著者らはアルミン酸カルシウムで結合された金属酸化物触媒を研究開発した。この触媒は,電解二酸化マンガン(EMD)-アルミン酸力ルシウム(AC)-SiO
2からなり,無焼結で,高比表面積を有し,すでに,家電住設機器用触媒として実用化されている
。この触媒の製法は,粉末状の触媒組成に成形に足る水を添加して,よくかきまぜ,ペースト状にし,つぎに造粒状または,ハニカム状に成形したのちに,温水中で熟成し,乾燥し,成形触媒とする。本研究では,まず,2種類の電解二酸化マンガン(EMD,FEMD)を用い,これらEMDのおよびAC-ENDからなる成形体を調製した。つぎに,これら触媒のCO浄化特性,灯油排ガス中のSO
2の影響,MnO
xの比表面積と価数への影響などを検討したものである。得られた結果を要約するとつぎのとおりである。
1.EMD(FEMD)の-5~+10メッシュの破砕粒は200~400℃,SV1~20000h-1で優れたCO浄化能を示す。しかし,灯油燃焼排ガス中のSO2の影響を大きく受ける。
2.EMD-AC-SiO
2組成の成形体は,250~500℃ で優れたCO浄化特性を示し,しかも,SO
2の影響をそれほど受けない。
3.EMD,FEMDの破砕粒は300℃ 以上で焼結を開始し,比表面積は減少するがMnO
xの価数は変わらない。しかし,SO
2が共存すると,比表面積,MnO
xの価数ともにいちじるしく減少する。
4.EMD-ACからなる成形体は300℃ 以上の温度で比表面積は増加し,MnO
xの価数は変化しない。しかし,SO
2が共存すると比表面積はほぼ一定で,MnOxの価数はわずか減少する。
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