C-Mg,N-MgおよびO-Mg結合を持つマグネシウム反応試剤とNO
2,CO,CNなどの官能基を持つ諸基質の反応において,正常(付加,縮合)および異常(ラジカル)生成物の収率分布は,一電子移動(SET)効率の相対的目安としての両成分の酸化および還元電位の差(ΔE=E
ox−E
red)と相関させることができる。これをΔE-解析法と称する。
アニリンから導かれるN-Mg反応試剤は適度に大きなE
oxを持ち,反応性が穏やかで反応支配因子の探索に好都合であり,N-Mg反応試剤の関与するすべての反応がC-Mg,O-Mgの反応とともに分類され性格づけられた。さらに,強力配位子を添加剤として加えると,ΔEの大きい反応に潜在的に含まれるSETを掘り起すことができ,この方法で正常生成物の収率も改善された。
反応の一般的特性(I,II)を次に記す:I)反応試剤および基質からの正常生成物が形成するためには,SETとσ錯形成(例:>C=O…Mg<)とが必要である;II)適当な過剰量の反応試剤が反応の後段階の生成物形成過程の補助に必須である。II)は,発生したラジカル種の対と過剰反応試剤分子からなる集合体がつくる一種の閉鎖環境内で後段階が進むことを意味し,初期条件(電位の差)と最終収率分布とを相関させるΔE-解析法が多段階反応でも有効である理由の根拠となる。以上の知見を基礎に,マグネシウム反応試剤を正確に活用するための一般的指針が提出された。
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