種々の水溶性有機化合物を複合させて作った有機複合ベントナイトを700℃ で加熱後,酸,アルカリ処理を行なえば,有機化合物の種類,処理条件によって,生成物のCEC(カチオン交換容量)が25.9meq/100gから460meq/100gを有するきわめて高いCECを有するものまで得られる。
とくにポリピニルアルコール複合ベントナイトの同様な化学処理生成物は高いCECを有するものが得られやすい。
高いCECを有する生成物が得られる場合はモンモリロナイト結晶構造上に大別して,つぎの二通りの転移が行なわれていると考えられる。複合している有機化合物の分解熱エネルギーの大小によってモンモリロナイト結晶構造からのOH構造水の脱水,結晶構造変改過程において,一つは350kcal/mol,他は700kcal/molの熱エネルギーを複合有機化合物の分解熱として奪われ,その時に発生する分解ガスとモンモリロナイト結晶とのガス-固相反応を伴って,おもに二つの構造改変後の状態が測定される。
前者は,モンモリロナイト結晶格子上にもっとも付着しているコロイダルなクリストバライトが除去され,清浄なモンモリロナイト結晶表面群が増加するとともに,結晶構造内に小遷移が生じてSi-Oシリケート層中の酸素欠陥部位にOH
-が結合され,アルカリ処理によってNa
+収着の交換性化が行なわれるとともに収着量が増加して,CECが増大する場合で,後者は,モンモリロナイト結晶構造が大きく破壊される過程で,Zeolite様結晶を生じてネガチブチャージの増大と交換性化が行なわれて生成物のCECが増加する場合である。
後者の場合のモンモリロナイト結晶構造の遷移過程中に,7.20Å,5.04Å,3.19Å,2.70Å などのX線回折像を有する新結晶物が生成する。
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