モンモリロナイト(Mont)-ポリマー層間複合体の化学的諸性質を調べる一環として,凍結乾燥法と層間重合の手法により, Mont/ポリアミド複合多孔体(PMPC)を合成した。 PMPC は,数 μm の径の連通する孔と,数十 nm の厚みの孔壁(Mont/ポリアミド層間複合体層)とから構成される多孔体で,その孔壁の Mont 層間には 1~3 分子層のポリアミドが複合された。その層間構造は,1分子層と2分子層配列あるいは2分子層と3分子層配列のランダム混合層構造であると考えられた。
PMPC は耐水性を有し,ポリアミド複合量が 0.9~1.2 polymer units/(Si
4O
10)以上の場合には , 24 時間の熱水処理後も多孔構造を保った。一方, PMPC はポリアミド複合量に応じた 0.5~2 水層分 の限定的な膨潤性とイオン交換性を示し,ポリマーを複合するにもかかわらず, Mont の性質をも保持していた。
Cu
2+イオンで交換された PMPC は,
L-リシンと層間で in-situ に錯形成して,[Cu・(
L-Lys)
2]
2+と考えられる錯体を生じた。層間での錯体の配向は,ポリアミド複合量に依存して変化した。
以上の結果は, Mont 層間がポリアミドの複合量に応じて修飾された, Mont-ポリアミド-カチオンの協同的な場であることを示している。
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