工業化学雑誌
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67 巻, 9 号
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  • 藤重 晴昭
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1311-1315
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    粒子堆積層を平板と近似し,(1)堆積層内の反応ガスの拡散 (2)堆積層内での固体粒子とガスとの反応の2つの過程を考慮し,若干の近似をおこなって解析して粒子堆積層とガスとの反応速度式として次式をえた。
    =
    (使用記号については未尾の表を参照)この速度式を用いて磁硫鉄鉱の粒子堆積層の空気による酸化脱硫反応速度を解析して次の結果をえた。
    (1)堆積層内のO2ガスの拡散の見掛けの活性化エネルギーとして5.80kcal/molの値をえた。
    (2)堆積層内のO2ガスの拡散速度係数のパラメーターDは層の厚みのほぼ2乗に反比例するという結果をえた。この結果は理論的結論と一致し,解析結果が妥当であることを確認した。
    (3)DがDpに影響をうけるという結果をえたが,これは速度式からは説明できない。どうしてこのような矛盾した結果がでたかについて考察を加えた。
  • 藤重 晴昭
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1316-1322
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    輻射伝熱の影響が無視できるような100℃ 付近で実験をおこない,流動層周壁と流動層間の伝熱係数値を測定し,次の実験式をえた。
    (Nu)=2.51×(Re)0.571×(u/umf)-0.126×(Cs/Cf)0.41(使用記号は末尾の表参照)
    u/umfの小さいところや,u/umfの大きいところでは実測値は上式で計算した値に比べていずれの場合も小さくなる傾向がある。
  • 藤重 晴昭
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1322-1329
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    別報と同様に,輻射伝熱が無視できるような100℃ 付近で実験をおこない,粒子内の伝導伝熱を無視して解析し,流動粒子と空気間の伝熱係数値を求め次の実験式をえた。
    (Nu)=2.90×10-2×Φs×(Re)0.945×(u/umf)-0.223(使用記号は末尾の表を参照)
    伝熱係数値は0.4~11.8kcal/m2・hr・℃ で,固定層の場合から想像される値に比べて非常に小さい値を示し,粒径が小さいほど小さくなる傾向を示す。また,粒子表面の粗さや形状などによって伝熱係数値は大きく変化し,形状が複雑で表面が粗いものほど小さくなる傾向を示す。
  • 藤重 晴昭
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1329-1336
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    100~900℃で流動層と管壁間の総括伝熱係数hcの値を測定した。えられたhcの値は150~600kcal/m2・hr・℃で,hcが600kcal/m2・hr・℃程度になるまでは温度の上昇に伴って急速に大きくなるが,高温ではhcの値は温度によらず,ほぼ一定値600kcal/m2・hr・℃ を示す傾向が認められた。
    また,100℃付近でhwの値を求め,この値を前々報で示したような(Nu),(Re),(u/umf)などの無次元項にまとめて,この実験式から高温でのhwの値の近似値を求め,この近似値を用いhc=hw+hrと仮定して, hcから見掛けの輻射伝熱係数hrの値を求めた。このようにしてえたhrの値は近似的に次式で整理される。
    =
  • 藤重 晴昭
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1336-1341
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    本報では,見掛けの反応速度が送風空気の質量速度に律速されるような条件で,磁硫鉄鉱を流動酸化バイ焼し,その際の層温度,管壁温度変化を実測し,その結果について考察を加えた。
    すなわち, 磁硫鉄鉱粒子の温度変化式を若干の近似をおこなって解析的に導き, この理論式で前報でえた伝熱係数値を用いて計算した結果は,実験結果をよく説明することができた。
  • 長谷 昌紀, 山添 昇, 清山 哲郎
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1342-1346
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    X線回折法によって,硝酸アンモニウム(以下硝安と略す)のIV,III,II相間の相転移や,結晶構造におよぼす水分の作用,転移における軸の保存性を検討し,あわせて,結晶の熱膨張率を測定した。硝安の相転移には,水分が密接に関係し,試料の含水量が少なくなるにつれてIV→IIIの転移温度は32℃から51℃まで上昇し,II→IIIの転移温度は84.5℃から47℃まで下降し,III→IVのそれは32℃ から18℃ 以下まで下降する。さらに含水量が少なくなれば,IV→IIIやII→IIIの安定転移は禁止されて,それぞれIV→II(51℃)やII→IV(47℃)の準安定転移がおこるようになる。しかしIII→IIの転移温度は,含水量によってほとんど変化しない。この傾向は先に報告したDTAによる結果と一致する。しかし,水分は硝安結晶の内部構造には変化をおよぼさず,ただその結晶成長に影響して回折強度を変化させるにすぎない。硝安の熱膨張率はIV相についてαa=-0.28×10-4b=3.12×10-4c=0.51x10-4,III相についてαa=0.42×10-4,αb=1.39×10-4c=0.50×10-4,II相についてαa=1.12×10-4c=0.50×10-4で,この数値は硝安の構造とよく対応する。これらの膨張率から,昇温降温に対してそれぞれIV型はII型へ,II型はIV型へ接近し,III型へ接近する傾向はみられないことがわかった。また,転移前後の回折図形を検討して,IV⇔IIは置換転移であり,IV⇔IIIや,III⇔IIは再構成転移であることがわかったが,これはBrownらや福山の結果と一致する。以上の事実から硝安の相転移について簡単に考察した。で緒言
  • 鳥飼 直親
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1347-1354
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    溶融相におけるカルシウム・カーバイド生成反応の機構を解明する目的で本研究を行なった。反応装置は,試料を急熱,急冷できるように工夫された,竪型タンマン炉を用い,アルゴン気流中2100℃ で,黒鉛と生石灰との反応を行なった。温度の測定は,光高温計とW/W-50%Mo熱電対を併用した。
    反応後の試料については,重量減少とアセチレン発生量から,反応率,収率,分解率を算出して解析を行なった。反応ははじめ外見上,固相反応とみなされる反応で進み,炭素との接触面から生石灰試料中に,時間と共に直線的に進行してゆく様子が明らかに認められた。
    ある程度カーバイドが生成されると,続いて溶融相の反応が起こるが,この反応は急激に始まり,極く短時間に完了することが判明した。これらの現象についての,定量的解析と検討を行なった。
  • 久保 輝一郎, 真鍋 和夫
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1355-1360
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シュウ酸コバルト2 水和物の空気中おける熱分解を, 示差熱分析(以下DTAと略記する) , X 線回折, 熱天秤( 以下TGAと略記する)により追跡した。シュウ酸コバルト2水和物のDTA図形が試料の充填方法および充填量により,全く異なった形を示すことを明らかにして,その原因を追究した。結果は次のとおりである。
    (1)昇温速度一定(10℃/min)で,試料充填層の厚さが5mm以内のとき,DTA図形には吸熱と発熱の各1本のピークが現われるが,厚さが8mm以上になると,上述の2本のピークの外に,発熱ピークの中間に別の吸熱ピーク(約420℃)が現われる。
    (2)試料の充填量により,シュウ酸鉄およびシュウ酸ニッケルの2水和物のDTA図形はシュウ酸コバルト2水和物のそれとほとんど同じ変化を示すが,ギ酸コバルト2水和物のDTA図形は全く異なる挙動を示す。
    (3)試料充填層の厚さが増加すれば,熱分解速度および見掛けの活性化エネルギーが著しく減少することが判明したので,新しい第2吸熱ピークの発生原因は,律速過程が界面化学反応から発生気体の系外への拡散過程に移行するためによるものと推定した。
  • 前野 昌弘
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1361-1364
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    中条産および小戸産の酸性白土について,その粘土鉱物としての特性と,これより得られた活性ケイ酸ヒドロゲルの性状を検討し,両者の相関性について考察した。その結果,酸性白土の比表面積が小さいほど,えられる活性ケイ酸ヒドロゲルの比表面積が大きい。また活性ケイ酸ヒドロゲルは比表面積が大きいほど,ゴムに対する補強性が大きい。つぎに化学分析,X線回折,示差熱分析,赤外吸収,芳香族吸着指数などの測定結果からすれば,比表面積の小さい酸性白土は,比表面積の大きいものと比較してクリストバライトが少なく,モンモリロナイト含量に富んでいる。
  • 前野 昌弘
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1365-1368
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸性白土の硫酸処理により得られる活性ケイ酸ヒドロゲルの本質を明らかにナるために,その生成過程を検討した。原料は,モンモリロナイト含量の多い中条酸性白土を選び,これより硫酸濃度を一定にして処理時間を変えた試料をつくり,これらについて化学分析,比表面積,X線回折,示差熱分析,赤外吸収,細孔分布などを測定した。これらの測定結果から,酸処理により酸性白土のおもな構成成分であるモンモリロナイトの酸処理による構造変化として,つぎのような機構が考えられた。すなわち,モンモリロナイトの結晶構造は,まずc軸方向の周期性が失われる。しかし,層面内(a,b両軸方向)の原子配列の規則性は失われない。この変化に対応して層間のカルシウムなどの置換性陽イオンや,有機物などの夾雑物は溶出される。ついで八面体の破壊がはじまり,層面方向の周期性が失われる。これに対応して,非晶質ケイ酸の生成がみられる。さらに酸処理過程が進行すると,層構造は完全に崩壊して非晶質ケイ酸となる。
  • 前野 昌弘, 高橋 明, 前田 禎美, 大藤 哲哉, 北原 昭勝
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1368-1371
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    活性ケイ酸ヒドロゲルから合成ゴム補強充てん剤用の微粉ケイ酸の製造条件を検討し,つぎの結果を得た。(1)活性ケイ酸ヒドロゲルを湿式粉砕するこにより活性ケイ酸ヒドロゾルが得られる。(2)活性ケイ酸ヒドロゾルは, アルカリ土類金属の水酸化物,あるいはその塩の添加によりゲル化現象をおこし,これを乾燥すると微粉末が得られる。(3)活性ケイ酸ヒドロゾルに少量の石灰乳を反応させて得られるカルシウム塩を含むものは, CaO/SiO2モル比が増加につれてゴム補強性が低下し,加硫性が良好となる。これらの実験事実はつぎのような基礎的知見にもとついて説明された。(1)活性ケイ酸ヒドロゲルは, かくはん分散試験および電子顕微鏡観測によれば本質的に微粒子の集合体であり, その粒子間結合は弱く水中で容易にゾル状に分散する。(2)この分散液を乾燥すると親水性の遊離シラノール基が表面にあるため,ケーキングをおこす。(3)接触角の測定からケイ酸ゾルにアルカリ土類金属を添加すると, シラノール基の一部が中和され親水性が減少し, ケーキングが防止されて, 微粉ケイ酸が得られる。( 4 ) ジブチルアミン吸着の測定によれば,CaO/SiO2モル比を増加すると, 微粉ケイ酸のゴム補強性を減少するが, これは石灰の中和作用による表面遊離シラノール基の減少に由来するものと説明される。
  • 前野 昌弘, 吉原 拓二
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1372-1374
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    既報において,活性ケイ酸ヒドロゲルの石灰処理は,ケイ酸の粒子表面を疎水性化し,これがため乾燥時のケーキングを防止して微粉ケイ酸の得られること,また,一方ではケイ酸のシラノール基が減少するために,ゴムに対する加硫性は上昇するが補強性は低下することを明らかにした。本報では,これらの知見を利用してゴム補強性のすぐれた超微粉ケイ酸の製造法を提案し,その機構について検討した。その結果,第一段として既報と同様に活性ケイ酸ヒドロゾルの石灰処理を行ない,さらに第二段として酸処理をする二段処理法を行なうことにより,ゴム充てん剤特性,たとえば補強性が改善されることを知った。電子顕微鏡観測および比表面積,水に対する接触角,ジブチルアミン吸着,表面酸性度などの測定から第一段処理で疎水性化されたケイ酸微粒子は第二段の酸処理により,ケーキングをおこさない程度に適度にシラノール基が再生され,その結果,補強性が改善されるものであることが明らかになった。
  • 竹井 国雄, 富永 陸男, 黒田 正弘
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1374-1377
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シラスのゴロイド粒子と, 水分子との相互作用を明らかにするため, 宮崎県北諸県郡四家地区のシラスを採取し, シラスの水中コロイドをつくり,その化学分析,電気的性質,pHを測定した。その結果コロイド粒子はシラス中に1%以下の重量百分率で含有され, 化学分析の結果を原シラスの成分と比較すると, SiO2とNa2O+K2Oが減少し, 強熱減量とAl2O3が著しく増加していることが目立つ。けん濁液中のシラス粒子は負電荷を有し,電気泳動速度,0.00049cm/sec,ζ-電位,-0.0024Vをもつ。けん濁部分のpHは7.0であるが上澄液のpHば6.80~6.90で,これに使用した蒸留水のpHは5.80であるので, 水中にシラスを投下することにより, シラスは水のpHを塩基性側に移動させることがわかった。
  • 横山 正明, 長 英夫, 河野 健二
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1378-1382
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    耐熱,耐炎性有機リンポリマーをえる目的で,塩化ホスホニトリル(PNCl2)nと2価フェノール類との加熱溶融による重縮合反応を研究した。用いた塩化ホスホニドリルは,トリマー(PNCl2)3と,低ポリマー(PNCl2)511の2種,2価フェノールは,ヒドロキノン,レゾルシノール,カテコール,ビスフェノールAの4種である。この重縮合反応は発熱反応で,反応開始と同時に盛虚んに脱塩化水素が起こり,反応温度も急激に上昇し,200℃前後に達する。主反応は比較的短時間に終了する。高温においては粘稠な液状である粗生成物は,冷却後ベンゼン,水で十分に洗浄,精製して真空乾燥した。光沢のある赤カッ色,ないし黒カッ色の樹脂で,すぐれた耐炎性を有する。炭化水素,塩素化炭化水素溶剤には不溶でジメチルホルムアミドによく溶け,あるものはアルコール類にも可溶である。生成したポリマーの性質に影響をあたえる因子は,塩化ホスホニトリルと2価フェノールのモル比と,2価フェノールの構造によるものであることがわかった。塩化ホスホニトリルと2価フェノールの比1:3の反応の場合に,極限粘度の大きい,融点の高いポリマーがえられた。またヒドロキノン,レゾルシノールからは高ポリマーがえられたが,カテコールからはえられなかった。塩化ホスホニトリルは,トリマーよりも,低ポリマーの試料を用いた方が高ポリマーの重縮合物がえられた。これらのえられたポリマーは,赤外吸収スペクトル測定の結果,主鎖中にP-N結合の存在することを確認した。
  • 水田 政輝, 加藤 哲也, 石井 義郎
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1382-1385
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α,β-不飽和カルボニル化合物が,オレフィン化合物と1,4-付加して,ジヒドロピラン化合物を作る反応の機構を明白にするため,シンナムアルデヒドと種々のオレフィン化合物を反応させ,オレフィン化合物の置換基が,反応速度に及ぼす影響をしちべた。その結果,種々のオレフィン化合物の二重結合の電子密度が,反応性に大きく影響し,電子密度の大きいほど反応が容易であることを認めた。そして前報で推定した反応機構を立証した。
  • 石川 敏夫, 手塚 高, 早川 孝, 神田 晃, 金子 勝三, 藤原 英治
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1386-1390
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒ素系触媒上のイソブチレンの気相接触空気酸化によるメタアクロレインの合成反応を,反応温度410~510℃,接触時間1秒,イソブチレン濃度10%以上の原料で検討した。先ず数種の含ヒ素2成分系触媒を検討した結果,鉄-ヒ素系触媒が最も有効であるが,ヒ素成分の離脱によって活性が劣化することを認めた。そこでこれを抑制し,触媒活性を安定する第三成分として水酸化リチウムの添加を試み良好な成績が得られた。
    上記反応条件下で,リチウムの添加はヒ素に対し原子比で約1以上が望ましい。適正反応温度は約470℃ であるが,リチウム添加量の増減によって上下する。
    メタアクロレイン生成率および選択率と触媒中As5+濃度との間に顕著な相関関係が見られた。酸素変化率を100%以下に保ち,触媒組成と活性を安定に維持できる範囲内でできるだけ高いイソブチレン濃度の原料ガスを使用することによって,高いメタアクロレイン生成濃度が得られ,この場合As成分はほとんどAs5+の状態であった。
    原子比1:2:2.5で調製した鉄-リチウム-ヒ素触媒を用い,反応温度約470℃,イソブチレン対空気の混合比1:約7~8,接触時間1秒で酸素変化率90~100%,メタアクロレイン生成率26~28%(生成濃度約3.0~3.4%),選択率約56%の成績が得られ,触媒組成は上記原子比が1:2:2となって定常な活性を示していることが認められた。
  • 石川 敏夫, 早川 孝
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1391-1395
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    鉄-ヒ素系触媒上のプロピレンおよびイソブチレンのα-カルボニル化によるアクロレインおよびメタアクロレインの生成機構を明らかにするため,Fe-As5+系試薬を酸化剤として用いて,これらオレフィンの直接酸化,また逆にFe-As3+系におけるAs5+の生成を410~500℃ で検討した。その結果, 本接触的α - カルボニル化は
    2As5++CH2=CR-CH3→2As3++CH2=CR-CHO(I)
    2As3++O2→2As5+(II)
    (R:水素またはメチル基)
    の二つの反応のくりかえしによって遂行されるものと結論した。
    (I)の反応は共存するFe成分によって著しく促進され,その際常に二酸化炭素生成反応(III)のみを伴うことがわかった。これら諸反応(I)および(III)の中, アルデヒド生成反応(I)はAs5 + 高濃度の状態で有効に進行し, その選択率はプロピレンの酸化で約90%(410~470℃),イソブチレンの場合で約70%(470~500℃)であった。
    (II)の反応においても共存するFe成分の促進作用が認められた。
  • 重康 素夫
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1396-1401
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    臭素化合物および可変原子価をもつ金属塩を触媒とし,かつ低級脂肪酸を溶媒とするp-キシレンの液相空気酸化を検討した。まず中間生成物ならびに副反応生成物の分離および確認を行ない,ついで反応過程の追跡を行なった。
    この結果,中間生成物としては,p-トルアルデヒド,p-トルイル酸,テレフタルアルデヒド,p-アルデヒド安息香酸および微量のヒドロペルオキシドが,副生成物としては,ホルムアルデヒド,p-クレゾールのほかポリマー状物質などが検出された。また排ガス中には炭酸ガス,一酸化炭素,低級炭化水素および水素が少量含まれ,用いた有機臭素化合物は,ほとんどがイオン性臭素に1次反応的に分解することを見出した。次に反応生成物の分布状態から,本反応はp-キシレン→p-トルアルデヒド→p-トルイル酸→p-アルデヒド安息香酸→ テレフタル酸と進む逐次反応であることを確認した。
  • 服部 健一, 大田 明, 前田 洋
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1401-1408
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸触媒(硫酸)存在下におけるβ-ナフタリンスルホン酸の2核体生成反応について,ホルムアルデヒドの消費量を測定して本反応の全速度式を求めた。またあわせて両者の活性化エネルギーを測定した。その結果,全速度式は次式に従うことがわかった。
    無触媒の場合v0=k0[β-ナフタリンスルポン酸][ホルムアルデヒド][H+]1~2
    酸触媒の場合v1=k1[β-ナフタリンスルポン酸][ホルムアルデヒド][H2SO4]0~1
    すなわち本反応は[H+]の大小によって反応次数が変化することがわかった。また活性化エネルギーは酸触媒存在下では29.2kcal/mol,無触媒下では25.5kcal/molで前者の方が大きかった。なお律速段階は,未解離のβ-ナフタリンスルホン酸へのメチロールカチオンの攻撃反応にあることを推論し,[H+]の反応次数の変化を説明した。
  • 伊沢 康司, 伊藤 昌宏, 木村 和三郎
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1408-1410
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    オレイン酸を出発原料として, N , N - フェニル- , - トリル- , - キシリルステアロイルメチルタウリンをそれぞれ合成し,その界面活性を測定した結果, 表面張力, 界面張力はイゲポンT とほとんど等価であるが, 起ホウ性, ホウ末安定性, およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに対する起ホウ増強性が,とくにすぐれていることを認めた。また,トリルステアリン酸,およびキシリルステアリン酸の構造を紫外,赤外吸収スペクトルにより検討した結果,前者はm-体とp-体(m-体>p-体)の混合物であリ,後者は1,2,4-置換ベンゼンであると推論した。
  • 山瀬 威郎, 阿部 康夫, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1411-1414
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    チオ硫酸基を有する各種染料を合成しナイロン,絹を染色したところ,きわめて堅ロウな結果がえられたので・アミノ基は有するがシスチン結合はもたない繊維において,チオ硫酸基を有する染料がいかなる反応を行なうかを確かめた。
    本染料の合成は,モノクロル酢酸と塩化チオニルから合成したクロルアセチルクロリドと,アミノ基を有する水溶性アゾ染料,分散型アゾ染料およびアントラキノン染料とを縮合させてクロルアセトアミド基を有する染料を得,さらにこの染料とチオ硫酸ナトリウムを反応させることによった。本染料を用いて6-ナイロン(アミラン),絹を中性および酸性染色し, アルカリ処理によって固着させた。なお繊維との未結合の染料はソーピング, ピリジン抽出, アセトン抽出によって除去した。
    アミノ基とチオ硫酸基との反応による共有結合生成の証拠,および形式は既報と同様にして確かめたほか,ナイロンのモデル物質,ε-アミノ-n-カブロン酸とチオ硫酸染料との反応生成物によっても確定した。反応固着は6-ナイロン,絹ともに良好であったが,6-ナイロンの方がすぐれていた。この判定は肉眼によるもののほか,Kubelka-Munk式のK/S値より固着率を計算で求めた。色調は黄,だいだい,赤,紫,青色系統であり,堅ロウ度は洗タク,摩擦,日光ともすぐれていた。
  • 黒沢 博
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1414-1418
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    脂肪酸とオレイン酸鉄をふくむ流動パラフィン溶液と,おのおの脂肪酸,オレイン酸鉄をふくむ流動パラフィン溶液の3種類の溶液の潤滑性について検討した。その潤滑性は振子型摩擦測定機をもちいて,室温および100℃,125℃,150℃で10分ごとに60分までの動摩擦係数を測定することによりしらべた。脂肪酸は,カプロン酸,ラウリン酸,ステアリン酸,オレイン酸をもちいた。脂肪酸とオレイン酸鉄をふくむ流動パラフィン溶液の潤滑性は,脂肪酸の種類,濃度,温度によってことなる。一般に動摩擦係数は,室温から測定温度に上昇直後低下し,その後増大する傾向を示した。また,脂肪酸をふくむ流動パラフィン溶液と,オレイン酸鉄をふくむ流動パラフィン溶液の値との中間に示されることから,脂肪酸とセッケンの混合吸着によるものと考えた。すべての試料の動摩擦係数は,150℃,60分で0.14~0.15に近づくことがみとめられた。
  • 吉思 光一, 黒瀬 聖紀, 寺本 四郎
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1418-1423
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報において・7種の磯スズ系化合物を用いてそれぞれの単剤ならびにそれらを組合せた合剤について徽酵母,および細菌に対する抗菌力を試験し,その聞における相乗・相殺効果を検討した。
    本報ではフェノール化合物中・フェノールの塩化物,臭化物,ニトロ化物等を取上げ,前報同様の方法で,17種の単剤と・その合剤について抗菌力試験を行なうと共に・一部は有機スズ系化合物との合剤における抗菌力試験を行なって,その相乗・相殺効果を迫及した。実験の結果は17種のフェノール系化合物の単剤中ペンタクロルフェノールが最も顕著な効果を示した。 しかし,フェノール系化合物間の合剤においては,遂に相乗効果は認められなかった。一方,フェノール系化合物と・塩化トリブチルスズとの合剤では・一般に相乗効果が観察された。またフェノール系化合物と有機スズ系化合物との配合比率による効果の影響は,微生物の種類によって変化することが認められた。
  • 野田 一郎, 香川 毓美
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1423-1428
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高分子強塩基のポリピニルベンジルトリメチルアンモニウム塩の各種塩類溶液中における性状,特に対イオンが高分子イオンの拡がりにおよぼす影響を研究するために, 重合度一定として対イオンの異なる6 種の試料( Cl-,Br-,NO3-,
    =
    ,I-およびSO42-型)の光散乱および粘度の測定を行なった。第2ビリヤル係数(A2),拡がり,または粘度は従来知られているように,塩の添加と共に減少するが,同一イオン強度でも対イオンによりそれらの大きさが著しく異なることがわかった。A2および[η]の結果をそれぞれOrofino-FloryおよびFlory理論により解析した結果,有効解離度はイオンの種類により著しく異なる値を得た。またその大きさは無塩系での浸透圧係数の値と同程度で,SO42-型を除けば,無塩系と同様にCl->N O 3 - , B r -> T . S -> I - の順に小さくなることが判明した。これらの結果は塩類溶液中でも無塩系の場合と同様に,クーロン力以外の相互作用の存在を示唆している。
  • 和才 剛, 三枝 武夫, 古川 淳二, 今井 宏輔
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1428-1432
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    3,3-ビス(クロルメチル)オキサシクロブタンの各種触媒系による重合(例えば,トリエチルアルミニウム-水系触媒)に関しては,すでに報告した。重合体は高い結晶性をしめし,試料を融解し,徐冷した場合と急冷した場合とでは得られる試料の結晶形が異なる。前者をα 型,後者をβ 型とする。
    β 型を130℃ で2時間熱処理するとα 型へ転移する。両者の試料は,ほとんど同じ赤外吸収スペクトルを与える。このことは,分子構造の同一性を意味するであろう。
    X線解析の結果,主鎖軸にそう反復距離は,両者ともc=4.82Å であり,平面ジグザグ構造を有していることが明らかになった。
    α 型の結晶構造は,斜方晶系で空間群はPnnmが対応でき,格子定数はそれぞれa=8.16Å,b=17.85Å およびc=4.82Åであり,単位格子中には4個のモノマー単位を含んでいる。一方,β 型の結晶系は単斜晶系で空間群はBmが対応でき, 格子定数はそれぞれa=11.42Å,b=7.06Å,c=4.82Å およびγ=114 °30′であり, 単位格子中には2 個のモノマー単位を含んでいる。格子定数から計算された密度はα型およびβ型で,それぞれρcal=1.469g/cm3およびρcal=1.455g/cm3であり,実測値とかなりよい一致をみた。
  • 金高 節子, 高木 徳二, 慶伊 富長
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1433-1435
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Natta反応の機作を解明してゆく手始めとして,その固体触媒である三塩化チタンに対するプロピレンの挙動をしらべる実験を行なった。その結果,プロピレンは三塩化チタンに対して単に吸着しているだけでなく,10量体程度の低分子重合を起こすことを見い出した。なお,低分子重合活性はアルミニウム還元による三塩化チタンが特に大であった。初期反応速度は,小泉が酸化ニッケルケイソウ土上でのプロピレンの重合について提出した初期式にあてはまり,活性化エネルギーは0℃~40℃で約1kcal/mol,40℃~80℃で5~6kcal/molであった。
  • 金高 節子, 高木 徳二, 慶伊 富長
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1436-1438
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で4 種の三塩化チタンのうち, アルミニウム還元によって製造された三塩化チタンを, 活性化したと称するもの(以下ARAと略称する)のみがプロピレン低分子重合活性を持つことを報告した。ARA中に少量含有されている塩化アルミニウム(塩化アルミニウムとして25mol%)の役割を明らかにするために,塩化アルミニウムに対するプロピレンの挙動,および塩化アルミニウムを含まない三塩化チタン,すなわち水素還元によって製造された三塩化チタンを活性化したと称するもの(以下HRAと略称する)への塩化アルミニウム添加効果をしらべた。その結果より,ARAの低分子重合活性は塩化アルミニウムの助触媒効果によるものであることを結論した。さらに,HRA,塩化アルミニウム,およびHRAと塩化アルミニウムの磨砕混合物について,電子スピン共鳴吸収を観測し,磨砕混合物はARAと同じ吸収シグナルを与えることを見出した。これにより上記助触媒効果は,塩化アルミニウムによるHRAのARA化であろうと推論した。
  • 鶴田 禎二, 井上 祥平, 吉田 憲正
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1439-1441
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジエチル亜鉛-d-ボルネオール系によるプロピレンオキシドの重合において,生成したポリマーは光学活性をもち,クロロホルム中で右旋性,ベンゼン中で左旋性を示す。一方,未反応モノマーは左旋性となる。生成した結晶性ポリマーと朱反応モノマーの旋光度に関して物質収支をとり,光学活性ポリマーの生成がL-モノマーの優先的な重合によることをたしかめた。また,重合開始および連鎖移動の機構について,この触媒系のアルコール成分に1℃ 一メタールおよびメタノールー3Hを用い検討した。
  • 沢田 秀雄, 安江 淡
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1442-1444
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重縮合体の重合度(極限粘度)と重縮合関係を検討し,得られた共重縮合体の極限粘度は,重縮合温度が低くなるほど大きくなること,および融点以下の高温で固体の状態でも高粘度ポリマーが得られることを確認した。これらの実験結果から,重縮合における重合度の温度依存性について二,三の熱力学的考察を行なった。
  • 沢田 秀雄, 安江 淡
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1444-1448
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エーテル結合, または酸アミド結合を含む芳香族二塩基酸のアルカリ水溶液に, テレラタル酸クロリド, またはイソフタル酸クロリドのクロロホルム溶液を作用させる界面重縮合法により,主鎖中に,酸無水物結合を含む交互共重縮合酸無水物ポリマーが得られることを見出した。得られた酸無水物ポリマーは,高い融点をもち,赤外吸収スペクトルは,酸無水物結合の存在を示し,X線回折による測定によれば,結晶性部分の存在を示すものもあった。
  • 沢田 秀雄, 安江 淡
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1449-1453
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    分子内にエーテル結合をもつ芳香族二塩基酸と, 種々の芳香族二塩基酸クロリドとの界面重縮合により, 交互共重縮合酸無水物ポリマーを合成し, 酸クロリド成分の生成ポリマーの融点, および溶解性におよぼす影響について検討した。また,芳香族二塩基酸と,その酸クロリドより単独酸無水物ポリマーを合成し,そのポリマーが溶融重縮合によるポリマーと一致した融点および溶解性をもつことを確かめた。さらに,テレフタル酸クロリドと,2種類の芳香族二塩基酸とを共重縮合させて,融点と組成の間に次のようなFloryの関係式が成立することを確認した。
    (1/Tm)-(1/Tm0)=-(R/hu)lnX
    これよりヒドロキノン-O,O'-ジ酢酸と,テレフタル酸よりの酸無水物単位1mol当りの溶融熱として,hu=3,380cal/repeat unit,溶融エントロピ-Su=5.75cal/repeat unit/degなる値を得た。また1,3-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)-プロパンと,テレフタル酸よりの酸無水物単位1mol当りの溶融熱として,hu=2,280cal/repeat unit,溶融エントロピーSu=4.1cal/repeatunit/degなる値を得た。
  • 満谷 昭夫, 浜本 義人
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1453-1457
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化チタン(VI)のn-ヘキサン溶液に, 窒素共存下にγ 線を前照射し, トリエチルアルミニウムを混合して触媒とし, イソプレンを重合させた場合,未照射塩化チタン(IV)の場合には,樹脂状の重合体を与える0.57<Al/Ti<1.0の領域でも,ゴム状重合体を与えうることを見出した。塩化チタン(IV)のn-ヘキサン溶液に照射した時,照射線量に比例して生成Ti3+が増加し,また,褐色の沈殿の生成量が増加する。ところが,沈殿生成のG値は,Ti3+の生成のそれの約1000倍であり,沈殿の組成も,TiCl3 .84で,塩化チタン(III)よりもむしろ塩化チタン(IV)に近く,照射により立体特異性の転移点が,Al/Tiの低い側に移動することが,単に照射によって塩化チタン(IV)が塩化チタン(III)に還元されるということのみに原因しているのではないことが明らかになった。
  • 満谷 昭夫, 浜本 義人
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1458-1460
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化チタン(IV)を少量加えたイソプレンのヘキサン溶液に, -196℃,-78℃,30℃ で60Coのγ 線を照射した。塩化チタン(IV)を少量加えたことによって,イソプレンの放射線重合速度は著しく増加し,トランス1,4-構造を70~98%含む樹脂状重合体が得られた。重合体のミクロ構造および重合速度の線量率依存性から,この重合がカチオン重合的に進むことが推定された。また,重合速度は加えた塩化チタン(IV)の量に比例し,生成重合体中には加えた塩化チタン(IV)のC1の10~20%が入っており, 照射によりイソプレンによる塩化チタン( I V ) の還元がおこり, 触媒種が形成されるものと推定される。これらのことから,放射線と塩化チタン(IV)の協同触媒作用によって,イオン重合がおこっているものと推定した。
  • 田畑 米穂, 鈴木 聰彦, 祖父江 寛, 大島 恵一
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1460-1464
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    5,000atmまでの圧力下で,常温より70℃までの温度範囲に対して,圧力効果を調べた。その結果,重合速度に対する低温部での抑制効果,融点近く,および反応後期での促進効果が明らかとなり,活性化エンタルピーと,活性化エントロピーの圧力依存性によって説明されることを示した。
  • 岩月 章治, 井口 昌次, 山下 雄也
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1464-1467
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-ジオキセン(PD)は・単独ラジカル重合はしないが,無水マレイン酸,アクリル酸エチル(EA),アクリル酸メチル(MA)・メタクリル酸メチル(MMA)およびアクリロニトリル(AN)など,正電荷に富む二重結合を有するビニル化合物とは・ラジカル共重合する。PD(M2)とEA・MA・MMA,およびAN(M,)の共重合性反応比は次のように求まった。EA-PD:r1=37.9±1.4,Pt2=0.002±0.001;MA-PD:rl=232,r2=0.001±0.05;MMA-PD:r1=15 .3±O.6,r2=0.02±0.02;AN-PD:ri=5.9±0.1,r2=0.001±0.002。PDのQ2e2値を以上の各Mlモノマーの既知のQ1,e1と共重合反応性比から計算すると,Q2=0.007,e2=-1,4が大体妥当な値と考えられる。
  • 岩月 章治, 田中 慶彦, 山下 雄也
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1467-1470
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-ジオキセン(PD)と,無水マレイン酸(MAnh)のラジカル共重合の基礎的な実験結果について報告する。PDとMAnhの共重合は,ビニルエーテルとMAnhの共重合に類似している。PDおよびMAnhは単独ではラジカル重合しにくいが,自然共重合およびラジカル性開始剤による共重合は容易に起こる。モノマー組成MAnh50mol%のとき,共重合速度および生成する共重合体の溶液粘度は最大である。また種々の重合温度での共重合速度から, 計算される見掛けの活性化エネルギーは,22kcal/molである。共重合体組成は仕込のモノマー組成に無関係に,MAnh含有量は50mol%で交互共重合している。以上の結果およびモノマー間の分子錯合体の存在から,このラジカル交互共重合が少なくとも分子錯合体の重合に近い状態で行なわれていることを考察した。
  • 岩月 章治, 山下 雄也
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1470-1473
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-ジオキセン(PD)と無水マレイン酸(MAnh)を混合するとき,黄色の着色が観察された。この着色をスチレン~MAnhの場合に行なわれたと同様の方法,すなわちcontinuous variation法および(10)式による測定で分光学的に解析した結果,組成1:1の分子錯合体の形成によるものであることが確認できた。またPDと類似のビニルエーテル類と,MAnh系についても同様な解析を行なったところ,可視部に吸収はないが,近紫外部の吸収より組成1:1の分子錯合体が形成することがわかった。錯合体の分子吸光係数と, 会合平衡定数との積ε 3 K 1 は求めることができる。ε 3 K 1の値は,ビニルエーテルが高級のものほど大きいこと。またPDの方がビニルエーテルに比べて,20倍以上大きいこと,溶媒によって変わることなどがわかる。この分子錯合体はスチレン~MAnh系等の類推から一時接触電荷移動型錯合体とみられる。
  • 城内 宏, 西尾 稔
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1473-1476
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウム-亜硫酸水素ナトリウム系開始剤で開始されたアクリロニトリルの水系重合で,重合方式を変えてつくった重合体の酸性末端基含有量は, バッチ重合の場合最も大きく, ついでセミバッチ重合, 槽式連続重合( 単1 槽)の順になり,次式で与えられる(単位:[η]100ml/g,CA:eq/g重合体)。バッチ重合[η]≦1.3 CA=4.6×10-5[η]-0.95 連続重合(単1槽) [η]≧1.1 CA=3.3×10-5[η]-1.25[η]≦1.3 CA=5.2×1.0-5[η]-1.25セミバッチ重合 [η]≦1.1 CA=3.5×10-5[η]-0.95 [η ]≦1.1 CA=3.6×10-5[η]-1.25このような重合方式による酸性末端基含有量の差は,重合体の分子量分布の差に対応し,極限粘度と数平均分子量の間の関係式[η]=K*(Mn)≦のK*値が分布の不均一性が増すにつれて増大しているとすれば説明できる。槽式連続重合の場合でも,2個の重合槽を直列に連結して,第2槽で低重合度部分を多くしてやることにより,同じ極限粘度でも,酸性末端基含有量の多い重合体をつくることができる。アクリル繊維の塩基性染料による染色性は,酸性基含有量によって決まり, スルホン酸基と硫酸エステル基の割合にはよらない。
  • 城内 宏, 西尾 稔
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1476-1478
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウム-トリエタノールアミン系開始剤で開始されたアクリロとトリルの水系重合重合体は,末端基に硫酸エステル基と,トリエタノールアミン残基を含み,末端基全量に対する後者の割合は,トリエタノールアミンのモル分率が増すにつれて増大する。この開始剤系による重合体の末端基含有量は,同じ極限粘度で比較すると,過硫酸アンモニウム-亜硫酸水素ナトリウム系開始剤による重合体の場合よりもはるかに多い。この差は前者の重合体の分子量分布が,トリエタノールアミンの連鎖移動反応に起因して,後者の重合体の分布に比べて,はるかに幅が広いことに対応しており,この事実は極限粘度と数平均分子量の間の関係式[η]=K*(Mn)nのK*が重合体の分布の不均一度が増すにつれて増大するとすれば説明できる。過硫酸アンモニウム- 亜硫酸水素ナトリウム系に連鎖移動剤として, トリエチルアミンを添加した場合にも,末端基含有量の増大が認められる。
  • 城内 宏, 柚口 貞夫, 渡辺 正元
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1479-1484
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/25
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウムを開始剤とするアクリロニトリルの水系重合で,重合条件を変えて重合速度と重合度を測定し,それらを統一的に解釈できる重合機構を検討した。重合時間-重合率曲線は2次反応として解析すると,重合率25%以上では高重合率(80%以上)まで直線になる。2次反応として解析して得た速度係数k2は,単量体初濃度によらずほぼ一定で,開始剤初濃度の平方根に比例する。数平均重合度は,単量体初濃度に関して1.6~2次になる。重合の活性化エネルギーは13.3kcal/molである。得られた結果は,重合率約25%以上では,反応の場は主として単量体を吸着した重合体粒子であり,反応の場での単量体濃度mと見かけの単量体濃度Mとの間に吸着平衡m=(β/Vp1/2)M2(Vpは反応の場の有効体積,β は重合温度と重合体粒子の物理的状態によって変化する係数)が成り立つことを仮定することにより,矛盾なく説明できる。アクリロニトリルの重合体への吸着についての実験結果は,この仮定が成り立つ可能性が十分にあることを示唆している。
  • 北脇 六郎, 白井 孝三, 杉野 喜一郎
    1964 年 67 巻 9 号 p. 1485-1487
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルキレンジシアナミドを合成するために,アルキレンジアミンと,ハロゲンシアンの反応を行なった。反応方法は,ハロゲンシアンのエーテル,イソプロパノールの混合溶媒に,アルキレンジアミンのイソプロパノール溶液を滴下して反応させた後,副生したアルキレンジアミンのハロゲン酸塩をロ別し,溶液を減圧濃縮し,これを水で処理してアルキレンジシアナミドの結晶を得た。この方法でヘキサ-,ヘプタ-,ナクタ-,ノナ-,デカメチレンジシアナミドを合成した。真のアルキレンジシアナミドは著者らが初めて合成したもので,収率はいずれも80%以上であった。これらのアルキレンジシアナミドは,比較的低融点の無色の結晶でアルコール類,アセトンに易溶,水,エーテル,ベンゼンに難溶である。特に興味ある性質は,これらが容易に重合して無色透明の不溶不融の光沢のある樹脂となることで,また,これらは水,酸,有機溶媒に対し高い抵抗力を示し,強力な接着力をも有している。
  • 1964 年 67 巻 9 号 p. A79-A88
    発行日: 1964/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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