工業化学雑誌
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69 巻, 12 号
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  • 杉山 幸男, 架谷 昌信, 近藤 高好
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2233-2236
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    固体の熱分解反応における反応機作を詳細に検討するために, セッコウの2 段階脱水反応を例にとり, 化学セッコウ粉末に熱伝導度の異なる中性物質を混入し,加圧成型した単一球試料について,伝熱的立場から総括比熱の概念を導人して求めた数値解と,輻射炉での加熱実験の結果とを比較検討した。その結果,セッコウの希釈割合が大きい場合は広い加熱範囲で理論値と実験値とがよい一致をみ,また希釈割合の小さい場合には,熱拡散率の大きいものほど,低い加熱温度範囲で一致する傾向がみられた。
  • 谷 忠昭, 菊池 真一
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2237-2240
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化銀写真乳剤に対する分光増感作用を, 励起色素からハロゲン化銀粒子への電子移行として説明する場合, 増感色素の励起準位は, 臭化銀の伝導帯の底(-3.5eV ) 近くか, 上になければならないと考えられているが, 色素の励起準位に関する十分な知見はまだ得られていない。本研究では, 芳香族炭化水素を例にとり, 気相, 固相および吸着状態でのイオン化エネルギーを,定量的に説明できる関係式を導き, これを用いて, 臭化銀粒子に吸着したシアニン色素のイオン化エネルギーと励起準位を計算した。その結果, 乳剤中で臭化銀粒子に吸着したシアニン色素のイオン化エネルギーは, 4.7~6.0eVで, 色素結晶の外部光電効果の結果と良好な一致を示した。また, 励起準位は-2.9~-3.7eVで, 臭化銀粒子に吸着した励起色素から臭化銀への電子移行は, エネルギー的に可能であることがわかった。上記の結論は, 吸着色素が孤立状態でも, 会合状態でも, 同様に成立することが示された。また, カチオン, アニオンおよび中性などの, 荷電の異なる増感色素についても上記の結論が適用できることが示唆された。
  • 杉浦 正昭
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2240-2244
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    負に荷電された臭化銀ゾルが金属イオン(Al3+,Ce3+,Pb2+,Zn2+)によって凝析する場合のポリビニルアルコール(PVA)の効果について,低い濃度のPVAが共存するゾルの電気泳動および濁度と,その金属イオンを含むPVA溶液の電気泳動および粘度を測定し研究を行なった。ゾルの負の値のζ 電位は金属イオン濃度の増加にともない低下し,そしてPVA分子のζ電位に相当する一定の値に到達する。ゾルの濁度は金属イオン濃度の増加にともない上昇し,ζ 電位が一定の値に達する点で最大値になるが以後低下する。濁度の変化は2価のイオンよりも3価のイオンを添加した場合の方が大ぎい。
  • 功刀 泰碩, 酒井 朝也, 大瀬 秀隆, 浜田 優
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2244-2249
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    製鋼用LD転炉で生成する多量の一酸化炭素の有効利用の一つとしてKölbelが創始したスラリー式フイッシャー合成による直鎖高級オレフィンおよび高融点ワックスの製造がわが国で計画されたが,著者らはそれと平行して基礎的研究を行ない,本報ではまずKölbelの100Fe:0.3Cu:0.6K2CO3(重量比)なる組成を有する沈殿鉄触媒を所定の方法に従って調製,活性化し,固定床で炭化水素合成研究を行なって次の諸点を明らかにした。
    触媒は調製後空気,一酸化炭素および水素の各処理をこの順に行なって活性化するが,まず空気(320℃)でFe2O3・H2Oが完全にFe2O3となり,一酸化炭素で還元炭化し,続く水素処理で炭化した触媒の一部がメタンを生成して金属状態に戻る。水素処理時のメタン生成速度は鉄100部に対し銅0.3部というKölbelの与えた銅含量で最大値を示し,この処理で生成したメタンの量が多い触媒ほど炭化水素合成反応の活性が大であることを発見した。このことから触媒が金属状態で合成活性を有し,炭化すると活性を失うものと考えられる。
  • 斯波 忠夫, 高橋 諄吉, 高島 喜七郎, 佐藤 正雄
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2249-2255
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々の形態のアルミナの触媒活性ならびに酸性度を検討するためη-, γ-, Χ-, θ-, δ-, κ-Al2O3 をα-Al(OH)3 , β-Al(OH)3,α-AlOOHおよびアルミノゲルから焼成温度を変えてつくった。活性はイソプロピルアルコールの脱水および1-ブテンニ重結合 移行反応ともη-およびΧ-Al2O3 が最も大きく, γ-Al2O3 はそれより小さく, 他のものはさらに小さい。脱水反応の活性はη-とθ-, Χ-とκ, γ-とδ-では比表面積当りでは同一であるが最後の系では前二者に劣っていた。1-ブテンの二重結合移行反応においては,形態によって活性が相違するほか,活性の経時変化ならびに反応生成物のシス-トランスの比が異なっていた。η-と Χ-Al2O3は活性の経時変化が小さく常にトランス体を多く生成するが, γ-Al2O3 は活性の経時変化が大きく, 最初トランス体を多く生成するが時間とともにシス体を多く生ずるようになる。この現象はη-からθ, Χ-からκ-, γ-からδ-Al2O3とその焼成温度を高くする場合あらわれた。そして活性と酸量との直接の関係は認められなかった。
  • 斯波 忠夫, 吉田 和昭, 佐藤 正雄
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2255-2259
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    斯波忠夫・吉田和昭・佐藤正雄前報に引続いてアルミナの形態と酸性度および触媒活性の関係を検討するため種々の形態のアルミナを用い,封鎖循環系470℃でイソブタンのクラッキング反応を行なった。この反応の主反応はメタン,プロピレンへの分解反応と,イソブテン,水素への脱水素反応であり,イソブタン消失速度は触媒により1次のものと,そうでないものがあった。プロピレンあるいは水素分圧とイソブタン初圧との比とイソブタン転化率はΧ-Al2O3 のプロピレン分圧の場合を除き, 全部の触媒において直線関係にあり, したがってこれらの触媒においては選択率の経時変化は認められなかった。イソブタンクラッキング触媒としてはイソプロピルアルコールの脱水, 1-ブタン移行反応と同様, バイアライトやハイドラルジライトなどの3水和物を550℃ 焼成してえたη-およびΧ-Al2O3が活性が大きく,γ-Al2O3がこれにつぎ,原料水和物を高温焼成してえられるθ-,κ-およびδ-Al2O3は活性が小さかった。また前3者もナトリウム被毒すると活性が低下した。プロピレン・メタンへの分解反応とイソブテン・水素への脱水素反応の選択率は,η-,Χ-およびγ-Al2O3ではシリカ-アルミナとほとんど同じであったが,θ-,κ-およびδ-Al2O3ならびに前3者をナトリウム被毒したものは脱水素反応が優先するようになった。またΧ-Al2O3 を700℃ で真空脱気した触媒の活性は著しく大きく, 選択率は脱水素に有利になった。以上のことから,アルミナ触媒には強度が異なるか種類を異にするか,少なくとも2種類以上の活性中心が存在すると結論した。
  • 久高 克也, 今野 熙
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2260-2262
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    六方晶系窒化ホウ素は黒鉛と同じく超高圧圧縮により,その耐酸性が低下することを見出した。しかし黒鉛の場合と違って,高圧圧縮処理の窒化ホウ素は高圧高温圧縮処理のものに比べより耐酸性が低下している。未処理の窒化ホウ素,高圧および高圧高温圧縮をした窒化ホウ素のX線回折図形より,それらのX線ラインプロフィルを検討した。すなわち高圧圧縮により窒化ホウ素結晶の3 次元的秩序は低下するが, 高圧高温圧縮によってはc 軸方向に圧縮残留応力をもつ高い秩序の層構造の結晶を生ずる。このような高圧における構造変化の黒鉛との違いは,窒化ホウ素と黒鉛の結晶構造の相違により説明される。
  • 富沢 俊昭, 橋本 栄久, 茂木 今朝吉
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2263-2268
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報と同様,塩基性炭酸マグネシウムを加熱分解し,得られた酸化マグネシウム(MgO)につき,測定技術の改良,データ処理方法の精密化を行ない,新たにカ焼雰囲気として炭酸ガスを加え,電子顕微鏡によりそれらの形状を観察し,また希塩酸への溶解速度を測定し,その性状を再検討した。
    その結果,格子歪は認められず,結晶子粒径の成長は高温ほど大で,雰囲気別では真空中<乾燥空気中<アンモニアを含む空気中≅炭酸ガス中<水蒸気中である。格子定数の測定から低温カ焼物に格子膨張が見られた。比表面積も雰囲気により異なり,大きさは真空中>乾燥空気中>アンモニアを含む空気中>水蒸気中となる。炭酸ガス中のものは低温では水蒸気中よりさらに小さいが,高温になると水蒸気中より大となる。電子顕微鏡によれば,炭酸ガス中カ焼物は500℃ですでに個々に独立した1次粒子群が認められるが,他雰囲気のものは氷砂糖のような形態の塊状からなっている。そのような塊状は高温になると成長して1次粒子群に移行するが,真空中カ焼物は900℃になっても塊状を保っている。
  • 足立 吟也, 加藤 石生, 塩川 二朗, 石野 俊夫
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2268-2272
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水酸化イットリウムの調製条件と結晶性との関係およびその窒素気流中における熱分解を重量分析,X線回折,赤外吸収スペクトルおよび示差熱分析を用いて検討した。結晶性の良好な水酸化イットリウムを調製するためには系中の水酸イオン濃度をできるだけ高くしなければならない。そのほか熟成時間,水酸イオンの投入速度の影響について調べた。
    良好な結晶性をもつ水酸化イットリウムの窒素気流中における熱分解は前報でのべた空気中の場合と特に顕著な差異は認められなかった。酸化イットリウム,水酸化イットリウムを熱分解して得たYOOHと,結晶性および非晶質の水酸化イットリウムの3200cm-1から3600cm-1の赤外吸収スペクトルを比較することにより非晶質のものは水和した酸化物か,水和したYOOHであるとの結論を得た。
  • 日比野 泰三, 三浦 英二, 高野 秀二
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2273-2276
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジルコニアとシリカからジルコンを合成するとき,異物質として酸化第二銅を添加すると,それによって反応は促進される。
    その機構を解明するため,酸化第二銅の添加方法,添加量,加熱温度,加熱時の雰囲気などの影響および反応速度の測定,また加熱後の試料中の酸化第二銅の変化などを検討し,次のように考察した。
    ジルコンの合成反応は,ジルコニア,シリカおよび酸化第二銅の各粉末の接触点ではじまり,それと同時に酸化第二銅の酸化第一銅への還元反応が認められる。また酸化雰囲気下で反応は促進されるが,減圧および不活性雰囲気下ではその促進の度合が前者より小で,還元雰囲気下では促進されない。以上のことから酸化第二銅の酸化第一銅へ変化するときの酸素が,この合成反応促進に寄与していると考えられる。
  • 久保 輝一郎, 加藤 誠軌, 小波 津巌
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2277-2280
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高温X線回折によって純ZrO2の異方性熱膨張と相転移を研究し,ZrO2とCaCO3との固相反応の機構を明らかにした。
    単斜(低温型)および正方(高温型)ZrO2の各温度における格子定数を求めた。たとえば単斜格子は常温でa0=5.142Å,b0=5 . 202Å , c0=5.312Å , β=99°O1' であるが, 1000℃ ではa0=5.180Å , b0=5.209Å , c0=5.375Å , β=98°43' となる。各軸の熱膨張の値は単斜型では(111),(200),(020)および(002)回折線の,正方型では(200)および(112)回折線の移動から求めた。
    ZrO2とCaCO3との反応系で,反応体の混合方式と反応性との関係を調べた。安定化ジルコニアは酸素欠陥のあるホタル石型の結晶構造をもち,常にCaZrO3の生成温度よりも低い温度で生成する。共沈反応体を加熱した際には,単斜ZrO2を生成することなく, 著しく低い温度( 550~650℃ ) で安定化ジルコニアが得られる。
  • 岡原 光男, 柳田 祥三, 小森 三郎
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2281-2285
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    濃塩酸中でアルキルアミン(ヘキシルアミン,オクチルアミン,ノニルアミン)を光照射下に,塩素と反応させて生成する塩素化アルキルアミンのアルカリとの反応生成物について検討を行なった。
    反応性に富む位置に塩素の置換したものは環化して環状アミンとなり,塩素化ヘキシル,オクチル,ノニル各アミンより生成する環状アミンの収率は, それぞれ50~53%, 22~24%, 19~21%であった。また比較的安定なものはx - クロルアルキルアミンとして減圧下で蒸留精取することができる。
    塩素化ヘキシルアミンより生成する環状第ニアミンの分離方法について亜硝酸分解法,サリチルアルデヒド法,分別蒸留による方法が検討され, 2-エチルピロリジン, 2-メチルピペリジンをそれぞれ単離確認した。
    この両者の生成割合をガスクロマトグラフィーにより調べた結果, 2-エチルピロリジンが25.8%, 2-メチルピペリジンが26.8%であって,ごくわずかにヘキサメチレンイミンの生成していることを認め,アルカリ処理生成物の組成より塩素の置換位置に対する考察を行なった。
  • 西村 幸雄, 毎熊 干城, 田中 武英
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2285-2289
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1-ヘキセンおよびシクロヘキセンとホルムアルデヒドとの酸触媒による反応を検討し,1-ヘキセンからは主生成物として4-n-ブチル-1, 3-ジオキサンを, 副生成物として2-n-プロピルテトラヒドロフランおよび3-n-プロピルテトラヒドロピラン-4-オールが主として得られ,シクロヘキセンからは主生成物として4,5-テトラメチレン-1,3-ジオキサンを,副生成物としてシス-3-オキサビシクロ-(4,3,0)-6-ノネンと3-オキサビシクロ-(3,3,1)-ノナン-9-オールが主として得られる。オレフィンの水和反応は両者とも起こりにくく,相当するアルコールは75℃ 以下では,ほとんど生成しない。これらのオレフィンのホルムアルデヒドに対する反応性は,同じ炭素数の分枝オレフィン-たとえば,2-メチル-1-ペンテンや,-2-ペンテンに比べて小さく,1-ヘキセンよりシクロヘキセンの方が反応性に富んでいることがわかった。
  • 富永 保, 大平 愛信, 堤 繁
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2290-2293
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    著者らはジエチルオキザラートの光分解反応によりエチルオキザリル化が容易に起こることをすでに明らかにした。本報においては光エチルオキザリル化を確立するために,シュウ酸ジエチルおよびフェニルエチルオキザリルエステルの光分解をシクロヘキサン,テトラヒドロフラン,ベンゼン,トルエン中で行ない,高収率でそれぞれのα-ケトエステル誘導体が合成されることを明らかにした。なお,本エチルオキザリル化の反応機構に関し,若干の考察を加えた。
  • 小方 芳郎, 坂西 勝正
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2294-2298
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    m-キシレン(m-X)のアンモ酸化をアンモニア大過剰の存在下でおこない,反応条件と機構についての知見を得ることを試みた。生成物としてイソフタロニトリル(IPN), m-トルニトリル(m-TN), ベンゾニトリル(BN)を得た。5% V2O5-Al2O3触媒へのK2SO4(9.6%) の添加はニトリル選択性を向上させる。m-X消費速度はυ=8.1×104px1.0po0.3exp (-21.7×103/RT) で表わされ,m-X反応率の計算値は実測値とよく一致する。反応の主径路はm-Xから同時反応によりm-TN,IPNの生成およびm- Xの完全酸化と,逐次反応によるm-TNからIPN,さらにBNの生成である。実験条件下で得られたIPNの最高収率は41mol% であり, また最高選択率は55mol% である。m-TN の最高収率は20% である。360℃ のとき(IPN+m-TN) 選択率は約90%である。反応温度が高いとき(450℃),IPNの分解によりBNが生成する。適当な反応条件はpo≅0.1,pA>0.3,px≅0.025atm,温度360~400℃ である。
  • 西田 清二, 加藤 信行, 小川 毅一, 宮下 功
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2299-2304
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    3種の石炭{C=76.2%(I),70.9%(II),67.9%(III)}を12.7%硝酸と80℃ で反応させ,フミン酸が生成する段階で硝酸によって崩壊される石炭分子中の化学構造を検討した。
    石炭化度の低下にともなって硝酸に対する反応性が増大したが, それらの差異は各炭の内部表面積によっては説明できない。
    II, IIIの酸化では-COOH 基のみが増加したが, Iでは-COOH基とフェノール性OH 基両者の増加が見られた。これらの結果は石炭の酸化過程ではフェノール性OH基の生成と崩壊とが並列に起こっていることを示唆している。
    再生フミン酸の分子量は試料炭の石炭化度が低くなるにつれて小さくなり,硝酸によって石炭分子が選択的に崩壊されていることが推測された。再生フミン酸と各試料炭の組成の比較からII, IIIがフミン酸に転化する際には石炭分子中のH/C=1に近い部分が崩壊するが,Iでは水素に富んだ部分が消失することが明らかになった。
    これらのことから低石炭化度炭にはフェノール構造が多く,それらが希硝酸によって容易に崩壊されるためにフミン酸がすみやかに生成するのであろうと推定した。
  • 西田 清二, 加藤 信行, 宮下 功
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2305-2309
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    石炭の硝酸酸化機構をこの反応で発生する窒素系ガスとモデル物質の酸化時のガス組成とを比較することによって検討した。
    低石炭化度炭に12.7% の硝酸を80℃ で作用させるといずれもNO に富んだガスが発生し, それらのガス組成は反応時間,反応温度によって,つぎのように変化した。1)反応後半ではNO/N2+N2Oが小さくなる,2)反応温度の低下にともなって,NO/N2+N2O が小さくなる, 3)反応開始時にはN2>N2Oであるが, 反応途中で生成量が逆転する。
    一方80℃ で12.9% の硝酸と反応する有機物はごく限られており, この内NO に富んだガスを発生するのはフェノール類のみであることが見出された。さらにo-クレゾールの硝酸酸化で発生する窒素系ガスの挙動は石炭の場合と非常によく類似していることが明らかになった。
    これらの結果から「低石炭化度炭の硝酸酸化では石炭分子中のフェノール構造が崩壌してフミン酸が生成する」とした前報の推論が支持された。
  • 石森 岐洋, 鶴田 禎二
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2310-2314
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジェチル亜鉛-アルコール系による数種のアルキレンオキシドの重合につき検討した。エピクロルヒドリンおよびスチレンオキシドの重合では,亜鉛ジアルコキシドのほかに,エチル亜鉛アルコキシド,あるいはジエチル亜鉛も重合を開始しうることを見い出した。しかし, もっとも立体規則性のよいポリマーを与えるのは亜鉛ジアルコキシドである。ジエチル亜鉛( またはトリアルキルアルミニウム) - 光学活性アルコール((+)ボルネオールまたは(-)メントール) 触媒系により, これらのモノマーの不斉重合が行なわれることを見いだした。ジエチル亜鉛-メタノール系によるプロピレンオキシド重合につき,重合率,重合度および立体規則性などに関し,溶媒による影響を検討した。
  • 藤尾 亮太, 佐藤 寿弥, 鶴田 禎二
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2315-2319
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    数種の極性基置換共役ジエン(クロチリデンアセトン,ソルボニトリル,ソルビン酸メチル,β-ビニルアクリル酸メチル)の単独重合とラジカル共重合反応性について調べた。
    上記の単量体はいずれも速度はやや小さいがラジカル触媒により単独重合し低重合体を与える。アニオン重合の開始剤としては通常, n - ブチルリチウム, カルシウム亜鉛テトラエチルなどが大きな活性を示した。赤外吸収スペクトルより極性基置換共役ジエンはすべてトランス-1,4型に開鎖して重合していることが知られた。クロチリデンアセトンはジブチル亜鉛と反応して重合体のほかにトルエン不溶の粉末状沈殿を生じるが,このものは酸化亜鉛を主成分とするような化合物または混合物であることがわかった。極性基置換共役ジエンとスチレン,およびアクリル酸メチルとのラジカル共重合を60℃ で行ない,単量体反応性比を求め,Alfreyらの方法でQ-e値を算出した。この結果極性基置換共役ジエンは一般に対応するα,β-不飽和カルボニル(またはニトリル) 化合物にくらべてe 値はほぼ同じであるがQ 値はより大きいことがわかった。
  • 原田 洋, 椎名 教, 箕浦 有二
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2320-2324
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジエン系ポリマーをN, N, N', N'- テトラメチルエチレンジアミンの存在下にn - ブチルリチウムでメタル化し, ついでスチレン,メチルメタクリレート, アクリロニトリルなどを加え, アニオン重合させ, グラフトポリマーを合成した。cis-1, 4-ポリブタジエン- スチレン系グラフトポリマーを種々の条件下に合成し, 得られたグラフトポリマーを解析した結果, グラフト率は添加したモノマー量に比例して増大し, グラフト効率はブチルリチウム量が一定のときはモノマー量に無関係に一定となった。グラフトポリマーの酸化処理から,幹のポリブタジエンを切断して得たポリスチレンと系の中に残存するブチルリチウムから自由に重合したポリスチレンの[η] を測定して, 分枝のポリスチレンもフリーのポリスチレンもその長さが等しいことがわかった。その結果を用いて, ポリブタジエンに接枝したポリスチレンの長さと数を計算した。
  • 井本 稔, 蜷川 彰, 伊地知 市郎
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2324-2327
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酢酸またはプロピオン酸中, 過塩素酸を触媒としてジフェニルエーテル(P), p, p'-ジフェノキシジフェニルメタン(M2P),p, p'-ビス(p''-フェノキシベンジル) - ジフェニルエーテル(2M3P) およびp-オキシジフェニルニーナル(MMP) とホルムアルデヒドとの反応の速度論的研究をおこなった。酢酸中, 反応速度式としてR=-d[F]/dt=k2[P][F]をえた。プロピオン酸中,おのおのの反応の反応速度定数(k2×103mol/l・min,70℃),活性化エネルギーおよび活性化エントロビーを求めた。おのおのの値はP=5.26, 18.4, -11.66; M2P=6.85, 18.3, -11.2; 2M3P=6.69, 18.4, -11.0; MMP=2.39(k2) であった。以上の結果にもとづいて種々の考察をおこなった。
  • 蜷川 彰, 伊地知 市郎
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2328-2331
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジフェニルエーテルおよびその類似化合物としてジフェニルスルフィド,ジフェニルメタン,ジフェニル,ジフェノキシェタン(P2), ジフェノキシプロパン, ジフェノキシヘキサン, フェノール, フェニルメチルエーテルおよびフェニルエチルエーテルを選び,このものとホルムアルデヒド(F)との反応を酢酸またはプロピオン酸中,過塩素酸を触媒としておこない,速度論的研究をおこなった。プロピオン酸中, P2 とFとの反応速度式としてR=-d[F]/dt=k2[P2][F]をえた。またおのおのの反応の反応速度定数,活性化エネルギーおよび活性化エントロピーを求めた。
  • 紺屋 栄, 横山 正明
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2332-2335
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    リンを含む耐熱, 難燃性高分子の合成研究の一環として, フェニルホスホン酸ジアミドと芳香族ジアミンとの溶融重縮合反応から, 主鎖にリンアミド結合を有するポリリンアミドを合成した。芳香族ジアミンとしては,〓の5 種を用いた。えられたポリマーは95~215℃ の範囲の融点をもつガラス状の硬い着色固体であり, 多くの有機溶剤には不溶であるが, ジメチルホルムアミド, m-クレゾールのような極性の強い溶剤には, 可溶部分も存在するが, しかし, 重合温度の上昇にともなって, この可溶部分は減少し, 不溶部分が増加する。これらの可溶部の極限粘度は0.062~0.128で小さくて高重合体ではない。熱テンビンによる熱安定性試験によると350℃ までの加熱減量は10% 以下であるが, この温度をすぎると次第に分解が激しくなり, 450~500℃ で急激に分解することがわかった。
  • 久高 克也, 今野 熙, 的場 敏夫
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2336-2337
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 西野 忠, 茂木 今朝吉, 桜井 正
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2338-2339
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 豊田 春生
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2339-2340
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
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  • 豊田 春生
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2340-2342
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
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  • 豊田 春生
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2342-2343
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 卯西 昭信
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2343-2344
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 東 広巳, 原田 宏
    1966 年 69 巻 12 号 p. 2344-2345
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345a
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
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  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345b
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345c
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345d
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345e
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345f
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345g
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. 2345h
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 12 号 p. A127-A133
    発行日: 1966/12/05
    公開日: 2011/09/02
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    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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