アルミナ基板上に製膜方法の異なる 3 種類の SnO
2膜 (厚膜印刷法で作製した厚膜素子,スパッタ法で作製したスパッタ薄膜素子,ゾルーゲル法で作製したゾル基薄膜素子)を作製し, H
2S に対するセンサー応答と膜の微細構造との関係について検討した。H
2S に対するセソサーの応答性は SnO
2 膜中の細孔の状態に強く依存することがわかった。厚膜素子とスパッタ薄膜素子では膜中に微細なミクロ細孔が存在するために,素子温度 200℃ では 5ppm の H
2S に対して非常に遅い応答特性を示した。一方,ゾル基薄膜素子では膜中に 10~20 nm の均一なメソ細孔だけが存在し,ミクロ細孔を含まないために, 200℃ でも 5PPm の H
2S に対して良好な応答特性を示した。さらに,ゾル基薄膜素子の応答性は H
2S 濃度の影響を受けることがわかった。高濃度領域( 5ppm 以上)と低濃度領域( 100ppb 以下)では,良好な応答性を示し,中濃度領域(100ppb ~ 5ppm)では応答が遅くなった。このような応答速度の濃度依存性は,メソ細孔内のガス拡散抵抗の影響によるものであると考えられた。
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