工業化学雑誌
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66 巻, 7 号
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  • 藤重 晴昭
    1963 年 66 巻 7 号 p. 891-895
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    単一球状粒子とガスとが反応して粒子内に新しい固体の反応生成物を生成し,未反応固体中と反応生物中の反応ガスの拡散速度係数の間にあまり差がなくほぼ等しいと見ても差しつかえないような場合について,
    (1)粒子内の反応ガスの非定常拡散(2)粒子内での固体とガスとの化学反応の二つの過程を考慮し.(2)の過程について近似をおこなって次の速度式をえた。
    この速度式について種々検討を加えた。
  • 藤重 晴昭
    1963 年 66 巻 7 号 p. 895-901
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第1報において,単一球状粒子とガスとの反応に関する速度式をえたが,本報では,この速度式の中に含まれている拡散速度係数に関する新しいパラメーターDの値を,磁硫鉄鉱,セン亜鉛鉱および銅マットの酸化反応の反応後期の速度から求め,その結果を考察して次の点を明らかにした。
    これら硫化物中のO2ガスの拡散の活性化エネルギーは, 磁硫鉄鉱では13.7kcal/mol,セン亜鉛鉱では31.1kcal/mol,また銅マットでは30.0kcal/molである。
    Dに対するO2濃度や粒径の影響は理論的結論と一致し,Dの値は粒子表面のO2濃度に比例し,粒径の2乗に反比例する。
  • 藤重 晴昭
    1963 年 66 巻 7 号 p. 902-907
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第1報でえた単一球状粒子とガスとの反応の速度式を用いて磁硫鉄鉱,セン亜鉛鉱および銅マットの酸化反応速度を解析し,化学反応速度係数の新しいパラメーターλ'の値を求めその結果を考察して次の点を明らかにした。
    これら硫化物とO2ガスとの間の酸化脱硫反応の見掛けの活性化エネルギーは, 磁硫鉄鉱では71.5 kcal/mol,セン亜鉛鉱では100.5kcal/mol,また銅マットでは77.7kcal/molである。
    λ'の値に対する粒子表面のO2ガス濃度や粒径の影響は,理論的結論と一致しλ'の値は粒子表面のO2ガス濃度に比例し粒径には無関係であることを確認した。また,粒径に分布の存在する場合の平均された見掛けの反応速度に関して考察し,近似的速度式を提案し,その速度式で実験結果を満足に説明できることを示した。
  • 藤重 晴昭
    1963 年 66 巻 7 号 p. 908-912
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    磁硫鉄鉱の酸化脱硫焼鉱の磁気分析,X線回折および顕微鏡観察をおこなって次の諸点を確認した。
    (1)磁硫鉄鉱の酸化脱硫反応の過程で,未反応の硫化物に接してヘマタイト層との間にマグネタイトが生成する。
    (2)マグネタイトの存在量は,反応初期では反応の進行とともに増加し,ある反応率の所で最大となり以後減少する。
    (3)マグネタイトの存在量が最大となる時の,反応率の値とその時のマグネタイトの存在量は,反応温度,バイ焼ガス中のO2濃度,粒径等の変化によって一定の傾向をもって変化し,この変化の傾向は,先に第2報,第3報で示した磁硫鉄鉱の酸化反応速度の解析結果より合理的に説明できる。
  • 小泉 勇
    1963 年 66 巻 7 号 p. 912-916
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    泡沫による溶質の濃縮分離法を三つの型に分け,その中,分子間結合ないし相互作用により溶質を捕捉して泡膜中へ濃縮分離する型のものを“分子浮選”と呼んだ。この型の既知のものは,溶質と界面活性剤の化学構造が酷似する場合で,有機物に限られているが,構造的に著しく異なる場合,特に,無機溶質を対象として,これの分子浮選を意図した。
    0.003~0.047mmol/lのヨウ素水溶液からヨウ素の分子浮選を試み達成した。
    また一方,0.125mmol/lのヨウ化カリウム水溶液から“イオン浮選”も行なった。
    両浮選とも,起泡剤と捕収剤を兼ねてセチルピリジウムクロリドを使用した。塩化ナトリウムを500mmol/l含む時,イオン浮選では初液中のヨウ素の2.5%しか泡沫中に分離できないのに対し,分子浮選では97%を分離できた。
    分子浮選は,溶質の捕捉に際しイオンの影響を受けず,多量の共存イオンを含むことの多い無機溶質の濃縮分離には効果的な方法であることを示した。
  • 大蔵 武, 渡辺 寛人
    1963 年 66 巻 7 号 p. 916-921
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    が知られているが,この実験でフミン酸も同じ作用を示すことを見いだした。またこの作用機構を知る目的で炭酸カルシウムのζポテンシャル,45Ca2+を用いた炭酸カルシウムの同位体交換現象に対するこれら薬剤の影響,ならびに炭酸カルシウムに対するこれら薬剤の吸着現象を調べた。その結果これら薬剤の作用は,発生する炭酸カルシウムの結晶核に吸着し,その成長を妨げることにあると推論した。またこの種薬剤の持つべき性質として,炭酸カルシウムに対する吸着性の大きいことはもちろんであるが,溶液中の拡散速度も関係することを知った。
  • 中 重治, 野田 稲吉
    1963 年 66 巻 7 号 p. 921-923
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フッ素金雲母の溶融体よりの結晶化に及ぼす溶融体の熱履歴の影響を研究した際,加熱時間と共に過冷却度が増し,遂にはほとんど結晶化しなくなるが,さらに加熱時間が増すと再び過冷却度が減少することを認めた。後段の過冷却度の減少は容器にもちいた白金の溶融体中への溶解によって促進されるものではないかとの懸念から,種々の熱処理をうけたフッ素金雲母試料中の白金の分析を行なった。分析は発光分光分析法により白金の3064.7Åのスペクトル線をもちいておこなった。
    100%フッ素金雲母溶融体の場合,試料中の白金量は極めて微量であったが加熱処理と共にます傾向にあり,フッ化カリウム添加試料の場合はその添加量が20wt%以上になるとかなりの白金量を認めた。しかしながらフッ化カリウム添加試料では白金による影響よりもフッ化カリウムの添加の影響が著しく,白金の影響が懸念された100%フッ素金雲母でも専ら試料の加熱覆歴によって決まることを認めた。従ってフッ素金雲母溶融体よりの結晶化現象については,白金の影響はほとんど無視できるとの結論に達した。
  • 西野 忠, 茂木 今朝吉
    1963 年 66 巻 7 号 p. 924-929
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    CaO-Cr2O3-Al2O3系の反応を調べる目的で,Ca(OH)22-Al2O3,CaCO3-Cr2O3-Al2O3,CaCrO4-Al2O3各混合系の熱分析,熱天秤測定,X線分析および化学分析によって検討した。FordらはCaO・Al2O3-CaO・Cr2O3混合系の反応によって黄色の結晶性化合物を認め10CaO・8Al2O3・2CrO3・Cr2O3の組成をもつことを報告しているが,CaCO3-Cr2O3-Al2O3,およびCaCrO4-Al2O3混合系の加熱重量変化,X線分析,および加熱試料の希塩酸溶出部の化学分析により,8CaO・5Al2O3・2CrO3の組成をもち,その特性X線回折線がd=3.78Åであることを知った。8CaO・5Al2O3・2CrO3は,CaCrO4-Al2O3反応によって生成する。
    8CaCrO4+5Al2O3=8CaO・5Al2O3・2CrO3+3Cr2O3+9/2O2
  • 石川 忠夫, 吉沢 四郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 929-933
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    クス(燻)べ瓦が黒鉛様色沢を持っていること,そして,セリサイトを含む粘土を瓦の素地に塗布しておくとクスベ効果が促進される事実に着想を得て, セリサイトの黒鉛化触媒作用について調べ, つぎのような結果が得られた。
    (1)(i)2000℃で,すでに,かなりの触媒効果を認めた。(ii)村上セリサイトの場合,2000~2400℃の範囲では,約8%の添加が適量であった。(iii)天然産出のままの生品と,強熱脱水したカ焼品との間には作用の差を認めなかった。(iv)セリサイトの分析組成になるように調合した試薬混合物の触媒作用は,天然のセリサイトのそれに比べると,はるかに劣っていた。(v)セリサイトは,また,純化作用もあわせ具えており,その作用は約1800℃で現われはじめ,約2000℃で終るようである。
    (2)工業炉で実用試験を行ない,工業的に実用できることを確認した。
  • 石川 忠夫, 吉沢 四郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 933-935
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    既報のとおり,セリサイトが黒鉛化触媒として有効であったので,そのほかに黒鉛化触媒作用を持つ物質を探しあてたいと考えて,また,セリサイト類中の有効成分を知るとともに,各元素の作用を系統的に分類整理したいと考えて,Ti,V,Fe;Au;Li,Ag,Mg,Ba;Sr,Mo,Pt;K,Zn,Al,Zr,Si,Bi,Cr,W,Se,Mn,Co,Sn,Sb;Na,Cu,Ca,Hg,Pb,Cd;Niの単体,または,酸化物を3%まで添加して得た黒鉛の黒鉛化度を測定し,各元素の触媒作用を比較した。その結果,(1)各元素の作用はまちまちで,黒鉛化触媒の系統的分類整理はできなかった。(2)チタン,鉄,バナジウムは非常に有効であったが,ほかの元素は実用上の価値は認められなかった。その作用の序列は,上に示したとおりであった。鉄はまた,黒鉛化温度で揮散するので,触媒として適当なものである。(3)セリサイト中の有効成分は指摘できなかった。セリサイト中の成分で,著しい作用を示したのは鉄であるが,鉄とセリサイトではセリサイトの方が有効であった。
  • 石川 忠夫, 吉沢 四郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 936-938
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    常日頃,工場操作で問題にされていながら,いまだ確認されていない,黒鉛化過程での昇温速度,加熱時間ならびに生製品再加圧,成型圧の増大が,黒鉛化におよぼす影響について調べた。原料コークスおよび特定の条件で調製した成型物を,それぞれ特定の条件で加熱処理し,その黒鉛化度そのほかの特性を測定,比較した。得られた結果はつぎのとおりである。(1)黒鉛化の際の加熱時間の影響:2500℃ 以下では時間もかなり重要で,黒鉛化度の加熱変化は約2時間で,ほぼ,その温度で到達すべき値をとるようである。(2)昇温速度の影響:わずかながらゆるく加熱する方がよい結果が得られた。(3)生製品再加圧の影響: 生製品を80~90℃ で1t/cm2で再加圧したが, 黒鉛化への影響はなかった。(4)生製品を得る際の成型圧増大の影響:従来の工業操作での100~300kg/cm2に対して2~7倍に増したが,影響は認められなかった。
  • 平野 四蔵, 氏平 祐輔
    1963 年 66 巻 7 号 p. 939-941
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    銅地金,粗銅中の微量金をテルルを捕集剤として用いる塩化スズ(II)還元共沈法によって簡単,迅速に分離定量する方法を研究した。
    試料(<0.5g)を硝酸および塩酸に溶解したのち,湯浴上で乾固し,残留物を2N塩酸で溶解する。テルル溶液,塩化スズ(II)溶液を加えて加熱し,生成した沈殿をロ別する。沈殿を王水に溶解し,p-ジメチルアミノベンジリデンローダニン比色法によって金を定量する。
    198Auを用いるトレーサー実験および合成試料を用いて,微量金の回収率の測定,本定量方法の検討をおこなった。
    本方法により,銅中の1ppm以上の金が,±5~10%の誤差で定量でき,定量値は他法で得られた結果とほぼ一致した。分析所要時間は1~2時間である。
  • 足立 毅, 石井 邦男, 藤井 勉
    1963 年 66 巻 7 号 p. 941-947
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化エチレン(OX)とn-ブタノール(BA)より2-ブトキシエタノール(BC)を合成する際に触媒を用いる低圧法と無触媒加圧法とがある。著者らは無触媒加圧法にっいて研究を行ないその動力学挙動を検討した。
    この反応は逐次並発型の付加反応で, 主反応BCの他に, ブトキシジグリコール(BK),ブトキシトリグリコール(BT)などが副生する。著者らは仕込BA/OXモル比1.65~5.5,温度125~255℃ の無触媒加圧回分反応により得られた実験結果を基とし本反応の反応次数,反応速度定数と温度の関係および活性化エネルギーを算出した。その結果
    1.BC合成反応は2次反応と考えられるが,アルコール過剰のため擬1次反応と見なし得る。
    2.速度定数のArrhenius式はBC合成反応の場合logkc-2=-1676/T+1.7701,BK生成反応の場合logkk-2=-1990/T+2.1949で仕込BA/OXモル比が3,温度205℃ の場合を例にとり,その速度定数を速度式に適用し,Eu1er法の数値計算を行なって得た反応系内組成物分布の経時変化曲線は実測値と良好な一致を示す。
    3.活性化エネルギーはBC,BK各生成反応につき,それぞれ7.7,9.1kcal/molで,すでに報告されている無触媒反応時の約14kca /molといちじるしく異なることを明らかにした。
  • 岡原 光男, 後藤 銃吾, 小森 三郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 948-952
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルキル尿素とグルコースをジメチルホルムアミド溶媒中で濃リン酸または無水リン酸を触媒として反応させて,アルキル尿素N-グルコシドを合成した。この反応の際の種々の条件,すなわち反応温度,反応時間,触媒の種類などについて検討した結果,濃リン酸をアルキル尿素に対し,0.2~0.5mol量加え,60~80℃ の温度で3~6時間反応させることにより最良の結果が得られることを認めた。
    この方法でヘキシル,オクチル,ノニル,ドデシル,テトラデシル,ヘキサデシル,オクタデシルの各アルキル尿素N-グルコシドをそれぞれ純粋に合成し,性状を明らかにするとともに,ヘキシル,オクチル,ノニル等の水溶性のグルコシドの表面張力,界面張力低下能,起泡性等の界面活性を調べた。
  • 藤田 英夫
    1963 年 66 巻 7 号 p. 953-960
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報にて,電界下で鉱油から発生するガスの発生速度量の時間依存性がdx/dt=B+Aexp(-kt)に従うことを導いたが,ここではさらに世界中から集めた代表的な油入ケーブル油とトランス油について試験し,上式の適合性を広く調べた結果,油の広い組成範囲にわたって良く適合することを確認した。そして各油に特有な値とした得た定数Bと,油の化学組成特性値として誘導した函数
    RT・%CP/%CR・d/M(dは密度,Mは平均分子量)
    との間に一定の幅をもつ直線相関性を見出した。また前報にて見出した定数Aと化学構造特性値との相関性についても再確認し,高電界下で鉱油が放電によって劣化していく機構を推定することができた。そして3000時間放電劣化した油の構造変化をn・d・M分析,シリカゲルクロマト分析,赤外吸収スペクトルでそれぞれ追跡し,この推定機講を支持する結果が得られた。
  • 高橋 彰, 小原 百門, 香川 毓美
    1963 年 66 巻 7 号 p. 960-964
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    38℃の懸濁重合によってえたポリ塩化ビニルをテトラヒドロフラン-水系で分別し,各区分のテトラヒドロフラン溶液の粘度・浸透圧・光散乱および沈降測定より次の結果をえた。
    (1)[η]=4.98×10-4Mw0.69,S0=9.87×10-15Mw0.35,f∝Mw0.67。(2)Flory-Foxのいわゆる普遍定数Φ,Mandelkern-FloryのΦ1/3P-1およびPを求めた結果はΦ=2×10211/3P-1=2.3×106,P=5.1であった。(3)常温付近での〓溶媒系を見出す試みはポリ塩化ビニルの凝集ならびにゲル化傾向が強く成功しなかったが, 倉田-Stockmayer-Roig,Stockmayer-Fixmanの理論式を用いて決定したUnperturbed dimensionおよびその自由回転に対する比は(r02)1/2/M1/2=812×10-11,(r02/r0f2)1/2=2.1であった。
  • 垣内 弘, 福田 和吉
    1963 年 66 巻 7 号 p. 964-968
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリオキシメチレンジアセテートの分別抽出を,溶媒フェノール,非溶媒エチルセロソルブ,吸着剤キセライトとし,110℃ にて行なった。分別によって得られた試料の回収率は60%程度であった。これらの試料はフェノールを溶媒とし,90℃ にて固有粘度を測定するとともに,浸透圧を測定して分子量を求めた。その結果,分子量と固有粘度の間に次の関係が成立することを認めた。
    [η]p=1.13×10-4M0.76(1)
    ここで[η]pは90℃ におけるフェノールを溶媒とした固有粘度,Mは分子量をあらわす。同じ各試料について60℃,2%のα-ピネンを含むp-クロルフェノールを溶媒とした固有粘度を測定し,次の関係が成立する結果を得た。
    [η]p=0.68[η]1.16cp(2)
    ここで[η]cpは60℃ における2%のα-ピネンを含むp-クロルフェノールを溶媒とした固有粘度である。
    従って(1)および(2)式から次の関係が導かれる。[η]cp=5.43×10-4M0.66(3)
    分別前,2%のα-ピネンを含むp-クロルフェノールを溶媒とした60℃ における固有粘度が2.62の試料は,分別の結果,分子量の平均が60,000の比較的するどい分子量分布曲線を示した。ところが分別前の固有粘度が4.7の試料は,分別によって次第に分子量が低下し,分子量分布曲線を得ることができなかった。これらの結果から分別した試料は分子量分布がせまいことが推測される。
  • 浅原 照三, 高木 行雄, 永井 信
    1963 年 66 巻 7 号 p. 968-973
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α,α,α-トリクロル-ω-ヨードアルカンを連鎖移動剤としたエチレンのテロメリゼーションをアゾビスイソブチロニトリルを開始剤とし,“容量比”0.20,反応温度90℃ で行なった。生成テロマーおよび1,1,1,5-テトラクロルペンタンとエチレンのテロマーの赤外吸収スペクトルの解析結果,生成テロマーは直鎖状のより分子量の大きいα,α,α-トリクロル-ω-ヨードアルカンであることが確認された。生成テロマーの収量は開始剤濃度およびC2H4/Cl3C(CH2CH2)nIのモル比の増加とともに増大するが次第に頭打ちとなり,一方開始剤濃度の増加につれて開始剤1g当りのテロマーの収量は逆に減少する。テロマーの収量および連鎖移動剤の変化率から,Cl3C(CH2CH2)nIの反応性は,n=2>n=3>n=4である
  • 高橋 彰, 茂木 登, 高浜 弘, 三田 幸満
    1963 年 66 巻 7 号 p. 973-979
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化ニッケル- シリカ- アルミナ触媒を用いて, エチレンを二量化し1-ブテンを生成させる反応を検討した。この反応を行なうのに先ず固定床触媒法により,常圧気相法についてこの反応の諸条件を検討した。この方法では300℃以上の高温を必要とするために,目的とする1-ブテンの生成反応の他に異性化反応およびエチレンの多量化反応が同時に起り,1-ブテンの選択率が極めて悪いことがわかった。
    そこで希釈剤を用いる液相加圧下での回分式反応を, 約50℃以下の比較的低温で行なった。希釈剤としてはシクロヘキサンを用いた。このような方法によって,可及的に副反応の生起を防いで,比較的高いエチレン転化率にもかかわらず1-ブチン選択率約80%を得ることが可能となった。触媒ベースたるシリカ- アルミナゲルの種類, 酸化ニッケルの量, 触媒の賦活条件, 触媒量, 反応温度, 反応時間およびエチレン濃度等の反応に及ぼす影響を詳細に検討した。
    触媒ベースに対するニッケル添加量は金属として2.5~5.Owt%がよく,触媒は500~600℃の熱乾燥空気によって5時間流動賦活を行なったものが最も高い活性を示し,使用量は溶媒に対して0.2~0.4wt%が適当であることが明らかとなった。
  • 田伏 岩夫, 高木 邦彦, 長田 司郎, 小田 良平
    1963 年 66 巻 7 号 p. 979-981
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1,2-ジフェノキシエタンのクロルメチル化反応を種々の条件で試み,リン酸触媒で氷酢酸中で塩化水素を通じながらパラホルムアルデヒドを作用させることにより,ビスクロルメチル化物をえた。塩化亜鉛,塩化アルミニウムを触媒に用いると多少縮合連結を伴う。クロルメチル化した1,2-ジフェノキシエタンを, フリーデル・クラフッ触媒存在など種々の条件で反応させ,ポリ縮合物をえた。またジブェノキシエタンをアルカリ水中でフェノールとエチレンクロリドから収率よく合成する方法についても検討した。
  • 木下 雅悦
    1963 年 66 巻 7 号 p. 982-984
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-フルオルスチレンの30℃でのラジカル重合を解析し,他のスチレン誘導体の場合の結果と比較した。全重合速度はスチレンより少し小さいが, 生長反応, 停止反応の速度定数はいずれもスチレンより大きかった。アゾビスイソブチロニトリルを開始剤とした場合,全重合速度はRp=k[M][I]0.5の関係を満足し,光増感重合でのラジカルの平均寿命と開始速度から素反応の速度定数を求めた。開始剤効率f=0.55。これらの結果を他のスチレン誘導体と比較して単独重合での生長反応速度定数は電子吸引性の置換基をもつ場合に大きくなり,電子供給性の置換基をもつ場合に小さくなり,また停止反応の速度定数は極性基をもつ場合に小さくなり,フルオルスチレン付近で最大になることがわかった。単量体の粘度との比較から停止反応での拡散律速が予想できた。
  • 井本 立也, 青谷 清史, 岩崎 功
    1963 年 66 巻 7 号 p. 985-987
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-ポリオキシメチレンの熱分解によって得られるホルムアルデヒドを,トルエン溶液とし,ナトリウムメチラートを触媒として,-30~+20℃ の範囲で重合を行なった。また一部高圧重合も試みた。
    重合は-50℃ 以下で起こらず,極限粘度1.0~3.3のポリマーが得られ,媒触量の少ない方が高分子量のものが得られ,末端基アセチル化によって極限粘度は増加し,熱安定性が著しくよくなった。熱安定性と極限粘度に相関関係が認められ,極限粘度の高いほど,熱安定性が良いことが判った。また触媒量-極限粘度の関係から分子は糸まり状であると考えた。
  • 井本 稔, 大津 隆行, 津田 和一
    1963 年 66 巻 7 号 p. 988-991
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸ボルニル(BMA)およびメタクリル酸イソボルニル(IBMA)を合成し,スチレン(St)および塩化ビニル(VC)とのラジカル共重合の研究を行なった。共重合は封管法でアゾビスイソブチロニトリルを開始剤とし塊状,60℃で行なった。初期生成共重合体の組成分析より,モノマー反応性比(r1,r2)およびQ,e値を計算し,つぎの結果を得た。
    BMA(M1)-St(M2)系:r1=0.44,r2=0.49
    BMA(M1)-VC(M2)系:r1=12.5,r2=0.06
    IBMA(M1)-St(M2)系:r1=0.32,r2=0.70
    IBMA(M1)-VC(M2)系:r1=10.0,r2=0.12
    Q(BMA)=0.79,e(BMA)=0.46Q(IBMA)=0.54,e(IBMA)=0.42
    これら値をメタクリル酸メチルについての結果(Q=0.74,e=0.4)と比較すると,BMAの結果は全く一致し,IBMAではQ値が多少小さく表われた。したがって,前報でのべたエキソ型のIBMAの重合でビシクロヘプタン基の立体効果が現われるという結論に対して有力な支持となった。また,生成共重合体の軟化点,極限粘度,耐熱性などについても考察した。
  • 井本 稔, 大津 隆行, 伊藤 俊男
    1963 年 66 巻 7 号 p. 992-996
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸のエンド- ボルニル(ボルニル) およびエキソ-ボルニル(イソボルニル) 基のラジカル重合過程におよぼす立体効果を検討するために, メタクリル酸ボルニル(BMA) およびメタクリル酸イソボルニル(IBMA) を合成し, アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)による重合過程を動力学的に研究した。重合はベンゼン溶液中,封管重合で行なった。両モノマーの重合速度(Rp) は次式で表わされた。Rp=k[AIBN]0.5[M]1.1
    同一条件下ではBMAはIBMAより速やかに重合し,生成ポリマーの重合度も大であった。このような重合速度のちがいは活性化エネルギーよりも頻度因子のちがいによることがわかった。またポリメタクリル酸ボルニル(PBMA) およびイソボルニル(PIBMA)を氷酢酸中で硫酸を触媒として加酢酸分解すると,PIBMAの場合にのみ反応が進行し,ポリメタクリル酸が得られた。このポリメタクリル酸の粘度測定による分子量およびPBMA,PIBMAについての浸透圧測定から得られた数平均分子量(Mn)とそれらの極限粘度[η]との関係から数平均分子量-極限粘度関係式が導かれた。
    [η]=9.95×10-4Mn0.556(ベンゼン中,30℃)
  • 多田 紘一, 三枝 武夫, 古川 淳二
    1963 年 66 巻 7 号 p. 996-1002
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    3,3-ビス(クロルメチル)オキサシクロブタンとβ-プロビオラクトンとを,三フッ化ホウ素エートリエチルアルミニウム-水系触媒で共重合せしめ,生成物をクロロホルムで分別して各分別部の元素分析値と,赤外吸収スペクトルとから共重合していることを確認した。みかけの共重合パラメーターを決定したところ三フッ化ホウ素エーテル錯合体の場合には,-50℃でrBCMO=16±3,rBPL=0.05±0.05,0℃でrBCMO=38±3,rBPL=0.06±0.05,またトリエチルアルミニウム- 水系触媒では,-50℃でrBCMO=30±10,rBPL=0.04±0.04,0℃でrBCMO=30±10,rBPL=0.1±0.1であった。
    一方,共重合体の加水分解によるβ-ヒドロオキシプロピオン酸の生成量を,共重合パラメーターを用いて両モノマーが統計的に分布していると考えて計算した値と比較することにより,β-プロピオラクトンユニットのつらなりが, 統計的分布よりかなり長いことがわかった。したがって,この共重合は統計的分布に従った完全なランダム共重合ではないと考えられる。
  • 須沢 利郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 1002-1007
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン系およびポリエチレン系など主として疎水性合成繊維への各種界面活性剤-アニオン,カチオンおよび非イオン活性剤-の吸着性を研究するため,これらの活性剤の酸性水溶液中(pH3.4)における数種の合成繊維のζポテンシャルを測定し,これより表面電荷密度を求め,さらに繊維表面の単位面積あたりの吸着量を算出し,各繊維について比較した。
    アニオン活性剤SDSおよびDBSの場合,その濃度増加とともに,正のζポテンシャルを有するポリアミド系6-ナイロンおよびポリエステル系テトロンでは,そのζポテンシャルは正より負に転じて増加し,活性剤の吸着に静電結合の関与のあることを示唆したが, ポリビニルアルコール系ビニロン, ポリアクリロニトリル系カシミロン, ポリエチレン系ハイゼックスおよびポリプロピレン系パイレンなど, 負のζ ポテンシャルを有する繊維では, いずれもその-ζを増し,活性剤の吸着にvar der Waa1s力などの関与のあることを示唆した。またSDSよりDBSの方が活性剤濃度の増加による-ζの増加度が大きく,DBSのベンゼン環の吸着への関与が示唆された。
    カチオン活性剤DPBの場合,その濃度増加とともに,負のζ ポテンシャルを有するビニロン,カシミロン,ハイゼックスおよびパイレンでは,ζの符号を負より正に転じて増加し,活性剤の吸着に静電結合の関与のあることを示唆したが,正のζ ポテンシャルを有する6-ナイロンでは,+ζの変化がみられず,静電的反ばつ力が作用し,また同じく正のζポテンシャルを有するテトロンでは,+ζが増加し,活性剤の吸着にvan der Waals力などの関与もあることが示唆された。
    非イオン活性剤PEGの場合,その濃度増加とともに,繊維自身のζポテンシャルが負でしかもその値の大きいカシミロン,ハイゼックスおよびパイレンなどでは,-ζ が減じ,やがて一定値を示して,オキソニウムイオンの生成を示唆したが,その他の繊維ではこのようなことは認められなかった。
    イオン性界面活性剤の濃度増加による表面吸着量は,膨潤度の小さい疎水性繊維ほど大であった。また繊維の疎水性,親水性のいかんにかかわらず,繊維と活性剤の電荷が同符号の場合にも,活性剤濃度の増加とともに,その表面吸着量が増大し,活性剤の吸着にvan der Waals力の関与のあることを示唆した。特にポリエチレン系およびポリプロピレン系の繊維では,大きい負電荷を有するにもかかわらず,アニオン活性剤の表面吸着量が特に大きいことより,活性剤の吸着にその炭化水素鎖の寄与が大きいことが示唆され,その染色に特に困難が多いとされているこれらの繊維用の染料の有する性質,構造などを推定する上に,これらの事実は有用であろうと考えられた。
  • 佐藤 正雄, 小島 武
    1963 年 66 巻 7 号 p. 1008-1009
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 南雲 正
    1963 年 66 巻 7 号 p. 1009-1010
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 元井 操一郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 1010-1011
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 大谷 杉郎
    1963 年 66 巻 7 号 p. 1012-1013
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1963 年 66 巻 7 号 p. A59-A66
    発行日: 1963/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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