韓国産河東カオリンを用いてゼオライト合成を行うと,カオリンの構造変化を伴う,従来の低シリカゼオライトでは合成温度が100℃ 以下と低かったため,この温度以下で検討されてきた.しかし,高シリカゼオライトの原料として河東カオリンを用いると,より高い温度での検討が必要であるが,100℃ 以上ではあまり研究されていない.
そこで,高シリカゼオライト合成の検討を行う前に,まず合成温度175℃,200rpmで,水分含量変化による河東カオリンからのゼオライト合成とカオリンの構造変化について研究した.その結果,次のようなことが明らかになった.
(1)水分含量98%の場合,ソーダライト,ゼオライトA,ゼオライトP
1,UnknownTやその混合物が生成した.特にゼオライトAは非常に狭い範囲で生成した。水分含量95%の場合には,単一生成物は得られず,その混合物だけ生成された.
(2)処理時間の変化による水分含量(928)%の生成系では,カオリン→ 非晶質相→ ソーダライト→ ゼオライトA→ ソーダライトの経路で変換したが,95%では,カオリン→ カオリンとソーダライトの混合物→ ソーダライトへ変換し,非晶質相を経由しなかった.
(3)カオリン中に含まれているSiO
3,Al
2O
3の溶出量は,NaOH濃度が高いほど多くなったが,ゼオライトが生成する領域では逆に減少し,その後一定になることがわかった.
(4)河東カオリンのNaOH水溶液による非晶質化速度について,0.2M(1M=1moldm
-3)で処理したときは,非晶質化速度定数が0.0018min
-1,1.5Mの方は0.0590min
-1で,非晶質化速度の差が約30倍もあることがわかった.
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