工業化学雑誌
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73 巻, 9 号
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  • 武内 次夫, 田中 保
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1893-1898
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    排煙脱硫は公害解決の重要な手段である。著者らはこの方法として活性炭を使用する方法を検討した。その結果,前報において植物を原料とする活性炭上に飽和硫酸アンモニウム水を保持させたものは,保持させない場合に比して約3倍のSO2の捕獲率を示すことを見出した。今回は引続き排煙中のイオウ化合物の濃度変化,活性炭に対する通過ガス量の変化,これらが活性炭のSO2の捕獲率への影響を測定した。またその他の各種無機成分を活性炭上に保持させることによってSO2の捕獲率が如何に変化するかを検討した。結果の一例をあげれば,白金を活性炭に対し重量比1%を保持させた時,活性炭のみのSO2捕獲に対し約3倍に捕獲力を増大し,さらにこれに飽和硫酸アンモニウム水を保持すれば約5倍に向上することを見出した。以上のことから排煙中のイオウ化合物除去効率は活性炭の種類が関係すると同時に,活性炭上に存在する無機成分も重要な役割をしていることを知った。
    上記の基礎研究から工業的有力な排煙脱硫として新しい活性炭の使用法を見出すことができた。
  • 山本 耕介
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1899-1910
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブタジエンの低温(70~90℃)気相塩素化反応では3,4-ジクロルブテン(DCB)-1とtrans-1,4-DCB-2の約等量混合物が80%収率で生成した。副生塩化水素量が多く(0.16~0.20mol/塩素mol),また多量の重合物が副生した。ブタジエンの高温(200~320℃)気相塩素化反応では3,4-DCB-1,cis-1,4-DCB-2およびtrans-1,4-DCB-2の混合物が生成し,副生塩化水素量も少い。
    ブタジエンは塩素の4~5倍モル過剰に使用し,反応温度に予熱して後できるだけすみやかに混合することが望ましい。稀釈剤の使用は置換反応を活発にするので望ましくない。炭酸カルシウムを中和剤とするDCBのシアノ化反応において,反応温度,反応時間,触媒の種類と量,溶媒および水量の影響について検討した。水を溶媒とし,過剰のシアン化水素を使用して,80℃以上の温度で連続シアノ化すれば,90%以上の高収率で1,4-ジシアノブテン(DCNB)-2が得られる。
    各種DCBのシアノ化速度を求め,cis-1,4-DCB-2のシアノ化が最も遅いことがわかった。さらに触媒の回収方法,回収触媒の形態,生成1,4-DCNB-2の脱塩素精製および転位反応などについても検討した。ナトリウムフェノラートを使用する脱塩素精製では,塩素含有量20ppm以下の1,4-DCNB-1を容易に得ることができた。
    1,4-DCNB-2はcis-1,4-DCNB-1とtrans-1,4-DCNB-1の混合物に転位して後水素化される。シス型はトランス型に比べ二重結合の水素化速度は速い。アジポニトリル(ADN)の高圧水素添加によるヘキサメチレンジアミン(HMD)の合成には4倍重量以上のアンモニアを使用することが必要で,アンモニア使用量が少いときや水素化温度が高いときにはヘキサメチレンイミン(HMI)や1,2-ジアミノシクロヘキサン(DACH)の副生物が増加する。DACHはジアルジミンの環化水素化により生成する。HMIはアミノアルジミンの環化およびHMDの脱アンモニア閉環によって生成する。
  • 浦野 紘平, 水沢 博士, 清浦 雷作
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1911-1915
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    常温付近で容易に測定できるメタノール吸着等温線に対して,Wheelerの考え,すなわち吸着層の厚さを補正したKelvin式を適用し,石炭類にも使用でき,しかも簡便な細孔分布測定法を提出した。
    メタノール吸着等温線は自記式熱天秤で測定し,窒素吸着等温線はBETの定容装置で測定した。アナターゼ,硫酸バリウム,鱗片状黒鉛など7種類の無孔性微結晶に対するメタノール吸着等温線はln(P/P0)=-(v/vm)-6で示され,Kelvin式の適用範囲では吸着層数は1に近似できると考えられた。したがって,メタノール吸着等温線によれば,窒素吸着等温線による方法より著しく細孔分布の計算が容易になることがわかった。
    2種類の活性炭,シリカゲル,シリカアルミナ,2種類の多孔質ガラスについて,計算表を用いて半径10Å以上の細孔分布を求め,Cranston-Inkleyの提出した窒素吸着等温線をもとにした計算法によって得られた細孔分布と比較した。メタノール法のほうがいくぶん細孔径の小さい側にずれる傾向を示したが,両者は良く似た分布曲線を与えることが確認された。
  • 浦野 紘平, 水沢 博士, 清浦 雷作
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1915-1920
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    亜炭から半無煙炭までを含む日本炭18種類とホンゲイ無煙炭および低温乾留炭2種類について,細孔の容積分布曲線を第1報で述べた「メタノール吸着等温線による細孔分布測定法」で求め,炭化度との関係や内部表面積の値を検討した。
    亜炭には比較的大きな細孔をもつものもあり,無煙炭は微小孔が多いが,その他はほぼ同じ型の分布曲線を与え,低炭化度炭の細孔容積が大きかった。一般に石炭類の細孔の大部分は半径40Å 以下で,10から20Å の細孔が最も多いことがわかった。低温乾留炭もほぼ同様であった。
    したがって,石炭類の細孔はすべてがDubininのいうミクロ孔ではないが,ミクロ孔も相当あり,従来の研究のように単分子吸着量や湿潤熱を用いて求められる吸着内部表面積は細孔の物理的表面積の約2/3となることがわかった。また,Dubinin-Polanyi式によって求めたミクロ孔限界容積値に炭酸ガス吸着によって求められたその値と良く一致し,半径約11Å 以下の細孔の容積に相当した。
  • 浦野 紘平, 清浦 雷作
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1921-1927
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    亜炭から無煙炭までを含む石炭19種類と低温乾留炭2種類,浩性炭1種類について,酢酸,ヨウ素,フェノール,メチレンブルー, シアン化カリウム, ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液の平衡吸着量と, 前4 者の水溶液のかくはん槽での吸着速度を30℃ で測定し,炭化度や細孔構造などとの関係を検討し,石炭類の吸着剤としての利用と改質の可能性を考察した。
    長時間後の吸着量はFreundlich型の吸着等温線で整理された。十分かくはんした場合の吸着初期速度にはBoydらの粒子内拡散律速の式が適合し,求められた粒内拡散係数の濃度による変化は小さく,粒子内拡散には細孔拡散より表面拡散の寄与が大きいことが認められた。石炭類の平衡吸着量と粒内拡散係数は一般に低炭化度炭ほど大きく,また,低温乾留炭とは大差ないが,活性炭より小さかった。それらの差は第2報に示した細孔構造と相関性があり,また吸着質分子が大きい場合に明確であった。
    低炭化度炭はそのまま浄水などに吸着剤として利用できる可能性があり,また細孔構造を変えることによって,石炭類の吸着能力を向上させることもできると考えられた。
  • 岩垂 芳男, 佐々木 雅彦, 須沢 利郎
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1927-1931
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維へのアニオン界面活性剤の表面吸着性を研究するために,ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液中における天然および合成繊維のζポテンシャルを測定し,これより繊維表面の単位面積当りの活性剤の表面吸着量を求めた。繊維のζポテンシャルはすべて負であり,この値はCMC以下では活性剤濃度の増加とともに急激に変化したが,CMC以上では大体一定となった。さらに濃度が増すとζポテンシャルは再び変化し極小ないし屈曲をへたのち再び大体一定となった。
    CMC以上での活性剤の表面吸着量を算出するために,つぎのような4とおりの仮定をもうけた。すなわち,(I)SDSは1-1強電解質であり,全濃度にわたって完全に解離し,単一イオンとして存在する。(II)SDS水溶液の活動度はCMC以上では一定である。(III)CMC以上のSDS単一イオン濃度は電気伝導度の測定値から得られるそれに等しい。(IV)CMC以上ではミセルと単一イオンが平衡関係にあり,単一イオン濃度はCMCに等しく,残りはミセル(解離度0.168)として存在する。
    その結果,えられた表面吸着量はいずれの場合も(I)>(III)>(IV)>(II)の順となり,また同じ計算方法では濃度に無関係に,パイレン>6-ナイロン>カシミロン>ガラス>ビニロン>木綿の順となった
  • 吉田 俊久, 青沼 孝正
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1931-1936
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ルテニウム黒触媒を用いてメタノール溶媒中で,トルエンの水素化反応を反応中間生成物の速度論的挙動に注目して検討した。トルエンの水素化反応中に,三種のメチルシクロヘキセン(1>>3-≅4-メチルシクロヘキセン)が生成することを確かめた。
    おのおののメチルシクロヘキセンとトルエン水素化反応の速度を比較して,トルエンの水素化反応が上記の反応中間生成物生成に相当する三つの独立した経路で起ると推定した。
    多量に生成する反応中間生成物,1-メチルシクロヘキセンへの初期選択率は水素圧の増大するにつれて減少し, 約20気圧以上では一定値になる。この挙動を吸着水素と吸着中間体(一級炭素,二級炭素,三級炭素で吸着している一部水素化された状態にある三種のもの)との間に起こる表面反応機構に基づいて考察した。
  • 諏訪 佳子, 中重 治, 野田 稲吉
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1936-1940
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    {Y3-xMgx}[MgyAl2-y](Al3-(x+y)Six+y)O12(YAMG)系ザクロ石の固溶範囲とMg2+の配位選択性を検討した。Mg2+が8配位位置のY3+,または6配位位置のAl3+のみを置換する場合,単一相ザクロ石の生成範囲はそれぞれ,x<0.8,y<1.0であった。一方,Mg2+が8配位位置と6配位位置を同時に置換する場合,最大の置換量はx=O.6,y=1.0,すなわち,{Y2.4Mg0.6}[MgAl](Al1.4Si1.6)O12の組成を有し,格子定数はa0=12.008Åであった。Mg2+は一般にザクロ石構造中で,8配位位置より6配位位置をとり易いといわれている。しかしYAMG系ザクロ石の場合,Mg2+の6配位と8配位の選択性に顕著な差は見られなかった。これはMg2+の置換による構造中の配位多面体の歪への寄与は,Mg2+が8配位または6配位位置のみを占めるより,両位置を同時に占めた方がより少いためであろう。Mg2+の置換量が増えて単一相ザクロ石を生成し得ない領域では共存化合物は,配合組成の相違によって異り,xが増加すればスピネル,yが増加すれば,リン灰石型イットリウムマグネシウムケイ酸塩およびY2SiO5が共存し,それらの量は,いつれもxまたはyの増加とともに増加する。
  • 宮田 康夫, 岡崎 進
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1940-1946
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    天然に多量に存在するモルデナイト系ゼオライトおよびクリノプチロライト系ゼオライトの, 水酸化ナトリウム- 塩化ナトリウム処理による,ホージャサイト型ゼオライトの生成過程を,X線回折法により研究した。
    これら天然ゼオライトは,水酸化ナトリウム-塩化ナトリウム混合水溶液による,常圧下での加熱処理により,無定形状態を経てホージャサイト型ゼオライト,およびP型ゼオライトに変化する。ホージャサイト型ゼオライトの生成は,水酸化ナトリウム水溶液の濃度,水酸化ナトリウムの量,処理温度,処理時間にも依存するが,最も大きな要因は塩化ナトリウムの量であって,塩化ナトリウムの量が多いほど, ホージャサイト型ゼオライトは生成しやすい。塩化ナトリウムの量が少ない場合には, 主としてP型ゼオライトが生成する。
  • 梶原 鳴雪, 斎藤 肇
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1947-1953
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ホスホニトリル三量体(以下(PNCl2)3と略記)のヒドロキノン(以下HQと略記)による塩素置換反応をアセトン(1),DMF(2)およびジオキサン(3)の溶媒を用い,HQ/(PNCl2)3のモル比3(以下M-3と略記)およびモル比6(以下M-6と略記)の条件で反応させた結果,(1)のM-3からは,P3N3ClH7O10(I),P3N3C15H21O6(II)およびP3N3Cl9C9H9O9(III),またM-6からは,P3N5Cl2H9O(IV),P3N3C30H30O3(V)およびP3N3Cl3C24H30O12(VI),(2)のM-3からは,P3N12Cl3C18H51O6(VII),M-6からは,P3N15Cl3C27H69O6(VIII),(3)のM-3からは,P3N3Cl9C33H51O6(IX)とP3N3Cl12C105H195O99(X),M-6からは,P3N9Cl3H45O6(XI)およびP3N3C18H30O15(XII)の生成物をえた。これらの生成物はM-3およびM-6の条件でえられる生成物の理論組成と異なっていることがわかった。またフェノレートを用い,(2)中でM-3およびM-6の条件で反応させた結果,P3N3Cl3(C6H5O2)3(XIII)およびP3N3(C6H5O2)6(XIV)の生成物をえた。(XIII)および(XIV)の分子量はそれぞれ760と940で,ほぼ理論値と一致していることがわかった。(XIII)および(XIV)を加熱重合してえられた重合体の物性を測定した結果,吸水率は10.2%,19.42%であった。また加水分解率および比重はそれぞれ3.3%,0.2%,0.81,1.04であった。360℃の温度下での熱的性質をしらべた結果,(XIII)の重合体の減量および変形は認められなかった。一方(XIV)の重合体は軟化することがわかった。
  • 梶原 鳴雪, 斎藤 肇
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1954-1959
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ホスホニトリル三量体(以下(PNCl2)3と略記)のp,p'-ビフェノール(以下PBPと略記)による塩素置換反応を(PNCl2)3の融液,アセトン,THF,アセトニトリルおよびオキサン溶媒中で,PBP対(PNCl2)3のモル比6の条件で反応させた。その結果,これらの条件下では,塩素を含まない置換体は生成されなかった。またPBPおよびo,o'ビフェノール(以下OBPと略記)をナトリウムフェノラートとし反応させ,えられた生成物を化学分析によってしらべた結果,PBPおよびOBPからそれぞれ,P3N3[C6H5・C6H5(O)OH]6,分子量1,400,mp=296℃(I),P3N3[C6H5・C6H5(O)2]3,分子量700,mp>310℃(II)の生成物をえた。(I)および(II)を300℃の温度で8時間加熱重合した結果,樹脂状の重合体をえた。この重合体の性質をしらべた結果,これらの重合体は耐熱性および耐水性の良好な重合体であることがわかった。
  • 杉山 幸三, 高橋 武彦
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1959-1963
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    二ホウ化ジルコニウム繊維を四塩化ジルコニウム, 三塩化ホウ素, 水素およびアルゴン混合ガスから成長させる条件について検討した。放電電流および交流周波数はそれぞれ0.2~5mAおよび20~400Hzとした。繊維の成長に伴ない,極間距離が一定となるように調節した。成長速度は主として放電電流に関係し, 0.5~1.0mAのとき成長速度は最大となり, 繊維の直径は最小となった。これにつぐ因子は雰囲気温度であって,成長速度の最大は400~500℃ の間で得られた。混合ガス中のアルゴン濃度が高いほど,成長速度も大きくなったが,四塩化ジルコニウム濃度については0.6%のとき最高速度を示した。さらに三塩化ホウ素濃度が増大するにしたがって成長速度も徐々に上昇した。X線回折によって,成長した繊維の構造はニホウ化ジルコニウムと同定されたが,この場合(001)回折強度は比較的弱かった。断面の顕微鏡観察から繊維の成長は溶融状態の中心部の形成と,それに続く半径方向への成長との二段階で起ることが推定された。両対数目盛で繊維の直径と張力とをプロットした曲線は直線関係を示し,直径9μ のとき最高の強度210kg/mm2に達した。
  • 山下 大二郎, 大秦 勲
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1964-1967
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    金属ニッケルを水酸化カリウム水溶液中で電解還元し,表面に生成した化合物について電位走査法および発光分光分析により検討し,つぎのような結果を得た。
    1)カリウムイオンは電解還元により放電し,ニッケル表面に不安定なニッケル・カリウム化合物を生成する。
    2)電解還元により生成されたNiHは電解酸化でNiH→Ni*+H++e-により活性ニッケル(Ni*)を生成し,そのためニッケルの酸化が促進される。
    3)水酸イオン濃度が大なるほどニッケルの酸化が促進される。
    4)カリウムイオンの放電により生成するニッケル・カリウム化合物は活物質化に影響しない。
  • 永井 敏雄, 橋本 茂, 森 昭, 山根 厳美
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1968-1970
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    洗剤中のα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS),直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS),分枝鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)の分析をIRおよびFIR法によって検討した結果,AOS,LAS,ABSはIR,FIR領域に定量に使用できる特性吸収帯を示さなかった。しかしながら,スルホニルクロライド誘導体にすると,有機溶媒に可溶となり,しかもFIR領域にそれぞれのシャープな特性吸収帯(AOS:524cm-1,LAS:640cm-1,ABS:618cm-1)が現われることを見出した。これらの特性吸収帯について検量線を作成したところ良好な直線関係を得,定量分析に使用できることがわかった。AOS,LAS,ABSの標準混合品を調製し定量した結果,標準偏差は,それぞれ0.9,0.9,1.3%であった。
  • 笠井 幸郎, 矢野 弥, 木村 和三郎
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1971-1973
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリオキシエチレン(POE)系非イオン界面活性剤の絶対濃度とエチレンオキシド(EO)含量定量のための新分析法“テトラフェニルホウ素ナトリウム錯塩-UV吸光光度法”を創案した。すなわち検体POE系非イオン界面活性剤酸性溶液中,バリウムイオン共存下に過剰のテトラフェニルホウ素ナトリウムを加えて非イオン界面活性剤・バリウム・テトラフェニルホウ素錯塩を生成ンせしめ,錯塩をロ過,乾燥後精秤し,その一定量を秤取して,アセトニトリル-水7:3(v/v)溶液で定容ビン中100mlに溶解し,この液のλmax267,275mμ(テトラフェニルホウ素に基く吸収)における吸光度を測定して,錯塩中のバリウム・テトラフェニルホウ素を定量し,これと錯塩沈殿重量とより検体非イオン界面活性剤絶対濃度を定量する。本法を各種非イオン界面活性剤(POEラウリルエーテルP=10.7~31.1;PluronicL62,L64,F68,L44,L84)の分析に適用し良好な結果を得た。また前報において報告した“テトラフェニルホウ素ナトリウム錯塩-逆滴定法”に比べ少量の試料(10mg程度)まで正確に定量できることを認めた。
  • 西村 幸雄, 西村 真, 竹下 健次郎, 坂井 渡
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1974-1977
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高周波アルゴンプラズマジェット中におけるn-ブタンの分解反応について検討した。主な生成物として,水素,アセチレン,エチレン,メタンおよびススが得られ,そのほかに,少量のエタン,プロパンおよびプロピレンが生成した。アルゴン流量1..5566±0.01l/min,プラズマ入力9.35±0.01kWの条件下において,n-ブタンの転化率はn-ブタンの供給量の増大とともに低下するが,生成物の組成は,n-ブタン供給量が70ml/min以上では,n-ブタン供給量にほとんど依存せず,このような条件下ではn-ブタンの平均の分解温度はほぼ一定であることがわかった。アルゴン流量が2.13l/minから0.86l/minに減少するにつれて転化率は60%から18%にほぼ直線的に低下する。また,アルゴン流量の減少にともなって,メタンとエチレンへの選択率が減少し,ススへの選択率が増大する傾向がみられた。入力の低下はまた転化率を低下させ,メタンおよびエチレンへの選択率を増大させることがわかった。プラズマジェット中に水素ガスを混入すると,転化率は水素混入量が100ml/min付近で極大値を示し,また,その流量付近でアセチレンへの選択率は極大値を示し,ススへの選択率は極小値を示した。
  • 大井 毅, 相 衛
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1978-1981
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アセトアルデヒドとの共酸化によるプロピレンの酸化反応を,加圧下(酸素分圧約5気圧),100℃付近の温度で行ない,この共酸化反応に対する反応温度,酸素分圧,濃度等の諸反応条件の影響を調べた。反応速度は反応温度の上昇,酸素分圧の増加につれ増加し,プロピレン濃度の増加につれ低下した。消費アセトアルデヒドに対するプロピレンオキシドの選択率は,100℃以上では温度および酸素分圧にはあまり影響されず,アセトアルデヒドに対するプロピレン濃度の増加につれ増加した。100℃,ベンゼン溶媒,酸素分圧5気圧,アセトアルデヒド濃度1mol/l,プロピレン濃度2.4mol/lでは,この選択率は55mol%に達した。消費プロピレンに対するプロピレンオキシドの選択率は,100℃では約90mol%であり,温度の上昇につれて減少する。一方,アセトアルデヒドから酸への選択率は,プロピレンオキシドの選択率および反応温度の上昇につれ減少し,酸素分圧の増加につれ増加した。最後に実験結果に基づき反応機構の検討を行なった。
  • 星野 利夫, 佐野 正勝, 四ッ柳 隆夫, 青村 和夫
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1982-1986
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々のハロゲンで置換したシリカ-アルミナ触媒を使用して, クメンクラッキングおよびo-キシレン異性化反応を行なった。両反応において大幅な活性増加が認められた。すなわち,活性増加率はクメンクラッキングにおいてはフッ素,塩素,臭素,ヨウ素の順に増加し,とくにヨウ素置換触媒においては,その増加率は約20%であった。一方,o-キシレン異性化反応においては臭素,塩素,ヨウ素,フッ素の順に増加し,フッ素置換触媒においては約70%の活性増加率を示した。種々のハロゲン置換触媒による単位表面積当たりの反応活性は, 両反応とも単位表面積当たりの酸量に比例することがわかった。しかし,活性の順序は置換ハロゲン原子の電気陰性度の順とは必らずしも一致しないことなどから,ハロゲン置換によって発現した酸量は,ハロゲン原子による表面の誘起効果によるものではないことがわかった。
  • 小川 正郎, 井上 長三, 石岡 領治
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1987-1989
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テルル塩化物によるオレフィンの液相におけるアリル位塩素化反応について検討した。四塩化テルルとプロピレンの量論的反応では,1molの四塩化テルルが元素状テルルに還元される間に約2molの塩化アリルが生成した。四塩化テルルとトルエンとからは塩化ベンジルは生じないで, p-トリルテルルトリクロリドができる。このことは, 四塩化テルルによる塩素化がラジカル的なものでないことを示している。テルルは液相で酸素と塩化水素とによって四塩化テルルに酸化されるので,ベンゾニトリルを触媒とした場合,オレフィンの接触的塩素化を行なうことができた。塩素化における塩化第二銅の促進作用についても述べる。
  • 布本 貞明, 山下 雄也
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1990-1993
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ベンジルグリニャール試薬とアルデヒド類の反応を溶媒を変えて詳細に検討した。ホルムアルデヒドとの反応はo-トリルカルビノール[I]を定量的に生成する。アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒドおよびiso-ブチルアルデヒドはホルムアルデヒドの場合とことなりo-トリル体[I]を生成し難く,正常生成物[II]とdiol体[III]の混合物を生成する。[III]の生成しやすさはCH3CHO>PrCHO>iso-BuCHO>C6H5CHOの順で,立体障害によるものと考えられる。溶媒効果については塩基性溶媒程異常生成物を生成し難く,金属の影響についてはC-Li>C-Mg>C-Alの順にイオン結合性の大きいもの程異常生成物を生成し難い。この結果からSiegelらの示したキレート説は支持できると考えられる。
  • 坪井 彦忠, 対馬 好文, 藤井 修冶
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1993-1996
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    三フッ化ホウ素存在下に酢酸とベンゼンが反応して安息香酸(I)が得られる反応では,アセトフェノン(II)が中間に生成されるが,IIからIが得られる過程は解明されていない。したがって,IIを常圧下で三フッ化ホウ素と反応させ,Iの生成の最適条件および反応径路について検討した。
    常圧下でのIIと三フッ化ホウ素との反応により目的とするIの他に,ジプノン(III)および2,4,6-Triphenylpyrylium fluoborate(IV)が主な副生物として得られた。反応条件の影響について検討した結果,Iを得る最適条件は130℃,1hrであり,そのときの収率は18.0mol%(II基準)であった。反応時間の影響について120℃で検討した結果,反応初期にはIIIが多量に生成され,その後IIIの減少にともないI,IVが生成されることが明らかになった。したがって,IIからIが得られる過程は,IIの縮合反応によりIIIを生成し,IIIのH3OBF3OHによる切断およびその後の加水分解によりIとなると考えられる。この過程は,各種アルキルフェニルケトン類の反応および各種脂肪族カルボン酸とベンゼンとの反応結果をも矛盾なく説明できた。また,p-置換アセトフェノン類の反応について検討し,電子供与基により反応が促進されることが認められた。三フッ化ホウ素のかわりに塩化アルミニウムを用いると,安息香酸はほとんど生成されなかった。
  • 原 泰毅, 長田 英世
    1970 年 73 巻 9 号 p. 1996-2001
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    サリチル酸およびp-ヒドロキシ安息香酸のナトリウム,カリウム塩の熱反応性を,示差熱分析,熱天秤,X線回折等の方法を用いて検討した。サリチル酸,p-ヒドロキシ安息香酸のモノナトリウム塩およびモノカリウム塩は加熱により脱炭酸反応を起こし,最終的にはジナトリウム塩およびジカリウム塩となるが,p-ヒドロキシ安息香酸カリウムはこの反応の途中において,熱的に安定な中間体を作ることが認められた。この中間体はp-ヒドロキシ安息香酸2分子に対して3原子のカリウム原子を含む組成を持つ分子化合物であると考えられる。さらにp-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムの場合も同様な中間体を作るが,カリウム塩の場合とは逆に熱的に不安定な化合物であった。
  • 田中 基雄, 関口 辰夫
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2002-2005
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    無水フタル酸,4-スルホフタル酸トリアンモニウム,尿素および銅粉を原料とし,芳香核の4-位にスルホン基を有する銅フタロシアニンスルホン酸類の合成ならびに分離に関しては,すでに報告したが,その中モノスルホン酸については,生成条件がなお不明であったので,この点をひきっづき検討した。またモノ,ジ,トリ,テトラスルホン酸のレーキを合成し,それらの諸性質について検討した。
    得られた結果はつぎのとおりである。
    1)銅フタロシアニンモノスルホン酸を得るためには,無水フタル酸と4-スルホフタル酸トリアンモニウムの反応モル比を5:1とし,Wyler法(融解法)による合成が最もよいことがわかった。
    2)銅フタロシアニンモノ, ジ, トリ, テトラスルホン酸は,それらのアンモニウム塩水溶液では,スルホン基の増加とともにわずかずつ緑色調が増した。しかしBaおよびCaレーキ化合物では,置換基数と色調との関連性は明確ではなかった。
    3)銅フタロシアニンモノ, ジ, トリ, テトラスルホン酸のBa, Caレーキ化合物の各種溶媒に対する堅ロウ性は良好であった。また耐光堅ロウ度は6~7級を示した。
  • 大串 恒夫, 真鍋 修, 吉田 善一
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2006-2009
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    トリシクロヘキシルホウ素,トリ-n-オクチルホウ素,トリ-β-フェニルエチルホウ素およびトリアリル(triallyl)ホウ素とイオウを窒素気流中で加熱,生成物をアルカリで加水分解し,それぞれ相当するジアルキルジスルフイドを得た。トリフェニルホウ素とイオウから,ジフェニルジスルフイドとチオフェノール,トリ-α-ナフチルホウ素とイオウからはチオナフトールを得た。
  • 山地 安夫, 中川 善雄, 松田 治和, 松田 住雄
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2009-2013
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    三つの型の有機スズ硫化物の熱安定性および熱的挙動について検討した。熱安定性はR2Sn(SR')2>R2Sn(SCH2CH2COOR')2>R2Sn(SCHR''COOR')2の順であった。
    R2Sn(SR')2,R2SnSの熱分解においては炭素骨格を保持した炭化水素,メルカプタン,硫化ジアルキル,硫化第一スズなどを生成した。R=Meではさらに不均化による生成物が得られた。一方,R2Sn(SCH2CH2COOR')2,R2Sn(SCHR''COOR')2においては分解生成物の間に顕著な差が認められ,主として次式で示されるような生成物を与えた。R2Sn(SCH2CH2COOR')2240℃→R2SnS+S(CH2CH2COOR')2
    R2Sn(SCHR''COOR')2180℃→R2SnCHR''CO+R'SCHR''COOR'
    以上の結果よりそれぞれの熱分解過程について考察を行なった。
  • 渡辺 貞良, 林 治助, 品川 章一
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2014-2020
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    蒸解後のパルプの精製は,塩素処理とアルカリ処理の組合せを何度かくりかえし行なった後,最後に漂白を行なうのが一般である。著者らはこの塩素化のかわりにパルプをアルカリ性媒質の下で,空気酸化することにより,リグニン,樹脂などの非セルロース物質を分解除去することを考え,この精製効果についての研究を行なった。その結果,空気酸化精製法は著しい精製効果を有し,従来の塩素化ならびにアルカリ処理に十分かわり得ることが明らかとなった。たとえば,赤松SPを0.5%のカセイソーダ溶液に浸漬後,3倍にしぼり3.5kg/cm2の加圧空気により80℃ で酸化したところ,パルプ粘度をほとんど低下させることなしに塩素吸収率は原料の1.43%から0.37%へ,樹脂分は1.24%から0.30%へ減少した。またパルプの白色度は61.3から70.3へ向上した。これらの空気酸化試料をさらに漂白したところ, 標準法より高品位のパルプが得られ, パルプ精製において塩素化,,アルカリ処理工程は空気酸化によってまったくおきかえ得ることが明らかになった。本法は従来法に較べて塩素をまったく必要としないのみならず,使用アルカリのかなりの量が節約できて,工業的に大きな意義があるものと思われる。
  • 太田 忠甫, 増田 精造
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2020-2023
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    パラ置換シアン化ベンジル存在下においてアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として60℃でスチレンおよびメタクリル酸メチルの重合を行ない,パラ置換シアン化ベンジルの連鎖移動定数を決定した。スチレンおよびメタクリル酸メチルの重合において,置換シアン化ベンジルの連鎖移動定数はハメット式(logCx/CH=ρσ)にはしたがわず,改良ハメット式(logCx/CH=ρσ+γER)に対して直線関係が得られ,スチレンの場合はρ=0.24,γ=1.O,メタクリル酸メチルの場合はρ=-1.0,γ=0.8が得られることから,置換シアン化ベンジルの連鎖移動反応性に対してはシアン化ベンジルの置換基の極性と共鳴の両因子が寄与していると考えられる。
    連鎖移動定数の値から,メスロビアンの式にしたがって置換シアン化ベンジルのQtr,etrを計算した。メスロビアンのetrとハメットのσとの間には直線関係が成立する。
  • 土田 英俊, 伴野 亟計, 佐野 秀雄
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2024-2030
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アリルアミン誘導体のラジカル重合性では,第二および第三アミンの窒素原子上の孤立電子対がラジカルと錯形成し易いため,α水素原子の引き抜きを助けること,および生成するアリルラジカルと共役して退化性を増すことを確認した。また,アンモニウム塩として窒素原子の孤立電子対を固定すると,アリルラジカルとの共役が切断され,α炭素原子のクーロン積分の増大から,退化性の減ずることを確認した。特に,ヨウ化ジアリルベンジルメチルアンモニウム塩(DABA-MeI)の重合速度Rは,Rp(MeOH中の重合速度)=kMeOH[AIBN]0.51-0.61×[DABA-MeI]1.48およびRp(CH3COCH3中の重合速度)=kCH3COCH3[AIBN]0.70×[DABA-MeI]1.30と表わされることから,ジアリルモノマーとしての特性,すなわち,環化重合体を与えることや,退化的連鎖移動の生起することを確認した。
    DABA-MeI(M2)とアクリロニトリル(M1)との共重合ではモノマー反応性比としてγ1=5.93,γ2=0.098を得,Q,e値はそれぞれQ2=O.058,e2=+0.47と計算された。従って,DABA-MeIはジアリルフタレートやアリルアルコールなどのアリルモノマーと同程度の共重合性を有することが明らかにされた。
  • 土田 英俊, 伴野 亟計, 佐野 秀雄
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2031-2036
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2-クロルエチルビニルエーテル(CEVE)-無水マレイン酸(MAn)共重合およびスチレン(St)-CEVE-MAn,2,5-ジヒドロフラン(DHF)-CEVE-MAn三元共重合を行ない,電荷移動型錯体(CT錯体)の関与を検討した。。
    CEVEはMAnと交互共重合し,共重合速度RpはCEVEモル分率の高い所で極大となる。この事実から,単なるCT錯体のみの重合ではなく,遊離モノマーも関与する共重合と考えられるので,この動力学的証明を試みた。Rpは次の3式を考慮して式(4)を得た。m2・+Ck1→m2・(1)
    m2・+M1k2→m1・(2)m1・+Ck3→m2・+M1(3)Rp=R-pa{x1-(a+b)/2a}2+(a+b)2/4a(4)ここで,a,bは定数,RpはCEVEのモル分率x1(max)で極大となる。
    x1(max)=1/2(1+b/a)∝1/([M1]+[M2])≧1/2(5)
    (5)式は全モノマー濃度の減少に伴いx1(max)が1/2から1に移動することを示しており,実験的にも確認された。三元共重合では錯体を考慮せず,あるモノマーについて単独重合性を無視した機構との本質的な差は認められなかったが,錯体間二元共重合として取り扱えることを確認した。この場合,錯体の反応性は,St-MAn>CEVE-MAn>DHF-MAnの順となり,イオン化ポテンシャルの低い供与型単量体ほど容易に錯形成し,高反応性であることを確認した。
  • 土田 英俊, 伴野 亟計, 西出 宏之
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2037-2040
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    St-MAn系溶液共重合反応における生成重合鎖の鎖端構造を,14C-AIBNを用いたトレーサ法および塩素原子の(n,γ)反応を利用した放射化分析により確認して,重合の開始,停止,移動の各素反応を議論した。アセトン,四塩化炭素中で重合した連鎖の末端基30~90当り1個の割合で開始剤切片が導入され,開始剤の分解量より予想される導入率とほぼ一致することを確認し,四塩化炭素中の重合で得た共重合体鎖12~15当り1個の割合で塩素原子が導入されていることが明らかにされた。
    結局,この系は開始剤ラジカルの直接モノマー付加により開始されるが,四塩化炭素への連鎖移動があまり起らず,専らMAnまたはSt-MAnの電荷移動型錯体へ連鎖移動して行く動力学的鎖長の大きい共低重合系であることが明らかにされた。
  • 土田 英俊, 伴野 亟計
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2040-2045
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スチレン(St)-無水マレイン酸(MAn)共重合における生長末端ラジカルの性質を明らかにする意味で,正に分極したラジカルと容易に反応して, 退化的連鎖移動を惹起すると期待されるジメチルアニリン( D M A ) への連鎖移動を検討し, 共重合機構を考察した。
    DMAへの連鎖移動は退化的なものの他に,有効連鎖移動も生起し,共重合体は交互性が崩れ,MAn含量が多くなることを確認した。見掛けの連鎖移動定数は,ベンゼン中で0.092,アセトン中で0.093であり,St-MAn錯体の単独重合と見做した場合,錯体の見掛けのQ,e値はそれぞれ,Q=O.77,e=+0.79となった。このe値はMAnのe値(+2.25)よりも小さく,St末端コポリマーラジカルも存在することが示唆された。
    開始は比較的カチオニックな開始剤がStまたはMAn-St錯体を攻撃してSt側にラジカルを生成する。生長は錯体とフリーのMAnを消費する機構によると見做され, バイラジカル機構は否定される。連鎖移動はSt-MAnまたはDMA-MAn錯体の関与が重要であり,末端不飽和のMAn単位が生成する機構を考慮した。停止反応は二分子停止である。なお,DMA-MAn錯体はラジカル開始能があり,メタクリル酸メチル(MMA)の重合を効率よく開始する。
  • 青柳 重郎, 北村 究, 篠原 功
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2045-2048
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スチレン-アクリル酸ブチル-四塩化炭素系のラジカル共低重合反応を行ない,この系の見掛けの連鎖移動定数から動力学的にスチレン(M1),アクリル酸ブチル(M2)の連鎖移動定数Cs1,Cs2を求め,これが単独重合の場合の値とよく一致することを認めた。また共重合におけるモノマー反応性比γ1,γ2を塊状,ベンゼン,テトラヒドロフラン中で求めた。連鎖移動定数Cs1×10-2Cs2×10-4モノマー反応性比γ1(スチレン)γ2(アクリル酸ブチル)単独重合系1.23.2塊状0.800.15共重合系2.23.2ベンゼン溶媒0.970.14テトラヒドロフラン溶媒O.630.08反応条件(60℃,AIBN5×10-3mol/l)
  • 石井 敬一郎, 中塚 隆三, 垣内 弘
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2048-2051
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    四塩化スズ触媒下,ニトロエタン中におけるフェノール類とべンジルクロリドとの反応生成物の確認および分子内選択性について検討した。フェノールの場合には,m-ベンジルフェノールの生成を確認できなかったが,メチルフェノール類の場合には,o-,p-ベンジルフェノール類と同時に,m-ベンジルフェノール類も確認された。フェノール性水酸基に対するo-,p-位の反応性は大差なく,メチル基数の増加とともに大きくなる。m-位の反応性とメチル基数との関係はさらに著しく,メチル基を含まないフェノールでは,ほとんど無視できるのに対し,トリメチルフェノールでは,o-,m-,p-位の反応性がかなり接近する。
  • 松下 寛, 古田 慎作
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2051-2053
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 元山 宗之, 赤松 信, 橋詰 源蔵
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2053-2055
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 大井 毅, 相 衛
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2055-2056
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 高光 永明, 浜本 俊一, 西 太一郎
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2056-2058
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 貞良, 林 治助, 升田 重嘉, 増田 三郎
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2058-2060
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 膳 昭之助, 広岡 素子, 中里 良子, 厚東 伸佶
    1970 年 73 巻 9 号 p. 2060-2061
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 73 巻 9 号 p. A105-A114
    発行日: 1970/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad in order to assist them to get a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the figures, tables, formulae etc. form the original papers
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