セメントによる都市型廃棄物の減容システムを考える場合,リン化合物あるいは二水セッコウなどがセメントの主要構成化合物であるエーライトの水和に及ぼす影響を明らかにすることは重要となる。したがって,エーライトの水和および水和生成物に及ぼすリン化合物あるいは二水セッコウの添加による影響について検討した。
初期水和について,水和発熱を伝導熱量計により測定した。エーライトにリン酸-水素カリウムを添加した場合,エーライトの水和は遅延された。その遅延効果は,1.5%(P
2O
5換算)添加のとき最大となった。一方,二水セッコウを添加した場合,10%(SO
3換算)添加まで,添加量の増加に従ってエーライトの水和は促進された。反応時間28日における生成するケイ酸カルシウム水和物について,リン酸-水素カリウムあるいは二水セッコウを添加した場合,それぞれP
2O
5あるいはSO
3を含み,CaO/SiO
2比は無添加のエーライトの場合に比べ大きな値を示した。P
2O
5あるいはSO
3は,カルシウムを伴い,ケイ酸カルシウム水和物中に入ったり,また,ケイ酸カルシウム水和物の形態にも影響していると考えられる。
抄録全体を表示