日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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1986 巻, 8 号
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  • 遠藤 邦彦, 田沼 涼子, 関根 明博, 嘉村 祐一
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1051-1054
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    亜硝酸プロピル,CH3CH2CH2ONOとその15N同位体種のマイクロ波スペクトルを18~32GHzの領域で測定し,既報のtrans,gauche,trans形のほかに,今回cis,trans,trans形{τ1(CO-NO)=0°,τ2(CC-ON)=180°,τ3(CC-CO)=180°}の振動基底状態におけるa型R枝およびb型Q枝遷移のスペクトルを帰属した。得られた回転定数を下記に示す。
    このcis,trans,trans形回転異性体のr0構造として,得られた回転定数をもっともよく再現するように,CONO部分の構造パラメーターを求めた。
  • 小林 裕幸, 小林 正明, 大野 隆司, 水澤 伸也
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1055-1058
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fe(III)-edta錯体を1,10-フェナントロリン(phen)溶液中でFe(II)-edtaに陰極還元し,このFe(II)-edtaとphenの配位子置換反応の反応速度を,回転リング-ディスク電極法ではFe(II)-edtaの消滅速度から,また分光電気化学法ではFe(II)-phenの生成速度から求め,両者の間によい一致をみた。この反応はphen濃度に関する一次反応で表わされた。Arrheniusプロットから得た活性化エネルギーと速度定数を検討した結果,立体障害になっている3番目のphen分子のFe(II)への配位がこの反応の律速段階になっていることが示唆された。
  • 前田 康久, 山中 康弘, 稲垣 道夫
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1059-1064
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の温度で熱処理した気相成長系炭素繊維およびPAN系炭素繊維の98%硫酸中での分極挙動を検討した。気相成長系炭素繊維は,すでに報告したメソフェーズピッチ系炭素繊維とほぼ等しい面間隔(d002)を示すが,サイクリックボルタンモグラムにぽ顕著な差異がみられた。高度な黒鉛結晶子配向を有する気相成長系炭素繊維では,黒鉛-硫酸層間化合物のステージ移行を示唆する明瞭なアノードピークの出現および層間化合物と酸化黒鉛の還元ピークの分離が認められた。黒鉛化度の低いPAN系炭素繊維では,明確なステージ構造をもった層間化合物が生成しにくいことが分極挙動から示唆された。電流上昇開始電位および電流ピーク電位の熱処理温度俵存性を各炭素繊維について調べた。
  • 米谷 道夫, 白石 正夫, 池庄司 民夫
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1065-1068
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカの付着する面をカソードとしてシリカ溶液を電解する新しいシリカスケールの付着防止法について実験した。本方法は溶液全体のpHを変化させることなく,シリカ付着面をカソードとする電解によってシリカ付着面の近傍のみpHを上昇させ付着を防止する方法である。非通電時に3.9mg/cm2・dの付着速度の条件下において電流密度0.1mA/cm2で電解を行なうと付着速度は1.8mg/cm2・dに低下し,1.0mA/cm2ではシリカの付着はほとんど進行しなかった。またすでにシリカの付着した面に対しても1.0mA/cm2で一時的に電解を行なうと付着していたシリカは脱離され,シリカ除去効果も確認された。なお,実験中液はかきまぜなかった。
  • 伊藤 義孝, 丸山 俊夫, 齋藤 安俊
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1069-1073
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スピネル構造をもっLiCoVO4を500から1000℃ までの範囲で焼成し,X線回折で格子定数を測ゆ定した。500℃ で焼成したものは8.291±0.001Å であったが,1000℃ で焼成した場合は8297±ゆO.OOIÅ であり,焼成温度が高くなるにつれてその値は大きくなった。この差異は,陽イオン分布が(COx V1-x)IV(LiCo1-xVx)VIO4,であるランダムスピネルで,高温ではxの値が大きくなる不規恥構造の変化によるものと考えられる。また,焼成温度の上昇にともなう格子定数の増大の割合がLiCoVO4はLiNiVO4より大きくなった。これは,四配位への位置選択エネルギーがCo2+イオンはNi2+イオンより小さいことによるものと推察される。1000℃ で100時間焼成したLiCoVO4とLiNiVO4の電気債導度を,450から1000℃ までの範囲で直流四端子法により空気中で灘定した。その値は温度の上昇にしたがって増大して半導体的挙動を示し,1000℃において両化合物ともlog(σ/S・m-1)≒2であった。電気伝導度のArrheniusプロットは,約800℃の上下でそれぞれ2本の直線で表わされ,高温域ではほとんど一致した直線となり,その傾きから活性化エネルギーは約2.7×105J・mol-1であった。また低温域においては,LiCoVO,では約4.1×104J・mol-1であり,LiNiVO4では約9.6×104J・mol-1であった。LiCoVO4とLiNiVO4の低酸素分圧下での安定性を,950℃ において熱重量測定で検討した。Li・CoVO4は酸素分圧がlog(Po2/atm)≒-13.2まで,またLiNiVO4は酸素分圧がlog(Po2/atm)≒Co-14 ・2まで,それぞれ安定であった。それ以下の酸素分圧で,LiCoVO4では3段階で,LiNiVO,では1段階で,それぞれ酸素1molに相当する重量減少を示した。これは両化合物ともV5+からV3+までの還元が行なわれるとともに,CoおよびNiが金属として分離するものと考えられる。
  • 蟻川 芳子
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1074-1078
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    岩石中の硫黄を硫化水素として抽出し,硫化物イオン電極を用いて吸収液中の硫化物イオン濃度を測定するきわめて簡便な定量法について検討した。粉末にした岩石試料をスズ(II)-強リン酸と280℃で25分間加熱溶解し,発生した硫化水素を水酸化ナトリウム,グリセリン,EDTA,L-アスコルビン酸の混合溶液に吸収する。この吸収液に硫化物イオン電極を浸して電位を測定し,硫化ナトリウム標準溶液を用いて作成した検量線から硫化物イオン濃度を求める。試料100mgを用いて岩石中の0.1~1000m(mg/kg)までの全硫黄を,硫黄含有量198ppmに対して変動係数1.88%で定量がpp 可能であった。工業技術院地質調査所により調製された岩石標準試料数種について全硫黄の定量を行なった結果,他法による定量値と良好な一致を示した。
  • 渡辺 勇, 柴田 則夫, 小瀬 豊, 高橋 三規
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1079-1083
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジベンジルジチオカルバミド酸ナトリウム(DBDTC)を用いて水中の微量モリブデンを沈殿濃縮し,蛍光X線分析で定量する方法を検討した。定量の諸条件をしらべた結果から得た操作法の概略はつぎのとおりである。すなわち,30℃ の試料溶液にpH3.0のもとでDBDTCを加えて沈殿を生成させる。これを15分間放置したのち,炉過分離し,蛍光X線分析に供試してX線強度を測定する。モリブデンに対するDBDTCの錯体形成能力は非常にすぐれており,回収率は99.5%以上であった。検量線はモリブデン濃度3~30μg/lの範囲で良好な直線関係が成立した。純水と海水にモリブデン標準溶液を一定量添加して作成した検量線は同じ勾配を与え,海水中の塩類はモリブデンの定量をまったく妨害しない。モリブデン10μg/lの試料溶液1lについて,10回のくり返し実験を行なったときの精度は標準偏差で0.21であり,変動係数で2.11%であった。本法を海水中のモリブデンの定量に応用し,良好な結果が得られた。
  • 野田 博行, 及川 和夫, 尾形 健明, 松木 健三, 鎌田 仁
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1084-1090
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化チタン(IV)やチタンテトライソプロボキシドを加水分解して得た含水酸化チタン(IV)について,示差熱重量分析とX線回折を行ない,100℃ から1000℃ までの各温度で焼成し酸化チタン(IV)(TiO2)とした。このTiO2のほかに市販TiO2および酸素欠損を有するTiO2-xについて,XPS,PAS,ESRなどによるキャラクタリゼーションおよび2-プロパノール(i-PrOH)水溶液中での光脱水素反応に対するこれらの酸化チタンの光触媒活性の評価に基づいて,これら酸化チタンの製法と物性との関連性について調べた。
    TiO2の結晶構造の違いによりXPSのO2Pノミンドスペクトルは変化するが,製法による差異は認められなかった。紫外・可視拡散反射スペクトルは結晶構造により変化し,吸収端は非晶質,アナタース,ルチルの順に長波長側に移行した。PASろペクトルに製法による違いが認められた。またこのスペクトルから420nmより長波長側で,アナタ一スの方がルチルより吸収が大きいことがわかった。アナタースとTiO2-xの光照射下におけるESRスペクトルの330mT付近に,光酸素還元により生成したと考えられるO2-イオンの鋭いシグナルが現われた。このシグナルの強さは製法により変化し,さらに酸素欠損x値とほぼ比例関係を示した。
    i-PrOHの光脱水素反応に対する光触媒活性は,白金担持したアナタースが高く,しかも結晶化度が高いほどより高かった。この触媒活性は白金担持方法によって大きな影響をうけることが考えられた。
  • 中森 建夫, 笠井 俊保
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1091-1095
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ナフトキノンの2,3-位にチアゾール環が縮合し,さらにベンゼン環に置換基を有する化合物を合成した。まず,2,3,5-[2],2,3,6-トリクロロ-1,4-ナフトキノン[3]を出発原料として,アミノ化,チアゾール環化し,クロロナフト[2,3-d]チアゾール-4,9-ジオン類[8]~ [11]を合成した。また,ナフ・ト[2,3-d]チアゾール-4,9-ジオン[1]のニトロ化を行ない,8-ニトロ体[14](主生成物)と5-ニトロ体[12]を単離した。さらに[12],[14]は還元し,それぞれ5-アミノ-[15],8-アミノナフト[2,3-d]チアゾール-4,9-ジオン[16]を得た。これらのスペクトルを類似の構造を有する化合物と比較しながら,縮合したチアゾール環の影響についても検討した。
  • 五島 正信, 林 隆俊, 江田 久美, 岡田 豊
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1096-1101
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    o-位にナトリウムオキシド基(-ONa)やカリウムオキシド基(-OK)をもつアリルフェニルエーテル類の反応性は未置換アリルフェニルエーテルのそれぞれ約1800および1000倍と,異常に高い反応性を示すとともにいちじるしく高いρ一転位生成率を示した。
    種々の実験結果から,メタルオキシド基(-ONa,-OK)は金属イオンがほぼ解離した状態で存在すると思われた。そめため,これらの置換基は
    (1)メタルオキシド基とエーテノを酸素間に生じる双極子相互反発
    (2)メタルオキシド基の強い電子供与能力
    の二つの反応促進効果をあわせてもつことができ,それらの効果が相乗的にはたらき,このことが上記アリルオキシフェノラート類の特異性の主原因になっていると判断された。
  • 坪井 正毅
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1102-1106
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化剤として過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を用い,ジエチルエーテル中でフェニルヒドラジンの酸化反応を行なったところ,生成物としてベンゼン[1],フェニルアジド[2],アニリン[3],ビフェ.ニル[4],アゾベンゼン[5],ジフェニルアミン[6]のほか,溶媒として用いたエーテルのβ-開裂により生成したと悪われるアセトアルデヒドフェニルヒドラジン[7a]およびエチル=1-(フェニルアゾ)エチル=エーテル[8a]が確認された。フェニルヒドラジンの酸化反応に治いて[2]が確認されたのは初めてであり,また芳香族系溶媒を除いて溶媒由来の生成物が得られたのも初めてである。
    さらに各種工一テル中で同様の実験を行なったところ,脂肪族エーテルの場合には,相当するヒドラゾンおよび1-(フェニルアゾ)アルキル=エーテルが得られ,芳香族エーテルの場合には芳香核置換エーテルが得られた。
    [2],[3]が生成していることなどから,本反応は,フェニルラジカルを経由するルートと,フェニルジアゼンの二量体を経て[2]とフェニルナイトレンへ開裂する経路で進行しているものと思われる。
  • 小郷 良明, 宮本裕 貴夫
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1107-1111
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    テトラリンによるMorwell炭の無触媒液化反応を,温度400~450℃,圧力20~60MPa,および反応時間4~20分で流通法によって行ない,実験結果を反応工学的に解析した。すなわち液状生成物を通常の溶媒抽出法によって未反応炭,プレアスファルテン,アスファルテン,およびオイノレの各成分に分定量し,それぞれの反応条件下における各成分収率の経時変化を求めた。これらにモデルによって別数学的に導出された速度式を適用してMorwell炭液化各素過程のみかけの速度定数を求め,主としてその圧力効果を既報のWandoan炭の場合と比較した。Morwell炭の液化過程には石炭から直接アスファルテンを生成する過程の寄与がかなり含まれるために,反応機構はWandoan炭のそれにくらべて複雑であるが,可溶化の初期過程はWandoan炭の場合よりも加圧によってかなり促進されることがわかった。これらの理由についても考察した。
  • 持田 勲, 大平 正人, 坂西 欣也, 藤津 博
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1112-1116
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    市販の5種の活性炭担持貴金属(Pd,Pt,Rh,Ru,Rh-Ru,担持率5wt%)触媒を用いるピレンおよびフルオランテンの選択的部分水素化を試みた。標準反応条件(250℃,H2反応圧50kg/cm2,6時間)で触媒スクリーニングを行なったところ,ジヒドロピレン[2],テトラヒドロピレン[5]についてはPd/C,ヘキサヒドロピレン[3],[4]については,Rh/Cがもっとも高い収率を与えた。これらの触媒を用いて最適条件を探索したところ,ジヒドロ体については,最大収率48%(Pd/C,200℃,H2反応圧kg/cm2,1時間),テトラヒドロ体[5]については,84%(Pd/C,150℃,H2反応圧70kg/cm2,16時間)が得られた。
    一方,フルオランテンについては,いずれの触媒を用いても,テトラヒドロフルオランテンが高収率(80%)で得られた。
    水素化生成物変化から,ピレンの水素化経路を提案した。さらに,貴金属の種類と生成物選択性との関連について議論した。
  • 吉井 善弘, 伊東 昭芳, 平嶋 恒亮, 真鍋 修
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1117-1121
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Friedel-Crafts反応によるo-キシレン,インダンとテトラリンのフェニルスルホニル化を行ない,反応温度と配向比(3-位/4-位)の関係を調べた。その結果,インダンの配向比は高温になるほど増加するが,o-キシレンとテトラリンでは減少した。log(3-/4-)と1/Tの関係から,o-キシレン,インダンとテトラリンの3-位と4-位の活性化エネルギー差およびエントロピー差はそれぞれ,-O.39kcal/mol,2.Oe.u./mol;0.16,-O.2;-O.31,-1.5であった。また,o-キシレンとテ- ドラリンには等速温度があり,それぞれ-81,-62℃ であった。これらの結果はo-キシレンとテトラリンのフェニルスルポミニル化は求めた配向比は等速温度より高い温度であること,インダンでは低い温度であることがわかった。また,o-キシレンとテトラリンの3-位にくらべ4-位の大きい反応性は塩化アルミニウムの強い酸触媒作用と3-位の脱プロトン化の塩基触媒作用の協奏反応機構で説明できることを明らかにした。
  • 形井 雅昭, 廻 治雄
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1122-1126
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハナヒリノキ(LeucothograyanaMax.)は古来有毒植物として知られ,4種の異なった骨格を有するジテルペノイドが単離されている。それらはgrayanotoxin類,grayanol類,grayatholおよびIeticothol類である。今回単離した5,10-seco-ent-kaurene型化合物[1]はgrayanol類と同じ三環性のジテルペノイドでカルボニル基おぶび三置換二重結合を十員環内に有している。[1]および[1]のジアセタート[2]は比較的温和な条件でgrayanotoxinII(Gtn-II)およびGtn-II-3,6-ジアセタートへ変換することができた。このことから[1]の構造を(3S,6R,14R,16R)-3,6,14,16-tetrahydtoxy-5,10-seco-ent-kaur-1(10)-en-5-oneと決定した。
  • 新井 義夫, 松田 弘喜
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1127-1132
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアノと1,10-フェナントロリン(phen)の混合配位子をもつコバルト(II)錯体が界面活性剤を含む水溶液中,水素雰囲気下でメタクリル酸メチル(MMA)の重合を開始することを見いだした。Co:CN:phenの比が1:1:1の錯体によるMMA重合反応を主に研究した。重合反応は水素雰囲気下においてのみ進行するので,この錯体の水素化物が重合開始種である。2,2'-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジルを添加すると重合反応が禁止された。スチレンとMMAとの共重合反応の組成曲線が通常のラジカル共重合反応のものと一致した。これらの結果に基づいて,MMAの重合はラジカル機構で進塞と考えられる。非イオン性のTween系とBrij系が重合に有効な界面活性剤であった。
  • 保利 一, 田中 勇武, 秋山 高
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1133-1138
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭に吸着した有機溶剤の定量および活性炭の再生が可能な溶剤の脱着法を開発するめ,ベンゼンを吸着した活性炭粒子で流動層を形成させて窒素気流中で加熱脱着を行なった。脱着特性の指標となる騨着特性曲線および脱着率と温度,流量,活性炭量,脱着時間および初期吸着量との関係について実験的に検討した。脱着特性曲線は異なる脱着速度係数をもつ二つの指数関数で近似することがでぎ,これらの係数は脱着温度にもっとも依存することが認められた。脱着率については脱着温度が高く,脱着時聞が長くなるほど高くなり,活性炭量が大きくなるとやや低下する傾向が見られたが,ガス流量にはほとんど依存しなかった。また,初期吸着量が大きくなるほど脱着率は高くなったが,残留吸着量に関しては初期吸着量の影響は顕著には見られなかった。
  • 内藤 龍之介, 内田 浩史, 宇佐美 四郎, 今井 徹
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1139-1144
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無水マレイン酸-イソブテン共重合体とポリエチレンイミンとから作られた複合樹脂(組成:N/COOH=1.79)に対する各種陰イオンの吸着性を比較した。測定された陰イオンのうち,6価クロムは単独での吸着性においても,またほかのイオンとの共存下における選択吸着性においても高性能を示し,本樹脂を用いることにより,pH<6の領域では水中に残存する6価クロムを0.03mg・dm-3以下まで除去できることをみとめるとともに,多量の共存塩類の存在する実廃水のカラム流通テストにより,6価クロムを同程度に除去できることを確認した。さらに測定された陰イオンのなかで6価クロムのみが,吸着温度が高いほど,吸着量が増加するという事実を見いだし,本樹脂が高温での6価クロム吸着に適していることをみとめた。一般の陰イオン交換樹脂が高温でのイオン交換性に問題があるといわれているのに対し,実用的な面からも注目すべき結果であると考える。これは樹脂の構造が一般の陰イオン交換樹脂と比較して耐熱水性にすぐれている点も寄与しているものと思われる。
  • 木島 剛
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1145-1146
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The intercalation of histamine (Hist) by α-zirconium hydrogenphosphate proceeds in three steps, resulting in the formation of a complex, Zr(HPO4)2(Hist)2·3H2O, in which the guest molecules are intercalated as a bilayer (12.6Å in thickness). γ-Zirconium hydrogenphosphate intercalates histamine in one step to form a complex, Zr(HPO4)2(Hist)0.6·1.5H2O, containing a monomolecular layer Of 4.9Å thickness in the interlayer space. The striking contrast between the intercalation behavior of histamine towards α- and γ-zirconium hydrogenphosphate is attributable to the difference in the bonding fo rce between the host matrices and the guest molecule, du, e to their structural characteristics.
  • 加田 好実, 渕上 寿雄, 野中 勉, 佐藤 則雄, 吉山 明子
    1986 年 1986 巻 8 号 p. 1149-1151
    発行日: 1986/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    New titanium electrodes coated with electroconductive Pb-Ti double oxides were prepared by the electrodepositiort of the oxides from alkaline solutions containing Pb2+ and Tl+ ions and found to be useful as practical anodes, at least for laboratory works. The electrodes showed characteristic product-selectivities which were different from those of conventional anode materials in the electrooxidation of organic compounds such as acetate ion and 2, 3-butanediol.
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