日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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1985 巻, 10 号
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  • 河本 洋二, 野原 一郎
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1783-1789
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ZrF4-BaF2-MFn三成分系ガラスを研究対象として,ZrF4系ガラスにおけるフッ化物イオン伝導とガラス構成成分との関係を検討した。MFnとして第1族から第V族の金属フッ化物12種,LiF,NaF,RbF,CsF,CaF2,SrF2,BaF2,SbF3,BiF3,LaF3,NdF3,HfF4を取りあげ,4組成点で14種のガラスを作製し,試料とした。イオン伝導度測定は金の3電極を用いて,キャパシタンスブリッジとインピーダンスベクトルメーターを併用して,アルゴン雰囲気中で室温からガラス転移温度までの温度領域について行なった。
    測定したイオン伝導度の温度依存性はArrhenius式により表わすことができ,導電率はほぼ「伝導のための活性化エネルギー」にのみ依存し,逆比例関係にあった。フッ化物イオン伝導を支配すると考えられる諸因子について導電率との相関性を検討した結果,ガラス構成陽イオンの分極率が導電率を支配する主要因子であると結論できた。それゆえ,ガラス中の陽イオンの平均分極率が大きいガラスほど,伝導のための活性化エネルギーは減少し,導電率は増大した。そしてZrF4-BaF2-CsF系がより高いフッ化物イオン伝導性ガラスを与えうる系であることが示唆された。
  • 中島 剛, 中根 堅次, 渡辺 信淳
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1790-1794
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    LiF存在下でピッチ系炭素繊維をホストとしたフッ素の層間化合物を合成し,その電気伝導度を求ゆめ,空気中における安定性を評価した。合成された層間化合物の多くは周期距離9.4,12.7Å からなるの第2ステージと第3ステージの混合物C810F,あるいは周期距離12.7Å の第3ステージ化合物C1013Fであった。炭素繊維の電気伝導度はフッ素のインターカレーションによって急激に増加し,インターカレート11~14wt%(第3ステージ)で最大電気伝導度2.5×104S・cm-1に達した。これはホスト炭素繊維の電気伝導度(3.1×103S・cm-1)の8倍である。空気中における電気伝導度の経時変化はインターカレートの量によって変わり,インターカレートが多いほど電気伝導度の減少が少なく,安定性が高いことがわかった。たとえばC8.8F(インターカレート15.3wt%)では電気伝導度の減少は80日後で22%,200日後で28%であった。電気伝導度の経時変化はX線回折による(00l)回折線の位置の変化,すなわち高次ステージへの移行によく対応していた。
  • 田坂 明政, 伊藤 英明, 綿榎 清隆, 小林 浩, 山元 司
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1795-1804
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    120℃のNH4F-HF系およびNH4F-HF-KF系溶融塩に低濃度の尿素を溶解させ,炭素および黒鉛電極を用いて電気分解し,NF3を合成したe陰極には電解槽本体を,照合電極には白金棒を用いた。陽極生成物は,ガスクロマトグラフィーおよび赤外吸収スペクトル法で分析した。NH4F-HF-(NH2)2CO系電解浴中でのサイクリックボルタンメトリーおよび定電流法で求めたi-E曲線から,尿素濃度が高くなるとHFによる電極の侵食が抑制されるが,尿素の直接放電が起こるため,NF3の電流効率の観点から,尿素濃度はモル分率で0.008以下が好ましいことがわかった。また,KFをモル分率で0.233以上添加すると,HFによる電極の侵食を抑制できることも明らかとなった。そこで,KF濃度がモル分率で0.233以上のNH4F-HF-KF系溶融塩にモル分率で0.007以下の尿素を添加すると,ただちにCO2が発生した。そののち,電流密度15mA・cm-2で定電流電解すると,電位は4.5~5.5Vvs.Pt(電解フッ素化反応領域)にとどまり,陽極生成ガスの成分はN2,CF4,NF3,CO2,N2Oなどであった。また,モル分率で尿素濃度0.004,NH4F濃度0.078の場合,15mA・cm-2で定電流電解すると,電解開始後6時間でNF3が検出され,70時間後には,NF3の陽極ガス組成比,すなわち,収率が最大値87%に達した。一方,黒鉛電極を用いると,NF3の収率は低くなり,しかも,電気分解中に電極が崩壊するなど,炭素電極よりも劣っていることがわかった。以上のことから,尿素白身および陽極生成物であるCOF2の加水分解でCO2が生成することにより電解浴が脱水されるので,電解浴への尿素の添加はNF3の電流効率を増加させるのに効果があるものと思われる。
  • 東原 秀和, 角野 広平, 深見 慎二, 渡辺 信淳
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1805-1811
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭素繊維(ACF)を単体フッ素と20~200℃の低温で反応させフッ素化活性炭素繊維(F-ACF)を得た。F-ACF中の炭素とフッ素の相互作用を,ESCA,19F-NMR,および赤外吸収スペクトルで調べ,フッ素の酸化能をヨウ素滴定により測定した。炭素とフッ素の相互作用の性質は反応温度に強く依存し,各反応温度領域においてつぎのように特徴づけられる。(1)50℃以下でフッ素化した場合,1/3以上のフッ素は遊離しやすく,酸化能をもち,残りのフッ素は炭素と緩く共有結合している。(2)100℃でフッ素化した場合,酸化能をもつフッ素は1%以下で,大部分のフッ素は共有結合している。しかし,結合の強さは50℃以下でフッ素化した場合と同様幅広く分布している。(3)200℃でフッ素化した場合,フッ化グラファイトと同様に,フッ素は炭素と完全な共有結合を形成しており,構造的には(CF)n,(C2F)n類似化合物の混合物である。このような,反応温度に依存した炭素とフッ素の相互作用の性質の変化を反映して,F-ACFの色は黒,茶色,黄色,白色と,反応温度の上昇とともに変化する。
  • 渡辺 信淳, 寺田 剛, 鄭 容宝, 中島 剛
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1812-1820
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    WF6+H2+炭化水素(ベンゼン,シクロヘキサン,1,3-ブタジエン,ブタン)の300~700℃における反応から炭化タングステンを生成させ,炭化タングステンの生成におよぼす炭化水素の影響について検討した。熱分解温度が約450~650℃である上記4種の炭化水素では飽和炭化水素より不飽和炭化水素が,また鎖状炭化水素より環状炭化水素の方が炭化タングステンを生成しやすいことがわかった。W2C単一被膜はベンゼン,シクロヘキサンからそれぞれ450,550℃で得られ,蒸着速度も鎖状炭化水素の場合より速かった。被膜の硬度は蒸着速度の速い550℃付近で最大となり,2700~3400HmVという高い値を示した。またW2NはWF6・4NH3をアンモニアガスあるいはアルゴン気流中,700℃で熱分解することによって得られた。
  • 五十嵐 一男, 室伏 光寿, 岩舘 泰彦, 持永 純一, 大野 英雄
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1821-1827
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    FLINAK融体の構造解析と関連して,それぞれ545℃および690℃におけるLiF-KF(モル比1:1)系およびLiF-NaF(3:2)系融体の短範囲構造をX線回折法により研究した。RDFと強度関数比較法の解析とから,LiF-KF(1:1)系融体中における最近接Li+-F-イオン間距離およびその配位数は,それぞれ1.85Å および3.0個であり,K+-F-イオン対に対するそれらは,むそれぞれ2.70Aおよび4.1個であることが明らかになった。これらの値は,解析された温度が異なるにもかかわらずそれぞれの単一塩融体から得られたイオン間距離および配位数にほぼ等しいことが見いだされた。LiF-NaF(3:2)系融体中におけるLi+-F-イオン対の最近接イオン間距離および配位数むゆは,それぞれ1.84Å および3.0個であり,またNa+-F-イオン対に対するそれらの値は,2.20Å および3.8個であった。この混合系における二つの異種イオン対の最近接間距離および配位数もまた,単一塩融体の対応するそれらの値とほぼ等しいことがわかった。これらの結果は,このような混合比では,二成分系融体中における最近接異種イオン対の構造は,単一塩の構造をたもっており,混合によって変化しないことを示している。
  • 川崎 東彦, 舛田 誠, 遠山 融, 外村 健三
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1828-1831
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化脂肪酸からハロゲンを遊離させる酵素には,ハロ酢酸に特異的なものと,広く2一ハロ脂肪酸に作用するものの二つがある。前者にはフルオロ酢酸(FA)に作用するものとしないものの2種類がある。これらデハロゲナーゼの多様性を遺伝子レベルで調べ,それらの進化的関連を探った.著者らはさきにプラスミドpUO1に支配される2種のハロ酢酸デハロゲナーゼH-1とH-2を-細菌に認めたeH-1はFAに強い活性を示すが,H-2は示さない。両酵素の遺伝子をDNA-DNA交雑法で解析した結果,両者に相同盤は認められず,進化的関連は否定された。つぎにFA,クロロ酢酸(CA),2-クロロプロピオン酸(2-CP)を基質としてデハロゲナーゼ保持を菌スクリーニングし,得られた26株をその基質特異性に基づき6グループに分類した。FAを脱フッ素する株(9株)はすべてH-1様酵素を有し,かつH-1遺伝子と相同な遺伝子をもっていた。したがって細菌のFA脱フッ素酵素は基本的には1種類ではないかと推察された。CAに強い活性を示す菌株(18株)の内14株はH-2様酵素を有し,H-2遺伝子と相同な遺伝子をもっていた。2-CPに活性を示す菌株には,遺伝子的にもH-1,H-2とは異なる酵素をもつ株があった。
  • 田嶋 和夫
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1832-1837
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロ炭化水素界面活性剤,C8F17SO3Li,(LiFOS),と炭化水素界面活性剤,C14H29SO4Li(LTS),との混合水溶液の気演界面において・界面活性と吸着成分との関係および吸着膜の組成とミセル組成との関係が調べられたとLTSの吸着は3H-標識化合物を用いてラジオトレーサー法によって測定された。LiFOSの吸着はGibbs吸着等温式とLTSの実測側とを組み合わせることによって,算出された。臨界ミセル濃度(CMC)におけるミセル組成は篠田の理論から決定された。結果として,CMC以下ではLTSの方が界面活性であり,吸着成分として多くなった。しかし,CMC以上ではLiFOSが界面活性となり,その吸着割合が増加するのに対して,LTSの吸着割合は減少することが示された。また,CMCにおける表面吸着膜の組成はミセル組成と異なり,LiFOS成分が多くなった。ミセル溶液の表面で起こる競争吸着,はミセル組成が仕込みの混合モル分率よりLTSが多くなるので,ミセル濃度の増加につれて単分散LiFOSの濃度が増加をするため,発現するとして説明された。
  • 植木 肇, 水谷 範子, 西田 浪子, 太田原 幸人
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1838-1845
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    熊本県白川は本邦でも代表的な中規模の火山性河川である。著者らは1975年から1984年まで(1975年5月~1976年4月は毎日)河川水を採取し,フッ化物イオン,塩化物イオンを分析し,これらの経時的な変動および河川流量,降雨量との相関について考察した。
    フッ化物イオン,塩化物イオンの測定値は時間とともに変化し,その濃度範囲はそれぞれ0.36~1.33mg/l(算術平均値0.70mg/l),2.5~16.6mg/l(算術平均値12.5mg/l)であった。また両者の相関係数は+0.437であったe白川のフッ化物イオンは異常に高く,九州地方河川の約10倍の濃度であった。
    白川上流の阿蘇カルデラ内の本支流のフッ化物イオンを測定した結果,その濃度分布は阿蘇中央火口丘群と阿蘇カルデラ壁の流域に二分され,前者で0.35~2.36mg/l,後者で0.16mg/l以下であった。
    フッ化物イオン,塩化物イオンの濃度は河州流量および降雨量の増加にともない低濃度となるが,フッ化物イオンの濃度減少率は塩化物イオンの場合ほど大きくない。そのためF-/Cl-はこれらの増加にともない大きくなる。
    フッ化物イオン,塩化物イオンの10年間の変動は,白川流域が阿蘇火山活動の影響を受けた1979年を除き,小さいものである。
    白川のフッ化物イオンの起源は過去から現在にいたる阿蘇火山活動および流域に広く分布する火山噴出物の影響によるものと考えられる。
  • 津田 良夫, 上田 奉生, 田中 幹雄, 山内 紘一, 横山 和正
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1846-1850
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロオクチルブロミド(PFOB)は臭素原子を1個もつペルフルオロ化合物であり,X線遮蔽能をもつことから,造影剤としての応用が期待されている。Longらは,PFOB乳剤を担がん動物に投与し,腫瘍部位の造影に成功したと報告した。今回,著者らはAH130細胞とVX2 carcinomaの2種類の実験がんを用い,腫瘍造影剤としてのPFOB乳剤の可能性について検討した。
    AH130細胞を大腿部筋肉内に移植したラットにPFOB乳剤を投与し,投与後24時間目にX線撮影したところ,腫瘍の明瞭な造影籐が観察された。また,VX2 carcinomaを肝に移植した家兎に25w/v%PFOB乳剤を10ml/kg投与し,CT scanを行なった。肝正常組織にくらべ,腫瘍周辺部が高いdensityとして造影された。PFOB含量を測定した結果,周辺部に高濃度のPFOBが検出された。電子顕微鏡による組織学的検討からも,腫瘍周辺部に多数のマクロファージが存在し,そのマクロファージの中にPFOB粒子と思われる穎粒が多数散見され,特徴的な腫瘍のCT像がPFOB粒子の集積によることが明らかにされた。腫瘍造影剤としてのPFOBの有用性が確められた。
  • 松尾 徹, 大野 英雄
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1851-1853
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    LiBeF3の溶融状態における19Fの核スピン格子緩和時間(T1)をパルスNMR法によって測定した。T1の温度依存性を測定した結果,約550℃にT1の極少が現われた。これは[BeF4]錯イオンからフッ化物イオンが離脱し,液中を拡散する機構によって説明される。フッ素の平均跳躍時間はτ=1.9×10-15exp(100×103/RT)sであった。融点直上の低温領域では,別の機構,すなわち,[BeF4]錯イオンの回転による19Fの緩和が支配的であり,この領域での活性化エネルギーは,融体の粘性係数の活性化エネルギー58.5kJ・mo1-1に近い値をもつ。
  • 千葉 淳, 西川 武夫, 小川 忠彦
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1854-1855
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A basket type carbon electrode had the dimensions of 15 cm is diameter, a depth of 8 cm and a wall thickness of 0.5 cm with fifty holes (φ5cm) on the wall. A coil of iron net (5 mesh) was used as a cathode. An electrolytic cell made of maild iron had the dimensions of 30 cm in diameter, a depth of 17 cm and a wall thickness of 1 cm. The electrolyte used was 15 kg of KHF2, and the bath temperature was kept at 300±10°C. A felt of carbon fiber (60g) was charged in the basket type electrode which was fluorinated in advance. Fluorination was conducted for about 4∼5 h with 10 A (about 11mA⋅cm-2). The colors of fluorinated fibers varied from black through brown, blue, yellow, violet and gray to white with an increase in the degree of fluorination. The specific gravities of carbon fibers after the electrolysis were from 1.62 to 2.50g⋅cm-3. The heats for wetting for water at 25°C were from 2.06 to 0.59J⋅cm-2, and the value decreased with increasing the degree of fluorination. The contact angle against water was about 140°. The thickness of fluorinated fibers observed from 0.25 to 0.45μm by Scanning Electron Microscope. Identification of the products was not comfirmed yet, but formation of carbon fluoride was considered to be evident.
  • 佐藤 利夫, 田中 龍夫, 鈴木 喬
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1856-1858
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Disinfection effects of electrodialysis systems using a cationic type fluorinated membrane (Nafion-415) on E. coli cells have been investigated.
    E. coli suspended in various electrolyte solution (108 cells/cm3) were passed through a desalting chamber at a flow rate of 3 cm/min at different current densities, and viability (%) in the effluents was determined.
    Remarkable disinfection effects were observed for the Nafion-415 system compared with the system of a usual cation-exchange membrane (CMV). For example, the E. coli cells suspended in 0.1 mol⋅dm-3 NaCl solution were perfectly devitalized after 20 min of the electrodialysis at the current density of 1.63 A/dm2.
  • 遠上 尚徳, 野口 真裕
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1859-1861
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Thermodynamic properties and thermal stability of working fluids used in Rankine cycle systems and heat pumps were studied.
    Five fluids, R 114, 2, 2, 2-triflu oroethanol, 2, 2, 3, 3-tetrafluoro-1-propanol, 2, 2, 3, 3, 3-pentafluoro1-propanol and azeotropic mixture of the pentafluoro-l-propanol with water were chosen as working fluids and their thermodynamic proparties and cyclic properties were investigated at 140∼200°C.
    The results showed that pentafluoro-l-propanol could exibit the maximum gross and net output above 180°C with neither possible inflammability nor deterionaion of thermal stability.
  • 上田 充, 矢澤 昌彦
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1862-1868
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-フルオロアクリロニトリル(α-FAN)を合成し単独重合を溶液重合,塊状重合で行なった。ポリ(2-フルオロアクリロニトリル)は白色固体で,非プロトン性極性溶媒,THF,アセトンに室温で可溶であった。ポリ(α-FAN)の熱処理により脱フッ化水素,環化反応が250~300℃の間で起こった。熱機械分析によりガラス転移海度(Tg)が101℃に観察された。α-FAN(M2)とスチレン(M1)の共重合を溶液,塊状重合で行ない,各種共重合パラメーター(r1=0.44,r2=0.03,Q2=0.43,e2=1.28)を求めた。得られたQ2,e2値について詳しく考察した。
  • 朱山 秀雄
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1869-1875
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    新しい型のペルフルオロアルキル基含有ポリマーとして,ある分布率でベンゼン環上にペルフルオロアルキル基を有するポリ(α-メチルスチレン)およびポリ(メタクリル酸フェニル)を合成した。合成は,入手容易なポリ(α-メチルスチレン)およびポリ(メタクリル酸フェニル)をピリジン存在下,FITS試薬により直接ペルフルオロアルキル化することによって達成することができた。本反応においては,反応溶媒が,反応率や生成ポリマーの分子量分布に大きな影響をおよぼすが,アセトニトリルとクロロホルムの混合溶媒を用いることによってポリマーの主鎖の切断なくしてもっとも高い反応収率(10~36%)で反慈が進行することを見いだした。合成したペルフルオロアルキル(炭素数2個~4個)化ポリ(α-メチルスチレン)に電子線および遠紫外線を照射しその挙動を調べた結果,原料のポリ(α-メチルスチレン)はいずれのエネルギー線でも主鎖崩壊を起こすのに対し,ペルフルオロアルキル化ポリマーは,遠紫外線では主鎖崩壊が,電子線では橋かけ反応が起こり,照射エネルギーの違いに,より異なる挙動を示した,ペルフルオロアルキル化ポリ(メタクリル酸フェニル)も電子線により橋かけし,原料のポリマーとは逆の挙動を示した。感度曲線の観察から,橋かけ中間体としてペルフルオロアルキル基のβ-位の炭素一炭素結合の開裂で生じるα,α-ジフルオロベンジルラジカル型の遊離基の存在が推定される。
  • 百瀬 義広, 西山 博樹, 野口 雅弘, 岡崎 進
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1876-1883
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高周波(13.56MHz)により励起したCF4あるいはアルゴンプラズマによるポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)およびエチレンープロピレン共重合体(EPDM)の表面改質を調べた。CF4処理の場合両ポリマーともにその表面元素組成においてフッ素が増加し,酸素は導入されなかった。Clsスペクトルの波形分離からフッ素はCF3, CF2,CFの構造をもつと考えられる。CF4処理を行なうことによりポリマー表面は疎水牲になり,水の接触角(θ)は増大した。処理時間を長くした場合のθ値は,PVdFで約119°(未処理試料では87°),EPDMで167°(未処理試料では107°)であった。CF4処理によりEPDMのテフロンに対する静止摩擦係数は小さくなり,その値はOisに対するFlsの組成比の増加とともに減少した。CF4処理後水へ浸漬した場合,PVdFでは表面元素組成およびθ 値はあまり変化しなかったが,EPDMではフッ素は減少し,酸素は増加し,θ 値は130°に減少した。
    アルゴン処理では両ポリマーともに酸素が導入され,また,PVdFではフッ素が減少した。酸素の導入は処理表面と空気中酸素との反応に起因すると考えられる。アルゴン処理により親水性になり,θ 値は減少した。処理時間が長い場合のθ値は,PVdFで39°,EPDMで約55°であった。
  • 岩月 章治, 近藤 昭裕, 坂井 靖嗣
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1884-1888
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2本の長いポリフルオロアルキル鎖を有する新規なフッ素化モノマー,2-(9-トリフルオロメチル-1H,2H,2H-ペルフルオロデシル)アクリル酸=1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシル[1]を合成した。[1]とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合を検討した(γ(MMA)=2.8±0.5,γ[1]=0,60℃)。[1]とMMAとの共重合体フィルムの空気/固体および水銀/固体界面のぬれの測定およびESCAによる表面分析を行なった。空気/固体界面では共重合体中に少量のフッ素化モノマー[1]単位が含有されるとそのぬれは急速に低下し,モノマー[1]単位が0.8~1.Omol%(フッ素含有率5~6wt%)になるとある一定値に(フッ素化ホモポリマーのぬれに対応するとみられる)達し,以後モノマー[1]単位が増加しても変わらない。一方,水銀/固体界面では共重合体中に1.omol%程度のフッ素化モノマー[1]単位が含有されてもぬれはMMAの単独重合体の表面とはほとんど変わらない。このぬれの測定結果とESCAの表面分析の結果はよい対応を示す。空気/固体界面に表面エネルギーの低いポリフルオロアルキル基が選択的に濃縮されかつ配向することが考えられる。この二本鎖のフッ素化モノマー[1]は既報の一本鎖のフッ素モノマーにくらべて,ポリフルオロアルキル基がより選択的に濃縮・配向することがわかった。
  • 寺田 一郎, 梶山 千里, 原口 俊秀
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1889-1896
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロベンゼンをモノマーとして多孔性基質上にプラズマ重合薄膜を調製し,その凝集状態と酸素透過性の関連性について検討した。熱重量測定,赤外吸収スペクトル,X線光電子スベクトルなどからプラズマ重合膜の凝集構造は,重合のさいのプラズマの出力,基質温度,重合後の熱処理時間に大きく依存し,これらの増加にともなって不飽和結合あるいは芳香環構造の多い構造から橋かけ度の高い飽和結合を含む構造へと変化し,分子鎖熱運動の束縛と耐熱性の向上が見られた。出力30W以上でミリポア上に調製したプラズマ重合膜の酸素透過速度は膜厚の増大とともに膜厚0.15~0.3μm付近で急激に減少し,また分離係数が増加した。これらの酸素透過挙動は,膜厚0.15~0.3μmでプラズマ重合膜がピンホールフリーとなることを示している。さらにもっとも耐熱性の向上する出力,基質温度,熱処理時間の条件で多孔性セラミックス上にプラズマ重合膜を調製し,酸素,窒素透過係数を283~573Kの温度範囲で測定した。熱処理により低沸点成分が除去され,自由体積が増加するため酸素透過係数は熱処理前後で約10倍増加した。熱処理後のプラズマ重合膜の酸素透過係数は573Kまでほとんど変化せず,10-8cm3(STP)・cm-1・s-1・cmHg-1オーダーであった。分離係数は283Kで4.5とすぐれた酸素分離特性を示すことが明らかとなった。
  • 大森 洋, 梶山 千里
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1897-1903
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高分子(ポリ(塩化ビニル),PVC),液晶(N-(4-エトキシベンジリデン)-4-ブチルアニリン,EBBA)および,フルオロカーボン(FC)の混合物碗溶液から溶媒蒸発法により高分子/液晶/FC複合膜を調製し,膜構造と酸素,窒素透過性を検討した。FCは非イオン界面活性剤を加え,超音波処理により溶媒に分散後ブレンドした。DSC,走査型電子顕微鏡観察などの結果は,PVC/EBBAIFC三元複合膜においても,FCを含まない従来の高分子/液晶複合膜と同様に,PVCの三次元網目状構造内にEBBAが連続相ドメインとして,相互にからみ合った凝集組織を形成することを示している。酸素と窒素の透過測定の結果,高分子/液晶複合膜と比較してFCを含む三元複合膜の酸素選択透過性の明らかな増大が観測され,FCの添加による酸素富化効果が認められた。これは気体透過機構が溶解律速となっている液晶転移温度以上の温度域で,高い酸素溶解性をもつFCが,膜中への酸素溶解を促進し,選択透過性が向上したと考えられる。とくに,ペルフルオロトリブチルアミンを7.2部ブレンドした膜は,高い酸素透過性(353KにおいてRo2=1.1×10-8cm3(STP)・cm-1・s-1・cmHg-1)と高い分離性(307KにおいてPO2/PN2=5.1)を示した。また高分子/液晶複合膜は高分子のガラス転移温度以上の温度域で,透過係数の増加とともに分離係数も増加するという特異な挙動を示した。
  • 世古 真臣, 大村 重吉, 羽根 俊興
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1904-1908
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素化アルカンスルポニルクロリドを還元すると反応条件によりフッ素化アルカンスルフイン酸ないしフッ素化アル力ンカルボン酸に転化する。モノマーとポリマーでは反応の選択性が大きく異なり,モノマーでは選択性が低いがポリマーではきわめて大きな選択性を有する。ポリマーにおける反応の選択性の高さは反応部位の立体規則性や反応の場としての環境,たとえば濃度比や反応生成物の反応への関与などがモノマー反応と大きく異なることによると思われる。
    この反応を利用すれば,電流効率が高く電解電圧の低い食塩電解用の陽イオン交換膜としてスルホン酸基とカルボン酸基を有する二層構造の膜の作成が可能である。
    カルボン酸の層の厚みにより電解性能は変化し,該厚みの増加は電流効率の増大,電解電圧の増大,透水量の低減をもたらす。実用性能上,カルボン酸の厚みは7μ以上あればよく電解諸性能を勘案してカルボン酸の厚みを最適化する必要がある。
  • 斎藤 一夫, 田坂 茂, 宮田 清蔵, 趙 庸成, 中條 利一郎
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1909-1915
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ化ビニリデンートリフルオロエチレン共重合体[P(VDF-TrFE)]とポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)ブレンド系の相溶性およびP(VDF-TrFE)結晶の弾誘電性と圧電性挙動について検討した。熱力学的に求めた相互作用パラメーターX12は-0.329(150℃)であり,ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)/PMMAの系と同様な相溶性を示した。X線,DSC,IRおよびTSCなどの結果から結晶の存在するP(VDF-TrFE)組成100~65wt%の試料は,PMMAをブレンドしても強誘電性を示した。さらに,IR,DSCおよび圧電性の結果から,trans,trans-配座の極性結晶は,gauche配座を含む無極性結晶と比較してPMMAとの相互作用が弱く非結晶化しにくいことが明らかになった。
  • 高橋 和夫, 河西 英一, 小駒 益弘, 森脇 隆夫, 岡崎 幸子
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1916-1923
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種機能性有機高分子および金属表面をはっ水性にする口的で,これらにラジオ波(13.56MHz)またはマイクロ波(2450MHz)グロー放電により発生させたCF4プラズマ処理を行なった。試料は,有機高分子材料としてKapton,PEI,PEEK,PES,PP,PETを,金属材料としてアルミニウムをそれぞれ用いた。
    その結果,有機高分子材料に関してはきわめて短時間で,PTFE表面と同程度あるいはそれ以上の高はっ水性表面に改質されることがわかった。なお,改質層にはフッ素原子の存在が認められ,その大部分は炭素原子と結合していることを確認した。
    これらの改質過程としては,エッチングと堆積とが競争して起こっていると考えられ,どちらが支配的であるかは放電あるいは処理条件などにより異なり,それぞれの改質表面には物理的にも化学的にも大きな相違がみられた。
    一方,金属材料のはっ水化処理の一手法として,CH4プラズマによりコーティングしたアルミニウム基板をCF,プラズマ処理し,その表面について評価検討を行なった。
  • 石割 湘夫, 大森 晃, 小泉 舜
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1924-1928
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含フッ素のメタクリル酸エステルポリマーと2-フルオロアクリル酸エステルポリマーの諸物性を検討した。ポリマーの屈折率は,ポリマー中のフッ素含率にはぽ比例して低下し,Lorentz-Lorenzの式ヨを用いて計算した値とほぼ一致した。ガラス転移温度は,2-フルオロアクリル酸エステルポリマーの方が,メタクリル酸エステルポリマーより20~30℃高い。この差は両ポリマーにおける,分子間力の差に起因すると思われる。さらに2-フルオロアクリル酸エステルポリマーは,メタクリル酸エステルポリマーより,ガラス転移温度が高いにもかかわらず,弾性率が低く,材料として可挑性に優れている。
  • 河合 典子, 福山 幸治
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1929-1934
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高分子複合物圧電体は,フレキシブルな圧電材料として,セラミックス圧電体では得られない多くの特長をもっている。この複合物圧電体の媒体として,誘電率の高いフッ素系のゴムまたは樹脂が用いられることが多い。そのなかでもポリ(フッ化ビニリデン)系高分子にPZTを分散させた高分子複合物圧電体は,実用化がすすんでいる。これらの複合物圧電体の圧電性能は,高分子相とセラミックス相の複合形態に大きく依存する。したがってこの複合形態を制御することが,複合物圧電体の今後の重要なポイントとなるであろう。ここではフッ素系高分子複合物圧電体の組成変化にともなう圧電現象について二相系の球状分散モデルを適用し,一考察を試みる。
  • 乙幡 和重, M. T. RAZZAK, 田畑 米穂, 大橋 文人, 竹内 啓
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1935-1944
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含フッ素ポリマーが,生体適合性に優れていることから,現在含フッ素ポリマーは,医用材料として種々な用途に幅広く用いられているが,用途によっては,含フッ素ポリマーの生体適合性は必ずしも満足のいくべきものではない。そこで,本研究では,従来からある含フッ素ポリマーの抗血栓性の改善を親水性モノマーをグラフト重合することにより行なった。グラフト重合は,60Co-γ線の同時照射法の形で,親水性モノマーにN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)を,含フッ素ポリマー基材にエチレンとテトラフルオロエチレンの交互共重合体であるアフロンCOPを用いて広範な照射条件下で行なった。グラフト後,DMAAグラフト膜の抗血栓性は,in vitroテストにより評価した。
    評価の結果,アフロン膜の抗血栓性がDMAAのグラフトにより相当に改善されることが判明した。また,その改善の程度がグラフト条件に大きく依存することもわかった。グラフト重合時の溶媒が酢酸エチルのときは線量率に,一方,溶媒にアセトンを使用した場合にはグラフト率に,抗血栓性改善の程度は大きな依存性を示した。
  • 成田 正, 萩原 時男, 浜名 浩
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1945-1947
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The anionic polymerizations of hexafluoroisopropyl acrylate and methacrylate were examined in the course of the investigation on the polymerization reactivity of fluorine-containing vinyl monomers. Butyllithium and organomagnesium compounds were found to yield the polymers of hexafluoroisopropyl methacrylate. Ate complexes such as LiZnC4H9(C2H5)2 and LiAlC4H9(C2H5)3 initiated polymerization reaction and produced high molecular weight po lymers (MGPC: 1.3×104) of hexafluoroisopropyl methacrylate. This monomer was also polymerized quantitatively with the initiator of triethylaluminium in toluene media. This phenomenon suggests that its polymerization reactivity might be as high as that of vinyl ketones. Hexafluoroisopropyl acrylate was less reactive toward the polymerization initiators which could yield the polymers of hexafluoroisopropyl methacrylate.
  • 鈴木 喬, 今泉 展彦, 上松 敬〓
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1948-1950
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Surface characteristics of perfluorinated cation-exchange resins (Nafion) were investigated by the measurement of heats of immersion in 1-nitropropane, hexane and water. Electrostatic field strengths (F) calculated from the heats of immersion increased with increasing ratios of the exchanged multivalent cation (La3+) in the univalent form (H+) cation-exchange resin, but the values of F were far smaller than those of usual hydrocarbon-based cationexchange resins (Amberlyst-15). This result suggests that the surfaces of the Nafion are far hydrophobic and states of the exchange sites are different as compared with those of the Amberlyst-15.
  • 福原 彊, 米田 徳彦, 阿部 崇文, 永田 聖司, 鈴木 章
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1951-1957
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オレフインやアルコールのフッ素化反応に対し,有機塩基フッ化水素溶液は重合反応を抑制し高選択率でフッ素化生成物を与えることが知られているが,種々の有機塩基フッ化水素溶液について検討した結果,メラミンーフッ化水素溶液がいちじるしく高いフッ素化能を有し,かつ熱的にも安定で,調製の容易さ,水分による活性劣化の度合も小さいなど取り扱いやすさの面でも優れたフッ素化試薬であることが見いだされた。また,メラミンーフッ化水素溶液は液-液不均一混合系となるような有機溶媒(四塩化炭素,ペンタンなど)とともに用いることにより,この溶液のフッ素化試薬としてのくり返し使用が可能であることが明らかとなった。
  • 吉田 正人, 小林 道夫, 沢田 英夫, 萩井 英彦, 青島 一仁
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1958-1962
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過酸化ペルフルオロブチリル[1]の分解反応の詳細を研究した。[1]は対応する非フッ素化過酸化ジアシルにくらべラジカル分解を起こしやすいこと,また種々の求核剤の攻撃により容易に誘発分解を受けることを見いだした。
  • 奥 彬, 西村 淳, 中川 繁, 山田 研介
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1963-1967
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン(TFB)[1]をそのフッ素1原子あたり1.5倍当量のナトリウムジヒドロナフチリド(C10H8-Na+)で還元的に処理すると,TFBの有機性フッ素は完全に無機のフッ化物イオンとして脱離した(脱フッ素率100%)。また1.2倍当量の還元剤で処理した場合の脱フッ素率は83.7%であった。α,α,α-トリフルオロトルエン[2]も同様に完全脱フッ素化した。また,TFBは50%-KOHを用いてテトラヒドロフラン(THF)中55℃ で48時間加熱してもほとんど反応しないが,C10H8-K+から調製した非溶媒和型KOHを用いて窒素雰囲気下55℃ で96時間反応させると,フッ素原子4個のうち1個が脱離効率86%で脱離し,2,4,5-トリフルオロフェノール[3](83.4%)と2,3,5,6-テトラフルオロフェノール[4](1.3%)を生じた。一方,酸素雰囲気下では[3](25.8%)に対して[4](46.3%)の収率が増大した。この結果から,2,3,5,6-テトラフルオロベンゼニドアニオンを中間に経由する空気酸化あるいは脱離付加反応で,[4]あるいは[3]が生成することがわかった。
  • 高久 洋, 石川 清隆, 釜池 和大
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1968-1973
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ化セシウムの共存下,5'-O-ジメトキシトリチル-N-アシルデオキシリボヌクレオシド3'-[O-(4-をクロロフェニル)=O'-(5-クロロ-8-キノリル)=ホスファート]とN-位を保護したデオキシリボヌクレオシドをアセトニトリル中で反応させたところ,よい収率でジデオキシリボヌクレオシドモノホスファートを与えた。
    この反応はデオキシリボヌクレオシドの5'-ヒドロキシル基と選択的に反応することが明らかになった。このようにして得られたジヌクレオチド誘導体はフラグメント縮合によるオリゴヌクレオチド合成に対する重要な出発原料となることがわかった。
  • 菅沢 剛一, 中山 伸之, 清水 弘明, 根本 藤人
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1974-1979
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    非水溶媒中,塩基の存在下で,ペルフルオロ(2-メチル-2-ペンテン)[1]とアルカンジオール類との反応について検討した。
    エチレングリコールと[1]との反応では,五員環化合物,2-ペンタフルオロエチル-2-[1H-ペルフルオロ(1-メチルエチル)]-1,3-ジオキソラン[5]と七員環化合物,2H,2H,3H,3H-ペルフルオロ(7-エチル-6-メチルー2,3-ジヒドロ-5H-1,4-ジオキセピン)[6]が主成分として生成した。
    同様に,1,3-プロパンジオールと[1]の反応では,六員環化合物[7]を,1,4-ブタンジオールとの反応では,七員環化合物[8]を主成分として確認した。[1]
    一方,1,5-ペンタンジオールと[1]の反応では,環化反応が起こらず,ペルフルオロアルケニル基がヒドロキシル基に置換したモノエーテル[2a],およびジエーテル[3a]が主成分として生成した。1,6-ヘキサンジオール,ジエチレングリコールの反応の場合も,1,5-ペンタンジオールの反応の場合と同様の結果を得た。
  • 阿部 隆, 林 永二, 馬場 甫, 長瀬 俊治
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1980-1987
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一連のN,N-ジメチルアルキルアミン(R=C2H5,n-C3H7,n-C4H9,n-C5H11,i-C3H7,t-C4H9,c-C5H9およびc-C6H11)およびN,N-ジアルキルメチルアミン(R1=R2=C2H5,R1=R2=n-C3H7,R1=R2=n-C4H9;R1=n-C3H7,R2=n-C4H9およびR1=n-C3H7,R2=n-C5H11)の電解フッ素化を行なった。
    N,N-ジメチルアルキルアミンのフッ素化では,アルキル基の直鎖が長くなるにしたがい,C-N結合が開裂しやすくペルフルオロアミンの収率が減少した。分岐状アルキルまたはシクロアルキル基の場合には,アルキル基の異性化や開環が顕著であった。N,N-ジアルキルメチルアミンのフッ素化ではN,N-ジメチルアルキルアミンの場合とは異なり,生成するペルフルオロアミンの収率は試料濃度によりいちじるしく影響を受け,高濃度の方がよい結果を与えた。また開裂生成物としてペルフルオロ(N,N-ジメチルアルキルアミン)がかなりの量生成したが,アルキル基の開裂(β-開裂)のし方は,二つのアルキル基のうち,より長鎖のアルキル基上で起こりやすいことを示した。得られた各種の新規フッ素化アミンの物理的性質や,スペクトルデータを明らかにした。
  • 山中 寛城, 桑原 正樹, 奥戸 正純, 福西 興至, 野村 元昭
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1988-1994
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々のポリフルオロアルキル基を有するo-ニトロベンゼンスルホン酸エステル[1a~d]と各種の第三級アミンとの反応について検討した。[1a]とトリエチルアミンとの反応(ニトロベンゼン中,100~105℃,60時間)では76%の(2,2,2-トリフルオロエチル)トリエチルアンモニウム=o-ニトロベンゼンスルポナート[2a-1]と少量(8%)のN,N-ジエチル-2,2,2-トリフルオロエチルアミン[3a-I]が得られた。しかし,[1a~c]と長鎖アルキル基を有する第三級アミンとの反応は上記の条件下では起こらなかったが,高温(150~200℃)ではポリフルオロアルキル基を含む第四級アンモニウム塩[2]は得られずに,アミンのアルキル基1個がポリフルオロアルキル基と置換したN,N-ジアルキルポリフルオロアルキルアミン[3]およびテトラアルキルアンモニウム=o-ニトロベンゼンスルポナートと少量のオレフィンおよびトリアルキルアンモニウム=o-ニトロベンゼンスルポナートが単離された。
    [1]とN,N-ジメチルベンジルアミンとの反応では合成困難なN,N-ジメチルポリフルオロアルキルアミン[3-VI]がポリフルオロアルキル基の長さにかかわらず良好な収率(50~76%)で得られた。
    N,N-ジアルキルアニリンの[la]への反応性は相当するトリアルキルアミンやN,N-ジアルキルベンジルアミンのそれより劣ったが,この場合にも置換生成物であるN-アルキル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)アニリン[5]が生成した。
  • 池田 功, 稲山 隆, 塚本 健夫, 岡原 光男
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 1995-2000
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロ(2-メチル-2-ペンテン)[1]と1,1-ジメチルヒドラジン(DMH)の反応を検討し,一連の含フッ素ピラゾリウムアミンイミンおよびそれから誘導されるピラゾールを合成した。DMHが[1]を求核攻撃した後プロトン移動が起こって,まず置換化合物[2]を与えた。[2]は脱フッ化水素してジエン中間体[3]を経て環化し,ピラゾリウムアミンイミン[4]を生ずるが,脱フッ化水素後DMHと縮合してケテンイミン中間体[5]を得て,[4]のジメチルヒドラゾノ誘導体[6]を生成した。なお,[4]にDMHを作用させても[6]は得られたが,その反応速度は小さい。同様に[2]と第一級アミンを反応させると[4]のイミン誘導体[14]が得られた。ペルフルオロアルキル基によって安定化されたアミンイミン[4]および[6]は加熱によってそれぞれピラゾール[8]および[10]を与えたが,塩化水素を吹きこむことによっても室温で容易にそれぞれピラゾール[8]および[11]ならびに[10]の塩酸塩[12]を生成した。アミンイミン[4]は水に対して反応性が高く空気中の湿気あるいは溶媒中の水分によって容易にカルボニル基をもつアミンイミン[13]に変化した。[13]は安定な化合物であって200℃に加熱しても,あるいは塩化水素が存在しても変化しなかった。
  • 高木 泰, 土屋 務, 梅沢 純夫
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2001-2009
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素が導入されたアミノ配糖体抗生物質の合成の一環として表題化合物を合成した。6''-デオキシ-6''-フルオロカナマイシンAと6''-デオキシ-6''-フルオロアミカシンはそれぞれ,アミノ基をベンジルオキシカルボニル基で保護したカナマイシンAおよびアミカシンにDAST試薬を反応させて合成した。表題化合物の最後の2物質は保護された3-アミノ-2-フルオロプロピオン酸の活牲エステルを遊離の1-位アミノ基をもつカナマイシンA誘導体[13]に縮合させて合成した。目的物質の構造はNMRスペクトルにより確認したが二次元NMRスペクトルが構造決定に有効であること,またとくにフッ素の存在が解析に有用であることが示された。
  • 酒井 史郎, 園田 高明, 小林 宏
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2010-2015
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水素化ホウ素ナトリウム(SBH),ジボラン,水素化アルミニウムリチウム(LAH)を用い,2-フェニルー(F-ベンゾ)オキサゾール[3],(E-ベンゾ)チアゾール[4],(E-ベンゾ)イミダゾール[5]の複素環部の還元的開裂を検討した。SBHとの反応では[3]は2-ベンジルアミノ-F-フェノール[6]を,また[4]はビス(2-ベンジルアミノ-F-フェニル)ジスルフイド[7]をそれぞれ選択的に与えた。[3]および[4]とジボランとの反応はSBHと同様の収率を与えた。[5]とジボランとの反応で[は5]が定量的に回収された。一方,LAHは[4]との反応において複素環開裂とともに芳香環フッ素を水素置換し,4,5,7-トリフルオロ-2-フェニルベンゾチアゾール[10]およびビス(2-ベンジルアミノ-3,4,6-トリフルオロフェニル)ジスルフィド[11]を与えた。テトラヒドロホウ酸化合物による複素環開裂反応はF-ベンゾ複素環化合物に特有の反応で,フッ素置換されていない2-フェニルベンゾオキサゾール[8]および-ベンゾチアゾール[9]は同じ反応条件下で開環生成物を与えない。F-ベンゼン[1]から[6]を得るワンポット合成法では総括収率が60%得られた。
  • 田鎖 寿紀, 岡崎 進
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2016-2022
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    常圧気相連続流通方式で,100~150℃で行なうベンゼンの3,3,3-トリフルオロプロペンによるアルキル化反応に対し,CF3Cl処理アルミナがかなり大きな触媒活性を示した。アルミナに対するCF3Clの処理を420℃付近で行なう場合,最高の活性が得られた(図3)。XPSによる分析の結果,アルミナ表面は部分フッ素化されていることが確かめられたが,X線的にはアルミナの非晶質構造が保持されていた(図1)。420℃のような高温でも,アンモニアを吸着している事実(表5)から,かなり強い酸点が処理アルミナ上に生成しているものと推察された。このCF3Cl処理アルミナは,ベンゼンとCF3・COCF3,CF3CHOなどのようなCF3基を含有する化合物との反応に対しても触媒活性を示した(図5,表7)。
  • 井上 晴夫, 門叶 剛司, 池田 賢治, 三原 速男, 飛田 満彦
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2023-2028
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロアントラキノン(F8AQ)の合成法について再検討した。従来報告されていたテトラクロロフタル酸無水物とフッ化カリウムによる一段での合成法はオートクレープ中における反応では高純度F8AQは得られず,その精製も困難であるのに対し,常圧下,通常のガラス製フラスコを用いた合成と昇華精製を組み合わせ,さらにスルホラン溶媒中で徹底フッ素化を行なうことにより純粋なF8AQを比較的簡便に合成できることを見いだした。またF8AQを出発物質としてアンモニアによるアミノ化反応を試み1-アミノペルフルオロアントラキノン,2-アミノペルフルオロアントラキノン,2,6-ジアミノペルフルオロアントラキノンを合成することができた。このアミノ化反応においてトルエン中,高温(110℃)ではα-位配向性,低温(-35℃)ではβ-位配向性であることを見いだした。
  • 竹内 義雄, 村山 敦浩, 萩 徹, 小泉 徹
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2029-2033
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    同一炭素原子に複数の官能基が直結した構造を有する多重官能性炭素化合物の合成研究の一環として,将来含フッ素化合物を合成するためのビルディングブロックとして利用可能な新規四官能性炭素化合物であるα-フルオロ-α-ニトロ-α-(アリールチオ)酢酸エステル類[6a~c]の合成法を開発した。
    ニトロ酢酸エステル[1a,b]のカリウム塩[3a,b]にアレーンスルフェニルクロリドを作用させたところ,高収率で新規三官能性炭素化合物[4a~c]が得られた。アリールチオ体[4a~c]のカリウム塩[5a~c]にフッ化ペルクロリルを反応させることにより,目的とした含フッ素四官能性炭素化合物[6a~c]を得ることができた。また,ニトロ酢酸エステル[1a,b]をまずフッ素化してフルオロニトロ酢酸エステル[7a,b]となし,このカリウム塩[8a,b]に対してアレーンスルフェニルクロリ下を作用させる経路からも[6b,c]を得ることに成功した。
  • 高原 孝郎, 久永 順郷
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2034-2039
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素とウラシル環をもつ化合物の酢酸中における反応は二つの5,6-ジフルオロ付加体が生成しそれが溶媒である酢酸と反応し4種の付加体となる。
    これらの付加体を19F-NMRで追跡し経時変化を求めた。
    しかし,シトシン環をもつ化合物では付加体は検出できなかった。ウリジンの付加体を安定な6-アミルコキシ付加体に変え分離した。[1F],[3F],[12F]はフッ素化時の溶媒を[1F]はフッ化水素酸,[3F]と[13F]は酢酸を用い[3F]と[12F]は原料として保護基で修飾したウリジンを使い付加体をフッ化水素酸またはアミンで処理することで[2F]と[4F]はフッ素化時の溶媒を[2F]はフッ化水素,[4F]は酢酸-フッ化水素の混合物を使うことで収率よく得られることが明らかとなった。
  • 関 復華, 小林 直樹, 渡辺 和子, 伊藤 清隆, 荒木 洋之助, 石戸 良治
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2040-2047
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3,5-トリ-O-ベンジル-D-リボフラノース[1]を石川試薬(ヘキサフルオロブロペンージエチルアミン)で処理することによって2,3,5-トリ-O-ベンジル-α-および-β-D-リボフラノシル=フルオリド[2α]および[2β]がそれぞれ21.4%および63.8%で得られた。[2α]あるいは[2β]とイソプロペニル=トリメチルシリル=エーテル[3]乏を微量の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを触媒として反応させると両者とも高収率高選択的に(2,3,5-トリ-O-ベンジル-α-D-リボフラノシル)アセトン[4α]を与えた。[4α]は三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートと長時間処理すると[4β]に異性化し[4α]:[4β]=1:2.5の混合物を与えた。さらに[2β]と[1]あるいは2,3,5-トリ-O-ベンジル-1-O-トリメチルシリル-β-D-リボフラノース[6]とを三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを触媒として反応させることにより高収率で2,2ノ,3,3ノ,5,5'-ヘキサ-O-ベンジル-(β-D-リボフラノシル=β-D-リボフラノシド)[5β]を与えた。その他,関連した選択的リボフラノシル化反応について述べた。
  • 石原 孝, 関 敏男, 山中 亨, 安藤 貞一
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2048-2050
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fluorinated α-oxoketene dithioacetals [3] were synthesized in moderate yields by the Lewis acid-promoted reaction of a variety of ketene dithioacetals [1] with hexafluoropropene (HFP)-amine adduct [1a] and/or [1b], derived from morpholine or diethylamine. The use of morpholine adduct gave more satisfactory results than that of diethylamine adduct. Among the Lewis acids employed, boron trifluoride-diethyl ether complex was the most effective for the reaction. The present reaction is strongly subject to steric hindrance caused by the alkyl group on the olefinic carbon atom in [2].
  • 園田 浩, 園田 高明, 小林 宏
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2051-2053
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Reactions of pentafluorophenyltrimethylsilane [1] with bis(2, 2'-bipyridine)copper(II)fluoride [2] were examined under various conditions. (Table 1) The reactions gave pentafluorobenzene [3] along with decafluorobiphenyl[4]
    The addition of benzaldehyde into the reaction mixture did not differ the results, giving no adduct of benzaldehyde. The addition of iodobenzene and copper powder yielded pentafluorobiphenyl [5] in addition to [3] while no [4] was produced at all. Without copper powder the reaction afforded the mixture of [3], [4], Cali and [5]. The choice of solvents affected the selectivity of products. These products were conceivably produced under mild conditions via pentafluorophenylcopper(II) [6] and -(I) [8] as illustrated in Scheme 1.
  • 石綺 孝義, 鈴江 清吾, 入倉 勉
    1985 年 1985 巻 10 号 p. 2054-2056
    発行日: 1985/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Reaction of 2, 3, 4, 5-tetrafluoro-1-nitrobenzene [4] with N-(ethoxycarbonyl)piperazine in aqueous ethanol gave 4-(4-ethoxycarbonyl-1-piperazinyl)-2, 3, 5-trifluoro-1-nitrobenzene [5] in 89% yield, which could be quantitatively converted into its 2-cyclopropylamino derivative [6]. Malonate [7] prepared from [6] and diethyl ethoxymethylenemalonate in 73% yield, was cyclized in the reaction with acetic anhydride and conc. sulfuric acid, accompanying elimination of the nitro group, to give [8] in 41% yield. Saponification of [8] gave quinolonecarboxylic acid [3] which possesses potent antibacterial activity both in vivo and in vitro, in 92% yield.
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