フルクトオリゴ糖は,フルクトース転移活性の強い β-フルクトフラノシダーゼを, スクロ一スに作用させることにより製造されている。この場合, その反応後期には, 転移活性が抑糊され, 加水分解活が増大してくるので, より効率的にフルクトオリゴ糖を得るには, この加水分解活性の増大を抑制性する操作が必要となる。
本研究では, これを目的とし, Aspergillus oryzae の生産する β-フルクトフラノシダーゼを, DEAE-セルロースに固定化し, これを, 至適転移活性条件下 (40℃, pH7.8) で, 高濃度スクロ一ス溶液に作用させ, フルクトオリゴ糖の生成条件を検討した結果, 生成物であるグルコースは転移活性を抑制し, 逆にフルクトースは促進することが認められた。これは, フルクトースが, フルクトシル基の受容糖として作用し, 還元性フルクトオリゴ糖の生成量を増加させることに起因していると考えられる。
そこで, 加水分解活性が促進される直前の生成物中のグルコースをグルコースイソメラーゼによってフルクトースに異性化し, 異性化を行なわない場合の反応系との酵素活性の相違について比較したところ, 前者では加水分解活性が抑制され,基質を有効に利用できることが明らかとなった。
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