アルミン酸ニッケル(Ni
0.5Al
2O
3.5)に担持したパラジウム三元触媒は,CeO
2添加
γ-Al
2O
3を使った従来のパラジウム三元触媒よりも優れた浄化活性を持つ.しかしながら,前者の触媒の活性は,エージング処理によりかなり低下する.この劣化に関する理由を明らかにするため,エージング後の両触媒を,X線回折や電顕観察により調べた.前者の触媒に含まれるPd酸化物の一部がエージングによって金属Pdまで還元され,Pd酸化物の粒子径が,後者の触媒に比べ大きくなっていた.このことは,前者の触媒中のPd酸化物は,焼結はもちろん部分的な還元を受け,エージング中に十分な安定化がされていないためと考えられる.アルミン酸ニッケルへのCeO
2添加は,Pd酸化物を安定化し,これらの劣化要因を排除する効果があることが示された.CeO
2担持量の最適値は,3.0–6.0 mol%であった.CeO
2含量3.0 mol%の触媒は,エージング後のLight-off活性と三元活性(評価温度400 °C)が最も優れた.XPS測定では,CeO
2の存在によって,400 °C,15分間の水素還元処理を施しても金属Pdへの還元が抑制され,Pd酸化物の状態が安定化することができることが示された.
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