異的にみられる傾向は, この不活性吸着COの影響によると解釈される。MgO担体や K
2CO
3を添加したAl
2O
3では, 担体からルテニウムへの電子移行があると推論した。
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