ピラゾロン環をナフトール染料顕色剤に導入しその色調および染色堅ろう度について考察した。
顕色剤はいずれもピラゾロン環の4-位にアゾ基で結合しているフェニル核にアミノ基を導入したもので,ピラゾロン類にジアゾ化したアシル-アミノアニリン類をカップリングし,ついで加水分解する方法か,あるいはジアゾ化したニトロアニリン類をカップリングし,ついで還元する方法によってアミノ化合物を合成した。
合成したアミノ化合物は,3-メチル-4-(4'-アミノフェニルアゾ)-5-ピラゾロン(I),1-フェニル-(II)-,1-(β-ナフチル)-3-メチル-4-(4'-アミノフェニルアゾ)-5-ピラゾロン(III),4-(3'-アミノフェニルアゾ)(IV)-,4-(3'-トリフルオルメチル- 4'-アミノフェニルアゾ) (V)-,4-(2', 5'-ジエトキシ-4'-アミノフェニルアゾ)-1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン(VI)および4-[4'-(4''-アミノフェニルアゾ)-フェニルアゾ](VII)-,4-[2',5'-ジメトキシ-4'-(4''-アミノフェニルアゾ)-フェニルアゾ] (VIII)-,4-[2', 5'-ジメトキシ-4'-(2'', 6''-ジクロル-4''-アミノフェニルアゾ)-フェニルアゾ]-1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン(IX)である。
ナフトールAS類と組合わせて木綿上で顕色した結果,(I),(II),(III)は紫色系,(IV)は赤色系,(V)は赤紫色系,(VI)は青色系,(VII),(VIII),(IX)は黒色にそれぞれ顕色した。日光堅ろう度は(I),(II)以外はすぐれていて,洗たく,摩擦堅ろう度も(I),(II),(III)以外は優秀であった。
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