層電荷が0.8のNa型フッ素雲母(Na
0.8Mg
2.2Li
0.8Si
4O
10F
2)からイオン交換法でLi型雲母を調製し,つづいて,層間Li+ の一部を所定量の割合のAl
3+でイオン交換した後,加熱処理によるAl
3+イオンの固着現象を利用して,雲母のイオン交換容量を決定する実質的な層電荷(有効層電荷)を制御することを試みた。また,これら有効層電荷を制御したフッ素雲母と多核ヒドロキソアルミニウムイオン水溶液から複合体を合成した。その結果,Li型雲母から調製した部分Al交換型雲母を加熱すると,Al
3+が定量的にケイ酸塩層に固着され,この方法で雲母の有効層電荷を0.8~0.0の範囲で自由に制御できることが籾明した。この際,層間イオンの一部をAl
3+で交換すると雲母の膨潤性は減少したが,加熱処理でAl
3+の固着が起こると,層間に残存するLi+によって膨潤性は回復した。多核ヒドロキソアルミニウムイオンの収容量は,雲母の有効層電荷の減少にともない減少し,母塩結晶の有効層電荷を制御することによってアルミニウム収容量(ピラー密度)を制御できた。複合体の耐熱性は,ピラー密度が小さくなるほど減少し,加熱処理によって積層構造に不規則性が生じるため,細孔容積が小さくなる傾向があった。500℃ で熱処理した複合体の底面間隔値は有効層電荷によらず17.7Åを示したが,比表面積は200~370m2/gの範囲内で変化した。
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