ガスハイドレート法による海水,かん水の濃縮あるいは淡水採取の基礎試験の一部として,ハイドレート結晶として分離される水単位量当りのハイドレート剤ガスの圧縮動力費に大きな影響をおよぼす水和数をジクロルジフルオルメタン, ジクロルモノフルオルメタンおよびモノクロルジフルオルメタンについて測定した。ハイドレート- 水- M ( 気) の3 相平衡とハイドレート- 氷- 食塩水-M(気)の4相平衡におけるハイドレートの生成熱を用いて計算するde Forcrand法と塩分濃度の変化によって生じる生成圧力の変化に対し,質量作用の法則を適用するMiller&Strong法によって計算した。得られた結果を総括すると次の通りである。
1.水和数はde Forcrand法,Miller&Strong法についてジクロルジフルオルメタンではそれぞれ16.7,16.3,ジクロルモノフルオルメタンでは17.6,19.2,モノクロルジフルオルメタンでは7.6,6.2であり,前二者は構造II型にまた後者は構造Itrans型に属する。
2.Miller&Strong法にくらべてde Forcrand法によって求めた水和数は構造模型から導いた理論水和数によく一致する。
3.de Forcrand法で求めた結合水1分子当りの生成熱はジクロルジフルオルメタンでは1.95kcal/mol・H
2O,ジクロルモノフルオルメタンでは,1.92kcal/mol・H
2O,モノクロルジフルオルメタンでは2.55kcal/mol・H
2Oとなり,構造II型のハイドレートを作るハイドレート剤は構造I型のハイドレートを作るものよりも有利である。
4.ハイドレート-氷-食塩水-M(気)の4相平衡における生成熱はジクロルジフルオルメタン,ジクロルモノフルオルメタン,モノクロルジフルオルメタンについてそれぞれ8.63 , 8.49 , 7.78 kcal/mol M である。
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