3種のアントラキノンオリゴマー(5,5'-ジクロロ-1,1'-ビアントラキノン〔1b〕,5,5''-ジクロロ-1':5',1''テルアントラキノン〔4〕ならびに5,''-ジクロ-1,1':5',1'':5'',1''-クアテルアントラキノン〔9〕)の閉環反応について検討した。これらのうち,〔1b〕にいままでの報告と類似した反応性を示し,二段階に閉環して,ジクロロ-7,16-ジヒドロジベンゾ〔a,o〕ペリレン-7,16-ジオン〔2b〕ならびに1,6-ジクロロ-7,14-ジヒドロフェナントロ[1,10,9,8-opqra]ペリレン-7,14-ジオン〔3b〕を生成した。一方,〔4〕ならびに〔9〕の場合も同様に二段階あ閉環反応が観察されたが,最初の段階が可逆反応であり,二段階目め閉環も光だけでなく熱的にも反応が進行する点で〔1b〕とは異なっていた。これらの異常反塔は,それぞれ中間段階で生成する4,15-ジクロロ-5,16-ジヒドロジベンゾ[fg,qr]ジナフト[1,2,3-jk,1',2',3'-uv]ペンタセン-5,16-ジオン〔6〕または15,15'-ジクロロ-7,7',16,16'-テトラヒドロ-8,8,-ビ(ジベンゾ[a,o]ペリレン)-7,7',16,16'-テトラオン〔11〕の不安定性に起因するものと推定した。これらの反麻により,新しい炭化水素であるテルアンセン〔18〕またはクァテルアンセン〔19〕の前駆体として重要な3,12-ジクロロ-4,13-ジヒドロジァントラ[1,9,8-abcd,1',9',8'-]コロネン-4,13-ジオン〔8〕ならびに6,6',-ジクロロ-7,7',14,14'-テトjラklヒm ドロ-1,1'-ビ(ブェナントロ[1,10,9,8-opqra]ペリレン)-7,7',14,14'-テトラオン〔13〕が,いずれも定量的に得られた。
抄録全体を表示