塩化銅(I)の存在において,ジアゾメタソは2-メチルフランと反応して,2種のモノ付加物,および1種のジ付加物,すなわち,1-メチル-2-オキサ-ビシクロ[3,1,0]-Δ
3-ヘキセン(II),3-メチル-2-オキサ-ビシクロ[3,1,0]-Δ
3-ヘキセン(III),1-メチル-2-オキサ-トリシクロ[4,1,0,0
3,5]ヘプタン(IV)を与えた。IIとIIIの生成比は1.5対1であった。
また,ジアゾ酢酸メチルエステルは銅粉の存在下に2-メチルフランと反応して,6-オキソ-2,4-ヘプタジエン酸メチルエステル(VI)を与えた。この事実はメトキシカルボニルカルベンがメチル基を持たない二重結合を攻撃して,中間体であるシクロプロパン誘導体を与えるが,反応条件下では不安定であって,開環転位して,VIを生成したことを示唆している。
すなわち, 2 - メチルフランへのメトキシカルボエルカルベンの付加反応はベンゼン環の場合に類似して, 立体効果に支配されることが示された。
新化合物II,III,IV,VIの構造はNMR,IR,UVおよび元素分析で確認した。
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