工業化学雑誌
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69 巻, 8 号
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  • 長谷部 信康, 北川 稔, 正宗 有三, 服部 達雄
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1419-1425
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シーボード法やガーボトル法のように公害のおそれもなく, サイロックス法やジャンマルコ- ベトロコーク法のように有毒物質使用による危険もない,すぐれた脱硫効率を有する湿式脱硫法の開発をこころみた。研究方針としては,酸化法湿式脱硫プロセスにおける新触媒物質の発見を目指し,各面からの探索を続け,1,4-ナフトキノン-2-スルホン酸ナトリウムがきわめて優秀であることを確かめた。
    ついで,基礎実験の成績を検討した結果,99%以上の脱硫効率を得ることが容易なことを確認し,中間実験を実施して,工業化に必要な諸条件を求めた。また,硫化水素の濃度が大で,しかも比較的高濃度の炭酸ガスが共存する場合にも,きわめて満足すべき脱硫効率を得た。さらにその場合は吸収液のアルカリ・メジウムとしてはアンモニアよりも炭酸ナトリウムが適当であることを明らかにした。
    また,本脱硫法による回収副生イオウは有毒物質を含まない良質なものである。
  • 長谷部 信康, 北川 稔, 藤倉 菊太郎, 窪田 栄光
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1425-1429
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報の基礎実験,中間実験につづいて実施した操業実験では,石炭ガス,熱分解油ガス(高H2S,高CO2)を処理して99%以上の脱硫効率が得られた。従来使用されていたサイロックス法の装置に若干の改造を加えて実験を行なった。実験途上装置に基因する小さなトラブルを二,三経験したが,いずれも完全に解決することができ,工業化への確信を得るに至った。
    また,副生イオウの性質を考慮し,その回収法を検討して,良質の回収イオウを得ることを可能にした。
  • 松本 昭, 石野 俊夫
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1430-1435
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    四塩化ケイ素と亜鉛の蒸気を別々に反応管に供給して,気相反応による還元反応の各種条件を検討した。この結果,(1)950℃ 以上の反応温度において,四塩化ケイ素と亜鉛の各反応率およびケイ素生成速度はほぼ一定の値を示した。(2)それらの反応率は原料2成分の混合比の変化に比例して直線的に変化した。またケイ素生成速度は四塩化ケイ素過剰の場合よりも亜鉛小過剰の方が高い。(3)供給ガス中の亜鉛蒸気の分圧および供給ガスの滞留時間に関する解析の結果から,亜鉛の供給速度は約1.3mol/hr以上で四塩化ケイ素は化学量論比よりも少し低い供給速度がケイ素生成速度に対して適当であった。(4)ケイ蒸は供給ガス流速により析出状態が変化し,高流速では大きい樹枝状結晶,低流速では細い針状結晶が析出した。(5)副反応によるケイ素のエッチングはきわめて少なく,還元反応にはほとんど影響していない。
    そして反応機構について考察した結果,還元反応は均一系の気相反応であり,四塩化ケイ素分子と単原子分子の亜鉛蒸気の直接衝突による反応であると推定した。
  • 田村 英雄, 石野 俊夫
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1435-1440
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    含鉄廃硫酸の電解再生についての実験結果について報告する。この方法の目的は廃酸から鉄は金属鉄として回収し,硫酸は再使用に適する濃度にまで濃縮精製することにある。実験用の電解槽は2室になっていて,アニオン交換膜で境をし,その一方に鉄陰極を,他方に鉛陽極をおく。適当な塩基で酸性度を調節した廃硫酸を陰極室へ入れ,陽極室へは希薄純硫酸液を入れる。この方法で重要な要因は陰極液の酸性度,陰極液の緩衝剤,電流密度,交換膜の特性および通電量などである。数種の交換膜について試験したが,セレミオン-DMTが優れていた。
    セレミオン-DMTを用いて,pH=2の酸性陰極液を4A/dm2の電流密度で電解した場合のデータによれば,理論電気量の95%を通じたとき鉄は電流効率70%以上で陰極上へ析出し,硫酸は85~95%の高電流効率で陽極液へ移った。この場合陰極液すなわち廃硫酸は電解前に酸化マグネシウムでpH=2に調節してあったが,電解処理後もpHは3以下に保持されていた。
  • 神谷 精吾, 田村 英雄, 石野 俊夫
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1441-1444
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリ-n-オクチルアミン(TOA)塩酸塩または硫酸塩のケロシン溶液による塩化物または硫酸塩溶液からのバナジウム(V)の抽出および逆抽出について実験し,次の結果を得た。
    抽出前の水相のpH値が低いとV抽出率は低いが,pHの上昇とともに急激に抽出率は増大しpH3付近で97%に達した後,pH11まではほぼ一定である。低pH領域で抽出率が低いのは,この領域で抽出不能の陽イオン種が生成するためである。抽出の際の水相のp H 変化からTOA 塩酸塩の加水分解定数としてlog Kh=-3.2 を得た。
    水相のV 初濃度が10 mmol/l 以下になると抽出率は減少するが, 10 ないし160 mmol/l の間ではV 初濃度は抽出率にほとんど影響しない。有機相の飽和V濃度は,平衡時の水相のpHによって変化し,pH4.24ではTOA濃度の1.7倍,pH1.99では2.4倍であった。後者の値からは抽出種が(R3NH)4-H2V10O28であると推定される。有機相のTOA濃度が低いときはV抽出率は低いが,3.5mmol/l以上ではTOA濃度は抽出率にほとんど影響しない。
  • 武内 次夫, 鈴木 義仁, 木原 清
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1445-1448
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフ法によって市販精製カルバゾールおよびゾーンメルティングによって精製したカルバゾール中の不純物の定性,定量法を研究した。従来,有機固体試料中の微量不純物の分析を行なう際には試料を溶媒にとかして注入する方法が一般に採用されているが,著者らは溶液注入に優る固体粉末注入法を考案した。粉末試料を注射器の毛細管金属部に入れ,ガスクロマトグラフ注入口に差し込み,キャリヤーガスを流入させると試料は微粉となって注射器円筒中に浮遊する。つぎに円筒中のキャリヤーガスと共に,ただちに試料をガスクロマトグラフに注入する。この方法によれば溶液注入法に比して多量の試料の注入が容易であり,溶媒によるテイリング等がないため,溶媒の沸点に比較的近い低沸点微量不純物の検出が可能となる。また溶媒を使用しないためカラム中での試料の瞬間気化が行なわれ,したがって分離カラムの理論段数が増加し,ピークの分離を向上させることができた。不純物の同定にはアピエゾングリースL 5 % ( 担体セライト545, 80~100メッシュ) 1.5 m カラムの保持時間とPEG-20M2%(担体セライト545,80~100メッシュ)1.5mのカラムの保持時間を使用した。定量分析においてはPEG2%1.5mカラムをもちいて内部標準被検成分追加法によって行なった。その結果不純物として市販精製カルバゾール中にはアントラセン等15成分が存在し,純度は98.52%であり,このものをゾーンメルティングによって精製すると極微量不純物として4成分が認められる程度に減少し,その純度も99.90%となることを明らかにした。
  • 鴻巣 久雄, 益子 洋一郎
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1449-1454
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    鴻巣久雄・益子洋一郎各種製造工業において発生する有機工業薬品の蒸気には有害または爆発の危険性を伴うものが多数ある。さきに,これらを迅速簡易に定量する目的で試作した非分散型紫外線ガス分析計は,紫外領域に吸収を示さないガス中に混在する紫外吸収をもつ成分の濃度測定用装置である。試料としてはギ酸メチル,ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,臭化エチル,ジエチルアミン,n-ブチルアミンについて測定し,これらの検量線を作成した。その結果,本分析計はジエチルアミンの6ppmからギ酸メチルの6vol%までの広範囲にわたる試料濃度について適用することができた。ギ酸エチルの濃度137ppmおよび2.74vol%における透過率測定値の変動係数はそれぞれ0.023および0.016%であった。測定所要時間は1分以内で,操作も簡単である。
  • 今村 寿一, 石岡 領治, 佐藤 章八, 太田 暢人
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1454-1458
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    反応温度20~70℃,常圧でプロピレンの過酢酸酸化反応(酢酸溶媒)につき研究し次の結果を得た。
    (1)反応温度50℃ 以下では本反応により高選択率でプロピレンオキシド(PO)が生成するが,反応速度はおそい。反応温度50℃ 以上では温度の上昇とともに多量の炭酸ガス,メタンより成るガス生成を伴う副反応とPOの酢酸によるエステル化が起こり,PO選択率は急激に低下した。このガス生成反応は過酢酸の熱分解と,PO生成反応で生成するCH3COO・ラジカルの分解に基くものと考えられた。
    (2)この反応系でのPOのエステル化は過酢酸により影響をうけない。エステル化の反応速度定数は過酢酸の熱分解のそれよりはるかに大ぎく,15℃ で60倍,70℃ で5倍であった。
    (3)30℃ において各種重金属イオン,無機酸などの触媒効果を調べた。タングステン酸,モリブデン酸アンモニウムおよび無機酸はエポキシ化速度を増大させる点でやや有効であるが,後二者特に無機酸はエステル化も著しく促進し,PO生成に有効と認められるものはタングステン酸のみであった。
  • 今村 寿一, 石岡 領治, 佐藤 章八, 太田 暢人
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1459-1462
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    プロピレンと過酢酸の加圧反応(酢酸溶媒)につき研究し,反応温度20~50℃ では高収率でプロピレンオキシド(PO)が得られることを認めた。
    エポキシ化の速度はプロピレンおよび過酢酸の濃度に関して1次であり,30℃ における反応速度定数は5.0~5.2×10-3l/mol・minであった。また活性化エネルギーは12.8~10.2kcal/molであった。
    本反応における主な副反応はP O の酢酸によるエステル化反応であるが, この反応の速度定数はエポキシ化速度定数の1/6 ~1/10であり,活性化エネルギーは6.3kcal/molであった。それゆえ,収率よくPOを得るには反応温度40~50℃ が望ましいことを認めた。
    エポキシ化反応に有効は触媒は見当らず,よた本反応の溶媒としては酢酸,ベンゼン,四塩化炭素がすぐれており,メタノール,アセトンなどではエポキシ化速度が低下した。これらの溶媒効果は,プロピレンの溶解度と溶媒による水素結合に基づく過酢酸の活性化あるいは不活性化によって説明された。
  • 藤堂 尚之, 栗田 穣, 萩原 弘之
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1463-1466
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    オキシクロリネーションにおける触媒の活性およびその反応機構に関する知見をうるために,アルミナ,シリカおよびセライトを担体とし,これに種々の金属塩化物を担持した触媒をもちいて,ディーコン反応とオキシクロリネーション反応を検討した。
    ディーコン反応活性の最も高い塩化クロム(III)触媒のオキシクロリネーション活性は最も低い。また塩化銅(II)触媒の260℃における転化率はオキシクロリネーションの93%より著しく低く,1%以下であった。担持塩化銅(II)触媒の反応条件下における状態のX線回折測定によれば,塩化銅(II),塩化銅(I)が共存し,しかも塩化銅(I)の比率は反応温度が高くなると増加した。これらの事実はオキシクロリネーション反応が,次に示す二段酸化還元反応で進むことを示し,律速段階は低転化率のときは反応(1)であり,高転化率になると反応(2)に移ることを意味している。
    2CuCl2+C2H4→CH2ClCH2Cl+Cu2Cl2(1)Cu2Cl2+2HCl+1/2 O2→2CuCl2+H2O(2)
  • 武上 善信, 上野 徹, 藤井 隆雄
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1467
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化鉄(III)-LiAlH4系オレフィン水素添加触媒はエーテル系溶媒中で良好な活性を示し,その活性はLiAlH4/FeCl3モル比に依存している(モル比1.0~1.2が最適)。エーテル系溶媒中の触媒の活性をスチレン水素添加について比較すると,ジ-n-ブチルエーテル>ジエチルエーテル~ テトラヒドロフラン(THF)>ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)>ジオキサンであり,また一定触媒量で水素添加できるスチレンの量を比較すると,DGM>ジ-n-ブチルエーテル>THF>ジエチルエーテル>ジオキサンである。
    本触媒系の溶媒としてトルエンのような炭化水素溶媒を用いた場合は活性な触媒は生成しないが,これに少量のTHFを添加すると活性な触媒が生成した。したがって本触媒系にはエーテル系配位子が必要であると考えられる。しかしピリジン,トリフェニルホスファイトなど塩基性の強い配位子を添加すると活性が低下した。
  • 千葉 耕司, 除村 彰, 河西 正勝
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1470-1473
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭酸ガス雰囲気中, 酸化亜鉛を触媒としてイソフタル酸カリウムと安息香酸カリウムの転位反応をおこなった。イソフタル酸カリウムからテレフタル酸カリウムへの転位反応の最適条件はフタル酸カリウムのそれにほぼ一致するが,テレフタル酸カリウムの生成速度はフタル酸カリウムにおけるよりも小さい。イソフタル酸カリウムの転位反応においても主としてテレフタル酸カリウムを生ずるが, そのほか安息香酸, フタル酸ベンゼントリカルボン酸およびベンゼンテトラカルボン酸のカリウム塩を生ずる。安息香酸カリウムの転位反応は安息香酸カリウム2molからテレフタル酸カリウム1molおよびベンゼン1molを生ずる不均化反応が主体であり, そのほか比較的多量のフタル酸カリウム, 少量のベンゼントリカルボン酸カリウムおよび痕跡量のベンゼンテトラカルボン酸カリウムを生ずる。安息香酸カリウムの転位反応速度はフタル酸カリウムないしイソフタル酸カリウムに比して小さい。なお, 酸化亜鉛を触媒とするイソフタル酸カリウムないし安息酸カリウムの転位反応においても, フタル酸カリウムの転位反応におけると同様,雰囲気の炭酸ガスを加圧するとテレフタル酸カリウムの生成率をまし,同時に脱炭酸反応が著しく抑制される。
  • 千葉 耕司
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1474-1478
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フタル酸カリウムの転位反応における反応雰囲気としての炭酸ガス加圧の影響, および転位触媒と炭酸ガスとの関係を調べ, 触媒の作用形態を考察した。触媒を添加しないでフタル酸カリウムの転位反応をおこなうとき, 炭酸ガスの圧力をかえても, また窒素ガス中でも転位反応速度はほとんど変化しない。したがって炭酸ガスのみでは転位反応自体には参与しないものと考えられる。フタル酸カリウムと酸化亜鉛との混合物( モル比1.12 : 1.00 ) を炭酸ガス130kg/cm2・G で400℃ に加熱したところ若干の質量増加が認められ,また炭酸カリウムと酸化亜鉛との混合物(モル比1.1:1.0)を炭酸ガス54~57kg/cm2・Gで440℃に15分間加熱すると炭酸ガス約40mol%(対酸化亜鉛)を吸収した。これについてX線回折試験をおこない炭酸亜鉛カリウムが生成していることが推察された。加熱工程でフタル酸カリウムが一部分解して生じた炭酸カリウムと酸化亜鉛触媒とが反応して炭酸亜鉛カリウムを生じ, 炭酸亜鉛カリウムが触媒作用を営むものと考えられる。このことから炭酸ガス加圧下で酸化亜鉛が顕著な触媒効果をしめすことがよく理解できる。
    同様に炭酸カリウムと酸化カドミウムとの混合物は常圧炭酸ガス中440℃ でも炭酸ガスをよく吸収し, 炭酸カドミウムカリウムが生じていると推察された。一方, 炭酸ナトリウムと酸化亜鉛との混台物は炭酸ガス55kg/cm2・G,440℃ で炭酸ガスを吸収しない。
  • 西村 幸雄, 田中 武英
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1478-1483
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    オレフィンとホルムアルデヒドとの反応について知見を得るために, 2-メチル-1-ペンテンおよび-2-ペンテンのプリンス反応を検討した結果,主生成物として4-メチル-4-プロピル-1,3-ジオキサンおよび4,4-ジメチル-5-エチル-1,3-ジオキサンが得られること,二つのオレフィン間に反応性の差は,ほとんどないことを認めた。また,1,3-ジオールは,ほとんど生成せず,水和反応による2 - メチル-2-ペンタノールの生成は, 2-メチル-1-ペンテンの場合の方が著しいこと, さらに, 2 - メチル-1-ペンテンの場合は,2-メチル-2-ペンテンへの異性化が起こり,反応温度が高くなるにつれて,4,4-ジメチル-5-エチル-1,3-ジオキサンの生成割合が増すことを認めた。さらに,動力学的研究の結果,1,3-ジオキサンの初期生成速度は,オレフィン,ホルムアルデヒド初濃度に関して一次であることがわかった。
  • 石川 延男
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1484-1487
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p - (I), o-(II), 3, 4-ジ- (III) および2, 5-ジクロルニトロベンゼソ(IV) の非プロトン性極性溶媒中でのKF によるフッ素化について研究した。溶媒として用いたDMF,DMSO,DMSO2(ジメチルスルホン),TMSO2(テトラメチレンスルホン)およびNMP(N-メチル-2-ピロリドン)のうちではDMSOがもっともよい結果を与えた。KF(2.Omol)/DMSOにより2時間でIは57%, II は53% がフッ素化され, CsF(1.1mol) / DMSO を用いるとそれぞれ100 および96% であった。I~IV をKF(2.0mol) / DMSO でフッ素化したときの主生成物, 最適反応時間および収率はつぎのようであった。I, p-フルオルニトロベンゼン,5 時間, 80 % ; II, o-フルオルニトロベンゼン, 5.5 時間, 61% ; III, 3-クロル-4-フルオルニトロベンゼン, 1 時間, 84% ; IV,5-クロル-2-フルオルニトロベンゼン, 2時間, 32%。反応時間を長くすると, とくにo-クロルニトロ化合物のばあい, ニトロチオアニソール,ジニトロジフェニルェーテル,あるいは,低沸点物などの副生成物が増加する。これらの生成機構について推定した。
  • 庄野 達哉, 鳴井 衛, 奥 彬, 小田 良平
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1488-1490
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シス-1, 2-シクロプロパンジカルボン酸塩化物をソジウムボロハイドライドで還元して, 2-ケト, 3-オキサビシクロ[3.1.0] ヘキサン[I]を合成した。しかし,この還元においては,1,2-ジメチロールシクロプロパンが副生した。次にシス-1,2-シクロプロパンジカルボン酸モノメチルエステル, モノ酸塩化物を同様に還元して[I] を良い収率で得た。[I] は重合性を示さないが,これは5 員環ラクトンの一般的性質である。またこのラクトン[I] を, ヒドラジンヒドラートで処理して得られるヒドラジドから,クルチウス法により環状ウレタン[V]を合成した。さらにこれらと同様な操作をトランス異性体について行ない,[I]に相当するオキシ酸エステル[VII]および[V]に対応するポリウレタンを合成した。このポリウレタンの対数粘度は0.23であった。また[VII]から得られたポリエステルの対数粘度は0.14であった。
  • 野市 勇喜雄, 守谷 一郎, 小幡 成美, 藤田 英夫, 川西 勝
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1491-1494
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    塩化銅(I)の存在において,ジアゾメタソは2-メチルフランと反応して,2種のモノ付加物,および1種のジ付加物,すなわち,1-メチル-2-オキサ-ビシクロ[3,1,0]-Δ3-ヘキセン(II),3-メチル-2-オキサ-ビシクロ[3,1,0]-Δ3-ヘキセン(III),1-メチル-2-オキサ-トリシクロ[4,1,0,03,5]ヘプタン(IV)を与えた。IIとIIIの生成比は1.5対1であった。
    また,ジアゾ酢酸メチルエステルは銅粉の存在下に2-メチルフランと反応して,6-オキソ-2,4-ヘプタジエン酸メチルエステル(VI)を与えた。この事実はメトキシカルボニルカルベンがメチル基を持たない二重結合を攻撃して,中間体であるシクロプロパン誘導体を与えるが,反応条件下では不安定であって,開環転位して,VIを生成したことを示唆している。
    すなわち, 2 - メチルフランへのメトキシカルボエルカルベンの付加反応はベンゼン環の場合に類似して, 立体効果に支配されることが示された。
    新化合物II,III,IV,VIの構造はNMR,IR,UVおよび元素分析で確認した。
  • 斎藤 俊英, 近藤 五郎, 小篠 善雄, 林 正子
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1494-1497
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成洗剤,アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)を含有する用水,廃水の発泡の抑制を目的として,ABS希薄水溶液の発泡現象について研究を行なってきた。
    本報告では, ABS による発泡に対するアルキルイソチウロニウム塩およびその他の各種薬剤の抑制作用について検討し, さらにイソチウロニウム塩を用いるABS の発泡の抑制に対する各種因子の影響についても研究した。
    ついで, ABS とイソチウロニウム塩との反応について研究した。その結果,(1)50ppm ABS溶液に対して,2ppmのエチレンジイソチウロニウム臭化水素酸塩または塩化水素酸塩を添加することにより,発泡を完全に抑制しうる。(2)ABSの発泡に対するイソチウロニウム塩の抑制作用は,検水のpHによって大いに影響される。イソチウロニウム塩の作用は,pH7以下で著しいが,7以上ではpHの増加につれて低下する。(3)ABSの溶解度は,イソチウロニウム塩の添加量の増大につれて減少する。また,ABSとイソチウロニウム塩混合溶液においては,ABS・イソチウロニウム塩が生成している。(4)ABSの発泡に対するイソチウロニウム塩の抑制作用は,無機塩類の濃度が増加するにつれて低下する。
  • 丸茂 秀雄, 高井 誠, 渡辺 真郎
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1497-1503
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アラニン型,アミドアミン型およびジアミン型の両性界面活性剤から調製した67種の金属塩のポリエチレン,ポリスチレン,ABSおよびポリプロピレンの内部用帯電防止剤としての性能を検討した。金属塩の練込みは押出成形法で行なったが,着色および加工性の低下はない。
    これらの金属塩では練込んだシートの表面にはブリード( Bleedout ) はなく, 内部用帯電防止剤としてすぐれた性能を示した。
    帯電防止性能は表面固有抵抗,体積固有抵抗,摩擦帯電圧および接触角で評価した。帯電防止性能は金属根によって影響され,Mg,Ca,Zn,Cd,Ba,Pb塩が内部用帯電防止剤として他の金属塩よりすぐれている。
  • 丸茂 秀雄, 高井 誠, 斎藤 実, 荻田 秀夫
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1504-1509
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    色性を検討した。表面固有抵抗,摩擦帯電圧を紡糸後,洗浄後に測定した結果では,アラニン型,アミドアミン型およびイミダゾリン型の金属塩は内部用帯電防止剤としてすぐれた性能を示した。カーペットの帯電防止性には適当な評価法がなかったが, モノフィラメントの場合をも含めて, 高電位の静電場における帯電とその減衰を,Shashouaの方法を改良して,連続的にシンクロスコープで観察する新しい評価方法を提出した。帯電ならびにその半減期は表面固有抵抗と密接な関係がある。ポリプロピレンは(-) のζ- 電位を示すが, 金属塩を練込むことによって,pH4~8に等電点が生じた。酸性染色では金属塩練込みによって染着性は向上され,さらに光,摩擦,洗浄に対する堅牢性も金属塩によっては,いちじるしく高められる。
  • 草間 潤, 石井 忠雄
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1509-1511
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ぶな材からHCIガス法木材糖化によって得られた後処理液を,脱色用樹脂,活性炭,イオン交換膜,イオン交換樹脂などによって精製し,糖液よりグルコースの晶出試験を行なった。この精製糖液は全糖に対し1.3%のキシロース,4.5%のポリグルコースを含んでいるが,糖類以外の不純物はほとんど含まれていない。内容積1.6lおよび0.6lのガラス製横型晶出器による試験結果によれば一番糖より三番糖までの累計結晶収率は原液グルコースに対し最大84.8%であり,累計晶出時間は149時間であった。不純物のキシロース,ポリグルコースの大部分は糖蜜中に蓄積される。したがって二,三番糖の晶出速度は一番糖に比して低下し,微晶が多い。一方前処理糖液は不純物が多く経済的な精製は困難であるが,十分に精製した場合,一番糖として全糖に対し20.8%のキシロースと8.4%のグルコースの混晶が析出した。
  • 浅原 照三, 平野 二郎
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1512-1517
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    芳香族, 脂肪族, 脂環族アミンなどを開始剤として, ステンレス・スチール製オートクレーブ中でエチレンと四塩化炭素のテロメリゼーションを行なわせ(反応温度60~125℃),アミンの塩基性が反応生成物のテトラクロルアルカンの組成と収量に対して及ぼす効果を検討した。その結果,塩基性の強いアミンが優れた開始剤となるが,その開始能は反応温度によって著しく異なることがわかった。一般に90℃ 以上の反応温度においてテトラクロルアルカン収量は大きく増加した。含酸素アミンであるアルカノールアミンは60℃ においても優れた開始能を示した。テトラクロルアルカン混合物の組成はアミンの塩基性によって余り変化せず,塩基性の増加に伴って低級テトラクロルアルカンがわずかに増加した。さらにまた,溶媒添加の効果を検討し,非プロトン溶媒添加の場合には,アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤とした場合と同様な効果を認めたが,水酸基溶媒の存在下では,アミン開始剤とAIBN開始剤とは全く異なった挙動を示すことを認めた。すなわち,アミン開始剤の場合には,テトラクロルアルカンの収量は主として溶媒の透電率の大きさによって左右され,AIBNの開始剤の場合に認められたような溶媒の反応性と密接な関連性は見出されず,また,低級テトラクロルアルカン含有率の大幅な向上も認められなかった。これらの実験結果から,アミンと四塩化炭素とのラジカル反応を推定し,添加溶媒の存在下のAIBN開始剤とアミン開始剤の差異の原因を推測した。
  • 浅原 照三, 平野 二郎
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1518-1522
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)またはトリエタノールアミン(TEA)を開始剤とするエチレンと四塩化炭素のテロメリゼーションにおいて,第1長周期の遷移金属の塩または酸化物を開始剤に対して~35mol%添加した場合の金属化合物の効果を検討した(反応温度60℃ および90℃)。
    AIBNを開始剤とするテロメリゼーションに対しては,塩化第二鉄は,開始剤ラジカルと反応することによって禁止作用を示すが,塩化第一鉄はこのような禁止作用を有していない。アミンを開始剤とするテロメリゼーションにおいては,2価の遷移金属の塩はそれぞれ異なった接触作用を示し,Fe(II)塩が最高のテトラクロルアルカン収量を与えた。しかしながら,AIBNまたはトリエタノールアミンを開始剤として得られたテトラクロルアルカン混合物の組成は,いずれの場合でも,金属塩の添加および添加量ならびにその種類などによって本質的な影響を受けず,添加金属塩はテロメリゼーションの開始段階に対してのみ影響を及ぼし,連鎖移動の段階には関与していないことを推定した。
  • 村橋 俊介, 吉岡 斌, 梅原 明, 野桜 俊一, 行松 慶二
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1523-1526
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    新しい複合触媒系を用いてアセチレン加圧下における脂肪族, 芳香族スルホンアミドのビニル化反応を行ない, その反応条件を検討した。通常活性水素をもつ有機化合物のビニル化反応の触媒として有効な亜鉛化合物,カドミウム化合物,またはアルカリ金属化合物単独では,スルホンアミドのビニル化反応はほとんど進行しないか,または非常に遅い。しかしカドミウム化合物とアルカリ金属化合物の共用により,これらスルホンアミドのビニル化反応はすみやかに進行し,対応するN-ビニル化合物が好収率で得られることを見出した。スルホンアミド0.045mol, 触媒KOH-CdO 各0.005mol 使用し, アセチレン初圧25~30kg/cm2 ,反応温度150℃ でのビニル化物の収率は40~90%である。アルカリ金属水酸化物-CdO系触媒を用いたビニル化反応において,その見かけの反応速度はアセチレンの1次,触媒濃度の1次に比例する。触媒に関しては,アルカリ金属の種類によりLi<Na<K<Rb<Csの順となり,その組成についてK/Cd当量比1で反応速度は極大となる。一方,スルホン-p-置換アニリドの同触媒によるビニル化反応速度の置換基効果は, CH3O<CH3≅H<Clの順に速度は大となる。これらの複合触媒系では, スルホンアミドのカドミウム塩とアルカリ金属塩の間のコンプレックス形成によるCd-N結合のイオン性の増加が触媒活性の原因であると推定される。
  • 上田 寿, 志田 正二
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1527-1529
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    有機高分子化合物に固相で放射線を照射すると,多くの場合,20℃ 近辺で安定な遊離基を生ずる。高分子化合物は低分子結晶とちがって,気体と分子的に混合しあうことができるため,気体状化合物と混合して照射すると,生成した遊離基とその気体状化合物の反応が起こる。真空中照射しあとから気体と混合しても反応が起こるが,その反応生成物は一般には照射前に混合を行なった場合と異なる。この相違を遊離基の変換過程として説明し,その変換過程の特徴に着目して有機高分子化合物の分類を試みた。遊離基の観測にはESRを用いた。この分類にしたがうと,ポリ四フッ化エチレン,ポリメタクリル酸メチル等の高分子化合物は特異な型の高分子化合物であることがわかる。それを説明するために,いわゆる,放射線化学的初期過程で生ずるイオンラジカルが,これらの化合物の場合には,比較的長寿命で,亜硫酸ガスその他通常遊離基と反応する気体状化合物と反応すると仮定してみた。さらに,アンモニアの場合にも,アンモニアが直接にイオンラジカルと反応すると仮定すると都合のよい場合があることを示した。
  • 嵯峨 基生, 庄野 利之, 新良 宏一郎
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1529-1534
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イミドエステルと芳香族アミノ酸との反応について検討した。
    従来,イミドエステルと芳香族アミノ酸との反応では,4-ヒドロキシキナゾリン誘導体が得られるとされているが,本研究の反応で得られた生成物について赤外吸収スペクトル,NMRスペクトルおよび紫外吸収スペクトルより検討した結果,キナゾロン環の寄与が大きい化合物が得られていることを認めた。さらにイミドエステルおよび芳香族アミノ酸を2官能性に拡張して,ポリリン酸を溶媒とする溶液重縮合でポリキナゾロンを得た。ポリマーは耐熱性もかなり良好であった。
  • 室井 宗一, 野村 順治
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1534-1538
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    基側鎖の長さの影響を知ることを目的として,主としてテトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)との共重合体の膨潤的性質を測定した。共重合体は紫外線の照射による塊状電合で得られた。一定濃度のTEGDMAを共重合したアクリル酸エステル共重合体において,側鎖のアルキル基の炭素数に対する平衡容積膨潤比(qm)の挙動は使用した溶媒によって異なった。すなわち,ベンゼンおよびトルエンに対しては,qmは炭素数の増加とともに一様に増大した。他方,アセトンおよび酢酸エチルに対しては,qmは2または4個の炭素数で極大を示した。共重合したTEGDMAがすべて橋かけ結合に寄与すると仮定して,膨潤データからμgパラメーターを算出し,このμgをTEGDMA濃度に対してプロットしたところ,それらのあいだには直線関係がみられた。アセトンに対するアクリル酸エチル共重合体のμg値をTEGDMA濃度0に外挿した値は,Hansenらが得たポリアクリル酸エチルに対するμ値,0.46とよく一致した。
  • 室井 宗一, 細井 啓造
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1539-1545
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルボキシル基を含むポリアクリル酸エチルと,ヘキサキス(メトキシメチル)メラミンの熱処理による均一系における橋かけ反応について研究した。反応は熱処理したフィルムの膨潤的性質の測定,および赤外吸収スペクトル分析によって追跡した。緩慢な熱処理条件下においては,カルボキシル基とメラミンの縮合反応が優先し,続いてメラミンの自己縮合反応がおきた。しかし,酸性触媒量の増加および処理温度の上昇とともに,初期段階におけるメラミンの自己縮合反応は顕著になった。熱処理したフィルムの膨潤的性質は,カルボキシル基の含有率および(カルボキシル基1molに対して1/2molまでの)メラミンの添加量の増加とともに急速に改善された。
  • 室井 宗一, 細井 啓造
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1545-1550
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルボキシル基を含むポリアクリル酸エチルエマルジョンと,ヘキサキス(メトキシメチル)メラミンから作成したフィルムの橋かけ反応について研究した。試料にはアンモニアを加えて安定化ずるとともに,pHを一定水準に調整したエマルジョンが使用された。この不均一系における橋かけ反応の研究は,前報の均一系における橋かけ反応と対比して行なわれた。不均一系における橋かけ反応は均一系におけるそれとは異なり,反応の初期に誘導期間が観察された。この誘導期間はpHが高いほど,また熱処理温度が低いほど長かった。誘導期間はエマルジョンの安定化のために加えられたアンモニアに起因し,これが揮散するまでの時間が誘導期間として観察されるものと推定された。カルボキシル基とメトキシ基およびメトキシ基間の縮合反応速度は,誘導期間を考慮すると,不均一系におけるほうが若干はやいようである。しかし,熱処理したフィルムの膨潤的性質は,同一縮合水準で比較すると,縮合率が低いあいだは不均一系のほうがかなり劣っていた。
  • 室井 宗一, 細井 啓造
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1551-1557
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルボキシル化ポリアクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルエマルジョンの電導度滴定挙動および吸光度挙動について調べてみた。低級アクリル酸エステル系エマルジョンの電導度滴定曲線は,導入したカルボキシル基にもとづく二つの中和点を示した。そのうちの一つはエマルジョン粒子表層の急激な溶解に対応するみかけの中和点であり,他の一つは検出可能なカルボキシル基の中和点であった。みかけの中和点は他のエマルジョンの滴定曲線にはみられず,かつ検出されるカルボキシル基は,エステルが高級になるほど少なくなった。アクリル酸エステル系エマルジョンの吸光度は室温において,モノマー組成に特有のpH で急速に低下した。また表層の溶解に対応する吸光度の変化の大きさは, エステルが高級になるほど小さくなった。他方, メタクリル酸エステル系エマルジョンの吸光度は, 室温においてはなんらの変化も示さなかったが, 低級メタクリル酸エステル系のそれは高温において若干の変化を示した。
  • 岡本 能樹, 桜井 洸
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1557-1558
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 永井 芳男, 松尾 昌年
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1559-1560
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 永井 芳男, 後藤 信行, 上野 恒明
    1966 年 69 巻 8 号 p. 1561-1562
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 8 号 p. A81-A88
    発行日: 1966/08/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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