湿式法と乾式法を組み合わせた合成法でペロブスカイト固溶体Sr(Cu
xZn
1-x)
1/2W
1/2O
3 (SCZW) を合成し, 固溶体の組成変動の解消への効果を確認した. この方法はCuOとZnOの均一な混合粉体を同時沈殿法で調製した後, これと他の原料粉末とを手混合して反応焼成させる方法である. この方法で得られたSCZW焼結体の組成変動を粉末X線回折ピークの半値幅の回折角依存性から測定し, 通常の乾式法 (原料粉末混合法) の場合と比較した. その結果, 通常の乾式法では1200℃ で4時間の焼成で焼結体に組成変動が存在していたのに対し, 組み合わせた合成法では1200℃ で1時間の焼成でも組成変動が存在せず効果が確認された. これまでの考えでは, SCZWのような固溶体に生ずる組成変動を解消するためには, 構成陽イオンすべて (Sr
2+, Cu
2+, Zn
2+, W
6+) か同一サイト内の陽イオンすべて(Cu
2+, Zn
2+, W
6+) に湿式法を適用する方法がとられた. しかし,同一サイト内の陽イオンの配列に電気的中性条件が働くことに着目すると,サイト内の異なる原子価の陽イオンの間(Cu
2+とW
6+, Zn
2+とW
6+)よりも同じ原子価の陽イオンの間(Cu
2+とZn
2+)の分布に不均一性が生じやすいため, 湿式法を適用する必要のある陽イオンも限定されることになる. この考えに基づく湿式と乾式を組み合わせた方法は, 湿式法を適用する陽イオンの種類が少ないため, SCZWと同じ A
a+ ( B
Ib+xB
IIb+1-x)
dB
IIIc+1-dO
3 (a + bd + c ( 1-d ) = 6, b≠c)の多くの固溶体に適用できる.
抄録全体を表示