工業化学雑誌
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63 巻, 11 号
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  • 金崎 健児, 小杉 政賢
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1853-1859
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 山崎 毅六
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1859-1864
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 疋田 強
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1864-1869
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 松田 義朗, 田中 穆
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1869-1875
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 向坊 隆
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1875-1878
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 岩間 彬, 山崎 毅六
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1879-1883
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フルフリルアルコール(FA),トリエチルアミン(TEA)およびアニリン(AN)を燃料とし,白色発煙硝酸(WFNA)および赤色発煙硝酸(RFNA)を酸化剤とする自燃性推進剤の着火遅れに対する液温,添加燃料の組成,硝酸濃度とその過酸化窒素含有量,大気圧以下の雰囲気の圧力などの影響を検討した。液温に対する着火遅れの関係から,着火の見掛けの活性化エネルギーを求めると,ふつうの化学反応の活性化エネルギーに比較して一段と低く,物理的な過程が着火の律速段階となっていると推定される。硝酸濃度との関係も温度と同様に指数関数型となっているが,過酸化窒素による変化はあまり大きくない。遅れ(τ)と圧力(P)との関係は実験式としてFA~WFNAτP0.49=一定,TEA~WFNAτP1.2=一定をえ,自燃する圧力限界を知ることができた。着火遅れの短縮のために混合燃料を使うことが勧められる。
  • 岩間 彬, 山崎 毅六
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1883-1886
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    加圧状態の空気または酸素雰囲気のなかにおいて,燃料希薄の混合条件で白色発煙硝酸(WFNA)を酸化剤とするフルフリルアルコール(FA),およびトリエチルアミン(TEA)の着火遅れについて研究した。加圧により着火遅れは減少し,前者は高温過程の遅れ(τ2)が極端に短かくて,圧力によるその変化は明瞭ではないが,低温過程の遅れ(τ1)が短かくなるのが目立ち, 後者でもτ 1 にはその影響が大きくτ2に対しては小さい。全着火遅れτtmsと空気雰囲気の圧力Pkg/cm2abs.との間にはフルフリルアルコールについて0.18~6.Okg/cm2abs.においてτtP0.6=一定;トリエチルアミンについて0.41~6.Okg/cm2abs.においてτtP1.0=一定が実験式として得られ,低圧側で先に得た圧力指数と大きな違いは生じなかった。酸素雰囲気はトリエチルアミンのτ2を縮めるのに著効があることを確かめた。
  • 岩間 彬, 山崎 毅六, 青柳 鐘一郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1886-1890
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    おびただしい種類にのぼる推進剤の選択に際し,考慮すべき因子は多いが,準備として比推力,燃焼温度,ガス比容などは真先に検討される問題であることはいうまでもない。それには相当繁雑な計算が必要であるが,近年電子計算機の進歩はこのような計算を容易ならしめ,プログラムを決定しておけば多種類の推進剤に適用して結果を極めて短時間に出せるようになったので,その一方法を提出する。それは燃焼室条件を与えてDaltonの法則に基づく質量保存式,仮定したガス比容とガスの状態方程式から計算して得られた値と一致すべき条件,およびエンタルピー平衡の3式の絶対値の和が最小となる触を探してガス組成,比推力などの諸性能を求める方法である。試算例としてH~F系について行なった結果を計算図表としてまとめた。簡単な計算を伴なうが,いろいろの条件で迅速に性能を算定しうるようにした。
  • 浅羽 哲郎, 疋田 強
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1890-1893
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    過塩素酸リチウムの熱分解を,示差熱分析,および一定温度における発生酸素量を測定する方法により研究した。過塩素酸リチウムは溶融状態で分解し,その反応は生成する塩化リチウムにより自触媒作用を受け,中間生成物として塩素酸リチウムを生ずる吸熱反応と,それが塩化リチウムになる発熱反応が続いて起ることから次の反応式を考えた。LiClO4+LiCl→LiClO3+1/2O2+LiCl LiClO3+LiCl→2LiCl+3/2O2その活性化エネルギーはそれぞれ52kcal,および40kcalである。それより塩素原子が反応に関与する反応機構を推定した。
  • 伊東 威
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1894-1896
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者は同量の過塩素酸アンモン(過安)をそれぞれ異なった時間,擂潰機で粉砕し,得られた各試料の粒径分布を求め,その差異に基いて粉砕経過状態を観察した。また粒径分布に基き平均体面積径(dvs)を計算し,その値と,過安/ポリエステル80/20の組成の混合系推薬が常圧で示す燃速値との関係を求めた。その結果dvs=29.3μの過安を用いた推薬の燃速が最大となることを見出したので,その原因について考察を行なった。
    Summerfieldらによって混合系推薬の燃速(γ)と圧力(P)との関係式:γ=a/P+b/P1/3が提出されている。ここにαおよびbは定数。著者はdvs値として29.3μと37.4μの過安を例にとり,これを用いたそれぞれの推薬の燃速を0.2~10kg/cm2の圧力範囲にて実測した。両者の場合とも燃速と圧力の関係はSummerfield式によって表わし得ることを見出した。
  • 吉田 直, 松井 保夫, 平塚 喜造, 米光 英一, 管野 順一郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1896-1899
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    液体ロケットの酸化剤として,あるいは飛しょう体に搭載する動力源として,高濃度過酸化水素は将来とも重要な推進薬である。市販の過酸化水素は30~35%の水溶液であるが,ロケット推進薬として使用する場合は80%以上の濃度が必要とされ,また,これをH2O(水蒸気)とHに分解する活性の大きい触媒を見出すことが重要な研究課題である。本研究はこの点に重点を絞って研究を行なった。
    濃縮法としては2段減圧蒸留法を採用して,30%の過酸化水素水より90%の非常に安定な製品が高収率で得られ,またその分解触媒として,鉛,銅,マンガン等の酸化物を焼成,成形することにより,活性が大で寿命の永いすぐれた触媒が得られた。更に小型の分解試験を行なって良好な成績が得られたので,この結果を報告する。
  • 村田 勉, 福田 孝明
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1900-1901
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    注型用コンポジット推進薬は高比推力をもつことができない。なぜならば,注型法で推進薬をつくるためにはその混合物は燃料の配合比が大きいものでなければならないからである。
    そこで著者らはニトログリセリン,ジエチレングリコール,ジニトラート,あるいはニトロメタンのような活性液状化合物を用いて新しい型の固体推進薬をつくることを試みた。
    この新しい固体推進薬は緩燃速で比較的高い比推力という望ましい特性をもち,更に注型法によって製造することができる。
    この型をNAP推進薬と呼んでいる。この推進薬の燃焼特性は小型ロケットモーター試験によって得たものである。
  • 秋光 健一, 角谷 勤, 原田 郁雄, 横山 孝夫
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1902-1906
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化剤に過塩素酸アンモン,燃料結合剤にポリエステル樹脂またはエポキシーポリスルフィド樹脂を用いたコンポジット推進薬の物性および燃焼特性を実験的に検討した。この結果次の点を明らかにした。すなわち燃料結合剤として用いる樹脂の性質に極端な差がないかぎり,成形推進薬の物性は特に差は認められない。また燃焼特性に関しては,これらの推進薬の圧力指数はいずれも小さく,したがって燃焼の安定性を期し得るが,面積比等しい時の比推力を考える時,エポキシ-ポリスルフィド系推進薬の方がポリエステル系推進薬よりすぐれているといえよう。
  • 山辺 武郎, 田中 竜夫, 妹尾 学
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1907-1908
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜における硫酸イオンの塩素イオンに対する選択透過性を,七室電解槽により微粉状のイオン交換樹脂より試作した不均質膜を用いて検討した。
    各室には種々の組成の原液を充填し,濃縮室は固定し,希釈室は原液を上方へ流しつづけながら3時間電解透析し,真中の濃縮室の試料液の各イオンを普通の方法で定量した。
    硫酸イオンの選択透過性は電流密度の増加とともに減少し,強塩基性膜では原液の全濃度0.1Nの条件で,0.7A/dm2以上では塩素イオンの,それ以下では硫酸イオンの選択透過性が大であった。弱塩基性膜では常に塩素イオンの透過性が大で,かつその選択透過性は強塩基性膜のそれより大であった。強塩基性膜で硫酸イオンの選択透過性は原液の全濃度が増加するに従い減少し,この場合も濃度が大となるに従いある点で塩素イオンの方が選択透過性が大となる。pHの透過性に対する影響はあまり著しくない。
  • 伊藤 幸夫, 小林 悦郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1909-1912
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    加圧法によってNH3-SO3間反応生成物からつくった粗スルファミン酸アンモニウム,ならびにNH3-SO3間の反応によってつくった粗イミドスルホン酸アンモニウムを,水溶液から再結晶して精製する場合の基礎資料を得るため,20℃における(NH4SO3)2NH-NH4SO3NH2-(NH4)2SO4-H2O系の溶解度を測定し,平衡状態図を作成した。その結果,20℃におけるこの系では,複塩も固溶体も生成せず,(NH4SO3)2NHの水に対する溶解度はNH4SO3NH2および(NH4)2SO4の共存によって著しく減少することがわかった。そしてNH3-SO3間の反応でつくった粗イミドスルホン酸アンモニウムは容易に水で再結晶して精製できるが,加圧法で得た粗スルファミン酸アンモニウムは,これを水で再結晶しても溶解度の関係から未反応のイミドスルホン酸アンモニウムを有利に分離することができないので,その精製には液体アンモニアか,あるいは濃アンモニア水によるのが適当であることを知った。
  • 伊藤 幸夫
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1913-1916
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナイロン廃液を濃縮して硫安を回収する過程の基礎資料を得るため, 2 5 ℃ における(NH4) 2SO4-NH4NO3-NH4SO3NH2-H2O系の溶解度を測定して平衡状態図を作成した。その結果,25℃におけるこの系では液底体として(NH4)2SO4,NH4・NO3,NH4SO3NH2のほかに(NH4)2SO4・2NH4NO3,(NH4)2SO4・3NH4NO3の二つの複塩が安定であり,ナイロン廃液の濃縮については廃液を加熱して蒸発したのち,25℃に冷却した状態について,この平衡状態図より濃縮における組成の変化,析出物およびその量的関係等が容易に求められる。
  • 松下 徹
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1917-1920
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成雲母組成に着色性元素成分を添加した溶融体から固化した雲母結晶塊は着色するが,雲母結晶中には添加した元素の一部しか置換されないので,これからはがした合成雲母単結晶は結晶塊の色よりも淡色となることが多い。この実験では着色性元素として,Fe,Ni,Co,Cr,Mn,Cuの6種類を選び,その雲母結晶中への置換性を調べた。その結果,Crを除いた他の元素では,イオン半径の小さいものほど雲母結晶中に置換されやすいことがわかった。
  • 松下 徹
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1921-1926
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成雲母の原料組成を変化した場合,結晶析出温度の高い原料組成からは合成雲母結晶が析出しやすいことはすでに報告した。ここでは合成雲母を構成する成分以外の元素としてFe,Ni,Co,Cr,Mn,Cuの酸化物を添加した場合における合成雲母結晶の析出温度を測定した。その結果,イオン半径の小さい,雲母中に置換されやすい元素の酸化物を添加した場合ほど結晶析出温度が高いことがわかった。
  • 八木 一郎, 勝又 茂
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1926-1929
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリブチルホスフェート-ケロシン抽出において,各種の希土類元素共存下のトリウムの挙動,および各種希土類元素,トリウム共存下のイットリウム,硝酸の挙動について検討した。
    その結果, トリウム, イットリウムの分配係数は有機相中のトリウム濃度が高くなるに従い減少するが, 希土類元素の濃度には影響されないこと,および硝酸の分配係数は水相中の硝酸濃度が高くなるに従い減少することがわかった。
  • 八木 一郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1930-1932
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    N-ドデセニルトリアルキルメチルアミン(アンパーライトLA-1)による,トリウムと希土類元素の分離について検討を行なった。低濃度の硫酸溶液でトリウムの抽出は十分に行なうことができるが,高級アルコールあるいは硫酸アンモニウムの存在は抽出能力を低下させる。希釈剤としては四塩化炭素,クロロホルムに比較して,灯油,ベンゼン,キシレンがトリウムの抽出能力が大である。アミン1ml当りのトリウム吸着量は,0.1N硫酸(o/a=1/2,希釈剤灯油,ペンゼン,またはキシレン)において約70mg/mlであり,トリウムから希土類元素(144Ce-144Prをトレーサーとして用いた)を除く場合の除染係数は50~300であった。
    これらの数値は,アミンによるトリウムの精製が,陰イオン交換樹脂による精製よりも,よい精製効果をあげうることを示すものである。
  • 勝又 茂
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1933-1935
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    EDTAによる,希土類元素および重金属を含有するトリウム化合物(以下粗トリウム化合物と略称)中のトリウムの迅速定量法について検討した。
    粗トリウム化合物中のトリウムおよび希土類元素をシュウ酸塩として沈殿させ,ロ別後沈殿を水酸化ナトリウム溶液で水酸化物にかえ,これを塩酸に溶解して直接EDTA標準溶液で滴定した。
    この結果,本法は粗トリウム化合物およびモナズ精鉱中のトリウムを迅速に定量しうることを確認した。
  • 高宮 信夫, 村井 資長
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1935-1938
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーにおいて2種以上のカラムを三方コックを中間に介在せしめて連結することにより,それぞれ1種のカラムでは分析できない成分を含む複雑な混合ガスの各成分を分析することができた。すなわち活性炭カラムとモレキュラーシーブカラムとを2個の三方コックを介して連結し,適時コックを切換えることにより水素,酸素,窒素,炭酸ガス,メタンおよび一酸化炭素の6成分を同時に分析することが可能である。またさらにトリクレジルホスフェートカラムを加え,三方コックを4個使用し前と同様に適時コックを切換える操作を行なえば,前記6成分の他に軽炭化水素を含むガスの各成分を分析することもできる。
  • 滝本 雅祥, 八尾 亨
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1938-1941
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    8種の非環状シアナミド誘導体について数種の強酸性陽イオン交換樹脂および強塩基性陰イオン交換樹脂を用い分離を試みた。カラムクロマトグラフィーによる結果では,陽イオン交換樹脂にグアニジン,ビグアニドおよびグアニル尿素が,陰イオン交換樹脂にシアナミド,シアノ尿素が完全に吸着して他の物質と分離でき,また吸着したグアニジンとピグアニドも塩酸で完全に分離溶出させることができた。更にジシアンジアミド,尿素,チオ尿素のような中性とみなされる物質もこれらのイオン交換樹脂に弱い吸着を示し, 水によって分離溶出されることを知った。
  • 滝本 雅祥, 八尾 亨
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1941-1944
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    非環状シアナミド誘導体中最も普通な,かつ共存し易いシアナミド,ジシアンジアミド,グアニジン,ビグアニド,尿素,チオ尿素の6種のいろいろな混合試料についてこれまで既報に報告したイオン交換樹脂による分離と比色定量法を用いて試料の分離溶出の状態を測定した。そして更にこれらを適宜組合わせて工業分析にも適するような簡易な分析法の検討を試みたが,特にジシアンジアミドの定量については沈殿による共存物質の除去法を取入れた,工程分析に有効な簡易迅速な方法を案出した。
  • 山本 研一, 森田 義郎, 倉田 武司, 吉冨 末彦
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1945
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    石油-水蒸気反応の反応過程を明らかにすることを目的として,ニッケル系触媒による各系列C6-純粋炭化水素と水蒸気の反応を行なった。C6-炭化水素と水蒸気の反応は800℃以上の温度を要し,最適LHSVおよび水蒸気/試料(cc/cc)は1である。反応温度の影響は塩基性担体触媒の方が受けやすい。またべンゼンのモノアルキル誘導体と水蒸気の反応では,側鎖の炭素数が増すにつれて反応性が大になる傾向がみられた。C6-炭化水素と水蒸気の反応の標準自由エネルギー,平衡定数を求め反応性を検討した。C6-炭化水素の水蒸気に対する反応性はn-ヘキサン>シクロヘキサン>ベンゼンの順で実験結果と一致する。
  • 古沢 源久, 武内 次夫, 井上 市郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1949-1952
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸メチルモノマーの製法として現在工業的に行なわれている一般的製造方法はRohm&Haas法である。この合成過程中最も重要な中間生成物はメタクリル酸アミドである。したがって,その合成過程を検討するために,メタクリル酸アミドとその加水分解生成物であるメタクリル酸との分別定量が必要である。
    試料中に含まれているメタクリル酸アミドを硫酸銅を重合防止剤として硫酸で加水分解を行ない,硫酸ナトリウムを添加して2 回蒸留を行ない, メタクリル酸として水とともに定量的に留出させて多量の共存物質から分離し, ホルマリンを加えてアルカリ滴定することにより,メタクリル酸アミドとメタクリル酸との合量を定量する。一方,試料中に存在していたメタクリル酸は著者らがすでに発表した方法によって定量し得るので,試料中のメタクリル酸アミドおよびメタクリル酸の分別定量ができる。
  • 古沢 源久, 武内 次夫, 宮坂 忠文, 岡部 博行
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1952-1954
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    試料を同量の水とともにふりまぜると,メタクリル酸メチルはほとんど抽出されないが,α-オキシイソラク酸メチルはその約50%が水に抽出される。温度が一定ならば一定割合のα-オキシイソラク酸メチルが多量のメタクリル酸メチルから分離される。抽出された水の相にはα-オキシイソラク酸メチル以外に微量のメタクリル酸メチルが含まれている。したがってこの合量を水酸化ナトリウムでケン化法により求め,別に臭素法により二重結合を測定してメタクリル酸メチルのみの量を求めれば,この差よりα-オキシイソラク酸メチルの量を求め得る。次にあらかじめα-オキシイソラク酸メチルの水への抽出率を測定して求めた係数を乗ずることにより,メタクリル酸メチル中のα-オキシイソラク酸メチルを定量する方法を考案確立した。この定量法により4~0.3%のα-オキシイソラク酸メチルの定量が可能である。試料中に不純物として含まれている微量のメタノール,メタクリル酸は通常存在する程度ではその影響を無視し得る。
  • 増井 賢
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1955-1958
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    反応温度に保ったニューランド触媒に,アセチレンと青酸をともに一定速度で送入するとき,アクリロニトリル(AN)の生成は直ちには起らない。ANの生成には,反応の初期段階に一定の賦活と誘導期間があって,その後ANの生成が定量となる。またニューランド触媒で,アセチレンの重合反応を行なうとき,アセチレンを触媒に送入すると,触媒は直ちに相当に多量のアセチレンを吸収し,この吸取による触媒の賦活が完了して,初めてアセチレン重合体の生成速度が一定になる。このように,アセチレンを完全に吸収させて賦活した触媒に,一定速度でアセチレンと青酸を混合して送入する時にも,反応の初期段階にはANの生成がなく,アセチレンの重合のみ起り,一定の誘導期間後にANの生成が一定になる。この誘導期間は触媒中に青酸が蓄積されるのであり,蓄積が進むと生成ガス中のAN含量が漸増するとともに,これに相当するだけのアセチレン重合体が減少し,ついに誘導期終了とともにANとアセチレン重合体の割合が一定になる。この場合,それぞれの反応生成物の総モル数は,反応の初期中期を問わず時間的に一定である。更にアセチレンと青酸の供給が長時間連続して行なわれ,かつ,青酸のANへの転化率が比較的に低い場合は,触媒中に蓄積される青酸が増加して,ANとアセチレン重合体の生成比が漸次変わり,ANの方が多くなって行くが,この場合も触媒組成がいちじるしく変化しないかぎり,反応生成物の単位時間における総モル数は変化しない。
  • 松田 治和, 松田 住雄
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1958-1960
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヨウ化メチルとスズはく(箔)に少量のマグネシウムなどの金属および少量のアルコール類を添加し,オートクレーブ中で反応させると, スズはほとんど完全に反応し, ヨウ化トリメチルスズ, 二ヨウ化ジメチルスズ, 三ヨウ化メチルスズの混合物が最高96%の収率で得られた。そこで各種の反応条件につきこれらの生成物の量的関係を検討したが,上記の3物質がそれぞれ約25~30%,40~46%,20~27%程度得られ,反応条件による生成物の量比には大きな変動はなかった。ヨウ化エチルとスズはくとの反応でも, ヨウ化トリエチルスズ, 二ヨウ化ジエチルスズ, 三ヨウ化エチルスズがそれそれ約14~18%,63~67%,3~6%程度得られた。
  • 松田 治和, 松田 住雄
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1960-1964
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テトラアルキルスズおよびハロゲン化アルキルスズを合成し,その物理性状を求めるとともにガスクロマトグラフィーにおける基礎的な知見を求めた。一般式RnSnX4-n(R=アルキル基,X=ハロゲン,n=1,2,3,4)において,nおよびXが同一のものはアルキル基の炭素数と保持時間等の対数が他の有機化合物と同様直線関係を示し,これらの物質の混合物は組成の重量比がピークの面積比とほぼ一致した。またRおよびnが同一でXが異なるものの混合物でも重量比と面積比がほぼ一致した。nが異なる場合は標準物質を用い,検量線を求めて定量分析を試みた。しかしある種の有機スズ化合物では,分析中に再分配反応と考えられる理由で試料とは異なったピークを与え,考慮を要するものがあった。
  • 松田 治和, 松田 住雄
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1965-1967
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    臭化ブチルとスズはく(箔)を原料とし,これに少量のマグネシウム,1-ブタノールおよびヨウ化ブチルを添加し,オートクレーブ中で反応させ,原料モル比,添加した物質の量,反応時間および反応温度など各種の反応条件に対するスズの反応率を比較した。
    その結果,スズはく30g,臭化ブチル103.9gを用い,これにマグネシウム0.12g,1-ブタノール2.5g,ヨウ化ブチル5gを添加し, 160℃で8 時間反応させるとスズは完全に反応し, 三臭化ブチルスズ, 二臭化ジブチルスズ, 臭化トリブチルスズを合計理論収率の約92%で得ることが出来た。臭化エチルとスズも同様な方法で反応させ,二臭化ジエた。チルスズを理論収率の約40%得たほか,臭化トリエチルスズと三臭化エチルスズと思われるものの混合物をほぼ同量得た。
  • 黒岩 茂隆
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1968-1971
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    非イオン性界面活性剤ミセルが変形されやすい性質のものであるか,または剛体に近い性質のものであるかを知るために,ポリオキシエチレン基の平均重合度約8のオレイルエーテル溶液の流動複屈折を調べた。実験は種々の濃度の水溶液をつくり,速度勾配を変えて消光角および複屈折度を測定し(20℃),次に10,20および30%グリセリン水溶液をそれぞれ溶媒とし,それぞれ同一試料を溶解した溶液についても同様にして消光角の測定を行ない(同じく20℃),ミセルの性状について種々検討を試みた。この結果,濃度(ミセル濃度)0に対応する消光角対速度勾配曲線の初期傾斜を,溶媒の粘度に対してプロットすると,原点を通る直線をうることから,ミセルは剛体に近い性質を有するものであることが明らかにされた。このことはまた,水溶液の複屈折度の絶対値が速度勾配とともに増大して,ある極限値に近づく傾向を示すことからも確認された。またこの実験で,一定速度勾配に対する消光角の値は,界面活性剤の濃度が低くなると,ほとんど一定してくるが,その濃度範囲は,溶媒の粘度が大となるにつれて高濃度の方に移動して広くなるということも明らかにされた。そしてこの現象はミセルの回転拡散定数との関係において論及せられた。
  • 馬場 富雄, 吉野 努
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1972-1974
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イオウあるいは窒素を含む極性アセチレン化合物として構造類似のS-アセチル-,S-ベンゾイル-プロパルギルメルカプタン, およびN-アセチル-, N-ベンゾイル- プロパルギルアミンの4 種を合成し, 塩酸および硫酸中の軟鋼腐食に対する抑制効果を検討した。
    イオウ化合物は窒素化合物にくらべて一般にすぐれている点が多く,特にこのことは硫酸中において目立ち,S-べンゾイル化合物は添加量が少なくても,腐食環境に影響されずに最もすぐれた抑制効果を示した。しかし塩酸中ではイオウ化合物は添加量が減少するに従って腐食環境の影響を強くうけ,苛酷な条件では著しく抑制効果が減ずる欠点を示した。
    窒素化合物はこれに反し,塩酸中ではかなりよい抑制効果を有し,とりわけN-べンゾイル化合物はすぐれた成績を示したが,硫酸中では窒素化合物は抑制効果低く,また幾分不規則な現象を呈した。
  • 岩崎 隆久, 八田 力二郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1975-1979
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    まず,シリカ・アルミナ触媒異性化反応によるp-キシレンの生成におよぼす反応温度,L,H.S.V.の影響を検討した。つぎに,不均化反応の程度を強く抑制する目的で,共存物質としての水蒸気,水素,窒素の影響を検討した。適当量の水蒸気の添加によってC8芳香族中のp-キシレンの割合を減少させることなく,不均化を大幅に抑制し得ることを確かめた。そこで,水蒸気,水素,窒素の影響を比較してみた。水素の不均化反応抑制効果は,水蒸気のそれよりもやや劣るが,水素も不均化反応抑制剤として有効に働く。しかるに窒素は不均化反応抑制剤として有効ではない。一方,加圧下で反応させ,原料キシレン分圧,共存ガス対原料キシレンのモル比の影響は接触時間を変化させるにすぎないかどうかを検討した。本実験条件下においては,一定温度,一定接触時間で反応させても,加圧反応生成物組成は,原料キシレン分圧,共存ガス対原料キシレンのモル比によって影響されていた。
  • 岩崎 隆久, 手島 精一, 山形 吉男, 八田 力二郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1980-1985
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シリカ・アルミナ触媒を種々の温度で〓焼し,触媒表面の構造変化を観察するとともにそれがキシレン異性化能にどのような影響を及ぼしたかを検討した。
    500から850℃までの加熱処理に対応する変化において比表面積,細孔全容積などが極大値を示したということはこれまでほとんど例を見ない事実である。
    加熱処理温度上昇に対応する触媒構成究極粒子の粒径変化を電子顕微鏡写真で直接観察した。2時間〓焼触媒では平均粒径はいったん極小値を示したのち,粒径分布の拡大を伴ないつつ急激な増大を示している。これによって上述の事実を再確認することができた。
    多孔質物質の触媒作用に関する動力学理論を適用して細孔内拡散の影響について検討し,表面利用割合が極小値を示すこと,供試触媒では細孔内拡散の影響が概して小さいことを見出した。
  • 林 隆之
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1985-1989
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-アシルアミノ-ならびに1,4-,1,5-および1,8-ジベンゾイルアミノ-アントラキノン類の赤外吸収スペクトルをペースト法および臭化カリウム錠剤法で測定した。α-ベンゾイルアミノアントラキノンの若干の吸収帯の帰属を行なった。α-アシルアミノアントラキノン類のCO吸収帯のShiftにアシル基の置換基が及ぼす効果を検討し,アシル基のCO吸収についてはHammett則が成立し, アシルアミノ基のperi位のCO吸取についてはHammettのσ およびBrownのσ+との間でS字型曲線となった。これらとNH吸収帯についての知見その他より,これら染料特にo-置換体の固体中の分子構造について考察を加えた。ジベンゾイルアミノアントラキノン類のCOならびにNH吸収についても同様に若干の検討を加えた。以上の結果にもとづき数種の染料の染色布の色調について考察した。
  • 番匠 吉衛
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1990-1995
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1944年M.Gatesはα-ナフトキノン(I)と1,1-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)エチレン(II)の縮合物を報告した。著者はIとIIおよびIと1,1-ビスフェニルエチレン(III)などの反応を研究し,反応生成物の化学構造を元素分析および分光分析により決定した。
    IとIIの混合物をベンゼン,アルコール中で加熱し,紫色針状結晶(mp273.5℃)を約90%の収率で得た。化学構造を検討した結果,この針状結晶はGatesが指摘した置換生成物ではなく,ナフトアントラキノン誘導体と推定することができる。さらにIとIIのアルキル誘導体の反応を検討した。
    IおよびIIIの反応生成物として,橙黄色針状結晶を得たが,これはまた1-フェニルナフタリンと無水フタル酸を原料としFriedel-Crafts反応により合成することができた。この生成物の化学構造は3 - フェニルナフトアントラキノンと決定され,IとIIIとの反応はDiels-Alder反応であると見出された。
  • 番匠 吉衛, 黄 光烈, 蔵野 俊則
    1960 年 63 巻 11 号 p. 1996-1999
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    4-クロルフタル酸は非結晶性銅フタロシアニンおよびアントラキノン系染料の中間物として価値があるが,合成が困難でわが国ではまだ製造されていない。著者らはフタル酸をアルカリ水溶液中で塩素化する方法を研究し,pHの影響,塩素導入量および導入速度などを検討後,この物質を合成する最適条件を得た。すなわち無水フタル酸をカセイカリ水溶液とし,pH6.2で2.2モル比の塩素を用い,80時間で塩素化し,49%の対理論収率で目的物を得た。純粋な無水フタル酸,4-クロル無水フタル酸,4,5-ジクロル無水フタル酸を用い,混融曲線を測定し,各2成分系にそれぞれ共融点の存在を認めた。著者らはまたp-クロルフェノールと4-クロル無水フタル酸,4,5-ジクロル無水フタル酸を縮合し,6-クロルキニザリン,6,7-ジクロルキニザリンを65%および58%の対理論収率で合成した。
  • 木村 光雄, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2000-2002
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリン核またはアントラセン核を有する紫色~青緑色の1 : 2 型金属錯塩染料について, 金属およびカルボキシル基などが置換基の色調および堅ロウ度に及ぼす影響特にアントラセン核を有する錯塩染料に対する影響を調べる目的で,二十数種の染料を合成した。金属としてはクロムとコバルト,置換基としてはカルポキシル基のほか,スルホンアミド基,ニトロ基,アルコキシ基,ペンズアミド基などを導入し,アミランおよびビニロンを分散染色法で染色した。その結果カルボキシル基の導入は著しい深色効果をもたらし,かつ染着性,日光堅ロウ度を向上させた。また,アントラセン核を有する染料についてはカルボキシル基および他に親水性の基を含む場合,染着性,堅ロウ度とも特にすぐれた結果をえた。更にまた,アミラン,ビニロンの両繊維とも染着性はクロム錯塩染料よりコバルト錯塩染料の方が良好であり,ビニロンに対するよりもアミランに対する方が良好な結果を与えた。
  • 斎藤 真澄, 遠藤 彰, 南光 利彦, 三木 彦一, 伏崎 弥三郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2003-2006
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テルペン炭化水素の自動酸化の一部として,環内に二重結合1個を持つ双環テルペンであるボルネンの自動酸化を行なった。ボルネンはα-ピネンより合成した。酸化反応は密閉容器中100°~150℃の範囲で,BPOの存在下で酸素により行なった。
    反応液にはヒドロペルオキシド(HPO)が数%認められた。反応液を還元後分留した結果,生成物としてはケトンが多く,アルコールの存在も認められた。このケトンは,反応温度が高いために,酸化中にHPOが分解して生成したものである。このケトンを還元するとエピボルネオールが得られたので,酸化により生成したケトンはボルネンの5位にカルボニル基をもつ不飽和ケトンであることがわかった。
    次に反応機構をより明らかにするため,動力学的な解析を行なった。すなわち,酸素吸収速度と酸素圧,ボルネン濃度,BPO濃度および紫外線強度との関係を求めた。その結果,反応は紫外線によってはほとんど認められず,初速度は酸素圧に無関係で,ボルネン濃度およびBPO濃度の1/2乗に比例することが明らかとなった。また速度式から求めたみかけの活性化エネルギーは27kcal/molであった。
    以上の結果から,ボルネンの自動酸化は二重結合のα位ではなく5位でおこり,そのためこの反応ではボルネンは飽和炭化水素として挙動し,これまでの不飽和炭化水素にくらべて高い活性化エネルギーを与えるものであることがわかった。
  • 井上 博夫, 福井 種臣, 足立 昌治, 井本 英二
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2007-2011
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ベンゼン環とチアゾール環またはピラジン環が融合した縮合多環複素環式化合物を得ようとして, 環内にハロゲンとカルボニル基を有する化合物と,ベンズチオアミドまたはアンモニアとを反応させた。べンズチオアミドの場合は高分子化合物は得られなかったが,アンモニアの場合には不融性の黒褐色粉末が得られた。このものの構造式を推定し,これからさらに諸種の金属錯塩を誘導した。これらの化合物について導電性を検討した結果,黒褐色粉末の固有抵抗値は1011(ohmcm)程度であり,金属錯塩の中,Sn,Znのみは106(ohm cm)程度で低い抵抗値を示した。
  • 角田 康五郎
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2012-2015
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α - クミルアルコールおよびs e c - ブチルべンゼンヒドロペルオキシドとを酸性白土を接触剤として縮合し, α , α - ジメチルベンジルα-メチル-α-エチルベンジルペルオキシドを合成し,含有量69.4%の油状物を得た。このものを簡単に精製し,その比重,屈折率および赤外線吸収スペクトルを測定した。
    なお,最初の油状物を用い,SBRおよび高圧法ポリエチレンを架橋させた。このものはSBRに対してはジα-クミルペルオキシドにくらべて,低い温度から架橋を進め,最高の機械的強度を示してからの特性の劣化が少なかった。またポリエチレンに対しても良好に架橋を進めるが,ジα-クミルペルオキシドの最適条件で比較すると,その架橋物の諸特性は若干低めであった。
    このようにジα-クミルペルオキシドのメチル基の一つをエチル基と交換した非対称型ペルオキシドは高分子物に対してジα-クミルペルオキシドと同様に架橋をおこさせるが,その架橋温度を低めると同時に架橋の進行状況を変化させた。
  • 伊藤 行雄
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2016-2020
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高密度ポリエチレン- 低密度ポリエチレン系, ポリエチレン- ポリイソブチレン系, ポリエチレン- ポリプロピレン系,ポリエチレン- 顔料系について, それぞれ混和比をかえて水蒸気, 炭酸ガス, 窒素, 酸素, ヘリウムの透過係数(P) , 拡散係数(Di) , 溶解度係数(Si) を測定した。高密度ポリエチレン- 低密度ポリエチレン系では, その軟化点の測定結果からも相溶性のよいことが考えられ,P,Di,Siは算術平均値よりも減少することが認められた。ポリエチレン- ポリイソブチレン系では,考えられているほど,Pに対してよい結果は得られなかった。またポリプロピレンはポリエチレンとよく相溶しない結果,この系の混和物はPを小さくする目的には役立たない。顔料の少量添加は,透過性には大きな影響を及ぼさないが,顔料の形状のちがいによる差は見受けられる。
  • 佐々木 和夫, 市川 隆久
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2021-2024
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    大半の合成樹脂は高絶縁性であるために,その表面に多量の静電荷が蓄積され易い。それに対する基礎的・応用的研究は古くから多く行なわれており,帯電の防止対策も種々考案されている。最も普通にはなんらかの方法で表面絶縁抵抗を低下させることが行なわれているが必ずしもすべての場合に有効ではない。しかるに,これら合成樹脂を比較的低絶縁性の材料と積層板に加工したものは比較的帯電が少ないことが経験的に知られている。その理由は必ずしも明確ではない。われわれはこの点に着目して以下の研究を行なった。まず上述の経験事実を定量的に確認し, 中間層の電気伝導度の効果,樹脂層の厚みの影響,積層板の種類などについて基礎的な測定を集積して,帯電抑制効果に果す中間層の寄与を検討した。
  • 佐々木 和夫, 市川 隆久
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2025-2027
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第1報においては,塩化ビニル樹脂ならびにその積層板について摩擦帯電を研究し概括的な知見を述べた。その際比較的低絶縁性材料とで積層板としたものでは,帯電が少ないという経験事実が確認された。単板と積層板とで帯電の機構に本質的な相違があるとは考え難いから,このような観測事実はむしろ放電過程の相違によるものと想像される。本報においては積層効果の最も顕著な金属積層板を用い,樹脂単板と対比しつつ放電過程を考察した。その結果1)放電は主として雰囲気を介して行なわれるものであって,CRの時定数で定まるような漏洩ではないこと,2)放電速度は単板と積層板で著しく異なること, 3)放電機構に一つの示唆が得られたこと, 等について述べる。
  • 金丸 競, 猪狩 恭一郎, 岸本 匡, 深田 栄一
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2027-2033
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1)50kcの超音周波数を用いる複合振動子法によって,接着層の動的弾性率E'およびtanδを求め,これら動的特性を接着層の厚さbおよび接着強度Fとの関係において考察した。この結果からE'およびtanδは,これら動的特性がそれぞれの被着材につき一定の(ある極限厚さ以上のある範囲での)厚さで接着強度と比較される限りでは,それぞれFと密接な相関性を示し,接着剤の種類,接着条件いかんによらず,それぞれの被着材に特有なE'-Fあるいはtanδ-Fの相関曲線として示される。
    2)この結果から接着層の動的特性を求める複合振動子法は接着部の非破壊試験法の一つの基本原理として役立つことを明らかにした。
    3)E'-FあるいはE'(F)-b関係およびこれらに及ぼす充填剤添加の効果に関する実験結果を接着層における内部応力およびその分布を考慮して定性的に考察した。
  • 金丸 競
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2034-2039
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1)再生セルロースの低温熱処理による安定化のための膨潤前処理浴として酢酸浴を使用した既報の研究に引き続き,膨潤前処理浴としてアンモニア浴を用いた場合の熱処理効果につき研究し次の結果を得た。
    2)ビスコースレーヨンは,アンモニア浴の前処理の場合も,既報酸浴前処理の場合と同様,人絹が最大膨潤度を示すpH=9.0の浴に浸漬して膨潤処理を施した後,再生セルロースのガラス転移域直上の70~90℃に当る空気浴で熱処理を施すことにより,いろいろの物理的機械的性質,X線的結晶化度を追究した結果から繊維構造を損うことなく,しかも熱力学的に安定化ならしめる熱処理効果をもっともつよく発現することを明らかにした。
    3)しかもアンモニア前処理浴を用いた場合の最適条件での熱処理安定化効果は,酸浴を用いた場合のそれに比しはるかに強い。
    4)このアンモニア膨潤前処理レーヨンの熱処理によるとくに顕著な安定化効果は,重水素化を併用する赤外線吸収スペクトル法の結果によっても,その特性的な結晶性吸収バンドの発現によって明らかにされた。
    5)酸浴およびアンモニア浴で膨潤前処理を施した試料の乾燥度とこの試料の熱処理効果との関係を究明し,それぞれの膨潤前処理試料には熱処理安定化のための最適乾燥度のあることを明らかにした。
  • 松崎 啓, 守屋 正夫, 祖父江 寛
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2039-2042
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ペンゼン- エタノールによる樹脂抽出, 1% カセイソーダキアボイル, 17.5 % カセイソーダ抽出処理などを行なったアップランド綿を4%硫酸と1~5時間加熱し,分解溶出する糖をペーパークロマトグラフィーにより定性および定量した。また樹脂抽出処理した木綿の加水分解液をセルロース粉および厚手のロ紙を用いて分別し,D-ガラクトース,L-アラビノース, D - キシロース, L - ラムノース, L - フコースを遊離糖あるいは誘導体として確認した。マンノースおよびリボースの存在は疑わしく,フラクトースは存在しない。木綿中のアラビノース基およびガラクトース基はもっとも加水分解されやすく,その量は脱脂木綿に対しともに約0.3%であるが,キシロース基は酸加水分解に抵抗性で,その量は0.2~0.3%と考えられる。標準セルロース調製法に準じて,1%カセイソーダで10時間キアボイルした木綿中にも,0.05~0.06% .06%程度のアラビノース基, ガラクトース基, キシロース基が残留しており, フコース基, ラムノース基も認められる。
  • 水谷 清, 白木 英太郎, 鈴木 正作
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2042-2045
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルあるいはアクリロニトリルを約94%以上含む共重合物をジメチルホルムアミドに溶解し,熱空気中にステンレス製のロ金を通して乾式紡糸して得られる繊維について,その着色性,紡糸性と紡糸液の加熱方法,溶剤中の水分等の関係,あるいは繊維の強伸度,最高延伸率等と各種共重合物成分,種々の紡糸条件即ち紡糸ドラフト,紡糸液温度,重合物の溶液濃度,紡糸筒中の紡糸温度,紡糸筒内の熱風の風量または紡糸ノズルの孔径の大きさ等についてその関係を検討し,種々の因子が互に関連性を有し,複雑な影響を与えるが,一応の最適条件を推論した。
  • 井上 祥平, 古川 淳二, 鶴田 禎二
    1960 年 63 巻 11 号 p. 2046-2049
    発行日: 1960/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジ-n-ブチル水銀は単独ではビニル重合の開始剤とならないが,ジ-n-ブチル水銀とある種の金属ハロゲン化物との混合系は,酢酸ビニル,メタクリル酸メチル,アクリル酸メチル,アクリロニトリルなどのビニル化合物に対し有効な重合触媒となることがわかった。金属ハロゲン化物としては, ZnCl2, SbCl3, BiCl3, CrCl3 TiCl3などがことにいちじるしい共触媒作用を有する。この触媒系による重合は,キノン,酸素などによって抑制され,また共重合反応性は,金属ハロゲン化物の種類によらずラジカル共重合の場合のそれと一致する。さらに,動力学的考察の結果,重合の各素反応の活性化エネルギーは,一般のラジカル重合に対して従来見出されているのと同程度の値をもつことがわかった。これらの結果から,ジ-n-ブチル水銀-金属ハロゲン化物系によるビニル化合物の重合はラジカル的に起っているものと考えられる。
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