金属錯体によるNO接触分解の可能性を検討するために, MTPP(M = Co (II) , Cr (III) , Zn (II), Ag (II), Ru (II) ;H
2TPP=5, 10, 15, 20-tetraphenylporphyrin) およびCo(salen) (H
2salen=N, N'-disalicylideneethylenediamine) に対するNO吸着特性を評価するとともに, NO吸着特性に優れていたCoTPP, Co(salen)を用いた酸素存在下でのNO接触分解の初期検討を行った. CoTPP, Co(salen)へのNO吸着は, (1) 低NO濃度 (1024ppm以下) では, 中心金属部に2種類のNO
- (CoTPP: 1680cm
-1, 1695cm
-1), (Co (salen) : 1633cm
-1, 1644cm
-1) が単分子状態で吸着し, Co(salen) の方が低波数シフトが大きかった. (2) CoTPPでは, 1680cm
-1, 1695cm
-1の順に吸着を起こしやすく, さらに高濃度 (1%, 5%) では,1680cm
-1のNO
-種が吸着した中心金属間を新たなNOで架橋した構造をとるbridgingNO (1528cm
-1) を形成した. (3) Cosalenでは, 低NO濃度 (1024ppm) において, bridgingNOがみられた.
CoTPPおよびCo (salen) をそれぞれ, 多孔質がラスに担持させた触媒によるNO接触分解では, Co (salen) のほうが分解特性が良く, NO: 300ppm,O
2: 0.9%, 190℃, フロー式 (反応器内滞留時間: 約14分) 反応において, 最大約84%の接触分解がみられた. これは, NO分子への電荷移動度の大きさ, 酸素分子との選択性, 中心金属へのNO分子の複数吸着能の高さに起因すると結論した.
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