日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1986 巻, 12 号
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  • 見城 忠男, 清水 一志
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1705-1709
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銀または活性炭粉末をポリ(テトラフルオロエチレン)で結着した多孔質ガス拡散電極を作製し,その酸素電極としての性能(限界電流を尺度として)を電極触媒層の厚さを変えて調べた。限界電流はある一定の厚さまでは厚さの増大につれて直線的に増大するが,その厚さを越えると広い厚さ領域にわたってほぼ一定値を示した.このことから触媒層中に一定の幅をもつ反応帯の存在が示唆された。反応帯の位置を確認するため,液側とガス側にそれぞれ活性炭層および銀層を重ね合わせた多重層電極を作製し,その分極特性と,活性炭または銀単一層からなる電極の特性を照合した。その結果,反応帯は液側界面に接して存在し,その幅は活性炭電極で約0.2mm,銀電極では約0.1mmであると推定された。触媒層がこの反応帯の幅以上に厚くなるとガス拡散抵抗が増し,性能に悪い影響を与えることがわかった。
  • 尾関 寿美男, 金子 克美, 井上 勝也
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1710-1714
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    FeCl3とFe2(SO4)3とを種々の割合(f≡100×FeCl3/(FeCl3+Fe2(SO4)3)(mol%))で含む混合水溶液の加水分解によって得られる生成物のNO吸着を,2種の動的方法(パルスおよび流通法)と静的方法(重量法)とによって調べた。f=55%以下ではジャロサイトが,f=80%以上ではβ-FeO・(OH)が得られ,その間の60~75%ではそれらの混合物が得られた。NO吸着量のf依存性は,3種の吸着法ではぼ一致し,f=75%と95%とで吸着量は極大となった。f=75%で得られる生成物中のジャロサイトはきわめて薄片化していること,また,f=95%から生じるβ-FeO(OH)は針状で,比表面積が通常の紡錘形β-FeO(OH)にくらべて大きい(170m2・g-1)ことが,高吸着量の原因と考えた。NO吸着能を3種の吸着法から得られる吸着量の比較によって考察した。
  • 本名 幸作, 市川 宏, 溝上 恵彬, 杉本 道雄
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1715-1720
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3-ジメチルアダマンタン(DMA)は二つの官能基をもつ合成中間体の原料として,有用である。石油化学製品を出発原料とするDMAの新しい合成法を探索した。その結果,DMAの新しい合成経路として,エチレンとシクロペンタジエン(CPD)から容易に合成されるノルボルネン(NB)とCPDを出発原料とする方法を見いだした。まず,NBとCPDから,Diels-Alder反応によって,四環式化合物であるテトラシクロ[6.2.1.3,6. 02,7]ドデク-4-エン(TCDD-ene)を合成(230℃収率78%),ついで,二重結合を水素化し,テトラシクロ[6.2.1.3,6. 02,7]ドデカン(TCDD)を合成し,DMAへの水素化転位反応原料として用いた。TCDDの水素化転位反応において,金属(Pt-Re-Ni)担持希土類交換Yゼオライト触媒は,H-HCl(5%)混合ガスの共存下で,高活性(250℃転化率99%,アダマンタン類収率66%)を示した。TCDDのひずみエネルギーは,アダマンタンへの転位反応原料に用いたトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(TCD)よりも大きいにもかかわらず,本反応において,アダマンタン骨格への選択性が高かった。中間体として,生成する三環式飽和炭化水素のひずみエネルギーが,TCDのひずみエネルギーよりも小さく,中程度であることが,アダマンタン類への選択性が増大した原因であると推定した。
  • 吉村 昌弘, 横川 善之, 宗宮 重行
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1721-1728
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一連の3R2O3・Ta2O5(R3TaO7,R=希土類)を,(1)1350,1700℃の固相反応,(2)融解後,放冷,(3)融解後,超急冷,および(4)超急冷物の1350℃および1700℃におけるアニールにごよって合成した。R3TaO7はR3+のイオン半径がR=Laから次第に小さくなりTa5+のイオン半径に近づくにつれ,ウェバライト型(空間群CmcmまたはC2221)から擬立方晶を経てパイロクロア型立方晶・蛍石型立方晶と結晶の対称性が高くなった。R=Hoでは1350℃と1700℃の間に相転移があるが・それよりRのイオン半径の大きいものは1700℃以上,凝固点以下に相転移があると思われる。またR3・TaO7は融解後超急冷すると無秩序化するがRとTaのイオン半径差が大きくなると完全な無秩序化は困難であつた。
  • 小沢 利之, 長沼 健, 井上 昭, 田村 和利
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1729-1735
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピロリン酸がリン酸カルシウムに対して媒晶剤的作用のあることに着目し,リン酸一水素カルシウム無水和物の生成におよぼすピロリン酸の影響を検討した。ピロリン酸の存在は生成するリン酸一水素カルシウム無水和物の(111)の成長抑制に大きく作用し,粒子径および形状に影響をおよぼして,凝集塊を生成させることがわかった。ピロリン酸の添加量が多くなるほど,また,添加時期が遅くなるほど一次粒子径は小さくなるが,逆に二次粒子としての凝集塊は大きくなった。結晶生成直後のSEM写真から,凝集塊としての生成が確認された。また,中和反応のpH変化からピロリン酸量の増加とともに一次粒子が小さくなる理由を考察した。ピロリン酸の存在下でリン酸濃度および反応温度を変化させると,それぞれの条件によっていろいろな大きさの一次粒子をもつ凝集塊が生成し,そのさい,一次粒子の大きさとタップ密度との間には相関のあることがわかった。以上から,さまざまな大きさの一次粒子からなる凝集塊状リン酸一水素カルシウム無水科物を得ることが可能となった。
  • 大隈 信行, 内田 修司, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1736-1741
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    粒状および針状の酸化亜鉛微粒子を空気中350から700℃ の温度で熱処理したときの表面吸着水の変化を示差ガス熱分析により検討した。その結果,熱処理により,表面ヒドロキシル基が減少して,80℃付近で脱離する吸着水が増加するのが観察された。さらに(001)表面の多い粒状粒子では,500℃ 付近で脱離する孤立ヒドロキシル基のピークが低温側に移動して,400℃ 付近で脱離する結合力の弱いヒドロキシル基が生ずるのが認められた。これにたいし(100)表面の多い針状粒子ではこのヒドロキシル基は観察されなかった。これから,400℃ 付近で脱離する結合力の弱いヒドロキシル基は水素結合ヒドロキシル基のそれでなく,熱処理により格子位置の変化が生じた表面亜鉛イオンに解離吸着したヒドロキシル基であると推察した。
  • 石野 二三枝, 宗森 信
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1742-1745
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1×10-3~2×10-3mol・dm-3のヨウ化物イオンが共存する水銀(II)試料液に5×10-3mol・dm-3の硝酸ビスマス(III)を加えてヨウ化ビスマス(III)を生成させた。この赤色懸濁液に水酸化ナトリウムとアンモニア水を滴下してpH8~9に調節し,かきまぜて水銀(II)をほぼ100%共沈させた。炉別した沈殿に少量の硝酸を添加した6mol・dm-3硫酸を加え,80℃に加熱してヨウ化ビスマス(III)を昇華させて除去したのち,この硫酸溶液中の水銀(II)を還元気化原子吸光光度法で測定した。20倍に濃縮した場合の平均回収率は95.7%(n=10)であった。塩化物イオン,臭化物イオン,硫酸イオン,リン酸イオンの1×10-3mol・dm-3以上の各イオンと1×10-6mol・dm-3のシアン化物イオンが共存する場合は妨害した。
  • 葛谷 昌之, 野口 章公, 横田 尚久, 奥田 高千代, 戸田 芙三夫, 田中 耕一
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1746-1753
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,1,6,6-テトラフェニル-2,4-ヘキサジイン-1,6-ジオール(TPH)に対する2-ピリドン類〔1〕およびその1-メチル体〔2〕の被包接能とその置換基効果を検討した結果,溶液中,互変異性平衡を有する〔1〕の包接互変異性体はピリジノール型の存在率の高い6-位極性置換体も含めてピリドン型であり,その分子組成比はいずれの置換体においてもTPH:〔1〕=1:2であった。一方,〔2〕においては,〔1〕と比較してその被包接能は低いがより広範な化合物群において被包接化が認められるとともに1:1の組成比の錯体も得られた。また,〔1〕と〔2〕ではその置換基効果に大きな違いが見られた。包接結晶に対する光照射は,〔1〕においては非置換体〔1a〕を除き効率よく光二量化物を与えなかったが,〔2〕においては多くの置換体において効率よく光二量化物を与えた。被包接能およびその固相光反応性に対する置換基効果は,2-ピリドン類とTPHとの水素結合構造を含めた包接構造の特徴と大きく関連していることが明らかとなった。
  • 木島 一郎, 分島 郁子, 佐々木 徹
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1754-1757
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アンチモン化合物は高分子難燃剤として,また,抗菌性医薬の原料として有用な化合物である。種々のアツチモン化合物の合成原料として利用しうるトリイソシアナトアンチモン[Sb(NCO)3]を安価でしかも温和な条件下で合成する方法を開発する目的で,種々の添加剤の存在下での塩化アンチモン(III)と(SbCl3)とシアン酸ナトリウム(NaOCN)との反応を検討し,さらに得られたSb(NCO)3のアミンやアルコールおよびフエノールに対する反応性についても検討した。
    13種の添加剤について検討したが,NaOCNの有機溶媒に対する可溶化を促進すると同時にSbCl3にも作用し,Sb-Cl結合を活性化しうる添加剤(THF,CH3CN,ジオキサン)がとくに顕著な効果を示した。
    Sb(NCO)3とアミン(RR'NH)との反応では,いずれのアミンも容易にSb(NCO)3のイソシアナト基に挿入付加反応を起こし,相当するトリウレイドアンチモン[Sb(NHCONRR')3]を与えた。
    一方,アルコール(ROH)やフェノール(PhOH)との反応では,いずれも容易に置換反応を起こし,根当するアルコキソまたはフエノキソアンチモン[Sb(OR)3またはSb(OPh)3]とカルバミド酸エステルを与えた。
    分子内にジエチルアミノ基を有すエタノールとSb(NCO)3との反応ではイソシアヌル酸の生成が確認されたことから,アルコールやフエノールとの反応と同様に置換反応のみが起こっているものと考えられる。
  • 小山 徹, 奈良原 俊和
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1758-1764
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジメチルスルポキシド[DMSO]溶媒中,1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾール[B]および水存在下フェニルイソシアナート[PI]とグリシジルフェニルエーテル(2,3-エポキシプロピル=フェニル=エーテル)[GPE]を加熱すると,まず,水とPIが反応し,1,3-ジフェニル尿素[DPU]が生成する。その後,誘導期間を経たのち,PIの三量化反応が起こり,トリフェニルイソシアヌラート[TPI]が生成する。このPIの三量化反応を速度論的に検討した。反応はPIに関して一次で進行する。見かけの速度定数kとDPUとの間にk=O.023×[DPU]+0.019なる関係が成立することからPIの三量化反応はで表わされる。
  • 青山 肇, 草柳 賀一, 四辻 美奈子, 北山 功, 山口 友伸, 児玉 勉
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1765-1770
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5-フルオロ-2'-デオキシ-β-ウリジン〔5〕の合成法について検討した。
    Brφnsted酸の存在下,5-フルオロ-2,4-ビス(トリメチルシリルオキシ)ピリミジン〔1〕は立体運択的に3,5-ビス[O-(p-クロロベンゾイル)]-2-デオキシ-α-D-リボフラノシルクロリド〔2〕と反応し,3,5なビス[O-(p-クロロベンゾイル)]-5-フルオロ-2'デオキシ-β-ウリジン〔3〕を高収率で与えた。反応生成物の立体異性体の比率は添加されたBrφnsted酸の種類により変化し,p-ニトロフェノールの存在下では,〔3〕は92%の収率で得られた。β-立体選択性は,モル比〔1〕/〔2〕を上げることにより増加し,下げることにより減少した。一方,この反応に極微量の塩化鉄(III)を存在させると,β-立体選択性は低下し,その値は塩化鉄(III)の濃度に逆比例した。〔1〕と〔2〕との反応はSN1とSN2との両反応機構を経由して競争的に進行し,この反応速度比がβ一立体選択性を定めていると思われる。〔3〕にアンモニア/メタノール溶液を作用させることにより,反応および単離精製が容易になり,高収率で〔5〕が得られた。
  • 小沼 健治, 長谷川 博俊, 板橋 国夫
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1771-1777
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゾオキサゾール,o-アミノフェノール,O-,m-メトキシフェノールおよび0-,m-,p-メトキシベンゼンチオールを硫化モリブデン(VI)触媒とともに200~320℃で加圧水素化し,酸素化合物におけるベンゼン環炭素一酸素結合の開裂の様相を対応する硫黄化合物の炭素一硫黄結合の場合と比較検討した。ベンゾオキサゾールの水素化分解では複素環のメチン基の脱離が容易に起こり,o-アミノフエノールが主生成物となった。o-アミノフエノールの水素化分解では炭素一酸素結合と炭素一窒素結合の開裂がほぼ同程度に起こり,前者の結合の開裂に対してアミノ基の影響は認められなかった。またo-メトキシフェノールにおけるメトキシル基もヒドロキシル基酸素一炭素結合の水素化開裂に対してほとんど影響をおよぼさなかった。一方,メトキシベンゼンチオールにおける炭素硫黄結合の開裂しやすさは,オルト体=パラ体≫メタ体の結果であった。オルト体では内部転移反応が先に起こるためメトキシル基の影響は認められなかったが,内部転移反応の起こらないパラ体の場合,メトキシル基は炭素-硫黄結合の水素化開裂をいちじるしく促進することがわかった。
  • 岸本 諭, 宮脇 和彦, 大串 恒夫, 平嶋 恒亮
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1778-1781
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種の非水溶媒中で1-ナフトールとp-ニトロベンゼンジアゾニウム=テトラフルオロホウ酸塩を20℃で反応させ,生成する異性体比におよぼす溶媒の影響を調べ,反応機構を推察した。メタノール,エタノール,1-プロパノールおよび酢酸のような極性の大きいプロトン性溶媒中での2-アゾ色素の生成比は3~5%と小さく,一方,ベンゼン,トルエン,シクロヘキサン,ジクロロメタンおよび四塩化炭素のような極性のきわめて小さい非プロトン性溶媒中では13~30%と比較的大きな値となった。これは反応が水溶液中と同様のSEAr機構で説明され,すなわち4-アゾ色素生成における塩基触媒効果が非常に大きいために塩基性の大きい(極性の大きい)プロトン性溶媒で4-アゾ色素生成量が増加し,塩基性の小さい(極性の小さい)非プロトン性溶媒で4-アゾ色素生成量が減少するためと解釈された。
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 遠藤 敏郎, 渥美 みはる
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1782-1787
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-4-アニリノ-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン(AAIT)と種々の酸無水物との反応により,2-アセチルアミノ〔1〕,プロパノイルアミノ〔2〕,ブタノイルアミノ〔3〕,ヘキサノイルアミノ〔4〕およびオクタノイルアミノ〔5〕-4-アニリノ-6-イソプロペニル-1,3,5-Fリアジンを合成した。α,α'-アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として〔1〕~〔5〕の単独重合およびスチレン,メタクリル酸メチル(M1)をコモノマーとする共重合を行ない,共重合パラメーターを決定した。モノマー反応性比はいずれをコモノマーとしても,r1<1,r2>1の結果を得た。
  • 盛 秀彦, 大橋 二也, 藤村 義和, 武山 善信
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1788-1791
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ボスホン酸ジフェニルーホルムアルデヒド縮合樹脂にイミノ二酢酸を導入したキレート樹脂の合成を試み,その金属イオン吸着性および六価クロム吸着性について検討した。
    イミノ二酢酸の導入反応は80℃,2時間加熱することにより容易に行なわれ,イオン交換容量は1.9meq/g-R(乾燥樹脂)で,吸着速度および通液性にすぐれた樹脂が得られた。Cu2+イオンに対して低pH域で選択吸着性を示し,ほかの二価金属イオンからの分離が可能であった。また,同属金属イオンであるCo2+とNi2+イオンとの相互分離が1.0mol・dm-3酢酸でできることが見いだされた。本樹脂は耐酸化性に富み,硫酸溶液中のCr2O72-イオンの良好な吸着性を示した。硫酸濃度を低くすると高濃度のCr2O72-イオンの吸着処理が可能であり,また,吸着したイオンは0.3v/v%H2O2-0.1mol・dm-3NaOH溶液で100%回収できた。
  • 堀 隆博, 斎藤 恭一, 古崎 新太郎, 須郷 高信, 岡本 次郎
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1792-1798
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    中空糸状の多孔性ポリエチレン樹脂を基材とし,放射線グラフト重合法によりシアノ基を導入しグラフト率が79%から127%の4種類のアクリロニトリル樹脂を得た。それぞれをヒドロキシルアミン溶液と反応させてアミドオキシム型キレート樹脂を合成した。元素分析によりアミドキシム化反応における窒素導入量を求めたところ19基材あたり4.3mmo1から8.5mmolであった。導入された窒素の大部分はアミドオキシム基になっていると考えられる。基材において広範囲に分布する細孔半径は,グのラフト反応により分布が狭くなり1000Åあたりに集中した。19樹脂あたりの細孔容積は,2.5cm3/gからおよそ半分に減少したが,1g基材あたりの細孔容積はグラフト率とともに増大し,グラフト率が127%のとき4.5cm3/g-基材となった。比表面積は基材の場合30m2/gであるがグラフト率の増大にともなって減少し,グラフト率が127%のとき15m2/gとなった。アミドキシム化反応における窒素導入量に対し,塩酸および銅はいずれも1.5倍の吸着量を示した。IR測定の結果をも考慮して副反応による酸アミド,ヒドロキサム酸の生成を推定した。導入窒素1原子に対しウラン吸着量は0.64原子の割合であった。
  • 西村 淳, 小林 永年, 三宅 義和, 寺本 正明, 奥 彬
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1799-1802
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ヘキサデシルフランとマレイン酸無水物とのDiels-Alder付加物を低温で濃硫酸処理して,3-ヘキサデシルフタル酸無水物を得た。これにアンモニアを作用させてヘキサデシルフタルアミド酸アンモニウム塩を合成した。この塩をヘプタン溶液として水相(pH2から6)からの各種重金属イオンめ抽出を試みた。Hg2+> Cu2+> Pb2+> Cd2+> Co2+> Niの順に抽出されやすく,とくにHg2+イオンの抽出に有効であった。この抽出剤を金属イオンに対して5倍モル用いれば,どの場合も実験誤差範囲で100%金属イオンを抽出することができた。希酸(4%硝酸)による逆抽出も容易であり。さらに逆抽出後の有機層による重金属イオンの再抽出も可能であった。一方関連する化合物,3-ヘキサデシルフタルイミド,3-ヘキサデシルフタル酸無水物,ヘキサデシルフタル酸水素エチルを用いては,重金属イオンをヘプタンに抽出することはできなかった。
  • 白樫 高史, 柿井 一男, 栗山 光央
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1803-1809
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭,Hg2+および種々の配位子が共存する系からの水銀の気化量を測定し,活性炭によるHg(II)の還元反応について溶液内に存在するおもな化学種と対応させて検討した。[Hg(OAc)n](2-n)(n=0~4)錯体は遊離の水銀(Hg2+,Hg(OH2)と同様に還元された。[Hg(gly)2]錯体は中性付近では遊離の水銀より気化量は少ないものの,pH9以上では容易に還元された。EDTA錯体を形成した場合には活性炭の種類により還元されやすさは異なった。ハロゲン化物イオン,ピコリン酸あるいはシスティンと錯体を形成した場合には水銀の気化反応はほとんど認められなかった。これらの結果から,Hg2+イオンは種々の配位子と錯体を形成した場合にも活性炭によって還元され得ることが明らかとなった。また,活性炭による水銀の気化量は共存する配位子の種類,活性炭の種類およびpHによっても影響された。したがって,活性炭によるHg(II)の吸着除去あるいは吸着機構を検討する場合には,溶液中のHg(II)の溶存状態はもちろんのこと,活性炭による還元反応の有無についても考慮することが重要であろう。
  • 本名 幸作, 市川 宏, 飯田 博
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1810-1812
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A study was made of the synthesis of 1-ethyladamantane (Et-Ad) from adamantane (AdH)and ethylene over solid acid. Et-Ad is rearranged by the acid catalysts into 1, 3-dimethyladamantane (DMA). The typical solid acid such as silica-alumina (80: 20), was found to catalyze ethylation of AdH at 230-270°C. In the presence of hydrogen chloride, catalytic activity was found to increase (Et-A d Yield 14%). On the other hand, zeolite, exchanged with rare earth metals showed catalytic activity higher than silica-alumina in the AdH ethylation, and indicated the consecutive rearrangement of Et-Ad to DMA. t Rearrangement of Saturated Tricyclic Hydrocarbon on Bifunctional Cataly st. VI.
  • 小泊 満生, 佐藤 弘章, 吉冨 末彦
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1813-1815
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Alumina supported copper (II) bromide and chloride were found to be very effective for the halogenation of phenylacetylene. Reaction of phenylacetylene with alumina-supported copper(II) halide in carbon tetrachloride gave a mixture of monohalide, dihalide and trihalide. The ratio of the products depends heavily on the reaction conditions. As for chlorination using CuCl2/Al2O3, the reaction at 50°C for 0.5 h produced mainly 1-chloro-2 phenyl-acetylene, but α, β, γ-trichlorostyrene was produced predominantly from the reaction at 80°C for 3 h.
  • 菊池 康男
    1986 年 1986 巻 12 号 p. 1816-1817
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Polymer complexes composed of inorganic and organic and/or inorganic materials were prepare by mixing iron(III) hydroxide sulfate [Fe2(OH)n(SO4)3-n/2]m(PFS) with the potassium sulfate of poly(vinyl alcohol) (PVSK) and with the sodium tetraphosphate (TPP). The iron contents, reflectnig the PFS content, in each polymer complexes (PECs) prepared in PFS-TPP system are higher than that of the PECs prepared in PFS-PVSK system. Solubilities of the PEC in many organic solvents and the miscibil ity in the three-component system suggests a characteristic property of the PEC consisting of inorganic materials.
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