工業化学雑誌
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74 巻, 11 号
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  • 笠岡 成光, 笹岡 英司
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2213-2218
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    汚染ガス防止対策の資とするために, まず本報では, SO2-N2 系に対し, 活性炭およびゼオライト (モレキュラーシープ類) の [球 (3.8~4.7mm径), 円柱 (径と高さをほぼ等しくし, 3.0~4.3mm)] による常圧・等温・流通系吸着実験実を用行成な形体着量に対する温度依存性 (30~120℃), 濃度依存性 (0.83~8.33mol%・SO2) などの検討, さらに数種の工学的吸着モデルを立て, 速度・機構の基本的解析を試みた。すなわち, ゼオライト系試料は, 活性炭試料に比べて, 高温・低濃度 SO2 の吸着能ならびに吸着速度がはるかに大きいこと, また活性炭試料では吸着力・固体内全域で, ほぼ均等に進行して行くのに対して, ゼオライト系試料では, 吸着が固体内部に向って殻状に進行して行くことなどが解析された。
    なお SO2 の平衡吸着量と濃度の関係は, いずれの試料も Freudlich 型で示され, その濃度指数は, たとえば 60℃ で, 活性炭試料ではゼオライト系試料では 0.07~0.11 程度であった。また, 吸着速度定数 [活性炭:kv (容積基準, (mol/cm3)-1/2.sec-1), ゼオライト:ks (面積基準, cm/sec)] の温度依存性として, つぎの Arrhenius 関係式が得られた。
    活性炭(球,円柱):kv=1.90×103exp(-4,770/1~T), Ms-13X(円柱):ks=2.10×10-1exp(-380/RT)
    MS-5A(円柱),ks=3.60×10-1exp(-900/RT), MS-4A(円柱), ML-4P(円柱):ks=2.60×10-1exp(-770/RT)
    MS-4A(球):ks=2.40×10-1exp(-770/RT)
  • 後藤 忠一, 上甲 勲
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2219-2222
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ハロイサイトから合成した 4A 型ゼオライト (ML4P) を充填塔に充填し脱着温度を 100℃, 200℃, 300℃, パージガス入口露点を約 23~28 ℃, および約 -50 ℃, パージガス流量約 0.9~5.9 [g-dry gas/100g-dry adsorbent・min] の範囲で動的脱着特性と, 脱着条件が動的吸着特性に与える影響について実験を行なった。同様の条件で Linde Moleurlor Sieve 4A および活性アルミナ, シリカゲルについても実験を行ない, これらの結果を比較検討した。ML4P について脱着温度を 300℃ としてパージガス流量を変えて実験を行なったところ, パージガス流量が約 2[g-dry gas/100g-dry adsorbent・min] までは, パージガス流量を増加させると脱着終了時間は減少するが, これ以上パージガス流量を増加しても, 脱着終了時間はほとんど減少しないことが観測された。
    シリカゲルや活性アルミナは ML4P や LMS4A よりも吸着帯の長さが著しく大きく, シリカゲルの場合は残留水分量の増加と共に吸着帯の長さが長くなるのに対して, 活性アルミナや ML4P, LMS4A の場合は残留水分量が約 5[g-H2O/100g-dry adsorbent] 以下では吸着帯の長さはほぼ一定であり, これより残留水分量が増加してはじめて吸着帯が長くなるようである。
    到達露点は吸着剤の種類による影響よりも, 脱着温度, パージガスの入口露点等の脱着条件によるところが大きい。残留水分量と到達露点の関係においては, 同一残留水分量でも ML4P や LMS4A はシリカゲルや活性アルミナよりも到達露点が低く, 同一吸着剤, 同一残留水分量の場合でも, パージガスの入口露点の低い方が到達露点が低い。これは脱着時と吸着時のガスの流れが向流となっている効果であると思われる。本実験を通して, 残留水分量と吸着帯の長さおよび到達露点等において, ML4P と LMS4A の間にはほとんど差が認められなかった。
  • 今中 利信, 松本 昇一, 脇村 重徳, 寺西 士一郎
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2222-2227
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    気液接触かぎまぜ槽を用いて, 塩化パラジウム, 塩化第二鉄, 塩化第二銅の水溶液を触媒とする一酸化炭素の液相酸化反応を行なった。拡散が寄与する条件の下で総括反応速度を測定することにより, 単位液容積あたりの気泡の囲りの気液界面積(α)を求めた。この反応は, すでに塩化パラジウムの濃度が低い領域においては擬 1.2次反応, 高い領域においては擬1.7次反応であることを明らかにしている。気液界面積の値は塩化パラジウムの両濃度領域において, 境膜説および表面更新説に準拠して算定した。
    その結果, 気液界面積の値はどちらの理論にもとついても約14%の範囲内で一致し, さらに塩化パラジウムの濃度領域には関係しなかった。また気液界面積に対するかぎまぜ回転数(N), および通気線速度(uG)の影響は, 次式であらわされる。さらに得られた気液界面積から, 表面更新説に準拠して表面更新率や反応を伴わない場合の液相物質移動係数を求め, これらに対する操作変数の影響を検討した。
  • 原 泰毅, 長田 英世
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2227-2229
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    MnO2, NiO, Co2O3, ZnO などの過酸化水素の分解に対する触媒活性が研究されている。一方, 酸化亜鉛は過酸化水素と反応して過酸化亜鉛を生成することが知られているが, 詳細な報告はない。
    本研究は酸化亜鉛と過酸化水素との反応を種々の条件下で検討し, 反応初期に裳いては酸化亜鉛の 60% が過酸化水素と 1mol 対 1mol で反応して過酸化亜鉛を生成する。この反応の生成物の表面は完全に過酸化亜鉛に変化していて, 以後の過酸化水素の分解はこの生成物表面層に存在する過酸化亜鉛によって行われることがわかった。したがって酸化亜鉛の過酸化水素の分解に対する触媒活性を, 過酸化水素の分解速度で比較する方法は適当でないと考えられる。
  • 清水 崇, 原 弘, 柳井 弘, 島田 浩次
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2230-2234
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    半導体チタン酸バリウム (La2O3-0.3, La2O3-0.6) を使用して, 一酸化炭素酸化の機構を速度論的に明かにする目的で, 触媒による一酸化炭素, 酸素の吸着過程の伝導度の測定, 一酸化炭素酸化反応速度の測定を行なった。
    初期吸着速度は, 一酸化炭素, 酸素いずれも Freundlich Isotherm に類似した関係を示し, 吸着活性化熱はそれぞれ, 3.8kcal/mol, 7.4kcal/mol の値が得られた。吸着量は酸素の方が一酸化炭素より略々2倍多く, 一酸化炭素酸化反応では, 反応温度によって少なくとも二つの速度過程をとり, 380℃ 以上では, 速度式は次式で表わされる。
    吸着酸素と吸着一酸化炭素の表面反応が律速であるとする機構を考えると実験結果は説明される。このときの活性化エネルギーは不純物量によって多少異なり, La2O3-0.3 で 11.7kcal/mol, La2O3-0.6 で 13.4kcal/mol の値を示した。
  • 渡辺 昭, 諸戸 定正, 杉山 幸男
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2234-2238
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    数種類の有機液体の正化合物同族列の屈折率を 0℃ と 50℃ の間で測定し, 次の実験式を得た。n=At+B, A=C/Tb+D, そして B=E/Tb+F, ここにnは屈折率, t(℃) は温度, Tb(°K)は各化合物の標準沸点, AとBは各化合物固有の定数, そしてC, D, EおよびFは各同族列によって決る定数である。これらの式で計算したnの値は実測値とよく一致した。
  • 竹内 節, 常盤 文克, 谷野 幸雄, 服部 健一
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2239-2241
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    顔料/水濃厚サスペンジョンに各種分散剤を添加しその粘度におよぼす効果を調べた。また, 同時にサスペンジョンの粘度と顔料のζ 電位, 沈降容積および顔料への分散剤の吸着量との関係を検討した。顔料としては主に亜鉛華 (ZnO) を使用し, その他チタンホワイト (TiO2), ベンガラ (Fe2O3), カーボンブラック (CB) を使用した。分散剤としてはアリルスルポン酸ナトリウムまたはフェノールスルホン酸ナトリウムをホルマリン縮合した型のもの4個およびビニル化合物とマレイン酸ナトリウムを共重合させた型のもの3個を用いた。顔料を 13~50 重量%含むサスペンジョンに分散剤を添加していくと粘度は急激に低下し, ある分散剤濃度以上では10センチポイズ程度の低い粘度を示す。サスペンジョンがこのような低粘度を示すまでに要する分散剤の量は顔料分散剤の組合せによって著しく変化する。顔料/分散剤水溶液サスペンジョンの粘度を低下させるに必要な分散剤の最低濃度を-仮に臨界分散濃度と呼び, この濃度付近で分散に関係する諸性質の変化を調べた。その結果この濃度において顔料のζ電位は飽和値 (一定値) になり, また, 顔料の沈降容積が一定値になることが認められた。しかし, 顔料に対する分散剤の吸着量はこの濃度以上でも徐々に増加することが認められた。顔料濃厚サスペンジョンの粘度低下の要因に関し二, 三の考察を行なった。
  • 露木 尚光, 斎藤 智義, 宮川 継男, 笠井 順一
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2242-2247
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    近年, 無機化合物の赤外線吸収スペクトルは, 多くの研究者によって研究が行われている。本報はセッコウの脱水や転移の過程を赤外線吸収スペクトルによって解析しようと試みたものである。著者らは, 赤外線吸収スペクトル曲線がセッコウの種々異なった焼成温度によって, どのように変形するかを研究した。これらの実験は KBr 法で, 4000~400cm-1 の範囲で測定した。その結果,
    1) CaSO4・2H2O の赤外線吸収スペクトルは, 結晶水による 3540, 3400cm-1 の O-H 伸縮振動と, 1685, 1620cm-1 の HO-H 変角振動, SO42- による 1200~1000cm-1 の範囲の S-0 や S=0 伸縮振動と, 656, 596cm-1 の O-S-O 変角振動である。
    2) CaSO4・2H2Oとβ-CaSO4・1/2H2O との赤外線吸収スペクトルを考えた結果, SO42- とH2O 分子との間には水素結合を形成すると結論づけられる。
    3) 344℃ よりも低い温度で焼成したβ-CaSO4・1/2H2O とIIIβ-CaSO4 との二つの試料は, 本質的に同一の赤外線吸収スペクトルを示す。これらのデータを基礎として, β-CaSO4・1/2H2O のみならず, IIIβ-CaSO4 も結晶水を含むと考えられる。
    4) IIIβ-CaSO4 から IICaSO4 に転移する温度は, 358~371℃ の範囲である。S-O や S=O 伸縮振動, また O-S-O 変角振動による特性吸収帯は, この転移温度の範囲で多数に分裂する。しかし, この分裂は 371℃ よりも高い焼成温度では止まる。
  • 平尾 穂, 後藤 誠史, 近藤 連一
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2247-2251
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    さきに,Phosphate Bonded Mica について報告した。
    本報告はこれら Phosphate Bonded Mica の接着機構の一端を明らかにするために, フッ素金雲母単結晶-リン酸系のぬれ現象およびX線マイクロアナライザー (EPMA), X線回折等について実験を行ないつぎの結果を得た。
    (1) 室温~400℃ : 室温での接触角 (θ) は約 20°であった。付着ぬれの仕事は約 150erg/cm2 程度で, 比較的フッ素金雲母壁開面をよくぬらすことがわかった。400℃ で加熱した試料のリン酸は液状であった。(2) 500~900℃ : 500℃ 以上では界面で反応を起し, 雲母成分がリン酸に溶けこんだ。反応生成物の雲母壁開面への接触角は 500~700℃ で約 30°であり, 室温の場合よりも大きく, また 900℃ ではほとんど0に近く, この温度附近での反応生成物はよくぬらすことを見出した。(3) 900℃ 以上 : 900~1000℃ で反応させたものの結晶性物質としては, ピロリン酸マグネシウム (Mg2P2O7) およびオルソリン酸アルミニウム (Al・PO4) が折出し, さらに 1100℃ では上記化合物の外にオルソリン酸マグネシウム {Mg3(PO4)2} が晶出した。以上により, 低温 (室温~400℃) ではリン酸が雲母結晶に付着し, 高温 (500~900℃) では固相-液相間で化学反応が生じ, この反応生成物が雲母結晶にぬれやすく, 接着に寄与しているものと考えられる。さらに 900℃ 附近より反応生成物中に結晶性物質が認められ始めた。
  • 潮 真澄, 住吉 義博
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2252-2259
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    予めフッ素-水酸ドラバイト-電気石 [NaMg3Al6B3Si6O27Fx(OH)4-x] (x=O.0,4.0) 組成に調合した粉末試料あるいはガラス試料を用い, テストチューブ型水熱装置によって 400~900℃, 200~1000atm, 1~10 日間の条件下で電気石を水熱合成した。えられた合成試料はX線回折法, 顕微鏡および電子顕微鏡観察と化学分析法によって調べた。ドラバイト-電気石結晶は 1000atm, 750℃ 以下, 500atm, 700℃ 以下で合成できた。しかしごく少量の雲母類が共存していた。電気石は弱アルカリ性と弱酸性溶液では安定であったが, 強アルカリ性, 強酸性溶液では不安定であった。
    合成ドラバイト-電気石結晶中のフッ素含有量 (x) は温度, 圧力の上昇と共に増加し, x値は約 0.60~0.85 であった。結晶の大きさは最大 100μ 程度であり, ガラス試料を用いた場合は太くて短かい柱状晶が得られ, 粉末混合試料の場合は細長い柱状晶が得られた。
  • 山下 大二郎, 大秦 勲
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2260-2264
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    焼結式アルカリ蓄電池のニッケル基板にたいするリチウムイオンの影響を検討するために, 金属ニッケルを水酸化リチウム水溶液および水酸化リチウムを添加した水酸化カリウム水溶液中で電解還元し, 表面に生成した化合物について電位走査法および発光分光分析により検討し, つぎのような結果を得た。
    1) リチウムイオンは電解還元により放電し, ニッケル・リチウム化合物を生成する。
    2) 電位走査法により得られる電流-電位曲線で -0.85V (対 HgO 電極) 付近のピークは Ni~Li→Ni+Li++e- に基づく酸化電流と思われる。
    3) ニッケル基板の活物質化は NiH の生成とその酸化により促進されるが, 多量のリチウムイオンが存在しニッケル・リチウム化合物を生成する場合にはニッケルの酸化 (活物質化) は妨げられる。
    4) 水酸化カリウム水溶液中のリチウムイオン濃度が大なるほど酸素発生電位が貴に移行する。
    5) 水酸化リチウム水溶液中では NiH を生成するような還元条件になると酸素発生電位は卑に移行する。
    6) ニッケルをくり返し電解酸化還元することによる活物質化は水酸化リチウム水溶液中よりも水酸化カリウム水溶液中の方がより進む, しかし少量の水酸化リチウムを含む水酸化カリウム水溶液中では最も促進される。
  • 栗田 学, 渡辺 孝, 高山 直樹
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2264-2268
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    本研究は固定触媒床型流通反応装置 (反応管の内径 30mm×長さ70mm) において, コバルト・モリブデン・アルミナまたはシリカアルミナ触媒を用い, 温度 430℃, ゲージ圧力 100kg/cm2, 液空間速度 1.Ohr-1, H2/oil 容積比 1000Vol/Vol でカフジ常圧蒸留残油の水素化脱硫反応を行ない, 触媒の金属組成 Co/Mo 原子比, 触媒の焼成温度およびシリカを添加した場合の脱硫活性に及ぼす影響について検討した。
    1. コバルト・モリブデン・アルミナ触媒の水素化脱硫活性は Co/Mo 原子比, 硫化度及び炭素質析出量の影響をうけ, これらの要因は相互に密接に関連している。本脱硫活性は Co/Mo 原子比 0.5~0.8 の領域で最高を示し, この領域で触媒の炭素質析出量は最少となり, 硫化度は 73~79% を示した。
    2. この領域で 650℃ 焼成触媒が最高を示した。
    3. シリカ入り触媒では脱硫活性の低下がみられた。
  • 中島 齊, 小南 直也, 木村 武夫, 桜井 勅男
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2269-2272
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    オキシシアン化反応の塩化パラジウム触媒に対し, 種々の元素を塩化物のかたちで添加し, 助触媒効果を検討した。活性に対しては, 配位効果型の助触媒効果が支配的であった。電気陰性度が 1.1 以下の元素は活性を増大させる効果があり, 1.1~1.9 の元素は活性に影響を与えず, 1.9 以上の元素は活性を減少させる。他に, 銅, ビスマスなど乗り換え効果型 (リドックス促進型) 助触媒と見られる元素も認められた。活性低下の抑制に寄与するのは, 主にアルカリ金属元素, アルカリ土類金属元素 (ベリリウムを除く) ならびにこれらに類似の性質を持つ元素 (亜鉛, カドミウム) である。アルカリ金属元素は主にオキシシアン化活性の向上を通して, 選択性の向上に寄与している。IVA 族とその周辺のゲルマニウム, 鉛, タリウムならびにビスマスは主に燃焼活性の抑制を通して, 選択性の向上に寄与している。
  • 中島 斉, 木村 武夫, 小南 直也
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2272-2275
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化パラジウム-塩化カドミウム触媒によるエチレンのオキシシアン化反応を検討した。330℃ における6時間の実験では, 原料組成が下式を満足する範囲では触媒は活性低下をしない。
    Po2・(PHCN/PHCl)1/2≦0.064[atm], エチレン分圧は活性低下の発生に影響しない。330℃の実験で活性低下の認められなかった原料組成で, 270~360℃の範囲で実験を行なったがやはり活性低下は起らなかった。
    アクリロニトリル生成速度は下記の組成範囲で, 酸素分圧に比例して増加し, シアン化水素分圧の -0.3乗に比例し, エチレンならびに塩化水素分圧に依存しない。エチレン:0.12~0.25, シアン化水素:0.05~0.20, 酸素:0.03~0.20, 塩化水素:0.04~0.40気圧。アクリロニトリル生成速度が塩化水素分圧に依存しない領域と, 活性低下の起らない領域は一致するように思われる。オキシシアン化反応とプロピオニトリル生成反応は並列的に起っている。
  • 新畑 康, 大井 信一
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2276-2281
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサン溶媒中にアルミナに担持したパラジウム触媒を懸濁した気液系攪拌槽を用いて, 常圧のもとでシクロヘキセンの液相水素化反応を行なった。シクロヘキセン 0.4mol/l 以上において反応速度はシクロヘキセン濃度に0次である。この系における反応速度は気液間, 固液間の物質移動抵抗および触媒表面における化学反応抵抗によって支配されるので, 個々の抵抗をそれぞれ分離して検討した。すなわち, 水素の拡散律速の範囲で, 通気速度 (Vs), 撹拝速度 (N), 触媒濃度 (W) および触媒粒子径 (dp) などを変え, 気液間および固液間物質移動について, 総括速度からこれら二つの抵抗を分離し実験的検討をおこなった。ついで表面反応律速のもとで, 水素の分圧を変え, 表面化学反応速度が水素濃度 (CH*) に1次であることを見出した。これらの結果にもとづき総括速度式を, 操作変数の影響をあきらかにした三つの抵抗の和として次式のごとくあらわすことが出来た。
    ここで, A, B および Cは実験条件によって決まる定数である。
  • 渡辺 徹, 川上 股正, 越後谷 悦郎
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2281-2284
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Bi2O3-MoO3 触媒によるブテンの酸化脱水素反応をパルス法と流通法とで行なった。パルス法では, 1-ブテンのパルスにイソプレンを混合したとき, 反応の活性化エネルギーが 11kcal・mol-1から 23kcal・mol-1 に変化した。反応は特に低温度域でイソプレンの強い阻害作用を受けた。しかしながら, 1-ブテンパルスにブタジエンを添加しても反応速度には影響を及ぼさなかった。流通法で反応系にイソプレンを加えると, 反応速度はかなり阻害されるが, 活性化エネルギーには変化がなかった。n-ブテンとブタジエンの吸着熱をガスクロ法で測定した。以上の結果からビスマス・モリブデン触媒の活性の不均一性が示唆された。
  • 田伏 岩夫, 藤田 佳平衛, 坪井 正毅, 小田 良平
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2285-2287
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シクロオクタンと粉砕した無水塩化アルミニウムを, クロロホルム中, 室温で2時間反応させ, 転位生成物をガスクロマトグラフ, 赤外線吸収スペクトルにより, エチルシクロヘキサン, トランス-1,4-ジメチルシクロヘキサン, シス-1,3-ジメチルシクロヘキサン, トランス-1,2-ジメチルシクロヘキサン, シス-1,4-ジメチルシクロヘキサンであると決定した。エチルシクロヘキサンを同条件で処理しても, 同様のジメチルシクロヘキサン異性体が得られた。これらの結果に基づき異性化の経路について考察を行なった。
  • 浅原 照三, 妹尾 学, 佐藤 〓
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2288-2290
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    亜リン酸トリエチル-鉄塩系を開始剤とした四塩化炭素とエチレンのテロメリゼーションを種々の条件下に検討を加えた。その結果, テロマーの組成は反応エチレン圧によって容易に規制され, 反応圧 20~60kg/cm2 で n=1 テロマーは約 50~80wt% で得られる。反応速度はきわめて速い。これらの結果は次の様な配位ラジカル的テロメリゼーション機構を考えると良く説明される。
  • 和泉 学, 喜多 正義
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2291-2294
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    6種類のブチルアミンをカプリン酸メチルとエタノール中で反応させた結果, 置換アミド生成反応とともにエステル交換反応を起こすことを認めた。その反応の度合は, アミンの種類, 反応温度, 混和モル比に大きな影響を受けるが, エタノール溶液中におけるアミンの塩基度の大きさの順に進行することを確かめた。同一アミンについては, アミンの添加量の増加につれて置換アミド生成反応がエステル交換反応よりも進行した。
  • 中西 三郎, 吉村 太
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2294-2297
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-置換-β-フェニルエタンスルホン酸ナトリウムの LiOH との溶融反応を熱天秤を用いて, スルホン酸量, アルカリ量および置換基の影響について速度論的に研究した。
    反応速度は LiOH 量に依存せず, スルホン酸量に関係したので, スルホン酸塩 (W) の固体表面反応と考えて, 次式によって速度定数kを求めた。
    -dW/dt=kW2/3 フェニル基につく電子供与性の置換基は, 反応速度をおそくし, β-フェニルエタンスルホン酸, p-メチル-β-フェニルエタンスルホン酸, p-メトキシ-β-フェニルエタンスルホン酸の順に速度は小さくなり, β炭素の電子密度が大きくなることが考えられた。また加熱減量曲線から, 活性化エネルギーを求めると, 上記のスルホン酸の順に小さくなり, 反応速度の関係と反対となった。しかしこの理由の満足な説明はできなかった。
  • 中西 三郎, 坂本 篤美, 吉村 太
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2297-2303
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    脂環オレフィンを無水硫酸-ジオキサン錯体でスルホン化した。シクロペンテンとノルボルネンからはヒドロキシスルホン酸のみが, シクロヘキセンからは大部分が不飽和スルホン酸で, 少量のヒドロキシスルホン酸も生成した。またアルキル基を有する脂環オレフィンからは, 主に不飽和スルホン酸が生成した。シクロペンテンからえられたヒドロキシスルホン酸の水酸基のつく位置は, スルホン酸基に対しβ炭素で, シス体とトランス体の混合物であった。シクロヘキセンからえられたヒドロキシスルホン酸の水酸基のつく位置は, 等モル, 2倍モルスルホン化剤を用いたいずれの場合でも, スルホン酸基に対しβ炭素であったが, 立体配座については, 等モルではトランス体のみ, 2倍モルではトランス体とシス体の混合物であった。また脂環オレフィンから生じた不飽和スルホン酸の二電結合の位置は, すべてスルホン酸基に対しβγ位であった。n-プロピルシクロペンテンと 1-エチルシクロヘキセンは, スルホン化反応において異性化することが認められた。
  • 湖上 国雄, 小中原 猛雄, 山田 和俊, 熊野 谿従
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2304-2308
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アセトキシモノテルペンの熱分解では, 複雑なπ電子の移動をともなう酢酸の脱離がおこることがわかっている。そこでゲラニルアセテートおよびプロピオネート, ネリルアセテートおよびプロピオネート, リナリルアセテートおよびプロピオネート, タービニルアセテートおよびプロピオネートなどの電子衝撃による脱酢酸および脱プロピオン酸反応を試みた。これらのモノテルペンアセテートおよびプロピオネートはいずれも分子イオン M+. ピークが観察されず M+. より酢酸またはプロピオン酸を脱離して生じたモノテルペンのピークが m/e 136 に観察された。これらの水素引き抜ぎ反応には各化合物によって特定の水素のみが関与し, 生じたモノテルペンは, すでに報告してあるモノテルペンのマススペクトルデータよりゲラニル体およびネリル体の場合ミルセン, リナリル体の場合ミルセンまたはβ-オシメン, タービニル体の場合テルピネンであることがわかった。なおアセテートは m/e 43に,プロピオネートは m/e 57 にそれぞれ CH3CO+, CH3CH2CO+ にもとづくピークを生じた。
  • 金 煕元, 井上 富士夫, 浜中 佐和子, 井藤 一良, 小川 雅弥
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2309-2312
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    t-ブチルベンゼンの自色光照射下での塩素化反応を行なった。塩素化生成物の NMR スペクトルを用いて分析した結果, t-ブチル基のプロトンのそれぞれの化学シフトとその一連の側鎖塩素化物との間に, 塩素化の程度によって規期性が認められた。これらの結果と環プロトンの化学シフト変化から, 生成物の全成分が確認された。0℃ における反応においては, ベンゼン環に対する付加反応が主として起り, 同時に, 側鎖に対する置換反応もわずかに起ることが認められた。反応温度が上昇するにつれて, 付加反応は減少し, 一方置換反応は増加した。t-ブチルベンゼンの平均塩素数が6の時, 付加生成物の全塩素化物に対するモル比は 30℃ において 0.75, 60℃ においては 0.15 であった。80℃ における反応においては, 付加生成物は全く認められないで, 側鎖置換生成物のみが得られた。
  • 木藤 武利, 南 宏生, 平尾 一郎
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2313-2315
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-ヒドロキシ安息香酸メチルのナトリウム塩とω-クロル脂肪酸メチルとから, 6種類のω-(p-メトキシカルボニルフェノキシ) 脂肪酸メチルを合成する反応について検討した。メタノールを溶媒とするときは, 反応を 130℃ 以上で行なうと好結果がえられることを見出したが, 同時に副反応を伴うため, 収率は 85% を越えなかった。しかしながら DMF を溶媒とすれば, いずれのジメチルエステルも 96% 以上の高収率でえられた。
    一方, 相当する二塩墓酸はジメチルエステルの加水分解およびアルカリ水溶液中におけるかヒドロキシ安息香酸とω-ハロ脂肪酸との反応からえられたが, 前者の反応からは二塩基酸がほぼ定量的にえられたのに対し, 後者の反応からはあまり良い結果がえられなかった。
  • 尾関 紀嗣, 笠野 建司, 中村 俊英, 橋本 俊明, 久坂 政勝
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2316-2321
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-クロルビニル酢酸イソプロピル (IIPr) に紫外線照射下でメチルメルカプタンを付加させたところ, 塩素原子がα-位からβ-位に転位したβ-クロル-γ-メチルメルカプト酪酸イソプロピル (VI) が主成分でえられ, 他に脱塩化水素を起こしたγ-メチルメルカプトクロトン酸イソプロピル (V) およびその一異性体であるγ-メチルメルカプトビニル酢酸イソプロピル (III(シス)およびV(トランス)) がえられ, さらにVにもう一分子のメチルメルカプタンが付加したと考えられるβ,γ-ジメチルメルカプト酪酸イソプロピル (VII) が副成物として得られた。液安中で VI をアミノ化すると最高 72% 収率で, またVのアミノ化では 95% 収率でβ-メチオニンが得られた。
  • 尾関 紀嗣, 中村 俊英, 位田 孝幸
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2321-2324
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    β-クロル-γ-メチルメルカプト酪酸イソプロピル (I) と酢酸を還流下に反応させたところ, 塩素原子がアセトキシ基で置換されたβ-アセトキシ-γ-メチルメルカプト酪酸イソブロピル (IV) およびメチルメルカプト基がγ-位からβ-位へ転位してラクトン化したβ-メチルメルカプトγ-ブチロラクトン (V) が生成することが IR および NMR 分析の結果判明した。このVは新規化合物と考えられる。反応の経時変化から, この反応は I→IV→V の逐次反応か考えられる。硫酸の添加はこの反応を促進する。またプロピオン酸についても同様な結果がえられた。
  • 梶原 鳴雪, 斎藤 肇
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2324-2328
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ホスホニトリル三量体 (以下(PNCl2)3と記す) のo-, m-, p-キシリレングリコールのモノアルコキシドとオルトキシリレソグリコールのジアルコキシド (以下OXG, MXG, PXG および OXD と略記す) による塩素置換反応をジオキサン溶媒中で行なった結果, この反応は2次反応で, 置換反応のみかけの活性化エネルギーは 14kcal/mol(OXG), 9kcal/mol(MXG), 10kcal/mol(PXG) および 6kcal/mol(OXD) であることがわかった。つぎに OXG と MXG からえられた P3N3Cl3(OH2C・C6H4・CH2OH)3 (I), (II) と PXG からえられた P3N3Cl4(OH2C・C6H4・CH2OH)2 (III) のリンの結合状態を 31P-NMR でしらべた結果, 85% リン酸を基準として, δP=+0.7 (I), δP=+1.0, +1.7 と 13.5 (II), δP-=+1.0 と +2.7ppm (III) の位置に化学シフトがあることがわかった。
    このスペクトルと化学分析などから, (I) はnon-geminal, また (II) と (III) は geminal 型の構造の生成物であることがわかった。また OXG, MXG および PXG からえられた P3N3(OH2C・C6H4・CH2OH)6 置換体の転位をしらべた結果, 加熱による転位は認められなかったが, PXG からえられた生成物はヨウ化エチルと反応することがわかった。
  • 藤原 宣昭, 加藤 耕作, 中尾 光良, 古村 太
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2328-2333
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々の量の酢酸ナトリウムを含む氷酢酸中で, 重クロム酸ナトリウム (Na2Cr2O7・2H2O) によってアントラセンを 40~60℃ で均一液相酸化し, 速度論的考察を行なった。Cr (VI) およびアントラセンの濃度減少量, x(mol/Z) と y(mol/l) との間には, y=mx/2 なる関係が認められ, 反応温度と溶媒の変化に関係なくmは一定 (1.36±0.04) であった。mを用いて補正した速度式は同じ溶媒では Cr (VI) とアントラセンの各々の濃度について1次であった。溶媒成分のモル比の対数, log(AcONa/AcOH) と反応速度定数の対数との直線関係の傾きは -1.26±0.01 となり, 反応速度は溶媒の酸性度に関係すると考えられた。また, 溶媒の組成変化に伴なう δMΔSの減少に対してδMΔFは増加したが, ΔHは一定 (10.54±0.18Kcal/mol) であった。反応速度に対する光の影響はなかったが, 反応の雰囲気によるわずかな影響が認められた。
  • 梅本 弘俊, 和多田 幸夫, 福島 四郎, 松岡 賢, 北尾 悌次郎, 小西 謙三
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2333-2337
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    クマリン誘導体および関連化合物の光退色挙動がポリアミドあるいはポリエステルフィルム上において調べられた。そしてこの光退色における濃度依存性が退色特性曲線を用いて検討された。
    3-フェニル-4-メチルクマリンと2,6-ビスベンゾオキサゾリルナフタレン誘導体の日光堅ろう度はその染着濃度の増加とともに向上する。しかしながら, 4-メチル-7-メトキシクマリン, 4-メチル-7-ジエチルアミノクマリン, 3-フェニルクマリン, 3-フェニル-7-(3'-メチルピラゾリル)クマリンおよびベンゾオキサゾリルエチレン誘導体の場合には, 異常退色 (負勾配をもつ退色特性曲線), つまり染着濃度の増加とともに日光堅ろう度の低下がみられる。これらの知見と溶液状態におけるクマリンおよび関連化合物の光化学反応の結果から, 退色特性曲線が負の勾配をもつ現象と二量化反応の関係について考察した。
  • 松岡 賢, 田中 俊春, 北尾 悌次郎, 小西 謙三
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2338-2342
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2,3-ナフタリンジカルボン酸イミドから誘導された分散アゾ染料の色調と堅ロウ度におよぼす置換基の影響を検討した。
    5-アミノ-2,3-ナフタリンジカルボン酸イミドと簡単なアニリン系カップリング成分との組合せでは赤味だいだい色の染料がえられる。しかしカップリング成分を N-エチル-N-シアノエチルアニリン, N,N-ジエチルアニリン, 2,5-ジアルコキシ-N,N-ジアルキルアニリンおよび 2-アルコキシ-5-アシルアミド-N,N-ジアルキルアニリンに順次変えていくと, 累進的に色調は紫味赤色まで深色移動し, 退色に対する光安定性は減少する。とくに 8-ニトロ-5-アミノ-2,3-ナフタリンジカルボン酸イミドから誘導したアゾ染料はポリエステルに対して良好な親和性をもち, ポリエステルを濃色かつ鮮明な紫~青色に染める。そしてこれら染色布は昇華に対して非常にすぐれた堅ロウ性と日光に対してかなり良好な堅ロウ性をもっている。
  • 小林 清次, 伊藤 健児, 石井 義郎
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2342-2344
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリメチルシリルエチルスルフィドならびにp-位に置換基を有するフェニルジメチルシリルエチルスルフィドとクロラールとの付加反応の速度論的研究を, 赤外吸収スペクトル分析法を用いて行なった。いずれの反応にも二次反応式が適用でき, かつp-置換 (H,Cl,Me,MeO) フェニルジメチルシリルエチルスルフィドでは, 置換基の電子供与性の増大とともに反応速度が大きくなることを認めた。上記四種の置換基に関するハメットの反応定数を求めρ=-0.9 を得た。またアリルアルキルシリルスルフィドは対応するトリメチルシリルスルフィドに比し大ぎな反応性を示した。
  • 伊奈 勉, 黒沢 俊英, 小松 障, 山本 哲久, 高岡 恒郎
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2345-2350
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクリル酸 n-ブチルとアクリル酸エチルを, 開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いベンゼン中温度 60℃ で重合して得られた。初期重合体の溶液的性質を研究した。これらの重合体は Dcsreux 法によりカラム分別を温度 30℃ で行なった。分別溶媒として, ポリアクリル酸 n-ブチル (PBA) の場合はベンゼンを, 沈殿剤としてメタノールを用いた。ポリアクリル酸エチル (PEA) の場合は溶媒としてアセトンを, 沈殿剤として n-ヘキサンを用いた。PBA について,極限粘度数 [η] と数平均分子量 Mn との間には, 次式で表わされる関係式が得られた。
    分別試料に対して
    [η]=6.26×10-4Mn0.50 (エタノール23.5℃, dl/g)
    [η]=2.29×10-4Mn0.64 (アセトン30.0℃, dl/g)
    [η]=1.69×10-4Mn0.69 (ベンゼン30.O℃, dl/g)
    未分別試料に対して
    [η]=2.72×10-4Mn0.69 (ベンゼン30.O℃, dl/g)
    PBA および PEA について,θ温度を第二ビリアル係数と温度の関係から求めた。それぞれ, PBA-エタノール 23.5℃, PEA-メタノール 20.5℃ であった。ポリマーラジカルの停止機構について, 重合体の分子量分布および桜田-Houwink-Mark の式から検討した。立体効果のパラメーターσ=(γ02/γ20f)1/2 を求め, 各種アルキルアクリレートのそれと比較した。その結果, 側鎖のアルキル基が長く (大きく) なるにしたがって, σの値が大きくなることが明らかとなった。
  • 伊奈 勉, 黒沢 俊英, 小松 哮, 高岡 恒郎, Tsuneo TAKAOKA
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2351-2354
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてベンゼン中でアクリル酸 2-クロルエチルを重合し得られた初期重合体の溶液的性質を検討した。このポリマーを温度 30℃ で Desreux 法によりカラム分別した。溶媒としてベンゼンを沈殿剤としてメタノールを用いた。重合体の分子量と極限粘度の間には次式で表わされる関係が成立した。
    分別試料に対して
    [η]=2.88×10-4Mn0.064 (ベンゼン, 30℃)
    [η]=O.739×10-4Mn0.723 (アセトン, 30℃)
    [η]=5.68×10-4Mn0.503 (トルエン, 45℃)
    未分別試料について [η]=4.10×10-4Mn0.604 (ベンゼン, 30℃)
    重合体の分子量分布および桜田-Houwink-Mark 式にもとづき重合体ラジカルの停止機構について考察し, 不均化反応によるものが支配的であると考えた。Fixman プロットからKθの値を求め, 分子のステリックパラメター σ=(γ0220f)1/2の値を 2.30 と決定した。トルエン中での浸透圧 π/c とポリマー濃度cの関係直線のかたむきは, 各種の温度で0であった。
  • 錦織 禎徳
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2355-2359
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維層を透過する高分子希薄溶液の透過特性を調べた。用いた高分子溶液はポリエチレンオキシド (PEO) 分子量 0.46~3.54×106, ポリアクリル酸ナトリウム (SPA) 分子量 3.57×106 およびトロロアオイ粘液 (TA) であった。
    繊維をけん濁した高分子希薄溶液 (0.01~0.059/100ml) を100メッシュの金網を通して濾過し, 金網上に繊維層を形成させると同時にそれを透過する溶液の透過特性を調べた。水, 低重合度 PEO (分子量0.46×106), SPA および TA の透過特性は Darcy の法則にしたがったが, 高重合度 PEO (分子量1.7~3.54×106) はそのような関係を示さなかった。一方, 繊維けん濁液の自然沈降によって形成した繊維層に種々の圧力差で高分子溶液を透過させて, 透過速度と空隙率の関係を検討した。その結果, 高重合度 PEO のこのような特異な流動特性は, 繊維層の毛細管壁と溶液の相互作用によるものと推論された。
  • 錦織 禎徳
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2359-2363
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高分子希薄溶液中の繊維層における流動電位およびその溶液の透過特性を調べた。用いた高分子はポリエチレンオキシド (PEO) 分子量 3.54×106, ポリアクリル酸ナトリウム (SPA) 分子量 3.57×106 およびトロロアオイ粘液 (TA) であった。流動電位は電極間距離を変えることのできるセルによって, 種々の繊維濃度 (0.05~0.259/ml) で測定した。また, 透過性も同じセルを用いて求めた。
    繊維層の繊維濃度および圧力差を変えると, 流動電位および透過特性は同じような変化をすることが認められたが, その変化の傾向は高分子の種類ごとに異なった。PEO においては, 流動電位および透過特性は繊維濃度の増加とともに増加したが, SPA および TA では, これらは繊維濃度の増加とともに減少した。圧力差と流動電位および透過特性の関係は, SPA においては直線になるが, PEO および TA では直線にならなかった。このような結果から, 流動電位の測定において, 繊維層を通過する高分子溶液の透過特性が同時に考察されねばならないことが確認された。
  • 須沢 利郎, 玉井 久司
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2364-2366
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ABS樹脂のクロム酸混液処理による, 樹脂表面の変化を調べるために, 処理による, 樹脂表面におけるζポテンシャルの変化ならびに塩基性染料メチレンブルーの表面染着性を調べた。
    クロム酸混液処理によって, ABS 樹脂表面の-ζポテンシャルが増加し, ζ-pH 曲線における-ζの飽和値の 1/2 に相当する pH 値より, カルボキシル基が生成することが示唆された。またメチレンブルーの濃度増加とともに, クロム酸処理を行なった樹脂の表面染着量は, 未処理樹脂のそれより大であった。処理樹脂へのメチレンブルーの吸着には, ファンデルワールス力のほかに静電結合の関与することが示唆された。
  • 山下 那都樹, 吉原 正邦, 前嶋 俊壽
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2367-2370
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    数種の核置換ピリジン (Py) と水の存在下にテトラヒドロフラン (THF) 中 0℃ でアクロレイン (AL) の重合を行なった。初期重合速度式は Rp=k[Py][H2O][AL]2となり, -30~0℃ で測定した見かけの活性化エネルギー (ER) はいずれの核置換 Py を用いた場合もほぼ 3.76~4.40Kcal/mol の範囲内にあった。Py の置換基効果を検討した結果ρ<0となり,水の同位体効果は H2O/kD2O≒1.6となった。一方, プロトン供与体の水をフェノール (Ph) およびその誘導体に代えた場合の重合速度式もまた Rp=k[Py][Ph][AL]2となり, ERは 1.87~2.08Kcal/mol, Ph の置換基効果はρ<0 を得た。これらの結果から重合は Py と水との解離の際に生じた -OH アニオンによって開始されるアニオン重合であることが判明した。
  • 土田 英俊, 金子 正夫, 西出 宏之, 西 宗一郎
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2370-2374
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリビニルピリジン (PVP) を配位子として含む銅錯体によるフェノール類の酸化重合をおこない高分子配位子の効果を検討した。銅-PVP 錯体触媒による 2,6-キシレノール (XOH) の重合速度は銅-ピリジン (Py) 低分子錯体による場合に比べ小さい。Michaelis-Menten 式に基づく重合の動力学的取扱いから, PVP 触媒系では Py 系と比べ単量体配位の段階および電子移動段階で不利なことが示唆される。XOH に o-クレゾールを添加した混合単量体の重合では, PVP 系は Py 系より飽和反応率が大きく, 得られる重合体の収率, 分子量は共に高い。XOH, クレゾールの重合速度比から, PVP 系では Py 系に比べ XOH を優先的に活性化することがわかり, このため PVP の効果が現われたと思われる。
  • 高橋 三視, 桑原 豊, 竹田 政民
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2374-2377
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化コバルトに対するシアン化カリウムのモル比 ((CN/Co比) が2から6までの組成のシアノコバルト (II) 錯体水溶液を触媒とするメタクリル酸メチルの重合を窒素気相中, 30℃ で行ない, この反応における触媒液組成の影響について検討した。その結果, CN/Co 比が6の [Co(CN)5]3- の水溶液は, 窒素中ではメタクリル酸メチルに対し反応が遅すぎて有効な重合触媒ではないが, CN/Co 比が5以下の錯体水溶液中では反応が速やかに進行するのが認められた。そして, CN/Co 比の変化による重合速度の極大は, CN/Co 比が3付近に見られた。これらの結果と従来の報告とから, CN/Co 比が5以下の水溶液を触媒とする重合反応で触媒として主要な役割を果しているのは [Co(CN)5]3- ではなく, この水溶液中に共存する他のシアノコバルト (II) 錯体であることを考察した。一方, 重合反応において 1,1-ジフェユル-2-ピクリルヒドラジルの抑制あるいは禁止作用が認められたことおよびスチレンとの共重合の結果から, これらの重合はラジカル機構で進行していることが指示されたが, [Co(CN)5]3- 以外のシアノコパルト (II) 錯体触媒による重合機構の詳細については目下検討中なので別報にゆずりたい。
  • 小松 公栄, 広田 準, 安永 秀敏, 古川 淳二
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2377-2382
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化ニッケル (Ni2O3) または過酸化ニッケル (Ni-PO) のような高原子価のニッケル酸化物とハロゲン化アルミニウムを組み合せた触媒は, ブタジエンの cis-1,4 重合に活性な新しいタイプの触媒である。この触媒は, 触媒成分に有機金属化合物を使用していないので, いわゆる非チーグラー型触媒の1種である。
    Ni2O3 (または Ni-PO) と AlCl3 をトルエン中で反応させ, 生成した油状物 [Ia], [Ia] を濃縮することによって沈殿 [Ic] が得られる。[1a] および [1c] などの磁化率, 電子スペクトル, 元素分析などの物理化学的測定を行なった。また, Ni2O3 と AlCl3 にさらにブタジエンを反応させて得た生成物 [IIa] なども同様の測定を行なった。その結果, 触媒系はニッケル2価の六配位正八面体で, 低原子価のニッケル化合物を含まないことが明らかになった。一方, 動力学的な検討から, 全重合速度はブタジエン濃度の2次, 触媒濃度の1次に比例し, かんまん開始型の重合が起っていることがわかった。また, 開始反応にモノマーが関与し, 成長速度が早く, 触媒への連鎖移動が多く起っているような配位イオン重合 (配位カチオン的) であることがわかった。
  • 山崎 升, 朱 鉄男
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2382-2386
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Ti(OBu)4-AlCl2Et 系触媒による塩化ビニルの重合反応において, 重合速度, 重合度に与える幾つかの因子の影響を調べた。重合速度は Al/Ti 比が 2.5~3.0 で極大を示し, 触媒の熟成時間の増加と共に減少した。また重合速度はモノマー濃度, 初 Ti(OBu)4 濃度にそれぞれ一次であった。みかけの全重合活性化エネルギーとして, 8.4Kcal/mol が得られた。重合度への触媒濃度および溶媒濃度の効果より得られたモノマーおよび溶媒への連鎖移動定数はラジカル重合の値に近い値が得られた。
    これらの実験結果より, この触媒系による重合は他の2成分系触媒によるラジカル重合系と似た挙動を示すことがわかった。以上の実験事実より, Ti(OBu)4-AlCl2Et 系触媒による塩化ビニルの重合はフリーラジカル重合系と同じ機構で説明できると考えられる。
  • 小平 康人, 斎藤 志津子, 小林 秀彦
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2387-2392
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テレフタル酸とエチレングリコールとの直接エステル化反応をビス (2-ヒドロキシエチル) テレフタレートまたはその低重合体の存在下で行なう場合の平衡関係, 反応速度および主な副反応であるエーテル化反応の挙動, さらにテレフタル酸とエチレングリコールのエステル化反応に存在する二つの平衡関係に関し研究した。反応はすべて密閉系で行ない, 平衡組成の分析および副反応によって生成するエーテル化合物の分析にはガスクロマトグラフィーを使用し, 反応速度の解析は未反応カルボキシル基を定量することによって行なった。
    ビス (2-ヒドロキシエチル) テレフタレートまたはその低重合体の存在下では, 平衡組成は反応系の全テレフタル酸単位量に対する全エチレングリコール単位量の割合 (G), および反応開始時ビス (2-ヒドロキシエチル) テレフタレートまたはその低重合体のテレフタル酸単位量に対する添加テレフタル酸量 (A) によって定められることを明らかにした。エステル化反応速度は,カルボキシル基の濃度に関する一次平衡式で与えられ, 活性化エネルギー 24.2Kcal/mol が求められた。また副反応 (エーテル化反応) は反応温度によって抑制できないがG値およびA値を小さくすることによって抑制可能であることを知った。
    さらにテレフタル酸とエチレングリコールのエステル化反応において, テレフタル酸とモノ (2-ヒドロキシエチル) テレフタレート, モノ (2-ヒドロキシエチル) テレフタレートとビス (2-ヒドロキシエチル) テレフタレートとの問に平衡関係があることを明らかにし, 平衡定数が各々 5.0, 1.12 であることを求めた。
  • 木戸 猪一郎, 鈴木 公宏, 池田 功夫
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2393-2398
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    6-ナイロンおよびそのアセチル化ナイロンの繊維をナトリウムメトキシドのメタノール溶液により前処理反応をさせてナイロンをナトリウム化し, ジメチルスルポキシドで洗浄した後, アクリロニトリルのテトラヒドロフラン溶液中でグラフト重合反応を行なわせ, これら前処理およびグラフト反応について諸条件の影響を調べた。その結果, メトキシドはナイロンのカルボキシル基, アミド基およびアミノ基に反応するものと考えられ, ナトリウム化の反応熱として約 1Kcal/mol の吸熱, 見かけの活性化エネルギーとして 7.3Kcal/mol が得られ, ナイロンおよびアセチル化ナイロンの結合ナトリウム量はよく一致してメトキシド濃度にほぼ正比例すること, また結合ナトリウム量とグラフト率とはほぼ正比例すること, しかし非処理ナイロンよリアセチル化ナイロンの方がグラフト率が低いことなどを知った。それより結合ナトリウム1個から生ずるグラフト鎖の数平均分子量を計算すると, アセチル化ナイロンのグラフト鎖の方が小さいが, いずれもホモポリマーの分子量と同じオーダの値が得られ, ラジカル機構によるものに比べて低分子量のものが数多く着いている結果を得た。
  • 中林 一朗
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2398-2400
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 岡田 正秀, 太田 秀志
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2401-2402
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 難波 征太郎, 青沼 孝正
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2402-2403
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 中西 三郎, 吉村 太
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2404-2405
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 正田 勝康, 安井 昭夫
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2405-2406
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 黄 雅夫, 斎郷 和秀, 紺屋 栄, 横山 正明
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2406-2409
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 山辺 武郎, 吉田 章一郎, 高井 信治
    1971 年 74 巻 11 号 p. 2410
    発行日: 1971/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
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