日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1985 巻, 1 号
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  • 岡田 繁, 阿刀田 徹三, 東以 和美, 高橋 保夫
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    溶融アルミニウム融剤中で,クロムとホウ素との反応をアルゴン雰囲気で行ない, CrB,Cr3B4 および CrB2 の各単結晶を単一相状に合成した。得られた結晶について組成分析,格子定数,密度および Vicker's 微小硬度の測定を行なった。
    CrB は B/Cr=0.8, AI/Cr=28・9, 1500℃, 10~20 時間の条件で棒状あるいは柱状の結晶として得られた。
    Cr3B4 は B/Cr=1.33, Al/Cr=28.9, 1500℃, 10 時間の条件で薄い板状あるいは厚い台形状の結晶として得られた。
    CrB2 は B/Cr= 2.0, AI/Cr=28.9~38.2, 1500℃, 10~20 時間の条件で六角柱状,六角板状あるいは柱状の結晶として得られた。
    格子定数の値は, CrB では a= 2.977±0.002A, b=7.862±0.003A,c=2.931±0.001A, Ce3B4 では a=2.996±0.001A, b=13.005±0.004A, c=2.950±0.001A, および CrB2 では a=2.973±0.0010A, c=3.074±0.001A であった。
  • 掛川 一幸, 毛利 純一, 千葉 俊一, 白崎 信一, 高橋 紘一郎
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鉛イオンとバリウムイオンを炭酸塩の形で共沈させ,このものと酸化チタン(IV)との固体間反応で,組成変動のない(Ba,Pb)TiO3 固溶体を得ることに成功した。この合成法は,同一サイトの陽イオンのみを湿式で調製すればよいので,全構成陽イオンを沈殿させる普通の湿式法にくらべて実現が容易であるという利点がある。
    一般に,乾式で合成された固溶体には組成変動が起こりやすい。本実験で(Ba,Pb)TiO3 固溶体の組成変動幅を定量する新しい方法を考案し,それを使って測定した結果,乾式合成による(Ba,Pb)TKO3 固溶体では,組成変動がつねに存在した。本実験で開発した合成法により,(Ba,Pb)TiO3 の組成変動を解消することに成功した。
    組成変動をもつ(Ba,Pb)TiO3 では, Curie 温度付近で正方晶と立方晶の混在する広い温度領域があったが,組成変動のない試料では,正方晶から立方晶への転移は急激であった。
    組成変動のない(Ba,Pb)TiO3 をふたたび焼成した場合,組成変動の発生する現象が見いだされた。このことは, PbO の蒸発と関連していると考えられ,組成変動を減少させるために,固体間反応により高温かつ長時間焼成処理をするという従来の方法は必ずしも当を得ていない。
  • 吉田 章, 井上 耕三, 川村 圭一
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シラスー酸化ナトリウム系焼成物を 2mo1・dm-3 の塩酸で中和し,生成するシリカーアルミナヒドロゲルを原料として Y 型ゼオライトを合成した。
    Y 型ゼオライトの生成は H2O/Na2O モル比および Na2O/(SiO2+Al2O3) モル比の影響を受け,生成物には P 型ゼオライト,リョウフッ石およびグメリナイトが共存した。ホージャサイト型ゼオライトの種晶を添加すると,ホージャサイト型ゼオライトの生成領域が拡大し,リョウフッ石とグメリナイトの生成がいちじるしく抑制される。 P 型セオラィトの生成も抑制されるが,リョウフッ石とグメリナイトほど顕著ではない。ゼオライトのもっとも単純な溝成基本単位の一つである四員環の連結の仕方は,部分的にみるとホージャサイト型ゼオライトと P 型ゼオライトとでは 4 個まで,ホージャサイト型ゼオライトとグメリナイトとでは 9 個まで,ホージャサイト型ゼオライトとリョウフッ石とでは 12 個まできわめて類似した配置をとる。したがって,幾何学的類似点の多いゼオライト種が,種晶の添加によって,その生成が抑制されたことになる。また,ホージャサイト型ゼオライトの SiO2/Al2O3 モル比は固相の他の部分の SiO2/Al2O3 モル比と異なるが,種晶の添加によって生成率がいちじるしく増加した試料では,ホージャサイト型ゼオライトの生成率が高いものほど SiO2/Al2O3 モル比の差が夫きくなる傾向をご示した
  • 朝田 誠一
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鉄磁性粉は磁気ディスク,磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる磁性材料である。磁気記録の高密度化を行なうためには高保磁力の鉄磁性粉が必要であり,高保磁力の鉄磁性粉は鉄粒子を針状微粒子とすることによって得られる。このような鉄磁性粉の作製法にはいくつかの方法が知られているが,針状の α-FeOOH を水素還元する方法が量産化に適していると考えられる。この方法は単結晶から構ミ成される針状の α-FeOOH 微粒子の形状を利用して多結晶から構成される針状の鉄微粒子を作製する方法であるが,単結晶の針状 α-FeOOH 微粒子をそのまま還元すると,還元時に多結晶の針状粒子間の焼結や多結晶鉄の形状の崩壊が起こりやすいという問題がある。還元時の鉄粒子の焼結や形状の崩壊を防ぐための処理剤がいくつか知られているが,いずれも高温還元を行なうと保磁力が小さくなり量産化に不利である。そこで,高温還元にも耐える新しい処理剤を探索した結果,2-ブタノンに溶解したシリコーンオイルで処理する方法が有効であることを見いだした。この方法により高温で還元しても高保磁力の針状鉄磁性粉が得られるようになった。シリコーンオイル処理により高保磁力の鉄磁性粉が得られたのは,単結晶の針状 α-FeOOH 表面に吸着したシリコーンオイルが還元途中で Sio に分解し,これが多結晶の針状鉄粒子間の焼結のバリヤーとして働くとともに形状の崩壊を防いだためと考えられる。
  • 山本 二郎, 小松原 隆拡
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオフェノール [1], 4-メチルベソゼンチオール [2], 4-ニトロベンゼンチオール [3],α-トルエンチオール [4],および 1 ドデカンチオール [13]と DMSO-SbCl5 (1:1) 錯体(以下錯体と略記する)との反応において,いずれの場合も穏和な反応条件で相当するジスルフイド類が 81% 以上の収率で得られた。また,1,3-プロパンジチオール [5]および 1,4-ブタンジチオール [6] からもそれぞれ 1,2-ジチオラン [11] と 1,2-ジチアン [12] が高収率で生成した。これらの反慈には,錯体が含む DMSO と SbCl5 とがそれぞれ酸化に関与していると思われる。
  • 坂元 隼雄
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鹿児島湾海水中の水銀の存在形態を含む定量法を詳細に検討した。
    (a)試料水(硫酸酸性)を塩化スズ(II)溶液で還元し,窒素ガスを流す。多孔質金捕集剤に発生した水銀蒸気を分離濃縮したのち,冷原子吸光光度法で水銀を定量する。
    (b)試料水(水酸化ナトリウムでアルカリ性)に銅(II)を共存させ,(a)と同様にする。
    (c)試料水に硫酸,ペルオキンニ硫酸カリウム溶液を加えて加熱分解後,(a)と同様にする。以上の 3 方法を用い, 1981~1983 年の期間に採取した鹿児島湾海水および外洋水(東シナ海)中の水銀を定量し,その存在形態を含む分布を調べた。
    鹿児島湾海水(37試料)の前記の 3 方法により定量された水銀含有量の幾何平均値は,それぞれ 2.39, 3.27, 5.73ng/l であり,外洋水(東シナ海の 27 試料)の幾何平均値と比較すると,それぞれ, 1.26, 1.43, 1.59 倍と高めであり,鹿児島市周辺の都市活動,地質環境,鹿児島湾北部の海底火山活動,桜島の火山活動などからの影響が予想される。
  • 白岩 正, 中村 充宏, 谷口 省三, 黒川 秀基
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (±)-α-メチルベンジルアンモニウムの置換安息香酸塩(置換基=p-OCH3(MTB), O-CH3(OMB),CH3(MMB), p-CH3(PMB), H(BA), o-Cl(OCB), m-CI(MCB), m-NO2(MNB), p-NO2(PNB))のラセミ体構造を調べ,ラセミ混合物であることがわかった (±)-OCB ならびに MNB 塩を優先晶出法によって光学分割した。(±)-塩と(-)-塩との融解エンタハセピーの比較,ラセミ化合物の生成自由エネルギーおよび融点の 2 成分系状態図によって(±)-塩のラセミ体構造を調べた。その結果,(±)-MTB, OMB, MMB, PMB および MCB 塩はラセミ化合物を形成し,(±)-PNB 塩は理想的なラセミ固溶体であり,ラセミ混合物は(±)-OCB ならびに MNB 塩であることがわかった。(±)-BA塩は特異なラセミ体構造を示した。この塩の融点の2成分系状態図,溶解度の 3 成分系状態図および赤外吸収スペクトルから,(±)-BA 塩にはラセミ混合物である結晶(結晶[1])とラセミ化合物である結晶(結晶[II])とが混在すると推定された。そして,熱力学的に準安定な結晶[1]は温度上昇にともなって徐々に安定形で拳る結晶こ[II]に変化することがわかった。(±)-OCB ならびに MNB 塩の優先晶出法による光学分割を 10℃ ,テトラヒドロフラン中で行なった。その結果,過飽和度 120% のラ0セミ体溶液から,光学純度が 86~100% の(-)-塩をそれぞれ得ることができた。
  • 白石 振作, 高山 俊雄
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼン中, p-トルエンスルホン酸ハライド[1a~c]と,1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(ABCO)との反応において,クロリド[1a]およびプロミド[1b]の場合はよい収率で 1-(p-トリルスルホニル)-4-m(2-ハロエチル)ピペリジン[2a,b]を与えた。
    この反応において,[1b]は[1a]より高い反応性を示し,短時間に高収率で[2b]を与えた。これに対し, p-トルエンスルホン酸ヨージド[1c]でば[1c]の分解による多量のヨウ素の遊離がおもに起こり,相当するスルポンアミド[2c]は得られなかった。[1b]と ABCO との反応は反応初期にまず第四級アンキニウム型中間体が白色沈殿生成物[PPT-1]として系中に多量に析出し,これが反応進行とともに減少し,それにともない[2b]が生成することが明らかたなった。
    反応初期に得た中間体[PPT-1]は活姓に富み,ベンゼン中で単独に加温すると[2b]を与え,また,ピペリジン,モルホリンなどと反応して相当するスルホンアミドを与えた。また,第三級アミンとの反応において第四級アンモニウム塩型中間体を経由してそれぞれカルバミド酸エステル,カルボン酸アミドを与えることが知られているクロロギ酸フェニル[5]および p-トルイル酸ハライド[7a~c]と ABCO との反応も,[1b]の場合と同様な反応進行状況を示した。この[7a~c]と ABCO との反応において,クロリド[7a] < プロミド[7b] < ヨージド[7c]の順に反応性が増大し,このことはこの種の反応において求核種が HSAB 理論におけるソフトな反応種が高い活性を示すことを示唆している。
  • 鈴木 敏信, 藤谷 信行, 池谷 秀明, 三橋 啓了
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアナミドの共存下,第一級アミンとカルボン酸をジエチルケトンなどの溶媒中で還流加熱下反応させ,対応するアミドを容易に得ることができた。つぎに,シアナミドの役割を検討するため,シアナミドとアニリンと安息香酸を,反応溶媒,モル比など種々異なる条件下で反応させ, GLC を用いて経時的に追跡した。その結果,アニリン量よりもカルボン酸とシアナミドの共存量が多いほど,また,溶媒の性質には依存せず,反芯温度が高いほど本縮合反応が促進されることなどを明らかにした。また,本反応を置換アニリンおよび置換安息香酸を対象に行ない,生成置換ベンズアニリドの収率から,アミン成分の置換基は電子供与性の強いほど,またカルボン酸成分の置換基は電子求引性の強いほど反応が進行しやすいことがわかった。これらのことから反応機構について考察した。
  • 福住 俊一, 石川 邦夫, 田中 敏夫
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジアルキルコバルト(III)錯体, cis-[Ri2Co-(bpy)2]CIO4 (R=Me, Et;bpy=2,2'-ビピリジン) から酸化力の強い有機酸化剤(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン, 2,3-ジシアノ-p-ベンゾキノン,テトラシアノエチレン, 7,7,8,8-テトラシアノ-p--キノジメタン)への一電子移動反応により二つのコバルト-アルキル結合が開裂し,二量化生成物 R-R を選択的に与える。 p-ベンゾキノンのような酸化力の比較的弱い有機酸化剤によるコパルト-アルキル結合の開裂反応においては, Mg(ClO4)2 および HClO4 が顕著な触媒作用を示す。とくに Mg(ClO4)2 と HClO4 を共存させるとおのおの単独の場合にくらべてより顕著な触媒作用が認められる。 Mg(ClO4)2 が存在しない場合, Mg(ClO4)2 単独の場合,および Mg(ClO4)2 と HClO4 を共存させた場合について,有機酸化剤(おもに p-ベンゾキノン類)による cis-[R2Co(bpy)2]+ のコバルトーアルキル結合の開裂反応における速度定数の対数と,それぞれの系における cis-[R2Co(bpy)2]+ と酸化叡の酸化還元電位の差との間の関係について考察した。その結果,有機酸化剤によるコパルトーアルキル結合の開裂反応に対する Mg(ClO4)2 および HClO4 の顕著な触媒作用は,酸化剤の電子受容性を高めることにより, cis-[R2Co(bpy)2]+ から酸化剤への一電子移動が加速されることに起因することが結論される。
  • 吉井 善弘, 伊東 昭芳, 平嶋 恒亮, 真 鍋修
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノールの硫酸によるスルホン化とヒドロキシフェニルスルホニル化を行ない反応温度と配向比の関係を調べた。その結果,スルホン化では高温になるほど動力学的支配による配向比および熱力学的支配匿よる配向比(o/p比)は減少した。一方,スルホニル化では高温になるほど,動力学的支配による配向比(2,4'/4,4比)は減少するが,熱力学的支配による配向比は増加することが判明した。スルン化,スルホニル化の等運温度ばそれぞれ -24,36℃ であった。これらの結果はスルホン化,スルホニル化はともに, o-位, p-位への反応の等速温度が異常に低く実際的な反応は等速温度より高い条件で行なわれていることおよび o-フェノールスルホン酸が p-異牲体より安定であり,ジヒドロキシジフェニルスルホンでは逆に 4,4'-異性体が 2,4-異性体より安定であることに基因することを明らかにした。
  • 丸山 一茂, 大堀 真二, 飯田 健郎, 後藤 邦夫
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシル基の立体配置の異なる meso-および dl-酒石酸をそれぞれエステル化し,亜鉛/カルシウム複合せっけんを含む軟質ポリ(塩化ビニル)樹脂に添加して,同樹脂の熱着色を主眼とした安定化に対する添加効果について検討した。
    上記金属せっけんの存在下で meso-および dl-酒石酸ビス(2-エチルヘキシル)を添加することにより,両者ともジンクバーニングの開始時間を遅延するが,前者は後者と比較して優れた相乗効果を示した。両者の差異は,加熱過程で生ずる塩化亜鉛に対するマスキング能の差に基因しているものと考えられる。
    meso-酒石酸エステル中の二つのヒドロキシル基の立体配置はエステル化の過程および塩化亜鉛存在下での加熱に対しても変化しなかった。
  • 橋本 穂, 平井 幹, 岡尾 正之, 石州 哲也
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Poly[N-(oxy-1,4-phenylene)-N'-(1,4-phenylene)pyromellitimide] 皮膜の機極的性質の向上を目的として種々の実験を行なった。
    ポリイミドを延伸,熱処理により前に述べた目的を達成するのは難しいので,このポリイミドの前駆物 Poly[N-(oxy-1,4-phenylene)-N'-(1,4-phenylene)pyromellitimide] に処理を施し比較検討した。
    ポリアミド酸はビス(4-アミノフェニル)エーテルと無水ピロメリト酸を N,N-ジメチルアセトアミドを溶媒として低温溶液重合法により合成した。得られたワニス状ポリアミド酸をピリジンで希釈し,キャスティング法で厚さ 40~50μ の皮膜を作製した。
    ポリアミド皮膜は冷延伸しにくいため, N,N-ジメチルホルムアミドー水 (体積比 40:60)混合液,液温 500℃ 中で延伸した。延伸比 4 倍試料の複屈折は 128×10-3 であり, Young 率,破断強度は未延ぴ伸物のそれらにくらべて 2 倍になった。この 4 倍延伸物を張力下熱処理すると複屈折は 333×10-3, Young 率,破断強度は 10.4×1010 dyne/cm2, 51.8kg/mm2 となり,この値は未延伸イミド化物とくらべるとそれぞれ 4.4, 6.2 倍である。
  • 竹村 年男
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化マンガン(II)-2-アミノエタノールーメタノール系触媒による 2,6-キシレノールの酸化重合の速度論解析と反応機構を検討した。
    素反応を考察し,反応の律速段階はキノンアセタール中聞体生成過程でかつ,再分配反応はマンガン錯体触媒の配置圏内と反応機携の妥当性を示すことができた。
  • 井本 稔, 酒井 章吾, 大内 辰郎
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビニルモノマーのラジカル単狸重合における成長反応の活性化エネルギー(Ep_=_)の大小を理論的に説明するために, CH3-CH-R (成長鎖ラジカル末端の模型)と CH2=CH-R との付加反応の摂動エネルギー(ΔE)を,非制限型フロンティア分子軌道法で計算した。まず unrestricted Hartree-Fock(STO-3G 基幹関数) MO 法によって, 9 種のビニルモノマーの最適構造をもとめ,それによって MO の諸因子を表 1,2(本文)のように計算したのち, ΔEを下式によってもとめた。
    この ΔE は成長反応の Ep_=_ の実験値とほぼ直線的に比例することがわかり,その結果, Ep_=_ =c-γΔE の式を結論した。
  • 井本 稔, 酒井 章吾, 大内 辰郎
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビニルモノマーのラジカル単独重合における停止反応について非制限型分子軌道法による考察を行なった。成長鎖ラジカルの模型として 8 種の,モノマーに H・ の付加した CH3-CH-R ラジカルを用いた。それらの最適構造や MO の計算法および結果は前報に報告してある。(1)再結合停止では第一ラジカルの ψα(α-スピンの不対電子のはいったフロンティァ MO)と第ニラジカルの ψβα に対応する β-スピン MO 系の空のフロンティア MO )との摂動エネルギー ΔEC を計算した。文献から停止反応の活性化エネルギー Et_=_ をもとめ, ΔEc と対比させ,ほぼ直線的になることを知った。(2)不均化停止は第一ラジカルが第ニラジカルの β-H を引き抜く反応である。よって第一ラジカルの ψα (または ψβ)と第ニラジカルの β-H の σ*LUMO (または σHOMO)との摂動エネルギー ΔED を計算した。ΔED は ΔEC より 1 ケタ小さい。ただし β-Hを 引き抜かれる第ニラジカルでは新しい π 結合の生成を別にともなうので, ΔED を ΔEC と直接に比較することはできない。なお, MMA の場合にはエステル基 COOCH3 の H も引き抜かれうるが,生成物は,転位の結果, β-H の引き抜かれた場合と同じ構造の末端になる可能性がある。
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 小谷 一郎, 白木 利昌, 永井 久芳
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    新しい型のイソプロペニル-1,3,5-トリアジンとして,N-アミジノ-O-アルキルイン尿素類と塩化メタクリロイルとの反応により, 2-アミノ-4-(メトキシ[1],エトキシ[2])-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジンおよび 2-アニリノ-4-(メトキシ[3],エトキシ[4])-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジンを合成した。またビグアニドと塩化メタクリロイルとの反応により2,4-ジアミノ-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン〔5〕を合成した。
    アゾビスイソプチロニトリルを開始剤,ジメチルスルポキシドを溶媒として[1]~[5]の単独重合,またスチレン,メタクリル酸メチル,アクリル酸メチル(M1)をコモノマーとする共重合を行ない,共重合パラメーター(r1, r2, Q2, e2)を求めた。
    [1]~[4]ではいずれをコモノマーとしても r1<1, r2,> 1 の結果を得た。重合性について考察した。またホモポリマーおよびメタクリル酸メチル,アクリル酸メチルとのコポリマーにつき示差走査熱量計によりガラス転移温度を決定した。その結果ガラス転移温度は以下の順で高くなった。
    コポリマー[5]>[1]> [2]>[3]>[4],
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 川北 俊一, 西井 美保
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 106-110
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6種の 2-アミノ-4-(p-アルコキシカルボニルアニリノ)-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジンを合成モした。p-アルコキシカルボニル基としてはメトキシ[1],エトキシ[2],プロポキシ[3],イソプロポキシ[4],ブトキシ[5],イソプトキシ[6]カルボニル基を選んだ。アゾビスイソブチロニトリルを開始剤魏,ジメチルスルポキシドを溶媒として,[1]~[6]の単独重合およびスチレン,メタクリル酸メチル(M1)をコモノラーとする共重合を行ない,共重合パラメーター(r1,r2,Q2,e2)を決定した。また[2]~[6]については融解後,熱重合による発熱がみられたので,示差走査熱量計(DSC)を用い,重合の熱力学的パラメーターを決定した。天井温度は 162~169℃, 重合熱は 10.5~11.2kcal/mol の値が得られた。
  • 菊池 康男, 久保田 直治
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [2-(ジエチルアミノ)エチル] デキストラン塩酸塩(カルボキシメチル)デキストランおよび硫酸エステル化ポリビニルアルコールの 3 成分からなる高分子電解質複合体から膜をつくることができた。水素イオン濃度の高い場合に生成された高分子電解質複合体の膜は耐酸性,耐アルカリ性であったが,低い水素イオン濃度で生成されたそれらは耐アルカリ性に乏しかった。
    これらの膜に認められた能動輸送と選択透過は,水素イオン濃度の変化によるキャリヤーの親和性および膜の化学的,物理的性質の変化に起因するものと推論される。
  • 小関 健一, 宮口 生吾, 山岡 亜夫, 山田 栄一, 後藤 義隆
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 119-127
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高い感光性を有するレーザー記録用材料を開発することを目的とし,本研究では 290nm 前後にしか感度をもたない有機過酸化物を分光増感した新しい光重合開始剤系に関し,レーザー記録感度をはじめとする感光諸特性について検討を行なった。
    分光増感剤として,チオピリリウム塩を用いた系は,紫外から 600nm 前後の可視域まで広い波長域にわたって高い光重合開始能を有することが明らかとなった。バインダーポリマーにポリ(N-ビニル-2-ピロリドン),モノマーにペンタエリトリトール=トリアクリラートを用い,これに ジ-t-ブチルージペルオキシイソフタラートと 4-(4-プトキシフェニル)-2,6-ビス)4-メトキシフェニル)チオピリリウム:テトラフルオロボラートを添加したホトポリマーは,紫外光に対し 27μJ/cm2,アルゴンレーザー(488nm)に対し 80μJ/cm2 の感度を示し,また相反則にしたがった感光挙動をすることが明らかとなった。感度は使用するパインダーポリマーの分子量および分子構造に大きく依存し, N-ビニルピロリドン構造を有するポリマー系は,ほかに比較し 1 ケタ以上高い感度を示した。これは,これらポリマー`マトリックス中における重合速度そのものが大きいことによることが明らかとなった。
  • 円満字 公衛, 山口 裕之
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 128-130
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Bis[1-(4-dimethylaminopheny1)-2-phenylethanedithione]nickel(0), a Q-switch dye for neodium lasers, was unstable and easily bleached by photo-illumination. This bleaching was caused by photochemical reaction with a trace amount of peroxides contained in solvent. In order to stabilize, this dye was included by cyclodextrin and dissolved in water. This complex was not photobleached even in the presence of radicals.
  • 加藤 中英, 松井 治人, 中埜 邦夫
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 131-133
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    As polarographic behavior of catalytic wave by controlled current method has been rarely investigated, a current scanning polarograph was constructed and catalytic wave of vanadium (III)-EDTA was measured for comparing it with the result which was already obtained by using conventional polarograph. Although diffusion and catalytic currents (id and ic) were influenced by the reversibility of the supporting electrolyte as shown in theory, the rate constant, kobs, of the redox reaction between vanadium(II)-EDTA and nitrate ion was in agreement with that obtained by ordinary polarography. So, it may be allowed to use a current scanning polarograph for the measurements of catalytic phenomena in polarography.
  • 稲村 ヤサ, 稲村 裕
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 134-137
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    In the reduction of 1, 2-dibenzoylethylene [1a, b] with aluminum isopropoxide, the addition of aluminum chloride increased the yields of furan derivatives [5], [6] or [7].
    The cis-isomer was isomerized to trans- under the reduction conditions. Prom cis-a, pdibenzoyistyrene [2], 2, 3, 5-triphenylfuran [8] was obtained without aluminum chloride, and 3-alkoxy-2, 4, 5-triphenylfurans [9] and [10] were readily formed in the pres ence of aluminum chloride.
    The structures of products [6], [7], [9] and [10] were established on the basis of spectral data (Table 5).
    Probable mechanisms for the formation of the furan ring are shown in Scheme 1.
  • 亀沢 誠, 小原 和子, 橘 芳純
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 138-140
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It has previously been reported that 7, 7'-dihydroxy-4, 4'-dimethyl-3, 4-dihydro-4, 6'-bicoumarin C 4 J was obtained from the reaction of resorcinol [1] J with methyl acetoacetate [2]. The reaction of [5], diacetate of [4] with aluminum chloride has no w been studied.
    The products were found to be 2, 4-diacetylresorcinol [6], 4, 6-diacetylresorcinol [7], 2, 4, 6-triacetylresorcinol [8] and 4, 6-dimethyl-2 H, 8 H-benzo [1, 2-b : 5, 4-b'] dipyran-2, 8-dione mainly on the spectroscopic evidence. Expected Fries reaction products of [5] [9] were not obtained.
    The plausible mechanism for the formation of [6]∼[9] is discussed briefly (Scheme 3).
  • 山崎 仲道, 叶原 悟司, 柳沢 和道
    1985 年 1985 巻 1 号 p. 141-143
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The direct short time leaching of molybdate(VI) ion from low grade molybdenite ore (MoS2; 2.1%) was carried out by the use of a microautoclave and the effects of temperature, oxygen over pressure, and NaOH concentration were examined. Both oxygen over pressure and NaOH concentration were found to control the extraction of molybdate(VI) ion. The dissolution of silica, however, was not affected by oxygen over pressure. Laboratory small batch studies have shown that molybdenite can be readily dissolved in dilute NaOH solution (0.2∼0.6 moldm-3) under 150∼200°C and 5 MPa of oxygen over pressure, leaving Si, Al, Fe, Ca, and Mg in the residue.
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