硫酸イオン,チオシアン酸イオン,チオ硫酸イオン,ジチオン酸イオンおよびポリチオン酸イオン(トリ,テトラ,ペンタチオン酸イオン)混合物の溶離剤としては,フタル酸塩が適当であることがわかった。分離カラムのHPIC-AG4A(5cm)を用いたとき,2×10
-4mol/l フタル酸塩溶離液(pH5.7)によって上記7種の硫黄化学種混合物から硫酸イオン,チオシアン酸イオン,チオ硫酸イオンおよびジチオン酸イオンを良好に溶出分離することができた。また,トリ,テトラ,ペンタチオン酸イオンの3種のポリチオン酸イオンは5×10
-3mol/lフタル酸塩溶離液(pH5.7)を使用することによって分離することができた.一般にイオン交換膜型サプレッサー(AMMS)は,アルカリ性の溶離液を使用するイオンクロマトグラフィーに用いられているが,酸性のフタル酸塩溶離液(pH5.7)を使用したときも試料イオンの検出感度を増大させることができた。ペンタチオン酸イオン以外の各硫黄化学種の検量線は,それぞれ5×10
-4mol/lまで濃度とピーク高さとの間に良好な直線関係を示した。本法を温泉水中の硫酸イオンとチオン硫酸イオンの定量に応用したところ,満足な定量結果が得られた。
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