二本鎖および一本鎖ヒドロキサム酸触媒による脂肪酸P-ニトロフェニルエステル(S
n;π=2,10,16)の加水分解反応をジドデシルジメチルアンモニウム=プロミド(2C
12N2C
1)およびヘキサデシルトリメチルアンモニウム=プロミド(CTAB)存在下,pH7.6,25℃で行なった。とくに,2-ヘキシルデカンヒドロキサム酸(HDHA)の2C
12N2C
1との混お合ベシクル系で,P-ニトロフエニル=デカノアート,(S
10)基質において顕著に大きな反応加速(全反応過程での二次速度定数K
a,obadで評価)がみられた。この反応系では二段階反応機構(複合体を形成する結合過程とその後の生成物を与える過程)において,とくに結合定数(K
b)がきわめて大きく,界面活性剤(2C
12N2C
1)と触媒(HDHA)との=二本鱗間の疎水性相互作用および混合ベシクル(2C
12N2C
1+HDHA)によるS
10基質取り込み効果が大であることを実証した。
さらに,N-パルミトイル-L-ヒスチジン(PalHis)によるN-アシル-D(L)-フェニルアラニン=P-ニトロフェニルエステル(D-,およびL-S
n=2,10,16)の加水分解反応をジアルキルジメチルアンモニウム=プロミド(2C
mN2Ci
1=12,14,18)存在下,同一の温和な条件下(pH7.6,25℃)で行なった。液晶状二分子膜系(PalHis+2C
mN2C
1(m=12,14))では,結晶状二分子膜系(PalHis+2C
18N2C
1)にくらべ大きな触媒活性およびL-体基質優先の立体選択性(K
a,obadL/K
a,obadD)が得られた。また,結合特異性に関しては二分子膜系(PalHis+2C
mN2C
1(m=12,18))の場合,L-体基質の方がD-体基質よりすぐれており,ミセル系での結合特異性とは逆であるという興味ある知見が得られた。
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