鉄粉と塩酸存在下において, 水酸化鉄(III)ゾル粒子をシードとしてマグネタイト (Fe
3O
4) 超微粒子を調製する方法をさらに発展させる目的で, この方法を水酸化鉄(III)ゾル粒子調製とマグネタイト粒子む調製段階に分離し,Fe
3O
4 超微粒子 (直径100Å 以下) を得る反応条件に関し詳細な検討を行なった。第一段階として, 表面状態と分散安定性の異なる3種類の水酸化鉄(III)ゾル粒子 (Sol A, B, C) を, 0.018mol・dm
-3 塩化鉄(III)水溶液を煮沸水中に添加する方法 (Sol A) または 1wt% 非イオン活性剤 (PE-68) を溶解した煮沸水中に添加する方法 (Sol C) により調製した。分散安定性のよいゾルを得る目的で, L-アラニンと塩酸により Sol A の解こう操作を行なった (Sol B)。ゾル粒子の直径は Sol A, B, C についてそれぞれ 70±20, 70±20, 40±10Å であった。第二段階として, 第一段階で調製した水酸化鉄ゾル (Sol A, B, C) 所定量を, 鉄粉と塩酸の激しい反応が終了する20分後に添加し, 所定時間還流を行なった。なお全反応溶液量は 240ml 一定で, 20g の鉄粉存在下で行なった。その結果, マグネタイト粒子の収量は水酸化鉄(III)ゾル粒子濃度にほぼ比例して増加した。また生成するマグネタイト粒子の直径は,用いる水酸化鉄(III)ゾル粒子の表面状態と分散安定性に依存した。マグネタリイトの超微粒子 (直径50±10Å)が Sol C からつぎに示す反応条件により生成することがわかった。すなわち, 反応溶液 240ml 中において, 鉄粉 20g, ゾル粒子濃度 4×10
-3mol・dm
-3, 反応温度 100℃ で還流時間を2分以内で行なう条件である。
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