フタロシアニン化合物は光導電性有機化合物として,複写機,プリンター等の分野で有機感光体(OPC)として実用化されており,今後もEL素子など工業的見地から他の用途開発が期待されている機能性色材の一つである。
著者らは,このフタロシアニンア化合物の中でも,μ -オキソ-金属(III)フタロシアニンニ量体に着目し,これら一連のフタロシアニンニ量体の新規な結晶変態を探索し,電子写真感光体の特性評価を行った.その結果,金属(III)がアルミニウムまたはガリウムの場合,ある特異な結晶変態のみが,本特性に関して優れていることを見いだした.特に金属(III)がアルミニウムの場合,今まで報告されているフタロシアニン系感光体に比べると600-650mmと短波長領域に最も高い分光感度を有することがわかった.また,金属(III)がイソジウムの場合,合成の過程において無金属フタロシアニンへと金属脱離・プロトン化が起こることがわかった.
本報告では,μ -オキソ-金属(III)フタロシアニンニ量体の合成経路やキャラクタリゼーションに関しても併せて報告する.
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