硝酸系溶液および塩酸系溶液中のプルトニウム(III),(IV),(VI)の加水分解挙動をアルカリ滴定によって調べた。また,生成したプルトニウム(III),(VI)水酸化物沈殿を各種孔径の炉過器を用いてと過し,沈殿生成率およびその粒径とpHの関係を明らかにした。さらに,プルトニウム(III),(IV),(VI)の加水分解定数,錯形成定数および酸化還元電位の文献値を参照して上記実験結果を考察し,水酸化物沈殿の化学種を推定した。1.29×10
-4mol・dm
-3以上のプルトニウム(III)を含む除酸素した硝酸系溶液および塩酸系溶液からはpH6~7で粒径10~40μmの[Pu(OH)
2]+ の重合体沈殿が生成する. より低濃度のプルトニウム(III)はpH領域で,微量溶存酸素によって容易にプルトニウム(IV)に酸化される。1.29×10
-6mol・dm
-3以上のプルトニウム(IV)を含む硝酸系および塩酸系溶液からは,pH約2以上で粒径5~40μmの [Pu(OH)
2]
2+ の重合体が沈殿するが,粒径はプルトニウム(IV)濃度に依存する。塩酸系溶液からの[Pu(OH)
2]
2+ の重合体沈殿にはpH4~6でさらに水酸化物イオンが付加し,[Pu(OH)
3]
+に変化する。129×10-9mol・dm
-3プルトニウム(VI)硝酸系溶液からは,pH約5以上で粒径3μm 以下の[Pu(OH)3]
+ の重合体が生ずる。プルトニウム(VI)はその濃度が6×10
-3mol・dm
-3であっても水酸化物重合体として沈殿することはないが,pH5付近でPuO2(OH)
2となる。PuO
2(OH)
2はプルトニウム(IV)水酸化物沈殿と共沈する。
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