日本化学会誌(化学と工業化学)
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1990 巻, 9 号
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  • 佐藤 登, 南 達郎
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 899-907
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Zn3(PO4) 2.4 H2O . ZI13-xMnx( P O4) 2. 4H 2O で示されるhopeite結晶の構造状態を知る目的で,XANESスペクトル,EXAFSのFaurier変換,ならびにEXAFSの逆Fourier変換とカーブフィッティング法を適用し解析した。hopeite結晶中の亜鉛およびマンガン原子に対するXANESスペクトルから局所構造の変化を確認し,結晶中のマンガン成分はMn(II)の状態で存在していることを裏付けた。両hopeite結晶中のZn-K吸収端に相当するEXAFSのFourzer変換から.Zn-Oの結合距離を0.145nm付近に得たが,逆Fourier変換とカーブフィッティング法によって位相シフトを補正したところ,実際の結合距離は0.195nm近辺であることを明らかにした。そしてこの結合距離は,hopeite結晶の単位構造である[ZnO4]の四面体構造内の,Zn-Oに相当するものであることがわかった。一方,改質hopeite結晶中のマンガン原子について同様な解析を試みた。Mn-Oの見かけ上の結合距離は0.162nmと得られたが,位相シフトの補正をしたところ,実際の結合距離は0.215nmであった。マンガン原子の配位数Nは6.8を示し,これはマンガン原子がbopeite結晶の単位構造である[ZnO2(H2O)4]の八面体構造内の亜鉛原子を,[MnO2(H2O)4]のように置換して配位することを示唆した。本研究によって,これまで未解明であったhopeite結晶の改質構造を詳細に解析し決定することが可能となった。
  • 桑田 茂樹, 三浦 則雄, 山添 舜
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 908-912
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固体電解質酸素センサーの小型化・簡素化のため,H+型NAFION(プロトン導電体)を用いた・対極を分離しない次のような平面型セルを構成し,常温作動型センサーとしての応答特性について検討した。
    Au(対極)| NAFION(固体電解質)|Pt(検知極)
    本素子の起電力および短絡電流は,25℃ において従来の対極分離型素子と同様塗応答を示した。すなわち,検知極側では次のような電極反応が起こってしいると考えられる。
    O2 + H+ + e-=HO2
    したがって,この平面型センサーでは対極への参照ガスの導入や対極分離の必要はなく・また短絡電流を検知信号とする場合には,外部電圧印加のための電源も必要としないため素子の小型化・簡素化・および集積化が可能である。さらに,本素子では電極上での最終電解生成物は水であるので・被検ガス.雰囲気を加湿することで応答僑号に対する電解生成物の影響を取り除くことも可能である。
  • 藤谷 忠博, 上木 修, 越後谷 悦郎
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 913-918
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担体に球状アルミナを使用し,各種のニッケル塩を出発原料とし含浸法によりNiO-AI2O8触媒を調製し,これを水素還元して得た触媒の煙状(ニッケルの分布状態,分散性)と触媒活性との関係を検討した。パルス法による一酸化炭素の化学吸着量から求めた平均粒径は,ギ酸ニッケル(II)J炭酸ニッケ0ル(II)および塩化ニッケル(II)を出発物質として用いた場合f約160;Å以上であったが,酢酸ニッケル(II),硝酸ニッケル(II)を用いた場合のニッケル粒子径は,50Å程度で高い分散牲を示した。触媒の還元特性より担体の影響を検討レた緕果・用いるニヅケル塩出難原料によりアルミナ担体とニッケルとの相互作用が異なることがわかり,これが粒子径に大きな影響を与え,出発原料により担持状態を制御できることがわかった。一方,ベンゼンの水素化およびトルエンの水素化脱メチル反応においては,酢酸ニッケルおよび硝酸ニッケルを用いた触媒が高い活性を示し,ニッケル塩出発原料と触媒性状および触媒活性との間には密接な関係があることが示唆された。
  • 坂井 淳一, 磯貝 浩司, 猪嶋 利昭, 高橋 尚子, 宇田 美和子
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 919-926
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    n-アルコキシビシクロ[n-3.1.0]アルカンのendo/exo-メトキシ置換体(n=6,7,8,9)およびシクロヘキシルオキシ置換体(n=6,7)をパラジウム活性炭触媒,Raneyニヅケル触媒で水素化し,環開裂位置選択性におよぼす酸素置換基の効果と分子内ひずみの影響について検討した。メトキシ置換体は,縮合環の大きい場合(n=8,9)はメトキシル基の隣接結合で開裂し,六員環縮合体(n=7)では主として隣接結合で開裂したが縮合位結合の開裂もともなった。五員環縮合体(n=6)では優先的に縮合位で開裂が起こった。endo置換体は対応するexo置換体にくらぺて縮合位で開裂する割合が大きく,メトキシル基が脱離した環拡大アルカンを生成したのに対して,ex0置換体からはメトキシル基を保持した環拡大生成物が得られた。Pd触媒では縮合位での開裂が,Ni触媒では隣接結合での開裂が優位となった。シクロヘキシルオキシ置換体においてもメトキシ置換体と同様にi五員環縮合体では縮合位の開裂が優位となり,六員環縮合体では一方的に隣接結合の開裂が起った。分子内ひずみが大きい場合はひずみの解消が縮合位を開裂させ,小さい場合はアルコキシル基の触媒への吸着が隣接結合の開裂を引き起こしたと考えられる。
  • 山口 一裕, 草野 圭弘, 福 原実, 土井 章
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 927-931
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    備前焼の火だすきの形成過程について詳細に検討するため,備前焼粘土に含有されている主な粘土鉱物であるハロイサイトと稲わらに含有されている塩化カリウムの反応について熱分析,X線回折などにより考察した。ハロイサイトは構造水の脱水過程において塩化カリウムと反応してHC1を発生した.塩化カリウムの添加量を増加するとこの反応温度は低温側へ移行し,20wt%(ハロィサイトと塩化カリウムのモル比1:0.6)までは添加した塩化カリウムはすべてハロイサイトと反応した。添加量を30wt%にした場合,未反応の塩化カリウムは768℃ で融解後,900℃ 付近で気散した。また,この塩化カリウムの気散過程でふたたびHC1の発生が認められた。さらに昇温すると1042℃ でカリオフィライトと少量のコランダムを形成した。このカリオフィライトは1240℃ で石英と反応してリューサイトを形成した。DTA曲線上のγ-アルミナ(あるいはスピネル)の形成による980℃ の発熱ピーク強度は塩化カリウムの添加量の増加とともに弱まり,20wt%で消失した。また1300℃ でのムライトの形成量もこのピークに比例して減少,消失した。
  • 石川 徳久, 松 下寛
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 932-938
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種塩橋電解質について,強酸溶液およびpH標準液中における液間電位差を検討した。陽イオン輸率がKCIのそれより小さい塩橋電解質は,水素イオンに起因する液間電位差の変化を減少させるため,酸溶液中の水素イオン濃度の測定に推奨される。二つのpH標準液(フタル酸塩と中性リン酸塩)を用いて求めたガラスー比較電極対の見かけの応答勾配は,塩橋電解質の輸率にほぼ比例した。中間pH領域で液問電位差を最小にするためには,対称電解質の輸率はほぼ0.5でなければならないという衆知の必要条件が,酸溶液中での液間電位差および見かけの応答勾配についての二つの異なる実験から確認された。3.03mo1.dm-3KC1と0.97mo1・dm-3CH3CO2Naの混合物は,25℃,三つの標準液(フタル酸塩,中牲リソ酸塩,ホウ酸塩)についてNernst勾配が得られるため,中間pH領域での一般測定に適している。3mo1.dm-8KNO8も,その応答勾配はNernst値よりも低いが,三つの標準液について実験誤差範囲内で直線検量線が得られるのでt単一電解質の塩橋液として有用である。これら塩橋液は,約0.01pHの誤差を許容すれば,KCI-CH3CO2Naにっいて炭酸塩標準液,KNO3にっいてシュウ酸塩標準液を含めた四つの標準液のpH範囲にわたって使用されうる。標準液を用いて得られる検量線の直線性という点で,KNO3塩橋液は,広く用いられるKC1塩橋液よりも実用的にすぐれている。
  • 野口 英行
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 939-944
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カリウム-18-クラウン-6錯体によるピクリン酸イオンの25.0℃ での抽出平衡定数(Kex)を9種の抽出溶媒について決定した。log Kex 4. 95 (CH2C12), 4.85 (CHCl3) , 4.43 (CH2C1CH2C1)3.39 (C6H5C1), 2.31 (C6H5CH3) , 1.91 (m-(C1H3)2C6H4), 1.51 (C6H5CH ( CH3)2), 1.48 (CS2), 1.04(C2H50C2H5)の順に減少する。著者はIogKexが18-クラウン-6の分配係数の対数(10gKd,L)と直線関係を示すことを見いだした。本イオン対抽出系に正則溶液論を適応し,イオン対の溶解パラメーターおよびモル体積を12.3(ca1.cm-3)1/2.280cm3.mo1-1と決定した.さらにlogKexと10gKd,Lが直線関係を示し,傾きはイオン対と配位子のモル体積の比となることを正剛溶液論を用いて説明した。
  • 西田 晶子, 竹下 誠, 原田 敏直, 藤崎 静男, 梶返 昭二
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 945-948
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    9-(2-メチルフェニル)-9-フルオレノール1を出発原料として,数段階を経て9-(2-ジメチルアミノメチルフェニル)フルオレン4および9-(2一ジメチルアミノメチルフェニル)-9一フルオレノール5を合成した。これらは室温においてSP体が優勢配座であるごとが判明した,つぎに4のCDC13溶液にトリフルナロ酢酸を少量ずつ添加したところ4の塩が生成し,優勢配座がSPからapへと変化した。生成した4-ap塩はN-H… π 相互作用により安定化しているものと推定した。4のこの相互作用が9-(2一ジメチルアミノフェニル)フルオレン6のそれとくらべて強いことを,4のジメチルアミノメチル基の塩基性が6のジメチルアミノ基の塩基性より強いことから説明した。また酸としてトリフルオロ酢酸のほか酢酸を用いて,4塩の配座平衡におよぼす酸の強さの影響を調べたところ,弱酸の酢酸ではその平衡も ap/sp=7/3を限度とすることが判明した。
  • 古川 功, 江原 誠二, 橋本 静信
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 949-954
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジハロトリフェニルポスホランと1-アリ-ル-2-ヒドロキシ-1-アルカノンジメチルアセタール1のi 反応について検討した。ジブモトリフェニルボスホラン2またはジグロロートリフェニルホスホラン3を,アセトニトリル溶媒中ピリジン存在下で1と加熱反応させると短時間で2-アリールカルボン酸エステル4が得られた。4の収率は1の芳香環上の置換基によって影響を受け,電子供与基をもつものはを好収率(94~95%)で与えたが,電子求引基をもつものでは低収率となった。一方,ジョードトリフェニルホスホラシを同条件で反応させると4は得られず,1-アリールー1一メトキシー2一アルカノンが好収率(84~88%)で得られた。以上の結果からジハロトリフェニルホスホランのハロゲンを変えると異なる生成物が得られ,特に2または3を反応試剤とする方法は,4の有効な合成法であることが明らかとなった。
  • 黒綺 富裕, 矢野 真司, 加藤 徹, 若月 淳也
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 955-961
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン酸エステル堪型両親媒性モノマーである,phosphate (Cn-AHMP-Na)Sodium alkyl 2-hydroxy--3-thethacryloyloxypropylを,リン酸二水素アルキルの-ナトリウム塩(Cn-MAP-Na)とメタクリル酸2,3-エポキシプロピル(EPM)の反応により合成した。HPLC分析や31P-NMR分析の結果,C12-AHMP-NaはEPMのエポキシ基のβ開裂体であった。AHMP-Naモノマーの種々の物理化学的諸物姓(種々Cのn-溶荊への溶解性,臨界ミセル濃度(cmc),cmcにおける表面張力(γcmc),ミセル形成自由エネルギー(∠Gmic),分子占有面積(A))を測定した。さらにC12-AHMP-Na/水の2成分系の相図を作成した。36%以下の濃度では等方性のミセル溶液,39~62%ではミドル相,67~72%でラメラ相85%以上では結晶であった。水溶液中で重合したC12-AHMP-Naのホモポリマ-は,水,メタノ-ルを増粘した。また,ポリエチレングリコールジアクリラートで橋かけしたCn-AHMP-Naのポリマーは水,メタノールを吸液し零たが,エタノールはほとんど吸液しなかった。ミドル相の固定化を目的に,C12-AHMP-Na/水の2成分系相図のミドル相領域で重合を試みたが,重合物は等方性となり,ミドル相の固定化はできなかった。
  • 森川 尚, 安達 千波矢, 筒井 哲夫, 斎藤 省吾
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 962-967
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々のフタロシアニン(Pc)とベリレン誘導体(PTC)を用いて,(ITO(インジウム-スズ酸化物)/PTC/Pc/Au)構造の素子を作製した。これらの素子はすぺて遮光状態において・.Au電極に正電圧を印加したとき順方向となる整流性を示し,光照尉によってAu側が陽極になる光起電力を示した。短絡光電流は光量に対してほぼ比例して増加し,解放端光起電力の大きさは光量の対数に対して比例して増加した。また,これらの素子は光電流の波長依存性に,組み合わせたPTCとPcの吸収特性の違いによると思われる差が生じた。この光電流スペクトルの結果から,PTCおよびPcの両方で光電変換が行われていると考えられる。また,組み合わせたPc・PTCの種類によって・光電変換効率の大きさに明確な差が現れた。
  • 後藤 義隆, 林 昭男, 中山 雅陽, 渡辺 敏行, 宮田 清蔵, 本田 一匡, 後藤 みどり
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 968-975
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルキルチオ置換カルコンの誘導体を50種類合成し,その第二高調波発生(SHG)について検討を行った・その結果,特に,4'位にハロゲンが置換された一連の化合物群が高い割合で良好なSHG活性を有し,かつ青色光透過性にも優れていることがわかった。このうち4-メチルチオー4なプロモカルコンに関して,結晶摘造解析を行った結果,中心対称性のない,空間群Pcの単斜晶系であることがわかった。また,分子が同一方向に平行に積み重ねられたパツキングをしており,双極モーメントが強く残っている結晶構造をとっていることが明らかとなった。
  • 松田 公昭, 青井 正慶
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 976-981
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アミノメチルホスホン酸残基を有するキレート樹脂(MC-95)による亜鉛鉱津の硫酸浸出液(103mg In8+.dm-3-2.1 g Fe8+.dm-8-4.1g Fe2+.dm-8-123g Zn2+.dm-3-8.1 mg Ni2+.dm-3-pH 0.7)中のインジウムの経済的な回収方法につい調べた.浸出液の還元処理により,MC-95への鉄イオンの吸着は,ほとんど無くなりインジウム吸着量が1.5~2倍向
    上した。60℃ のインジウム吸着速度は,25℃ の約1.5倍速かった。MC-95に吸着したインジウムは,硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液により溶離でき,溶離液中のインジウムは,硫化ナトリウムの酸化反応により水酸化インジウムとしてほぼ100%析出回収できることがわかった。MC-95による亜鉛鉱津の硫酸浸出液のインジウムの回収は,(1)浸出液の還元処理,(2)MC-95と還元処理浸出液との接触処理,(3)2molH2SO4.dm-3.t.soln.とMC-95との接触によるインジウム以外の金属の溶離,(4)0.04molNa2S.dm-3-2molNaOH.dm-3の水溶液によるインジウムの溶離(5)インジウム溶離液の酸化処理,(6)炉過の工程を順次行うことにより,99%以上の純度の水酸化インジウムを効率的に回収できた。
  • 東海 明宏, 菊地 幹夫, 若林 明子, 吉田 多摩夫
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 982-991
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    化学物質の水環境中での濃度分布と挙動を明らかにするため,指標化学物質としてアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS),リン酸トリブチル(TBP),およびヘキサクロロベンゼン(HCB)を対象として東京湾水域における環境調査を秋季と夏季に行った。LAS・TBPの濃度は・秋季の水質事よび底質では,河川で最も高く,次に東京湾の湾奥の沿岸部で高くt中央部で低い傾向が見られた。海水におけるこれらの物質の濃度分布を支配する因子の一つは河川水と海水との混合割合であった。海水におげるHCBは,夏季河川流量が増大した直後の調査でのみ検出され,また,この時はLAS,TBPは低濃度であるかまたは検出されなかった。このことは陸域で土壌・底泥に吸着されて存在するHCBなどの化学物質は河趨流量が増大した際に海域に流入し,一方,水に溶けて存在するLASなどの化学物質は常時海域に流入することを示し,化学物質の海域への流入はその物理化学的性質と気象条件とにより支配されることがわかった。また,比較的生分解性の大きなLASは比較的生分解牲の小さなTBPとくらべて河川から海域にかけて濃度が減少しやすく,化学物質の生分解性が海域での濃度分布に大きく影響した。なお,これらの物質の底泥や魚体での濃度と河川水および海水での濃度との比較がら天HCBのように疎水性の高い物質は,魚体や底泥に濃縮されやすいことが観察された。
  • 谷口 昇, 馬場 末喜, 川村 賢二, 蒲生 孝治
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 992-998
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    重水の電気分解法と,重水素ガス直接加圧法の2法により,低温核融合の発現条件を検討した。条件探索においては,エネルギーレベル2~5MeVの微量中性子を定量する必要があるためsNE-213液体シンチレーターを用いた測定装置を作製した。本装置は,ガンマ線と分離計測でき・検出効率0・8%1バックグラウンドレベル℃.7cpsの性能を示した(標準中性子源252Cfで校正)。また,中牲子の検出限界を求めた結果,核融合速度に換算しセ1×10-22d-d/s以上の核反応が検出可能であった。
    重水の電気分解法においては,,陰極に1cm3パラジウム塊・陽極に白金板を・支持電解質に0.1mol・dm-3LiODを用いた。672時間の定電流電解に72時間の各種パルス電流電解を行ったが,中性子発生は確認できなかった。重水素加圧法では試料に鋳造チタン柱(5φ ×10mm,20個)を用い,降温(液体窒素温度77K)・昇温(室温)の温度サイクルにより重水素吸脱着を行った。その結果昇温過程において,バックグラウンドの約30~600倍の2.452MeVの特定中性子ではない放射線儒号を検知した。この信号は・3試料中2試料で3回発生した。検出器の特性上から判断して,この信号はガンマ線であると考えており,P-D核融合から発生したものではないかと推察している。
  • 竹田 元則, 戸田 實, 真鍋 修
    1990 年 1990 巻 9 号 p. 999-1001
    発行日: 1990/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Synthesis of 2, 4'-dinitrodiphenyl ether (2, 4'-DNDPE), an intermediate of high-functional polymers, was carried out by the condensation of p- or o-chloronitrobenzene and sodium - or p-nitrophenolate in 1, 3 -dimethy1-2-imidazolidinone (dipolar aprotic solvent) at 1o40 and 180°C (Table 1 and Table 2). It shows that it is difficult to obtain 2, 4'-DNDPE selectively in high yield by this method due to by-production of 4, 4'- and 2, 2'-isomers. The results imply that the nucleophilic substitution occurs between dinitrodiphenyl ether and sodium nitrophenolate (Scheme 1).
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