日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1987 巻, 12 号
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  • 遠藤 邦彦, 古橋 昭子
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2227-2230
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis,gaecche,gauche形亜硝酸プPtピルとその15N同位体種の振動基底状態のマイクロ波スペクトルを16~32GHzの領域で帰属した。この二分子種について得られた回転定数A,B,Cを下記に示す。
    このcis,gauche,gauehe形回転異性体のr0構造として,得られた回転定数を再現するように,CO-NO部分の構造パラメーターおよび,二面角∠CC-ON,∠CC-COを求めた
  • 堀田 紀好, 西川 優入, 河上 健司
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2231-2235
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3種のフッ化グラファイト,(CF)n,(C2F)nおよび活性炭フッ素化物を試料電極として,9mol・dm-3-KOH泳溶液中,それらの放電特性を比較検討した。その結果,(CF)n電極は,放電中の電位はほかの2種にくらべてやや低いが,電位平坦性は良好であった。(C2F)nおよび活性炭フッ素化物電極は,放電中の電位が高く,過電圧も(CF)n電極に比較して小さいが,電位平坦性においてやや劣っきぎきた。フッ化グラファイト表面は,いずれもOH-の作用を強く受け,また,K+の一部は放電中に試料電極表面に捕捉されることがXPSスペクトルの測定から判明レた。試料電極の電気化学的還元反応の速度はフッ化グラフアイトの種類により異なるが,反応の活性化エネルギーはいずれも63~67kJ・mo1-1程度で,その機構は本質的には同じと推定された。
  • 上原 赫, 高岸 憲ニ, 山野 慎司, 小畑 康弘, 田中 誠
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2236-2241
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-ビニルカルノミゾール,ピロール,N-メチルピロールなどの電解酸化重合によりり得られる高分子薄膜の表面上にローダミンB(RB)を真空蒸着で積層して光電変換機能を有する二層型有機薄膜の形成を試みた。高周波スパッターにより金を付着させたスデイドガラス上に電解酸化重合法によって製膜と同時にドーピングされたポリ(N-ゾニルカルバゾール),ポリピロールまたは,ポリ(N-メチルピロール)の薄膜(膜厚約騨3000Å,導電率10-5-10-7S.cm-1)の上にRB,とアルミニウムを順次,真空蒸着により積層して最終的に,Au/高分子/RB/Alなるサン ドィッチ型セルを作製した。暗時における軍流-電圧曲線から,いずれの高分子を用いたセルも,Au電極に正の電圧を印加したときが順方向となるような整流特性を示した。これらのセルに光照射すると,Au電極側が正,A1電極側が負となる光起電圧Vdcを生じた。ポリピロールを用いたセルがもっとも高い光起電力効果を示した(Voc=580mV;Jsc=70μA・cm-2;光電変換効率5.8x10-3%).短絡光電流,Jscのアクションスぺクトルから高分子層に接する薄いRB層付近が活性領域であることが示唆された。
  • 延谷 宏治, 金丸 文一
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2242-2247
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高周波ズパッター法によって高いイオン伝導率をもつ溝膜を作成するために,作成条件が生成膜の,微細組成,およびイオン伝導に及ぼす影響を検討した。すぱったー膜のNa濃度は,ターゲットのNa濃度に依存するだけでなく・ターゲットの表面温度に依存するこ とがわかった。これには,スパツター蒸発と並行して起こる,N,aの熱蒸発が原因していると考えられる。一方,スパッター膜の微細組織はパワーとガス圧に依存し,両パラメーターを低く制御することによって非晶質状態の第質薄膜が形成されることがわかった。
    h非結晶質膜の結晶化によって実現した無空孔の微細組織と結晶子の優先配向が原因している。非晶質相からβ相への転移のさいに現われる中間生成相のイオン伝導機構をその不定比性との関連で議論した。
  • 持田 勲, 池山 信秀, 藤津 博
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2248-2254
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Tio2に担持したRh,PdおよびRuの3種の貴金属触媒について,CO水素化反応における触媒活性を調べ,触媒活性の差異の要因について検討した。いずれの触媒活性も還元温度の影響を受け,Rh,Pd両触媒は400℃還元が200,500℃還元より高活性を示すのに対して,Ru触媒では200℃ 還元が最な高活性を与えた。こうした還元温度の影響にかかわらず,触媒活性序列は,Rh>Ru>Pdであった。400℃還元の触媒のH,,COに対する反応温度付近での吸着能はいずれもRh>Pd>Ruで,不可逆吸着CO量も同序列となり・いずれも触媒活性序列とは一琢しない。不可逆吸着COの200℃での水素との反応性をIRにより調べた結果,メタンへ.奉換速度はRh>>Ru>Pdの順となり・Rhでは触媒反応速度の20倍以上,Ru,Pdではほぼ同程度の速度が得られた。ここで,Ru,Pd両触媒では不可逆吸着COの大部分が表面炭素に転換されることが明らかとなり,水素の表面炭素生成促進効果が確認された。こうして生成した表面炭素はPd触媒の場合強い触媒毒となる。一方,これらの触媒のアセトンに対する水素化活性はCO水素化の活牲と必ずしも相関せず,Ru>Rh>Pdの序列となるが,触媒間の差は小さい。これらの結果からRh,Ru,Pd触媒では少なくとも反応初期においては不可逆吸着COが反応活性種であり,その活性化能が触媒活性た対して重要な因子であると思われる。
  • 岡戸 秀夫, 庄司 宏, 鈴木 邦夫, 佐野 庸治, 河封 光隆, 萩原 弘之, 高谷 晴生
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2255-2259
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタノールからの低級オレフィン合成用触媒として優れた性能を示すカルシウム含有ゼオライト触媒(AEZ--Ca)は,反応中に酸点を修飾しているカルシウムの一部が離脱して強酸点が出現するため,B.T.Xや炭素質の生成が促進されて活性劣化を速めることをすでに報告した。本研究では,酸点からのカルシウムの離i脱を抑制する蔦とを目的として・AEZ-Ca触媒に対し重量比で0.3~1.0の量のMgO,CaCO3,SrCO3,BaCO3を混合することを試みた。また,比較のため酸点のほとんどないシリカライトの混合も行なった。加速寿命試験は600℃,LHSV=4.6h-1の条件下で生成物中にジメチルエーテルが出現するまで行なった。その結果,AEZ-Ca触媒の寿命は22時間であり,MgOやシリカライトを混合しても寿命はほとんど変わらなかった。それに対し,Ca,Sr,Baの各炭酸塩を混合した触媒では,寿命は75~150時間へといちじるしく向上し,これらのアルカリ土類金属炭酸塩が寿命の延長に有効であることがわかった。粒ヂつぎに,Ca,Sr,Baの各炭酸塩を混合した触媒について,生成物組成,触媒上に析出した炭素質量,触媒物牲の反応時間にともなう変化や反応に供した触媒の塩酸処理後の組成およびシリカライトとBaCO3との反応性について調べた。その結果,混合したアルカリ土類金属イオンがゼオライト細孔中に侵入して酸点を修飾していることが示唆された.
  • 笠岡 成光, 阪田 祐作, 田中 栄治, 内藤 龍之介
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2260-2266
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    約40nm径以下の領域に先鋭なミクロ細孔分布を有し,かつ賦活度の異なる9種のフェノール欄脂系繊維状活牲炭を用い,形状と寸法の異なる10種の吸着質(おもに染料)について吸着等温線を測定した。そして平衡濃度1000ppmにおける平衡吸着量を基準に,吸着質分子の寸法と,それが扱着分離可能な最小細孔径(臨界細孔径)との関係について検討した。,また,細孔分布が10"nm径のマクロ孔にまでおよぶ賦活度の異なる5種のヤシ殻系粒状活性炭についても同様の測定を行ない,両系活性炭の吸着特性を比較した。得られたおもな結果は,つぎのとおりである。
    (1)活性炭への染料の吸着は,20nm径以上のトランジショナル孔やマクロ孔では起こらず,ミクロ孔径が吸着質が侵入しうる大きさにまで拡大されたときにはじめて吸着が起こ観
    (2)吸着質分子の短軸径が制限寸法となって分子ふるい効果が現われる。
    (3)活性炭の細孔をスリット状と考えると,吸着質分子平面がグラファイト網面に対して,垂直になる方向でミクロ細孔内へ侵入すると考えられる。
    ,(4)吸着質の臨界分子寸法(L。;短軸径)と,1吸着可能になる活性旅の臨界細継鋒(dc)との間にはほぼd,=1.74Leの関係がある。
    (5)対応する臨界細孔径(d。)を有する活性炭を得るための賦活収率を推定する方法,すなわち活性炭の分子ふるい性設計のための基本的な手法を提案した。,
  • 笠岡 成光, 田中 栄治, 阪田 祐作, 内藤 龍之介
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2267-2274
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノール樹脂系繊維状活性炭(ACF)の細孔特性ならびに分子ふるい吸着特性を明らかにし,種々の吸着質分子に適応するACFの至適な製造法確立の資とするために,重合度の大きく異なる(平均分子量:106~90万)8種のポリエチレングリコール(PEG)'の水溶液における吸着等温線(25℃)を測定した。ACFは賦活度の異なる9種を用い,また比較のために5種のヤシ殻系粒状活性炭(ACG)にっいても同様に検討した。ACFは,約4nm径以下のミクロ孔領域にのみ先鋭な単峰型細孔分布をもち,ACGは,ミクロ孔以外にトランジショナル孔およびマクロ轟の幅広い分布をもっている。
    これらの活性炭への特殊な分子構造をとりうるPEGの水溶液での吸着を試み,,各PEGの分子量と吸着可能な活性炭の細孔径との関係を検討し,分子ふるい吸着効果の顕著に現われる臨界細孔径(最小細孔径)と臨界賦活収率を評価した。得られたおもな結果おまび知見は,つぎのとおりである。
    ,(1)PEGの活性炭への吸着は,ACGに対しても約4nm径以下のミクロ孔に対してのみ起こり,吸着形態は直鎖らせん状の結晶に近いと推定される。
    (2)活性炭に吸着されうるPEGの臨界分子寸法は,その短軸径によって決まり,約0.4nmである。また,'PEGの吸着可能な活性炭の臨界細孔径は分子量に無関係に約1.8nmである。
  • 船越 正機, 太田 光治, 井上 博愛
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2274-2278
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担体を異にする4種類のニッケル触媒を用いてプロピレンの水素化反応を行ない,担体と金属との強い相互作用が反応速度におよぼす影響を塗討した。担体はシリ九チタニア,酸化ニオブおよび酸化タンタルを使用した。その結果,触媒単位重量あたりの初期反応速度は担体および還元前処理の違いに依存し,とくに担体と金属が強く相互作用している状態では反応速度は非常に小さくなった.しかし,反応速度の基準として触媒の単位金属表面積を用いると担体による差や還元前処理による差はなくなり,ほぼ同一の反応速度が得られることが明らかになった。金属表面積を表わす指標としてはパルス法による室温での水素不可逆吸着量を用いた。ほかにX線回折がら得られる金属粒子径を反応速度の基準とした解析も試みたが反応速度の値が一定にならずうまく整理できなかった。以上の結果からこの反応は室温で水素を強く吸着する活性点で起こっていることが明らかになった。
  • 松井 博, 網田 佳代子, 橋詰 源蔵, 足立 吟也, 塩川 二朗
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2279-2285
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水に懸濁した亜硫酸カルシウム半水和物を125℃,加圧下で空気酸化したとき,亜硫酸カルシウム半水和物の形状の変化と,生成するα型半本セッコウの形状および結晶成長過程について検討した。
    亜硫酸カルシウム半水和物懸濁液に硫酸を加えてpHを4あるいは3にすると亜硫酸カルシウム半水和物球状結晶の表面に板状二水セッコウが生成した。常温から125℃までは球状亜硫酸カルシウム半水和物と板状二水セッコウが懸濁液中に存在するのが観察された。125℃ で空気により酸化を始めると板状二水セッコウが急速に消失し,針状あるいは放射状のα型半水セッコウが生成した。このとき・液相は高過飽和状熊であった。酸化をつづけると針状あるいは放射状のα型半水セッコウが成長した。懸濁液中の硫酸カルシウム濃度が低過飽和状態であれば針状結晶になり,高過飽和状態では放射状結晶も生成することがわかった。
  • 安藤 淳平, 鵜沢 正美, 大塚 良広
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2286-2292
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    微粉炭燃焼のフライアッシュにカリウム分とマグネシウム分を加えて850~900℃に焼成して造る新しい緩効性のケイ酸カリ肥料(K2O 22%程度)について,焼成反応,製品の組成,品質向上の方法などを研究した。フラィアッシュはSiO2,AlO3,CaOなどを主成分とするガラス質の微粒子からなり,石英やムライト(3AI2O3.2SiO2)などの結晶鉱物も含む。焼成によりカリウムがガラス粒子中に拡散し・.カリウムが10%程度以上入熊カノレシウムを追咄し・ガラス講造を破壊してK2O.Al2O3. 2SiO2を生成する。マグネシウムはガラス中に拡散しにくく,粒子周辺で石英などと反応してK2O・MgO.SiO2や2CaO・MgO・2SiO,を生成する。これらの化合物はいずれも水に溶けにくく,2%クエン酸に可溶である。
    カリウムの一部は不溶性の非晶性物質やK2O・MgO・3SiO2を生成し,品質の低下をきたす。フラィアッシュにCaOが少なく,SiO2やAl2O3,が多いど不溶性カリウム鉱物が多く生成する。不溶化を減らすには,焼成条件の捌御や,カリウムを多く加えることが有効である。,
  • 永島 和郎, 森満 由紀子, 加藤 昭夫
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2293-2300
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    金属硝酸塩水溶液から噴霧熱分解法による Ag, PdおよびAg-Pd合金の微粒子の生成について, 熱分解条件が生成粒子の形態におよぼす影響を調べ, 粒子の生成過程を考察した。加熱には酸水素炎を用いた。火炎温度によって3種の粒子生成過程が存在することを見いだした。すなわち, 生成金属粒子が溶融しない場合 (過程1), 金属粒子が溶融する場合 (過程2), および金属蒸気から粒子が生成する場合 (過程3) の3種である。過程2では真球状粒子が生成するが 過程1では不規則形状の粒子が多い。過程3では粒径が約 0.1μm以下の超微細な粒子が生成する。生成粒子の粒径は, 過程1と2ではおもに原料溶液の濃度に支配され, 過程3では金属蒸気の濃度によって決まる。過程2が支配的な場合, Pd粒子の平均粒径は Pd(NO3)2水溶液濃度 0.01~O.1mol・dm-3に対し 0.5~0.8μmであった。粒度分布の狭い球状粒子を得るためには, 火炎温度の設定によって粒子生成過程2あるいは3のいずれかを支配的に起こさせる必要がある。合金粒子の製造では, 過程2が支配的なときに原料溶液の組成と一致した均一組成の球状粒子が得られた。気流中の粒子濃度が高い場合には, 生成粒子間の合体が起こる。
  • 川野 伸一, 阿部 正彦, 清水 聖幸, 荻野 圭三, 本田 英昌
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2301-2307
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    極性溶剤 (水, 各種アルコール)および無極性溶剤 (ヘキサン, ベンゼン, テトラリン)中における石炭化度の異なる5種類の石炭 (ヤルン炭, 天北炭, 太平洋炭, 三池炭, ホンゲイ炭)の湿潤熱, 膨潤率および見かけ比重を測定し, 各種石炭と種々の溶剤との相互作用を検討した。さらに, 無極性芳香族溶剤中における石炭の膨潤率に対するアルコールの添加効果について検討した。
    その結果, 以下の知見が得られた。
    1)湿潤熱, 膨潤率および見かけ比重は, メタノールを用いたときが他の溶剤にくらべてもっとも大きかった。
    2)湿潤熱および膨潤率はアルコールの炭素数の増加にともない減少した。
    3)低石炭化度炭の膨潤率は, 無極性芳香族溶剤に少量のメタノールを添加することによりいちじるしく増加した。
  • 中原 久惠, 小林 悦郎, 服部 滋, 鎌田 俊雄
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2308-2314
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報にひきつづきゲル濾過法によるポリリン酸カリウムの分別と分子量の測定法 (光散乱, 粘度測定など)を組み合わせてポリリン酸カリウムの直接キャラクタリゼーシ選ンを行なった。ゲルはトヨパール (東ソー K. K.製)を用いた。分別実験において, ポリリン酸カリウムの低分子量試料は高分子量試料と異なり二つのピークをもつクロマトグラムを示した。この現象を解明するために種々の実験 (分別後の溶出溶液の dn/dc 測定, ポリリン酸カリウムの原料およびそれと同一組成を有する特級試薬の分別実験など)を行なった。その結果, この現象は原料の縮合反応における焼成時間に関与していることがわかった。分別実験における各溶出溶液に対する光散乱, 粘度測定の実験結果から, これらの試料の分子量分布, 溶液中の挙動について考察し, 分子量と固有粘度の相関式として, [η] =4.94×10-5M0.80 (25℃, O.1mol/l 塩化ナトリウム水溶液, 1.9×104≦M≦96.1×104)が得られた。前報2)では約 9~100×104までの粘度式であったがトヨパールによる分別の結果, 約 2~100×104までの広い分子量範囲の粘度式が得られた。
  • 辰巳 正和, 中塚 稔之, 岡下 稔, 江川 洋介, 山本 清香
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2315-2320
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルゴンまたは H2Oプラズマを照射した無機基材 (シリカゲル, ヒドロキシアパタイト, 窒化ケイ素, および, 炭化ケイ素)を用いたビニルモノマーの重合を行ない, プラズマに接した固体表面上の反応を検討した。H2Oプラズマを照射したシリカゲルは, メタクリル酸メチルとスチレンのそれぞれのポリマーを高重合率で生成した。一方, アルゴンプラズマを照射したシリカゲルは, それほど高い重合活性を示さなかった。この重合反応の速度はモノマー濃度の1.5次に, また仕込みシリカゲル量の 0.5次に依存した。また, この重合系によるメタクリル酸ズチル (M1)とスチレン (M2)との共重合におけるモノマー反応性比は, r1=0.55, r2=O.56であった。これらの結果から, この重合系ばおける重合反応は, プラズマ中の電離によってつくられた電子を取り込んだ無機固体表面上から, 固体表面に吸着されたモノマーへ電子が移動することによって生成したラジカル種による反応と推定された。
  • 菊池 康男
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2321-2329
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無機カチオン性高分子である水酸化硫酸鉄(III)(PFS), “ポリ塩化アルミニゥム”(PAC) および有機カチオン煙高分子である [2-(ジエチルアミノ)エチル]デキストラン塩酸塩(EA)と無機アニオン性高分子である四リン酸ナトリウム(TPP), メタリン酸ナトリウム(PMP)および有機アニオン性高分子であるポリ(硫酸ビニルカリウム)(PVSK)のおのおのから高分子錯体(MC)を合成し, それらの構造, 性質および膜特性について検討した。
    無機高分子と有機高分子からなるMCは無機高分子どうしからなるMCより, より可溶性であった。
    ポリリン酸とEAからなるMCは, pH1.0の条件でオルトリン酸塩, そのほかの条件の場合はテトラポリリン酸塩, メタリン酸塩であった。PFS, PAC系の生成MCの詳細な構造については, まだ明らかでないことが多いため推定にとどまり決定できなかった。NaBr, アセトン, 水の三成分溶媒による溶解平衡図は, PFSとPVSK, EAとTPP, およびEAとPMPからなるMCについては作成できたが, 無機高分子どうしからなるMCについては作成できなかった。
    無機高分子どうしからなるMCは塩酸, 1.4-ジオキサン, 水の三成分溶媒により成膜できたが, もろく, 水にとけやすく期待される膜をつくることができなかったが, PFSと有機高分子であるPVSKから耐酸耐アルカリ性の膜がキャスト法により成膜できた。この膜の両測の電位差にしたがってNa+が輸送される。この膜の能動輸送と選択透過の特牲は酸, アルカリ溶液に浸漬した膜の表面のIR測定から, 膜の化学的要因によらず, 物理的要因により機能の発現することが明らかとなった。
  • 粂原 偉男, 田坂 茂, 宮田 清蔵
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2330-2337
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水槽(トラフ) と薗体基板の幅を同一にし, トラフの内側に圧縮時, 累積時に浮子とともに移動できる壁(移動壁)を設けた新しい Langmuir-Bledgett(LB) 膜作製装置を試作した。固体基板の幅に対してトラフが十分大きい従来型装置では圧縮にさいしバリヤー手前のトラフの内側近傍で単分子膜の不均一化が進み, 累積時には基板にまわり込む不均一な膜の流動をともなうため, 水面上の膜配列を大きく乱す欠点があった。しかし, 今回試作した装置を用いると, 単分子膜は均一に圧縮され基板にまわり込む不均一な膜の流れは消滅し, 水面上の膜配列を乱すことなく累積することができた。従来型装置を用いてLB膜を作製する場合, 膜物質は水面上で安定な固体膜を形成し適渡な流動性をもつ必要があった。しかし, 今回試作した装置では, 従来, 累積が困難で濁った流動性に乏しく剛性に富むステアリン酸三価金属塩(ランタン塩, アルミニウム塩)がY型膜として再現性よく得られ, X線回折測定から高度な層状秩序構造を保持していることが明らかとなった。
  • 田中 茂, 駒崎 雄一, 山縣 勝弘, 橋本 芳一
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2338-2343
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    国立科学博物館付属自然教育園(東京都=港区白金台)において夏季(1985年6月11~22日)および冬季(1986年2月4~9日)にアンモニア, 塩化水素, 硝酸ガスとそれらの塩類(アンモニウム塩, 塩化物, 硝酸塩)をフィルター法および拡散デニェーダー法により分別捕集し, イオンクロマトグラフィーにより測定した。その結果, 大気中での塩化アンモニウム, 硝酸アンモニウムの解離平衡 NH4Cl(s)〓NH3(g)+HCl(g), NH4NO3(s)〓NH3(g)+HNO3(g)は, 気温の影響を大きく受け, 気温の上昇にともないガスと塩(粒子)の和に対するガスの割合が上昇した。そして, 熱力学的に導びかれた塩化アンモニウム, 硝酸アンモニウムの解離平衡と実測値は, 高湿度でこれらの塩の潮解点を越す場合を除くとほぼ一致し, 大気中においてこれらの解離平衡が成立することが認められた。
  • 栗山 光央, 柿井 一男, 白樫 高史
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2344-2350
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    嫌気性汚泥(水銀含量125mg・kg-1)から水銀を除去するために汚泥を好気性化し, KI水溶液による水銀の抽出と, 袖出液中の本銀の吸着除去を連続的にくり返し行なう方法を検討した。水銀の吸着剤としては陰イオン交換樹脂が優れており, 10cm3で嫌気性汚泥約560gを処理することができた。水銀の抽出方珠どしては, KI 共存下で汚泥を好気性化するよりも, 汚泥を好気性化したのち KIを加える方が優れていた。この方法を用い, KI濃度を 0.1あるいは O.02mol・dm-3としたとき, 処理後の汚泥中の水銀含量はそれぞれ 3.7および 6.Omg・kg-1にまで減少した。また, 抽出液の再利用も可能であった。水銀以外の金属としては, 0.1mol・dm-3KIを用いた場合にはカドミウムのみが 86%程度吸着除去された。抽出剤として KIのほかにEDTAを添加すると, 汚泥中の金属 (Cd, Cu, Pb, Zn, Hg)はすべて90%以上抽出されたが, 水銀以外は樹脂に吸着されず溶液中に残存した。これらの結果から, 本法は嫌気性汚泥から特異的に水銀を除去, 回収するための有効な手段であると結論した。
  • 吉村 長蔵, 藤野 隆由
    1987 年 1987 巻 12 号 p. 2351-2353
    発行日: 1987/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The effect of reducing powders (metal hydrides, sulfur and carbon black) were. zompared and scrutinized on the flame atomic absorption spectrometry of magnesium, which shows the highest degree of enhancement by the addition of reducing powders among alkaline earth metals. Measurement was carried out after dispersing these reducing powders by ultrasonic agitator in sample solution that contained 0.05 μg/ml of magnesium in water, N, N-dimethylfolmamide (DMF) or dimethyl sulfoxide (DMSO). Absorbance increased about 2.5 times for DMSO solution with the addition of O.08 w/v% calcium hydride and about 1.2 times for DMF, compared with the absence of the reducing powder. Synergistic effect of organic solvents was also observed.
  • 1987 年 1987 巻 12 号 p. 2354a
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 1987 巻 12 号 p. 2354b
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 1987 巻 12 号 p. 2354c
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 1987 巻 12 号 p. 2354d
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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