工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
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69 巻, 5 号
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  • 長倉 三郎
    1966 年 69 巻 5 号 p. 783-788
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 坪村 宏
    1966 年 69 巻 5 号 p. 788-794
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 福井 謙一
    1966 年 69 巻 5 号 p. 794-798
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 米沢 貞次郎
    1966 年 69 巻 5 号 p. 798-805
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 吉田 善一, 大沢 映二
    1966 年 69 巻 5 号 p. 805-811
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 小方 芳郎, 川崎 貴史
    1966 年 69 巻 5 号 p. 811
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 北条 卓
    1966 年 69 巻 5 号 p. 818-825
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 岡本 邦男
    1966 年 69 巻 5 号 p. 825-835
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 宇根山 健治, 大饗 茂
    1966 年 69 巻 5 号 p. 836-841
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 島村 修
    1966 年 69 巻 5 号 p. 841-846
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 守谷 一郎, 村橋 俊一
    1966 年 69 巻 5 号 p. 846-861
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
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  • 戸倉 仁一郎
    1966 年 69 巻 5 号 p. 862-868
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 米沢 貞次郎, 小西 英之, 加藤 博史, 諸熊 奎治, 福井 謙一
    1966 年 69 巻 5 号 p. 869-874
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    二,三の興味ある反応中間体の電子状態の検討を行なうため,extended Huckel法によって計算を行なった。とりあつかった化合物は,トランス型,シス型アセチレン,ベンザインおよびその類似化合物(ナフタリイン,シクロペンタイン),プロトン化エチレンおよびベンゼニウムイオンである。計算の結果,屈曲型アセチレンには炭素原子に局在化した特異なσ型軌道が現われ,これが不安定性に寄与すること,またべンザインおよびその類似化合物もシス型アセチレンと同様な準位をもち,三重結合に近い性格をもつこと,などが明らかとなった。プロトン化エチレンについても付加位置の変化に伴う電子状態の変化を検討し,ベンゼニウムイオンについては,プロトン付加によるベンゼン環構造の変化を考慮して計算を行ない,従来の他の方法による計算結果と良好な並行関係をもつことが示された。
  • 飛田 満彦
    1966 年 69 巻 5 号 p. 874-880
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    電子スペクトルから,染料分子の溶液または分散浴中の状態に関する情報を得るための基礎的な研究の一環として,分散染料,建染染料の母体である1-アミノアントラキノン,2-アミノアントラキノンのベンゼン,エチルアルコール中の吸収スペクトルを検討した。吸収スペクトルの解析を,ガウス関数型の単位スペクトルに分割して行ない,単位スペクトルの変化から溶液内のアミノアントラキノンの状態を検討した。エチルアルコール中では, ベンゼン中よりも深色となるのは, 平行移動ではなく, 長波長部に新しい単位吸収帯が現われるためであり,かつこれがエチルアルコールとの水素結合によるものであるとした。アミノ基の水素とアルコール酸素との間には,1-アミノ体は水素結合はつくらないが,2-アミノ体は1:1の水素結合体をつくり得るることを示した。2-アミノアントラキノンのエチルエーテル中のスペクトルをベンゼン-エーテル中のスペクトルから算出し,この第1吸収帯が, エチルアルコール中の第2 吸収帯に一致することから, アルコール中の第2 吸収帯はアミノ基水素と, アルコール酸素間の水素結合に関係があることを示した。
  • 八木 賢二, 花井 節
    1966 年 69 巻 5 号 p. 881-884
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリ-2-ビニルピリジン(P2VP),ポリ-4-ビニルピリジンを電子供与体とし,TCNQ,I2,五塩化アンチモン,p-クロルアニルを電子受容体とする錯体を合成し,赤外吸収スペクトル,電子スペクトルによる化学特性の変化,電気的性質として比抵抗の温度変化,電流-電圧特性を求めた。更に光伝導測定として,光電流-光強度,光電流-波長特性を測定した。
    赤外吸収スペクトルからは,TCNQ分子の場合,CN基の吸収は1本である。しかし錯体では,明瞭に2180cm-1,2130cm-1の2本に分離することが認められた。これは,M+(TCNQ)〓(TCNQ)0,M+(TCNQ)〓の2通りの結合形式に相当すると考えられる。また電気特性では, 錯体は5.0V まではオームの法則に従い, またρ=ρ0 exp (ΔE / 2kT ) に従う半導性を示し, P2VP -TCNQ : 6.3×109Ω-cm, P4VP-TCNQ : 1.4×109Ω-cm, P2VP-I2 : 4.2×107Ω-cmなどおよそ106~1012Ω-cmの比抵抗のものが得られた。
    光電流(ip) - 光強度(L) 特性からは, ip ∝ L2 の式が成立し, 光電流- 波長特性の結果からは, 電子スペクトルの395mμ に相当する部分には高い光伝導度が認められたが, 電荷移動吸収帯である700~850mμ に相当する部分には光伝導が認められなかった。
    なお,受容体としてのTCNQはヒドロキノンの加圧接触還元法により,従来法(7%)よりも高収率(20%)の方法で合成したものを用いた。
  • 北条 卓, 宇高 正徳, 吉田 善一
    1966 年 69 巻 5 号 p. 885-888
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々のo-およびp-置換安息香酸類の解離定数を,25℃,20,35,50,65,85および95%(容積)ジメチルスルホキシド(DMSO)・水混合溶媒中で,電位差滴定法によって測定し,オルト効果,log(K0/Kp)を求めた。ハメット則のρ値と溶媒中のDMSOのモル分率との間には完全な直線関係が成立し,95% DMSO水中でのρは2.27である。サリチル酸はただ一つの例外であるが,他の酸についてはすべて,DMSO濃度の増大とともにオルト効果は減少し,これはカルボキシル陰イオンへの溶媒和がオルト置換基によって妨害され,しかもこのためにおこるカルボキシル陰イオンの不安定化は極性の低い溶媒中ほど重要であるためと考えた。オルト置換基の直接場効果は溶媒を変えてもあまり変わらない。溶媒中のDMSO 含量が高くなると, ρ 値やオルト効果には特異な現象が現われるが,これはいわゆるDMSOの脱溶媒和効果のためであるとして説明しうる。サリチル酸は水中でも強酸的なオルト効果(1.56pKa 単位) を示すが, 95% DMSO 水中になるとこれが驚異的に増大し, 4.73 pKa 単位ものオルト効果を示すようになる。
  • 三井 生喜雄, 加藤 和信
    1966 年 69 巻 5 号 p. 889-891
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    触媒金属の立体選択性を明らかにするために立体配座がある程度束縛されている脂環式ベンジルアルコールである4-tert-ブチル-1-フェニルシクロヘキサノールのトランス体(I)およびシス体(II)をラネーニッケル,ラネーコバルト,パラジウムおよび酸化白金を触媒として用い水素化分解を行なった。ニッケル,コバルト触媒ではI,IIともに立体配置を保持した水素化分解生成物が選択的に得られたが,パラジウム触媒はIからはほとんど100%の反転生成物が得られたのにIIからは反転生成物がわずかに多いにすぎなかった。白金触媒ではIから約90%の反転生成物であったが,IIからは逆に立体配置を保持したものの方が多かった。これらの結果からI,IIの立体配座と触媒金属の立体選択性につき論議した。
  • 桜木 宏親, 筧 清, 徳丸 克己, 島村 修
    1966 年 69 巻 5 号 p. 892-896
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    過ラウリン酸および過安息香酸を開始剤とするクメンの自動酸化を速度論的に研究し,これらの有機過酸が自発的に遊離基分解することを確立した。また過酸化ラウロイルを開始剤とするクメンの自動酸化を行ない,その結果と過ラウリン酸を開始剤とした場合の結果を比較することにより,過ラウリン酸の自発的遊離基分解の速度定数を求めたところ,その値は65,75および85℃で,それぞれ1.3,1.8および3.7×10-5sec-1である。これらの値はいずれも,それぞれの温度でヨウ素滴定法により求めた過ラウリン酸のクメン中,窒素雰囲気下のみかけの1次分解速度定数に極めて近い。しかし,過安息香酸の場合には,実験には十分の注意を払ったにも拘らず,過ラウリン酸の場合とは異なり,未だその結果の再現性は良好でなく,その自発的遊離基分解の速度定数を得ることはできなかった。
  • 神谷 佳男
    1966 年 69 巻 5 号 p. 897-901
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    コバルト,マンガン,銅およびニッケル塩を触媒とするエチルベンゼンおよびその脂肪酸溶液の自動酸化反応を80℃,触媒濃鹿10-4~5×10-1mol/lの範囲で行ない,反応速度式を検討した。エチルベンゼンの自動酸化において最も活性の強い触媒は銅であり,コバルトとマンガンはやや低く,ニッケルは遙かに低い活性を示した。反応速度はコバルト,マンガン,銅については濃度10-2~10-1mol/lで最大値を示し,限界反応速度の理論値の50~90%の値を示した。しかし,コバルト触媒の場合に反応生成物であるメチルフェニルカルビノールとアセトフェノンの比率からヒドロペルオキシドのラジカル分解の割合を求め,限界反応速度を修正したところ実測値と全く一致した。酢酸溶液中の酸化ではコバルトのみが活性が強く,触媒濃度10-1mol/lで最大反応速度に達した。誘電率の低い脂肪酸溶液ほど限界速度は低下したが,限界反応速度の理論値は実測値とほぼ一致した。臭化コバルトによるエチルベンゼン酢酸溶液の自動酸化速度は,コバルト濃度について2~1次であり,濃度が高くなるほど次数が減少した。コバルト濃度5×10-2mol/lでは反応速度はエチルベンゼン濃度について1次であり,導出した反応速度理論式と良く一致した。臭化物触媒については強い相乗効果があり,コバルト触媒の20%をマンガンで置換した時に反応速度は4倍になった。
  • 小方 芳郎, 沢木 泰彦, 手塚 洋, 松永 藤尚
    1966 年 69 巻 5 号 p. 901-906
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ベンジルのベンズアルデヒドへの希硝酸(<10%)酸化機構を40vol%ジオキサン中で速度論的に研究した。反応生成物をガスクロマトグラフィーで追跡した結果, この酸化反応は途中に塩化ベンジルの加水分解生成物であるベンジルアルコールを経由してベンズアルデヒドを生成することがわかった。塩化ベンジルの加水分解はほぼSN1 機構に従い, 加水分解速度は酸度に無関係で, 5% 以下の硝酸濃度ではべンジルアルコールの酸化よりも速い。ついで, 希硝酸によるベンジルアルコール類のベンズアルデヒドへの酸化を40vol%ジオキサン中で速度論的に検討した。この酸化は亜硝酸により有効に開始せられるが,その速度は,v=k[ベンジルアルコール][HNO3]で示され,亜硝酸の濃度には無関係である。酸化速度は酸度と共に増加し,logkと溶液の酸度関数H0 をプロットすると, 傾斜- 2 の直線となる。見かけの活性化エネルギーおよびエントロピーは, それぞれ28.3 kcal・mol-1,-52.7 e.u.である。ベンジルアルコールの置換基効果はハメット則を満足し,-2.25のρ-値を与える。この酸化機構として, α-オキシベンジルラジカルと二酸化窒素との間の速やかな可逆カップリングについて, 速度決定段階としてα-亜硝酸オキシベンジル(I)の加水分解を含む機構を考えた。
  • 竹崎 嘉真, 寺岡 直, 杉田 信之, 寺西 博, 工藤 清
    1966 年 69 巻 5 号 p. 907-912
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    HF中においてメタキシレンとBF3の錯合体をつくり,これに加圧COを反応せしめジメチルベンズアルデヒドを合成する反応において, まず錯合体[(CH3)2C6H5+BF4-] を含む均一HF 溶液を与える条件を探索し, 錯合体飽和溶液のメタキシレン/ HF /BF3組成とBF3圧との関係を明らかにし,おわせて錯合体生成反応の平衡定数を求め,モル分率表示の平衡定数として0℃で53を得た。
    COとの反応においては,2-4ジメチルベンズアルデヒドが選択的に収率96%で生成し,その速度は大きく本撹拌条件下において充テンモル比(メタキシレン/HF)>1/60ではCOの液中への溶解が律速であり,(メタキシレン/HF)<1/90では反応律速となる。反応律速条件下での速度はCO 圧および錯合体の濃度のおのおのに関して1 次であり, 0℃での速度定数は0.024 ( kg/cm2)-1・min-1,液相反応の活性化エネルギーは約8kcal・mol-1である。
  • 伊藤 修, 谷口 尚, 川辺 明, 市川 克彦
    1966 年 69 巻 5 号 p. 913-915
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ピリジン溶媒における芳香族水銀化合物とヨウ素の反応速度をヨウ素減少速度(吸収スペクトル法)の追跡によって測定した。種々の置換基をもつ臭化フェニル水銀とヨウ素との反応は,それぞれについて1次の2次反応である。p-メトキシ,p-メチル,m-メチル, 非置換, m - メトキシ, p - クロルおよびm - クロル- フェニル化合物の順に反応速度は減少し, その0 ℃ における相対速度は6.84,2.78,1.58,1.00,0.625,0.094,0.059である。通常のσ値を用いたHammettプロットは良好な直線性を示し,ρの値は-2.87である。この結果は水銀の結合する炭素に対するヨウ素の求電子置換反応として説明される。
  • 竹下 常一, 荒田 一志, 佐野 朝子, 田部 浩三
    1966 年 69 巻 5 号 p. 916-919
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    固体の金属硫酸塩,とくに硫酸ニッケルは適当な加熱処理によって表面酸性を示すことが知られている。すでにこの触媒は,固体酸としてパラアルデヒドの解重合,オレフィンの水和,異性化反応などに用いられてきたが,さらにその酸性質を明らかにするために, 塩化ベンジルによるメチルベンゼン類のベンジル化反応をしらべた。とくにトルエンのo- , m- , p- 位の反応性, メチルベンゼン類の相対反応性を求めた結果, Brown らのlog pf - Sf の関係式に合うこと, ρ= -4 ~ -5 の反応とlogk が直線関係にあることから律速過程はσ- 錯合体生成であることを認めた。HCl と炭化水素のπ- 錯合体の平衡との相関々係は反応物の触媒に対する吸着にもとづくものであろうと推定した。なお, 反応の際10 ~15 分の誘導期間が現われるのは主として発生HCl が触媒に吸着されるためであろうと考えた。以上の結果から固体の金属硫酸塩はその表面酸性が弱いが,不均一触媒として使用するとき選択性がよいことがわかった。
  • 辻 二郎, 高橋 秀尚, 森川 正信
    1966 年 69 巻 5 号 p. 920-924
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    π-アリル型パラジウム錯体が種々の求核試薬と容易に反応し,それぞれのアリル置換体を生成する新しい反応を見いだした。マロン酸エステルはアリルマロン酸エステルおよびジアリルマロン酸エステルを高収率で生成した。アセト酢酸エステルも同様に反応し,2位の炭素にアリル基が導入された。今1つの求核試薬として,シクロヘキサノンから誘導されるエナミンとの反応を行なったが,この場合も反応は容易に進行し,加水分解後2-アリルシクロヘキサノンが得られた。このようにπ-アリル型錯体が炭素陰イオンと容易に反応し,炭素-炭素結合を生成することは,今までに知られていない。アルコラート,アセテートアニオンとの反応で相当するアリル誘導体が得られるが収率は低い。このような求核試薬とπ-アリル型錯体の反応機構としては,いったん求核試薬がパラジウムに配位してから反応する可能性が強い。
  • 藤尾 亮太, 鶴田 禎二
    1966 年 69 巻 5 号 p. 924-928
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ラウリルメルカプタンとα - アルキルアクリル酸メチルのマイケル型付加反応に関し速度論的な検討を行なった結果, メタクリル酸メチルを基準とする各誘導体の活性化エントロピー差ΔΔS 〓, 活性化エンタルピー差ΔΔH 〓がTaft の立体置換基定数Esおよび極性置換定数σ*とそれぞれおおよその直線関係にあることを明らかにした。しかしα-イソブチル誘導体ならびにα-sec-ブチル誘導体については直線性からのはずれが他のものにくらべやや大きかった。ラウリルメルカプタンとクロトン酸メチルおよびメタクリロニトリルの付加反応についても同様の実験を行ない, α - およびβ -メチル置換基の影響ならびにエステル基とニトリル基の効果をそれぞれ検討した。
  • 山本 襄, 鶴田 禎二
    1966 年 69 巻 5 号 p. 928-932
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    10 種類のα-アルキル置換アクリル酸メチルとアントラセンとのDiels - Alder 反応を200℃ , 過剰のジエノフィルの存在下で行ない, 8 種類の新しいジエン付加化合物( 9,10-dihydro -11- alkyl -11- carbomethoxy- 9,10 - ethanoanthrac ene) を得た。また,エチルベンゼン中で, 温度をかえて反応速度の測定を行なった。ラウリルメルカプタン・ヨウ素滴定法を使用して未反応のジエノフィルを定量することにより, 反応速度を追跡した。反応性はR = H > CH3 > C2H5 > n-C3H7 > n-C4H9 > C6H5CH2 > iso - C4H9 > iso -C3H7 > sec-C4H9 > cyclo-C6H11の順であった。170~220℃における2次反応速度定数の値からEA,log A(Arrhenius式),ΔH〓,ΔS 〓, ΔF 〓( Eyring 式) を求めた。置換基による活性化自由エネルギーの差は主としてエントロピー項に依存することが示された。さらに置換基の影響についてTaftのσ*値,Es値との対応性を調べた。
  • 柘植 乙彦, 柳 澄, 福原 正司
    1966 年 69 巻 5 号 p. 932-935
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    cis-およびtrans-1,2-ジフタルイミドエチレンの臭素付加反応を種々の条件下に検討したが,本付加反応は誘電率の低い溶媒中ではcis体からもtrans体からも主としてmeso-1,2-ジブロム体を与え,溶媒の誘電率が高くなるにつれてDL-1,2-ジブロム体の生成比が増加して, 一般の不飽和結合の臭素付加反応のような立体特異性を示さなかった。このような現象はRoberts , Kim -ballらによって提唱されたプロモニウムイオン中間体説では説明できず,著者らはフタルイミド基によるカルボニウムイオンの安定化とフタルイミド基の立体的効果を考慮して,本反応に対してカルボニウムイオン中間体を経る機構を提唱した。
    他方,1,1-ジフタルイミドエチレンの臭素化では不飽和結合への臭素の付加反応は認められず,臭素が置換した1,1-ジフタルイミド-2- ブロムエチレンが生成して芳香族性類似の性質を示した。
  • 安田 佳郎, 川端 成彬, 鶴田 禎二
    1966 年 69 巻 5 号 p. 936-938
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    臭化n-ブチルマグネシウムとケトンとの反応において,試薬の添加法によって生成物の異なることがわかった。すなわち,アセトンのジエチルエーテル溶液に臭化n-ブチルマグネシウムのエーテル溶液を加えると,n-ブタン(I)とn-ブチルジメチルカルビノール(II)とが生成するのに対し,臭化n-ブチルマグネシウムのエーテル溶液にケトンを加えると,I,IIのほかに多量のn-オクタン(III)が生成する。一般に臭化n-ブチルマグネシウムの濃度が高いほど(II)は生成しやすく,濃度が低いほどI,IIIは生成しやすい。また反応温度が高いほどII の生成割合は多い。ケトンの代りにアルコールやカルボン酸を臭化n - ブチルマグネシウムに加えた場合にもIのほかに多量のIIIが生成する。
    なお,ケトンに対する臭化n-ブチルマグネシウムの付加の相対反応性を決定するものは,カルボニル基に隣接するアルキル基の立体効果であることが判明した。
  • 柘植 乙彦, 水口 隆三
    1966 年 69 巻 5 号 p. 939-945
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々の触媒を用いてベンゾイル(Ia) , p - メトキシ- (Ib) , p - クロル- (Ic) およびp - ニトロベンゾイルイソシアナート(Id) の二量化, 三量化反応を検討した。トリエチルアミン触媒下においては, I の置換基の電気的性質によって生成物の種類が大きく左右され, Ia は50 ℃ で二量体, 80 ℃ で6-ケト- 1, 3, 5- オキサジアジン体を主として与えるに反し, 反応温度に関係なくIb からは三量体を, Ic , Id からは好収率でそれぞれ対応する6-ケト- 1, 3, 5- オキサジアジン体を生成した。ピリジニウム塩触媒下の反応では置換基の効果は現われず, すべての場合に4-ケト- 1, 3, 5- オキサジアジン体が得られた。しかし, ピリジン1- オキシドを触媒とした場合には置換基と反応温度の影響をうけ, 二量体, 三量体あるいは4-ケト- 1, 3, 5- オキサジアジン体などが生成した。他方,ルイス酸型触媒の塩化第二スズを用いた場合には, Ia とIb は三量体を与えたが, Ic とId は反応しなかった。
    このような事実をもとにして各触媒下における生成物の生成機構を推定し, 本反応におけるベンゾイルイソシアナート類の反応には性〓と〓の共鳴構造の寄与が支配的であり, アリールイソシアナートに比して極めて特徴的である。
  • 御園生 晃, 長 哲郎, 山岸 敬道
    1966 年 69 巻 5 号 p. 945-950
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    御園生晃・長哲郎・山岸敬道α,β-不飽和アルデヒドのアクロレイン,メタクロレインおよびクロトンアルデヒドをp-トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩(McKee塩)水溶液中およびp-トルエンスルホン酸(p-TSA)水溶液中で定電位電解還元し,生成物を分離確認した。いずれの場合もアクロレイン, クロトンアルデヒドにおいては生成する二量体は, モノマーのβ- 炭素間で結合したものが主であるのに対して, メタクロレインの場合にはβ- 炭素とカルボニル基の炭素が結合したものが主成分である。しかしアクロレインのp - TSA 水溶液中での反応では, β- 炭素間の結合したもののほかに, β- ヒドロキシ体を経た生成物も相当量認められた。
    ポーラログラフィーによる測定結果, 単純LCAO - MO 法により求めた全π 電子密度, フロンティア電子密度などを考慮すると,McKee塩水溶液中での反応は電極界面でアルデヒドが還元されて生成するアニオンが,他のアルデヒド分子に求核的に付加するものであり, 一方p - TSA 水溶液中においては電極界面でアルデヒドにプロトンが付加して形成する共役酸を経たラジカル間のカップリング反応が主に起こると考えられる。
  • 北原 喜男, 村田 一郎, 上野 昌子
    1966 年 69 巻 5 号 p. 951-954
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    交叉共役系の非ベンゼン系芳香族炭化水素として最も基本的な分子の一つである“カリセン”の安定な誘導体として1,2,3,4-テトラクロル-5,6-ジフェニルカリセンをテトラクロルシクロペンタジエンとジフェニルシクロプロペノンとの縮合によって合成し,この紫外,赤外,核磁気共鳴スペクトルの検討から,基底状態における極性構造の寄与の大きいことを明らかにした。またこの物質の塩基性に関連してpKを測定して-4.7を得た。更に双極子能率の測定からμ=7.97Dの極めて大きな値を持つことを明かにした。結合交替を考慮したHuckel MOによる取扱いを行なって基底電子状態を説明すると共に,テトラシアノエチレンとの分子化合物の電荷移動スペクトルの測定から最高被占軌道エネルギーを実験的に推定した。
  • 鈴木 仁美, 中村 貴代美, 丸山 和博
    1966 年 69 巻 5 号 p. 955-958
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    t-ブチル基を保護基に用い,m-キシレン→5-t-ブチル-m-キシレン→2-クロル-5-t-ブチル-m-キシレン→2-クロル-m-キシレンの経路で-m-キシレンから2-クロル-m-キシレンを合成した。最終段階でt-ブチル基の受容体にm-キシレンを用いれば5-t-ブチル-m- キシレンが再生し, 循環操作が可能となる。この反応につき各種のルイス( Lewis ) 酸触媒を用いてこのt-ブチル基の転移の容易さを検討した。その結果塩化アルミニウムが触媒として最も有効で,塩化鉄(III),塩化アンチモン(V)は脱t-ブチル化反応の触媒と同時に,それによって再生された5-t-ブチル-m-キシレンのクロル化剤としての作用も示し,2-クロル-m-キシレンの見かけ上の収率は高くなる。
  • 竹内 豊三郎, 手塚 昌郷, 山形 良男
    1966 年 69 巻 5 号 p. 958-962
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トルエン- 1 - 14C (I) およびトリチウムガス気流中(II) における通常のトルエンの熱分解を800 ~ 1100℃ の温度範囲で行ない, 主にガス状生成物中における14C および3H の分布をしらべた。その結果, (I) では, 800℃ でもとのトルエンのcpm / molにくらべメタンの値は約1/20 で, C2 化合物の値は約2 倍であった。また, 1000℃ では生成物のグラム原子当りのcpm がすべて相等しくなった。(II) では, 800℃ においてメタンとベンゼンのcpm/ mol はおおよそ同じで, C2 化合物はもとのトリチウムの約2 倍であった。また, 900 ~ 1100℃ の温度範囲でメタン対ベンゼンのモル当りのcpm の比は1:6 であった。以上のことから, 800℃ ではメタンはメチル基から, またC2 化合物の炭素はトルエンの1 の位置の炭素から作られること, 高温では初期にベンジルラジカルを経てトロピリウムラジカルができ,その逆反応により1の位置にあった14Cが均等に分布されること,およびベンゼン中の水素はその構造をとる以前に共存する水素分子と交換を行なうことを推定した。
  • 原田 雅人, 伊藤 良一, 右田 俊彦, 島村 修
    1966 年 69 巻 5 号 p. 962-966
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フェニルアゾトリフェニルメタンをベンゼン中窒素下で分解させると,主生成物はビフェニルとトリフェニルメタンであった。この際ジヒドロビフェニルは全く生成しないことがわかったので,フェニルアゾトリフェニルメタンの分解で生じるフェニル基はベンゼンと反応して,過酸化ベンゾイルのときとは異なる機構でビフェニルを生成することが結論される。酸素の存在でこの分解を行なうとフェノール,ビフェニル,トリフェニルメチルヒドロペルオキシド,過酸化トリフェニルメチルおよび含酸素樹脂状物を生成するが,反応温度が低くなるにつれてフェノールおよび含酸素樹脂状物が多く生成することは,ベンゼン中に溶存した酸素がフェニル基と反応し,溶解度の増加とともにフェニル基と酸素の反応量が増すことを示している。ビフェニル生成量からフェニル基の酸素またはベンゼンとの反応の速度の比は約103~103 となり, 両反応の活性化エネルギーは前者が約5kcal / mol 小さいことが見積られた。
  • 湊 宏, 井畑 道子, 岩井 ひめ子
    1966 年 69 巻 5 号 p. 966-969
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2molのパラトルエンジアゾニウム塩を1molのアンモニアとカップリングさせて,1,5-ジ-パラトリル-1,4-ペンタズジエンを合成した。これは非常に不安定な爆発性の淡黄色結晶である。メタノール中での分解速度は,k1=8.75×10-4sec-1(31.0℃)であり,分解生成物は,窒素,トルエン,パラトリルアジド,1,3-ジ-パラトリルトリアゼンなどであった。クメン中での分解速度はk1=3.93×10-3sec-1(25.0℃)であり,分解生成物はメタノール中での分解生成物のほかに2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンがあった。これらの結果から,このペンタズジエンの分解は,主としてイオン的な機構によるがラジカル分解もおこっていること,またイオン分解も二つ以上の機構による分解が同時に起こっていると結論した。
  • 竹林 松二, 新垣 忠男, 鳥本 昇, 稲垣 正夫
    1966 年 69 巻 5 号 p. 970-972
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルボエトキシカルベンの反応性をしらべるために,窒素中,カルボン酸エステルを溶媒として,ジアゾ酢酸エチルの熱分解を行ない,生成物の生成機構を考察すると共に,これに対する銅粉の影響を検討した。
    ジアゾ酢酸エチルの分解で生ずるカルボエトキシカルベンは親電子性を有し, カルボン酸エステルのα 位C-H 結合よりもβ位C-H結合へ速かに挿入する。またこのカルベンはジアゾ酢酸エチルを誘発的に分解して,マレイン酸ジエチルおよびフマル酸ジエチルを生成する。
    銅粉はジアゾ酢酸エチルの誘発反応を促進し,マレイン酸ジエチルやフマル酸ジエチルの生成を容易にすると共に,カルボン酸エステルのC-H結合に対するカルボエトキシカルベンの挿入反応に選択性を与える。
    酢酸エチルが生成することから,カルボエトキシカルベンが水素の引き抜きを行なうことが考えられる。
  • 大河原 信, 中井 武, 井本 英二
    1966 年 69 巻 5 号 p. 973-979
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-XC6H5CO-SCSNMe2[X=H(BDTC),CH3,CH3O,Cl,NO2]を合成し,それらの光分解と熱分解の相違およびビニル重合(光および熱)に及ぼす効果を検討した。BDTCの熱分解生成物は,C6H5CONMe2とCS2で,4員環遷移状態を経て分解することが動力学的に確認された。Hammett ρ 値( 79.4℃ ) は+ 0.50 であった。
    一方,BDTCの光分解主生成物は,ベンゼン中,10℃,窒素気流中,13時間照射では,(C6H5COS)2(DBDS)(収率;~25%),(Me2NCSS)2(TMTD)(~9%),微量のCS2などで,未反応物は熱分解物C6H5CONMe2(~17%)とCS2として回収した。分解速度は次の順に大きい。CH3O<H(BDTC)<CH3<Cl。BDTCは光重合開始能をもち,MMAで重合速度~[BDTC]1/2は直線を示した。よって, 光分解はラジカル機構で, その初期過程は〓の(a) および(b) の切断で, (b) の切断が優先することがわかった。光重合開始能は次の順である。TMTD << ABIN < Cl < H(BDTC) < CH3 < CH3O ≈DBDS 。光分解速度と光重合開始能におよぼす置換基の影響の相違を考察した。MMAの熱および光重合におけるBDTCの連鎖移動定数は,それぞれ,0.08,5.5であった。
  • 入江 剛, 木下 雅悦, 井本 稔
    1966 年 69 巻 5 号 p. 980-985
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    核置換安息香酸ビニルを合成し, その単独重合および共重合を行なった。置換体はp - メトキシ安息香酸ビニル( p-CH3O ) , p - メチル安息香酸ビニル(p-CH3),安息香酸ビニル,p-クロル安息香酸ビニル(p-Cl),p-ブロム安息香酸ビニル(p-Br),p-シアノ安息香酸ビニル( p-CN ) ですべてAdelman のビニル化反応で合成した。単独重合は, 50℃ でアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として行なった。全重合速度は置換基の種類によって変化が認められたが,置換基の極性との関係は明らかでなく,同じ条件でのスチレンの重合速度とほぼ等しい。また核置換安息香酸ビニル相互間の共重合を行なった。その結果,ポリ核置換安息香酸ビニルラジカルに対するモノマーの反応性は,置換基の電子吸引性と共にわずかに変化し,モノマーの相対反応性(1/r1)の対数とハメットのσ 値をプロットするとほぼ直線関係が得られたが, ρ の値は小さく置換基効果はわずかであった。
  • 大津 隆行, 伊藤 俊男, 井本 稔
    1966 年 69 巻 5 号 p. 986-990
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸アルキル(以下RMAと略称)とスチレンおよびメタクリル酸-2-クロルエチルとの共重合結果より,RMAモノマーの基準ラジカルに対する相対反応性がアルコキシ置換基の極性に依存し, 立体因子に依存しないことを認めた。相対反応性はTaftの式に従う。
    log(1/r1)=ρ*σ*+δEs
    ポリスチリル,およびポリメタクリル酸-2-クロルェチルラジカルの攻撃に対するρ*値は,それぞれ0.33(r=0.97),0.13(r=0.91)であり,δ 値はいずれの場合にも0であった。RMAのQ-値は,そのe-値と同様にアルコキシ置換基の電子吸引性が増大するに従って増大することが認められた。
  • 山本 忠弘, 大津 隆行, 井本 稔
    1966 年 69 巻 5 号 p. 990-993
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリ- p - メチルスチリルラジカルとクメン置換体との反応の置換基効果を調べる目的で, アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてクメン置換体溶媒中でp - メチルスチレンの重合を行ない, 連鎖移動定数( Cs ) を測定した。Cs 値は置換基の電子吸引性の順に増大する。ハメット則は成立しないが,次式が良好に適用された。log(k/k0)=ρσ+γER二つの反応定数ρおよびγ値はそれぞれ+0.8 と1.1 であって, 置換基の極性および共鳴の両効果の寄与が指摘された。得られた反応定数は, すでに報告したクメン置換体とポリスチリルおよびポリ- p - クロルスチリルラジカルの反応でのそれらと比べると,攻撃ラジカル側の置換基によってρ値は変化するがγ値はほとんど等しいことが認められた。
  • 釼 実夫, 福元 次夫, 山上 允之
    1966 年 69 巻 5 号 p. 993-996
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジエン系ポリマーとしてシスおよびトランス-1,4-ポリイソプレン,シスおよびトランス-1,4-ポリブタジェンとアイソタクチック-1,2-ポリブタジエンを幹とし,ポリマーとアクリロニトリルをベンゼン溶液中で常温でγ線グラフト重合した。いずれの場合もグラフト重合速度はだいたい照射線量の1/2 乗に比例した。1,4-ポリブタジエンは1,4-ポリイソプレンより重合速度は大であり,1,4-ポリイソプレンではシス異性体はトランス異性体とほぼ同一の重合速度を示したが,1,4-ポリブタジエンではトランス異性体の方がシス異性体に比較してやや重合速度が大であり, 1,2- 異性体は前二者に比較して重合速度は著しく小であった。ビニルカルバゾールをグラフトした時も同じ傾向を認めた。以上ジエン系ポリマーの構造因子とグラフト重合速度との関係を主としてポリマーラジカルの反応性から説明した。
  • 大橋 弘士, 加納 久雄, 佐藤 教男, 岡本 剛
    1966 年 69 巻 5 号 p. 997-1002
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エチレンの空気酸化によるエチレンオキシド製造用の銀触媒の活性と燃焼抑制に対する選択性は助触媒や銀の前処理によって非常に異なることが知られている。本報では銀触媒の活性と触媒表面からのexoelectron emissionを測定し,この結果,exoelectron emission測定によって触媒性能を判定することができることを明らかにした。
    触媒試料を検出部の加熱炉の上にのせ, 一定速度で試料温度を上げてゆくと, exoelectronemission のピークが50~60, 75,125, 140, 190~200, 400~ 490℃ であらわれた。6つのピークのうち50~60, 75, 125, 140, 190~200℃ の放出ピークは助触媒(硫酸カリウム,硫酸水素カリウム,硫酸コバルト,硫酸ナトリウム)によるものであり,測定前にX線照射をした場合にだけあらわれた。400~490℃ の放出ピークは触媒活性の特性をあらわすもので, X 線照射なしにもあらわれるが, 事前に反応ガスで処理する必要がある。この放出ピークの高さはエチレンの空気酸化に対する触媒活性の高い試料ほど高く,両者はほぼ比例関係にある。
  • 斯波 忠夫, 施 鑑洲, 高島 喜七郎
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1003-1006
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    クロム含量, 焼成温度, 組成および担体等の異なる各種の酸化クロム触媒について, ESR 吸収よりCr5+ のシグナル強度を, また化学分析よりCr6+ の含量をそれぞれ測定し, さらにプロピレンの低圧気相重合反応を行ない, 初期における重合活性とCr5+のシグナル強度およびCr6+の含量との関連性を調べた。
    担体が同一でクロム含量の異なる触媒においては, Cr5+ のシグナル強度と活性との間に相関関係が見られたが, 組成および担体の異なる触媒では相関関係はなかった。Cr6+の含量と活性との間では組成および担体が異なる触媒でも両者にほぼ比例関係が見られ,プロピレンの重合には,Cr5+よりむしろCr6+の方がより活性に密接な関係があることがわかった。
  • 堀口 義一, 野村 羊観, 片山 駿三
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1007-1010
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    チタン粉末およびタングステン粉末の直接炭化における収量を,間隔法による爆轟衝撃の前処理と静的加圧(手込め,1000kg/cm2,3000kg/cm2)の前処理との場合について比較した。試料はチタンおよびタングステンの粉末とアセチレンブラックとの等モル混合物である。爆轟衝撃および静的加圧試料を700~1300 ℃ に加熱し炭化反応を行なった。加熱試料について, 炭化物の生成量を炭素分析(燃焼法)により,また炭化物の相をX線回折により調べた。その結果,(1)炭化物の収量は爆轟衝撃の前処理の場合に最も多く,(2)タングステンの炭化の場合,1300℃(1時間)の加熱でWCの収量が著しく増大すること,を確かめえた。すなわち,爆轟衝撃の前処理はこれらの粉末の直接炭化における収量を増加させる一つの有用な手段といいうる。
  • 古市 隆三郎, 佐藤 教男, 岡本 剛
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1010-1014
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    硝酸鉄(III)溶液とアンモニアを用いて生成した沈殿酸化鉄は,沈殿熟成の時間が長いほど吸着水量が減少する。吸着水量と酸化鉄によるヒドラジン分解量との関係を,熟成時間および焼成温度のことなる各種試料について検討した。その結果,ヒドラジン分解量は熟成時間が長いほど小さく, また焼成温度が200~250℃ において最大になること, さらに110℃ で焼成した熟成時間のことなる試料では, 吸着水量( mol/g-Fe2O3 ) と分解量( mol/g-Fe2O3 ) との間に比例関係があることを見出した。
    これらのことから,吸着水は酸化鉄中の活性点を形成すること,吸着水量は活性点の数(N)に対応することを推定した。さらに,2×(ヒドラジン分解量)[mol/g-Fe2O3]/吸着水量[mol/g-Fe2O3]なる量(R)を導入すると,酸化鉄の単位表面積当りのヒドラジン分解量が(N)×(R)の関係を満足することを示した。
  • 古市 隆三郎, 佐藤 教男, 岡本 剛
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1014-1018
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    硝酸鉄(III) とアンモニアを用いて生成した沈殿酸化鉄を0, 15, 28, 56 日間25℃ の水中で熟成し, 100℃ で乾燥後に110, 200, 250, 300℃の各温度で10℃/minの加熱速度で焼成した。これらの各種酸化鉄試料を用いて硫酸ヒドラジンのNaOH性溶液中における分解速度を測定した。分解反応はN2H5++2[O]oxide = N2+ 2H2O+ H+ であるとし, 生成するN2 の量を測定して分解速度を求めた。
    分解速度は放物線則に従い,見掛けの活性化エネルギーは,多くの場合10~13kcal/molの値となった。分解速度定数(k)とヒドラジン濃度(c)との関係はほぼk=5c/1+30cとなる。
    これらの結果から, 律速過程は, N2H5+ またはH+ の酸化鉄粒子内への体積拡散であると結論し, Mt / M∞ = 6(Dt/a2π )1/2(M :時間t および∞ における分解量, D : 拡散定数, a : 酸化鉄粒子の半径) の関係を用いて, D の値を計算した。D は試料の熟成時間が長いほど小さく, 200~250℃ で焼成した場合に最大値となるが, ほぼ10-21~10-22cm2 / sec ( 35~45℃ ) の範囲内にある。
  • 田村 英雄, 弦元 直人, 石野 俊夫
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1018-1021
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    鉄を含む廃硫酸を有利な方法によって再生処理して回収することを目的とするもので,まずイオン交換樹脂を用いる方法について検討した。試料廃硫酸としては酸化チタン製造工程からの鉄および硫酸濃度の比較的低いものと,これよりも相当高濃度の鉄鋼の酸洗廃硫酸を用いた。処理はこの廃酸をH型イオン交換樹脂を充填した交換筒へ流し,鉄イオンを交換除去して無鉄硫酸を流出させる方法について,液の組成,流速などが脱鉄効果におよぼす影響ならびにイオン交換樹脂の鉄吸着率などについて測定した。樹脂層中を流れる液の流速は0.4~1.3cm/minの範囲内では脱鉄効果に差はなく,液の濃度も大きな影響を与えない。しかし液の組成すなわち硫酸濃度と鉄濃度の比が高い場合は,イオン交換樹脂の鉄イオン吸着率が低く,脱鉄効果はよくない。この濃度比が2付近の廃酸で樹脂1g当り0.09gの鉄が捕集される(吸着率:85%)。これより濃度比が高くなれば鉄の捕集量は低下する。鉄65.5g/l,硫酸143.1g/lを含む廃硫酸1mlに対してイオン交換樹脂1gを用いれば,鉄の濃度は1/100程度にまで下げることができた。
  • 金沢 孝文, 柳田 光一郎
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1022-1026
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    特定のリン鉱につき,あらゆる観点から詳細に究明を行ない,物理的・化学的挙動の諸資料をもとめる研究を計画した。フロリダ鉱を採用し,まずはじめにバイ焼処理による各種性質への影響についてしらべた。
    バイ焼により,リン鉱中のアパタイト結晶は発達し,共存石英の結晶性は低下した。吸湿試験からみた水分吸着性は,バイ焼で減少した。高温処理のさい相当量のフッ素揮発がおこって,F/P2O5値は温度上昇とともに減り,アパタイトのF/P2O5理論値以下になった。フッ素の揮発はケイ酸の揮散をともなわない。またバイ焼はリンの塩酸分解性,リンとフッ素とのク溶率を低下させた。塩酸分解率低下の程度は過少酸量のとき顕著で,酸量をますと分解率の差は消滅した。酸溶解残分中では石英が比較的多量にふくまれる。バイ焼によって残分の粒子は微細化したが,これは非晶化の方向に変質した石英がコロイド性になるためであろう。
  • 宮崎 秀甫
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1026-1028
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    半水セッコウのα型とβ型の本質的差異に関する研究を進める上で,半水セッコウの生成機構を検討する必要を感じ,今回はできるだけ純粋な試料を得るため媒晶剤を使用しない加圧水蒸気法によって,半水セッコウの生成に及ぼす加熱温度,処理時間,水蒸気分圧などの影響を検討した。その結果,半水セッコウの生成には処理時間よりも加熱温度の影響が大であること,およびα型半水セッコウの生成には水蒸気分圧が重要な因子であることを明らかにした。
    また得られた生成物の赤外吸収スペクトル測定から,半水セッコウ中の水は二水セッコウ中に比べて水素結合性が低く,より自由水に近い状態で存在することを認めた。またその硫酸基に基づく吸収帯の分裂から,半水セッコウ中のSO42-の対称性は二水塩中に比べて低下しており,配位結合性が大きいことを認めた。
  • 島田 欣二
    1966 年 69 巻 5 号 p. 1029-1032
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ワラストナイト80%,粘土10~15%,リン酸アルミニウム,炭酸バリウム,酸化トリウム,ホウ酸鉛,酸化チタニウムおよび力焼タルクをそれぞれ5~10%配合して損失係数0.0015~0.0091(1Mc/secおよび2Mc/sec)をもつ低誘電体損磁器をつくった。これらの成分を湿式法で十分に混合し, 乾燥後500kg /cm2 でステンレス成形器中で加圧成形して1200~1290℃ で熟成させる。これら焼結体はほとんど0%に近い吸水率,気孔率を有し,ステアタイトあるいはホルステライトよりもすぐれた耐熱衝撃性をもっており, 20~600℃ における線膨張係数は4.8~9.5 ×10-6, 200℃ における熱伝導率は2.1~ 4.2× 10-3 cal/cm・sec・℃ である。
    なお,各種成分配合物の熱変化過程を示差熱分析により追究するとともに,焼結体の構成成分をX線回折によって検討した結果,主要構成鉱物はαまたβワラストナイトであることを明らかにした。
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