日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
2001 巻, 7 号
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一般論文
  • 伊部 壽夫, 松村 勇一, 上野 俊英, 清川 肇, 米沢 晋, 高島 正之
    2001 年 2001 巻 7 号 p. 387-391
    発行日: 2001年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    ニッケル水素化物電池の負極材料として用いられている水素吸蔵合金(MH合金)粉末表面上にNi-PTFE(PolyTetraFluoroEthylene)複合めっき皮膜を電気めっき法で形成することに成功した.MH合金は平均粒径が約50 μmでMmNi3.65Co0.75Al0.25Mn0.35(MmはMisch metalの略記号)の組成のものを用いた.粉末材料に電気めっきを行うため回転槽式めっき装置を設計試作し,遠心力を発生させ粉末試料とカソードとの接触を十分にして給電を行った.また,一定時間ごとに回転方向を逆転させてMH合金粉末とめっき液を攪拌できるように工夫した.得られたNi-PTFE複合めっき粉末試料表面ではめっき皮膜中にPTFE粒子が取り込まれている様子が観察され,比表面積はめっき前と比べて約3.5倍に増大し,多孔質になっていることがわかった.PCT測定の結果からは平衡解離圧,水素吸蔵量,ヒステリシスなどの水素ガス吸蔵放出特性が複合めっき皮膜の存在によって阻害されないことがわかった.さらに,高温アルカリ浸漬試験結果からは複合めっき皮膜の存在によりMn,Coといったイオンの溶出および腐食生成物であるMm(OH)3の合金表面上への生成が抑制されることがわかった.
  • 秋貞 英雄, 下 晴美, 福岡 和明, 阿部 宗一, 赤野 志乃, 西田 順子
    2001 年 2001 巻 7 号 p. 393-399
    発行日: 2001年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    1-アルカンスルホン酸のn-アルキルアンモニウム塩とα,ω-アルカンジアンモニウム塩のKrafft点は,結晶共存下の伝導度の温度変化から,融点は透過率の変化から測定された.これらの活性剤の融点は,対イオンの炭素鎖長に関して偶奇効果を示した.α,ω-アルカンジアンモニウム塩の場合,Krafft点もまた対イオンの炭素数に関して偶奇効果を示した.n-アルキルアンモニウム塩の場合,Krafft点は,対イオンの炭素数が4未満のときその偶奇効果は弱いが,対イオンの炭素数が4以上のとき,明確な偶奇効果を示した.飽和溶液の伝導度温度依存性から溶解熱の偶奇効果が得られた.その偶奇効果はKrafft点の場合と同様である.
  • 犬塚 功三, 岩崎 直也, 藤本 明
    2001 年 2001 巻 7 号 p. 401-413
    発行日: 2001年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    基底状態ならびに励起状態における1-メチル-2(1H)-ピリジンイミン(1MPIと略)の最適構造を知るためにRHF/6-31 + G(d)法ならびにRCIS/6-31 + G(d)法を用いた計算を行った.また,B3LYP/6-31G(d,p)法を用いて基底状態の最適構造を計算した.その結果,以下の結論を得た.(1)基底状態では1-MPIは平面構造をとる.(2)最低励起一重項状態ではC=NH基の炭素原子C3とその反対側の炭素原子C7を結ぶ線を軸として,環をねじった構造が平面構造より安定である.平面構造と,このねじれた非平面構造とのエネルギー差は0.34 kJ mol−1である.(3)最低励起一重項状態はππ*性で,この状態と第二励起ππ*一重項状態の間には三つのn,π*一重項状態が存在する.(4)最低励起ππ*一重項状態は非平面性のために,純粋なππ*性を失い,n,π*性が混じった状態となる.したがって,隣接する一重項や三重項状態との間の相互作用が容易で,最低励起ππ*一重項状態に接近したn,π*一重項状態との近接相互作用が可能である.これらの相互作用のために,最低励起一重項状態の無輻射失活が促進され,蛍光量子収率が非常に小さくなると考えられる.(5)1MPIのC=NH基のH原子は環N原子に対し,トランス配置が安定である.トランス-シス異性化反応に対するポテンシャル障壁の高さを上述の方法で計算した結果,基底状態よりも最低励起一重項状態において異性化が起こることが考えられる.濃度変化ならびに光照射した1MPIのIRスペクトルからは,少量のシス型の存在が示唆された.(6)最低励起一重項状態における1MPIの分子構造の変化の程度は,2-ピリドンおよび1-メチル-2-ピリドンの構造変化と比べて小さい.この結果はこれら三者の蛍光スペクトルの振動構造の形状が,1MPIと残りの二者のそれと異なることと関係している.
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