日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1986 巻, 2 号
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  • 松木 健三, 鎌田 仁
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルカリ水溶液中での酸素カソード還元の電極触媒として, ペロブスカイト型構造を有するLa0.6Sr0.4MnO3 と CaMnO3-xをとりあげ, カーボンを主体としたポリ (テトラフルオロエチレン) (PTFE) 結着型ガス拡散電極に混合して用いたときの電極触媒特性を, 9mol・dm-3NaOH,85℃中におけるカレントインターラプター法による分極測定と, X線回折, SEMおよびXPSなどによる電極のキャラクタリゼーションにより調べた。
    これらの複合酸化物はアルカリ水溶液中において, 化学的および電気化学的にも安定であり, ガス拡散電極の酸素還元に対する活性を高めるのに有効であった。La0.6Sr0.4MnO3と比較して, CaMnO3-xの活性の持続性は非常に大であった。
    用いるカーボンの種類によって, 複合酸化物の酸素還元に対する最適配合比が異なるが, この最適混合比において, カーボン粉とガス拡散電極との比表面積の差から求めたカーボンの比表面積損は, カーボンの種類に関係なく約50%であった。
    分極前後における電極のX線回折やXPS測定から, 酸素カソード還元のさいに, CaMnO3-xやLa0.6Sr0.4MnO3の電解液と接する表面の格子酸素が, カソード還元を受けて酸素欠損を生ずることが考えられた。
  • 青島 淳, 山口 辰男, 山松 節男
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    10%以上の高濃度12-モリブドリン酸 (PMo12) 水溶液を加温すると, MoO3を沈殿しつつ分解する現象があり, 実用触媒として用いる場合の問題となっている。本研究では, ラマンスペクトルと31P-NMRを用いた解析に基づき, この原因が, 水溶液中に18-モリブドニリン酸を生成することに密接な関係があることを明らかにした。さらに, この沈殿生成は適量のリン酸添加により, 抑止できることをみいだした。抑止効果は式 (1) の反応によることを示した。
    3H3PMo12O40+H3PO4⇔2H6P2Mo18O62 (1)
    式 (1) の反応は, 室温でも, 迅速に進む式 (2) の加水分解によって, 9-モリブドリン酸 (PMo9) が生成し, これが加温時に二量化する式 (3) の反応の2段階で進行すると考えると, よく説明できることを示した。
    3H3PMo12O40+H3PO4+12H2O⇔4H3PMo9O31(OH2)3 (2)
    2H3PMo9O31(OH2)3→H6P2Mo18O62+6H2O (3)
    一方, 12-タングストリン酸(PW12)は, リン酸を加えても, P2W18を生成しなかった。これは, リン酸存在下でもPW9を生成しにくいことに起因するものと考察した。
  • 青島 淳, 山口 辰男, 山松 節男
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高濃度水溶液中で, 12-モリブドリン酸 (PMo12) とリン酸は反応し, 9-モリブドリン酸 (PMo9) を生成し, これが二量化して18-モリブドニリン酸 (P2Mo18) になることが明らかにされてきた。高濃度水溶液中のこれら溶存種の定量法として, エテラート法を開発した。あわせて31P-NMRを,この種溶液の反応速度の解析手段として用い, 各反応の平衡定数, 速度式を求めた。
    PMo12とリン酸で, P2Mo18 を生成する反応は, 可逆的であり, その平衡定数は, 8.1×102(mol/dm3)-2(70℃), 反応熱は248kJ (発熱) であった。初期反応速度は, PMo12濃度に3/2次, リン酸濃度に1/2次に比例した。見かけの活性化エネルギーは27kJ/molであった。この結果はPMo12がPMo9になる過程は速やかであり, PMo9の二量化の過程が律速段階になることを反応速度論的に証明したものである。さらにPMo9の二量化反応が,初期にはPMo9の二次に比例することを実証し, 上記機構を確認した。この過程での平衡定数, 反応熱も同様の方法で測定した。
  • 酒井 睦司, 藤井 直, 岸本 敏子, 鈴木 健治, 榊原 保正, 内野 規人
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Ni(acac)2-Al2Et3Cl3-リン配位子触媒による1, 4-シクロヘキサジエンからシクロヘキセンへの選択的水素化において, 配位子としてトリフェニルポスフィン単量体の代りにホスフィン化高分子を用い, 不均一系における水素化を行なった。ホスフィン化高分子の調製法として, ホスフィノ基を有するρ- (ジフェニルポスフィノ) スチレンをスチレンと橋かけ共重合する方法と市販のポリスチレン樹脂を化学修飾する方法とを用いた。不均一系水素化反応において反応条件が均一系に近いほど水素化選択率は良好であり, 橋かけ度が高くなると選択率が悪くなった。また, ポリマー中のリン配位子の含有率と密度とが選択率に大きい影響を与えた。これらの実験結果を触媒活性種に関連づけて論議した。
  • 村木 秀昭, 福井 雅幸, 横田 幸治, 藤谷 義保
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    自動車排気モデルガスを用い, Yを含めた全希土類酸化物 (16種) を添加したPd触媒上でのNO還元反応について検討し, 以下の結論を得た。
    (1) Ceを除き, すべての希土類元素はNO転化率を向上させる。とくに, La, Pr, Nd, Smが初期ならびに耐久性に優れている。
    (2) 希土類添加によりH2-O2反応よりもH2-NO反応選択性が向上する。
    (3) 希土類添加によりNO吸着量が増加し, NOの解離温度が低下する。
  • 小林 悦郎, 新 重光, 岡部 清美
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 138-145
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    規則的な細孔をもつ無機高分子体を触媒, 無機イオン交換体などの機能性材料として提供するため, 種々のリン酸鉄を水熱反応で合成し, それらの特性を究明した。
    i)塩化鉄(II)とMH2PO4 (M=Na, K, NH4) との反応(P/Fe=6~8, 200~250℃)ではFe1.0-1.2M0.8-1.5H2.1-3.0(PO4)2が得られた。 原料鉄 (II) 塩の一部分は不均化反応で鉄を遊離し, 生成物は灰青色に着色した。ii)塩化鉄 (III) とMH2PO4との反応(P/Fe=8, 200~250℃)ではFeM(HPO4)2が得られた。iii)水酸化鉄(III)(FeO(OH))と85%リン酸と第三級アミン(R3N=(C2H5)3N,(C3H7)3N,(C4H9)3N)との反応(P:Fe:R3N=1:1:1,160,170℃)で黄褐色~灰緑色の生成物が得られた。その生成物はX線回折および分析値からFeIIFeIII(PO4)2(OH)2と含水酸化鉄との混合物であると考えられる。iv)FeCl3, NaH2PO4, NaOH, C12H28NBr(1: 1.5: 2~3: 0.2)との反応(160,179℃)で得られた生成物は,結晶調整剤としての第四級アンモニウム塩を含んでいなかった。v)C12H28NBr無添加のほかはiv)と同一条件で得た生成物のX線回折図形は, C12H28NBr添加の生成物のそれとまったく同じパターンを示し, 両生成物の組成はいずれもFeIII1.5 Na1.5(PO4)2・O.7-0.8 H2Oに近似した。反応生成物を希塩酸で処理し, 構造中のナトリウムを水素イオンに変え, さらにC3H7)3Nを作用させた生成物の第1d値はそれぞれ8.8°(10.04Å),8.3°(10.63Å),さらに8.9°(9.93Å)に変化した。生成物中のナトリウムが水素でイオン交換され, さらにアミンが結合していることは熱分析(TG,DTA)の結果からも示唆された。
  • 林 滋彦, 中田 隆二, 岡村 敏子, 古河 裕美, 小辻 奎也
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 146-151
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [N'-(ジチオカルボキシ)ヒドラジノカルボニルメチル] セファデックス (DH-Sephadex) のウラニルイオンに対する捕集挙動と捕集後の同イオンの回収について検討した。1×10-5mol・l-1ウラニルィオン溶液50mlを0.1gのDH-Sephadexと室温で30分間かきまぜると, 4.6~6.7のpH範囲でウラニルイオンは定量的に捕集される。硝酸ナトリウム, 塩化ナトリウムまたは臭化ナトリウムが1×10-1mol・l-1の濃度で共存してもウラニルィオンの捕集は定量的であるが, クエン酸ナトリウムやEDTAの共存は同イオンの捕集に強く影響する。5×10-7および5×10-8mol・l-1試料溶液1000mZを0.39のDH-Sephadexと室温で60分間かきまぜてウラニルィオンを捕集し, 母液を濾過管を通して吸引除去したのち, 濃硝酸にDH-Sephadexを加熱溶解してウラニルィオンを定量的に回収できる。また, 0.3gのDH-Sephadexを詰めたカラム中に, 1×10-6および1×10-7mol・l-1試料溶液500mlを流して捕集し, ついで濃硝酸または60%過塩素酸により溶離するか, あるいはカラム中でDH-Sephadexを濃硝酸に加熱溶解してウラニルイオンを定量的に回収できる。しかし, カラム法では試料溶液の流速をきわめて低くたもたねばならないため,バッチ法による捕集の方が勝っている。
  • 山元 公寿, 西出 宏之, 土田 英俊
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リチウムアルコラートを加えたジクロロメタンにアルカリと等量の2, 6-ジメチルフェノールを加え, これに臭化物イオンを添加し電解酸化する。3, 3', 5, 5'-テトラメチルジフェノキノンの生成が抑制されるとともにポリ[オキシ (2, 6-ジメチル-1, 4-フェニレン) ] が高収率, 高電流効率で得られることを見いだした。反応中間生成物として, 4-プロモ-2,6-ジメチルフェノールが生成すること, 重合にともない臭化物イオンが遊離して電解重合媒体として作用していることが明らかにされた。あわせて重合機構を解析した。
  • 星野 行男, 竹野 昇
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 157-164
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フラバノン[1]のDDQによる脱水素反応を乾燥ベンゼン中, 酢酸の存在下で行ない, そのときの反応速度をHPLC分析によって求めた。この反応はフラバノン濃度とDDQ濃度に関する二次反応として表わすことができ, そのさい見かけの二次反応速度定数, k2,aは酢酸の初濃度の1/2乗に比例し, さらにその対数は酸強度 (ρKa)にも比例することが明らかとなった。
    またフラバノンの2-位の側鎖フェニル基上に種々の置換基を導入した11種のフラバノン誘導体([2]~ [12])について同様な反応を行ない, 速度におよぼす置換基効果を検討した結果, k2,aは求電子置換基定数, σ+に対してすぐれたHammett型直線自由エネルギー関係を与え, 電子供与性基は反応を促進し, 求引性基は速度を減少させた。反応はキノールカチオンによるヒドリドィオン, Hの引抜き段階を律速とする二段階イオン機構に沿って進行するものと考えられる。
    Arrhenius-プロットから得た活性化パラメーターの検討の結果, この反応では等速関係劉が成立し, 算出された等速温度, β の値から反応がエンタルピー支配で進行することが判明した。
  • 吉永 耕二, 木藤 武利, 大久保 捷敏
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ラセミ体トリス (ナセチルァセトナト) コパルト(III) [Co(acac)3]錯体の動力学的光学分割を光学活性をアンモニウム支持電解質を用いた陰極還元によって行なった。反応は擬一次速度式にしたがい, 不斉選択性は作用電極への印加ポテンシャルの低下とともに増大し, -1.30V(vs.Ag/AgCl)において最大になった。また, 不斉選択性はキラル支持電解質の濃度および立体構造に依存し, (-)-N, N'-テトラメチレンビス (ジメチルメンチルアンモニウム) =ジペルクロラートを用いたとき各エナンチオマーに対する最大反応速度比1.10が得られた。さらに,[Co(acac)3]の還元と[Co(acac)3]の酸化を交互にくり返すパルス電解法についても検討した。
  • 増田 隆志, 村田 和久, 小林 敏明, 松田 昭男
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コバルト触媒による一酸化炭素と水素からのエチレングリコール(EG)の直接合成をトルエン中, 600から1800kg/cm2の圧力下で検討した。主たる反応生成物はEG, ギ酸メチル, メチルアルコール, エチルアルコールなどであった。
    エチレングリコールの生成活性および選択率は反応圧の増加とともにいちじるしく増大した。一酸化炭素分圧と水素分圧の増加はエチレングリコールの生成活性と選択率を向上させることがわかった。1800kg/cm2(H2/CO=1)の圧力下におけるエチレングリコールの生成活性は約250℃で極大値を示した。250℃を過ぎるとメチルアルコールとエチルアルコールの生成が顕著になった。エチレングリコールの選択率は触媒濃度の増加により向上し,約180mmol[Co2(CO)8]/lで極大値を示した。触媒濃度の高いところではメチルアルコールの選択率が増大した。EGの生成速度は経時的に低下し, この速度の低下はエチレングリコールの蓄積に基づくことがわかった。
    溶媒の影響について検討したところ, フェノールがエチレングリコールの生成に良好な溶媒であることがわかった。
    主たる生成物の生成機構について考察した。
  • 白岩 正, 吉田 裕一, 真島 公男, 黒州 秀基
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 177-185
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハμアセチル-DL-ノルロイシンのアンモニウム塩(DL-AM塩), メチルアンモニウム塩(DL-MA塩); エチルアンモニウム塩(DL-EA塩), プロピルアンモニウム塩(DL-PA塩), イソプロピルアンモニウム塩(DL-IPA塩), t-ブチルアンモニウム塩(DL-TBA塩)ならびに1, 1, 3, 3-テトラメチルブチルアンモニウム塩(DL-TMB塩)の優先晶出法による光学分割の可能性について検討した。融点でのラセミ体の生成自由エネルギーおよび融点の二成分系状態図から, これらのDL-塩のラセミ体構造を調べた結果, DL-TBA塩のみが融点付近でラセミ固溶体であり, そのほかのDL-塩はいずれもラセミ化合物を形成していることがわかった。しかし, DL-AM塩とD-AM塩との赤外吸収スペクトル, 溶解度の比較, そして溶解度の三成分系状態図から, DL-AM塩が室温付近ではラセミ混合物として存在することが示唆された。そこで, DL-AM塩の優先晶出法による光学分割を, メタノール, エタノール, 1-プロパノールならびに2-プロパノール中, 10または25℃で試みると, メタノール中では良好な結果を得られなかったが, いずれのアルコ一ル中においても光学分割は可能であった。さらに, エタノール中, 10℃と, 1-プロパノール中, 25℃とでDL-AM塩の交互分割を行ない, いずれの場合においても, 光学純度が90%以上のD-およびL-AM塩を得ることができた。また, 光学分割におよぼす溶媒の影響を調べるために, DL-およびD-AM塩のこれらのアルコール性飽和溶液の熱力学的性質について調べた結果, エタノール, 1-プロパノールならびに2-プロパノール溶液を正則溶液とみなすことができるが, メタノール溶液中では, メタノール分子とAM塩との聞にきわめて強い求引相互作用が存在することが示唆され, このような相互作用の存在はDL-AM塩の光学分割に対して好ましい影響を与えないと考えられた。
  • 橋本 穂, 平井 幹, 原 英毅, 周 宗華
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Poly[oxy-1, 4-phenyleneiminocarbonyl (3-carboxy-1, 4-phenylene)carbonylimino-1, 4-phenylene](PA)を有機溶媒としてN, N-dlmethylacetamide(DMA)を用いて低温溶液重縮合により合成した。このPAを加熱することにより得られるポリアミド-イミド(PAI)の機械的性質を向上させるために種々の実験を行なった。PAならびにPAIフィルムを恒温で冷延伸, 熱延伸することにより, PAIフィルムの機械的性質を向上させるのは困難であったので, PAフィルムに二通りの処理方法を適用した。1)フィルムをDMAIH20混合液(体積比50:50), 液温50℃中で延伸, ついで29.4MPaの張力下熱処理した。3倍延伸熱処理物(試料[6])の破断エネルギー, 引張弾性率, 破断強度の値はそれぞれ19.OMPa, 7.6, 0.471GPaであった。2)未延伸フィルムを2.9MPaの張力下(温度は室温から330℃ まで昇温速度16℃/minであげた)熱処理した。処理したフィルム(試料[5])の破断エネルギー, 引張弾性率, 破断強度は24.4MPa, 9.7, 0.549GPaであった。これらの値は未延伸PAIフィルム(試料[3])の2.7, 3.2, 3.8倍に相当する。試料[5]の空気中, 350℃, 1時間処理物の破断出ネルギー, 破断強度は12.4MPa, 0.472GPa(これらの値は[3]の同処理物の値にくらべて2.4, 3.9倍である)に減少したが, この結果は延伸, 熱処理物の耐熱性のよさを示している。
  • 平野 明, 筒井 哲夫, 斎藤 省吾
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 192-196
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    置換基の種類は同じであるが結合している部位の異なる3種類のピラゾリン誘導体(3-(1-ナフチル)-L5-ジフェニル-2-ピラゾリン, 5-(1-ナフチル)-1, 3-ジフェニル-2-ピラゾリン, 1-(1-ナフチル)-3, 5-ジフェニル-2-ピラゾリン)を合成し, それらをポリカーボネートに均一に分散させたフィルムで光電流およびTime-of-Flight法によりキャリヤーのドリフト移動度を測定した。その結果, ピラゾリン骨格の3-位にイオン化ポテンシャルの低いナフチル基を有する誘導体が同一の条件下ではもっとも光電流が大きく, またキャリヤーの移動度が高いことが明かとなった。
  • 杉浦 三千夫, 西田 学, 須藤 章
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    化学的に安定なフェナントレン環の2-位に, 極性の大きなアゾメチン基でベンゼン環と結合した新規な化合物である2-(4-n-アシルオキシベンジリデンアミノ)フェナントレン, および2-(4-n-アシルオキシベンジリデンアミノ)-9, 10-ジヒドロフェナントレンを合成し, その液晶性を示差走査熱量計ならびに偏光顕微鏡を用いて研究した結果, 広い液晶温度領域をもつことを知った。
  • 矢沢 哲夫, 田中 博史, 江口 清久
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 201-207
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    細孔半径を10~12nmと一定にして, 詳細孔容積を, 0.157~0.817cm3/gの範囲で変化させた6種類の多孔質ガラスを用いて, 水素, ベリウム, 窒素, メタン, 二酸化炭素, エチレンの透過分離特性を検討した。細孔容積が0.157cm3/gの多孔質ガラスの透過速度は, ほとんど測定できないほどわずかであった。細孔容積が大きくなるにつれて気体の透過速度は飛躍的に増大する。細孔容積が, 0.817cm3/gの多孔質ガラスでは, 水素の透過速度は1.88×10-7m3(STP)/m2・s・Paであった(膜圧:0.5mm)。この値は亀由らの報告した値の約500倍である。細孔容積が, 0.4cm3/gを超える多孔質ガラスを用いた場合, 気体は, 分子流の機構で透過する。細孔容積が0.4cm3/g以下の多孔質ガラスの場合, 二酸化炭素, エチレンについては若干表面流の透過機構がつけくわわる。低い空隙率を有する多孔質ガラスの細孔経路は非常に複雑である。
  • 杉山 和夫, 三浦 弘, 松川 明弘, 松田 常雄
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 208-210
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The liquid-phase hydration of acrylonitrile was carried out on the nickel oxide catalysts. The NiO(A) catalyst obtained by thermal decomposition of Ni(OH)2 in a stream of decarbonated dry air selectively gives acrylamide. On the other hand, the NiO(B) catalyst obtained by thermal decomposition of NiCO3·Ni(OH)2 gives the maximum amount of bis(2-cyanoethyl)ether and small amount of ethylene cyanohydrin together with acrylamide. The product distributions on the two NiO catalysts are similar to those of the acid-base-catalyzed homogeneous hydration of acrylonitrile in liquid phase. Therefore, the acid and base properties of the two NiO specimens were examined. The acidic property was observed on the NiO(A)catalyst, while the basic property was found on the NiO(B) catalyst. A good relationship between the catalytic activity including conversion and selectivity and the amount of acid or base on both NiO catalysts was found out.
  • 斎藤 保夫, 奥 信二, 織原 宏行, 鶴田 紀生, 照沼 康弘
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 211-213
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The influence of support in using the different sources (commercial ox ides, metal alkoxides, TiCl4, Ti(SO4)2) of metal oxides as supports (TiO2 (anatase), γ-Al2O3) and of the pretreatment of the oxides (evacuation at 773 K) on the activity of Pd catalysts has been studied to find a favorable catalyst for methanol decomposition to H2 and CO. The pretreatment by evacuation gave somewhat high surface area as well as high catalytic activity in comparison with that by no-evacuation. Catalytic activity (conversion to CO) increased as the surface area of these catalysts increased. The specific activity for TiO2-support was higher than that for Al2O3-support (Fig.1). The catalytic activity was found to be proportional to the degree of dispersion of Pd on both TiO2 and Al2O3 supports (Fig.2).
  • 磯貝 浩司, 坂井 淳一, 山内 恵司
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 214-216
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The catalytic hydrogenolysis of exo-7-aminobicyclo[4. 1. O]heptane [1], exo-6-aminobicyclo[3.1. O]hexane [2] and their N, N-dimethyl derivatives [3] and [4] was studied in order to investigate the regioselective behavior of the amino and dimethylamino groups on the cyclopropane ring hydrogenolysis. The catalytic hydrogenation was carried out over Pd-C or Raney-Ni in hexane for 24 h at room temperature under atmospheric pressure or at 80°C under 50 kg/cm2. The hydrognolysis of the cyclopropane ring occurred exclusively at the adjacent bond of the amino and dimethylamino groups. The hydrogenation of [1] and [2] was accompanied by the reductive alkylation to give secondary amines. A plausible pathway is presented.
  • 野村 正人, 藤原 義人
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 217-219
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The decomposition of 1, 8-cineol [1] with formic acid in the presence of A-4 and A-5 zeolites afforded predominantly α-terpineol [6]. The decomposition of 1, 4-cineol [2] with trichloroacetic acid in the presence of A-4 zeolite afforded predominantly β-terpineol [4]. The decomposition of [2] with formic acid gave 1-terpineol [7] with high selectivity (90% at optimum).
  • 円満字 公衛
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 220-223
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    T1s of protons of poly(ribouridylic acid) (poly(U)) were reduced by an addition of Mn2+. This phenomenon is considered to be caused by the dipole-dipole interaction between the proton and the electron spin of Mn2+. T1 minima were obtained from the temperature dependence of T1 of the complex, and the apparent distances between Mn2+ and the protons of poly(U) wer e estimated by substituting 1.59×10-9 s of which value is estimated from the relation that τc equals ωI-1. But if Mn2+ is assumed to bind to N(3), these estimated distances are longer than those which are estimated from Mn2+-proton distances presumed from the Dreiding model by the Bloembergen equation. The reason for this result is considered that a part of Mn2+ which binds to phosphate group chelates to N(3). It was found that O.28 of Mn2+binds to N(3) from the ratio of T1 estimated from the Dreiding model to T1 observed.
    τc of Mn2+-poly(U) complex at each temperature was eatimated from the: ratio of T1 at each temperature to T1 minimum. The comparison of these values with the τc of poly(U), which is obtained in the absence of Mn2+, indicates that the motion of poly(U) becomes slower in the presence of Mn2+ than in the absence of Mn2+.
  • 山本 忠弘, 中塩 幸泰, 大西 秀之, 広田 正義
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 224-226
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Although t-butyl 2-ethylperoxyhexanoate has been used industrially as an initiator for vinyl polymerizations because of its low risk of explosion, the decomposition rate and its reactivity toward vinyl monomers have not been reported so far.
    The rate constants of the first order decomposition were dete rmined in 16 solvents at 60°C. These values increased with an increase in the solvent polarity. The overall rates and the initiation rates of vinyl polymerizations were determined at 60°C. For the polymerization of styrene, the both rates were almost the same as those obtained by the experiment using benzoyl peroxide.
  • 中 昭廣, 西田 善久, 杉山 浩, 杉山 友男
    1986 年 1986 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 1986/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    To manufacture a coal water slurry(CWS) which is combustible without dehydration, a series of nonionic surfactants was synthesized from polyethylenimine (PEI nonionic SAA). Their abilities for the preparation of highly loaded CWS were examined using Tatung coal powder.
    The main findings are as follows.
    1) Using PEI nonionic SAA, Tatung coal CWS of high coal content (up to 69%) can be prepared (Table 1).
    2) When the molecular weight of polyethylene oxide per each side chain becomes about 5000, coal content in CWS becomes maximum (Fig.1).
    3) Abilities of O-[poly(oxyethylene)] polyhydric a lcohol to make highly loaded CWS are low (Fig.2).
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