日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1996 巻, 4 号
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  • 井上 泰宣, 渡辺 幸久, 大河 原譲
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    外部からの信号に応じて高度な触媒作用を発現する固体触媒-制御機能を持つ表面反応場-を得ることを目的として,強誘電体結晶に発生できる弾性表面波および共振現象を応用した。弾性表面波が触媒活性および反応の選択性に与える効果を明らかにするため,ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウム単結晶の結晶表面両端にリソグラフ法によりクシ型電極を取り付け,さらに伝搬路に触媒を薄膜で接合した触媒素子を作成した。Ag,Pd および Ni 薄膜表面のエタノール酸化反応において,弾性表面波によりアセトアルデヒド生成活性は,数倍増加すること,その活性増加は強誘電体結晶の電気機械結合定数が大きいほど高いこと,さらに弾性表面波の効果は触媒の表面状態に関連し,酸化物表面が金属表面よりも高い活性増加を示し,反応の活性化エネルギーや反応次数の変化も顕著であることを見いだした。この効果の違いは,弾性表面波の債搬により生じる格子変位の効果,電場の発生およびキャリヤーとの相互作用が金属筆面よりも酸化物表面でより顕著に作用することに対応した。また,共振現象が触媒に与える効果では,Sr添加ジルコン酸チタン酸鉛強誘電体多結晶表面に接合した Pd 触媒上のエタノール酸化反応において,最も高い格子変位が生じる共振周波数において 140-460 倍の著しい活性増加が起こることを示した。これらの結果から格子ひずみを誘起する強誘電体の圧電効果が,制御機能を持つ固体表面反応場を得るのに有効なことを明らかにした。
  • 大武 義人, 小林 智子, 浅部 仁志, 矢吹 増男, 村上 信直, 小野 勝道
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 325-333
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    32年以上土壌埋没した低密度ポリエチレン(LDPE)の生分解挙動について他の 3 種類の汎用プラスチックの挙動とともに比較観察したところ, LDPE のみ激しい損傷を受けていた。損傷は土壌接触部のみ受け,非接触部では全く損傷を受けないこと,微生物の少ない深部土壌に埋没していた LDPE ほど損傷が少なくなることから,微生物による影響と推察された,そこで,これらの LDPE を用いて生分解挙動について調べた。その結果,土壌非接触部では通常の酸化劣化が生じているのに対し,土壌接触部では劣化が酸化劣化と微生物劣化との複合機構で進行すると結論づけた。微生物の存在下では通常の酸化で生ずるアルコキシルラジカルのβ開裂のほかに,γ 開裂によって末端ビニル基と揮発生成物を生ずる機構が存在することが示唆される。以上の結果は,一般に微生物分解しないといわれている高分子量 LDPE でさえも,生物活性な土壌中に数十年という長時間埋設しておけば,微生物が関与した酸化分解が生ずることを示している。一方,畑や野原に散乱する LDPE を調べると,比較的短期間に光分解をともなう微生物が関与した分解が生じているため,これらの微生物分解は容易に生ずることを確認した。また,微生物分解の加速には通常の酸化反応を促進して活性点を増やすことが不可欠であることが明らかになった。
  • 大前 貴之
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 334-340
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    環状共役系から環状の相互作用伝播の効果を消去した仮想的な参照系であるトポロジカル参照系(TRS)を記述するヒュッケル(H_=_ckel)近似下のプロパゲーターを求める方法を,同種原子から成り結合交替を有する系に対しても適用できるように再検討したこれによって, TRS の量子化学的諸量におよぼす結合交替の影響を,真の系と同様にして検討することが可能になった。
    この方法を, 2n 個の同種原子から成り結合交替を有するヒュッケルアヌレンに適用し,真の系とその TRS の種々の量子化学的指数(全π電子エネルギー,全π電子密度,結合次数,自己分極率,フロンティア電子密度)を,電子数が偶数個の場合について一般的に求めた。
  • 佐藤 正大, 廣田 穣
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 341-347
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    NMRによる昇温・降温条件下における反応(不可逆・可逆)速度の解析による活性化諸量の決定法についての理論的検討を行った。加藤モデルを修正したスライディングモデルにより,従来の非定温法反応速度論において前提とされてきた三つの条件
    1)反応速度式は定温・非定温両条件下で類似の形をとる。2)追跡可能な反癒は単一の素過程である。3)昇温・降温過程は直線的に行う。
    これらを検証し,不可逆・可逆反応いずれの場合にも非定温的測定の可能性が示唆された。また,このスライディングモデルにより,従来の非定温法反応速度論で予測困難であつた降温条件下と可逆反応の非定温速度式・積分速度式を導くことができた。さらに,著者らが導いた非定温速度論を基礎として, NMR 階段状昇温(降温)での反応に対応できるような反応測定法の構築を行った。.
  • 安藤 正美, 土田 敬之, 三浦 則雄, 山添 昇
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 348-353
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミナ基板上に製膜方法の異なる 3 種類の SnO2膜 (厚膜印刷法で作製した厚膜素子,スパッタ法で作製したスパッタ薄膜素子,ゾルーゲル法で作製したゾル基薄膜素子)を作製し, H2S に対するセンサー応答と膜の微細構造との関係について検討した。H2S に対するセソサーの応答性は SnO2 膜中の細孔の状態に強く依存することがわかった。厚膜素子とスパッタ薄膜素子では膜中に微細なミクロ細孔が存在するために,素子温度 200℃ では 5ppm の H2S に対して非常に遅い応答特性を示した。一方,ゾル基薄膜素子では膜中に 10~20 nm の均一なメソ細孔だけが存在し,ミクロ細孔を含まないために, 200℃ でも 5PPm の H2S に対して良好な応答特性を示した。さらに,ゾル基薄膜素子の応答性は H2S 濃度の影響を受けることがわかった。高濃度領域( 5ppm 以上)と低濃度領域( 100ppb 以下)では,良好な応答性を示し,中濃度領域(100ppb ~ 5ppm)では応答が遅くなった。このような応答速度の濃度依存性は,メソ細孔内のガス拡散抵抗の影響によるものであると考えられた。
  • 呉 雲影, 河口 修, 杉山 和夫, 松田 常雄
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 354-361
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペロブスカイト型複合酸化物 LaFeO3 を主体とする触媒を用いて CH4+CO2 反応を検討した。LaFeO3 触蝶では 923~1073K の反応温度での CH4 転化率は 10~27%, CO2 転化率は 12~46% になり,生成物は CO,H2 と H20 であった。触媒上で CH4+3CO2→4CO+2H20,CH4+CO2→2CO+2H2 のような二つの反応が同時に起こっていることがわかった。
    LaFeO3 触媒の La および Fe の一部をアルカリ金属およびアルカリ土類金属で置換すると C2 化合物(C2H4,C2H6)を生成した。C2 化合物生成への置換効果はアルカリ土類金属の置換よりアルカリ金属の方が高かった。アルカリ金属の置換量は 0.3 のとき C2 化合物への選択性が最大になった。各触媒の酸塩基性を調べ,表面が酸性の場合, CO, H2, H2O 生成へ,塩基性表面のときは C2 化合物への選択性をそれぞれ示した。
    メタン単独を反応させた結果および昇温脱離(TPD)実験の結果により LaFeO3 の格子酸素は動きやすく,アルカリ金属を置換した触媒では格子酸素が動きにくい状態になっていることがわかった。このことが反応の活性および C2 化合物への選択性とも関係している。XPS の結果から触媒表面で活性酸素(0-,022-)が存在することがわかり,この酸素種が C2 化合物への選択性を高めていることが推測される。
  • 菅野 亨, 小林 正義
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 362-367
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々アルカリ金属添加酸化マグネシウム(MgO)表面上での, CO2 吸着種の組成及び赤外吸収波数変化と塩基性質との関係を調べた。その結果,アルカリ金属の添加により,直線状 CO2 種の減少及びニ座配位炭酸イオン種から一座配位炭酸イオン種への変化が起こる事がわかった。また,一座配位炭酸イオン種の OCO の非対称及び対称伸縮振動波数の差の逆数(Δν)-1値の序列は,リチウム添加 MgO > ナトリウム添加 MgO > カリウム添加 MgO > 無添加 MgO となり,吸着 CO2 の昇温脱離スペクトルから求めた塩基性の序列と一致した。さらにこれら触媒を用いた 2-プロパノール分解反応における生成物分布アセトン/プロペン比は,リチウム添加 MgO が特異的に高い値を与え上記の序列に合致した。これらの結果から,一座及び二座配位炭酸イオン種の表面組成が塩基性質を評緬するパラメーターとなり得る可能性を議論した。
  • 永井 正敏, 岸田 浩司, 尾見 信三
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 368-374
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    WCl6, NH3 と H2 を用いた, CVD(化学気相蒸着)法による窒化タングステン薄膜の合成を石英ガラス基板上で行い,成膜温度,ガス組成が成膜速度におよぼす影響および成膜状態について検討した。通常の実験は反応温度 500~803℃ ,全圧 0.12-0.17kPa ,全流量 60ml/min ,反応時間 5~60 分で行った。析出した薄膜の分析は走査型電子顕微鏡, X 線回折, X 線光電子分光装置で行った。およそ 700℃ で最大の成膜速度が得られたが,その温度依存性は小さい。薄膜の結晶相は,約 0.5μm の膜厚では W2N(200) 面が支配的であつたのに対して, 1μm 以上の膜厚では W2N(111) 面が優先方位となった。500℃ 付近で平滑で緻密な構造を有する薄膜が得られた。680℃ における成膜速度の反応次数は WCl6, NH3および H2 に対してそれぞれ, 0.4, 0.3 および 0.3 であった。
  • 喜多 裕一, 岸野 和夫, 中川 浩一
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 375-384
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水と混ざり合わない不活性有機溶媒中での N-フェニルマレアミド酸(PMA)の脱水閉環反応によるフェニルマレイミド(PMI)の生成反応は, PMA の転化率がほぼ 100% となる点を境として大きく二つの部分に分けられ,反応温度-時間曲線もこの点で変曲点(B)を示す。前段部分は PMA が溶媒に分散したスラリー状態であり,後段部分は反応生成物が溶媒へ溶解して均一相を形成している。この反応の前段と後段それぞれの生成物を分離同定し,合計 10 種類の化合物が確認され, PMI の合成反応中に次のような反応が起こっていると考えられた。すなわち,反応前段において, PMA の脱水閉環による PMI の生成のほか, PMA の異性化による N-フェニルフマルアミド酸(PFA)の生成や PMA の加水分解によつてアニリンとマレイン酸が生成する.マレイン酸はさらに脱水されて無水マレイン酸となるか異性化によりフマル酸となる。他方,アニリンは PMI と反応して 2-アニリノ-N-フェニルスクシンィミド(APSI)を生成し,この APSI はさらに無水マレイン酸と反応して N-(2,5-ジオキソ-1-フェニル-3-ピロリジニル)-N-フェニルマレアミド酸(PPMA)を生成する。反応後段では, PPMA は分解して PMI を与える。反応前段部分の PMA の反応速度は触媒量の影響を受け,変曲点までの時間は触媒量によって変化するが,変曲点(B)における反応液組成は触媒量によらずほとんど一定であった。なお,反応に使用された無水マレイン酸とアニリンのモル比によって組成は大きく変化する。反応後段部分においては前段部分で生成した PPMA の PMI への分解速度も触媒量の影響を受ける。前段で生成した APSI は後段部分においても分解しにくいため,反応のモル比が PMI の収率にあたえる影響が大きくなる。しかしながら,変曲点(B)で反応系にさらに無水マレイン酸を加え, APSI を PPMA へと変化することにより後段部分において効率良く PMI に分解し, PMI への選択率を改善でき PMI の収率を向上させることができた。
  • 木谷 晧, 小山 俊洋, 井藤 肚太郎, 佐々木 和夫
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 385-388
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    金属ポルフィリンを触媒とし,還元剤と分子状酸素を用いて基質の酸素添加反応を行うシトクロム P-450 モデル反応においては,活性種であるオキソ錯体を隼成させるための活性化剤として酸無水物なぴどが使用されている。本研究では,酵素と同様にプロトンを活性化剤とし,電解還元法を利用するシトクロム P-450 の新しい電気化学的モデル反応について検討した。酸素とプロトン源存在下での鉄-ポルフィリン錯体の電気化学的挙動をボルタンメトリーにより検討した結果,プロトンを活性化剤とするモデル系の構築が可能であることが示唆された。エタノールを溶媒とし,プロトン源として酢酸,モデル基質として N,N-ジメチルアニリンを用いて鉄-ポリフィリン錯体の還元電位で定電位電解を行うと,酸化的脱メチル化反応の生成物である N-メチルアニリンが電流効率 70% で生成し,プロトンを活性化剤とするシトクロム P-450 の電気化学的モデル反応が効率良く進行することが判明した。
  • 島崎 長一郎, 森越 保, 中山 寛章, 高倉 誠, 小野 慎, 吉村 敏章, 森田 弘之, 作道 栄一
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 389-395
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリアミド系樹脂に対し非常に有効な防燃剤であるメラミンシアヌレートの熱分解について研究を行った。メラミンシアヌレートは加熱により徐々に水素結合が伸び, 360℃ 付近でその水素結合の一部が切断される。この温度では,メラミンシアヌレートから対応する等モル量のメラミンとシアヌル酸が生じるわけではない。メラミンシアヌレートの熱分解はアソモニア,水,二酸化炭素,シアン酸,メラミソ,シアヌル酸のような揮発,または昇華化合物の形成を導く。これらのほかに揮発成分としてシアン酸アンモニウムやメラミンシアヌレートの形成が確認された。シアン酸アンモニウムはメラミソシアヌレートから直接生じたのではなく,熱分解で生じたアンモニアとシアン酸との気相反応によるものである。一方,メラミンシアヌレートはそれ自身が昇華して形成したのではなく,熱分解により発生したメラミンとシアヌル酸の気相反応で生じたものである。また,残留したメラミンシアヌレートは 420-450℃ で縮合し, 450℃ 以上で非晶質体へと転換した。メラミンシアヌレートの熱分解挙動を結晶構造,熱分解生成物の観点から議論した。
  • 白井 靖男, 沈 君偉, 阿部 二朗
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 396-402
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    画像記録材料としていくつかの優れた特性をもつ酸発色型の発色剤の顕色法として受像層と顕色機能を兼ね備えた陽イオン交換膜による新しい方法について提案し,それらの発色挙動や画像安定性の向上など画像記録技術にとって有益な多くの知見を得た。アゾメチン,スピロビランおよびジフェニルメタン系の 3 種類の発色剤は,強酸性のスルホン酸基を固定イオンにもつフッ素系の陽イオソ交換膜を Li+, Na+, K+, Mg2+, Ca2+ および Ni2+ のような金属イオンで交換処理するとそれらと反応し発色する。これら交換膜と発色剤溶液の発色反応は,交換した金属イオンの電気陰性度に依存し,同じ電荷数の金属イオンの場合,それら金属の電気陰性度が大きくなると反応速度も増加した。またこれらの発色反応は,イオン交換処理液の pH 値,現像の温度,交換膜中の含水量などに依存した。陽イオン交換膜により形成された染料の耐光性や暗中での熱反応に対する安定性は,スピロピラン染料の耐光性を除き,顕色剤として光や熱に安定な染料を形成することが知られている Ni-サリチル酸錯体で形成された同じ種類の染料と比較していちじるしく向上した。
  • 飯盛 和代, 飯盛喜 代春, 中添 勝代
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 403-410
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    佐賀県において人間の活動がもっとも大きい平野部の佐賀市の降雨の化学的特性について先に報告した。今回は佐賀市と佐賀市より直線距離で約 20 km 北西の山間部にある過疎地の北山の降雨を同時に採雨し,それぞれの降雨の化学的特性を解析し,佐賀県内の平野部と山間部の降雨においてどのような違いがあるかを検討した。 2 地点の採雨は一降雨ごとに採雨した。同時に採雨できたのは全降雨中の 86% の 51 回であった。連続降雨は一降雨として採雨したv北山が佐賀市に比べ雨量が多く,今回試料とした降雨の年間総雨量は北山 2000 mm,佐賀市 1700 mmである。pH の加重平均値は佐賀市 4.56, 北山 4.60 で北山が僅かに高い。陽イオン,陰イオンのそれぞれの総当量は北山が佐賀市の約 1.2 倍あり,溶解成分が多い。これは Na+,C1- の海塩由来の化学成分が佐賀市よりも北山に多いためであり,北西の風が強い冬季の季節風が吹く時や台風時には佐賀市の 2.7~6 倍になるときもある。これは地形的な要素が大きく影響しているものと考えられる。佐賀市の南西 10 km に有明海,北山の西 15 km に玄海灘がある。平野部の佐賀市に与える有明海の影響より山間部の北幽に与える玄海灘の影響が大きいことがわかった。これらのことから台風後の塩害は平野部の佐賀市より山間部の北山では大きな影響があることが考えられる。北山の酸性化成分は佐賀市より少なく,北山の非海塩由来の SO42-(nss-SO42-)は佐賀市の約 80%,NO3- は約 82%,NH4+ は約 64% であり人為的な影響は少ない。
  • 冨岡 敏一, 冨田 勝己, 西 野敦, 楠木 正巳
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 411-415
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカゲル担体にチオスルファト銀錯体を担持させた抗菌剤について,その有効成分の構造解析を行った。シリカゲルに担持させる直前工程のチオスルファト銀(I)酸塩水溶液から結晶を析出させ,その元素分析を行い,かつそれが単結晶であることを確認した。これを構造解析し,チオスルファト銀(1)酸塩単結晶は a=20.205A,b=11。267A,c=19.274A,β=108.49deg.の単斜晶系で,その構造はK10[Ag6(S2O3)8]と結論づけた。一方,抗菌剤の粉末X線回折を行い,出発原料がいずれの[S2O3/Ag]比の抗菌剤でも共通に,2θ が10° 前後の低角度側でJCPDSに記載されていないピークがあることを確認した。上記単結晶の構造解析結果の格子定数を基に,X線回折主要ピークを計算すると,この低角度側ピークを含め一致が認められた。これらのことから,得られた単結晶は抗菌剤有効成分の中で最も溶解度の低い成分であると考えられる。
  • 遠藤 晃久, 舩津 雅志, 井上 幸信
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 416-418
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The Grignard reaction of 10-bromo-7-methyldeca-2, 6-diene (5) with a C2-symmetric chiral imide 1gave a corresponding hydroxy lactam 6 in 67% yield. Acid cyclization of 6 gave chiral carbocycles 7 and 8 in 53 and 15% yields, respectively. The stereochemistry of 8 was deduced by the NOE and CD spectra of the derived ketone 10. In a similar manner, the acid cyclization of the hydroxy lactam 12, prepared from the bromide 5 and a chiral imide 11, afforded a chiral carbocycle, which was purified as an acetate 13 in 27% yield. The stereochemistry of 13 was confirmed by correlating to that of 8.
  • 武隈 秀子, 武隈 真一, 松原 義治, 田中 偉裕, 山本 啓司, 野副 鉄男
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 419-423
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction of guaiazulene (1) with a 1.3 molar amounts of an aldehyde reagent (i.e., acetaldehyde, benzaldehyde, glyoxal, glyoxylic acid, and furaldehyde) in acetic acid at room temperature (25 °C) for 1-4 h under argon readily gave the corresponding 3, 3'-methylenediguaiazulene having a substituent at C-ot position (2, 3, 4, 5, and 6, respectively) in good yield (83-98%). A rearrangement product, trans 4, 5-di- (3-guaiazuleny1)-2-cyclopenten-1-one (7), was also obtained as a minor product (8% yield) by the reaction of 1 with furaldehyde. The structures of these products were established on the basis of their spectroscopic (UV/VIS, MS, IR, and NMR) data. Possible reaction pathways for the formation of these compounds are discussed.
  • 牧岡 良和, 高木 謙, 谷口 裕樹, 藤原 祐三
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 424-426
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Ytterbium and samarium-benzophenone complexes react with 1-alkynes to generate lanthanide. (II)acetylides having diphenylmethoxo ligand. It has been found that these acetylides act as reductants as well as nucleophiles, depending on the electrophiles used. Thus, their reaction with aldehydes and aliphatic ketones gives propargylic alcohols in good yields, while, with aromatic ketones and alkyl halide, the reductive coupling products are obtained selectively.
  • 大泉 毅, 福崎 紀夫
    1996 年 1996 巻 4 号 p. 427-430
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Soluble fluoride ion in atmospheric deposits collected from Niigata Prefecture, located along the coast of the Sea of Japan, were determined. Soluble fluoride ion was a miner component in the atmospheric deposits. In the long term sampling stations, the averaged non-seasalt fluoride ion (nssF-) concentration ranged from 0.56 to 0.63 μeg l-1, while nssF- deposition flux ranged from 2.43 to 3.91 μeg m-2. d-1. Seasonal variation of nssF- concentrations and deposition fluxes showed a tendency similar to that of non-seasalt sulfate, which was higher in winter and lower in summer.
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