日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1987 巻, 1 号
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  • 星 敏彦, 大窪 潤, 川島 健信, 飯島 一正, 井上 廣保, 櫻井 忠光
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンジルの紫外偏光吸収スペクトルを,延伸高分子膜法により101Kで測定した。非結合電子対とπ電子系との相互作用および同一平面上にないπ電子系間の相互作用を考慮できる窪うに改良し泥 PPP法によるMO計算を行なった。ベンジルは296,263.5および256nmにππ遷移を,382,334nmおよび228nmにnπ遷移を示す。228nmにある nπ*轍象ほかの二つの nπ*帯にくらべて強度がいち.じるしく大きい。これぱベンジル分子がねじれていることと,"intensityborrowing"によつて説明さやる。MO計算と実測値との比較から,ベンジルの中央のカルボニル基問のねじれ角は約 75であると推定される。
  • 山田 明文, 程内 和範, 加藤 皓一
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロノアンペロメトリーを用いて,フレッシュコンクリート中の塩化物イオンの定量法を調べた。微小銀電極に矩形波電圧を印加した場合の塩化銀生成に基づく酸化電流を測定した。電流検出用電極を,セメソトペースト中に入れた場合と,その上澄み液に入れた場合について調べた,両方とも塩化物イオン濃度に依存する電流が観測されたが,そのばらつきは上澄み液の方が小さかった。セメントに骨材および混和剤をまぜて実際の現場で使われるコンクリートを練り,その酸性上澄み液について塩化物イオン含有量の評価試験を行なった。クロノアンペロメトリーの結果は,塩化物イオソ濃度0~1%(NaClとして)のコンクリートついて,Volhard滴定法の結果ときわめてよく一致した。また,減水剤および高性能減水剤の影響もなく,この方法がフレッシュコンクリート中の塩化物イオンの測定法として有効であることを確認した。
  • 二本柳 一之, 岡崎 進
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化ニオブ(V),酸化チタン(IV),シリカ,γ-アルミナ,醗化マグネシウムなどの金属酸化物に対する1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)の吸着量を測定した結果,金属酸化物の塩基性が火ぎいほど吸着量が大きいことがわかった。また,シリカに対するアンモニアの前吸着はHFIP吸着量の増加をもたらした。赤外吸収スペクトルの研究から,吸着機構は,酸性金属酸化物め場合,表面ヒドロキシル基どHFIPのヒドロキシル基との問のアルコキシル化反応であり,塩基性金属酸化物の場合,HFIPの解離吸着であると推察された。しかし,生じた表面化学種はいずれの場合においてもヘキザラルオロイソプロポキシドであると考えられる。
    HFIPで修飾することによって,酸化マグネシウムに対する水の吸着量が減少し,また,酸化マグネシウム,γ-アルミナに対するヘキサンの吸着量も大きく減少した。これらのことから,HFIP修飾による金属酸化物のはっ(撥)水,はつ油的表面の発現の可能性が示唆された。
  • 岡戸 秀夫, 庄司 宏, 川村 吉成, 神徳 泰彦, 山崎 康義, 佐野 庸治, 高谷 晴生
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    SiO2/Al203比が70~3300のZSM-5ゼオライトを合成した。それの400~600℃ での,メタノール転化反応活性を測定し,さらに物性について検討した。その結果,SiO2/Al203比の増大とともに活性が低下し,また,500℃ 以上の温度で劣化しやすいことがわかった。また,SiO2/Al203比の小さい触媒では,500℃ 以下の温度ではメタノ-ルは炭化水素にほぼ完全に転化するが,500℃ 以上の高温下では活性劣化した。低級オレフィン選択率はSiO2/Ai20s,比の増加とともに,また,500℃ までは反応温度の上昇とともに増加した。エチレン+プロピレン選択率の最大値は,SiO2/Al203比が200~400のときに44%を示した。さらに,BET法による比表面積の湖定,SEMによる粒子径の測定,NH3-TPD法と拡散反射型のFT-IR法による酸量の測定,および触媒表面への炭素質の沈着についても検討し,この反応条件下での活性劣化の主因が炭素質生成によるものであり,炭素質量とB.T.X生成量の間に相関があることを示した。
  • 岡戸 秀夫, 庄司 宏, 川村 吉成, 神徐 泰彦, 山崎 康義, 佐野 庸治, 高谷 晴生
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタノールを原料とする低紙オレフィン合成用触媒として,アルカリ土類金属含有ゼオライトとZSM-5ゼオライトを合成した。これらの触媒を用いて常圧流通式反応装置を用いて,400~600℃ の範囲で反応させた。その結果,Mg,Ca,Sr含有ゼオライト触媒は500℃ 以上の高温でも高い活性を示し,エチレンとプロピレンの選択率は最高66%を示したが,ZSM-5触媒は高温では失活し,Ba含有ゼオライト触媒では低級オレフィンはほとんど生成しなかった。これらの触媒について電子顕微鏡観察,X線回折,BET比表面積測定などを行ない,ゼオライトの結晶形態についての評価を行なうとともに,NH3-TPD法,拡散反射型FT-IR法により酸性質の評価も行なった。また,反応後触媒について炭素質の測定も行なった。これらの物性測定に,より,アルカリ土類金属含有ゼオライト触媒では強酸量が減少しており,平均の酸強度が弱くなっているごとが認められた。このことがB.T.X,パラフィン,炭素質の生成を抑制し,低級オレフィン選択率の向上の原因になっていると推測した。
  • 四條 好雄, 中治 一成, 清水 得夫
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-(5-プロモ-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-3-スルポプロピルアミノ)フェノール(5-Br-PAPS)はルテニウム(III)と熱時(95℃)鋭敏に反応して水溶性の1:2(金属:配位子)錯体を生成する。この反応は水相に10%のエチレングリコールを添加することによって促進される。生成した錯体はその共鳴構造に起因する二つの吸収極大をもっているが,そのうち615nmにおける吸収が最大である。錯体の吸光度はpH4.4~6.0において一定で,その見かけのモル吸光係数と吸光度0.001に相当する感度は5.90×104lmol-1.cm-1およびルテニウム(III)2ng.cm-2である。生成した錯体は安定で,生成後EDTAを添加しても分解しないがほかの多くの金属錯体は分解する。したがって,マスキング剤としてEDTAを使用することによってルテニウム(III)定量の選択性を高めることができる。また,この系に二次微分吸光光度法を適用すれば定量感度が飛躍的に増加し,ng.ml-1がレベルのルテニウム(III)の定量が可能になる。
  • 毛海 敬, 宇野 理枝子, 白崎 力, 斎藤 隆平, 森田 俊夫, 北嶋 英彦
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,8-ジメトキシジベンゾフラン(DMD)および2,8-ジエチルジベンゾフラン(DED)のアシル化とニトロ化の異盤体分布を求めた。DMD,DEDのHMO計算に基づく求電子反応性順は3->1->4-であった。DMDのアセチル化,ベンゾイル化,ニトロ化およびDEDのベンゾイル化,ニトロ化は1-および3-置換体を与え,その比は反応条件により0.05~O.85の範囲で変化した。DEDのアセチル化は3-および4-置換体を与え,その位置反応性順はHMO計算による予測と異なった。この違いについて.攻撃種とDEDの置換甚および9-位水素の立体効果によって考察した。
  • 卯西 昭信, 北浜 亨, 下村 与治
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アリール-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-6-クロロ-1,3,5-トリアジンにアリールアミンを110℃で反応させるとメラミン誘導体である2,4-ジアリール-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-1,3,5-トリアジンが生成した。しかし,2-アリール-4-クロロ-6-(2-クロロエチルアミノ)-1,3,5-トリアジンにアリールアミンを同様に反応させてもメラミン誘導体は生成せず,2,4-ジアミノ-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-α][1,3,5]トリアジン誘導体が得られた。生成したこの縮合複素環化合物の構造をIR,1H-NMR,13CNMRおよび元素分析により決定した。
  • 中沢 利勝, 柴崎 正己, 板橋 国夫
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ナフタレンチオール(2-NT)とアクリルアルデヒド(AAa)の付加反応により得られる3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒド[1a]をプロトン酸の存在下で反応させると,ホルミル基による閉環によって2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン-1-オール[2a],3H-ナフト[2,1-b]チオピラン[3a],2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン[4a]などのナフトチオピラン類が生成した。この反応でプロトン酸の種類および反応条件を選択することによって[2a],[3a]および[4a]を,それぞれ主生成物として選択的に得ることができた。
    一方,チオール類,チオ酢酸,アセトニトリルあるいは2-ナフトールなどの求核剤の存在下で[1a]の反応を行なうと,求核剤のホルミル基への付加につづいて閉環反応が容易に進行し[2a]のヒドロキシル基が求核剤で置換された生成物が,それぞれ高奴率で得られた。
    また,[1a],3-(2-ナフチルチオ)ブチルナルデピド[1b],2-メチル-3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒド[1c]の50%硫酸による閉環反応では[2a~c]が得られ,[1a~c]の2-NT存在下での閉環反応では1-(2-ナフチルチオ)-2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン類[6a~c]を得た。
  • 巣山 隆之, 奥野 敏, 狩谷 幹夫, 市川 英一
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-シリルアミンが穏和な条件下でN-セアノアミノ化合物に特異的に付加して,対応するグアニジン誘導体を生成することを見いだした。N-(トリメチルシリル)ジエチルアミン[3b]は(エトキシカルボニル)シアナミド(ECC)やN-シアノ尿素[8],シアナミド[10a]と発熱してすみやかに反応した。[3b]はまた,N-フェニル-N'シアノ-S-メチルイソチオ尿素[4a],およびN-ブチル-N'シアノ-S-メチルイソチオ尿素[4b],,N-シアノグアニジン[6a]とも室温で反応した。N-(トリメチルシリル)イソプロピルアミン[3a]は[4a]と60℃ で定量的に反応したが,[4b]との反応では同じ条件下で,グアニジン体の収率はわずかに9%であった。N-(トリメチルシリル)アニリン[3c]は反応性が悪く,[4a]とは反応しなかった。また,[(メチルチオ)カルボニル]シアナミド(MCC)あるいはECCとの反応では対応するグアニジン体のMCCあるいはECCの塩が単離された。
    以上の結果,N-シアノアミノ化合物としては酸性の強いものほど,またN-シリルアミンとしては塩'基性の強いものほど反応しやすいことがわかった。なお,Nに水素原子をもたないN-シアノアミノ化合物はN-シリルアミンとまったく反応しなかった。
  • 巣出 隆之, 狩谷 幹夫, 諏訪 和男, 市川 英一
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-シリルアミンはN-シアノアミノ化合物に特異的に付加する。反応は比較的低温で円滑に進行することから,他の活性な官能基を有するN-シアノアミノ化合物を対応するグアニジン化合物に誘導するのに有用である。しかしながら,酸性の弱いN-シアノアミノ化合物や塩基性の弱いN-シリルアミンでは反応しにくい。本研究では,この反応におよぼす溶媒の影響およびアミン塩の効果を検討した結果,溶媒としては酸素や窒素原子を含まないものが好適であることを認めた。たとえばN-ブチル-N'-シアノ-S-メチルイソチオ尿素[2a]とN-(トリメチルシリル)ジエチルアミン[1a]との反応では,ジクロロメタン中で対応するグアニジン体[3a]が73%収得されたのに対し,同じ条件下でもジオキサンやアセトン,アセトニトリル中では42~49%にすぎなかった。またアミン塩,とくにピリジン硝酸塩がこの反応をいちじるしく促進することを見いだした。すなわち,ピリジン硝酸塩が存在しない場合,まったくあるいはほとんど反応しなかった[2a]とN-(トリメチルシリル)イソプロピルアミン[1b]あるいは[2b]とN-(トリメチルシリル)アニリン[1c],N,N-ジメチル-N'-シアノ-S-メチルイソチオ尿素[2c]と[1b],シアノイミノジチオ炭酸ジメチル[4]と[1a]との反応も等モルのピリジン硝酸塩の存在下に進行して,それぞれ対応するグアニジン体を生成した。
  • 倉貫 健司, 宮本 裕貴夫, 小郷 良明
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 60-66
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    石炭中のC-0結合の解離に対する圧力効果についての知見をうることを目的として,テトラリンおよび1-メチルナフタレン溶媒中でのジベンジルエーテルの熱分解反応を流通式反応装置を用いて380~400℃,10~80MPaの範囲で追跡した。ジベンジルエーテルの初濃度が低い場合のおもな反応生成物は,溶媒の種類にかかわらずトルエン,ベンズアルデヒドおよび少量のベソゼンと一酸化炭素であり,分解速度はジベンジルエーテルの一次で表わされ,その値は加圧によってかなり大きくなることがわかった。ジベソジルエーテルの熱分解をドンズアルデヒドを中間体としてトルエンとベンゼンが生成する逐次反応と,直接トルエンを生成する反応が併発して起こると考え,各経路の速度定数を計算し,その圧力依存性を定量化した。ジベンジルエーテル熱分解の活性化体積値は-20~-30cm3/molであり,これらの結果はその分解が極性遷移状態を経由して進行する分子内水素移動機構によることを支持するものであった。
  • 佐藤 正昭, 谷本 昌隆, 横山 晋, 真田 雄三
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    石炭液化油留分(ナフサ,灯油,軽油,重油留分)について,高速液体クロマトグラフィー(HPLC),質量分析(MS),および電子計算機を用いたデータ処理によって,「化合物タイプ分布図」を得た。
    各留分の炭化水素成分の「化合物タイプ分布図」は,HPLCの分離挙動およびMSから得られたZ数による化合物タイプ分析に基づいており,芳香族環数(Ra),ナフテン環数(Rn),側鎖アルキル基炭素数(Cal)の分布を図示したものでこの分布図によっで炭化水素威分の化学構造を的確に把握できた。
    極性化合物については,その化学構造を決定するには,高分解能質量スペクトル解析や赤外吸収スペクトルなどのより詳細な分析が必要であるが,極性化合物タイプの分布として解析できた。
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 俵 清孝
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アニリンと2-アミノ-4-アニリノ-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン(AAIT)との付加反応により2-アミノ-4-アニリノ-6-(2-アニリノ-1-メチルエチル)-1,3,5-トリアジン[2]が得られた。この反応を利用して2-アミノ-4-(m-アミノアニリノ)-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン[1]の自己重付加によ.噺い型のポリグアナミン[3]を合成した。TG-DTA測定の結果,[3]は330℃ から分解することがわかった。
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 遠藤 敏郎, 神谷 誠
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-4-イソプロペニル-6-(N-メチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン(AIMT)と無水酢酸との反応により2-アセチルアミノ-4-イソプロペニル-6-(N-メチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン(AcIMT)を合成した。アゾビスイソブチロニドリルを開始剤どする溶液重合法により求めたAcIMTの重合熱(ΔHp)は-12.9kcal/molであった。示差走査熱量計を用いてAcIMTの熱重合を検討した結果,ΔHpとして-12.5kcal/molの値が得られた。AIMTのΔHpは-12.0kcal/molであり,アセチル化により-ΔHpが増大することがわかった。またAclMT(M2)とスチレン,メタクリル酸メチル(M1)との共重合ではAIMTにくらべr1が滅少し,r2が増加することがわかった。
  • 山田 能生, 坂脇 弘二, 井田 四郎
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The effect of hydrogenation severity on transformation of mesophase pitches to the optically isotropic texture and the formation, of anisotropic textures from the hydrogenated pitches were examined to characterize the mesophase pitches, prepared by the sedimentation of Ashland A-240 pitch, FCC decant oil pitch and benzene solubles of coal tar pitch. The extent of hydrogenation was controlled by changing the amount of Li metal added to the.mesophase pitch on Benkeser reaction. Anisotropic textures contained in the mesophase pitch were completely converted to isotropic ones for less hydrogenated samples. When the pitch thus hydrogenated was heat-treated over the-temperature range from 573 to 673 K, fineor coarse-grained mozaics formed by the heating at 623 K for 1h and enlarged flow domains at 673 K for 1h, in contrast with the rnesophase pitch hydrogenated to higher degree, in which the treatment at 673 K for 1h brought about only very fine spheres. Such behavior of the mesophase pitches prepared here suggests that the orientation of the lamellae constituting the mesophase is very labile to the hydrogenation because of weak interaction betWeen the lapellae in the mesophase. In addition, the influence of the hydrogenation on the appearance and the growth of anisotropic textures is discussed in connection, with the structural changes of the constituent molecules.
  • 山田 能生, 白石 稔, 古田 毅, 山下 安正
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 90-93
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    沈降法によって得られたメソフェーズピヅチ(MP)から均一で合体していない少球体を高収率で製造することを目的として,水素化したMPを熱処理し,生成する異方性組織の発達状況と溶剤不溶分との関係,添加剤による効果を検討した。Benkeser反応により,MPに対してLiを0.5の割合で加えて水素化を行なった。用いたMP中には約30%のトルエンに可溶な軽質分と,キノリンに不溶ではあるが,水素化処理で容易に可溶化するメソフェーズ構成成分が多量に含まれていた。ついで,水素化したMPを623~648Kで熱処理し,その後徐冷したところ,凝集した小球体とそれらが合体した異方性組織が観察された。生成物の溶剤に対する不溶分量を測定した結果,トルエンおよびピリジン不溶分はほとんど変化しないが,キノリン不溶分はかなり増加した。一方,元素分析結果から,H/C原子比は熱処理とともに徐々に減少した。これらのことから,キノリン不溶分および異方性組織が生成する過程においては,化学的変化と同時に分子が積層する物理的な構造変化が起こっていることが示唆された。また水素化したMPに,添加剤としてp-テルフェニルまたは2,2'-ビナフチルを16.7%加えて処理すると,これらが球晶の表面に集まるため,融着や合体を防ぎ小球体の凝集化を向上させることができた。また,これらの添加剤によってピッチの流動牲がより低温まで維持されるため,徐冷による球晶の生成が低温側に移行したことも凝集化の一つの要因と考えられる。
  • 菊池 康男, 久保田 直治, 田川 勝利
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [2-(ジエチルアミノ)エチル]デキストラン塩酸塩,グリコールキトサンおよび硫酸エステル化ポリ(ビニルアルコール)の3成分から高分子電解質複合体(PEC)を合成した。
    生成PECの組成は実験条件によりかなり異なっていた。2.27mol・dm-3HCl溶液でつくられたPEC膜はもっとも耐酸,耐アルカリ性であった。この膜を通してのアルカリ金属イオンの輸送は駆動力の役割をしている水素イオン濃度により,大きく影響された。とくに有機溶媒による影響は大きかった。この膜に認められた能動輸送と選択透過は,水素イオン濃度の変化による膜の化学的,物理的性質の変化に起因するものと推論される。
  • 生野 晴美, 駒城 素子, 三森 美恵子, 矢部 章彦
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 101-106
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリアジニルスチルベン系直接染料型蛍光増白染料(置換基:アニリノ基,2-ヒドロキシエチルアミノ基)の水中における溶解性と光退色挙動を調べた。露光によるUVおよび蛍光スペクトルの変化,TLCの結果から,溶解状態の染料は,trans-cis の可逆的光異性化を起こして cis-体の多い定常状態に達し,また染料濃度が高いほど cis-体の割合が多いことがわかった。水中での溶解性は染料濃度,温度,pHに影響され,高濃度,低温度,低pHでは染料が凝集して,可視部に新たな吸収(Λmax:420nm)のが生じ,溶解状態の染料にくらべ退色しにくいことがわかった。
  • 青木 豊明, 亀井 正之, 宗森 信
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 107-112
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    pHを10に調節した廃水に次亜塩素酸塩を加えたのち,過剰の鉄(II)を加えて種々の有害金属を一括除去する方法のプロセスを自動化した。次亜塩素酸塩溶液注入の自動制御には,検出器として膜分離-吸光光度法に基づく連続分析計を用い,次亜塩素酸濃度を1.Ommol.dm-3に制御した。鉄(II)塩溶液注入の自動制御には,検出端として溶存酸素計を用いた。溶存酸素濃度が5.5mg.dm-3になるよう鉄(II)塩を注入したうえ,その1.75倍量の鉄(II)塩が後続する段階で加えられるようにした。流れ系の処理でAs(V),Cd(II),Cr(VI),Cu(II),Mn(VII),Pb(II),Zn(II)を同時に,しかも,シアン化物イオンなどの錯形成剤の存在下でも完全に除去することができた。生じたスラッジからこれらの有害金属は再溶出しなかった。
  • 松本 泰道, 杉山 和義, 佐藤 栄一
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 113-115
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The capacitance and resistance of the titanium(IV) oxide film prepared by anodic oxidation accompanied by sparking in Na2CO3 solution were measured as a function of relative humidity (RH). The capacitance and resistance in a parallel equivalent circuit increased with the increase of relative humidity, while the resistance decreased. The response was very sensitive in the humidity region less than 50% RH. The surface of the titanium(IV) oxide film was presumed to be doped with Na2CO3 from the infrared spectrum. The mechanism of the humidity response of the capacitance and resistance are discussed from the current measurement under the pulsed voltage.
  • 米沢 義朗, 大野 雅史, 菅 貞治, 綿谷 和浩, 羽田 宏
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 116-118
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The novel Rhodamine B dyes having one or two long alkyl chains were synthesized. Monolayers of these dyes have been prepared at the air-water interface by spreading the mixture of dye molecules and matrix molecules. Absorption spectra of the dye films which were transferred from the water surface to the quartz plate by the Langmuir-Blodgett technique have been measured.
    They were comp ared with the dye layers which were prepared by adsorption of Rhodamine B molecules without having long alkyl chains from the subphase to the matrix monolayers.
  • 矢ケ部 憲児, 岩元 浩一, 南 晋一
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 119-121
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Separation among g allium(III), indium(III)and aluminium(III) by the extraction with trioctylamine(TOA) from an aqueous oxthlates solution containing chloride ions or sulfate ions has been studied. Indium(III)is separated into an organic phase from alurninium(III) in an aqueous oxalate solution and from gallium(III)by the addition of sodium chloride to an aqueous oxalate solution with TOA-xylene extraction. For the separation of gallium(III) from gallium(III)-aluminium(III), the addition of sulfate to an aqueous oxalate solution has been found to be more effeptive. However, aluminium(III) can not be extracted selectively into the organic phase leaving gallium(III) or indium(III)in the aqueous phase. Moreover, the dependence of the separation factor on TOA concentration has been investigated. It was observed that the suitable TOA concentration for these investigated system depends on the distribution ratio of more extractable metal species.
  • 北原 滝男, 高野 二郎, 白井 孝三
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 122-124
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction of acridine hydrochloride with aniline in the presence of lead(IV) oxide, peroxides of alkaline earth metals, metal chloride or mercury(II) sulfate as an oxidizing agent was examined. It was disclosed that metal chlorides (such as silver chloride and mercury(II)chloride) were effective to give 9-(4-aminophenyl)acridine in high yields.
  • 岡田 幸雄, 大野 泰彦
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 125-128
    発行日: 1987/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The polymerization of methyl methacrylate (MMA) or acrylamide using glutathione (reduced form. GSH) as an, initiator was carried out. It was found that GSH showed initiating activity of radical polymerization in the presence of formic acid. Detailed study for the polymerization of MMA gave the following results. The overall activation energy for the polymerization was estimated to be 54.8 kJ.mol-1. The rate of polymerization (Rp) was shown by the following equation.
    Rp = k [MMA]1.05 [GSH]0.53
    The chain-transfer consta nt to GSH was approximately evaluated as 3.0x10-2 at 60°C.
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