工業化学雑誌
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69 巻, 7 号
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  • 北川 徹三, 小林 義隆, 遠藤 瞭, 楠木 英吾
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1263-1267
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アンモニアの爆発危険性について研究を行なった。すなわち,エネルギー源として火花放電を用い,アンモニア-酸素-窒素系,アンモニア-空気-窒素系,アンモニア-酸素-ジクロルジフルオルメタン系,アンモニア-空気-ジクロルジフルオルメタン系の爆発範囲および,アンモエア-空気系について最小着火エネルギーを測定した。その結果は,常温,常圧下のアンモニア-酸素-窒素系における爆発臨界点の組成はアンモニア18.4,酸素13.4,窒素68.2vol%であり,アンモニア-酸素-ジクロルジフルオルメタン系においてはアンモニア30.0,酸素22.5,ジクロルジフルオルメタン47.5%であった。ジクロルジフルオルメタンを添加した場合には爆発に際し,ハロゲン化アンモニウムの生成が観察された。
    また,アンモニア-空気系の常温,常圧下における最小着火エネルギーを測定した結果は,アンモニア濃度19.5%に存在し,その値は170mJ で, 一般の炭化水素ガスなどに比較し, 非常に大きい結果を得た。
  • 山田 富明, 宮川 久司, 天野 杲
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1268-1272
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ョゥ化エチルの気相熱分解は, 次の2 段階を経て進行する。すなわち, まず4 中心の単分子分解反応によってエチレンおよびョ ゥ化水素を生成し, ついでョゥ化エチルとヨウ化水素とのョゥ素原子触媒反応によってエタンおよびョゥ素を生成する。これらのうち前者は全反応を律速する重要な反応であり,この反応の特徴を低圧領域での1次速度定数の圧力依存性によって明りょうにすることが本報の目的である。分解速度は,静置法によって,温度325.8℃において,圧力0.03ないし35mmHgの範囲で測定された。このような低圧での測定を可能にするために, 放射性ョゥ化エチルをもちいる新しい方法が提案され, すでに報告されている圧力法および分光光度法と併用された。圧力20 mmHg 以上では1 次速度定数は2.00×10-5sec-1 の一定値を示し, 既報の結果と良い一致を示した。しかしそれ以下の圧力では速度定数は減少の傾向を示し,0.03mmHgでは上記の高圧限界値の約17%になった。また, 本実験の条件下では, 放射性物質の使用によって反応速度が影響されないことが示された。
  • 鳥飼 直親, 笹本 忠, 首藤 昭郎
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1272-1277
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    溶融相のカルシウム・カーバイド生成反応における,生石灰の反応性について研究を行なった。
    反応装置は,試料を急熱,急冷でぎるように工夫された竪型タンマン炉を用い,アルゴン気流中,2000℃ で,生石灰ブリックと黒鉛粒子(10~20メッシュ)との間で,反応を行なった。
    生石灰試料は,産地の異なる3種類の石灰石から,15×15×25mmの大きさに切り出したブリックを,1000℃ と1300℃ で焼成して調製した。
    カルシウム・カーバイド生成反応の結果では,同種の石灰石を1000℃ と1300℃ で焼成した生石灰試料の間には,その反応性に,ほとんど明確な差異は認められなかった。
    また,異種の石灰石を1000℃ で焼成した生石灰試料を用いた場合にも,ほとんど似たような結果を得た。
    しかし,後者の場合,カルシウム・カーバイドが溶融する段階において,その速度に多少の遅速の相違が認められた。
    この現象は,生石灰試料中に含まれた不純物が,反応において融剤として働くために起こるものと思われる。
    以上の結果について,解析と検討を行なった。
  • 菅原 勇次郎, 山田 武敏, 相庭 辰雄
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1278-1281
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で明らかにされたように,成型硫酸処理法による活性白土製造に必要な条件は硫酸と混練し,成型後熟成反応を十分に行なうことである。かくすれば次の溶離処理と洗浄操作を成型状態に保持したまま能率よく行なうことができるという基礎的知見が明らかになった。(1)溶離硫酸はこれを全部一度に用いる(1回溶離)よりも,これをいくつかにわけて用いる多回式溶離が製品活性白土の品質が向上する。また,1回溶離の場合でも溶離後に直接水洗浄することなく希硫酸で洗浄した後,水洗浄すれば多回式溶離と同様に品質が向上する。このことは直接水洗浄すると鉄やアルミニウムの硫酸塩が加水分解をおこし,活性表面に沈着するのでこれを防ぐためである。(2)多回式溶離の際にあたらしい硫酸のかわりに活性白土製造時の硫酸処理母液を用いても最後にあたらしい硫酸で洗浄すれば(1)と同様,品質のよい活性白土が得られる。(3)はじめに酸性白土の硫酸処理母液で,つぎにあたらしい硫酸で処理して,この際得られる処理硫酸をつぎの処理工程に循環使用すれば品質の良好な活性白土が得られ,過剰の硫酸を必要としないので必要硫酸量が節約でき,かつ残留未反応硫酸の少ない濃厚な処理母液が得られ,これより副産物を回収するのに有利となる。
  • 酒井 鎮美, 林 銃吾, 石井 義郎
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1281-1285
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ニトロベンゼンまたはn-ブタノール中,ナトリウムフェノキシドまたはトリn-ブチルアミンを触媒(C)としてグリシドアミド(E)と置換フェノール(P)との反応速度を測定し,グリシドアミドの異常な反応性を検討した。
    ナトリウムフェノキシドを触媒とするn-ブタノール中の反応は,-d[E]/dt=-d[P]/dt=k2C0[E]なる2次式に従い,α>0の範囲でρ=-0.95であり, p - クロルフェノールとの反応の活性化エネルギーおよびエントロピーは20.6kcal/molおよび-9.4 e.u./molであり,これらの結果はフェニルグリシジルエーテルなど通常のエポキシドの反応と同様の遊離イオン機構で説明される。しかし溶媒をニトロベンゼンとするとフェニルグリシジルエーテルあるいはスチレンの反応と異なり,反応は,上記の2次式に従い, ρ=-1.6 となり, 3分子錯体機構あるいはエポキシドの酸素原子とフェノールの水素結合の関与する機構は適用できず,n-ブタノール中の遊離イオン機構の場合と同じ挙動を示した。
    トリ-n-ブチルアミンを触媒とする反応では,いずれの溶媒中でも,dP/dt≒0で,通常のエポキシドの第3アミンを触媒とする反応と異なり,フェノールとエポキシドの1:1付加生成物を生成せず,グリシドアミドの重合のみが起こった。これらの結果はグリシドアミドのアミド置換基の強い電子吸引性によるエポキシドの異常反応として説明される。
  • 千葉 耕司, 村上 毅臣
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1285-1288
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フタル酸カリウムを炭酸ガス加圧下で440℃ に加熱してテレフタル酸カリウムを製造するとき酸化亜鉛,酸化カドミウム,一酸化鉛および四三酸化鉄が顕著な触媒効果をしめし,ことに酸化カドミウムは常圧下でも顕著な触媒能を有する。これらはいずれも炭酸塩を形成することができ,かっNernstの近似式から算出した炭酸ガスの平衡圧(440℃)は比較的高いことから炭酸ガス加圧は触媒効果と関連するように思われるが,酸化亜鉛については加熱時炭酸ガスの吸収が認められない。塩化亜鉛および硫酸亜鉛も顕著な触媒能を有する。これらはフタル酸カリウムと反応しフタル酸亜鉛カリウムとして原料中に混合され,一部はテレフタル酸塩へ転位するが,大部分は加熱時に分解する。同様にフタル酸亜鉛を触媒として添加するときもフタル酸亜鉛カリウムを生ずるが,一部はフタル酸亜鉛のままで混入する。フタル酸亜鉛も加熱時に分解し酸化亜鉛を生ずると考えられる。酸化亜鉛の触媒能は他物質との混合によって阻害されることはすくない。
  • 千葉 耕司
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1289-1293
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フタル酸カリウムを酸化亜鉛を触媒とし炭酸ガス加圧下(60kg/cm2・G)440℃ に3時間加熱すると,主としてテレフタル酸カリウム(90mol%) を生じ, その他イソフタル酸カリウムおよびカルボキシル基の分子間転位によって生成したと思われる安息香酸,トリメリット酸,トリメシン酸,プレニット酸,ピロメリット酸,メロファン酸,ベンゼンぺンタカルボン酸等のカリウム塩が副生する。これらの確認は,これら混合酸のメチルエステルをガスクロマトグラフ分析する方法によっておこなった。また反応で発生するガスを水冷し, 得られる凝縮油を分別蒸留し, ついでアルミナを充てん剤としたカラムを用いて液体クロマトグラフ分析をおこない,ベンゼン,フェノール,ジフェニル,ベンゾフェノン,フルオレン,フルオレノン,9-フェニルフルオレン,トリフェニルメタン,トリフェニル,アントラキノンおよびキサントンを分離確認した。ジフェニルは比較的多量に生成しているがジフェニルカルボン酸類はまったく検出されなかった。ジフェニル, トリフェニルは転位反応系から外れた副生ベンゼンが脱水素し て生じたものと思われ,主反応である転位反応はイオン反応として進行しているものと考えられる。ケトン類は脱炭酸反応によって生成したものと類推され,また一酸化炭素が検出されるが,おそらく脱水素反応によって生じた水素が雰囲気の炭酸ガスと反応して生じたものであろうと思われる。
  • 千葉 耕司
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1294-1299
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化亜鉛を触媒とし加熱温度,時間および炭酸ガス圧力等をかえてフタル酸カリウムの転位反応をおこない,そのときの反応生成物組成の推移から転位反応機構を考察した。フタル酸カリウムの転位反応は融解にはじまり安息香酸,イソフタル酸,テレフタル酸, ベンゼントリカルボン酸類, ベンゼンテトラカルボン酸類およびベンゼンぺンタカルボン酸等のカリウム塩を生成する。反応の初期にはヘミメリット酸カリウムと安息香酸カリウムとを生じ,ついでトリメリット酸カリウムを生じてくるが,いずれも急速に減少する一方,テレフタル酸カリウムが増加してくること,およびフタル酸カリウムの減少速度はフタル酸カリウム濃度の自乗にほぼ比例したことからフタル酸カリウムは分子間で反応し, まずベンゼントリカルボン酸カリウムと安息香酸カリウムとを生じ,さらにテレフタル酸カリウムへ転化する反応が優先すると認められ,そのほかベンゼンテトラカルボン酸カリウムを経てテレフタル酸カリウムを生ずる経路もあると観察された。また反応ふん囲気の炭酸ガスを加圧するとフタル酸カリウムの転位反応速度が大となり,脱炭酸反応が抑制されることが観察された。
  • 米野 実, 飯塚 さつき, 難波 桂芳
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1300-1302
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    固体ロケット燃料または爆薬原料に利用することを目的とする高分子ニトロ化合物の研究の一部として,ニトロ基を有するいくつかのレゾルシンとジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびトリレンジイソシアネート(TDI)との反応について検討し,ニトロ基の影響についてしらべた。反応は,1,4-ジオキサンを溶媒とし,70℃ 等モルで行なった。改良Stagg法で未反応ジイソシアネートの定量を行ない反応を追跡した。反応開始後6~8時間までは,濃度の逆数と時間の間には直線関係が成り立ち,その勾配から2次反応速度定数を求めた。その結果,(1)ニトロ基の導入により反応速度は減少する,(2)触媒として,3価の鉄塩を加えたところ,レゾルシンとニトロレゾルシン類との反応性の差は増大する,(3)TDIはMDIに比べて反応性にとぼしい,(4)レゾルシンの2個の水酸基の間に存在するニトロ基が最も影響を与える,ことが判明した。
  • 堀内 浄, 岡本 能樹, 桜井 洸
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1302-1306
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭素数12~18の偶数の高級アルコールを原料とし, n - アルコキシメチルホスホン酸, およびn - アルコキシメチルホスホン酸モノエチルを次式にしたがって合成した。ROH+CH2O+HCl→ROCH2Cl+H2O(1),ROCH2Cl+P(OC2H5)3→ROCH2PO・(OC2H5)2+C2H5Cl(2),ROCH2PO(OC2H5)2+2H2O〓ROCH2PO(OH)2+2C2H5OH(3),ROCH2PO(OC2H5)2+H2O〓ROCH2PO(OH)(OC2H5)+C2H5OH(4)。得られた生成物の界面活性性状について先に報告したn-アルキルホスホン酸,およびn - アルキルホスフィン酸と比較検討した。
    アルキルホスホン酸, およびアルキルホスフィン酸は酸性では水に難溶で界面活性性状を示さなかったが, アルコキシメチルホスホン酸, およびアルコキシメチルホスホン酸モノエチルは中性, および酸性においても水に可溶で, しかもアルカリ性におけるよりも酸性で表面張力の低下能力がすぐれていた。すなわちドデコキシメチルホスホン酸はpH 11 で63dyne/cm , pH 3.4 で23dyne/cm,一方ドデコキシメチルホスホン酸モノエチルはpH11で33dyne/cm, pH3.7で23dyne/cmであった。
  • 丸茂 秀雄, 高井 誠, 斎藤 実, 二宮 守男
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1306-1309
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アラニン型,アミドアミン型およびジアミン型の両性界面活性剤の金属塩98種を合成した。それぞれ両性界面活性剤ナトリウム塩の水溶液に,無機金属塩の水溶液を加えて複分解を行なうと,両性界面活性剤の2個のカルボン酸が,1個の金属根に結合した中性塩の形の金属塩がえられる。ただしアミドアミン型のCa,Ba塩では第3報で報告したと同様に両性界面活性剤のカルボン酸4個が1個の金属根に結合した形の酸性塩がえられた。えられた各金属塩は水に不溶で,有機溶剤に可溶である。
  • 山瀬 威郎, 阿部 康夫, 下条 政尋, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1310-1315
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    すでに著者らはチオ硫酸基を有する染料が6-ナイロン,絹にきわめて堅ロウに反応性染色を行なうことを確かめたので,この基を4,6-ジ置換トリアジン型染料に応用し,4,6-ジチオスルファトトリアジニル基を有する各種染料を合成して,これらの反応性を検討した。また著者らが以前合成した各種置換基(塩素,エトキシ基,p-ニトロフェノキシ基およびフェノキシ基)を有する4,6-ジ置換トリアジン型染料と比較した。
    すなわち,まず4,6-ジチオスルファトトリアジニル基を有するモデル化合物を合成し,繊維のモデル化合物であるε-アミノ-n-カプロン酸およびn-ブチルアルコールとの反応を行なって,その反応性および結合様式について検討した。さらにこの置換基を染料に適用し,チオ硫酸基を有するアゾ染料およびアントラキノン染料を合成して,6-ナイロン(アミラン),絹およびビスコースレーヨンに対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。本染料の合成は,アミノ基を有するアゾ染料あるいはアントラキノン染料に塩化シアヌルを縮合させてジクロルトリアジニル基を有する染料を得,さらにこの染料とチオ硫酸ナトリウムとを反応させることによった。本染料を用いて,6-ナイロン,絹を酸性染色,ビスコースレーヨン,絹を中性染色し,アルカリ処理によって固着させた。なお繊維と未結合の染料はソーピングおよびピリジン,アセトン抽出によって除去した。染料の固着はすべて良好であったが,6-ナイロンでは特にすぐれており,またいずれの繊維にもスルホン酸基を有する染料が一般によかった。各置換基の反応性は大体において, 塩素> チオスルファト> p - ニトロフェノキシ> フェノキシ> エトキシの順であった。チオ硫酸型染料は繊維にかなりの反応性を示し,染料としても安定なので,反応性染料として有用である。これらの判定は肉眼によるもののほか, Kubelka - Munk 式のK/S 値より固着率を計算で求めた。色調は黄, だいだい, 赤, 紫および青色系統であり, 堅ロウ度は日光,洗タク,摩擦ともすぐれていた。染料-繊維間の共有結合生成の証拠は既報と同様の方法で,またその反応形式はモデル物質の反応により確めた。
  • 川崎 成武, 小水 秀男, 内田 隆
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1315-1319
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    ワックスを熱媒体として海水の塩水転換に利用するための基礎研究の一つとして,示差熱解析により,8種類の市販パラフィンワックスについて,その相変化を調べてみた。
    ワックスの示差熱曲線は一般に,融解と結晶転位による前融解との熱異常性を示す二つのピークを示した。示差熱解析の結果,ワックスの相変化における各温度ならびにそれに要する熱量とを次のように見出した。
    1)示差熱曲線の融解ピーク点における温度は,ワックスの平均炭素数に相当するノルマルパラフィンの融点と転移点(前融解点)との温度の間にあった。ワックスの前融解現象はノルマルパラフィンの転移温度よりもかなり低い温度にて開始した。また前融解と融解との現象は広い温度範囲にて生じた。
    2)測定されたワックスの融解熱は36から44cal/gの範囲にあった。この値はC24からC30の純粋ノルマルパラフィンの融解熱にほぼ近い値である。しかし前融解熱はおもに14から22cal/gの範囲にあり,ノルマルパラフィンの前融解熱よりも低い値であった。
  • 草間 潤, 石井 忠雄, 蓑田 孝彦
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1320-1323
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第1~第5報でHClガス法木材糖化の一連の某礎研究を,第6報では流動層を適用した場合の工業化試験結果などを報告したが,本報では流動層のもつ欠点を改良する目的で行なった気流法による中規模試験および工業化試験の大要についてのべた。中規模試験では内径13mm,長さ5,10,15mのガラス製気流管により気流吸着,気流糖化試験を行ない,工業化試験(1t原木/day)では内径28mmの気流管(長さ,反応管:15m,吸着および脱酸管:30,45m)を用いた。
    最も大きな問題は,流動層の場合と同様に,粒子の粘着性を防止して安定な連続気流操作を確立することであったが,ケイソウ土のような粘着性抑制剤を15~20%(対前処理乾材)添加することで完全に解決できた。HClガス流速15~40m/secで,気流吸着,気流反応,気流脱塩酸は良い結果を得た。糖化工程の所要時間は,熟成期間を考慮して,塩酸浸透:30~60分,HClガス吸着:1分以内,反応:10分,塩酸回収:2秒で合計40~70分程度であった。最適条件下では理論糖化率の95%程度の糖化率を得た。
  • 畠山 兵衛, 中野 準三, 右田 伸彦
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1323-1328
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エゾマツ脱脂木粉の過酢酸処理によって得られたコハク酸が,リグニンの化学構造のどのような部分から生成するかについて追究した。コハク酸のようなメチレン構造を有する化合物がリグニンの芳香核に由来すると考えるのは困難であり,リグニンの側鎖部分に由来するものと考えられる。この場合,起源構造としてはピノレジノール型構造を考えるのが最も妥当であるので,モデル化合物にデヒドロジフェルラ酸を選び,ほかにこれと対照するためにイソタキシレジノール,デヒドロジバニリルアルコールおよびエゾマツホロセルロースを用いた。各化合物の分解生成物を検索ならびに定量した結果から,コハク酸の起源構造を考察し,上記の推定が正しいことを明らかにした。
  • 渡辺 鋼市郎, 中村 亦夫
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1329-1331
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1N水酸化ナトリウムを用いて,セルロースグリコール酸ナトリウムの浸透圧を測定した。同時に, 従来行なわれている1 N 塩化ナトリウムによる浸透圧, [η] 1N NaOH および[η] 1N NaC1 の測定も行ない, それらの結果からんk', Km およびA2の値を求め, 1 N 塩化ナトリウムによる浸透圧測定は, セルロースグリコール酸ナトリウム分子が会合する可能性のあることを見出した。
  • 渡辺 鋼市郎, 中村 亦夫
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1332-1334
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    溶剤中でセルロースグリコール酸ナトリウムを製造するとき,2-プロパノール,アセトン,エタノールなどの極性溶剤を用いるのが普通であり,非極性溶剤を主体として製造した例はまだない。
    著者らは非極性溶剤のベンゼンに容積比で20~30%のエタノールを混合して極性を与え,その混合溶剤を用いてセルロースグリコール酸ナトリウムを製造し,極性溶剤を用リコール酸ナトリウムを製造し,極性溶剤を用いて製造した場合に比して,なんら遜色のない結果を得ることができた。いて製造した場合に比して,なんら遜色のない結果を得ることができた。
    また2-プロパノール水溶液を用いるときにも,容積比で30~40%のベンゼン,またはn-ヘキサンを加えて極性を小さくした方が,よい結果の得られることがわかった。
  • 坂口 嘉平, 長瀬 邦彦
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1335-1339
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビニルスルホン酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体,ビニルスルホン酸ナトリウムーアクリル酸ナトリウム共重合体により沈降性炭酸カルシウム懸濁液の凝集を行ない,各種市販の高分子凝集剤による凝集の結果と比較した。その結果,ビニルスルホン酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体はポリアクリルアミド加水分解物とほぼ同じような凝集性を示し,ビニルスルホン酸ナトリウム-アクリル酸ナトリウム共重合体は,ポリアクリル酸ナトリウムと同じような凝集性を示すことがわかった。これらビニルスルホン酸ナトリウム共重合体による凝集の本質的な特徴は,従来のカルボン酸凝集剤に比較して凝集作用がpHおよび無機塩の添加に対して影響されにくいという点である。
  • 坂口 嘉平, 長瀬 邦彦
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1339-1343
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビニルスルホン酸ナトリウム- アクリルアミド共重合体, およびビニルスルホン酸ナトリウム- アクリル酸ナトリウム共重合体によるカオリンおよび沈降性炭酸カルシウム懸濁粒子の凝集を,沈降速度,透過率(清澄性),最終沈降容積およびロ過速度を測定し,観察し,これら凝集性におよぼす分子量の影響を検討した。
    カオリン懸濁粒子の凝集において,ビニルスルホン酸ナトリウム-アクリル酸ナトリウム共重合体はほとんど凝集力を示さないが,高分子量のビニルスルホン酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体はすぐれた凝集力を示した。
    沈降性炭酸カルシウム懸濁粒子の凝集において,ビニルスルホン酸ナトリウム-アクリル酸ナトリウム共重合体は,ポリアクリル酸ナトリウムと同様にすぐれた凝集力を示した。ポリアクリル酸ナトリウムに比較して,ビニルスルホン酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体は,多少凝集力は劣るが,ポリアクリルアミドよりはすぐれている。
    ビニルスルホン酸ナトリウム共重合体の凝集力は,特に低重合度の領域において,アクリルアミドまたはアクリル酸ナトリウムの単独重合体よりも著しく大きく, また高重合度の領域においても一般に良好である。
  • 坂口 嘉平, 長瀬 邦彦
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1344-1346
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビニルスルホン酸ナトリウム単独重合体および共重合体の各種顔料,およびパルプに対する水中での分散剤としての効力を検討した。
    親水性顔料としてカオリン,疎水性顔料としてカーボンブラック,その中間として炭酸カルシウムを用いこれらの分散試験を行なった。ビニルスルホン酸ナトリウム単独重合体は親水性顔料の分散に対して良好な分散性を示し,ビニルスルホン酸ナトリウムと親水性単量体(アクリルアミド,アクリル酸ナトリウム)との共重合体も同様に良好な分散性を示した。疎水性顔料に対しては親水性のビニルスルホン酸ナトリウム単独重合体および共重合体は分散力がないが,親油性単量体(N-ビニルピロリドン,酢酸ビニル)との共重合体はすぐれた分散性を示した。一般に顔料分散剤としては分子量の大きくないものが有効であった。
    パルプ分散剤としては顔料分散剤とは逆に分子量の大きいものが有効であり,アクリルアミドおよびアクリル酸との共重合によって得られた高分子量のビニルスルポン酸ナトリウム共重合体がすぐれたパルプ分散性を示した。非イオン性のポリアクリルアミドはほとんど分散力がない。しかしビニルスルホン酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体はパルプ分散性を示し,またビニルスルホン酸ナトリウム-アクリル酸ナトリウム共重合体は,同じ極限粘度で比較するならば,ポリアクリル酸ナトリウムよりもすぐたたパルプ分散性を示すことがわかった。
  • 田中 啓一, 藤井 悦男
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1347-1350
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール(PVA)を含む水溶液中の臭化銀ゾルにおいて,PVAが臭化銀ゾルを凝集する力が最も大きくなる濃度を境として,この濃度以上にPVAを含むゾルと,これ以下のPVAを含むゾルとでは,PVAと臭化銀の相互作用,電解質添加のゾルにおよぼす影響等に異なる性質を示した。水溶液中に含まれるPVAの濃度が臭化銀を最大に凝集する濃度以下では,PVAの濃度が小さくなるにつれて,臭化銀ゾルの凝集は少なくなる。また電解質の凝析価はPVAの濃度が最大の凝集力を持つ濃度に近づくほど大きくなる。
    これに対して,PVAが最大の凝集力を持つ濃度以上に含まれているゾルでは,臭化銀粒子はほとんど凝集しなかった。また電解質の凝析価はPVA濃度の増加とともに大きくなった。
  • 土田 英俊, 安 景植, 八尾 巍, 篠原 功
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1351-1355
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高分子物質の摩擦帯電特性を測定するために摺動摩擦帯電測定装置を試作し,測定法を検討した。この装置は任意の雰囲気下,モーター軸にジョイントで接続した棒磁石(10mmφ×35mm, 8000Maxwell ) に付着させた一定量の鉄粉( 200mesh ) を定速度で摺動して試料表面を摩擦し,発生した電荷を回転セクター型電位計にて電位として測定するものである。試料は真空中3t/cm2の圧力で40mmφの円板状に成形したものを用いた。試料の化学構造,特に連鎖に導入された極性基と帯電特性との関係を飽和電荷の符号と大きさ,電荷生成曲線の形から検討することができた。帯電に最も影響する因子は雰囲気で,この種類,圧力によって飽和帯電量,電荷生成曲線の形状が著しく変化することを明らかにしたが,試料の履歴効果も極めて大きい。
  • 浅原 照三, 平野 二郎
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1355-1361
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として,水酸基溶媒の存在下でエチレンと四塩化炭素のテロメリゼーションを行なわせ(反応温度90℃,反応時間2時間,反応開始時の圧力39~220kg/cm2),反応生成物テトラクロルアルカンの収量と組成に及ぼす溶媒の効果を検討した。その結果,引き抜かれ易い活性水素原子を有する水酸基溶媒,たとえば,イソプロパノール,シクロヘキサノール, 第ニブタノールなどを反応系に添加すると, テトラクロルアルカンの重合度分布は著しく低分子側に移行し, テトラクロルプロパン( エチレン重合度=1 ) が多量に生成することがわかった。しかしながら, それと同時に多量の塩化水素が発生するこ とが認められた。この塩化水素の捕捉剤として有機アミン類,炭酸ナトリウム,エピクロルヒドリンなどを添加すると,上記の重合度分布の変化の傾向は大幅に抑制された。さらにまた,塩化水素の発生や重合度分布の変化に対する反応圧力の効果を検討し,反応圧力は上述の塩化水素捕捉剤と同様な効果を有することを認めた。さらにまた, 反応開始剤の種類( ベンゾイルぺルオキシド,塩化鉄(II)など)による効果や熱テロメリゼーションの効果についても検討を行なった。
    これらの実験結果から,これらの水酸基溶媒の効果は,テロメリゼーションの開始剤によって開始された水酸基溶媒と四塩化炭素のラジカル反応に由来することを推定した。
  • 和田 康夫, 小田 良平
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1361-1366
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メチレンビスウレタンと,スチレンを三フッ化ホウ素エーテル錯合体を触媒として,反応させるとテロメリゼーションが起こり,〓の混合物を得た。nの数は主として1および2からなる。テロマーとヘキサメチレンジアミンを減圧下に加熱して重縮合反応を進めると,ポリ尿素〓が得られる。m-クレゾール,ギ酸にのみ可溶の粉末で溶融して系に引くことがでぎる。n=1からのポリ尿素はmp260~288℃,[η]=0.27(25℃,m-クレゾール)である。
    アルカリ触媒下でのテロマーと,グリコールの反応では期待したポリウレタンは生成せず,テロマー単独でアロファン酸エステル型の結合で縮合したエタノールに易溶の低分子量縮合物を得た。
    また, N, N'-ビスエトキシカルボニル-1-フェニルプロパン-1, 3-ジアミンのアルカリケン化により得られる4- フェニル-2-オキソ-ヘキサヒドロピリミジンと,ホルムアルデヒドからメチレンエーテル結合で縮合した置換プロピレン尿素-ホルムアルデヒド型縮合物を得た。
  • 竹本 喜一, 菊池 保夫, 井本 稔
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1367-1371
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ビニルとアクリル酸およびメタクリル酸との共重合を,主として30~50℃ の範囲内にてベンゼン溶媒中で検討した。共重合体の組成は,おこなった実験範囲内において単量体の仕込み組成比とくらべていずれも塩化ビニルのモル分率が少なく,また単量体組成中の塩化ビニルのモル分率が増加するとともに,重合速度はかなり減少することが見られた。また,反応時間とともに,共重合体組成は変化し,塩化ビニルの導入モル分率が増加する傾向が示された。生成共重合体の粘度測定では,とくに塩化ビニルのモル分率の少ないものについては,高分子電解質的な特異な傾向が示されたが,これはアクリル酸との共重合の場合にとくにいちじるしい。
    塩化ビニル(M1) とアクリル酸(M2) およびメタクリル酸(M2') との単量体反応性比は40℃ においてそれぞれr1 = 0.027, r2=8.2, r1=0.025, r2'=36ともとめられ,この値からQ2=1.22, e2=+1.7;Q2'=1.64,e2'=+0.53の値が算出された。さらに共重合体の分別をおこなったほか,アクリル酸との共重合体については二,三の物性の測定を行なった。
  • 井本 立也, 小郷 良明, 後藤 誠司, 三谷 倶正
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1371-1374
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スチレンとクロトンアルデヒドとの高圧共重合を,100℃,1~1000kg/cm2で行なった。得られた生成物についてはその分析値よりFineman-Ross法によって共重合比r1,r2を求めた。全重合速度, 生成共重合物の分子量およびr2 は圧力の増加に伴って増大するが, r1 は圧力に影響されないことが明らかとなった。生成ポリマーは白色の粉末で,クロロホルム,ベンゼン,トルエンおよび四塩化炭素に可溶であり,その赤外吸収スぺクトルから,その構造はカルボニル基が側基となっているものと考えられる。
  • 松井 裕, 橋本 哲樹, 三枝 武夫, 古川 淳二
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1375-1382
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジエチル亜鉛-多価アルコール系触媒によるアルキレンオキシドの重合について研究した。多数の多価アルコールとジエチル亜鉛との反応生成物の触媒活性をしらべた結果,この触媒系には,ジエチル亜鉛-1価アルコール系触媒よりも,はるかに活性の強いものがあることが見出された。この触媒活性は, 一般に, ( ZnEt2のEt基) / ( 多価アルコールのOH ) の比が1/1 のとき最高収率を示し,その触媒活性は高く,今までのアルキレンオキシドの重合触媒として,最もすぐれたものの一つであるところの,ジエチル亜鉛- 水系のそれにほぼ匹敵する。有効な多価アルコールとして, 1, 3-プロピレングリコール, 1, 3-ブチレングリコール,1,4-ブチレングリコール,ショ糖パルミテート等が挙げられる。
    ジエチル亜鉛と多価アルコール類は, ジエチル亜鉛と1 価アルコールの場合よりも, 複雑な化合物をつくる可能性がある。著者らは主にグリコールの場合について, 種々のモル比のもとに反応させたモデル化合物を合成して, 触媒活性種の探索を試みた。
    その結果, この触媒系の活性種は, 1 分子中にEt-Zn 結合と, 別の亜鉛原子による, Et 基の結合していないO-Zn-O 結合の両者が,ともに存在する所の,一般式Et-[-ZnORO-]n-H,n>2で表わされるものであることがわかった。
  • 北川 嘉三, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1382-1388
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    BF3O(C2H5)2を触媒として3,3-ビス(クロルメチル)オキサシクロブタン(BCMO)の重合の速度論的研究を,ニトロベンゼンおよび塩化エチレンを溶媒として30℃ で行なった。重合速度はニトロベンゼン中の方が大であった。ニトロベンゼン溶媒中では重合速度は近似的に次式で示され,生長イオン濃度について定常状態が成立する。
    Rp=k[C]1[H2O]0[M]2
    塩化エチレン中では生長イオン濃度について定常状態が成立せず, 触媒濃度の反応次数が1 よりかなり大きい値を示した。いずれの溶媒を用いても生成ポリマーの重合度はモノマー濃度に比例し,モノマー移動反応の存在しないことを示した。また上述の速度式からBF3触媒と異なり,この系ではモノマーと触媒との直接の反応によって開始反応の起こることが推定された。
    一方,BF3O(C2H5)2を触媒とするトリオキサンの重合系に少量のBCMOを添加すると,トリオキサンの重合速度が著しく低下することより,BCMOの生長イオンの反応性が,トリオキサンのそれに比して,著しく小さいことが明らかとなった。これよりBCMOの生長末端は従来考えられているようにオキソニウムイオンであることが推定された。
  • 酒井 鎮美, 田中 広昭, 石井 義郎
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1388-1393
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化スズ(IV) を触媒(C0) とする環状エーテル(E) と, 塩化アセチル(A) との開環反応の見掛けの反応速度は, 2 - メチルテトラヒドロフラン>テトラヒドロフラン>2-クロルメチルテトラヒドロフラン>テトラヒドロピランの順であり,見掛けの反応速度は-d[A]/dt∝C0[A][E]α で表わされ, ジクロルエチレン中の反応のα はそれぞれ-0.2±0.2+0.12±0.04,0.80±0.08および-0.22±0.07となった。また臭化アルミニウムはほとんど触媒活性を示さなかった。反応試薬溶液の電気伝導度測定およびNMR測定結果より,この反応を,(i)環状エーテルの配位による触媒の不活性化平衡反応,アシリウムイオンと環状エーテルよりオキソニウムイオンを生成する平衡反応と,(ii)オキソニウムイオンと塩化アセチルのSN2的開環反応を仮定し,速度式を誘導して実験結果を考察し,また環状エーテルの塩基性,および2-置換基および環歪による開環反応性の2因子の寄与を考えて結果を検討した。
  • 西崎 俊一郎
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1393-1395
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリピロメリットイミドIのフィルムは水酸化カリウム水溶液で,室温で加水分解をうけて,急速に脱色して無色透明なフィルムとなる。IR スぺクトルの結果によれば, ピロメリタミック酸III のカリウム塩II を生じて, これは酸処理で容易に酸型ポリマーになり, 加熱によってもとのポリイミドになる。加水分解の速さを脱色速度で比較すると, つぎの順である。
    KOH>NaOH>LiOH
    塩型ポリマーIIは金属塩類水溶液により,陽イオン交換を行ない,IIIは水酸化カリウム水溶液から,カリウムイオンを交換吸着し,弱酸性陽イオン交換樹脂としての作用をあらわすことを明らかにした。
  • 藤田 英夫
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1396-1400
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    交流高電圧に長期間曝らされたときの油浸紙絶縁体の破壊電圧(交流長耐)は,工業上その品質安定性を保証する最も重要な特性の一つであって,この種破壊電圧特性への絶縁紙の乾燥程度の影響を,ケーブルモデルおよび実ケーブルによって検討した。
    特にこの研究のために,油浸紙の交流長耐特性や含浸油化学組成の影響等を調べる研究室用モデルとして,サブミニチュア・ケーブルを開発し,その性能をモデルの構成面,含浸油への溶解ガス,油圧の面から検討した上で,絶縁紙の残留水分の影響,乾燥度の影響をしらべて次のことを確認した。
    (i)平衡蒸気圧法による紙の残留水分が0.1%以上になると,交流長耐は大きく低下していく。この水分範囲では含浸した絶縁油の化学組成の影響はみられない。
    (ii)紙の残留水分が0.1%以下となる状態でも,100℃ よりは120℃ で長時間乾燥して,多少の熱劣化を起こしてまでも完全な脱水を行なった方が交流長耐の上昇することを見出し,高度乾燥をした油入ケーブルにおいて総合性能が明確に改善することを確認した。
  • 藤田 英夫
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1401-1405
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ケーブル絶縁油を高電圧に曝らした際のガス発生挙動に関する前報までのガス試験結果と,それらの油を含浸した油浸紙の交流長時間破壊電圧特性との関係を,油の化学組成面について油浸紙ケーブルモデルにより確認した結果である。
    絶縁油に芳香族留分が多く含まれているほど,ガス試験では水素ガスを多く吸収するし,油浸紙の交流破壊電圧・時間特性は高くなる。また芳香族性が同一であっても飽和留分からのガス発生の少ない油ほど,若干ながら長時間の電圧印加で破壊する破壊電圧値は高くでて,油の芳香族性のみならず,鉱油の骨格構造が2次的に影響することを知り得た。
    このように,絶縁油のガス試験結果からその油を含浸した油浸紙の交流長時間破壊電圧特性が推察しうることを実験上証明するとともに,絶縁油からのガス発生によって,油浸紙が絶縁破壊するに至る過程につき考察を加え,従来のガス試験結果の判定法における誤りを指摘した。
  • 坂井 史明
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1405-1409
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    工業的に利用可能な硫酸アンモニウム塩溶液中での過マンガン酸カリウムによる羊毛繊維の新しい防縮加工法について検討し,硫酸アンモニウム塩濃度の過マンガン酸カリウムと羊毛繊維の反応速度への影響は,主としてその溶液のpHと酸化電位,および羊毛繊維の溶液中での膨潤度の差に基く反応の位置,すなわち繊維表面cuticleと内部のcortexの反応性の相違により説明が可能であり,特に従来繊維横断切片での観察よりcuticleの方がcortexよりも反応性に富むとし,これを繊維状の場合にもあてはめていたのに対し,反応生成物である二酸化マンガンの羊毛繊維小切片上の析出状態より,明らかに逆にcortexの方がcuticleよりも早く反応することを見出した。
    シスチン結合をより安定な結合に変えた後, 過マンガン酸カリウムで処理すると防縮効果は減少し, 防縮に対するシスチン結合開裂の重要性がこの処理においても認められた。
  • 本里 義明, 江川 博明
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1410-1413
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アニオン交換布の製造を目的として,ビニロン布のエピクロルヒドリンによるエーテル化と,エーテル化布のアミノ化について検討した。数種の触媒を使用し,エーテル化の条件を検討した結果,ビニロン布を10~12.5%硫酸に浸漬し,液を布に対し150~200%付着させ,十分乾燥した後,エピクロルヒドリン中に浸漬してエーテル化するのが適当であった。エーテル化布のアミノ化は容易であり,トリメチルアミンによるアミノ化により中性塩分解能0.9~1.1meq/gのアニオン交換布が,またメチルアミン,エチレンジアミンおよびその他のポリエチレンポリアミンによるアミノ化により,総交換容量1.0~2.5meq/gのアニオン交換布が得られた。また,上記トリメチルアミン,メチルアミンでアミノ化して得られたアニオン交換布はリボ核酸に対し,10~12mg/gの吸着量を示し,吸着された核酸も温和な条件で容易に脱着されることが見いだされた。
  • 橋本 静信, 山下 隆之
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1414-1416
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 明石 博吉
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1416-1417
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 高瀬 慎一郎, 出村 哲夫
    1966 年 69 巻 7 号 p. 1417-1418
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 7 号 p. A71-A79
    発行日: 1966/07/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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