日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1986 巻, 6 号
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  • 酒井 章吾, 井本 稔, 大内 辰郎, 大岩 正芳
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 739-744
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ab initio UHF MO(STO-3G)法によってC6H5COO・の平衡構造をもとめ, C6H5平面とCOO・平面とが直交し, COO・は2A'対称をもつものとした。すなわち不対電子の軌道はCOO・平面にあり, σ 電子ラジカルである。また電子総計63個なので, 不対電子をα-スピン状態として,ψα32が見かけのフロンティアαMOとなる。しかしそれはフェニル基のπ電子を容れている。ラジカル不対電子をもつ分子軌道はip2s(その対応βMOはψβ34)であることをそれぞれのMOの内容からきめた。またψα32~ψα36のαMOについて, それぞれの対応するβMOを定め, それぞれのMOのもつ電子の性質の種類を示した。
  • 田邉 博義, 福島 清太郎
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 745-750
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸素のカソード還元反応を10mA/cm2以上の実用的電流密度で行なう場合, 電極表面に過酸化水素が蓄積され電極特性に悪影響をおよぼす。本研究では過酸化水素が蓄積した系における電極の挙動を把握するため,厳密に表面処理されたグラッシーカーボン(GC)電極および白金を担持したGCを用い回転リング-ディスク電極法により6mol・dm-3KOH溶液中での過酸化水素の電極反応について検討を行なった。反応は一次反応で進行し, 接触分解速度を除き他の速度は電位依存性を示した。過酸化水素が十分蓄積した系において, 過酸化水素の全分解速度(k4+2k3)の電場に対する変化率は大きな電位依存性を示す複雑な挙動であるのに対し, 蓄積しない系におけるそれはほとんど変化をみせない単調な挙動であった。過酸化水素の電極表面に対する作用条件が系の速度特性ならびに安定性に重要な役割りを演じていることが考えられた。白金粒子を担持したGC電極は過酸化水素の分解に対し, より良好な速度特性を示した。担持された白金粒子とGC表面の相互作用によって形成された表面化学状態が電極の電気化学的触媒作用を向上させていることが示唆された。
  • 三浦 則雄, 清水 陽一, 山添 〓
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 751-755
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸素還元用炭素電極触媒としてLa0.6Sr0.4Fe0.6M0.4O3(M=Mn,Co)型の多成分系ペロブスカイト型酸化物が非常に有効であることがわかった。とくにLa0.6Sr0.4Fe0.6M0.4O3を40wt%添加したときの電極性能は非常に高く酸素還元に対する電流密度は-125mV(vs.Hg/HgO)(0.8Vvs.RHE)で1600mA/cm2もの値が得られた。この値はカーボン単独の場合の15倍であった。これらの多成分系複合酸化物は酸素の四電子還元(O2+2H2O+4e-→4OH-)に対する活性が高いだけでなく, 同時に過酸化水素の分解活性(HO2-→1/2O2+OH-)も高いことがわかった。電極の短期連続試験の結果,300mA/cm2の電流密度においてカーボン単独の場合は12時間後には劣化が生じ30蒔間後には破壊してしまったのに対し, La0.6Sr0.4Fe0.6M0.4O3を添加した電極では50時間安定に作動することがわかった。
  • 米村 道子, 関根 忠雄, 上田 壽
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 756-761
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハフニウムはチタンと同族元素であるので,三酸化ストロンチウムハフニウムには三酸化チタンストロンチウムと同じような光触媒活性が期待できる。三酸化ストロンチウムハフニウム粒子の表面の活性化を目的として, CS2雰囲気(13.3Pa, 900℃)およびO2雰囲気(105Pa, 600℃)中でおのおの30分処理し, かつこの過程を3回以上くり返す方法を行なった。酸化ニッケルを5wt%添加してからこのようにして活性化した触媒について活性の測定を行なったところかなりの効率で水-2-プロパノールの系および水-メタノールの系の光分解ができた。このような光分解は可視光(480~730nm)で可能であるが, その理由として,硫化・酸化処理により触媒粒子表面にSO2-が生成し,それがバンド構造を形成していることが考えられる。
  • 大場 昌明, 三木 康朗, 山田谷 正子, 杉本 義一
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 762-766
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサンおよびメチルシクロペンタンの水素化開環反応に対するコバルト-アルミナ触媒の選択性を研究した。反応は, 水素圧力10kg/cm2,温度230~300℃ の条件下で, 流通式装置を用いて行なった。メチルシクロペンタンはシクロヘキサンよりもほぼ30℃ 低い温度で反応した。シクロヘキサンからの主生成物はメタンであり, そのほかにC2~C6の直鎖および分枝パラフィン類, メチルシクロヘキサンおよびベンゼンが生成した。ヘキサン類では2-メチルペンタンが多く, 3-メチルペンタンは非常に少なかった。メチルシクロペンタンの反応では, 低温ではメタンとヘキサン類が多く生成し,高温になるにつれてメタンへの選択率が増大した。ヘキサン類では,2-メチルペンタンと3-メチルペンタンがほぼ等量生成した。シクロヘキサンの反応で生成した2-メチルペンタンおよび3-メチルペンタンは, シクロヘキサンの異性化によるメチルシクロペンタンの開環生成物と考えられるが,2-メチルペンタン/3-メチルペンタン比の値がシクロヘキサンの反応とメチルシクロペンタンとの反応で大きく異なったことから,気相から直接吸着したメチルシクロペンタンの活性化吸着種と, シクロヘキサンの異性化によって生成したメチルシクロペンタンの活性化吸着種とは構造が異なると考え,そのモデルについて考察した。
  • 安江 任, 小澤 聡, 荒井 康夫
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 767-770
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水道水の軟化, ボイラーのスケール防止, 焼セッコウやボルトランドセメントの凝結遅延に関連し, 水溶液中のカルシウム, マグネシウムイオンを封鎖することを目的として, クエン酸ナトリウ, ショ糖, ブドウ糖, ジグリコール酸などの錯形成能,錯イオンの組成を比較検討した。測定方法には濁度法, 金属指示薬法, イオン選択電極電位差法, 電気伝導度法を用いた。クエン酸ナトリウムおよび糖類のイオン封鎖能は測定方法によってかなり相違し, その理由を考察した。クエン酸ナトリウムはカルシウムイオンに対する封鎖能が大であり, たとえぽpH8.5での封鎖能は26.8g であるのに対してマグネシウムのそれは17.0g であった。本研究で確認した錯イオンのほとんどは結合比が1/1であるが, ジグリコール酸のカルシウム錯イオンにかぎり結合比は1/2であった。また, 錯イオンの多くはpH8.0~9.5の水溶液中でもっとも安定である。
  • 見田 敬介
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 771-774
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Co(dmgBF2)2(ビス(ジメチルグリオキシマト)コバルト(II)錯体をBF2でキャップした錯体, 図1)と過剰のトリブチルポスフィン(P(n-C4H9)3)(モル比で約1~6:1)を含むメタノール溶液は顕著なサーモクロミズムを示した。その溶液は, -20℃ 以上では紫色であるが, -40℃ 以下に冷やすと青色になり, その変化は可逆的であった。その溶液の可視吸収スベクトルの温度依存性から, 溶液の温度を冷やした場合に得られたスペクトルは, 溶液中のトリブチルホスフィンの濃度を高めた場合に得られるスペクトルとまったく同様であること潜わかった。溶液の可視吸収スペクトルおよびESRスペクトルの結果から, Co(dmgBF2)2-P(n-C4H9)3-メタノール溶液におけるサーモクロミズムは, CoII(dmgBF2)2・P(n-C4H9)3(紫色)とCoI(dmgBF2)2・P(n-C4H9)3(青色)の間の平衡に基づくものと推測した。またトリブチルポスフインの濃度変化にともなうスペクトルの変化も同じ平衡に基づくものと推測した。
  • 吉村 長蔵, 長谷川 太一
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 775-779
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中における酸ハロゲン化物のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)による伝導度滴定を行なった。また, 滴定時に共存する水分および無機酸などの影響もあわせて検討した。その結果, DMF中において塩化ブチリル, 塩化オクタノイルは, モル比で1:1の点に明瞭な変曲点が認められた。これらの反応は, 脂肪族ハロゲン化合物とEDTAの反応と同様に, EDTAの二つの窒素原子の付加反応と考えられた。また, 共存水分の量については, 10v/v%を越えると変曲点は消失した。同様に無機酸(硫酸,硝酸,塩酸など)の等モル比以上の共存は, 終点が消失した。ただし, 塩酸共存の場合は酸ハロゲン化物との合量が得られた。
  • 渋谷 勲
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 780-784
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゾイルフェニルアセチレンとチオアミド類を強酸の存在下で作用させて, 2-置換4, 6-ジフェニル-1, 3-チアジニウム塩類の簡便な合成法を見いだした。
    2-メチルチオ-4, 6-ジフェニル-1, 3-チアジニウム過塩素酸塩(1a)と各種の求核試剤との反応について検討した。
    活性メチレン化合物および第一級のアミノ基をもつ化合物は一般的にはチアジニウム環の2-位を攻撃し,メタンチオールを遊離して環外二重結合を有する生成物を与えた。一方, ヒドラジン,ヒドロキシルアミンなどの二官能性の試剤は4-および6-位を攻撃して3, 5-ジフェニルピラゾールおよび-イソオキサゾールを与えた。
  • 小林 知重, 飯野 幸生, 新田 信
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 785-791
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3-アリール-5-フェニル-2-イソオキサゾリンと[Mo(CO)6]との反応はN-配位[2-イソオキサゾリン]-[Mo(CO)5]錯体を経由し, おもに二つの経路kしたがって進行した。一つは, N-0結合開裂を経て1-アリール-3-フェニル-1-プロパノン, 1-アリール-3-フェニル-2-プロペン-1-オン, および1, 3-ジアリール-5, 8-ジフェニル-2, 6-ジアザビシクロ[2・2・2]オクト-3-エンを与える経路である。もう一つはN-OおよびC4-C5結合開裂にともない, ベンズアルデヒドと1-アリールビニルナイトレン錯体〔2〕を与える経路である。〔2〕は還元一加水分解によりアセトフェノン誘導体を与え, また二量化により2, 5-ジアリールピロールを与えた。さらに〔2〕は1-アリール-3-フェニル-2-プロペン-1-オンと環化縮合反応を起こし2, 6-ジアリール-4-フェニルピリジンを与えた。ピリジン生成の機構は, α-アジドスチレンとα・β-不飽和ケトンとの[Mo(CO)6]存在下における反応を検討し明らかにされた。また, 3-ヒドロキシ-1,3-ジフェニル-1-プロパノン=オキシムと[Mo(CO)6]との反応でも, 同様に2, 4, 6-トリフェニルピリジンが生成することを見いだした。
  • 影山 俊文, 吉田 幸生, 杉崎 俊夫
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 792-795
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    亜臭素酸ナトリウム(NaBrO2)が比較的安定であるアルカリ水溶液において第二級アルコールの酸化について調べた。
    NaBrO2の水溶液に微量の銅粉あるいは金属イオン(Cu, Cu(II), Ru(III))などを添加することによりNaBrO2が第二級アルコールに対して室温, 約3時間でほぼ化学量論的な酸化反応を示すことが明らかとなり, シクロヘキサノールから定量的にシクロヘキサノンが,1,3-シクロヘキサンジオールから2-シクロヘキセン-1-オンが得られた。
    アルカリ水溶液中で用いられる酸化剤は酸性溶液のそれと比較して数が少ないうえにNaBrO2を用いる酸化はその条件設定も簡単であり, NaBrO2の反応終了物は無公害のNaBrである。
  • 玉野 美智子, 纐纈 銃吾
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 796-800
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントロンと各種非遷移金属および遷移金属アミド(R2N)nM(M=As, Sb, Si, Ge, Sn, V, Nb, Ti or Zr, n=3or4), チオラート(RS)nM(M=As, Sb, Si, Ge or Sn, n=3or4)との反応を検討した。ヒ素, アンチモンの第5B族金属アミドでは二つのアミノ基が9-アントリルオキシ基により置換されたビス(9-アントリルオキシ)(ジメチルアミノ)アルシンおよびスチビンを与える。他方ケイ素, ゲルマニウム, スズの第4B族ではやはり二つのアミノ基が9-アントリルオキシ基に置換されたビス(9-アントリルオキシ)ビス(ジエチルアミノ)シラン,ゲルマンおよびスタンナンを与えるほか9-(ジアルキルアミノ)アントラセンをも与える。第4A,5A族金属アミドとの反応ではいずれも9-(ジアルキルアミノ)アントラセンのみを与える。チオラートでは遷移金属においては原料の合成が困難であるため非遷移金属チオラートの反応のみについて検討した。まず第4B族金属チオラートではケイ素とスズにおいてのみ反応が起こり, トリス(アルキルチオ)ホスフィンの場合とおなじようにアントラセンと9-(アルキルチオ)アントラセンを与える。ゲルマニウムチオラートではまったく反応が起こらない。第5B族のヒ素, アンチモンにおいてにリンの場合とは異なりアントラセンのみが低収率で単離される。
  • 玉野 美智子, 纐纈 銃吾
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 801-804
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントロン(9(10H)-アントラセノン)と第3, 4, 5族非遷移金属および遷移金属アルコキシド(RO)nM(M=Ge, Sn, Ti, Zr, Nb n=3, 4, 5)およびO=V(OR)3の反応を検討した。第4B族のテトラアルコキシゲルマン, スタンナンでは10-アルキルアントロン, 相当するアルコールおよび金属酸化物が得られる。第4A, 5A族のテトラアルコキシチタン, ジルコニウム, トリアルコキシバナジウムオキシド, ペンタアルコキシニオブとアントロンの反応ではアルコキシル基の種類にかかわらずアントラセンと9, 10-ジヒドロアントラセンが得られた。そのほかトリアルコキシボラン, アルミニウム, テトラアルコキシシラン, トリアルコキシアルシン, スチビンの反応を検討したがこれらの化合物はアントロンと反応せず, 金属アルコキシドの分解のみが見られた。
  • 榊原 保正, 大枝 健蔵, 酒井 睦司, 内野 規人
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 805-810
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    触媒量のNi(acac)2-Et3Al2Cl3-リン配位子(Ni: Al2=1: 10 mol比)の存在下における1, 5-シクロオクタジエン(1, 5-COD)の異性化について研究した。添加PPh3/Ni=O~3の場合には, トルエン中, 10~60℃ において1, 5-CODはすみやかに異性化し, ピシクロ[3. 3. 0]オクト-2-エン(BCO, 渡環生成物)が高選択率(90%~)で得られ, ごく少量の1, 4-および1, 3-COD(二重結合異性化物)が副生した。PPh3/Ni=6~10では, 反応はおそいが, 二重結合異性化物がかなり高選択率で得られた。17種のリン配位子の比較から, 配位子の電子的影響が認められた。配位子の電子供与性の減少につれて, 異性化速度および二重結合異性化物が増大し, ある種の亜リン酸エステル配位子では, 1, 4-CODが主生成物(選択率70%~)となった。一方, 配位子の立体的影響は認められなかった。
    速度論的には, BCO生成の総括速度式として, R=k[Ni]0[1, 5-COD]/(K+[1, 5-COD]), k=1013.6exp(-16300/RT)min-1, K=O.252mol・l-1(10℃), が得られた。活性化パラメーターはΔH=15.7kcal・mol-1, ΔS -6.6cal・deg-1・mol-1である。これらの結果および参考知見に基づいて, ヒドリドニッケル錯体を活性種とする反応機構を提案し, 実験結果について考察を行なった。
  • 大澤 善次郎, 黒田 英行
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 811-815
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムの光劣化に対する, 大気中から付着する発光種および発光種と考えられる多環芳香族化合物(PNA)のモデル化合物(ナフタレン, ビフェニル, アントラセン)の影響を検討した。さらに, HDPEからの抽出沈殿物およびその中に含まれている成分のモデル化合物である3-オクタノンと1-イコセンの影響を検討し, つぎの結果を得た.
    ヘキサンにより抽出処理したHDPEは,未抽出試料にくらべて光劣化に対する安定性はよいが, 大気中に放置し発光種を付着させてもその影響は認められなからた。PNAは大気中から付着される発光種と同程度の量を付着させても影響しないが, それより多く付着させるとHDPEの光劣化を促進した。しかし, 3-オクタノンは若干ながら促進するが, 1-イコセンはほとんど影響しなかった。
    以上の結果から, HDPEの光劣化に対して, 通常状態で大気中から付着する程度の量のPNAなどの発光種は影響せず, 抽出沈殿物中のカルボニル基や末端二重結合基をもつ成分以外の不純物が重要な役割を果していることが示唆された。したがって, HDPEの光劣化に対する不純物の影響は, つぎの順で少なくなる。
    抽出沈殿物>>>C=O>PNA≅-CH=CH2
  • 呂 戊辰, 袁 本鎮
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 816-821
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シァノ錯塩からのAg-Pd合金の電析において, NaAsO2の添加によって, それぞれの析出電位が貴に移行し, 析出電流密度が増加する。Ag-Pd合金の電析はAg+イオンの拡散支配でPdがAgと共析するが, Pd含有率は浴中のNaAsO2およびPd含有量の増加にともない上昇し, 浴温の上昇にしたがって減少する。さらに電流密度の低下およびかきまぜによってPd含有率が少なくなり, また, 高電流密度による水素ガス発生のため, 電流効率が低下する。走査型電子顕微鏡から, 電析皮膜は電流密度の増加とともに球状晶になり, Pd含有率が10wt%以下では, 小さな結晶の平滑な表面が観察された。
  • 野崎 亨, 池田 健, 矢野 征吾
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 822-824
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The catalytic dehydrogenation of butanols over the silica-copper(II) and -zinc(II), which were prepared by the precipitation method from homogeneous solution at pH 8, was compared with those of the catalysts prepared by usual coprecipitation method. Dehydrogenation took place selectively over the catalysts prepared by both methods. The catalytic dehydrogenation activities on the homogeneous catalysts were much higher than those on the coprecipitated catalysts, and the order of activity was Cu(II)>Zn(II), and 1-butanol>2-methyl-l-propanol>2-butanol.
    Kinetic studies using a flow reactor indicated that the dehydrogenation was of first-order irreversible reaction. From the Arrhenius plots the activation energies for the dehydrogenation of 1-butanol, 2-methyl-1-propanol and 2-butanol over the homogeneous silica-copper(II)were found to be 12.1, 16.0 and 41.2 kcal/mol·g, respectively.
  • 磯貝 浩司, 坂井 淳一, 山内 恵司
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 825-829
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The catalytic hydrogenolysis of cyclopropylamine [1] was studied in order to investigate the regioselective behavior of the amino group in the cyclopropane ring hydrogenolysis. The reaction was carried out over Pd-C or Raney Ni in heptane or methanol for 24 h at room temperature under the atmospheric pressure or at 70°C under 80 kg/cm2. The hydrogenolysis of the cyclopropane ring occurred selectively at the bond adjacent to the amino group and gave propylamine [4], accompanying dipropylamine [5], N-propylcyclopropylamine [6]and tripropylamine [7] formed by the subsequent reductive alkylation. The reductive alkylation proceeded more easily by the use of Pd-C than by Raney Ni. On the other hand, when the reaction was carried out over Pd-C in CH3COOH or H2O containing HC1 in equimolar amounts to [1], the hydrogenolysis occurred mainly at the bond opposite to the amino group and gave mainly isopropylamine [3].
    The observed differences seem to be ex plained by considering the predominant adsorbed states in the hydrogenolysis. The amino group behaves as an adsorbed group and causing the adsorption and the subsequent cleavage of the adjacent C1-C2 bond under the neutral conditions. On the other hand, under the acidic conditions, the hydrogenolysis of the opposite C2-C3 bond proceeds predominantly because the adsorption of the C1-C2 bond accompanying the ammonio group is sterically hindered by the ammonio group.
  • 阿部 芳首, 澤村 勝彦, 長尾 幸徳, 御園生 堯久
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 830-833
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Metal alkoxides such as titanium and zirconium tetraisopropoxide and tetraethoxysilane reacted with 2-hydroxy-4 (or 5)-X-substituted aniline (X=H, CH3, NO2) and salicylaldehyde or 2-hydroxy-l-naphthaldehyde to give metal(W) complexes of Schiff bases in excellent yields. The reaction provides a simple method for the preparation of these metal complexes without using Schiff bases.
  • 石山 純一, 専田 泰久, 今泉 真
    1986 年 1986 巻 6 号 p. 834-836
    発行日: 1986/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The stereoselectivity in the rhodium(I)-catalyzed reduction of 2-alkyl-substituted cyclopentanones and cyclohexanones with organosilanes was investigated. Relative amount of the more stable alcohol increased with bulkiness of organosilanes used, and the more bulkiness of 2-alkyl substituents produced the larger percentage of less stable of the two possible alcohols. The results were compared with those of the reduction by boranes and those of hydrogenation over platinum catalyst.
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