工業化学雑誌
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66 巻, 3 号
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  • 井本 立也, 森山 昭
    1963 年 66 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化鉄(III)の3~14mm球形試料の水素による還元反応を研究した。反応はシブモイド型進行をしめし界面化学過程律速である。反応誘導期においては反応速度はdx/dt= kx0.13±0.08 であらわされ, 反応主期においてはRt/r0 (1-ε) =1-(1-x)1/3があてはまる。なお,大粒径,高温においては試料空孔内における水蒸気の拡散過程を無視できなくなり,活性化エネルギーはいちじるしく低下する。
  • 高橋 剛
    1963 年 66 巻 3 号 p. 302-305
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    現在転化反応に使用されている工業触媒は,酸化鉄-酸化クロム系が主体をなしている。この系統の触媒では,酸化鉄源として硫酸鉄(II),硝酸鉄(III)等の工業薬品や天然産の鉄鉱石が使用される。触媒原料に適する鉄鉱石を選択する方法を見出す目的で,前記の鉄塩より沈殿法で得られる酸化鉄と比較しながら,本邦各地で産出する多種類の鉄鉱石にっいて,その化学分析,熱分解試験による結合水の挙動,酸性溶液中の緩衝作用など各種の化学的,物理的な特性を求めたが,これらと触媒活性とを一義的に関係づけることは困難であった。
  • 高橋 剛
    1963 年 66 巻 3 号 p. 306-307
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で転化触媒に使用可能な天然の鉄鉱石は褐鉄鉱であることを述べたが,本報では褐鉄鉱を原料として転化触媒を製造する方法について報告する。原鉱石のもつ強度をそのまま利用して製造する破砕触媒の場合は添加する促進剤の種類,量の制限をうけ,また強度を強める方法はないが,鉱石をいったん粉状にしてから促進剤あるいは粘結剤等を添加して成形する成形触媒では,活性および強度は,それらの添加物の種類と量による。脇方鉱をベースにして添加物を探索した結果,助触媒として有効とされているクロム,カリウムの他に石灰の効果を確認した。更に触媒粒径を決定するために,粒径と圧損失の関係を求める実験を行なって,Δp∝d--1.34を得た。
  • 石黒 孝義, 鈴木 英雄
    1963 年 66 巻 3 号 p. 308-314
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルミニウムの上に実用的な電鍍を行なうには化学的に前処理をほどこし,その表面に微結晶よりなる亜鉛の置換皮膜を形成させることが必要とされる。著者らはこの目的のためにアルミニウムの水酸化ナトリウム溶液中における挙動を浸漬時間ならびに温度と溶解量の関係から考察し,つぎにアルカリ性亜鉛酸ナトリウム溶液中における挙動をアルミニウムの溶解量と亜鉛の析出量および水素ガス発生量から検討し,析出亜鉛表面の結晶の析出状態を顕微鏡下において観察した。さらにアルミニウムおよび析出亜鉛の平衡電位ならびに亜鉛の置換析出時,亜鉛の電着時における電極電位の変化の測定から,亜鉛結晶粒子の析出状態と電位との関係について考察した。またアルカリ性亜鉛酸ナトリウム溶液中におけるヒ素の行動についてしらべ,わずかのヒ素がアルミニウム面に析出し,これがアルミニウムと局部電池を形成し,アルミニウムの陽極的溶解を促進し,その結果亜鉛の置換析出速度を増すものである事がわかった。
  • 西野 忠
    1963 年 66 巻 3 号 p. 314-317
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭酸カルシウム(CaCO3) と酸化クロム(III) ( Cr2O3) の混合物を空気中で加熱すると, CaCO3の熱解離とクロム酸カルシウム(CaCrO4)の生成(Cr3+→Cr6+の酸化)反応が逐次的に進行し,恒温での実測減量曲線はSigmoid型とならない。加熱試料の化学分析から得たCaCrO4の生成率曲線と実測減量曲線とから,CaCO3の分解はCaCrO4の生成よりも十分に早く,その原因としてCr3+→Cr6+の反応が併行していることが重要な因子であることが判明した。また,反応過程は反応速度が未反応粒子の表面積に比例する初期段階と,その後の拡散が律速する後期の2段階に分けられ,前者ではその活性化ニネルギーは温度に依存し,14.3~38.4kcal/mol(780~630℃)となり,後期のそれは12.8kcal/molであった。
  • 久保 輝一郎, 加藤 誠軌, 御手洗 征明, 高橋 淳吉, 大倉 研
    1963 年 66 巻 3 号 p. 318-321
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    機械的摩砕による酸化チタン(IV)(TiO2)および酸化亜鉛(ZnO)の構造変化を主としてX線回析法によって研究した硫酸法アナターゼ型TiO2は長時間の摩砕でほとんど完全に無定形化するが,塩化チタン(IV)(TiCl4)から得たアナターゼ型TiO2 は大部分がルチル型に転移する。ここではアナターゼ, ルチル, 無定形TiO2の割合を測定した。 ルチル型TiO2 およびZnO は長時間の摩砕で粒径が減少し, かつ粒子の格子不整が増大する。この長時間摩砕試料を加熱すると内部歪はかなり低温から徐々に回復するが,結晶粒子の生長は900℃以上の高温で著しい。
  • 岡崎 稔
    1963 年 66 巻 3 号 p. 322-324
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    加水ハロイサイトのカセイソーダ処理物のイオン交換平衡について検討した。平衡実験はすべて沸点で行なった。工学的計算に便利なように近似的に代表的な定数で平衡を表現することを試みた結果,実験範囲内ではNa-K,Na-Li交換の1価-1価交換は
    〓(1)カルシウム, ストロンチウム, バリウム, 亜鉛, およびカドミウムの2 価イオンとの交換は〓(2)
    で表わされ,濃度に関係なく定数Keを求めることができた。(1) 式のnの値は0.7,定数Keの値から交換順位はLi>Kとなり, (2) 式からのn値は0.6,KeはCa<Ba=Zn<Sr<Cdの順であった。
  • 勝又 茂, 徳本 明俊, 八木 一郎
    1963 年 66 巻 3 号 p. 324-326
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    モナズ精鉱の常圧下における水酸化ナトリウムによる分解条件について検討した。
    この結果,反応過程で留出する水分を反応条外にのぞき反応物が固化に近い状態で反応させることにより,高い反応率をえられること,およびこのようにして反応させた場合のトリウム,希土類元素の反応率には,最適反応時間が存在するが,ウランは反応時間に影響されず,ほぼ完全に回収できることを明らかにした。
  • 金沢 孝文, 伊藤 力生
    1963 年 66 巻 3 号 p. 326-329
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    肥料塩のクエン酸塩液抽出時に,マグネシウム,アンモニウム,リン酸分が共存するぱあい,溶性の値が低くでる。この現象を根本的に解明するため,純薬を用いて中性クエン酸塩液抽出を行ない,溶解速度の比較からマグネシウム,アンモニウム,リン酸共存時の特異性をしらべ,かつ抽出処理前後の試料をX線分析して,別組成の沈殿生成の有無を検討した。
    リン酸二石灰を中性クエン酸アンモニウムで,リン酸二苦土を中性クエン酸ナトリウムで,それぞれ抽出したときは,いずれも再沈殿物ができないことがわかった。また,リン酸二苦土を中性クエン酸アンモニウムで処理したものには,抽出残留分中にリン酸マグネシウムアンモニウムの生成混入がみとめられ,不溶分と溶出五酸化リン量とからみた溶解速度の値はとくにおそくなることが確認された。このような点からみて,水溶性でないマグネシウム・リン酸含有肥料に適用するクエン酸塩溶剤としては,クエン酸ナトリウムが好適であると考える。
  • 石田 正臣, 野口 達彦, 篠田 清徳, 細井 卓二
    1963 年 66 巻 3 号 p. 330-335
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    リン鉱石と硫酸との反応によって,過リン酸石灰を製造する時の反応条件と,初期反応生成物の硬化状態,化学成分等との関係を明らかにするために,リン鉱石(主としてフロリダリン鉱石)と硫酸とを混合反応させてから,各時間毎に生成物の針入度測定,流動期測定および化学分析を行ない考察を加えた。さらに過リン酸石灰の貯蔵中の固結の原因を解明するために,反応生成物のX線回折試験,熱天秤による加熱重量変化測定も行なった。結果は次の通りであった。
    (1)反応条件として,配酸比100,リン鉱粉粒度200メッシュ通過80%,硫酸温度50~60℃,硫酸濃度67~69%の時,反応速度が大で,生成物の状態も比較的良好であった。
    (2)遊離硫酸(F-H2SO4)の消費速度が大で,Ca(H2PO4)2・H2O,CaSO4,CaSO4・1/2H2O等の固体結晶成分が速やかに,かつ十分に生成するような条件下では,遊離リン酸(F-P2O5)や遊離水(F-H2O)も減少して,生成物は粘着性少なく状態が良好で,こういう製品ではまた貯蔵中の固結等の現象も起こりにくく,取り扱いが容易である。貯蔵中の固結は,主として,結晶水をとる固体結晶成分の析出,すなわち,生成物中に反応開始後長時間F-H2SO4が残存したり,生成物の温度の低下によって, 堆積山での多量のCa(H2PO4)2・H2O の生成析出, 硫酸カルシウム(CaSO4) の溶解およびCaSO4・2H2Oの析出等が起こり,その際の水和反応によって,製品を構成する粒子と粒子の間に,架橋を生じ,さらにF-H2O,F-P2O5,Fe化合物,Al化合物等の粘着性物質の共存が,その結合を強めることなどに原因すると考える。
  • 野口 達彦, 柴田 脩, 笠間 清司
    1963 年 66 巻 3 号 p. 336-341
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    リン鉱石と硫酸,リン酸の混酸との反応で,高度および三重過リン酸石灰と製造する時の,反応条件と初期反応生成物の状態との関係を,硬化状態の観察,化学分析,X線回折試験,熱天秤による加熱重量変化測定等によって検討して明らかにし,あわせてリン酸置換率を変えて製造した各リン酸含有量の過リン酸石灰製品の構成結晶成分を,X線回折試験によって定量した。リン鉱石と反応する硫酸の一部,または全量をリン酸で置換し添加すると,反応生成物の到達温度は,反応熱が小さくなるために,硫酸のみ使用した場合より低くなり,従って酸温度を適当に選ぶ必要がある。さらに混酸中の水分量,生成物の保持温度,リン鉱石と酸との反応におけるかきまぜの度合等が,反応生成物の状態にいちじるしく影響するので,これらの影響を詳細に検討した。特に,硫酸の約20wt%を,リン酸で置換し添加すると,生成物の初期状態は悪く,かなり流動性を帯びていて,硫酸単独使用の場合と異なっているが,リン酸単独で反応したときは,かえって生成物の状態は良好である。前者の場合,混酸中の水分量の影響がいちじるしく,26~31%が適当であった。
    固体結晶主成分であるリン酸- 石灰- 水和物(Ca(H2PO4)2・H2O) の結晶化を速やかに, かつ十分に行なわせ, 遊離水分(F-H2O),遊離リン酸(F-P2O5)等の粘着性液体成分を減少させるため,反応生成物の温度を100~105℃に一定時間保つことによって,状態のよい製品を得ることができた。
  • 石川 忠夫, 吉沢 四郎
    1963 年 66 巻 3 号 p. 342-347
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    パイライト利用の研究の一環として,(i)熱分解によりイオウを単離させる反応,FeS2→FeS+S,(ii)塩素によって塩化イオウを得る反応,FeS2(およびFeS)+Cl2→FeCl3+S2Cl2の適当条件を検討した。すなわち,柵原パイライトを不活性気流中,または塩素気流中で処理し,熱分解温度は595℃ で,最適なパイライト粒度は約100メッシュであることを知った。また,塩素処理の適当温度は250℃ で,塩素の供給量は,理論量の2.4倍量必要で,最適流量は空筒速度で6.1cm/min,空隙速度で11.8min-1であることを知った。また,(iii)得た塩化イオウと二硫化炭素とから四塩化炭素を得る反応,S2Cl2+CS2→CCl4+Sの適当条件をも検討した。この反応は,触媒なしでは生起せず,鉄,塩化鉄(III),硫化鉄,アルミニウム,塩化アルミニウム,三塩化アンチモンとともに,ちょうど本研究の目的に沿って,パイライトが有効であることを知った。たとえば10%のパイライト共存のもとでの反応の最適条件は,反応物の混合組成が塩化イオウ90%一二硫化炭素10%,温度は60℃,処理時間3時間で,この条件で得られた反応率は100%であった。
  • 野田 英世, 滝野 俊夫, 福井 謙一
    1963 年 66 巻 3 号 p. 348-351
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イソブチレンとホルムアルデヒドとの常圧Prins反応の溶媒としては,水よりも酢酸がすぐれており酢酸メチルおよび酢酸エチルもまた有効であった。触媒としては硫酸, p- トルエンスルホン酸および三フッ化ホウ素エーテラートがすぐれており,特に酢酸-無水酢酸混合溶媒中,硫酸を触媒とする反応でもっともよい結果をえた。ブテン-2とホルムアルデヒドとの反応では酢酸-硫酸または酢酸-三フッ化ホウ素触媒系中でもっともよい結果がえられた。これに対して塩化メタリルとホルムアルデヒドとの反応では硫酸が触媒としてもっとも有効であった。水と酢酸では溶媒としてあまり差は認められなかったが,硫酸水溶液中の反応がすべての点で良好な結果を示した。なお反応生成物である1,3-ジオキサン誘導体,テトラヒドロピラン誘導体および1,3-ブタンジオール誘導体についてそれらの各種誘導体および確認化合物を合成した。
  • 加藤 時雄, 仲田 俊夫
    1963 年 66 巻 3 号 p. 352-355
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アセトンとフェノールの脱水縮合反応によるピスフェノールAの合成を,四塩化ケイ素を触媒とする均一系で試み,消費したフェノールおよびアセトン当り90 mol% 以上の収率でピスフェノールA をえた。
    この場合反応の助触媒としてのチオグリコール酸は,まず,アセトンと反応してプロピレンビスチオグリコール酸となり,この化合物がピスフェノールAの生成反応のための真の触媒としての役割をしていることが確かめられた。
  • 酒井 鎮美, 杉山 龍男, 石井 義郎
    1963 年 66 巻 3 号 p. 355-357
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    数種の第三アミンおよびナトリウムフェノキシドを触媒とし,n-ブタノール,キシレン等を溶媒とし,数種のエポキシドとフェノールとの反応を検討し,触媒およびエポキシドの構造と反応速度の関係を求め,反応機構と立体効果について考察した。
    ニトロベンゼン中ナトリウムフェノキシドを触媒とする各種エポキシドの反応は3次速度式に従い,反応性は,エチレンオキシド>フェニルグリシジルエーテル(PGE)〓プロピレンオキシド>1,2-エポキシドデカン>スチレンオキシド>イソブチレンオキシドの順となる。
    他方,PGEとフェノールの反応における触媒のおよぼす立体効果は反応溶媒により異なり,n-ブタノール中の反応では立体効果は小さく電子論的効果が支配的であり,活性化エネルギーとlogPZは直線関係を示す。しかし,キシレン中では立体効果が顕著となり,触媒活姓はI効果の序列とは一致しなくなる。この現象はn-ブタノール中では立体的要求の小さい単純イオン機構が作用し,キシレンのような非極性溶媒中では立体的要求の大きい3分子錯化合物機構が作用するとして説明される。
  • 山川 敏雄
    1963 年 66 巻 3 号 p. 357-361
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フミン酸のイオン交換性は,土壌の塩基交換の一半をうけもつものとして古くから研究され,また石炭質イオン交換剤は合成イオン交換樹脂の発展に先駆して研究された。ここでは,フミン酸のイオン交換性の一般的な性質と構造に関する知見を得ることを目的に,乾膠状態のフミン酸3種を,模型物質として選んだカルボキシル基型合成イオン交換樹脂,酸性色素と比較して溶液の濃度,pH,温度,イオン価などがイオン交換におよぼす影響を調べた。この結果,フミン酸のイオン交換性は模型物質とよく類似し,高分子電解質の理論により定性的に説明される。しかし,イオン交換に伴う膨潤性,溶解性などの相異はフミン酸の分子構造や乾膠状態にいくつかの示唆を与える。
  • 新橋 照也, 泉 富雄
    1963 年 66 巻 3 号 p. 361-365
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ケラチン・タンパクの水酸化カルシウムによる加水分解より調製した空気泡消火剤の起泡性,泡の耐火性,収率および分解度に及ぼす分解温度,分解時間およびケラチン粒子の大きさの効果を調べたこ。
    結果を総合的に判断すると,(1)分解温度98℃ における最適分解度は,アミノ態窒素が全窒素の約20%を占める。(2)98℃ より低い分解温度の方が泡の耐火性のすぐれた製品を得ることができる。(3)ケラチン粒子の大きさは事実上,得られた製品の品質に影響を及ぼさない。
    これらの結果からつぎのことがわかる。(1)98℃ より低い分解温度の方が,有効成分の濃縮された製品を得られる。
    (2)ケラチン粒子の大さは分解速度に影響を及ぼさない。
  • 藤尾 亮太, 鶴田 禎二, 古川 淳二
    1963 年 66 巻 3 号 p. 365-369
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    数種のビニルケトン(メチルビニルケトン,フェニルビニルケトン,メチルイソプロペニルケトン)のアニオン重合を行ない,立体規則性重合の可能性を調べた。
    カルシウム亜鉛テトラエチル, 臭化フェニルマグネシウム・エーテラートなどを用い,0~20℃でメチルビニルケトンを重合させると,きわめて結晶性のよいポリメチルビニルケトンが得られることが見出された。この結晶性ポリマーの融点は約160℃で,ギ酸溶液からつくった膜を顕微鏡で見ると,球晶の生成が観察される。また,メチルビニルケトンは,他のビニル化合物と異なり,トリエチルアルミニウム,ジエチル亜鉛およびジエチルカドミウムをそれぞれ単独の開始剤として用いた場合にも結晶性ポリマーを与えることがわかったので,重合機構を知るために,共重合実験を行ない,この場合にはアニオン重合がおこっていることをたしかめた。
    フェニルビニルケトン,メチルイソプロペニルケトンについてもアート化合物や諸種の金属アルキルによる重合を行なったところ,後者は高い結晶性を有するポリマーを与え得るに反し,前者からはとくに結晶性のよいポリマーの生成しないことがわかった。
  • 城内 宏, 渡辺 正元
    1963 年 66 巻 3 号 p. 370-373
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウム-酸性亜硫酸ナトリウム系触媒によるアクリロニトリルの水系連続重合では,重合開始前の混合液のpHが3以上の場合に,重合中に異常なpHの上昇,およびそれに伴なう重合体の分子量の上昇と重合率の低下が認められることがある。これはまず生じた重合体に水素イオンが吸着してpHの上昇が起こり,次第に上昇してpH5以上になると,酸性亜硫酸ナトリウムから生じる亜硫酸イオンがアクリロニトリルに付加してpHを更に上昇させるという副反応が加わるためと推定される。重合体の生成に伴なうpHの上昇は,重合開始前の混合液のpHを硫酸で低くしてやれば,ごくわずかに抑えることが可能であり,連続重合では一般にpH3以下にすることが望ましい。
  • 東浦 浩, 谷本 かよ, 浜地 南海生, 大岩 正芳
    1963 年 66 巻 3 号 p. 374-378
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フェニルァセチレン(PA)を130~170℃ に加熱して黄色の固体重合物を得た。ベンゼンを溶媒とする熱重合において,見かけの重合速度式v=k[PA]2.32と活性化エネルギー23.9kcal/molが求められた。150,170℃ の塊状熱重合では,分子量が350~450,mp50~120℃ の範囲内にある重合物が得られ,これをベンゼンに溶かし,メタノールを添加すれば, 分子量850 ~ 1000,mp160~210℃ のものと, 分子量400~450, mp50~90℃ のものに変わる。元素分析および赤外吸収スペクトルの測定から,重合物とそのメタノール処理物はともに鎖状の重合物と考えられる。
  • 東浦 浩, 横道 正一良, 大岩 正芳
    1963 年 66 巻 3 号 p. 379-381
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フェニルアセチレンの重合をべンゼンを溶媒とし,チグラー触媒を用いて50℃で行なった。触媒比r=[AlEt3]/[Ti・Cl4]が7~10で最高収率が得られた。重合物はrが小さい時はすベてべンゼンに溶けるが,r>5ではべンゼンに不溶のものも生成され得る。ベンゼン可溶物の分子量は, r が大きくなるにつれて大きくなり, 280から1000のものが得られた。重合物の融点は,融点範囲が大きく,単一物質でないことがわかるが,rの増大とともに170℃付近から一度低下した後再び高くなり, rが十分大きくなれば220℃付近に達する傾向がある。赤外吸収スペクトルから, r=0.5付近の重合物は, 主に1,3,5-トリフェニルべンゼン(I)であること, rの増大とともに, 鎖状と考えられる重合物(II)の生成量が多くなること,rが十分大きくなればIはなくなり,IIとベンゼンに不溶性の重合物(III)が生成されることなどがわかった。
  • 西崎 俊一郎, 不可 三晃
    1963 年 66 巻 3 号 p. 382-386
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリイミドの耐熱性を検討するために, 各種芳香族ポリイミドをピロメリット酸ジ無水物とジアミンの縮合によりえた。芳香族ジアミンとしては, 〓,をもつものをえらび, 比較のために脂肪族ジアミンとしてはヘキサメチレンジアミンをえらんだ。
    これらポリイミドの熱分解を窒素中および空気中で700℃まで行ない,熱分解の状況を示差熱分析で測定し,考察を行なった。熱分解,熱酸化はいずれも,ポリイミドの中のジアミン成分の化学構造と密接な関係があることがわかったピロメリットイミド環は熱分解,熱酸化に対してきわめて安定である。ジアミン中に芳香族核を有するものは脂肪族を含むものに比べて熱安定性大きく, とくにベンゼン核のパラ位置に直結した成分を含むものは, もっとも熱安定性が大で,分解開始温度は約500℃である。主鎖のメチレン基,側鎖のメチル基は空気中で200~300℃で熱酸化を受け始める。芳香族核間のエーテル結合は熱分解,熱酸化に対して安定である。
  • 福田 和吉, 垣内 弘
    1963 年 66 巻 3 号 p. 387-390
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリオキシメチレンおよびポリオキシメチレンジアセテートのフェノール溶液中における分解を, 90~132℃において測定した。溶液中のポリマーはその重量について1次反応に従って減少する。分解速度はポリオキシメチレンの方がポリオキシメチレンジアセテートより大きい。一方分解反応の全活性化エネルギーはほぼ等しく, 25kcal/molである。溶媒としてp-クレゾール, p-クロルフェノール, p-第三ブチルフェノールおよびp-ニトロフェノールを用い, 118℃における分解速度を測定した。その結果ポリオキシメチレンジアセテートの分解速度がHammettの法則に従うことを認めた。ただし,p-第三ブチルフェノール溶液中の分解速度は除く。フェノール中90℃における分解の際の溶液粘度の変化を測定した。その結果ポリオキシメチレンの分解は重合度減少率より重量減少率の方が大きく,ポリオキシメチレンジアセテートの分解は重量減少率より重合度減少率の方が大きいことを認めた。分解機構の理論的考察をあわせて行ない,ポリオキシメチレンは分子の両端および分子鎖中において分解が開始し,ポリオキシメチレンジアセテートは分子鎖中でのみ分解が開始するという結論を得た。
  • 楢崎 英男
    1963 年 66 巻 3 号 p. 391-395
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ノニルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂およびノニルフェノール・p-クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂をオキシエチル化して非イオンポリソープを合成,その水溶液の諸性質をモノソープ(ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル)と比較検討した。各ソープはそれぞれ10,20molのエチレンオキシドを有している。
    一般にポリソープの表面張力値は分子量の低下と共に低くなる。ポリソープのカーボンブラック分散力, 石灰セッケン分散力および乳化力はモノソープの場合とほぼ同等であった。ポリソープの浸透力,起泡力はモノソープの場合より劣った。ベンゼン, 2-エチルヘキサノールの可溶化ではモノソープおよびp-クレゾールを含むポリソープのエチレンオキシド20mol付加体が10mol付加体よりすぐれているが,他のポリソープでは10mol付加体が20mol付加体よりすぐれていた。
    n-ヘプタンの可溶化ではすべてのポリソープおよびモノソープの10mol付加体が20mol付加体よりすぐれていた。
  • 外山 泰久
    1963 年 66 巻 3 号 p. 395-397
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エナメル線の熱衝撃性の機構を検討する目的で,平角ホルマール線(PVF)および平角ポリエステルエナメル線(PEW)を伸長して剥離した伸長皮膜試料の加熱による収縮性および収縮力を測定した。また,これらエナメル線皮膜の荷重・伸長特性を200℃ まで測定し,エナメル線皮膜の二,三の特性を明らかにした。
    PVF,PEW皮膜ともに常温では硬いが,100℃ 以上ではかなり軟らかくなる。PVFとPEW皮膜の大きな違いは伸びの温度特性で,PVFは100℃ 以上でPEWの2倍以上の伸びを示した。
    これらの実験結果から,PVFとPEWの熱衝撃性についてつぎのように考察した。すなわち,熱衝撃によるエナメル皮膜の亀裂発生はエナメル線の伸長や巻付けによって皮膜に発生した内部応力が加熱によって収縮力としてあらわれるためで,高温で伸びの小さいPEW皮膜では収縮力が皮膜の強度より大きいときに破断する。一方,PVFでは加熱による引張荷重の変化はPEWと大差ないが,高温における伸びが大きいため破断に至らない。
  • 鈴木 伸, 大石 恭史
    1963 年 66 巻 3 号 p. 398-399
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 加藤 時雄
    1963 年 66 巻 3 号 p. 399-400
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 石塚 一郎, 尾形 秀
    1963 年 66 巻 3 号 p. 400-401
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1963 年 66 巻 3 号 p. A23-A29
    発行日: 1963/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist then, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors Readers are recommended to refer to the tables the figures, the formulae etc. in the original papers.
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