日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1989 巻, 8 号
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  • 加藤 博史, 田中 英司
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1183-1187
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    B4-クラスターのD4h,D2h構造を電子相関を考慮したそれぞれMIDI-1,DunningらのDZP,6-31G*基底で検討した。安定性の順序は1Ag(D2h)<1Alg(D4h)<8Blu(D2h)であった。さらに,D4h・1Alg状態は虚の振動数をもち,Dahの軸交換反応の遅移状態である。D4h,D2hのポテンシャル曲面も図示したが,D4h遷移状態はD2h基底状態より3kcal/mol以下の低い頂上に位置し,また,D2h基底状態はポテンシャルの浅いくぼみに位麗する柔軟な構造をもつ。これらの安定性について電子分布の観点や多体相互作用の観点からも論議した。
  • 鵜飼 正敏, 鈴木 信幸, 新坂 恭士, 籏野 嘉彦
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1188-1194
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    もっとも基本的な反応素過程の一つである励起希ガス原子脱励起過程は種々のプラズマ反応においても重要な役割を果たしている。本諦文ではそれらのなかでも反応の機構の研究のもっとも遅れている励起移動過程について,アルゴン最低励起原子(1P1,3PO,3Pl,3P2)の窒素および六フッ化硫黄による脱励起速度定数をパルスラジオリシス時間分解分光法を用いて測定した。窒素による脱励起速度定数は各状態によって異なり,1.6~6.3×10-11cm3・s-1という比較的小さな値である。また,励起移動反応の生成種としてN2(C3IIu,v)状態からN2(B3IIg,v")状態への発光の減衰を調べ,アルゴンの最低励起状態との衝突によ牲成していることを明らにした。六フッ化硫黄による脱励起速齪数は31~85×10-11cm3・s-1という窒素の場合と比較して大変大きな値が得られ1た。また,共鳴状態原子Ar(1P1),Ar(3p1)では大きく,準安定状態原子Ar(3P0),Ar(8P2)では小さい値となり,大きな状態依存性を示した。
  • 中根 英昭, 土屋 荘次
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1195-1203
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多原子分子の振動緩和の研究に変調励起-位相差検出法を適用し,手法の有効性を検討した。まず,き線形な緩和方程式を仮定し,変調励起にともなう位相遅れを表す一般解を示した。次に,cwCO2レーザーによって,フッ化メチル(CH3F)のv3モードを振動励起し,2vsおよびv1,v4の赤外蛍光の励起光比対する位相遅れを,変調角周波数,CH3Fおよび希ガス第三体(Ar)濃度の関数として観測した。その結果,v3→2v3のモード内エネルギー移動速度,v3からv1,v4にいたるエネルギー移動過程を構成するモード問・モード内エネルギー移動の速度定数を得た。速度定数は,第三体気体Arを加`えることによるモード間エネルギー移動速度の制御を基礎として求めた。これらの速度定数は,QスイッチCO2レーザトによるパルス励起赤外蛍光測定によって得られた文献値とよい一致を示した。
  • 林 久治, 藤村 勇一
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1204-1209
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    二硫化炭素(CS2)蛍光は15kG以下の比較的弱い磁場によりいちじるしい消光を示す。特に,著者らは最近,ナノ秒色素レーザーを用いた蛍光励起スペクトルやピコ秒色素レーザーを用いた蛍光寿命において精密な磁場効果の測定を行った。本論文では,これらの測定結果と有機分子の気相蛍光に対する磁場効果とを比較検討して,気相分子の分子内エネルギー移動に対する磁場効果の機構を統一的に研究した。その結果,有機分子ではデカップリング機構による低磁場領域(1kG以下)での磁場効果が現れるが,CS2ではデカップリング機構と直接機構による磁場効果が高磁場まで(15kGでも飽和しない)現われることを明らかにした。
  • 関谷 博, 尾場瀬 宏, 西村 幸雄
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1210-1216
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルゴン準安定原子(Ar(3P2.0))とCH4,CH3X(X=C1,Brl),SiH4,Si2H6の解離性励起移動によって生成するCH(X2II),およびSiH(X2II)ラジカルをレーザー誘起蛍光法によって検出し,これらのラジカルの生成過程,および生成速度について検討した。発光スペクトル,の測定から得られたCH(A2)とSiH(A2)の生成速度定数からCH(X)やSiH(X)の生成速度定数に対するカスケードの寄与はAr(3P2.0)とSiH,との反応におけるSiH(A→X)カスケードを除いては無視で1きるほど小さい。Ar(3P2.0)とCH,X(X=H,Cl,Br,1)との反応におけるCH(X)の生成速度定数の比はCH4を1とすると,k(CH4):k(CH3Cl):k(CH3Br):k(CH3l)=1:0・28:0・15:0.03と測定された。Arし(3P2.0)とSiH4,Si2H6との反応におけるSiH(X)の生成速度定数の毒限は,それぞれ2・0×10-10,2.2×10-lcm3・moleeule-1s-1と見積られた。CH3X,SiH4,およびSi2H6の反応において反応の余剰エネルギーのCH(X)またほSiH(X)の振動への分配率1〈fv〉は数%以下であり,余剃エネルギーの多くは並進運動に移行していることが示唆された。
  • 平山 鋭, 田中 富士雄, 正畠 宏祐
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1217-1224
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    超音速ジェット中で生成する9-メトキシアントラセン(MEOA)の希ガスvan der Waals錯合体の光解離過程をLIFと蛍光寿命測定法により詳しく調べた。1210より上の振電準位に随伴するvan der Waals錯合体では,錯合体の光解離が見られるようになり,その結果,蛍光減衰曲線はいずれの錯合体においても非指数関数性を示す。これは光解離によってS1の異なった振電準位にあるMEOAが生成することに起因する。蛍光減案曲線の多成分解析から求められる錯合体の相対蛍光量子収率とLIF励起スペクトルのバンド強度比との比較から,ArとKrの場合,1:1錯合体の蛍光減衰は二つの指数関数で十分近似できることがわかった。しかし810に随伴するXeの錯命体にはSt著者らの装置では測定しきれない短寿命成分(<<2ns)があり,これは光解離を受けないで,非常に速く失活する錯合体が存在するためであると考えた。不完全冷却状態(partially cooled state)にあるMEOAについで践求めた蛍光寿命および過冷却状態(supercooled state)での蛍光寿命の過剰エネルギー依存性とから,光解離によって生じるMEOAの一部,過剰振動エネルギーを持たないことが明らかとなった。
  • 真嶋 哲朗, 石井 忠浩
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1225-1232
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (ドウフルオロメヰル)ベンゼン(TFMB)のTEACO2レーザーによる赤外多光子分解反応(IRMPD)を生成物分祈と反応活性種の捕捉によって研究し,その分解反応機構と中間に生成する反応活性種につい評考察した。CF3基吸収をエネルギー注入の窓ロとして赤外多光子励起されて生成した高振動励起状態のTFMBにおいて,C-CF3結合が初期的に開裂して・CF3と・C6H5が生成する。・CF3はパルス内二次的IRMPDによつて:CF2+Fとなり,:CF2の二量化によりC2F4を生成する。低いレーザーフルエンスにおいてもC2F6が生成しないことから,・CF3のパルス内二次的IRMPDは十分速く進行している。一方,・G6H5ぽ二次的IRMPDによって分解しておもにC2H2を生成する。・CF3や・C6H5のパルス内二次的IRMPDは,それらの内部出ネルギーが高いほど起こりやすい。これらの反応活牲種はBr2によって捕捉され,CF3Br,CF2Br,CF2BrCF2Br,C6H5Brが生成する。また高振動励起状態のTFMB≧Br原子とのべシギン環ラジカル置換反応によってプロモ(トリフルオロメチル)ベンゼン(BTMB)が生成する。他のCF3基をもつ分子のIRMPDと比較検討した。
  • 右田 たい子, 茶木 哲, 中山 雅晴, 小倉 興太郎
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1233-1239
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    気相光化学反応中に生成する薙寿命のラジカルを検出するために,液相反応中間体の検出に広く用いられている,スピントラップーESR法を用いることを試みた。気相中のラジカルのスピントラッピングミは,反応ガスを光反応セルからトラッピングセルを通してふたたび光セルにもどす,通過循環方式で行った。またこの際,気相ラジカルが液相の捕捉剤との反応で捕捉される液相法と,固相で反癒する固相法が試みられた。これらの方法を,メタンの活性化法として興味が持たれているCH4-H2O,およびCH4-NH3:-H20光化学反応系に適用した。その結果,液相法では前者からCH3O・が,後者からはこれに加えて・CH2NH2が検出された。固相法でも類似の結果が得られたが,特に後者において第3のラジカル(・CH=NHと予想される)が検出された。これらのラジカルの捕捉量は,系の反応条件を鋭敏に反映して変化し,後者の系では反応気体め分圧比を変化させることで被検出ラジカルが異なるのがモ認められた6これらの結果をもとに,CH3O・は主生成物であるメタノールの光分解によって,また,・C2NH2はメチルアミンからのH引き抜き反応によって生成すると結論された。
  • 佐藤 博保, 川崎 昌博, 笠谷 和男, 岡 正
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1240-1246
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    真空中においた金属基板の表面にNd3+:YAGレーザーの2倍波(532nm)を集光すると,光電子のほか金属イオンが真空中に飛び出してくる。この近傍にエチルアミン,ジエチルアミンあるいはトリエチルアミンをパルスビームとして噴出した。金属イオンとこれらのアミンとのイオン分子反応で生ずる生成物イオンを四重極質量分析計によって測定した。基板金属としてはAl,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,NiおよびNbを使用した。Alでは金属イオンとアミンとの1:1錯体が得られた。Ti,V,Nbでは1:1錯体から水素分子あるいは水素分子(または原子)乏エタンの脱離したイオンが得られるのに対し,Cr,Mnでは1:1錯体イオンおよびこれから水素分子または原子の脱離したイオンが得られた。後者の2種の金属のうちMnでは水素分子の脱離はエチルアミンに対してのみみられ,1:1錯体のまま止まる傾向が強い。Fe,Co,Niでは水素分子,エタンのほかエチレンとメタンの脱離もみられた。これらの特徴から反応の機構について考察した。さらに,エチルアミンとトリエチルアミンの1:1混合気体を用い,これらのアミンとTi+との反応性を比較した。
  • 酒泉 武志, 松居 克, 佐藤 康志, 板谷 正之, 柴野 純二, 大橋 修, 山口 一郎
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1247-1255
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1H-ベンゾトリアズールとそのメチルおよびクロロ誘導体を熱分解し,気相反応生成物をそのまま四重極型質量分析計とマイクロ波分光器により観測した。その結果,気相流通系マイクロ波分光により,従来検出できなかったいくつかの不安定分子種の検出成功した。さらに重水素をトレーサーとして,重水素化物の熱分解成物のマイクロ波スペクトルを解析し,あわせて熱分解反応機構の水素移動についての知見を得ることができた。
  • 伊佐 公男, 面 登志子, 寺井 保彦, 竹内 康高
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1256-1261
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    生体関連物質の質量分析法としてFABイオン化法が発見され,その特微の一つとして,マトリヅクスにグリセリンを用いることが提案され,また,イオン構造解析のために,MS/MS法が案幽された。CADスペクトル(MS/MS法によって得られるスペクトル)の利用がいわれているが,その統一的解釈が,十分行われているわけではない。CADスペクトルの解析のために次のような研究を行った。気相クラスター擬分子負イオン(M1-X-M2)のCADスペクトルの測定の結果,次の3通りの関係が得られた。G<G-H+A<AX(1)G<AX<G-H+A(2)AX<G<G-H+A(3)ここで,G,H,A,Xは,それぞれ,グリセリン,水素,アルカリ金属元素,ハロゲン元素を衷す。これらの関係を説明するために,イオン半径比(rx-/ra+)を求めたところ,(1),(2),および(3) は,それぞれ,2.289~0,923,0.783,0.717~0.657の間に存在した。イオン半径比がX-親和力の大小関係に重要な影響をしていることが,はじめて判明した。このようなイオン半径比の法則は・固相では従来から広く認められてきたが,気相イオンの構造解析でも,あらたに説明できることは,大変興味深い。また,CADスペクトルの意味が,このような親和力との関係で分類できる端緒を示した。
  • 三島 正章, 臼井 聡, 井上 博貴, 藤尾 瑞枝, 都野 雄甫
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1262-1268
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-(置換フェニル)プロペンの気相塩基性度をプロトン移動平衡に基づき,イオンサイクロトロン共鳴(ICR)質量分析計を使用して決定した。その置換基効果は溶液中において決定されたがによって精度よく相関され,α-クミルカチオン(1-メチル-1-フェニルエチルカチオン)の気相安定性は気相におけるσ+置換基効果の基準となることが明らかになった。この結果は,α-クミルカチオンの気相安定性の共鳴要求度がα-クミル塩化物のソルボゾシスの共鳴要求度(1.00)に等しいことを意味し,陽電荷の分子内非局在化が溶媒和により影響を受けないことを示唆した。これは,さらにSN1ソルボリシスの遷移状態における電荷の非局在化が中間体イオンにきわめて近いという結論に導く。α-クミルカチオンの気相置換基効果を基準にしてベンジルカチオンの気相安定性の置換基効果が解析され,α-クミルカチオンより増大した共鳴要求度(1.29)が得られた。この増大は,α-クミルカチオンに比較してベソジルカチオンの低安定性に起因すると解釈され,この様な,系による共鳴要求度の変動は一連のベンジル位カルボカチオンの気相置換基効果の結果に一致した。これらの事実はLArSR式の基本概念の妥当性を強く支持した。
  • 三島 正章, 臼井 聡, 藤尾 瑞枝, 都野 雄甫
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1269-1274
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    m-,p-置換スチレンの気相塩基性度をプロトン移動平衡に基づき,ICR質量分析計を使用して決定した。その置換基効果はLArSR式により相関でき,ρ=-13.6,γ=1.14が得られた。1.0より大きい共鳴要求度はα-クミルカチオンに比較しで1-フェニルエチルカチオンの低い安定性に起因すると解釈された。この結果は安定性の大幅に異なる一連のベンジル位カルボカチオンに対して得られたr値の挙動に一致した。系によるr値の変動はLArSR式に導入した共鳴要求度の概念の妥当性を示す重要な証拠となる。さらにユーフェニルエチルカチオンのr値は1-フェニルエチル塩化物のソルボリシスの値に一致することが見いだされた。プ値の一致は,カルボカチオソ中間体と律速遷移状態におけるπ-電子非局在化がきわめて近いことを示唆する。この結果はソルボリシスのr=L15が溶媒の求核攻撃にモよる機構変動に起因する統計上の所産でなく,明らかに遷移状態あるいは1-フェニルエチルカチオン中間体の構造を反映したこの系に固有の値であることを示す。
  • 辻 正治, 島田 新一, 尾場瀬 宏, 西村 幸雄
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1275-1277
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Excitation and ionization processes of CS radicals by electro n impact have been studied in the energy range of 10-300eV by observing UV and visible emissions from excited products. The CS(X1∑+) radicals were generated by a microwave discharge of a mixture of CS5 and Ar or He. The spectra consisted of the CS+(B2∑+-A2II) and CS(A1II-X1∑+υ=0-2) systems. The emission cross section of CS+(B-A) was smaller t han that of CS (A-X) by a factor of about 8. The CS+(B) and CS(A) vibrational populations in the CS2/He mixture were in reasonable agreement with Franck-Condon factors (FCFs) for the C S(X: υ=0)→CS+(B, υ') ionization and the CS(X, υ"=0)→ CS(A, υ') excitation. On the other hand, the CS(B) and CS(A) vibrational populations in the CS2/Ar mixture were diff erent from those predicted from the above FCFs. These deviations could be explained by taking account of a small amount of vibrational excited CS radicals (Ny=1Nυ=0=0.15) in th e CS (X) radical.
  • 丑田 公規, 中山 敏弘, 濱之上 熊男
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1278-1284
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4Lメトキシカルボニル-2,4,6-トリイソプロピルベンゾフェノン(TIB-4'-CO-OCH3)の室温,ベンゼン中でのピコ秒レーザー光分解においては最低励起起三重項(T1)状態に基づく三重項-三重項(Tn←T1)吸収スペクトルの特性パンド(λmax=N500nm)が0~700psにわたって約320cm-1ほどブルーシフトする。これはT1状態での分子内回転緩和を反映しているものと思われる。また,室温ナノ秒レーザー光分解の結果は二つのカルボニル発色団間での分子内励起エネルギー移動の存在を示しているので,その場合の速度論的取り扱いも行う。
  • 土田 亮, 辻井 敬亘, 大岡 正孝, 山本 雅英
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1285-1291
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピレン発色団の分子内化合物,1,3-ビス(1-ピレニル)プロパンが形成する二量体カチオンラジカルについて,近赤外領域(800~2500nm)におけるレーザー光分解測定を行った。この分子内で形成されるピレンニ量体カチオンラジカルの過渡吸収スペクトルはt1600nmにピークを持つ電祷共鳴吸収帯(CRバンド)を示した。これは,分子閥で生成したピレンニ量体カチオンラジカルのCRパンドの吸収ピークから,約150nm長波長側にシフトしており,配座の違いによる安定化が,分子闘系よりも約1kcal/mol小さいことが示された。また,ピレン単量体カチオンラジカルと,分子内二最体カチオンラジカルに対して,トリエチルアミンによるカチオンラジカル移動の測定を行い,分子内二量体カチオンラジカルの移励速度定数が小さいことから,二量体カチオンラジカル形成による安定化が示された。
  • 保田 昌秀, 松崎 頼明, 山下 敏明, 吉摩 健介
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1292-1298
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,2-ジメトキシエタン,テトラヒドロフラン,および1,4-ジオキサンのような低極性溶媒中で,P-ジシアノベンゼン存在下フェナントレンのプロピルアミンによる光アミノ化反応について検討を行った。この光アミノ化反応はテトラブチルアンモニウムテトラフルオ群ボラートを添加させたときに起こり,9-プロピルァミノ-9,10-ジヒドロエナントレンをする。ところが,塩が存在しなければ,光反応はまったく進行しない。そこで,光アミノ化反応に対する塩効果について速度論的解析を行った結果,フェナントレンとp-ジシアノベンゼンの問で形成されるエキシプレックスが塩によって電荷分離され,その結果生じる「塩によって分離されたイオン対」にアミンが求核付加することで光アミノ化反応が進行していることを明らかにした。
  • 板垣 秀幸, 堀江 一之, 三田 達, 鷲尾 方一, 田川 精一, 田畑 米穂, 佐藤 寿弥, 田中 康之
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1299-1303
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレンのモデル三量体化合物であるイソタクチヅク(mm),シンジオタクチック(rr),ヘテロタクチック(mr)6,8,10-トリフェニルペンタデカン(PS3)の分子内エキシマー形成過程をピコ秒パルス放射線分解法で測定して調べた。配座変化に影響された蛍光減衰曲線を解析することにより,配座変化が主鎖の各炭素一炭素結合のまわりをフェニル基が自由に独立に回転して起こるものではなく,主鎖の協同的な分子運動によって起こることがわかった。1組の隣接フェニル基がエキシマーを形成する時間として,0.5ナノ秒(メソ構造),7ナノ秒(メソ構造),25ナノ秒(ラセモ構造)の値を算出し,他の測定手段で観測されたポリスチレンの希薄溶液中での緩和時間と比較した。0.5ナノ秒の協同的な分子運動がthree bond jump運動である可能性は高いものと推定される。またスチレン三量体のエキシマー形成に対するアルキル末端基効果についても議論した。
  • 辻井 敬亘, 土田 亮, 山本 雅英
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1304-1310
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ(N-ビニルカルパゾール)(PVCz)とポリ(ビニルメチルテレフタレート)(PVMTP)およびそのモデル化合物が非極性溶媒中で形成するカルバゾール(Cz)基-テレフタレート(TP)基間エキシプレッグスについて,その発光スペクトル,発光量子収率および蛍光寿命の測定を行い,また,それちの温度依存性について調べ,エキシプ隣盛レックスにおよぼす隣接基効果について考察した。pyCz,系Cz塞間相互作用にまり,2種嶺のCz-Cz--TP型エクスタープレックスを形成し,その分率は温度依存性を示した。すなわち,室温では,速度論的に形成しやすい部分重なり型の分率が高く,温度上昇につれて,熱力学的に安定なサンドイヅチ型の分率が増加した。一方,PVMTP系においては,エキシプレックス消光は観測されたが,エキシプレヅクス以外の薪たな発光種は確認されなかった。隣接TP基問相互作用は弱いものと考えられた。
  • 徳村 邦弘, 伊藤 道也
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1311-1318
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    室温ヘキサン中安定には存在し得ないパラ置換ベンジルラジカル(D0)の励起状態(D1)の電子スペクトル(D1→D0蛍光,Dn←D1吸収スペクトル)を,2段励起レーザー分光法により測定した。シアノ,メトキシ,フッ素,塩素がパラ位に導入されたベンジルの蛍光寿命が比較的長い(>50ns)ことから,励起状態ラジカルとアミンやジエンとの分子間相互作用を蛍光消光により検討した。また,これらラジカルが室温溶液中蛍光性であることを利用して,パラ置換トルエン三重項(T1)からパラ置換ベンジルラジカルニ重項(D0)へのT-Dエネルギー移動を明らかにした。
  • 村井 裕之, 小谷 敬壱, 小笠原 正明, 吉田 宏
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1319-1324
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ナノ秒の時間分解能を持つパルスラジオリシス装置を用いて,芳香族ケトンアニォンとナトリウムイオンの会合過程准逐次的に観測した。9-フルオレノンとテトラ7エニルホウ酸(1-)ナトジウム(NaBφ4)を含むテトラヒドロ-2-メチルフランを144Kでパルス電子線照射したところ,自由イオンからイオン対,イオン対からより高次のイオン会合体への変換の過程が観測された。ベンゾフェノンとNaBφ4を含む溶液でもほぼ同様の現象が観測された。18-クラウン-6共存下でベンゾフェノンをナトリウム金属還元してESRスペクトルを観測したところ,イオン対の単量体のみが生成していることが確かめられた。同じ溶液で得られた牢常状態の吸収スペクトルと,パルスラジオリシスの結果とを比較することにより,ベンゾフェノンアニオンラジカル-ナトリウムイオンのイオン対は705~740nmに吸収極大をもつごとを明らかにした。
  • 岡本 能樹, 岩本 成正, 千葉 修二, 高椋 節夫
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1325-1331
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    P-ニトロベンジルボスホン酸〔1a〕,ビス(4-ニトロフェニル)メチルポスホン酸〔1b〕,トリス(4-ニトロフェニル)メチルボスホン酸〔1c〕およびトリフェニルメチルホスホン酸〔2〕の光反応の挙動をせん光光分解法および生成物の分析によって検討した。これらはアルカリ性水溶液中で,容易にそのC-P結合が開裂し,オルトリン酸と1,2-ビス(4-ニトロフェニル)エタン,ビス(4-ニトロフェニル)メタンおよびトリス(4-ニトロフェニル)メタンをそれぞれ生成した。〔1a〕は酸性では安定であったが,〔1b〕および〔1c〕は酸性でも同じように開裂した。反応はP-ニトロベンジルアニオン,ビス(4-ニトロフェニル)メタニドおよびトリス(4-ニトロフェニル)メタニドを経て進むことを明らかにした。また,ニトロ基を持たない〔2〕も,同様にアルカリ性溶液では,C-P結合は開裂し,トリフェニルメタニドを経て,トリフェニルメタンを生成した。
  • 貝瀬 正紘, 西原 千鶴子, 野副 尚一, 染野 和雄
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1332-1338
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    極牲溶媒中でのキサントンの光誘起電子移動反応を紫外光照射のESR法,または,時間分解ESR達法によって考察した。
    電子供与体として知られているジアミンの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco,〔1〕)とキサントン〔2〕の系では,光化学反応の初期過程として,全体が発光型にスピン分極したDabcoのカチオンラジカルとキサントンのアニオンラジカルが時間分解ESR法によって同時に検出された。イオンラジカルのスピン分極は,三重項機構に起因することを示し,電子移動がDabcoから三重項キサソトンベ起こることが直接的に示された。
    さらに,p-ベソゾキノン,デトラメトキシ-p-ベンゾキノン〔3〕などの電子受容体を加えた系では,をぴミキサジトシラジカルは観測されず全体が発光型にスピン分極したDabcoのカチオンラジカルとそれぞれの対応する受容体アニオンラジカルが共存するスペクトルが観測された。また,キサントンと共存するベンジルは,電子受容体として作用することが示された。電子移動がまず供与体から三重項キサントンへ起こり,ついで生成したキサントンのアニオソラジカルから受容体へと直接的検証であり,光励起キサントン電子キャリヤーとなっていることを示した。
  • 奥津 哲夫, 小尾 欣一
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1339-1343
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    常磁性化学種間の相互作用によるスピン分極移動の機構を解明するため,時間分割ESR法を用い,三重項-二重項系および二重項-二重項系のスピン分極移動の保存について調べた。三重項-二重項系では,三重項としてスピン分極したアントラセン,フェナントレン,二重項としてニトロキシドラジカル,2,6-ジ-t-ブチルフェノキシルラジカルを用いた。スピン分極移動は三重項のエネルギーがラジカルの第一励起状態よりも高い場合にかぎり観測された。この結果から,スピン分極移動の機構はDexter型の電子交換によるエネルギー移動にともなうものと結論された。
    また,二重項-二重項系としてベンジルトリエチルアミン系の光照射で生じるベンジルアニオンラジカルとニトロキシドラジカルを用い,基底状態のラジカル間でスピン分極移動が起きることを初めて観測した。
  • 藤田 英夫, 山内 淳, 大矢 博昭
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1344-1350
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルバゾール〔1〕,9-メチルカルバゾール〔2〕,および9-エチルカルバゾール〔3〕の一電子酸化還元電位を調べ,それらの酸化還元電位のデータを基礎にして,化学反応によりカチオンおよびアニオミンラジカルを生成させ,それらのESRを測定した。また,〔1〕,〔2〕,〔3〕の9位の置換基を重水素化した化合物を用いて,それぞれのラジカルを調べ,超微細結合定数(hfsc)のの同定の一助とした。ESRデータは分子軌道法(MO)計算結果と照合するとよい一致が認められた。これらのカチオンラジカノヒでは,窒素原子近傍に不対電子スピン密度が局在化しているが,アニオンラジカルの場合は,両方のベンゼン環上に分布して,窒素原子近傍にはほとんど局在していないことが明らかになった。
    〔3〕の9位の重水素化物のアニオンラジカル〔3d-〕では,高分解能のESRスペクトルを得るごとができたので,対カチオンとしてのアルカサ金属種を替えてhfscあ温度依存性を調べた。その結果;ナトリウムとセシウムによるhfscは特異的な温度依存性を示した。それらのhfscの対数表示対温度の逆数でプロットすると直線に乗ることが判明し,イオン対形成過程を仮定して解釈すると,その符合の異なる傾き(Na+;13.47kJ/mol,Cs+;-2.25kJ/mol)は,そのイオン対形成のエンタルピー変化と関連があると思われる。
  • 丸山 和博, 俣野 善博
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1351-1357
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-キノンとアリルスタナンのベンゼン溶液を光照射すると種々の位置がアリル化された生成物が得られてくる。一方,9,10-フェナントラキノンとアリルスタナンとの反応は,暗所でも進行しカルボニル炭素がアリル化された生成物のみが得られてくる。これらの反応に対し,ESR法を適用したところ2種類の常磁性中問体が観測された。1種はトリアルキルスタニルカチオンがカルボニル酸素に強く配位結合したセミキノンラジカルであり,もう1種はアリルラジカルであった。これらの結果は,上の反応がアリルスタナンからキノンへの一電芋移動により引き起こされ,カチオンラジカルの解裂により生じたアリルラジカルがセミキノ呪ラジヵルと結合するという反応機構の直接的な証拠となった。さらにアリル化の倖置選択性が,中間体セミキノンラジカルのスピン密度の分布およびトリアルキルスタニル基の立体効果により矛盾なく説明された。また,カルボニル酸素のスタニルカチオンに対する配位能が,熱的電子移動に対して重要な役割りを果たすことが明らかになった。
  • 宮川 浩一, 井早 康正, 村井 久雄
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1358-1364
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゾフェノンのアニリン類との光化学反応は,その溶媒の極性など実験条件の違いにより,水素引き抜き反応によるケチルラジカルの生成,あるいは,電荷移動によるベンゾフェノンアニオンラジカルの生成,のいずれかが起こる。この論文においては,時間分解ESR法を応用し,シクロヘキサンおよびアセトニトリル中でベンゾフェノン/アニリン類にレーザー照射を行い得られた新しい知見を報告する。シクロヘキサン中においてもアセトニトリル中においても,この実験で直接観測できたのは主に中怪のケチルラジカルであった。系によっては,アニリンから水素が引き抜かれたアニリンラジカルが観測された。N,N-ジエチルアニリン/アセトニトリルを溶媒として用いた場合にのみ,間接的に電荷移動過程を示唆する結果が得られた。特に重要な点は,この実験により,第二級アミンであるN-メチルアニリン,N-エチルアニリン,さらに第一級アミンであるアニリンにおいては,N-H結合部から水素原子がより速く引き抜かれていることが明らかとなった点である。すべての実験を通して得ちれたCIDEP信号は若干非対称な全発光型で,このことはベンゾフェノン三重項状態によるTMスピン分極(全発光)に,RPMによるスピン分極が発光ノ吸収として重なっているものと結論付けられた。
  • 上田 豊甫, 五十嵐 正敏, 田中 晃, 原田 久志
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1365-1370
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    成初期過程の光励起電荷分離反応のモデルと見なされるポルフィリン色素・キノン均一溶液系において,光CIDNPおよびその励起プロフィルの測定が行われた。β-カロチンの共存により,ペンゾキノンおよびそのメチル置換キノンにヒドロキノン-Hの強いCIDNP信号が見いだされた。これは同時に観測されたキノンーHのCIDNP信号の経時変化およびβ-力ロチン濃度依存性を考慮して,β-チンがセミキノンラジルの不均化反応を促進した結果だ雛定さ泌。不均化反応の直接カのロ先駆ゆげ物質は,CIDドPの純分極効果および増大因子の検討から,セミキノンカチオンラジカルとセミキノソスニオンラジカルであり,おそらくβ-カロチンのプゴトン伝達機能により形状を異にしたラジカルィオン対と考えられる。
  • 藤尾 瑞枝, 実松 太, 都野 雄甫, 澤田 正実, 高井 嘉雄
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1371-1378
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ソルボリシス反応におけるイオン性中間体からの原系復帰の薪しい検出法として,:8C--NMRを用いてスルポナート基内の18Oスクランブリングを検出する非破壊検査法の導入を試みた。アルコキシ炭素の13C-NMRは16Oと18Oの直接置換により伺位体シフトを示しそのシグナル分裂から16O18Oを定量する事ができる。目的の炭素の13C標識は13C-NMRによる直接反応の追跡を可能にする。この新手法を13C,18O二重標識の2-メチル-2-フェニルプロピル(以下ネオフィルという),2-フェニルプロピル,2-フェニルエチル,2-( .P-メトキシフェニル)エチル=トシラートのアセトリシス反応の原系復帰の研究に応用した。アセトリシス反応およびO-交換プロセス(原系復帰)が少量の標識化合物の使用により,直接NMR試料管中で13-NMRを測定する事により追跡できた。ネオフィル系では18Oスクランブリングは見られず,従来の仮説の妥当性を初めて実証した。フェニルプロピル系,フェネチル系で,intimateイオン対からの復帰は18O不完全スクランブリングを与え,溶媒介在孝オン対では完全スクランブリングを与え,イオン対の性質がスクランブリングにより区別でき定義でぎる。また,対称なフェノニウムイオン経由のフェネチル系で,復帰の際,18Oの攻撃が両メチレンに等価に起こる事実は,復帰がカチオン-アニオンにイオン化後起こると言う決定的証拠を与えた。この13C-NMRによる同位体シフト法の18O平鰍に搬醜用いることができ,質量スペクトルを使った従来の破壊検査法にくらべ有利である。
  • 嶋森 洋, 法土 和志, 上垣内 寿和, 中谷 佳次, 内田 健治
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1379-1385
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    数年前に著者らが開発したマイクロ波誘電吸収を利用して光励起中間体を検出する手法を用い,いくつかの芳香族ケトン(フルオレノン,アントロン,ベンジル,4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン,4,4-ジクロロベンゾフェノン)を対象として,パルスレーザー光照射で溶液中に生ずる励起三重項状態の検出とその双極子モーメントの決定を行った。双極子モーメントの絶対値は,量子双率1で分解して双極子モーメントが5.1Dから約ODになることが知られているジフェニルシクロプロペノンに対する検出信号との対比から決定された。フルオレノンとアントロンでは励起三重項状態の双極子モーメントは基底状態にくらべて増大したことから最低励起三重項状態はππ*遷移と考えられるが,アントロンではこれまでの結果と一致しないeベンジルの場合nπ*遷移であるがその双極子モーメントが励起状態でODになることから二つのカルボニル基がトランス形に向いていると考えると考えられる。電子供与性基をもつ4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンと電子求引性基を持つ4,4'-ジクロベンゾフェノンはそれぞれ励起状態において双極子モーメントは大幅な増大(C-T遷移)と減少(nπ*ロ遷移)を示しており,励起状態での電子密度分布に対する置換基の効果が明瞭に現われている。
  • 大橋 守, 秋山 信一, 山田 修三
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1386-1391
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N,N-ジメチル-2,2-ジフェニルエチルアミン〔1〕は電子衝撃により窒素上に局在化したラジカルカチオンを生じ,これを推進力とするβ開裂および熱力学によって決まるStevenson則によりそのフラグメンテーションが説明される。一方,〔1〕の一電子酸化(アセトニbリル中)ではPh,CH・(b)に由来するPhzCHCIが得られ,また,同溶媒中〔1〕の存在下で9,10-ジシアノアントラセンを光照射して電子移動を行わせて生じた〔1〕のラジカルカチオンも(b)に由来する生成物〔5〕と〔6〕を与えたので,〔1〕のラジカルカチオソは気相中で電液相中でも同様のβ-C-C開裂を起こすことが明ぺぴらかとなった。ラジカルカチオンの開裂に関して,ヵチオンの局在化位置を推進力とするchargelocalizationの概念とフラグメントイオンの電荷保持に関するStevenson則を溶液用に酸化電位と読みかえて拡張すれば,溶液内で生成するラジカルカチオンの単分子分解反応は一般的に質量スペクトロメトリー類似反応と呼ぶことができる。
  • 中村 建介, 長村 吉洋
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1392-1399
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ab initio分子軌道計算により,2-ヒドロキシエチルカチオン(+CH2CH20H)およびそのメチル置換体数種類について分子構造を求め,それらの安定性を比較した。このカチオン種はピナコール転位反応の中間体であると考えられているが,計算の結果カチオン中心が第憎級である場合には転位基が水素原子でもメチル基でも単分子的に転位が起きる。また第二級の場合でも転位基によらずほとんど無障壁で転位が起きることが計算の結果示された。カチオン中心が三級炭素原子である場合にはポテンシャルエネルギー曲面上の極小点としてβ-ヒドロキシカチオンぷ存在する可能性があるが,ピナコール転位反応の中間体として必ずしもβ-ヒドロキシカチォンが生成してから転位が起きるという必要性は塗いと考えられる。これらの結果は反応生成物の立体化学を予測する上で,考慮すべき反応機構について有用な示唆を与える。
  • 中平 隆幸, 松浦 たか子, 寺松 泰英, 佐々木 和治, 岩淵 晋, 小嶋 邦晴
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1400-1402
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    In water containing β-cyclodextrin, guest compoun ds 2-naphthylalkanols exhibit, in addition to monomer emission, excimer emission whose emission λmax shifts to the shorter wavelength with increasing branching in the hydroxyalkyl group of the guest molecule, i. e., 400 nm (2-naphthylmethanol), 385 nm (1-(2-naphthyl) ethanol), and 365 nm (2-(2-naphthyl)2-propanol). The depencence of monomer and excimer emission intensities on β-cyclodextrin concentration revealed the initial formation of 1: 1 inclusion compounds and subsequent dimerization to 2: 2 inclusion compounds, the latter leading to formation of excimers upon excitation. The increased steric crowding in the β-cyclodextrin cavity of the 2: 2 inclusion compound appears to prevent entrapped grest molecules from attaining stable sandwich-type excimer configuration, resulting in the observed shift of excimer emissionλmax
  • 安福 克敏, 野田 久尚, 尾中 証, 小林 孝嘉
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1403-1405
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Laser flash photolysis of (CH3)2Sn[Mn(CO)5]2 [1] was studied in cyclohexane solution using 355 nm laser flash light for excitation. One transient having absorption maximum at 480 nm with a long life time (τ1/2-0.5 s) was observed. No evidence for Sn-Mn bond photoeleavage was observed. The effect of CO on the decay kinetics of the transient as well as no inhibiting effect of CCl4 for formation of Mn2(CO3)10[2] showed the non-radical mechanism for formation of [2] from [1].
  • 長谷川 喜範
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1406-1407
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The change in the electronic spectra for the reaction of 2, 4, 6-trinitroanisole with several amines (butylamine, pyrrolidine, piperidine, and diethylarnine) in dimethyl sulfoxide has been measured with the rapid scan spectroscopy. The 1, 3-σ complex M-, which is formed at the initial stage of the reaction, is gradually conveted into the intermediate 1, 1-a complex I-, giving the final product. As shown in Fig.1, distinct spectra of the 1, 3complex M-and the intermediate 1, 1-complex I- are observed. Spectral data for the a complexes observed are presented in Table 1.
  • 小沢 俊彦, 花木 昭
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1408-1411
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Short-lived phosphorus-containing inorganic anion radicals (PO32-⋅and HP02-⋅) which are produced by the one-electron oxidation of the corresponding parent ions with hydroxyl radical (OH) or CO4+ ion were trapped by water-soluble spin traps, α-(4-pyridyl)-N-tbutylnitrone N-oxide (POBN) and 3, 5-dibromo-4-nitrosobenzenesulfonate (DBNBS), as confirmed by electron spin resonance (ESR) spectroscopy. When 5, 5-dimethyl-1-pyrroline Noxide (DMPO) was used as another spin-trap, however, the oxidation product of DMPO, 2, 2-dimethyl-(5-oxo-1)-pyrrolidinyloxyl (DMPDX) was detected instead of the DMPO-phosphoruscontaining inorganic anion radical adduct, probably because of the instability of the latter adduct.
  • 中田 宗隆, Heinz FREI
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1412-1417
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    可視光(とくに赤い光)で励起したNO2(A2B2←X2A1)によるイソブテンの光酸化の反応中間体の構造と反応について,低温マトリックス単離赤外分光法を用いて調べた。その結果,反応中間体として亜硝酸イソブチルラジカルが得られることを赤外吸収スペクトルの解析によって見いだした。また,亜硝酸イソブチルラジカルの生成速度定数と反応速度定数を赤外吸収強度の時間変化から求め,さらに,速度定数の照射光エネルギー依存性について検討を行った。最終生成物としては1,1-ジメチルオキジデンと2-メチルプロパナールが得られた。他のプテンの光酸化皮応め結果との比較から,NO2(A2B2)によるブテンの酸化反応は立体選択的な最反終応生で成あ物りの,反立応中体間配体およびは,出発物質の立体配座に強く依存することがわかった。
  • 石橋 孝章, 古州 行夫, 田隅 三生
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1418-1422
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    低温アルゴンマトリックス中に単離したイソプレンの赤外スペクトルを測定した。マトリックス中に単離した後に低注水銀灯を照射する方法と,加熱したノズルから吹き付けてマトリックスを生成する方法とによって,準安定異性体の量を増加させることできた。Bockらが行った非経験的分子軌道法よる振動解析の結果と比較することにより,準安定異性体をゴーシュ形に帰属した。
  • 堀 靖郎, 柏原 久二
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1423-1430
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    不安定ラジカルのESRによる研究において,マトリックス分離法の一方法として,チオ尿素-炭化水素包接化合物の利用が有用であることを示した。チオ尿素一炭化水素化合物を低温でγ線照射し,適当な温度で熱処理することにより,ゲストの炭化水素から水素を引き抜いた形のラジカル種の内一番安定なラジカルのみを純粋に安定に捕捉することができる。このラジカルの濃度は十分に高く,ラジカルの構造・運動姓をESRにより研究できるeなお,もっと高温では,チオ尿素のつくるトンネル内に沿ったラジカル移動により,ラジカルは消滅する。
    この方法を利用して,メチルシクロヘキシルラジカルの構造と運動性をESRにより研究した。77Kから269KでのESRスペクトルを観測し,つぎのような結論を得た。メチルジクロヘキシルラジカルは非平面ラジカルであり,二つの配置をもつ。77Kから172Kでは両配置間での存在比が変化し,172Kから210Kではラジカル炭素での傘反転が起こる。210K以上では傘反転に加えてシクロヘキサン環の環反転が紀こる。
  • 富岡 秀雄, 大田和 康規, 村田 滋
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1431-1439
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フラッシュ気相熱分解(FVP)条件下発生する(メトキシカルボニル)フェニルカルベンの反応性を検討した。o-(メトキシカルボニル)フェニルジアゾメタンを350~450℃ でFVPすると3-メチルフタリドと2-メトキシ-1(2H)-ベンゾシクロブテノンが得られた。これらの化合物の生成は,発生したカルベンが隣接するメトキシカルボニル基と相互作用しカルボニルイリドを形成したと考えることにより説明される。m-およびp-置換体でも同じ2種類の生成物が得られたがその生成比はo-体といちじるしく異なった。この理由をo-(メトキシカルボニル)フェニルジアゾメタンにおけるジアゾ炭素と隣接置換基との相互作用により説明した。FVP条件下における反応中間体として考えられるカルボニルイリドとその閉環異性体であるオギシラソは,o-(メトキシカルボニル)フェニルジアゾメタンの1OK,Arマトリックス中の光化学反応によってIRスペクトルを用いて直接緯測することができた。一方,o-体とは対照的にp-置換体では,カルペンの生成とシクロヘプタテトラエンへの異性化が観測された。
  • 赤阪 健, 矢部 朗, 永瀬 茂, 安藤 亘
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1440-1446
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    低温酸素マトリックス中での光化学反応により過酸化物中間体-シラノンオキシド〔7a〕およびペルスルキシド〔10a〕~〔12a〕を合成し,IRスペクトルにより検出した。酸素マトリックス中トリシランの光分解によりシリレンを発生させ,酸素分子との付加体を形成させた。18O2および16O18Oの同位体標識した酸素を用いることにより付加体が環状構造〔21b〕ではなく,開環形のシラノンオキシド構造〔2a〕を有することを明らかにした。理論計算1(HF/6-31G*)も行いジヒドロシリレン-酸素分子の三重項状態の付加体がシラノソオキシド構造を有し,振動解析の結果,O-O伸縮振動の吸収帯の理論値とジメシチルシリレン-酸素付加体の実測値が一致した。低温酸素マトリックス中スルフィドー酸素の接触電荷移動錯体のUV照射により付加体の生成をIRスペクトルにより確認し,同位体実験の結果,環状構造〔3b〕ではなく開環形のペルスルホキシド構造〔3a〕を有することを明らかにした。
  • 安藤 亘, 石塚 仁, 熊本 頼夫, 時任 宣博, 矢部 明
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1447-1455
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    立体保護を利用して安定に合成単離した薪規な環状ポリスルブイド〔4〕,〔5〕,〔6〕,〔8〕およびミポリセレニド〔9〕,〔10〕の光反応を検討した結果,容易に脱硫あるいは脱セレン化が進行し1,2-ジチオンおよびそのセレン類似体を生成すること,また種々のオレフィンを捕捉剤として共存させた場合に効率よくその環状付加反応生成物を与えることがわかった。また,1,2,3-セレナジアゾール〔1〕の熱反応によっても,4-t-ブチル-1,2,3-セヒオジアゾールをセレン源として用いることで,中間に1,2-ジセロンの生成が可能であることがわかった。
    さらに〔8〕,〔9〕,〔10〕およびその関連化合物の光分解に関し,低温マトリヅクス法を用いた電子スペクトル測定による反応追跡を行い,反応初期に生成する中聞体の構造に考察を加えた。特に1,2,5-チアジセレノール〔10〕の系においては,溶液中での光反応で見られた競争的脱硫および脱セレン化反応の共通め中間体と考えられるスピロチアセレニラン構造を有する薪規な反応活性種の存在を示唆する結果が得られた。
  • 古賀 登, 岩村 秀
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1456-1462
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1~4個のα-ジアゾベンジル基を組み込んだテトラフェニルポルフィリンを合成し,光分解により対応するカルベンを発生させた。得られたカルベンーポルフィリンについて,電子スペクトルおよびESRスペクトルの測定を行った。微細構造シグナル強度の10~50K領域における温度依存の実験からピス体における二つの異性体のうち,syn-体では,2個のカルベンがポルフィリン環を通して強磁性的に相互作用して,基底五重項種が生成し,一方,anti-体では反強磁性的相互作用により基底一重項種が生成していることが明らかとなった。
  • 秋山 公男, 手老 省三, 生駒 忠昭, 池上 雄作
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1463-1465
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Time-resolved ESR spectrum was observed for the triplet enol generated by intramolecular proton transfer in the excited singlet state of o-aminoacetophenone at 77 K. The phase of the polarization and the zero field splitting (ZFS) parameters suggested the formation of the corresponding enol in accordance with previous results. Polarized ESR spectrum due to the excited triplet state was also obtained under laser pulse irradiation to p-aminoacetophenone.
  • 友田 修司, 下田 昌克, 竹内 敬人
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1466-1468
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Degassed dilute solutions (10-3-10-4 M) of dialkylbis(phenylseleno)germanes (alkyl, : ethyl, propyl and butyl) in 3-methylpentane were irradiated with low-pressure Hg lamp (253.7 nm)at 77 K and their UV spectra were observed. In each case, the UV spectrum exhibited the maximum absorption at 425 nm, which was tentatively assigned to the dialkylgermylene according to our previous report on dimethylgermylene, together with three minor bands at 330 and 490 nm with a shoulder at 380 nm.
  • 若狭 雅信, 堀内 恭子, 持田 邦夫
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1469-1471
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Triphenyl-substituted group 4 B element-centered radicals, generated from the corresponding hydrides by irradiation with a low-pressure Hg arc lamp, were examined by UV and ESR at 77 K. The group 4 B element-centered radicals showed absorption peaks at 325-330 nm and molar extinction coefficients of ca.103-104. The group 4 B element substituted cyclohexadienyl type radicals were also generated by irradiation of the hydrides.
  • 市川 恒樹, 山口 正昭, 吉田 宏
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1472-1476
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    H-モルデナイトにブテンを吸着させた際に観測されるラジカルの生成機構をESRを用いて調べた。H-モルデナイト中には不純物として鉄イオンが存在するが,吸着水の存在下ではその多くが鉄(II)イォンになっている。H-モルデナイトを脱水したのち酸素中で焼成すると,これが酸化されて鉄(III)イそオンとなる。ブテンはH-モルデナイトのBrφnsted酸点により反応し,一部が2,3-ジメチル-2-ブテンとなる。これは鉄(III)イオンを主とする金属イオンで一電子酸化されてカチオンラジカルとなり・鉄(III)イオンは還元されて鉄(II)イオンとなる。カチオンラジ勇ルは2,3-ジメチィセ-2-ブテンと反応して二量体のカチオンラジカルとなり,これがさらに反応して1,1,2-トリメチルアリルラジカルとなる。カチオソラジカルを経る反応はブテンの触媒反応にはほとんど寄存していない。
  • 臼井 聡, 上畠 章裕, 馬場 尚, 中村 博, 松尾 拓
    1989 年 1989 巻 8 号 p. 1477-1485
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水中二分子膜表面,逆ミセルの水一有機界面に担持した亜鉛ポルフィリン錯体からビオロゲン(V2+)への光誘起電子移動反応にミクロ環境と外部磁場の与える影響を,レーザーポトリシスにより検討した。V2+が二分子膜表面に静電的に吸着された系や,逆ミセルwaterpoo1(wp)中に閉じこめられた系では,三重項ラジカル対の減衰に基づく過渡吸収が得られ,二分子膜表面の静電場や逆ミセルのwpが“solventcage”となり,擬似連結系が構成されることが示された。この三重項ラジカル対の再結合反応速度は,磁場の印加により抑制され,その機構は三重項ラジカル対サブレベルのZeeman分裂とスピン緩和機構で説明される。また,再結合速度およびその磁場効果は,V2+還元体(V+)と二分子膜表面の静電相互作用の減少や,wpの半径の増加によるラジカル間距離の増加により減少した。この磁場効果の減少はラジカル間距離が増加し溶媒中にV+が拡散することでラジカル対のスピン緩和が進み,スピン状態における三重項性の減少の結果によるものである。また再結合速度のラジカル問距離依存性は,反応の律速過程がスピンの緩和からV+の拡散となったためであると説明される。
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