工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
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63 巻, 1 号
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  • 向坊 隆
    1960 年 63 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 多田 格三
    1960 年 63 巻 1 号 p. 4-7
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 山口 哲夫
    1960 年 63 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 中井 敏夫, 中島 篤之助
    1960 年 63 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 徳永 惇
    1960 年 63 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
  • 長船 広衛
    1960 年 63 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 小森 栄一
    1960 年 63 巻 1 号 p. 27-28
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 園田 晋
    1960 年 63 巻 1 号 p. 29-30
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 園田 晋
    1960 年 63 巻 1 号 p. 30-31
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 野田 敏男
    1960 年 63 巻 1 号 p. 31-32
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 向井 繁正
    1960 年 63 巻 1 号 p. 33
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 大枝 春臣
    1960 年 63 巻 1 号 p. 34
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 中川 雅直
    1960 年 63 巻 1 号 p. 35-37
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高純度ケイ素の原料とすることを目的とし,四塩化ケイ素をニトリルで処理して不純物,特にホウ素分を沈殿させ,それを除去して純四塩化ケイ素を得る方法について検討した。ニトリルとしては主としてアセトニトリル,ベンゾニトリルおよびそれらの簡単な誘導体等を使用した。これらのニトリルを四塩化ケイ素に添加し,定性的に観察した結果,大部分のニトリルは四塩化ケイ素とはほとんど反応せず,四塩化チタン,およびバナジウムオキシ塩化物等の不純物と反応して分子間化合物と考えられる沈殿を生成することを確かめた。この沈殿をロ過,蒸留または四塩化ケイ素の蒸発等の方法で除去し,得られた透明な四塩化ケイ素中のホウ素を分析し,アセトニトリル,プロピォニトリルおよびベンゾニトリルがホウ素の除去に有効なことを知った。使用するニトリルの量は四塩化ケイ素25cc に対して1/200 mol 程度で十分であり,1.7ppmのホウ素を含む四塩化ケイ素を処理してホウ素含有率が0.3~0.4ppmのものを得た。この方法によるホウ素除去率は70~80%である。
  • 小森 正治, 佐々木 泰一, 鳰 芳雄
    1960 年 63 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    原子炉用高純度黒鉛粉末を結合剤なしにモールド成形するに当って,使用黒鉛粉末の粒度,成形圧力,高温化学処理が成形体の物理特性にいかに影響するかを調査し,さらに炭化ケイ素熱分解黒鉛粉末の使用可否を検討し,二,三の興味ある事実を発見した。
  • 中林 淳三, 酒井 寛人
    1960 年 63 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アンチモンとそれに含まれている不純物との酸素親和力の差を利用したいわゆる“分別酸化精製法” の可能性を検討した。本研究においては,アンチモンの酸化物生成の条件と不純物とがいかなる関係を有するかに重点をおいて,X線回折による結晶型の面から検討を行なった。
  • 岡田 辰三, 河根 誠, 端野 朝康
    1960 年 63 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    低原子価塩化チタンはきわめて不安定な化合物で,その溶融塩電解を行なう場合劣化されやすく,電析金属チタン中に酸素の含有が多くなり,極端な場合は全く延伸不可能なチタンしか得られないことが多い。本研究はこの低原子価塩化チタンを安定化せしめるために,アルカリ金属塩化物との複塩を合成し,これを低原子価塩化チタンの代わりに,溶融塩電解して高純度金属チタンを得ようとした。
    目的とする複塩はいまだ文献に発表せられていないので,まずその型を推定せねばならない。その結果MTiCl4またはM2TiCl4(M:アルカリ金属)なる塩を対象として,その合成法を確立し種々の検討を行なうことにより,目的の化合物であることを確認した。この複塩は低原子価塩化チタンにくらべてかなり安定であったが,なお,十分とはいえなかった。しかしその溶融塩電解における劣化を防ぐ操作を低原子価塩化チタンの場合よりかなり簡単にしても電析金属チタンの純度は劣らず,高純度金属チタンの溶融塩電解法として推奨できることがわかった。
  • 碇 醇
    1960 年 63 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    複雑で実験値の少ない3成分定温気液平衡を理論的に取扱い,少数のパラメーターによって平衡図を表わすことを試みた。著者がさきに2成分系の気液平衡を取扱ったときに用いた方法を,3成分系に拡張して,3成分溶液の活量を表わす式を誘導し,この理論式のパラメーターに適当な数値を代入して実験値と比較した。実験値としては,理想溶液と相当に異なるC6H6-CH3OH-CCl4系を選び, 各2 成分系の実験値より得られた六つのパラメーターと, 適当にとった一つのパラメーターを理論式に代入し,試行錯誤によって計算値を求めた。計算値を図示し,実験値と比較すると,かなりよい一致が得られた。
  • 原 春一, 安達 昭義, 倉田 直次
    1960 年 63 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報の2段接触微分反応方式による亜硫酸ガス接触酸化反応速度測定値は,負の速度領域にもおよび,反応平衡点の実測による反応温度の検討も行なわれて,かってなかった特色と信頼性をもっている。
    本報では,この測定値にHougen,Watsonの接触反応機構解析法を適用して,反応機構の解析を行なった。その結果,測定条件下において,触媒の活性点に吸着した亜硫酸ガス分子と解離吸着した酸素原子との表面反応を律速段階とする速度式がよく適合することを認めた。そしてその速度式中の各定数値のもつ物理的意味をも検討した。
  • 滝 貞男
    1960 年 63 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭酸ナトリウム溶液を用い,補給源の屑水晶をヘビーケーキ層の上方に保持して種子水晶を再現性よく成長させ,同時にヘビーケーキの生成状況を明らかにした。水晶の成長率は高温ほど大きい。所定温度になった時より成長が始まるとみなして差支えなく,その後一定の成長率で成長する。充填液量の減少とともに成長率は低下し,40%以下では成長せずに種子が溶解する。炭酸ナトリウム濃度が低いと成長率はきわめて小さいが,濃度とともに急増し,0.5N以上ではわずかに増加の傾向を示すにすぎない。
    合成初期にはヘビーケーキは微粒として浮遊しており,時間がたつにつれてオートクレープ底に沈積していわゆるヘビ一ケーキとなる。12時間以内にその大部分が沈積するが,完了には約10日間を要する。炭酸ナトリウム濃度が低い場合には生成しないが,濃度が高い場合にはきわめて多量生成する。ヘビーケーキの生成に消費されるNa2O,SiO2はそれぞれ用いたアルカリの80%,溶解水晶の90%におよぶ場合もあり,水晶の成長に大きな影響をおよぼしている。
  • 久保 輝一郎, 神力 喜一
    1960 年 63 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    真空下(10-3~10-4mmHg,CO気中)で酸化チタンと炭素の混合物を加熱して,炭化チタンを合成する場合の反応機構について考察を行なった。まず,炭化チタン合成に関連して,考えられる反応を熱力学的計算によって検討し,これと実験結果とを比較して,次のように反応が進行すると考えた。
    TiO2→β相(TiO1.8~TiO1.7)→Ti2O3→δ相(TiCxOy)
    (第1段階)(第2段階)(第3段階)
    第1,2段階の反応は,それぞれの化合物からCOガスとしての脱酸素反応で,主として酸素の拡散によっておこる。第3段階では脱酸素反応と炭素結合反応がおこなわれ,Ti2O3から炭素を含有したδ-相(TiCxOy)を生成し純粋な形のTiOは生成しない。この場合脱酸素反応のみが急速に進行すると,δ 相とともに金属チタンを副生する。また,ここに生成したδ相は1400℃ 以上で炭素と反応して,さらに脱酸素し,表面層は結合炭素量の多いδ相となり,さらに加熱をつづけると,内部の酸素原子は炭素原子と位置交換して,均一な組成のδ相となる。以上のようにして,しだいに脱酸素されてδ 相は炭化チタソとなるが,一般にチタン過剰の炭化チタンが得られる。COガス分圧が5mmHg以上になると,δ-相はβ相から直ちに生成し,その間にTi2O3が生成しない。
  • 池野 亮当, 鷲尾 重昭
    1960 年 63 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブロリダ68(F68),フロリダ77(F77),マカテア(Ma),コシア(Ko)およびモロッコ(Mo)等の各種リン鉱石を硫酸にて分解する際に発生するフッ素,ケイ素の揮散率および発生ガス組成の変化を測定し,かつ考察を加えた。
    またリン鉱石の硫酸処理に際し,同時にケイ酸含有物質(ジャモン岩,能登リン鉱,ケイ石)または肥料塩((NH4)2SO4,K2SO4,NH4Cl,KCl)の一種を添加した場合のフッ素,ケイ素揮散率および発生ガス組成に及ぼす影響を測定し次の結果を得た。添加物のない場合:
    (1)フッ素揮散率は反応開始後10分ではF68>Mo>Ko>F77>Maの順序であった。
    (2)Maリン鉱では発生ガスのHF/SiF4モル比は8~15であってHFが発生フッ素ガスの主成分である。
    (3)F68,Koは反応の初めにHFが発生するが30分以後は主としてSiF4が発生する。ケイ酸含有物質または肥料塩添加の場合:
    (1)Maリン鉱にジャモン岩等のケイ酸含有物質を添加するときはフッ素揮散率は約2倍となる。この際発生ガスのHF/SiF4モル比は0~3となった。
    (2)肥料塩の添加によりフッ素,ケイ素揮散率は無添加試料の1/2以下となった。
    (3)発生ガスのHF/SiF4モル比は逆に増大し,2~8倍となった。
    (4)単位時間内における発生ガスのHF/SiF4モル比は硫酸塩添加試料では,しだいに増大するが塩化物添加試料では30分以後減少した。
  • 池野 亮当, 下村 康之
    1960 年 63 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    硫安,硫酸カリウム,塩化アンモニウムおよび塩化カリウムを用いて試作したムロ式化成肥料の塩類形態をX線回折により解析し,ムロ式化成肥料の生成反応,熟成反応およびその化学構造を検討し,次の結果を得た。
    硫安,硫酸カリウム等の硫酸塩を用いる場合は硫酸塩と硫酸の反応は容易に起り,相応する酸性硫酸塩および酸性複塩が生成することを認めた。
    酸性硫酸塩とリン酸一石灰の反応により相応するリン酸塩,セッコウが生成し同時に原料塩に相応するカリウムシンゲナイトまたはアンモニウムシンゲナイトが生成する。また熟成によりいったん生成した酸性複塩が減少することを認めた。
    塩化アンモニウム,塩化カリウム等の塩化物を用いる場合は,塩化物と硫酸の反応は起り難い。また硫酸塩を用いる場合にくらべて複塩の生成がないので比較的単純な回折線が得られた。
    セッコウの形態としては硫安を用いる場合,反応温度85℃ では二水塩,半水塩および無水塩の3態として存在するが,塩化物を用いる場合は半水塩および無水塩の形で存在し,二水塩は認め得なかった。
    反応温度110℃ ではすべての試料中に二水塩は認められなかった。N-P-K3成分系の工場製品中の塩類の形態は,前記試料の回折図で認めたものと一致した。
    過リン酸石灰,硫安および塩化カリウムの物理的な混合による配合肥料中に少量のアンモニウムシンゲナイト,リン酸一アンモニウムの存在を認めた。また尿素を原料とするムロ式化成肥料では尿素の大部分は尿素セッコウとして存在することを認めた。
  • 安藤 淳平
    1960 年 63 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Si,P,Al,Mg,Fe,Ca,Naなどの酸化物を主成分とする約70種類のリン肥,スラグその他のガラス質の試料について,X線回折によるガラスのハロを調べて,ハロの中心位置が主としてガラス中の酸素配位数6(または8)の陽イオンと4の陽イオンとの数の比率によって決まることを見出した。またこの関係を利用してAlやMgあるいはリン酸ガラス中の各陽イオンの配位の状態を測定し,これによって試料のガラス化の限界,クエン酸,N/2-HClその他の溶剤による溶解性(溶解速度,可溶限度)などを明確にした。本研究で明らかにした原理は上述の諸成分からなる各種のガラス質試料について例外なくあてはまり,ガラスの比重,屈折率,粘度などの諸性質の解明にも役立つと考えられる。上述の諸元素と原子番号の離れたB,Ba,Pbなどの各元素を含むガラスについては上述の原理だけでは不十分で,さらにイオン半径,電子数その他の要因を考える必要がある。
    なおガラス質試料だけでなく,失透生成鉱物,徐冷結晶鉱物などについても検討を加えた。
  • 安藤 淳平, 松野 清一
    1960 年 63 巻 1 号 p. 92-96
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    溶成リン肥工業合理化の一案として,高品位リン鉱石(P2O535~38%),ニッケルの多い蛇紋岩(Ni=0.26%),ケイ砂を使用し,コークスを加えて溶融することによりリンの1/3程度を揮発させてリンとして回収し,同時にP2O517~18%の溶成リン肥をつくり,ニッケルも十分還元して含ニッケルリン鉄として回収する方法について基礎研究を行なった。
    リンの1/3程度を揮発させると蛇紋岩中の酸化鉄も80%程度,Niは90%以上還元されてリンの5~8%がFe,Niと結合してリン鉄をつくる。したがってリン肥中のリン酸分はかなり減少し,CaO/P2O5モル比が5.5程度となり,リン肥の低融範囲が普通のリン肥より数%MgOの低い方に寄り,融点が高くなり,また融液が結晶してアパタイトを晶出する速度が大となる。
    したがってPの揮発を全体のPの1/3程度にするとリン肥はTP 17%以上では高ク溶率のものをつくり難くなる。揮発を1/3程度としてCP 16%,1/4程度としてCP 17%の高ク溶率のものをつくることは可能であり,水砕条件がよければ結果はさらに向上する。リン鉄の組成はほぼ一定でFe 70%,P 25%,Ni 3%程度であった。
  • 小島 薫
    1960 年 63 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    天然ガスとともに湧き出る地下カン水中のヨウ素イオンを酸性で酸化してヨウ素を遊離せしめた後,微酸性にすると遊離ヨウ素は次第に減少して行く。この減少についての資料を得るために原カン水にKIを0.26159g/l添加し,pHを1.3~3.6に調整した液中における遊離ヨウ素の減少に及ぼすpH,ヨウ素濃度,温度の影響を検討した。ヨウ素の時間的減少の割合はpHとともに大になり,0.95日後のヨウ素残存率はpH1.5,2.13,3.60でそれぞれ0.905,0.690,0となる。pHが一定の条件でのヨウ素初期減少速度(mol/l・min) はヨウ素初期濃度にほぼ比例する。[I2]=1.0×10-4mol/l,pH1.3,2.25,2.77における減少速度はそれぞれ2.3×10-8,6.3×10-8,19.0×10-8である。10℃~27℃の範囲でのヨウ素減少の活性化エネルギーは21.1kcal/molとなる。塩素イオン,ヨウ素イオン濃度の等しい人工カン水中のヨウ素減少速度はカン水中にそれの数分の一ないし,十数分の一にすぎないこと,活性炭処理カン水中のヨウ素減少速度が未処理カン水にくらべてかなり小さくなること,等よりヨウ素減少の大きな要素の一つはカン水中のコロイド性還元物であるといえる。ヨウ素減少速度はヨウ素濃度のほぼ一乗に比例する。
  • 麦島 与, 池田 和夫, 流郷 忠良
    1960 年 63 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    疎水化された微粉固体は,非水固体溶媒に対しては分散性が改善されるかどうかを確認するのが目的で,今回は,単純な系として固形パラフィンを対象とし, 粉体には, カーボンブラック, グラファイト,TiO2, MoS2等を選び, 表面処理による分散度変化を検討した。なお,表面処理した場合の疎水化機構について若干の知見を得た。比重測定により数字的に表わされた分散度は,定性的に観察された順序と全く一致した。各粉体は,表面の疎水性化されることにより,固形パラフィンに対する分散性が向上するのを認めた。しかし,カーボンブラックは,原試料が,疎水性であるためと比重差の関係も影響して,表面処理による顕著な分散性は,見られなかった。TiO2について詳細に検討した結果,ドデシルアミンアセテートが最も効果が大で,次いでオクタデシルアミンアセテートである。また,最も分散性のよくなる率は粉体に対して1~2wt%であり,過剰の処理は,効果が劣る。ソジウムドデシルサルフェートは,ほとんど効果が現われない。一般に,比重差による沈降速度が非常に異なる。粉体自体が疎水性であるものほど処理効果が小さい。脂肪族アミン酢酸塩は,乾燥工程中,アミドに変化するか酢酸を遊離してアミンに変化するか,いずれかの形で粉体表面を疎水化するものと考えられる。結論として,微粉固体の非水固体溶媒に対する分散性は,その粒子表面を疎本性化することにより向上できる。
  • 山本 重義, 金田 堯穂
    1960 年 63 巻 1 号 p. 104-106
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    反応は次のように1段で進行してオキシムを生成することがわかった。
    HONHSO3-+R2CO→R2CNOH+HSO4-(1)
    V=k1[H+][HONHSO3-][R2CO]
    この反応が次の2段反応により進むものと仮定し,HONHSO3-+H2O〓HONH2+HSO4-(2)
    V=k2[H+][HONHSO3-]HONH2+R2CO→R2CNOH+H2O(3)
    (2)の反応を律速としてk2を測定した。シクロヘキサノンを用いて得た反応(1)におけるk1にその時用いたシクロヘキサノンの濃度を乗じて2次速度定数に換算するとk2の数万倍であった。カルボニル化合物の種類により反応性が異なり,一般にアルデヒドの方がケトン類より反応性大であった。ヒドロキシルアミンジスルホン酸の加水分解にはカルボニル化合物の影響は認められなかった。
  • 新井 秀男, 村田 二郎
    1960 年 63 巻 1 号 p. 107-110
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メチルビニルケトンとケトンとのアルカリ触媒による付加反応をこころみ, アセトンからはヘプタン- 2 , 6 - ジオンと3 -メチル- 2 - シクロヘキセノンの混合物を, メチルエチルケトンからは3 , 6 - ジメチル- 3 - ヒドロキシシクロヘキサノンと3 ,6-ジメチル-2-シクロヘキセノンの混合物をいずれも好収率で得た。またメチルイソブチルケトンおよびアセトフェノンとの反応でdl-ピペリトンおよび3 - フェニル- 2 - シクロヘキセノンが得られたが, いずれも収率はよくなかった。
    なおアセトンの場合は塔式の反応をこころみ,いちじるしく収率を高めることに成功した。
    またヘプタン- 2 , 6 - ジオンと塩酸ヒドロキシルアミンとの反応で2 , 6 - ルチジンを好収率で得た。
  • 園田 昇, 堤 繁
    1960 年 63 巻 1 号 p. 110-113
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    過酸化水素利用研究の一として石油分解により多量に得られるガス状オレフィンのヒドロキシル化をとりあげた。本反応には加圧法が有利と考えられ,均一相において反応が進行することから溶媒の選択は重要であり,第3級ブチルアルコールの場合に好結果が得られた。種々の金属酸化物触媒について検討した結果,四酸化オスミウムが最高収率で相当するジオールを与え,二酸化セレンがこれにつぐ結果を示す。前者は常温で反応するが後者は60~70℃ に加熱を必要とする。反応系中の水の存在はオレフィンの溶解度の低下および過酸化水素の分解を促進するためにジオールの収率を低下させる。
    イソプロピルアルコールの気相酸化生成物(過酸化水素のイソプロピルアルコール,アセトン,水の混合溶媒溶液)は四酸化オスミウムを触媒とするとき直接オレフィンのヒドロキシル化に利用できるが,二酸化セレン触媒ではアセトンの酸化がおこりプロピオン酸を生成する。
  • 松田 住雄, 松田 治和
    1960 年 63 巻 1 号 p. 114-118
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジアルキルスズ化合物は透明塩化ビニル樹脂の安定剤として賞用されているが,その原料であるジアルキルスタノン,さらにジハロゲン化ジアルキルスズの新しい合成法について検討した。すなわちスズ箔とヨウ化アルキルに微量の亜鉛,マグネシウムなどの金属と, アルコールを主とする少量の有機溶剤を添加し煮沸することによってきわめて高収率で二ヨウ化ジアルキルスズを得ることが出来た。そこでこの時の各種反応条件が収率におよぼす影響を検討し,その最適条件を求めた。またメチル,エチルなどアルキル基の小さいものから長鎖状アルキル基にいたるまで各種のものについての反応性を比較した。
    こうして得た各種二ヨウ化ジアルキルスズを加水分解してジアルキルスタノンを得る条件も検討し,さらにジアルキルスタノンから一般にジハロゲン化ジアルキルスズを合成してその性状を求めた。
  • 林 雅子
    1960 年 63 巻 1 号 p. 118-122
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    直接染料系螢光増白染料のセルロース繊維に対する染着量と螢光強度の関係およびその濃度消光を示す限界濃度が,染色に際しての助剤の条件により異なることを最初の手がかりとして,同じ条件の染色物の光退色速度の変化,セロファン膜染色物における染料分子の配列度の光二色性による推定などとあわせ,染着している染料の状態に関し若干の考察を加えた。その結果,セルロース系繊維に染着する直接染料系の螢光染料は,NaCl,SLSなどの助剤の影響をうけつつ,染料自体の濃度増加に伴なって,その凝集状態に特微のある変化をあらわすことが明らかとなった。すなわち,濃度消光を示す限界濃度付近で,その染着状態は急激に変化するものと考えられ,この濃度付近で光退色速度は激減し,光二色性は急速に低下する。
  • 田尻 弘水
    1960 年 63 巻 1 号 p. 122-127
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    染料と金属との配位結合性に関して, ペーパークロマトグラフィーとポーラログラフィーの二手段を用いて検討した。
    染料と金属塩をエチレングリコールまたは水中で加熱すれば,ある種の染料は金属と反応していわゆる配位結合体を生成するが,その結合体はペーパークロマトグラフィーの挙動が原染料のそれと全く異なるので,反応の有無は容易に識別できる。その際使用する展開剤は1)15%ピリジン,2)60%酢酸,3)n-ブタノール・ピリジン・水5:3:5,4)n-ブタノール・酢酸・水4:1:5の4種が適当である。
    次に反応液にブリトン・ロビンソン緩衝液を加えてポーラログラフィーに付すると,結合のない染料は波形に変化がなく,結合があるものは明瞭な波形の変化が生じる。
    しかも染料の化学構造の差異によって変化には単に波高が低下するものと,半波電位が負位にずれるものとの二つの現象がみられる。すなわち染料の発色団が結合に関与しないものは前者に,関与するものは後者に属する。
    用いた金属塩はクロムミョウバン,アルミミョウバン,重クロム酸カリ,クロムおよびアルミの酸化物ならびに水酸化物,アルミン酸ソーダであるが,実験結果より染料と反応する金属は「イオン」の形であるべきと考えられる。
    また反応前後の波形の観察よりアゾ型媒染染料では反応は二つの段階で進行し,まず,1)染料の一方の-OHとアゾ基が結合に関与し,次に,2)残りの-OHが結合に関与すると考えられる。
    以上二つの分析手段はいわゆる「媒染性」の端的な識別手段として役立つし,更に染料の化学構造を推定するための参考にもなりうる。
  • 飛田 満彦
    1960 年 63 巻 1 号 p. 128-133
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-3-オキシアントラキノンの合成法として,(1)5-ベンゾイルベンゾオキサゾロン-2'-カルボン酸の硫酸環化による方法と, (2)2-アミノ-3-X-アントラキノンから2-オキシ-3-X-アントラキノンを経て合成する方法について検討した。
    (1)の方法は副生する異性体,1-アミノ-2-オキシアントラキノンの生成量が少なく(130℃で5%),かつ約88%の硫酸で容易に分離ができる点ですぐれている。また,この反応では副反応がおきていないことが分光分析により確認された。両異性体の生成比の温度変化から活性化エネルギーの差5.2kcal/molを得,さらにこの反応の置換配向性の問題を有機電子論により考察した。(2)の方法では,XとしてBr,Cl,NO2,SO3Naを用いたが,臭素の場合のみ満足する結果が得られた。この方法では若干の副生成物ができるが,アルコール水溶液により簡単に取り除くことができる。得られた精製品は(1)の方法で得たものとエタノール中の吸収スペクトルがよく一致した。
  • 北尾 弟次郎, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1960 年 63 巻 1 号 p. 133-137
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維と共有結合により染色するいわゆる反応性染料の反応基としてクロルアセチル基を有する二,三の染料を合成し,絹,ナイロン,モメン,ビスコースレーヨンに対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。
    本染料はアミノ基を有する水溶性アゾ染料とクロルアセチルクロリドとの縮合によって合成した。これらの染料を用い述の繊維をアルカリ染色により,あるいは酸性染色後アルカリ処理(炭酸ナトリウムまたはリン酸第三ナトリウム)によて,上り反応させ,未固着染料はソーピングにより除去した。
    一般に,これらの染料は絹あるいはナイロンのような含窒素繊維によく反応固着されるがセルロース繊維では僅かに劣った。色調は黄,だいだい,赤,紫,青色系統である。この反応基を導入することにより母体染料よりもかなり浅色的となる。鮮明度は特に黄, 赤色系にすぐれたものが多く, 繊維別では絹>セルロース>ナイロンの順であった。またナイロンは最も深色的であった。堅ロウ度は洗たく,摩擦,日光ともに非常に良好であった。
    染料-繊維間の共有結合生成に対する証拠は既報と同様の方法で確かめられた。
  • 北尾 弟次郎, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1960 年 63 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維と共有結合により染色するいわゆる反応性染料の反応基としてクロルブロピオニル基(β- クロル- ,α- クロル- およびα,β- ジクロル- プロピオニル) を有する二, 三の染料を合成し, 絹, ナイロン, ビスコースレーヨンに対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。
    本染料の合成はアミノ基を有する水溶性アゾあるいは銅フタロシアニン染料とβ- クロル- , α- クロル- あるいはα,β -ジクロルプロピオニルクロリドとをそれぞれ縮合させて得た。これらの染料を用いて,上述の繊維をアルカリ染色により,あるいは酸性染色後アルカリ処理により反応させ,未固着染料はソーピングにより除去した。
    一般にこれらの染料は含窒素繊維,とくに絹は非常にによく反応固着されたがセルロース繊維では少し劣った。これらの反応基の固着度順位はα,β - ジクロルプロピオニル>β- クロル体>α - クロル体であった。色調は黄, だいだい, 赤,紫,青色系であつた。これらの反応基の導入は母体染料に浅色的に作用する。また他の効果はさきのクロルアセチル基を有する染料のそれと同様であった。洗たく,摩擦,日光堅ロウ度はいずれも非常に良好であった。
    染料-繊維間の共有結合生成に対する証拠は既報と同様な方法で確かめられた。
  • 北尾 弟次郎, 高木 功男, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1960 年 63 巻 1 号 p. 141-145
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維との共有結合により染色するいわゆる反応性染料の反応基としてグリシジル基または2-オキシ-3-クロルプロピル基を有する二,三の染料を合成し反応性染料としての適用性,色調および堅ロウ度などを調べた。
    反応性分散染料はN-アルキル-N一グリシジル-,あるいはN-アルキル-N-(2-オキシ-3-プロピル)-アニリンに二,三のジアゾニウム塩をカップリングさせて合成し,絹,ナイロン,ビニロン,アセテートを温和なアルカリ触媒のもと反応染色した。色調は赤,赤茶,紫で,一般に含窒素繊維に良好であった。ここでクロルヒドリン型染料とオキシド型染料とは同様の反応染色結果を示すことを知った。反応性水溶性染料はアミノ基を有する水溶性アゾ染料とエピクロルヒドリンとの反応によって合成し,絹,ナイロン,ピスコースを反応染色した。色調はだいだい,赤,紫,青色系であり,ピスコースと絹にはよく反応固着したがナイロン上では僅かに劣っていた。なお,この反応基を導入することにより母体染料よりかなり深色的となる。堅ロウ度は洗たく,摩擦,日光とも一般に非常にすぐれていた。
  • 小林 靖二, 岡島 三郎
    1960 年 63 巻 1 号 p. 145-148
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維の二色性定数fDは染色濃度によって変化し,いわゆる過染色現象を呈すると一般に信じられているが,一定染色濃度のコンゴーレッド染色繊維を同一波長の光に対しコンゴーレッドの色調を赤から青に変えたり,同一色調の繊維に対し波長を変えたりして吸収係数を変えるとfDが変化すること,また過染色現象を示さない染色皮膜より幅0.2mm以下に切った繊維形試料のfDは幅が狭くなるほど小さくなることを見出した。これより過染色現象は繊維を透過した光に縁辺で屈折散乱された光が混入しているために起ると推定し,正しいfDを得るための補正法および迷光を遮断して測定する直接法を試みた。両法の結果はよく互に一致し,また染着濃度に関係なく一定に得られることは皮膜の場合と同様であった。
  • 須沢 利郎
    1960 年 63 巻 1 号 p. 148-151
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    一般に電解質が多種類共存する水溶液中における繊維表面の電荷密度を求める式
    より,木綿繊維の直接染料溶液中の表面電荷密度を計算し,染色条件との関係を検討した。その結果繊維表面の電荷密度は染料濃度の増加とともに増加し,温度の上昇とともに直線的に低下した。また塩類濃度の増加とともに増加することも認められた。これらの傾向をζポテンシァルと比較し,染着性との関係を考察した。
  • 須沢 利郎
    1960 年 63 巻 1 号 p. 151-153
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナイロン6繊維の酸性染料溶液におけるζポテンシァルより,繊維表面の電荷密度を計算し,染着量との関係を調べた。表面電荷密度および染着量の,染料の種類,濃度,および塩類による変化の傾向はよく似ているが,pHおよび温度による両者のそれは逆になった。これらの結果について考察を加えるとともに,一,二の界面活性剤水溶液における表面電荷密度をも計算した。
  • 渡辺 雄一
    1960 年 63 巻 1 号 p. 154-156
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トルエン中で三フッ化ホウ素-エーテル混合物を触媒に使用して,室温でジペンテンと石炭酸を反応させて,テルペニルフェノールを合成した。反応生成物中2 N 水酸化ナトリウム水溶液に可溶部は1 , 8 - ビス- [オキシフェニル] -p- メンタン,Claisen溶液に可溶部は4-[1'-p-メンテン-8'-イル]-フェノール,2-[1'-p-メンテン-8'-イル]-フェノール,2,4-ジ-[1'-p-メンテン-8'-イル]フェノールであり,アルカリにとけない部分は8-フェノキシ-p-メンテン(1)およびその他のテルペニルフェノールエーテルである。
    反応温度,触媒量,原料使用割合などの反応条件を変化させて各反応生成物の生成割合について検討した。主反応生成物は1 , 8 - ビス- [オキシフェニル] -p- メンタンであり, 石炭酸はまずジペンテンの末端二重結合に付加して4 - [1'-p- メンテン- 8'- イル] - フェノールを生成し, ついで環内の二重結合に付加すると考える。
  • 吉弘 芳郎, 中村 亦夫
    1960 年 63 巻 1 号 p. 157-161
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブドウ糖の酸性溶液を加熱したとき生ずる色は,ブドウ糖から生成される5-オキシメチルフルフラール(以下HMFと略す)によるとされてきた。しかし着色量とHMFの生成量の量的関係は不明である。これを明らかにする目的で種々の条件でブドウ糖溶液を加熱し,着色量とHMF量を測定した。次にブドウ糖から生成されるHMFを計算により求め,単離されたHMFの着色量を基準にしてブドウ糖溶液を加熱した場合の着色量を計算し,実測値と比較した。
    その結果,ブドウ糖溶液を酸糖化条件で加熱した場合には着色量の多いものほどHMF量も多いが,着色量とHMF量の比は加熱条件により異なることや,またHMFのみが単独では色の原因にはなり難いことが判明した。
  • 吉弘 芳郎, 中村 亦夫
    1960 年 63 巻 1 号 p. 161-165
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報に引きつづき,ブドウ糖水溶液を加熱した場合に起る着色がブドウ糖から生成される5-オキシメチルフルフラール(以下HMFと略す)によるものであるかどうかについてを明らかにする目的で,pH2~7のブドウ糖水溶液を加熱し,着色量,HMF量を求め,HMF水溶液を同様に処理し,その着色量および残存HMF量を求めた。
    またブドウ糖水溶液を加熱した場合に生成されるHMF量とほぼ同量のHMFをブドウ糖液にあらかじめ加えて加熱し着色を行ないブドウ糖単独の溶液の着色量と比較した。
    その結果,液のpHは着色に重要な関係がありpH3~4で着色が最小となる。HMFの生成とpHの関係には特異なものがあり,HMF生成量を示す曲線はpH3.6付近で一つの極大点が存在する。
    HMF水溶液はほとんど着色せず,またHMFをブドウ糖に加えた場合も着色量はそれほど増大しない。これらからHMFは色の因子ではないと推定される。
  • 松本 忠也, 堤 繁
    1960 年 63 巻 1 号 p. 165-167
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    重合用触媒として知られているAlCl3の触媒機構を追求する目的でAlCl3とオレフィンの錯化合物を研究の対象とし,あわせてチーグラー触媒を分光学的に研究した。
    AlCl3をべンゼン中に懸濁させ,オレフィンを通じると有色の錯化合物が得られる。これらの錯化合物の紫外および赤外吸収スペクトルを求め,その熱分解ガスの成分をマススペクトルによって探索した。その結果オレフィンは錯化合物中でC=C結合をなお保有しており,単量体としてAlCl3と結合していることがわかった。
    チーグラー触媒の場合はTiCl4とAl(C2H5)3の付加体をシクロヘキサン中に分散させプロパンガスを通じ,その前後の赤外吸収スペクトルから触媒機構について若干の知見を得た。
  • 椎名 教, 乾 秀雄, 太田 善三, 熊田 誠
    1960 年 63 巻 1 号 p. 168-172
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ケイ素樹脂単量体の新しい型の一つと考えられる, アミノアルキル基をもつシランエステル類の合成を目的として, 次の3種の方法による3-アミノプロピルおよび4-アミノブチルシランエステル類および関連化合物の合成をおこなった。1)3-クロルプロピルシランエステル類を液体アンモニアで処理する。2)2-シアンエチルまたは3-シアンプロピルシランエステル類をラネーニッケル触媒で高圧接触還元する。3)N-アリルヘキサメチルジシラザンに白金化合物を触媒としてトリエトキシシランを付加させ,エタノールによって脱シリル化する。
  • 椎名 教, 熊田 誠
    1960 年 63 巻 1 号 p. 173-175
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    7種のアミノアルキルシラン類トリメチルシリルメチルアミン,ビス(トリメチルシリルメチル)アミン,3-アミノプロピルトリメチルシラン,4-アミノブチルトリメチルシラン,3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン,3-アミノプロピルトリエトキシシラン,4-アミノブチルジエトキシシランとアクリル酸エチルおよびメタクリル酸メチルとの反応をおこなった。ビス(トリメチルシリルメチル)アミンとメタクリル酸メチルとの反応および3-アミノプロピルトリエトキシシランとアクリル酸エチルとの反応の場合を除き,他のすべての反応において二重結合末端炭素に窒素原子の結合した,いわゆるβ-付加化合物が得られた。その収率は一般にメタアクリル酸メチルよりもアクリル酸エチルを用いたときのほうが高く,かつ付加のおこりやすさはアミノ化合物の塩基強度に関係するとともに,不飽和化合物の構造にもいちじるしく影響されることがわかった。異常生成物の構造についても考察をおこなった。
  • 庄野 利之, 兵野 喜三郎, 八浜 義和
    1960 年 63 巻 1 号 p. 176-178
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フランジカルボン酸とグリコール類とのポリエステルならびにテレフタル酸との共重合ポリエステルを合成し,炭素数偶数のグリコールとフランジカルボン酸とのポリエステルは結晶性良好で可紡性をもっていることを認め,また共重合物の融点はフランジカルボン酸単位60mol%のところに極小点が存在することを認めた。テレフタル酸とエチレングリコール, またはブタンジオールとフランジカルボン酸, またはテトラヒドロフランジカルボン酸との共重合体の融点よりFloryの式を用い溶融熱を計算しO.B.Edgerの値に近似した結果を得た。またテレフタル酸,テトラヒドロフランジカルボン酸,エチレングリコール共重合体繊維の染色性を分散染料について研究した結果,テトラヒドロフランジカルポン酸単位3.5mol%の混入によって染料吸着量がポリエチレンテレフタレートにくらべて20%増加することを認めた。
  • 里川 孝臣, 米谷 穰, 末吉 達雄
    1960 年 63 巻 1 号 p. 178-183
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリ三フッ化塩化エチレンの空気中における熱劣化について,3種類の重合体,A(塊状重合体)B(懸濁重合体)およびKel-Fを比較検討した。
    熱処理の温度は280ないし320℃を,時間は15ないし240分を選んだ。熱処理試料については,重量減少,赤外線吸収スペクトルおよびN.S.T.(強度消失温度)等を測定した。
    AおよびKel-Fは300℃ 程度の温度では,加熱初期に分子量の著しい低下がみられ,赤外線吸収スペクトルも5.31μに〓と考えられる吸収が現われる。これは重合体中にweak pointsが存在してそこから主鎖の切断が起るためと考えられる。
    Bには300℃程度の温度では,かかる加熱初期の分子量の著しい低下も,〓の吸収も現われない。320℃のような高温になると, 両者いずれもrandom initiationによる主鎖の切断も起り, 劣化すると考えられる。
  • 竹本 喜一
    1960 年 63 巻 1 号 p. 183-185
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    脱塩酸したポリ塩化ビニルとチオール安息香酸との反応をテトラヒドロフラン中,65℃ において二,三の添加物質存在下において検討し,反応が塩素の置換や主鎖の崩解などの副反応をともなわない,単なる付加反応であることを見出した。しかし反応は, チオフェノール付加の場合と異なりイオン的機構によると考えられる。得られた付加体のアルカリケン化についても検討した。また,2官能性のジチオール酸との反応では,おこなった実験条件の範囲内では付加が優位におこることがみられた。さらに,上記付加体の存在下でスチレンの重合をおこない,反応時間の進行とともに付加体主鎖の崩解反応がおこって,ついにはほとんど全部がベンゼン可溶分となること,またこの崩解反応に存在するスチレンが作用をもつことを示した。
  • 竹本 喜一
    1960 年 63 巻 1 号 p. 186-188
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    脱塩酸したポリ塩化ビニルと過安息香酸との反応をテトラヒドロフラン中においておこない,エポキシ化反応のおこることを元素分析やエポキシ定量法でみとめ,かつその反応が分子主鎖の崩解などをともなわない,等重合度反応であることがわかった。ここに生成したエポキシ化物は種々のアミンと反応し,ヘキサメチレンジアミンによって架橋をおこす。また,エポキシ化物の加水分解をおこなって,分子主鎖にOH基を導入したものはジイソシアネートと反応して架橋をおこすことがわかった。この加水分解生成物については,過ヨウ素酸との反応も検討した。
  • 麻生 忠二, 貞方 一夫
    1960 年 63 巻 1 号 p. 188-191
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    非共役ジビニルの重合中の分子内環化反応を検討する目的でジエチレングリコールジメタクリレート(DDMA)の重合を行ない,ポリマー中の二重結合含量より,われわれが導いた環化の組成式を用い,分子内環化定数を求めた。ここでジビニルの一端にラジカルが付加して生じたラジカル(I)が他端またはすぐ近傍の不飽和基と反応し環を形成する1分子的な反応速度定数と(I)にモノマーが付加する2分子的な速度定数との比を環化定数とする。初濃度としてジビニル1molを単位の基準にとった環化定数はDDMAの塊状重合では0.8を示し,先に報告したエチレンジメタクリレートの場合とほぼ一致した。なおアクリロニトリルとの共重合の結果も類似の反応性を示した。
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