ZSM-5系ゼオライトを中心に18種の試料について,XPスペクトル (MgK
α X線源) を測定しその結果を整理考察した。
表面組成のうち (Al/Si)
s 値は概してバルク値に近いが, やや Al 分の偏析が認められた。HZSM-5は例外的に (Al/Si)
s 値が小さく, 陽イオン交換時の Al の溶出を示唆した。表面陽イオン濃度 (陽イオン/Si)
α は, 試料によって程度は異なるが, バルク値にくらべて大きい。ただし KZSM-5, RbZSM-5, CsZSM-5 のグループと CaZSM-5 , SrZSM-5, BaZSM-5 のグループでは, 比較的バルク値に近い陽イオン表面濃度であり, 両グループの (陽イオン/Si)
s 値を比較することにより, イオン交換サイトについてある程度考察できる。
Si(2p), O(1s), O(2s) などの束縛エネルギーに, 表面の (Al/Si)
s 比の増加とともに減少し, 表面 Al-O 結合の形成があることと符合した。この点は, 価電子帯 XP スペクトルの解析結果とも符合した。すなわち, ZSM-5 系ゼオライトの価電子帯スペクトルとシリカライトのそれの差スペクトルに, Al-O の酸素に帰属すると思われるシグナルが現われた。
C (1s) の XP スペクトルの半値幅は, Si(2p), Al(2p), および O(1s) の半値幅と一定の相関をもち, 表面炭素種が陽イオンサイト Al-OH
+-Si と相互作用していることを示唆した。
抄録全体を表示