リーン燃焼排ガス用脱硝触媒として,MFI型メタロシリケート担持Ir触媒を活性化処理することにより脱硝活性が飛躍的に向上することを見いだした.H
20-N
2雰囲気で活性化処理することにより,炭化水素転化率はわずかに低下するものの,脱硝活性は大きく向上する.本活性化担持Ir触媒は酸素濃度0.48-8%の広範囲のリーン雰囲気でオレフィン系および芳香族系の炭化水素を還元剤として,300-500℃において高選択的にNOをN
2に還元することができる.
本触媒のキャラクタリゼーションをX線回折法,EXAFS法により行ったところ,活性化処理により活性金属のIr担持物は非晶質状態のIrO
2からある程度凝集したIr金属に還元されることが確認でき,このことから,担体に担持されたIr金属が活性点であることがわかった.また,H
2-TPR試験にてH
2との反応により生ずるH
2Oの生成温度を測定したところ,活性化処理により約230℃から約120℃に低下することが確認でき,このことから触媒表層に活性酸素が存在することがわかった.
さらに,脱硝反応機構を検討したところ,活性酸素と炭化水素から形成された含酸素炭化水素が反応中間体として脱硝反応に寄与することが示唆された.
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