工業化学雑誌
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72 巻, 5 号
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  • 村上 雄一, 恩田 裕司
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1033-1038
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2-プロパノールのCu,ZnO,Cr2O3混合触媒による脱水素縮合反応をパルス反応および流通反応で行ない,触媒成分の違いによる活性の違い,その反応機構を明らかにしようとした。その結果ZnO-Cr2O3触媒はアルコールの脱水素およびケトンの脱水縮合活性はもつがC=C水素化活性はもたないこと,Cu-αAl2O3触媒はアルコールの脱水素およびC=C水素化活性をもつが縮合活性は小さいこと,3成分を含むCu-ZnO-Cr2O3触媒ではZnO-Cr2O3上で縮合が起こり,ひきつづいてCu上でその水素化が進むことが示され,次の反応経路によって実験結果はすべて矛盾なく説明された。
    またパルス反応と流通反応の生成物分布の違いについても考察がなされた。
  • 村上 雄一, 林 邦明
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1038-1041
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    パルス反応においてはしばしば流出量の総和が注入量と一致しないが, この行方不明を生じる原因として, 反応物または生成物の触媒への不可逆吸着, 測定にかからない副生成物の生成が一般に考えられている。本研究では生成物の触媒への吸着が非直線型(Langmuir型,Freundlich型)吸着であると,キャリヤーガス中の生成物の濃度が小さくなって,クロマトグラムのピークが描かれ終った後も触媒に吸着して残っている量が多く,この分が行方不明ということになり,この量はパルスの注入間隔にも依存することが理論的に示された。すなわちパルス注入間隔が短いと残留吸着量が多く, その分だけ行方不明率が減少するが, 注入間隔が長いと残留吸着量が少なくなり行方不明率も大となる。この行方不明率の変化は,注入間隔の短いときに特に著しい。Ni-イオン交換モレキュラーシープ13X触媒によるシクロヘキサン脱水素反応の実験結果は, 以上の理論とよく一致した。
  • 白崎 高保, 小林 正弘, 岡崎 洪, 森川 清
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1041-1045
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルミン酸ナトリウム,ケイ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを原料とするフォージャス石(Y)型ゼオライトの水溶液合成反応を研究した。原料溶液からの最初の沈殿は溶液混合の10数分後に均一溶液から析出させるようにし,この際結晶核生成を促進する望ましくない壁面,たとえばガラスなどをさけて塩化ビニール製同一容器を用いて行なった。合成反応は上記塩化ビニール製容器中における沈殿生成反応,これに引き続いて行われる40℃ の第2段反応,ついでガラス容器中における98℃ の第3段反応の計3段階に分けて進行させた。採取試料の分析は結晶質のフォージャス石型ゼオライトとP型ゼオライトをX線回折法によって求めその残りを非晶質とした。
    次のような反応経路を考えると実験事実がよく説明できた。
    〓(破線内は第2 段反応による)
    無定形物質Am2からY型ゼオライトさらにこれが無定形物質Am4に変化する反応は1次1次の遂次反応としてとり扱われ,このとき得られた速度定数の比からX線回折法では直接求められない結晶物質のX線強度の重量百分率への換算係数を求めることができた。この係数を用いれば,他の試料,たとえば市販品についても含有するフォージャス石型ゼオライトの純度を求めることができる。
  • 小林 正弘, 白崎 高保, 森川 清
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1046-1049
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フォージャス石型合成ゼオライトの等温吸着平衡を温渡-196,-126,-97℃および-78℃の4水準,吸着ガス,窒素・酸素,アルゴンおよび一酸化炭素の4種類について検討した。各温度における吸着等温線は新しい形の実験式,ν=Ap/(1+Kpn)(o≦n≦1)によく適合した。ただしこの実験式は吸着温度-196℃においてはn=1となってLangmuir式に一致した。窒素ガスと酸素ガスの場合について検討したところ,上の式の一致は0・1mmHgの低圧領域にまでおよんだ。つぎにゼオライト合成過程において結晶化度が不十分であったものはそのガス吸着量が一般に小さく,また結晶化していない無定形物質はガス吸着量が結晶ゼオライトの約1.5%以下であった。このことからゼオライトの純度は平衡吸着量に大きな影響をおよぼすことがわかった。なお検討の結果,上記実験式は物理的意味を付与することができた。
  • 山田谷 正子, 下村 欣也, 木下 武, 内田 〓
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1050-1055
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルミン酸ナトリウム水溶液とCO2から種々の沈殿条件で一連のアルミナ水和物をつくり,これらを500℃で焼成してアルミナを得た。X線回折および電子顕微鏡によりアルミナ水和物とアルミナの構造をしらべ,BET表面積および細孔分布の測定によってアルミナの多孔性構造をしらべた。また500℃で真空排気処理したアルミナについては表面酸性度,室温で水蒸気と吸着平衡にあるアルミナについては表面塩基性度を測定した。
    沈殿条件の相違によりアルミナ水和物およびアルミナの構造と表面の性質は,次のような影響をうける。アルミナ水和物はその結晶構造,二次粒子の形状および大きさが沈殿条件により異なる。これらを焼成して得られるアルミナはその二次粒子の形状は出発水和物のそれに依存するが,結晶子の大きさ,単位粒子の大きさ(50Å)は,沈殿条件の影響をほとんどうけない。アルミナの発水和物のそれに依存するが,結晶子の大きさ,単位粒子の大きさ(50Å)は,沈殿条件の影響をほとんどうけない。アルミナのを吸着した場合の塩基性度とほぼ一致していて,両者の値は全試料についてほとんど変わらない。
  • 浅岡 忠知, 島崎 長一郎, 鳥山 秀興, 山田 博, 坂野 征次
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1056-1063
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    尿素をいろいろの条件下で前処理[溶封処理(A),乾燥アンモニアガス雰囲気中での処理(B),各雰囲気での吸湿による処理(C),常圧加熱による処理(D)]し,それによる物性の変化および熱分解機構を解明する目的で,熱分解過程を示差熱分析,熱天秤赤外吸収スペクトル,紫外吸収スペクトルおよびX線回折によって追求した。
    尿素のDTA曲線は5本の吸熱ピーク(ED1~ED5)と2本の発熱ピーク(Ex1,Ex2)があり,これらのピークを基準尺度とした。(A)は処理条件とpH,融点の関係は封管内圧力および雰囲気の種類によって顕著な差異は生じなかった。(B)では処理時間の増加とともに試料のpHが増加し,融点は降下した。(C)は飽和食塩水の雰囲気中ではpH,DTA曲線とも時間の経過とともに変化するが,一定時間経過後(300日放置したもの)はもとの尿素とほぼ同じであった。36%塩酸水溶液,28%水酸化アンモニア水溶液の場合は経時変化とともにpH,DTA曲線はかなり変化した。この違いは経時による吸湿度の変化によるものであろう。(D)では試料処理温度とpHの関係は170~190℃で最高のpH値を示し,300~350℃で最低を示す関係が得られた。DTA曲線は170℃以上でEX1のピークが消失し,250℃以上ではED1,ED2,ED3のピークが消失する。IRの結果と対比して,この250℃から環化が起こっていると推定される。
  • 岡崎 進
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1064-1067
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルカリ金属フッ化物およびアルカリ土類金属フッ化物により四塩化炭素をフッ素化する際の, 各種の金属塩化物の触媒効果を求め,またその接触機構につき検討した。
    まず, フッ素化剤をフッ化ナトリウムとし, 四塩化チタンなど8 種の多価金属塩化物, 第1周期のマンガンから亜鉛までの2 価の遷移金属塩化物を触媒として加え, オートクレープ中, 反応温度250℃, 反応時間2 時間の反応条件下に, 促進効果を比較検討した。この結果, フッ素化反応系内でフッ化ナトリウムと反応して, リガンド交換活性な高配位錯フッ化物を生成しやすい金属塩化物に触媒活性が認められた。
    つぎに, 触媒を塩化第二鉄とし, 数種のアルカリおよびアルカリ土類金属フッ化物でフッ素化し, その結果を無触媒の場合と比較した。一方, 反応後に塩化第二鉄の昇華付着量を測り, 錯塩化度の目安とし, 錯塩化度の大小と触媒効果の大小との関係を求めた。これらの結果からも塩化第二鉄が反応系内で金属フッ化物と反応して錯フッ化物を形成しやすい場合ほど, その触媒としての効果が大きいことがわかった。
    以上の実験の結果から, 金属塩化物の触媒効果は, 熱力学的に安定であるが, 反応性の大きい外軌道, 高配位錯フッ化物の生成およびこれらが反応に関係することが確かめられた。
  • 御手洗 征明, 白崎 信一, 真鍋 和夫, 久保 輝一郎
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1067-1073
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-Fe2O3+ZnO→ZnFe2O4の固相反応への添加物の影響について研究を行なった。反応系への添加物の加え方はα一Fe2O3がこの反応では被拡散成分と考えられるのでα-Fe2O3に添加物を乾式混合,共沈法等で加えその効果をみた。その結果乾式で混合したときにはTiO2,MgO,NiOなどが促進効果を示し,Cr2O3,Al2O3などでは抑制効果がみられた。しかし共沈法でCr2O3を加えるとその試料の前処理温度によってZnOとの反応が促進または抑制の二通り効果が現われる。またα-Fe2O3の出発原料によ。っても反応性が影響を受け,処理温度の低いものほど反応温度が低いことがわかった。前記のCr2O3の添加では反応が促進,抑制と二種の効果を有することと,この出発原料の違いの効果を検討するため動力学的性質を調べて,種々の出発履歴のα-Fe2O3およびCr2O3を加えたα-Fe2O3の格子の熱膨張係数の測定結果との対比を試みた。その結果反応の促進は添加物により試料中に生成した欠陥構造の急激に減少するときに起こり,抑制効果は試料の格子欠陥が高温での安定状態になっているものについて現われることがわかった。反応の活性化エネルギーは格子の熱膨張係数と関連があり,反応の開始温度は格子欠陥の回復時の効果によって決まることがわかった。
  • 佐藤 誠, 松木 健三, 菅原 陸郎
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1073-1076
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    電位掃引法により,回転白金微小電極上における二酸化マンガンの電解析出機構について検討を行なった。えられた結果を要約すると次のとおりである。(i)pH1の場合,マンガンイオン濃度が0.04mol/l以上および掃引速度が0.25V/min以下のとき,分極曲線は二カ所にピークを示すことから,析出過程では低次の酸化物が生成すると考え,析出反応は次の(1)~(3)式にしたがうものと推定した。(1)Mn2++2H2O→MnO2+4H++2e(2)MnO2+Mn2++2H2O→2MnOOH+2H+(3)MnOOH→MnO2+H++e(ii)ピーク電流におよぼす回転数およびマンガンイオン溶液の温度,濃度の影響から,pH2以下では電極表面反応,pH3では拡散律速であると考えた。(iii)ピーク電流の温度係数から求めた見かけの活性化エネルギーはpH2以下で11.2kcal/mol,pH3で3.5kcal/molとなり,(ii)の結果をよく説明できる。,(ii)の結果をよく説明できる.
  • 田村 英雄, 松田 好晴, 飯島 昌
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1077-1080
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    硫酸水溶液による鋼板の腐食に対するピリジン同族体の防食作用について, 主として分極曲線から腐食電流, 腐食電位を求める方法により検討した。その結果, アルキルピリジンについては, パラ位, メタ位, オルト位の順に置換基がある方が防食率の高いこと,またオルト位に置換基が存在すると立体障害から防食効果が弱くなることなどが認められた。これらについては従来からメチルァミン類やピリジン同族体の電極上での吸着現象について考察されているところと同様に, これら化合物中の窒素原子上の電子密度の変化と窒素原子に対する立体障害から説明することができる。またこれら化合物, 特にメター, およびパラ位にアルキル置換基のあるものについての防食作用とハメット則のσ定数との間には直線関係が認められた。
    ついで, ハロゲンイオンが硫酸中に共存する場合には, ピリジン同族体との間に防食作用に対する共調効果が認められた。その強さは, ヨウ素>臭素>塩素の順であった。さらにハロゲン化ピリジンはそれに対応するアルキルピリジンにくらべて防食効果が強く, 両者の吸着の機構には異なる点があることが推察された。
  • 渡辺 テイ子, 野依 源太郎
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1080-1083
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ラセミ体の構成と分別結晶法による光学分割の能否との関係については従来十分に明らかではなかった。著者らがグルタミン酸類について先に得た結論, すなわちラセミ混合物を晶析する条件下では分割することができ, ラセミ化合物を晶析する条件では分割し得ないということが, 他のラセミ体の光学分割の場合にも適用し得るか否かを, 従来ラセミ化合物にて分別分割可能であったとされたものについて追試し,その結果グルタミン酸類の場合と同様にラセミ混合物を晶析する条件下では分割し得ることを明らかにした。
  • 渡辺 テイ子, 野依 源太郎
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1083-1086
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    光学対掌体同志の溶液内相互作用と分割過程の解析から, 分別結晶法による光学分割の操作条件の合理的な選定の基準につき考察した。溶液内の両活性体の相互作用度f をラセミ体と活性体との溶解度比を2 で割った値で表わす。分別結晶法によって理想的に分割が進行している場合の分割母液組成はf = 1 の線に沿って変化する。分割が良好に行なわれるか否かはその分割母液の安定性如何にかかっている。これらの考察の結果f ≦ 1 の場合にはラセミ体の過飽和溶液に一方の活性体の種晶を接種し, 該結晶のみを生長せしめる分割法が可能である。f > 1 の場合にはラセミ体の飽和溶液に両活性体の種晶を接種し, 徐々に両活性体の成長速度に合わせて過飽和にする方法を採用するのが良い。
  • 伊勢 一, 山崎 毅六
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1087-1092
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    当量比0.4~2.2のプロパンー空気混合気を調製し,流速20cm/secで反応管の中に上向きに流した。その中心に熱電対の接合部をおき,熱放射加熱した。熱電対は白金-ロジゥムおよびクロメルーアルメルを用い,その接合部の直径はそれぞれ2.2mmおよび1.9mmである。小金属球面において発熱を伴う場合とそれがない場合の温度差から反応による熱面の昇温量を測定し,それぞれの場合の熱流束のつり合いより表面反応速度を算出した。また,熱面へのプロパンの物質流束が単位面積あたりのその消費速度に等しいという仮定のもとにプロパン濃度と熱面の種類の反応速度に対する影響を調べ,プロパンの反応次数と表面反応の活性化エネルギーを算出した。さらに,反応の律速段階と熱面温度の関係を考察した。おもな結果はつぎのようである。
    (1)プロパンー空気の白金系熱面におけるみかけの活性化エネルギーは14kca1/molであり,熱面におけるプロパン濃度に対するみかけの反応次数は1.6である。ニッケル系熱面の場合活性化エネルギーは22kcal/molであり,反応次数は0.7である。
    (2)表面反応速度は温度が高くなるにつれて拡散律速となる。
    (3)熱面温度に対する反応ガス中のプロパンおよび酸素濃度の変化は発熱反応にもとづく熱面温度の変化に対応している。
  • 越後谷 悦郎, 渡辺 徹, 中村 隆一
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1092-1096
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    モリブデンとVb族の元素とを組合せた触媒で,ブテンの酸化脱水素反応を流通法とパルス法で行なった。ブタジエン収率はBi-Mo触媒が最も良く,以下As-Mo触媒,P-Mo触媒,Mo触媒の順であった。異性化活性の順は酸化脱水素活性の順と逆になり,流通法とパルス法の結果は良く一致した。
    触媒の作用機構としてπ化合物を中間体とする二元触媒の働きが考えられ,ブタジエン収率と金属酸化物の酸素の結合エネルギーとの間に相関関係を見出した。
  • 植村 栄, 平本 哲郎, 市川 克彦
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1096-1098
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酢酸ナトリウムをふくむ酢酸中で,塩化銅(II)とブタジエンを150℃で5時間反応させ,34-ジアセトキシ-1-ブテンと1,4-ジァセトキシ-2-ブテンを50%の収率で得た。この反応系にいろいろなパラジウム触媒を添加すると,収率が58~64%に増大し,同時に1,4-異性体の生成量が多くなった。これは3,4-異性体が1,4-異性体に転位した結果であることを明らかにした。酢酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウムを用いてもほぼ同じ収率でジアセトキシブテンを得たが,酢酸リチウムではその収率は低くなり樹脂状物質が多く生成した。酢酸パラジウムとブタジエンの反応からもジア七トキシブテンの両異性体が生成した。
  • 園田 昇, 松村 尚武, 三好 徳享, 堤 繁
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1099-1101
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    石油留分中に含まれている各種イオウ化合物がオゾンにより容易に酸化されることに着目し,オゾンによる石油留分の脱硫を試みた。試料油約100gを氷浴中に設置した反応容器に入れ,これにオゾン約1.7wt%を含む酸素ガスを350ml/minの速度で通じオゾン化を行ない,オゾン化生成物を試料油から除去することによりオゾンの脱硫効果を調べた。また,イオウ化合物の種類によってオゾンの脱硫効果および反応速度がどのように変化するかを調べるために,既知のイオウ化合物を灯油および四塩化炭素に溶かし,同様のオゾン化を行なった。その結果,試料油(イオウ含有率0.55wt%)においては80%の脱硫率を得ることが可能であった。特に試料油中の硫化水素およびチオール類は完全に除去された。石油留分中に含有可能な各種イオウ化合物に対するオゾンの脱硫効果は大なるものよりスルフィド,チオール>チオフェン>ベンゾチオフェン>硫化水素>元素イオウ>ジスルフィドの順であり,オゾンの反応速度はチオール>硫化水素>チオフェン>元素イオウ>スルフィド>ベンゾチオフェン>ジスルフィドの順であった。
  • 小方 芳郎, 坂西 勝正, 細井 秀成
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1102-1106
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    活性アルミナまたは添加物-活性アルミナ触媒上でブェノールとアルコール類(メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,n-プロパノール)の気相接触アルキル化およびアルキルフェニルエーテル類の転位反応を200~450℃で研究した。このアルキル化反応ではO-アルキルフェノールが選択的に生成し,n-プロピル基はわずか異性化した。また生成の最適温度は次の順である:アルキルフェニルエーテル<O-アルキルフェノール<m-とP-アルキルフェノール。アルキルフェニルエーテル類の転位によって相当するアルキルフェノール類が得られ,そのオルト選択性は相当するアルコールによるフェノールのアルキル化反応でのそれと一致した。したがってフェノールのアルキル化反応の径路の一つはアルキルフェニルエーテルを経る反応であると結論された。
  • 柘植 乙彦, 外間 宏三, 渡辺 晴之
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1107-1110
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アジンの化学構造と熱分解生成物との関係を明らかにする研究の一環として,デソキシベンゾインー,4-または4'-置換デソキ,4-または4'-置換デソキシベンゾインケタジンの熱分解を行ない,N2,NH3,低沸点分解生成物と予期した2,3,4,5-テトラアリールピロールの他に,2,4,5-トリアリールイミダゾールおよび3,4,5-トリアリールピラゾールが生成することを見出した。4-置換デソキシベンゾインケタジンの場合にはトルエン,P-置換ベンゾニトリル,2,4-ジ(P-置換フェニル)-5-フェニルイミダゾールおよび3,5-ジ(P-置換フェニル)-4-フェニルピラゾールが生成するのに対し,4'-置換ケタジンの熱分解ではP-置換トルエン,ベンゾニトリル,2,4-ジフェニル-5-P-置換フェニルイミダゾールおよび3,5-ジフェニル-4-P-置換フェニルピラゾールが得られ,これら各化合物の生成経路を推定した。
  • 卯西 昭信, 岸本 英樹, 本田 格
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1110-1113
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒドラジノ-s-トリアジンとO-ジカルボン酸無水物の反応を検討した。2,4-ジアミノ-6-ヒドラジノ-s-トリァジン(I)と無水フタル酸を反応させると中間体として2,4-ジアミノ-6-(O-カルボキシベンゾイルヒドラジノ)-s-トリアジン(III)を経て2,4-ジアミノ-6-フタルイミドアミノ-s-トリアジン(mp309~310℃(分解))(V)が合成された。同様にして2-アミノ-4,6-ジフタルイミドアミノ-s-トリァジン(mp380~382℃(分解))も合成された。IIIは結晶水を1分子有しているが,Vは結晶水を有していない。IIIは不安定で加熱によりVに変る。同様な方法で2-アミノー4,6-ジヒドラジノ-s-トリアジンと無水ピロメリット酸をジメチルスルホキシド(DMSO)中で反応させてポリピロメリタミン酸メラミン(VIII)を合成した。VIIIは繰返し単位当り2分子の結晶水を有している。VIIIは加熱により容易に閉環してポリピロメリットイミドーメラミン(VII)を生成する。VIIIはDMSOおよび濃硫酸に可溶であるが,VIIはこれらの溶媒に不溶であり,窒素気流中350℃で分解する。
  • 西久保 忠臣, 牧喜 代志, 一條 太郎, 高岡 恒郎
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1113-1116
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヘキサアルキル亜リン酸トリアミド(1)の酸化反応の溶媒としてn-ヘキサン,ペンゼンノロルペンゼン,塩化エチレンを,酸化剤として10%過酸化水素水溶液,7.5%過マンガン酸カリウム水溶液,10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用して不均-系酸化反応を行ない,従来報告されているアセトン水溶液中での酸化反応よりもよい収率でリン酸トリアミドを得た。たとえばn-ヘキサン,ベンゼン中からはそれぞれ75~92%,75~91%の収率でリン酸トリアミドを得た。さらに種々のケトンを反応溶媒に使用した場合,また酸化剤に重クロム酸カリウム水溶液,過塩素酸ナトリウム水溶液を使用した場合にはよい結果は得られなかった。
    またn-ヘキサン,塩化エチレンを反応溶媒として1およびその他の亜リン酸トリァミドの紫外線照射によるオゾン酸化についても検討した。
    結論として1の酸化反応は有機溶媒-水の不均-系で行なうとよい結果が得られた。また反応溶媒としてはケトン類,塩化エチレン,酸化剤としては重クロム酸カリウム,過塩素酸ナトリウムは不適当であることが判明した。
  • 笠井 俊保, 広沢 凱彦, 鶴岡 信三
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1117-1120
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリン核の同一ベンゼン環中の隣接位に2 個のアルコキシル基を導入した, すなわち, 3 , 4 - ジアルコキシナフタル酸無水物およびそれらのイミド類を合成した。
    これらはすべて文献未載の化合物で, いずれも緑味のある淡黄色針状結晶である。無極性溶媒には青白色蛍光を呈して溶け, 極性溶媒には黄緑色蛍光を呈して溶ける。
    アセテート繊維には淡黄緑色に染着し,ポリエステル系繊維には多少緑黄味に汚染した。相当するモノアルコキシ体,すなわち,3-アルコキシーおよび4-アルコキシナフタル酸アルキルイミド類のような増白効果はあまりなかったが,耐光性は良好であった。
  • 笠井 俊保, 姫野 清
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1120-1124
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリン核の異なるベンゼン環にアルコキシル基を1 個ずつ有するジアルコキシナフタル酸無水物およびイミド類のうち, 対称的な3,6-ジアルコキシナフタル酸無水物およびそれらのイミド類を合成した。
    これらはすべて文献未載の化合物で, いずれも淡黄色の針状または板状結晶である。有機溶媒には赤紫色蛍光を呈して溶け, モノアルコキシナフタル酸イミド類と同様にアセテート繊維および合成繊維を白色に染めるが, 増白効果はいずれも4-メトキシナフタル酸-N-メチルイミドのそれに比べて低く, 相当する3-アルコキシナフタル酸イミド類と同程度であった。耐光性はきわめて良好であった。
  • 笠井 俊保, 磯野 重孝
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1124-1127
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリン核の異なるベンゼン環にアルコキシル基を1個ずつ有するジアルコキシナフタル酸無水物およびイミド類の中,非対称型の3,5-ジアルコキシナフタル酸無水物およびそれらのイミド類を合成した。
    これらはすべて文献未載の化合物で,いずれも淡黄色針状結晶である。有機溶媒には青白色蛍光を呈して溶ける。モノアルコキシナフタル酸イミド類,3,4-および3,6-ジアルコキシナフタル酸イミド類と同様にアセテート繊維および合成繊維を白色に染めるが,増白効果は相当する3-アルコキシナフタル酸イミド類はもちろん4-アルコキシナフタル酸イミド類のそれよりもはるかに強い白度を有することがわかった。耐光性も4-メトキシナフタル酸-N-メチルイミドと同様きわめて良好であった。
  • 笠井 俊保, 姫 野清
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1128-1132
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリン核の異なるベンゼン環にアルコキシル基を1個ずつ有するジアルコキシナフタル酸無水物およびイミド類のうち,ペリ位対称型である4,5-ジアルコキシナフタル酸イミド類を合成した。これらはすべて文献未載の化合物で,いずれも淡黄色の針状または板状結晶である。有機溶媒には強い青白色蛍光を呈して溶ける。2-,3-および4-モノアルコキシナフタル酸イミド類,3,6-,3,5-ジアルコキシナフタル酸イミド類と同様にアセテート繊維および合成繊維を白色に染める。増白効果は相当する4-アルコキシナフタル酸-N-アルキルイミド類のそれよりもはるかに強く,白度は4-メトキシナフタル酸-N-メチルイミドの3~5倍程度であった。耐光性もきわめてすぐれ3,5-ジアルコキシナフタル酸-N-アルキルイミドとともに興味ある化合物である。
  • 橋田 洋二, 中島 欣也, 関口 自然, 松井 弘次
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1132-1138
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    非対称型ジスアゾ染料合成のための基礎資料と,二つの別々な芳香環にある二つの官能基間の相互作用についての知見を得るため,各種のテトラゾ化ジアミンとR酸(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸)とのアゾカップリング反応の第1段反応の速度定数(k1),第2段反応の速度定数(K2)を分光光度計を用いて測定した。
    テトラゾ化ベンジジンの場合,K1/K2が約650であるが,ベンジジンの二つのべンゼン環の間に-O-,-S-,-SO-,-SO2-,-CH2-,-CO-などの架橋基を導入すると,K1/K2はかなり小さくなる。しかし,O-トリジン,O-ジアニシジンのテトラゾ化物の場合には大きなK1/K2の値が観測されることがわかった。
    以上の結果の理由について分光学的資料とも関連して考察を行なった。
  • 大田黒 国彦, 松井 弘次
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1138-1143
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2,6-ナフタリンジカルボン酸あるいはそのジメチルエステルとO-アミノフェノール,O-アミノチオフェノール,O-フェニレンジアミンあるいはそれらの誘導体との縮合により,若干種の対称および非対称のベンズオキサゾリルー,ベンズチアゾリルー,および,ベンズチアゾリルー,およびベンズイミダゾリル型の一般式(1)で示される2,6-ビスアゾリルナフタリンを合成し,これら化合物のケイ光強度をDMF中で,6一ピスアゾリルナフタリンを合成し,これら化合物のケイ光強度をDMF中で測定し,またそれら化合物の繊維材料に対するケイ光増白剤としての適性を調べた。
    (A)(1)(A)=(B)対称型(A)キ(B)非対称型X=-O-,-S-,-NH-Y,Y'=-H,-CHS,-CI一般にこれら化合物のケイ光強度はα,β-ビス(5-メチルベンズオキサゾリル-2)エチレンのケイ光より強いが,ケイ光はほぼ395~400mμの間にあって,これら化合物のテトロンおよびポリプロピレン繊維への増白効果は非常に弱いことがわかった。
  • 飯田 弘忠, 池田 嘉一
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1143-1145
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ベンズアルデヒド2-カルボキシフェニルヒドラゾン(I)で下漬した布に,芳香族ジアゾニウム塩を反応させると,繊維上にホルマザンが生成し,これを第二銅イオンの水溶液で処理すると,ホルマザンは銅錯塩になり,美しい染布が得られることがわかった。そこで15種類のアルデヒド2-カルボキシフェニルヒドラゾン(I~XV)を合成し,これを下漬剤とするアゾイック染色を行ない,その諸性質をしらべた。VIII~XII以外のヒドラゾンで下漬し,アミノ基のオルト位置にメトキシ基を持った顕色剤で顕色し,これを硫酸銅水溶液中で処理すると,青,緑,黒などの美しくて日光に強い染色物が得られた。
  • 石川 延男, 田辺 敏夫
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1146-1148
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フッ素を含むキナクリドン数種類を合成し,それらの顔料としての特性を検討した。
    フルオルアニリン類またはm-アミノベンゾトリフルオリドをスクシノコハク酸ジエチルと縮合させ,ついで酸化,加水分解および脱水閉環縮合によって2,9-,3,10-および4,11-ジフルオルキナクリドン,ならびに3,10-ビス(トリフルナルメチル)-キナクリドンをつくり,これらを濃硫酸からの再沈殿法により,そしてさいごにN-メチル-2-ピロリドンと処理することにより精製した。これらの顔料の色相,ならびに置換基をもたない赤色キナクリドンと比較した耐光堅ロウ性はつぎのようであった。2,9-ジフルオル体:赤みのむらさき,わずかに劣る,3,10-ジフルオル体:黄みの赤,わずかに劣る,4,11-ジフルオル体:だいだい,優秀,3,10-ビス(トリフルオルメチル)体:むらさき,よわい。
  • 齋藤 イホ, 番匠 吉衛, 小沢 清子
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1149-1155
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-,β-ナフトールから誘導される不溶性アゾ顔料を各種の有機溶媒で再結晶し,そのケト-エノール互変異性を可視吸収スベクトルの測定により調べた。再結晶したアゾ顔料の“ケト型%”の値を前報(第9報)で述べたと同様な方法で推定し,再結晶溶媒の与える影響を検討した。得られた結果は次のとおりであった。
    1) β-ナフトールより誘導されるアゾ顔料は再結晶しても,その“ケト型%”の値は変化せず,このようなアゾ顔料ではケトーエノール互変異性と再結晶溶媒の間には関係がなかった。
    2) α-ナフトールより誘導される o-色素の場合も同様に何の関係も見出されなかった。
    3)電子吸引性置換基をジアゾ成分にもつα-ナフトール誘導のか色素を各種の溶媒で再結晶したが,用いた溶媒の効果は同様に何も認められなかった。
    4)メトキシ基のような強い電子供与性置換基をもつα-ナフトール誘導のか色素を,ピリジン,ジメチルホルムアミドなどで再結晶すると,エノール型がより優勢になることが可視および赤外吸収スペクトルより見出された。
  • 関口 辰夫, 中村 八郎, 番匠 吉衛
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1156-1160
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    無水フタル酸, 4-スルホフタル酸トリアンモニウム,尿素および銅粉からなる混合物を四塩化チタンの存在下に加熱処理して 4-位置換銅フタロシアニンスルホン酸を合成した。この場合,無水フタル酸および 4-スルホフタル酸トリアンモニウムの比率をそれぞれ 3:1, 2:2, 1:3, 0:4 (各モル比)とした。生成物はソックスレー抽出器を用いてエタノール可溶分を除去し, 次に硫酸処理することによって精製した。続いてカラムクロマトグラフイー,電気泳動および薄層クロマトグラフィーにより生成物を処理してその混合成分を分離した。得られた結果は次のとおりである。
    1)銅フタロシアニンモノスルホン酸相当生成物から,上述の処理によって2成分が得られた。純粋なモノスルホン酸は電気泳動においてアセチルセルロース上で移動しなかった。
    2)銅フタロシアニンジスルホン酸相当生成物は100~200メッシュおよび200~250メッシェのシリカゲル混合物を使用するカラムクロマトグラフィーによって2成分を与えた。
    3)銅フタロシアニントリスルホン酸相当生成物は200~250メッシュのシリカゲルによって4成分を与えた。
    4)銅フタロシアニンテトラスルホン酸は2)において使用したシリカゲルと同種のものにより4成分を与えた。
    5)各主成分の泳動速度は次のように整理された。ジ->トリ->テトラ->モノ-スルホン酸
  • 川田 力, 平田 喬俊, 土田 英俊, 篠原 功
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1160-1163
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スチレン-CCl4系のラジカル重合,液体アンモニア中スチレン-NaNH2系のアニオン重合によって得られた平均重合度pn<10のオリゴスチレンを分子蒸留で単離することを試みた。蒸留各区分の分子量分布に正規分布型を仮定して,試料の分子量分布関数を求めた。各区分について,重合度が増すと区分分布の標準偏差σ が増加するとして求めた試料の分子量分布は,ゲルパーミエーションクロマトグラフイーで得られる分子量分布によく一致する。
    1回蒸留と繰返し蒸留で得た区分の溶液粘度と数平均分子量の関係式は,それぞれ次式で表わされる。
    [η]〓=7.75×10-4M0.58,[η]〓=1.28×10-3M0.48
    区分の屈析率nDは平均分子量の増加に伴って大きくなるが,試料の末端基構造によって関係式が相違する。1回蒸留のnDTと分子量および温度丁の関係式,nDT=-2.148×10-7Mn2+2.334×10-4Mn-8.0×10-6T2+4.358×10-3T;0.9343を得た。また,トルエンおよびn-ヘキサン溶液のdnD/dcは分子量および末端基構造で変化する。
  • 藤山 光美, 高柳 素夫
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1163-1168
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    既報の平板式応力緩和計(Plate relaxomete)の主要部であるセルとプレートの組合わせを用いて,平板式クリープ計(Platecreepmeter)を試作した。測定方法は箱形のセル中の高分子溶融物試料の中心にプレートを挿入し,プレートに一定の力を加え,その変位の時間変化を測定するものである。この場合,装置の幾何学的因子を消去して溶融物自体の粘弾性値を評価するための寸法的検討はなされている。既報の平板式応力緩和計による測定結果との比較をポリプロピレン溶融物について, 緩和弾性率G ( t )および粘度ηに換算したものについて行なった。G(t)の測定範囲である105.5dyn/cm2から10dyn/cm2にわたり両者のデータの一致は良好であった。また本装置により直接測定した定常流粘度ηは,平板式応力緩和計により測定したG(t)から計算したηと良く一致した。なおデータの信頼度を検討するために,グリプタール樹脂のηを本クリープ計により測定し,これを落球式粘度計によるη と比較した。
  • 三橋 重信
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1169-1175
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリイソブチレンオキシドの1,2,3,4-テトラヒドロキシナフタリン希薄溶液から紡すい形の単結晶を成長させた。この単結晶を試料としてX線,電子顕微鏡および差動熱量計などを使用して研究し,つぎのような結果を得た。
    この単結晶は分子鎖の折りたたみにより成長したものであり,結晶の二軸は直交しそれぞれ紡すい形単結晶の長さ方向およびそれに直角な方向に存在し,残りの軸(分子鎖の方向)はほかの二軸と直交しこの結晶の厚さに垂直な方向に存在している。一軸延伸させた延伸試料のX線写真を利用し,この結晶は斜方晶系でD42-P212121の空間群に属し,a=10.80Å,b=5.88Åおよびc=7.05Åの単位格子を有し,この単位格子中に2本の鎖状分子(4個の単量体)を配置すれば理論密度ρc=1.069g/mlとなり,実測密度ρ0=1.048g/mlと良く一致する。
    単結晶を真空中で熱処理することにより,結晶内の分子鎖はその配列をほとんど乱すことなく肥厚成長し,160℃,1時間の熱処理によって結晶の厚さは140Åにも達した。
    DSC曲線には通常二つの吸熱ピークが昇温時に現われ,低温側のピーク165℃は160℃までの熱処理によっては変化せず,高温側のそれ173℃は顕著に尖鋭化した。165℃で熱処理した単結晶のDSC曲線には,170℃に肩をもった一つの吸熱ピーク175℃が現われた。すなわち,単結晶は165℃で部分的に融解するものと推定し,引続く昇温過程で厚化しこの結晶が175℃で融解するものと結論した。
  • 渡辺 貞良, 赤堀 忠義, 二本木 豊
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1176-1182
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    さきに著者らは再生セルロース繊維の繊維面配向度Dが赤道干渉(101)と(101)の方位方向強度分布の積分幅の比較から求められることを示した。そしてX線透過法による積分幅の測定からDを求めて報告した。しかしその測定法では,操作が比較的複雑な上,積分幅の実測値に含まれるX線光学系の拡がりの影響が特に2θの小さい(101)で極めて大きく,これを補正してもなお誤差の介入する可能性が考えられた。
    そこで本報告では円筒カメラ法を用い,これによって積分幅を測定して,Dを求めた。この方法は写真法の一種であるためピンホールコリメーターの内径が小さく,筒の長いものを使用でき,そのためX線光学系の影響は非常に小さくすることが可能であった。さらに,円筒状のフィルムがデバイーシェラー環をとらえるために赤道干渉の方位方向強度分布は赤道線に垂直な直線の上に分布し,したがってフォトメータートレースが極めて容易であった。
    この方法で求めた繊維面配向度Dはフォルチザンで0,18,2種のポリノジックでは0.09と0.06,また,強力レーヨンでは0.08であった。
  • 島村 政治, 温品 恭彦
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1182-1186
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクリロニトリルーアクリル酸メチル共重合体-酢酸セルロ一スージメチルスルホキシド系混合重合体溶液の性状およびそれをかn-ブタノール浴中に湿式紡糸して得た繊維の性質について検討し,大要次の知見を得た。
    (1)ジメチルスルホキシド中でアクリロニトリルーアクリル酸メチル共重合体と酢酸セルロースは比較的すぐれた相溶性をもち,酢酸セルロース混合率があまり大きくない高粘度溶液は長時間にわたり安定で相分離を起こし難い。
    (2)この混合重合体溶液をn-ブタノール中に紡出して得られた繊維は微細構造的に不均質で,アクリル重合体と酢酸セルロ-スが不均一に混合しているのが電子顕微鏡写真により認められた。
    (3)混合紡糸繊維の比重,吸湿性,分散染料染着度は酢酸セルロースの混合率とともにほぼ直線的に増加ずる。また,熱的性質は酢酸セルロースの混合により向上する。
  • 島村 政治, 温品 恭彦
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1186-1188
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクリル重合体-酢酸セルロース混合繊維の諸性質,特に微細構造の均質性におよぼすアクリル重合体のSO3Na基含有量および酢酸セルロース混合率の影響について検討した。
    P-スチレンスルホン酸ナトリウムを1.5mol%共重合したアクリル重合体は酢酸セルロースを混合しても緻密な構造の繊維を与えるが,アクリロニトリル単独重合体は酢酸セルロースの混合によりボイドの多い粗大な構造の繊維を与える。しかし,外観的に緻密で光沢に富んだアクリロニトリル-P-スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体と酢酸セルロースの混合繊維も微細構造的にはなお不均質で,アクリル重合体と酢酸セルロースが不均一に混合しているのが電子顕微鏡写真により認められた。
    比重,吸湿率,分散染料染着度は酢酸セルロース混合率とともにほぼ直線的に増加する。
  • 広橋 亮, 飛鋪 靖, 齊藤 光範
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1189-1193
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    主鎖にローダニン環を含むポリマーの熱処理により電導性の高まることが認められた。比抵抗3.0×1013Ωcmのポリローダニンを窒素気流中300~700℃で熱処理すると550℃における処理生成物の比抵抗2.0×1011Ωcm,600℃の処理生成物の比抵抗4.0×107Ωcmと急に電導性が良くなる。400℃における生成物の赤外吸収スペクトルよりローダニン環のン能VC=Oの吸収1725cm-1,〓の吸収1160cm-1が,500℃にてVN-C-Sの吸収1510cm-1がそれぞれ消失し,VC=Nの吸収1600~1620cm-1が強くなり濃硫酸にも不溶となる。熱処理温度を一定にして処理時間を変えても電導性および成分組成もほとんど変わらなかった。生成物のエネルギーギヤップは式1より0.10~0.86eVであった。P-フェニレンビスローダニン(PBR)の窒素気流中での熱処理において生成した低沸点成分でトラップに捕集された微量成分のなかに2100cm-1に強い吸収がありこれはイソチオシアナート基あるいはイソシアナート基を含む。これはポリマーの熱処理においても2240cm-1に強い吸収があり類似のスペクトルを示す。PBRおよびフェニルローダニンとベンズアルデヒドとの縮合生成物の質量分析によりP-フェニレンジイソチオシアナート,P-フ,p-フェニレンジイソシアナートおよびフェニルイソチオシアナート,フェニルイソシアナートをそれぞれ確認した。ポリマーの熱分解ではCOS,H2S,CS2,COおよびCO2が確認された。
  • 渡辺 昭, 諸戸 定正, 杉山 幸男
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1193-1195
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 昭, 杉山 幸男
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1195-1197
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 白崎 高保, 岡田 正秀, 菅沼 藤夫
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1198-1199
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 白崎 高保, 秋吉 亮, 森口 正宏, 古尾谷 逸生
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1200-1201
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 田中 豊助, 松田 常雄, 罍 光由, 佐々木 正之
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1202-1203
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 亀岡 弘, 木之下 公男, 平尾 子之吉
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1204-1205
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
  • 野村 正勝, 松井 宜興, 松田 住雄
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1206-1207
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 角岡 正弘, 田中 誠, 村田 二郎
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1208-1209
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 木下 雅悦, 入江 剛, 井本 稔
    1969 年 72 巻 5 号 p. 1210-1211
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 5 号 p. A53-A63
    発行日: 1969/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad in order to assist them to get a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, formulae etc. from the original papers.
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