日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1991 巻, 12 号
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  • 堀 敬, 上田 早苗
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1569-1581
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    内燃機関の潤滑系に必要不可欠なアルカリ清浄添加剤の中で特に耐熱性に優れている“過塩基性硫化カルシウムフェネート” ならびに類縁の“硫化カルシウムサリシレート” の最近の技術動向について,著者らの研究を中心にまとめた。
    “硫化カルシウムフェネート” の製造法は,基本的には硫化工程と過塩基化工程とから構成されるがジ検討の重点は後者に移っている。従来,過塩基化のためには,アルキルフェノール当たり大過剰のカルシウム試薬を配合するのが常識となっていたが,その逆の方法も開発されて来ている。“硫化カルシヴムサリシレート” の製造法は,基本的にはカルボキシル化工程と硫化工程とから構成されるが,従来,後者に主眼を置いた研究が行われてきた。しかし,最近になって新しいカルボキシル化手段が開発され,大幅な工程短縮が可能となってきている。
    また,複雑な組成をもつこれらの清浄添加剤の構造に関しては,従来詳細な解明は行われていないが,著者らの知見の一部を紹介する。著者らの開発した“過塩基性硫化カルシウムフェネート” および“硫化カルシウムサリシレート” は,ともに耐熱性などに優れ,またそれらの製造法は特異かつ簡潔なものである。
  • 小林 迪夫, 前田 佳男, 徳永 均, 高橋 典雄, 星 敏彦, 小野 勲, 大窪 潤
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1582-1587
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-Methyl-4-(4-diethylaminophenylazo)pyridiniumiodide(以下MDPと略記)の電子吸収スペクトルを種々のアルコール-水系混合溶媒中および酸性・アルカリ性水溶液中で測定し,MDPの電子吸収スペクトルにおよぼす溶媒の極性や酸・アルカリの影響を調べた。また,ホウケイ酸ガラス板の表面に吸着したMDPの電子吸収スペクトルを測定し,この分子の吸着状態について考察した。MDPの第一吸収帯は溶媒の極性の増大とともにレッドシフトする。したがって,この吸収帯は1-methylpyridiniumiodide,で観測されているようなI-からピリジニウム環への電荷移動に起因したCT帯ではなくI-の関与しない通常のπ-π*遷移に帰属される。また,MDPへのプロトン付加では,最初のプロトンはアゾ窒素には付加せずアミノ窒素のみに付加することを,プロトン付加にともなうMDPの電子吸収スペクトルや13C-NMRスペクトルのスペクトル変化により明らかにした.一方,水を含んだ湿った状態および水を含まない乾いた状態でガラス面に吸着したMDPのスペクトルは互いに異なることが判明し,湿った状態で吸着した場合にのみMDPのアミノ窒素へのプロトン付加体に由来した吸収帯が観測される。この観測結果は,湿った状態で吸着したMDP分子はアミノ窒素へのプロトン付加に類似した様式でガラス面と相互作用していることを示唆しており,MDPのアミノ窒素のπ型孤立電子対が水を媒介として間接的にガラス面のLewis酸型酸点(ホウ素の空軌道)と相互作用していると推定される。いい変えれば,この孤立電子対はホウ素の空軌道に結合した水分子から生ずるプロトンと相互作用していると思われる。
  • 大野 弘幸, 王 瑛
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1588-1593
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    分子量が200から6000のポリエチレンオキシド(PEO)に各種アルカリ金属塩を溶解させ,溶解度を決定した。リチウム塩の溶解度はPEO分子量に依存し,分子量増大にともない低下した。エーテル酸素に比較して,末端ヒドロキシル基はリチウム塩の溶解に大きく寄与していることを認めた。ナトリウム塩も類似の傾向を示したが,カリウム塩ではPEO分子量依存性がほとんど見られなかった。水分子と末端ヒドロキシル基の構造類似性から,各種塩のPEO中の溶解度と水中の溶解度には相関があると期待されたが,実際には認められなかった。LiclO4を含むPEOのイオン伝導度は,塩濃度が1.Omol/lで最大値を示した。これは系の粘度の急速な増大がイオン移動度の低下を招くためであることを確認した。PEO中の塩濃度が0.3mol/lの場合のイオン伝導度を比較すると,塩の格子エネルギーが低いほど,あるいはカチオン半径が大きいほど,高いイオン伝導度を示すことを認めた。
  • 加藤 貞二, 荒井 政年
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1594-1597
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マイクロコンピューターによりLangmuir水槽内の下層水表面温度と表面圧を精密制御する,キャナル法を用いた単分子膜の表面ずり粘性測定装置を開発した。この装置により,20℃ の蒸留水上の1-オクデカノール単分子膜の表面ずり粘性を,幅と長さの異なる多数のキャナルを用いて測定した。液体凝縮膜の状態における1-オクタデカノール単分子膜は全体としてはニュートン性であったが,キャナルの幅が広く,長さが短くなるにつれて顕著に表面ずり粘性の値が上昇した。これは三次元の毛細管流動におけるずり粘性測定では研究されているが二次元では報告されたことのない,膜流動の運動エネルギー効果(三次元では運動エネルギー補正またはHagenbachの補正とよぼれる)のためである。高圧側10mN/m,低圧側5mN/mの条件における測定で,この単分子膜のこの温度における表面ずり粘性の平均値は,2.25±0.10μPa・s・mであった。
  • 持田 勲, 河野 静夫, 藤津 博, 前田 豊広
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1598-1604
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らは前報で硫酸賦活ACFが室温で高いアンモニア吸着能を示し,その吸着能がNOを含む空気により常温で再生(NO-NH3反応)できることを見いだしたが,同時に空気中の水分が再生をいちじるしく阻害することを確認した。しかし,ピッチ系活性炭素繊維ACF(大阪ガス(株)製,OG-5A)は他のACFにくらべ,高湿空気中でもわずかながら再生できることに注目した。
    本報ではピッチ系ACF(OG-5A)の再賦活条件を検討し,疎水性を向上することにより,湿度の高い空気中のNOでも再生できるACFの調製を試みた。その結果,再賦活処理温度を400℃ で4時間処理したものが,高湿度空気中でも優れた再生性を示すことを見いだした。さらに同ACFではNOを含む湿空気での再生を30分で止め,NOを含む乾燥空気に切り替えて再生を続行すると,NONH3反応の転化率が素早く向上することを認めた。
    TPDによる発生CO2,COガスを解析し,CO2量とNH3の吸着能あるいはCO量と再生性との相関を探索し,表面含酸素基とアンモニア吸着能,あるいは湿度の高い空気中でもNO-NH3反応が進行するための疎水性とTPDで発生するCO量との関連を議論した。
  • 南澤 宏明, 山中 宏, 新井 信正, 奥谷 忠雄
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1605-1611
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クリノプチロライト(Clinoptilolite)を主な構成鉱物とする福島県西会津町産天然ゼオライトに加熱処理や化学処理を加え,それらを用いてバッチ法によるPb(II)の吸着実験を行い,各処理にともなう吸着能の変化について検討した。さらに比表面積(S.S.A.),陽イオン交換容量(C.E.C.)などについても比較した。
    その結果,本実験に用いた天然ゼオライトは加熱処理温度600℃ 以下では吸着能に大きな変化は見られなかったが,600℃ 以上では結晶構造がくずれはじめ,S.S.A. およびC.E.C.が減少するため吸着能はいちじるしく低下し,特に1000℃ ではほとんどPb(II)は吸着されなかった。HCI処理ではクリノプチロライト以外の構成物であるスメクタイト系粘土鉱物などの溶出によりS.S.A.は増大するが,同時にクリノプチロライト中のNa+,K+などの交換性陽イオンも溶出するため全体的に吸着能は低下した。NaOH処理,NaOH加熱処理では交換性陽イオンであるNa+が増加するため吸着能は増大した。特にNaOH加熱処理ではクリノプチロライトはヒドロキシソーダライトに変化し,未処理天然ゼオライトにくらべて2倍以上のC.E.C.および5倍以上のPb(II)の吸着量を示した。
  • 岡田 繁, 工藤 邦男, 宮本 正章, 引地 康夫
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1612-1617
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The single crystals of Cr3Si and Cr5Si3 were prepared by the high temperature copper solution method using metal chromium and silicon powders as starting materials in an argon atmosphere. The conditions for obtaining these crystals with one-phase materials and a relatively large size were determined. As grown Cr3Si and Cr5Si3 single crystals were used for chemical analysis, and measurements of unit cell dimensions, Vickers microhardness and electrical resistivity.
  • 小暮 誠, 佐藤 利夫, 田中 龍夫, 安島 聡, 鈴木 喬, 大矢 晴彦
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1618-1623
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    金属アルコキシド溶液とアンチモン酸ゾルの混合溶液をゾル-ゲル法により多孔質アルミナ支持体にデイップコーテイングすることにより無機陽イオン交換膜を作製した。金属アルコキシド溶液の組成はSi(OC2H5)4: H2O: C2H5OH: HClであり,モル比は1:11:6.8:0.068である。これに同容量の2%アンチモン酸ゾルを混合した。
    電子顕微鏡により膜の構造を観察した結果,1回の塗布により形成されるコーティング層の厚さは0.5~0.9μmであった。塗布回数が増えるにしたがいイオン交換容量,膜抵抗は増加した。しかし限界電流密度だけは低下する傾向を示した。たとえば10回デイップコーテイングした無機陽イオン交換膜のイオン交換容量は0.0061meq・cm-2,膜抵抗は186.2Ω ・cm2,限界電流密度はO.96A・dm-2,Na+輸率は0.70であった。無機イオン交換膜は沸騰水,80℃ の6M-硝酸,塩酸,常温の2M-水酸化ナトリウム,50%-アセトン水溶液および50%-エタノール水溶液中に24時間放置してもイオン交換容量などにほとんど変化がなかった。
  • 本水 昌二, 安田 祐, 大島 光子
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1624-1631
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    モリブドリン酸イオン(PMo)とマラカイトグリーン(MG+)は酸性溶液中で反応し発色する。この反応はイオン会合体(MG++-PMo)形成反応であり,生成反応は次のように表される.
    HMG2++H3PMo12O40→(MG+)H2PMo12O40+2H+ただしHMG2+はMG+のプロトン付加体を表し黄色(λmax=446nm)であるが,イオン会合体になるとMG++の緑青色(λmax=650nm)になる。MG+はPMoの生成を促進する役割も大きいことがわかった。有機溶媒はPMoの生成促進のみならず,MG+-PMoの生成も促進することがわかった。陰イオン界面活性剤は反応を減速させるが,フローインジェクション分析におけるベースラインのドリフト抑制に寄与することがわかった。反応促進剤とベースライン抑制剤の使用により,短い反応コイルで数ppbの低濃度域まで良好な直線関係を示すFIAシステムを確立することができた。
  • 坂元 隼雄, 冨安 卓滋, 米原 範伸
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1632-1637
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヨウ化物を含む固体および液体試料中の超微量の水銀を迅速にかつ正確に定量する方法について加熱気化-金アマルガム捕集-冷原子吸光光度法を用い,基礎的な検討をした。
    代表的な無機および有機水銀化合物を使用して,これらの化合物からの水銀の気化温度,水銀を加熱気化させる際に用いる添加剤の効果について調べた。
    また,ヨウ化物を共存させた試料を加熱気化する際に用いる添加剤および洗浄溶液について詳細に検討した。
    (1)無機および有機水銀化合物は600℃ 以上で熱分解し,水銀蒸気が発生する。
    (2)ヨウ化物が多量に共存する試料は,本研究で使用した添加剤だけでは水銀に対するヨウ化物の妨害を除去することは困難である。
    (3)ヨウ化物の妨害を除去するには,加熱気化した水銀蒸気を1M水酸化ナトリウム溶液または銅(II)イオン(15mg/l)と塩化スズ(II)(0.2%)を共存させた1M水酸化ナトリウム溶液で洗浄する。
    以上の検討結果をもとに組み立てた本法は,ヨウ化物を含む固体および液体標準試料などに適用し,迅速かつ正確な超微量水銀の定量法であることがわかった。
  • 小中原 猛雄, 岡田 真一郎, 門出 孝志, 中山 伸之, 古橋 潤, 菅谷 淳一
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1638-1646
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1H,1H,2H,3H,3H-tridecafluoro(4,4-dimethyl-1-heptene)〔1〕へのシランHSiXY22a;X=Y=Cl,2b;X=Cl,Y=CH3,2c;X=Y=OCH3〕によるヒドロシリル化反応をヘキサクロロ白金(N)酸存在下,常圧または封管中で行い,相当する分岐状ポリフルオロアルキルシラン誘導体〔3a,b,c〕を71~90%収率で得た。またこれらのシランのうち〔3a,b〕を用い,薪しい型の炭化フッ素系化学結合型逆相HPLC用充填剤〔PFS-3a,PFS-3b〕を調製し,その拡散反射FT-IR,電子顕微鏡写真,窒素吸着等温線,炭素含有量などを測定し,その特性を評価した。また,これらの充填剤によるフルオロベンゼン,o-ジフルオロベンゼン,1,2,4-トリフルオロベンゼン,ペンタフルオロベンゼンおよびヘキサフルオロベンゼンの5種のフルオロベンゼン誘導体の混合物,ウラシルと5-フルオロウラシルの混合物,または1,3-および1,4-bis(2,2,2-trifluoro-1-hydroxy-1-trifluoromethylethyl)benzene(BHFB)の混合物の分離特性を市販ODSと比較した。その結果,ODSで分離不可能なフルオロペンゼンとo-ジフルオロベンゼンの混合物や1,3-および1,4-BHFBの混合物をいずれのPFSでも完全に分離でき,さらに,PFS-3bではウラシルと5-フルオロウラシルの混合物を分離することができた。また,かさ高い構造をもつBHFB混合物の分離には分岐構造をもつPFS-3bの方が直鎖構造のPFS-4よりも適していることがわかった。
  • 垣下 智成, 松本 喜代
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1647-1654
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリエステル系のモデル化合物として,1,4-ジカルボニルベンゼン成分(以下Tと略記する)とメトキシル成分(以下Mと略記する)のMTM1a,エチレンジオキシ成分(以下Gと略記する)を含むMTGTM1b,MTGTGTM1cを合成した。更に,カルボニルベンゼン成分(以下Bと略記する)を含むMBM2a,MBGTM2b,MTGBGTM2cを合成した。分散染料として,ヒドロキシル基を含む染料3(4-ヒドロキシアゾベンゼン)とイミノ基を含む染料4(4-anilino-3-nitro-N-phenyl-benzenesulfonamide)を用いた。水素結合形成は,1,1,2,2-テトラクロロエタン(以下テトラクロロエタンと略記する)を溶媒としてモデル化合物との相互作用による染料のヒドロキシル基またはイミノ基の伸縮振動に基づく3575cm-1OH)と3343cm-1HN)の赤外吸収スペクトルへの影響によって調べた。
  • 巣山 隆之, 斉藤 英夫, 小山 毅, 石丸 仁志
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1655-1660
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4,6-Diamino-2H-1,3,5-thiadiazine-2-thione〔1〕の反応について検討した。〔1〕はアルカリの作用により転位して6-amino-1,3,5-triazine-2,4(1H,3H)-dithione〔5〕になるが,ヨウ化メチルが共存するとdimethylN-(N2-cyanoamidino)carbonimidodithioate〔6〕を生成した。〔1〕と脂肪族アミンとの反応をDMF溶媒中で行うと,室温で黄色の沈殿を生じ,このものをアルカリと処理すると第一級アミンからは1-substituted4,6-diamino-1,3,5-triazine-2(1H)-thione〔2〕と6-(subs・titutedamino)-4-amino-1,3,5-triazine-2(1H)-thione〔3〕が,また第二級アミンからは〔3〕が生成した。一方〔1〕と脂肪族第一級アミンとの反応をTHF還流下で行うと〔2〕の他に置換グアニジン〔7〕と1,3-二置換チオ尿素を副生した。またアニリンとの反応では,酸を共存して行うと高収率に〔2〕を生成した。
    なお〔2〕の反応についてもあわせて検討し,たとえば酸加水分解反応により,1-substituted6-thioxo-5,6-dihydro-1,3,5-triazin-2,4(1H,3H)-dione〔11〕を得た。
  • 長谷川 淳, 加藤 勉, 島崎 長一郎, 篠田 操, 宮本 真敏, 吉村 敏章, 作道 栄一
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1661-1671
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    夕張炭を電荷移動剤のない条件で還元メチル化し(三宅法,K/THF/CH3I),得られたヘキサン可溶分(HS,9.90%)の構造についてGPC-LC分離とそれに続くGC-MS,NMRおよびIR分析により詳細に検討した。
    典型的な反応生成物は,ナフタレン(HSの6.9%),フェナントレン(0.7%),キノリン(0.2%)およびナフタレン二量体の還元メチル化物(O.8%)と,ナフタレンおよびフェナントレンの還元メチル化物のメチルエーテル(1.2%)より成っていた。そのほかに,石炭マトリックスから溶け出した飽和化合物も含まれていた。その化合物は,直鎖バラフイン(HSの5.2%),イソプレノイドバラフィン(O.9%),二環式モノテルペン(1.5%),三環式ジテルペン(1.6%)と五環式トリテルベン(1.4%)を含むバイオマーカーから成っていた。
    この還元メチル化物を,Sternberg法(K/THF/ナフタレン/CH3I)により得られたものと比較した。Sternberg法生成物は,電荷移動剤として使用したナフタレン還元二量体で汚染されていることがわかった。還元メチル化物の構造に基づいて,それらの生成機構について考察する。
  • 浅井 茂雄, 坂田 和也, 住田 雅夫, 宮坂 啓象, 佐渡 篤
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1672-1676
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カーボンブラック(CB)は高分子複合材料において補強充填剤や導電性充填剤として広く使用されている。このような粒子分散系高分子材料の物性は,充填剤の体積分率だけでなく分散状態にも大きく依存する。界面エネルギーは高分子マトリックス中の充填剤の分散性を支配する主要な因子の一つである。高分子複合材料中の充填剤の分散性を解析するためには,粒子の表面エネルギーの正確な値が必要である。しかし,CB粒子のような微粉末の表面エネルギーの測定は困難である。本研究では,酸化処理したCB粒子の表面エネルギーをIGC(逆栢ガスクロマトグラフイー)およびESCA(electronspectroscopyforchemicalanalysis)により評価した。IGCから求めたCB粒子の表面エネルギーの分散力成分は,酸化処理によりわずかに増加した。ESCAから求めたCB粒子の表面エネルギーの極性力成分は,酸化処理により大きく増加した。また,本蘇究で求めた分散力成分と極性力成分の和で定義されるCB粒子の表面エネルギーの値は,通常報告されている値にほぼ対応した。
  • 松嶋 茂憲, 前川 知輝, 玉置 純, 三浦 則雄, 山添 舞
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1677-1683
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Pd-SnO2ガスセンサーにおけるPdの増感効果を基礎的に理解するため,SnO2上に担持されたPd粒子の存在状態(粒子径,分散度,形態)をTEMにより明らかにするとともに,Pd-SnO2問の電子的相互作用をXPSにより調べた。900℃ で焼成して粒子をある程度大きく成長させたSnO2粉末を用いることにより,明瞭なTEM像が得られた。粒子の形状は,還元状態(Pd)では球形に近いが,酸化状態(PdO)では半球形に変化し,PdOの方がSnO2と強く接合することが示唆された。また,いずれの状態でもSnO2とのエピタキシーが認められた。Pd平均粒子径は,担持量3wt%以下では5nmと比較的小さいが,5wt%となると10nmと急激に増大した。これを反映して,試料1g当たりのPd表面積,および単位SnO,面積当たりのPd粒子数(粒子密度)は,どちらも3wt%で極大値を示した。Sn3dおよびO1sのXPSシグナルの束縛エネルギー(BE)は,酸化状態では純粋なSnO2にくらべて低BE側にシフトし,シフト幅は担持量に依存して3wt%で極大となった。一方,還元状態ではシフトが完全に消失した。このようなシフトはPdO-SnO2接合部での強い電子的相互作用によるものであり,その大きさはSnO2表面における接合点の密度によって支配されると推定される。
  • 巣山 隆之, 酒井 聡誌
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1684-1687
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    It was clarified that 2-alkylthio-6-amino-4 H-1, 3, 5-thiadiazin-4-imine [4] iodide was obtained by reaction of 4, 6-diamino-2 H-1, 3, 5-thiadiazine-2-thione [1] with alkyl iodide. Compound [4] was unstable and its free base was immediately rearranged into 4-amino-6alkylthio-1, 3, 5-triazine-2-thiol [2]. In boiling water, hydroiodide of compound [4] was hydrolyzed to form 6-amino-4-mercapto-1, 3, 5-triazin-2(1H)-one [6] and amidinothiourea [7]. When hydroiodide of [4] was treated with alkyl iodide in the pres ence of alkali, N-(N2-cyanoamidino)carbonimidodithioate [8] was formed. Hydroiodide of [4] was reacted with amines at room temperature to give 4, 6-diamino-1, 3, 5-triazine-2(1H)-thiones [3]. The reactivities of 2-ethoxy-6-amino-4 H-1, 3, 5-thiadiazin-4-imine [5] prepared by ring closure of O-ethyl N-(N2-cyanoamidino)carbonimidothioate [9] were also investigated.
  • 中田 伸治, 大倉 一郎, 蓮実 文彦
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1688-1690
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The regeneration of nicotinamide-adenine dinucleotide (reduced form NADH) by the reduction of NAD+ with hydrogen gas was carried out in the presence of the hydrogenase from Alcaligenes eutrophus, and the synthesis of malic acid was attempted by a combination of the above system and malate dehydrogenase. After 2 h, the highest conversion of oxalacetic acid and turnover number of NAD+ were 64% and 13, respectively.
  • 円満字 公衛, 西山 逸雄, 高橋 健造
    1991 年 1991 巻 12 号 p. 1691-1693
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    We measured the low temperature ESR spectra of mixed aqueous solution of Cu(1T) ion and water soluble polymer and estimated the electron densities on dx2-y2. orbital from anisotropy of g value and hyperfine coupling constant. The electron density relates to the deodorant efficiency of the deodorant material consisting of Cu (11) ion and the various polymer.
  • 1991 年 1991 巻 12 号 p. 1694
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/05/30
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