ZnO微粒子を,5,10,20℃ の各温度において,飽和水蒸気を含むCO2ガス雰囲気と反応させ,その変化を粉末法X線回折によって調べた。その結果,反応温度の違いにより,つぎの3種類の塩基性炭酸亜鉛(炭酸水酸化亜鉛)を経由して中性の炭酸亜鉛 ZnCO
3 Smithsonite(JCPDS 8-449)になることが明らかとなった。
(1)20℃(Cu,Zn)CO
3(OH)
2 Rosasite(JCPDS 35-502)と同じ組成およびX線回折図形をもつZnのみからなる塩基性炭酸亜鉛。
(2)10℃Zn
5(CO
3)
2(OH)
6 Hydrozincite(JCPDS 19-1458)(3)5℃JCPDSに未掲載のX線回折図形をもちCO
2とH
20の組成比が1:2である塩基性炭酸亜鉛。
この反応で得られた4種類の炭酸塩の熱分析をDTAおよびTGAによって,またCO
2の昇温脱離特性の測定と定量をFIDガスクロマトグラフによって行なった。その結果,この反応は酸化亜鉛結晶表面とCO
2ガス雰囲気との間に水溶液の層が介在する反応であることが明らかとなり,その反応の機構について考察を加えた。
この反応は,反応条件の微妙な制御が可能であるだめ,ZnO微粒子表面の精密な改質あるいは新しい機能を付加する方法として有効である。
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