工業化学雑誌
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74 巻, 2 号
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  • 中沢 允伸, 吉田 兼紀, 小門 宏, 井上 英一
    1971 年 74 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ホトクロミズムを示すスピロピランは, 溶液中あるいは高分子フィルム中で光発消色をくり返すに従い, その発色種の飽和濃度値が次第に減少してくる (疲労) ことを見出した。
    疲労は発消色をくり返さずとも, 紫外光を連続的に照射し続けても生じたが, この両者の疲労現象は必ずしも同一のものではない。ここではこの疲労現象を取り上げ, これに及ぼす種々の影響因子ならびにその原因を検討した。温度効果, スペクトル変化, その他の実験結果から, 疲労には少くとも2種類の過程が存在することがわかった。一つはスピロピランの無色種が関与しているもの, 他の一つは発色種が関与しているものであり, 前者の過程が支配的であった。
    また溶液中での測定結果から, スピロピランの分子間距離が小さいほど疲労は促進され, したがって疲労はスピロピラン分子間の相互作用により生じるものと考えられる。
    また高分子中での疲労はフィルム中に残存する残留溶媒によっても大きく影響され, その他マトリックスの種類, スピロピラン濃度などにも影響された。また溶液中では溶存酸素を除去すると疲労は促進された。
  • 照屋 輝一, 関 敏夫, 中森 一誠
    1971 年 74 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水溶液中の第二鉄イオンと臭素イオンの逐次錯体生成反応において, その第1, 第2段階で生成されるFeBr2+,FeBr2+錯体の生成平衡を分光光度法を用いて検討した。
    各錯体の生成定数と分子吸光係数の決定はイオン強度 3.0,温度 20℃で, 波長 380 から 450mμ の範囲で行ない, 逐次生成定数としてそれぞれ K1=2.13±0.03, K2=0.408±0.005 を得た。FeBr2+ およびFeBr2+ 錯体の吸収スペクトルはともに407mμ 近傍に極大を有し, 極大波長における分子吸光係数の値はそれぞれ εFeBr2+=216, εFeBr2+=930 であった。
    生成定数のイオン強度, 温度による変化より熱力学的諸特性値として20℃で FeBr2+ 錯体に対してK1°=4.75, ΔG1°=-O.91kcal/mol. ΔH1°=6. 10kcal/mol, ΔS1°=17. 7e. u. ,FeBr2+錯体に対して K2°=0. 98, ΔG2°=0.00lkcal/mol, ΔH2°=2.74kcal/mol, ΔS2°=9.34e.u. を得た。
  • 市村 博司, 小松 和蔵
    1971 年 74 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    四三酸化コパルト (Co304) の熱分解反応を熱天秤を用いて速度論的に調べ, 反応の過程を明らかにし, 反応に与える不純物添加の影響について研究した。分解反応は真空中 (5×10-3mmHg), 700~800℃の温度範囲でおこなった。分解率(α)と時間(t)の関係は, 純Co304およびAl03, In203 をドープした試料では, 反応の全過程は界面反応律速式1-(1-α)1/3=kt,で表わされた。Li20,Na20をドープした試料は, 反応の初期に誘導期のある挙動を示した。この誘導期は CoOの核生成過程であると推察した。純Co304分解反応の活性化エネルギーは 87.7kcal/molで,平衡圧測定から求められた反応熱に一致した。初期速度は Polanyi-Wignerの式を満足した。
  • 金沢 孝文, 海保 守, 近沢 正敏
    1971 年 74 巻 2 号 p. 152-155
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水溶性無機塩の粉体の吸湿過程を基礎的に究明する目的で, 試料に塩化ナトリウム, 塩化アンモニウム, 塩化カリウムの3種を選んで, 吸湿量と平衡水蒸気圧との関係, および吸湿初期における吸湿速度の変化を測定した。
    吸湿時の平衡水蒸気圧は, 吸湿量とともに急激に増加したのち, 飽和水溶液の値に至って一定となった。一方,吸湿速度は吸湿初期に低下したのち定常的となり, 試料が液滴となるまで変化しなかった。
    これらのことから本実験の範囲内では, 吸湿に有効な表面積は吸湿量の増加につれ初期にすみやかに減少し, 次に直線的に漸減したのち, 一定化することが明らかとなった。また, 吸湿により形成された試料表面の溶液膜が飽和水溶液としての水蒸気圧を示すためには, 1000~600Å の厚みを必要とすると考えられる。
  • 金沢 孝文, 門間 英毅, 石井 晴一
    1971 年 74 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    乾式合成フッ素アパタイトと各種作用物質との系におけるアパタイトの加熱分解性とフッ素の加熱時の挙動を検討した。
    シリカ, シリカゲルを添加した場合, 無添加物に比較して水蒸気の影響を大きく受け, フッ素揮発率は著しく増大した。リン酸アルミニウムはアパタイトの一部を分解し,β-リン酸カルシウムを生成した。その反応は約 1150℃ 付近から激しくなり, 空気中では高い反応率を示した。水酸化マグネシウムは本加熱条件下では不活性であった。水酸化リチウムは 450℃ 付近からアパタイトを分解して, リン酸リチウム, 酸化カルシウムを生成し, かつフッ素分はほとんど加熱物中に残留した。塩化カルシウムは塩素スポジオサイトあるいは塩素アパタイトを生成した。この際のフッ素揮発率は小であった。同様な鉱物組成変化は空気中における塩化マグネシウム処理でも示された。しかしそれの窒素ガス気流中 (200ml/min) では, 塩素スポジオサイト, リン酸マグネシウムおよび MgO-P205-MgF2系化合物と思われる結晶種が生成し, フッ素揮発性は著しくはなかった。気相塩化ケイ素の場合はフッ素の著しい揮発およびケイ素, 塩素の加熱物中への固定残留などが生じた。X線的にはα-クリストバライト, 塩化カルシウム, ピロリン酸カルシウムなどが特定の条件下で認められた。
  • 小松 宏二, 遠山 一郎, 川原 昭宣, 中村 富三
    1971 年 74 巻 2 号 p. 160-163
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ケイ酸カルシウムの水熱合成条件の確立とケイ素無機高分子の利用面を開発するため基礎研究を行なった。
    各種のケイ酸カルシウムについて, レンツのトリメチルシリル化法を採用し, 元素分析, 分子量測定, 赤外吸収分析を行なった結果, 不溶性三次元ブロック構造, 可溶性揮発性の線状構造, 可溶性不揮発性梯形構造の三つのポリシリケート誘導体を分離した。この結果, 水熱合成反応で低温短時間から得られたものを原料として生成したポリシリケートの分子量は小さく, 高温長時間からのものは大きい分子量をもつことが判明した。従って, ケイ酸カルシウム製造時の水熱反応段階でシロキサン鎖の縮合成長反応が順次進行しているものと考えられる。また, 粘土を添加したトバモライトは, Si-O-Siのシロキサン鎖が Si:Al=5~6:1の割合でアルミノキサン (-Al-O) により切断されて短かくなっていることも判明した。
  • 神野 清勝, 吉川 守, 石井 大道
    1971 年 74 巻 2 号 p. 164-167
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々の化合物中のフッ素含量の定量に対して, 迅速かつ非破壊的な方法が要求されている。時間のかからない容易な分析方法として, フッ素定量に速中性子放射化分析法が考えられるようになった。
    本研究では, 19F(n,α)16N 反応によって生成する短半減期同位体 16N を用いる方法について検討した。この反応を用いる有利な点は, 他の生成核種の妨害を受けないような高エネルギーの γ線を 16N が出すことである。160(n,p)16N 反応による妨害は, 16O の (n,p) 反応のしきい値以下のエネルギーの中性子を用いて除いた。照射は 2MeV の重水素をベリリウムターゲットに衝撃して得られる 1~6MeV のエネルギーを有するベリリウム-重水素中性子で行なった。
    また, 分析条件の変化, 特に中性子束の変化による精度の低下をさけるために, 金を内部標準として用いた。197Au(n,n')197mAu 反応で生ずる 197mAu は, 19F(n,α)16N からの 16 と半減期が等しいことから, 前者の放射能で後者の放射能が規格化された。
    結果として, 60~800mg のフッ素に対して, 平均相対誤差 2. 1% で直線の検量線が得られた。
    この方法は中性子放射化分析によるフッ素定量法として有用であろう。
  • 浅井 勝一, 石井 大道
    1971 年 74 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    有機元素分析法として従来の酸素燃焼法にかわって新しくフッ素燃焼法を提案し, この方法の確立を目的として検討した結果, その可能性を見い出した。本法は試料を過剰のフッ素中で燃焼し, その生成物のガスクロマトグラムを測定する方法である。腐蝕性のフッ素による燃焼生成物を分析するために市販のガスクロマトグラフの流路をニッケルおよびテフロンに改造して使用した。
    またフッ素は実験室で取り扱いの容易である小型のフッ素電解発生装置を試作して使用した。この装置は,陰極側開放型とし, KHF を電解浴とする高温型であり, 電解電圧の調節によってフッ素の発生, 停止および発生量が容易に制御できるものとした。また液体試料の注入可能なモネル合金のフッ素燃焼容器を製作し, これを用いフッ素と有機物試料 (n-ヘキサン, ベンゼン, ジクロルメタン, クロロホルム) との燃焼生成物(四フッ化炭素, フッ化水素, 塩素)のガスクロマトグラムをヘリウムをキャリヤーガスとし, 固定相担体にトリフルオルクロルエチレソ粉, 固定相液体にトリフルオルクロルエチレン油を用いて測定した結果, 本法が有機物の新しい元素分析法として使用できることを見いだした。本法の特徴は, 酸素燃焼元素分析法では困難な多成分元素の同時分析を可能とし, 試料はとくに秤量する必要がないこと, また高感度で測定できるため試料量は少なくてよく, ミクロ分析が可能なことである。
  • 田中 武英, 横山 哲夫, 山口 幸男, 長沼 清浩, 古川 睦久
    1971 年 74 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    低分子ウレタン類 R-NHCOO-R' の R を脂肪族, 脂環族, 芳香族置換基に, R' を脂肪族置換基に変化させ, 構造の違いがウレタン基の NH 伸縮振動 (νNH), C=O 伸縮振動 (νc=o), 水素結合%におよぼす影響を赤外吸収スペクトル法により調べた。遊離 νNH の分子吸光係数( ε )は R が芳香族の場合 200l/mol-cm,R が脂肪族, 脂環族の場合 120l/mol-cm 程度の値を示し, R, R' が C1 から C4 の脂肪族置換基に変化してもあまり影響を受けなかった。νNH の波数は N-脂肪族置換基の誘起効果が大きくなるにつれて減少したが, 0-脂肪族置換基の構造変化による影響はほとんど見られなかった。一方, νc=o の波数は O-脂肪族置換基の誘起効果が大きくなるにつれて減少したが, N-脂肪族置換基の構造変化によってはほとんど影響を受けなかった。水素結合%は R を変化させた場合芳香族の方が脂肪族より大きい値を示し, R, R' が脂肪族の場合は誘起効果と立体効果の相反する作用によりある Inductive Index の値において極大値が観察された。
  • 藤元 薫, 口石 修, 功刀 泰碩
    1971 年 74 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化パラジウム-活性炭触媒を用いるエチレンよリアセトアルデヒドの合成反応について諸因子の影響に関する実験的検討を行なった。
    均一系の液相反応の場合と同様塩化水素濃度が増すと反応は顕著に抑制された。温度効果はみかけの活性化エネルギーとして約 10kcal/mol が得られ, 気相反応とは逆の傾向を示した。反応の選択率は温度の上昇とともに増し, 80℃ 以上で 98% に達した。反応速度はエチレン対酸素のモル比が 4:1 の場合に最高となり, そのモル比でアセトアルデヒドの選択率も最大となった。副生成物は二酸化炭素が主で, その他微量のブテン, エチルクロリドが生成した。二酸化炭素の生成はエチレンと酸素が等モルの場合に最も多かった。
    エチレンは反応を促進したが酸素は逆に分圧を増すと反応を抑制した。ただし二酸化炭素の生成は酸素によって著しく促進された。酸素によるアセトアルデヒド生成反応の抑制についてはその原因を明らかにすることができなかった。
  • 相 衛
    1971 年 74 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブタジエンを原料としてフランを生成することに焦点を絞って, 触媒および諸反応因子について検討を行なった。V-Mo-P,Mo,Mo-P,Mo-Bi,Mo-Bi-P等の触媒について試みたところ, Mo-P触媒が最も良好なフラン選択率を示した。この Mo-P触媒について, 触媒組成の影響を調べたところ, P/Mo(原子比)=0.1~0.3の範囲のものが, 酸化活性, フラン生成の点で最も優れていた。また Mo-P(1:0.2)触媒を用いて, フラン生成におよぼす酸素濃度, 全ガス流量, 水蒸気添加など諸反応因子の影響について検討を行なった。
  • 前田 泰昭, 相 衛, 鈴木 貞雄
    1971 年 74 巻 2 号 p. 187-191
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    常温常圧下で各種アルデヒドとプロピレンの液相共酸化反応をベンゼン溶媒中で行ない, プロピレンによるアルデヒドの酸化反応の阻害効果を測定した。各種過酸ラジカルのプロピレンとの反応性を検討した結果, アセトアルデヒド>プロピオンアルデヒド>n-ブチルアルデヒド>クロトンアルデヒドの順であった。そこで低温においても共酸化反応の進行するクロトンアルデヒドを用いてプロピレンとの共酸化反応を行なった。その結果プロピレンオキシドはクロトンアルデヒドの酸化反応の結果生成した過酸によるプロピレンのエポキシ化反応によって生成すると推定された。クロトンアルデヒドの酸化反応速度はν=k[RCHO]3/2[02]1/2となり, 見掛けの活性化エネルギーは 20.1kcal/mol, 過クロトン酸によるプロピレンのエポキシ化速度は ν'=k'[RCOOOH][プロピレン]となり, 見掛けの活性化エネルギーは 11kcal/molとなる。
  • 大塚 道也, 菊池 幸雄, 伊香輪 恒男
    1971 年 74 巻 2 号 p. 191-195
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    各種酸化物を用いて気相常圧でイソブチルアルデヒドの脱水素反応を行ない, メタクロレインの生成を調べた結果, 原子比でビスマスとリンの比が 2:1 およびビスマスとアンチモンの比が 1:1, 1:2 の酸化物を用いた時, 最も高いメタクロレイン選択率が得られることがわかった。また活性が反応時間の経過とともに低下するが ,酸化物を酸素で焼成すれば活性が再現した。この反応は酸化物の格子酸素がイソブチルアルデヒドの水素引抜きに寄与して進行する脱水素反応であることが推定された。
  • 石川 敏夫, 島田 和夫, 早川 孝, 竹平 勝臣, 大島 哲, 栗木 安則, 小寺 嘉秀
    1971 年 74 巻 2 号 p. 196-199
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    モリブデン-ニッケル-アルミナ系触媒による重油 (イオウ含有率 4.26wt%) の水素化脱硫を水素圧 100kg/cm2, 反応温度 360~400℃ で検討し, 次の結果を得た。モリブデンまたはニッケルだけの単元触媒でも脱硫活性を有するが, 両者の組合せにより活性は上昇する。モリブデン, ニッケルの含有量がそれぞれ約 0.05 および 0.0349 原子/100gの触媒を用い, WHSV=4 の重油流通,反応温度 400℃ で 63.4% の脱硫率が得られ, その場合の見掛けの活性化エネルギーは約 17kcal/g 原子-S であった。脱硫活性はモリブデンおよびエッケルの酸化物が γ-アルミナと無定形の構造を形成し, これが硫化されて発揮されるもので, またクラッキングとかなり密接な関係があるものと考えられる。
  • 富永 博夫, 中村 忠, 荒井 弘通, 功刀 泰碩
    1971 年 74 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シリカアルミナ, アルミナゲル, シリカゲル, 酸化マグネシウム, 酸化カルシウム, 水酸化ナトリウム, 水酸化カリウム (いずれも固体もしくはシリカゲルに担持させたもの) などを用いて,3,4-ジクロル-1-ブテン, 1,4-ジクロル-2-ブテン, 1,2-ジクロルプロパンなどの接触反応を研究した。実験には固定床流通式反応装置を用い, 温度は 150~250℃ とした。実験の結果,次のような反応経路が知られた。
    ただし,Bは塩基 (NaOH,KOH), Aは酸 (供試触媒中前2者以外のもの) を示す。1,2-ジクロルプロパンの脱塩酸反応の立体規則性に関する実験事実から, 酸性触媒については E2 機構が, また塩基性触媒については E1cB 機構が, それぞれ示唆された。
  • 小谷野 喬, 金子 勝三, 小松 正人, 宇佐美 盛爾
    1971 年 74 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1,2-ジメトキシエタンを塩化エチレンのメタノリシスによって合成する方法を検討した。発生する塩化水素の吸収剤として弱塩基性物質たとえば水酸化マグネシウム, 水酸化亜鉛のようなものを反応系中に加えておく必要がある。反応液の極性を低下させるような溶媒の添加は一般に反応を阻害する。反応は主として液相でおこり, 最適反応温度は200℃ と考えられる。この反応は逐次擬1次反応として進行し, 第2段反応の速度の方が第1段反応よりも早い。1,2-ジメトキシエタンは塩化エチレン転化率 85% 以上, 選択率 80% 以上で合成されることが見い出された。
  • 小谷野 喬, 渡辺 治, 小松 正人
    1971 年 74 巻 2 号 p. 207-210
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エチレンをメタノール中100~160℃ でヨウ素と反応させると 1,2-ジメトキシエタンが生成するが, 酸素が存在するとヨウ素が再生されて反応は接触的に進行する。この反応ではまずエチレソから 1,2-ジヨードエタンおよび 1-ヨード-2-メトキシエタンが競争的に生成し, 続いてメタノリシスがおこっていると思われる。発生するヨウ化水素は 1,2-ジメトキシエタンのエーテル結合を切断し, また反応条件下ではむしろメタノールと反応してヨウ化メチルを与えるから速やかに酸化して除かなければならない。ヨウ化水素の酸化は反応液中への酸素の溶解度が律速となる。これらの反応を速度論的に検討した。
  • 小谷野 喬, 金子 勝三, 渡辺 治
    1971 年 74 巻 2 号 p. 211-214
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エチレンの塩化第二銅による塩素化反応をメタノール溶媒中, 酸素の存在下で行なった。生成する 1,2-ジクロルエタンおよび 1-クロル-2-メトキシエタン (CME) の反応塩化第二銅に対する収率は合計 100% を越え, 系中で第一銅が酸化されて第二銅が再生していることを示した。塩化第一銅の酸化速度は反応液中の酸素濃度に比例する。塩化第二銅の代りに塩化第一銅と塩化水素を塩素化剤としても同様に接触的に反応が進行する。CME をアルカリアルコシドと処理して 1-アルコキシ-2-メ卜キシエタンにする反応を検討した。たとえば 100℃ で CME をナトリウムトメキシドと反応させると, 1,2-ジメトキシエタンが選択率約 90% で得られた。アルコキシドの炭素数を増して行くと, 置換反応速度はエトキシドで極大となり, 脱離反応速度は炭素鎖の分岐度とともに増大した。また反応速度は対カチオンの種類によって影響され, K>Na>Li の順になる。反応速度定数を遊離イオンおよびイオン対の反応に分けて求めた。
  • 森田 栄太郎, 松井 泰久
    1971 年 74 巻 2 号 p. 215-218
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    クロトンアルデヒドの蒸気を窒素で約 50% に希釈して, 水酸化カルシウムおよびソーダ石灰上を通してクロトンアルデヒドの気相での縮合反応を行ない, 生成物は主としてガスクロマトグラフで分析して, n-ブチルアルデヒド, n-ブチルアルコール, o-トルアルデヒド, o-トリルカルビノール等を認めた。水酸化カルシウムを使用した場合は, 300℃ で o-トルアルデヒドが 24% の収率で生成し, ソーダ石灰では 220℃ で o-トルアルデヒドが 17.4%, o-トリルカルビノールが 16.2% の収率で生成した。アルカリの存在は縮合温度を低下させ, o-トリルカルピノールのような水素付加物の生成を促進することを認めた。また, 高温では 1,3-シクロオクタジエンと推定されるものの生成を認めた。
  • 黒岩 茂隆, 松田 英臣, 政田 勝利
    1971 年 74 巻 2 号 p. 218-223
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    非イオン性界面活性剤の逆型ミセル濃度領域における, 溶液構造の温度変化を調べるために, ポリオキシエチレン基の重合度 12 および 8.5 の 2種のノニルフェニルエーテルを用い, 80~95%水溶液の流動複屈折度および粘度の温度依存性を, 10~80℃ の温度範囲にわたって測定した。その結果,前者においては 85 %以上,後者においては 90% 以上の濃度溶液は,温度の上昇とともに負の複屈折度を減少して, ついにある温度で 0 となるが,さらに温度をあげると, 再び負の値を示すようになること, および, この複屈折度が高温度において再度負の値を示しはじめる温度で, 溶液の粘度はそれぞれ極小となることがみとめられた。これらの実験結果をもとにして, 非イオン性界面活性剤の 80~95% の溶液構造の温度変化について詳細な検討を行ない, 状態図をつくることを試みた。
  • 池田 功, 武本 剛, 小森 三郎
    1971 年 74 巻 2 号 p. 220-223
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-フェニル-Nメチルニトロンと α-オレフィンの付加反応により, 長鎖アルキル基を有するイソキサゾリジンを合成し,その性質ならびに反応性を知る目的で本研究を行った。特に四級化反応を主な目的とし, 四級化物が得られるか否かということおよび得られた生成物の性質を検討した。5-ドデシル-2-メチル-3-フェニルイソキサゾリジンは 10% カセイソーダおよび塩酸水溶液中で加熱しても比較的安定であった。塩酸塩およびピクリン酸塩を単離することはできなかったが塩化メチルおよび塩化ベンジルによる四級化反応は進行した。しかしその反応速度はラウリルジメチルアミンより小さかった。生成四級化物は白色鱗片状で吸湿性の著しい結晶であった。さらにこの四級塩は菌の増殖抑制効果が大きく Staphylococcus aureus 209P 株に対して 40万倍希釈でも有効であった。あわせて四級塩の示差熱分析およびその水溶液の表面張力を測定した。
  • 根来 健二, 斎田 健一
    1971 年 74 巻 2 号 p. 224-227
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Solution Salt Bの各成分, すなわちスルファニル酸 (S), モノベンジルスルファニル酸 (MB) およびジベンジルスルファニル酸 (DB) が分離された。これら成分の水溶液について表面張力, 粘度および電気伝導度, 可溶化, 乳化および浸透能力が測定された。得られた結果はつぎのとおりである。
    1) 表面張力の低下と Orange OT の水中への可溶化能力は DB においてかなり大であった。
    2)DB の水溶液中濃度の平方根と当量伝導度との間の直線関係 は0. 5g/100ml で屈折を生じた。
    3) 表面張力~log c (c:濃度), 当量伝導度~ √c および Orange OT の可溶化量~c曲線はほとんど同じ濃度で屈折する。これはミセル形成にもとつく臨界濃度と考えられる。
    4) 流動パラフィンの水中への乳化およびフェルトへの水の浸透能力は DB にのみ見られた。
    5) S, MB および DB の混合水溶液の表面張力低下の程度は純DB試料とほぼ同じ位であった。
    6) 水溶液の表面張力におよぼす pH の効果は MB においては小で, 一方 DB では等電点 (pH6. 7) で表面張力の極大が貝られた。
    以上の結果から, Solution Salt の主成分である MB より DB の方がむしろ表面活性剤としてすぐれていることがわかった。
  • 吉田 善一, 西 英次郎
    1971 年 74 巻 2 号 p. 228-230
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジメチルスルポニウムメチリドは t=ブトキシドの存在下ジメチルスルホキシド溶媒中でか置換塩化ベンジルと反応して p-置換スチレンを生成する。このさい, p-置換基の電子効果が余り大きくない範囲では, p-置換スチレンの生成は置換基の電子供与性の大なほど大となる。しかし, p-置換基の電子吸引性が大なほど p,p'-ジ置換スチルベンの生成が競争的に起こり易くなり,とくにニトロ体の場合には, 後者の反応がほとんど定量的に起こる。他方, 置換基の電子供与性が大な p-メトキシ塩化ベンジルでは同種分子間での脱塩化水素縮合が極めて容易に起こる結果, p-置換スチレンを生成しにくい。
  • 浅原 照三, 妹尾 学, 白石 振作, 手代木 琢磨
    1971 年 74 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2,5-ジヒドロキシ-p-ベンゾキノン, 2,5-ジクロル-3, 6-ジヒドロキシ-p-ベンゾキノン, および 2,5-ジブロム-3,6-ジヒドロキシ-p-ベンゾキノンとエチレングリコールとの反応を, 触媒として HCl, HBr, H2SO4を用いて行ない, ジオキサン環がベンゼン核に縮合した化合物を合成し, その構造を IR, NMR およびマススペクトルにより確認し, 反応機構について考察した。
  • 菅原 駿吾, 石川 延男
    1971 年 74 巻 2 号 p. 235-239
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    熱的に安定なポリアミドあるいはポリエステル用のモノマーを見いだす目的でいくつかの多フッ素化ビフェニルジカルボン酸を合成した。
    ジ-またはトリ-フルオルリチオベンゼン類を塩化銅 ( II ) を用いてアリール-アリール酸化カップリング反応を行なわせることにより, あるいはまたジフルオルヨードベンゼン類をジメチルアセトアミド中で Ullmann ヵップリング反応を行なわせることにより, 対称型ポリフルオルビフェニル類を合成した。これらポリフルオルビフェニル類あるいはポリフルオルブロムピフェニル類をリチウム化し, えられたジリチオ化合物をカルボキシル化してつぎのポリフルオルビフェニルジカルボン酸類をえた。3,3',5,5'-テトラフルオルピフェニル-4,4'-ジカルボン酸,2,2',4,4'-および4,4',6,6'-テトラフルオルビフェニルー3,3'-ジカルボン酸,2,2',4,4',6,6'-ヘキサフルオルビフェ=ル-3,3'-ジカルボン酸 [ 9 ]。また2,2',6,6'-テトラフルオルピフェニル-3,3'ジカルボン酸,3,3',6,6'-テトラフルオルビフェニル-2,2'-ジカルボン酸および [ 9 ] はそれぞれ相当するポリフルオル安息香酸のリチウム化および酸化カップリング反応によってえられたが収率は低かった。
    これらポリフルオルピフェニルジカルボン酸類のジアミドおよびジメチルエステルも合成した。
  • 橋田 洋二, 関口 自然, 松井 弘次
    1971 年 74 巻 2 号 p. 240-241
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩基触媒アゾカップリング反応におよぼすジァゾ成分のオルト位の置換基の影響を動力学的に検討した。オルト-[CH3, C2H5, CH(CH3)2, 0CH3, NO2(p-OCH3), C1(p-OCH3), C6H5, 2,3-(CH2)4] 置換ベンゼンジアゾニウム塩と 2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸 (R酸) との反応において, 僅かながら塩基触媒効果が認められた。しかしながら, 非置換およびオルト-(SO3H) 置換体と R酸との反応では, 塩基接触作用が認められなかった。一方, 2-ナフトール-6,8-ジスルポン酸との反応の場合, 反応は塩基により大きく促進され, その塩基触媒効果の度合は, ベンゼンジアゾニウム塩中の置換基の性質により左右されることが明らかとなった。これらの結果をジアゾ成分の反応性と関連して考察した。
  • 小松 紀陸, 岸本 茂夫, 黒木 宣彦
    1971 年 74 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン繊維は種々の用途に用いられているが, この繊維の欠点の一つは熱や光によって酸化されやすいことである。洗たく, 乾燥あるいは染色などの操作時に繊維中の抗酸化剤は容易に脱落してしまう。抗酸化性化合物と色素をトリアジン環で連結することにより抗酸化性を持つ染料を合成した。この新しい型の染料を用いて繊維の着色と熱安定性の向上が染色によって同時にえられた。染色繊維のオーブン劣化時間およびフィルムの 140℃ での酸素吸収法によってえられた誘導期間によって合成した染料がすぐれた抗酸化性を持っていることを示した。
  • 浦野 紘平, 清浦 雷作
    1971 年 74 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    石炭を陽イオン交換剤にして利用することを目的とし, 19種類の石炭と 2種類の低温乾留炭を硫酸で処理し, イオン交換容量, 元素組成, 細孔分布などの変化を調べるとともに, 処理時の反応についての知見を得るため, 発生ガスの分析を行なった。処理時間は 2~3 時間で十分であり,温度は 80℃付近が最適で, 従来のような高温の長時間処理は不必要であることがわかった。無煙炭や低温乾留炭は硫酸と反応しにくかったが, 炭素含有率 66~89% (d. a. f. ) の日本炭は硫酸処理によって, 総陽イオン交換容量, 細孔分布, 真比重などの大差ない陽イオン交換剤となることがわかった。それらの強酸性および弱酸性の陽イオン交換容量はともに 0.5~1.2ミリ当量/g の範囲にあり, 両者の和は 1.7±0.3ミリ当量/g であった。石炭の硫酸との反応はスルホン化反応および酸化, 分解反応で SO2,CO2,CO などを発生することがわかった。とくに高炭化度炭を高温で処理した場合は酸化, 分解反応が多く起こり, 多量の SO2 を発生し,石炭の細孔分布や真比重の変化が大きかった。
  • 軽部 征夫, 金子 隆, 鈴木 周一, 水口 純
    1971 年 74 巻 2 号 p. 253-256
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者らは繊維性蛋白質からフィルム, 糸などを電気化学的に成形する方法を開発してきた。それらの製晶の原料である腱, 皮などは, かなりの量の脂質を含有している。
    本実験では, コラーゲンフィルムの機械的性質におよぼす脂質の影響について検討した。まっこう鯨の腱の脂質は, 有機溶媒 (クロロホルム-メタノール1:1)で処理して抽出した。電気化学的に成形したフィルムの機械的強度は脂質含量の減少とともに増大した。逆に, 脂質を添加すると機械的強度は減少した。これらの結果からフィルム中の脂質はフィブリル同志のからみ合いを妨げるものと考えられる。
  • 荻原 允隆, 荒井 健一郎, 山本 将登
    1971 年 74 巻 2 号 p. 256-259
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    セルロース物質の酵素加水分解反応を反応速度論的に取扱うために, まず反応速度式におけるパラメーターを求める方法を検討した。従来のほとんどの報告では還元糖の増加量からパラメーターを求めているが, 著者らの市販の粉末セルラーゼを用いた実験では加水分解生成物は主としてグルコースおよびセロビオースであり, これらの割合が反応の経過とともに著しく変化することを認めたので, 還元糖の測定から反応速度を追跡することは妥当でないと推定した。次に,加水分解におけるセルロース物質の重量損失からパラメーターを求める方法を検討し, 24 時間加水分解後のセルロース物質の重量損失を反応速度とし, Michaelis-Menten の式を変形した Hofstee プロットを用いることによって反応速度パラメーターを精度良く求めることができた。さらにこれらのパラメーターがセルロース物質の微細構造の影響を受けることを認めたので, このようなパラメーターを用いるセルロース物質の微細構造の解析が可能であると推察した。
  • 広橋 亮, 飛鋪 靖, 土肥 正明
    1971 年 74 巻 2 号 p. 259-265
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テレブタロイルクロリド, イソフタロイルクロリドおよびアジピイルクロリドと p-フェニレンジアミン, ベンジジン, 1,5-ナフチレンジアミン, 4,4'-ジアミノジフェニルメタン,4,4'-ジアミノジフェニルスルホン, 3,3'-ジクロル4,4'-ジアミノジフェニルメタン, ヘキサメチレンジアミン, 3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトロキサスピロ [5,5] ウンデカンとの重縮合反応により得られたポリアミドの電気伝導性および紫外領域の光伝導性が測定された。体積電気伝導の温度依存性の直線関係から有機半導体の電気伝導の活性化エネルギー(EA) が求められた。約 200kg/cm2で円板上に加圧, 成型された試料 (表面積 1. 307cm2, 厚み0.05~0.1cm) が用いられた。テレフタロイル系 (ρ文字=1012~1015ohm・cm, EA=0.20~1.11eV), イソフタロイル系 (ρ=106~1014ohm・cm, EA=0.35~1.54eV), アジピイル系 (ρ=108~1015ohm・cm,EA=0.08~0.87eV)。
    表面伝導型セルを用いた時の光電流は測定雰囲気が大気中の湿分の影響を受け (API:Id=1.06×10-11Amp), 真空中(10-6Torr) と比べて著しく小さい(Ip=4.36×10-10Amp)。
    暗電流に対する光電流の比が約 1000以上あるものの構造依存性は次の傾向が得られた (括弧のなかの数字は比を示す)。
  • 奈良 茂男, 松山 謙太郎
    1971 年 74 巻 2 号 p. 265-268
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フタル酸ジアリル樹脂と銅箔との接着性を付与するため, 銅箔のクロム酸処理を行ない, その処理銅箔をさらにポリピニルアルコールで処理することにより, 強固な接着力が付与される。
    これは, クロム酸処理によって銅表面に生成したクロムと, ポリピニルアルコールの水酸基との間に形成される配位結合性の親和力によるものと認めた。
    このことは, ポリビニルアルコールに重クロム酸カリを少量添加することにより, より強固な接着力が付与されることからも, 接着成形時の加熱操作によるクロム (VI) からクロム (III) への熱還元により, クロム (III) とポリビニルアルコールとの配位結合性の架橋構造が形成されるものと考えられる。
  • 北条 舒正, 白井 江芳, 亀山 義夫, 長崎 健雄, 市川 信三
    1971 年 74 巻 2 号 p. 269-272
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) の水に不溶なフィルムの金属アンミン錯体水溶液中での伸縮におよぼす系の pH, イオン濃度, イオン強度, アニオンの種類, 金属の種類の影響について検討した。いろいろな 2 価の金属アンミン錯体水溶液中での伸縮を試みた結果,銅 ( II ) イオンの場合にのみ伸縮現象が観察された。PVA フィルムの収縮率は銅 ( II ) イオンの吸着量にほぼ比例した。IR スペクトルによって PVA の側鎖の水酸基に銅 ( II ) イオンが結合されていることから,銅 ( II ) イオンの配位によって収縮が起こるものと考えられる。銅 ( II ) アンミン錯体水溶液中で収縮させた PVA フィルムの X 線回折から結晶性が向上したことが判明した。
  • 北条 舒正, 白井 江芳, 森 輝雄
    1971 年 74 巻 2 号 p. 273-276
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ホルムアルデヒドで架橋した, 水に不溶なリン酸化ポリビニルアルコール ( I ) フィルムの種々の金属イオン水溶液中の収縮におよぼす pH, イオン濃度, イオン強度,アニオンの種類, 金属イオンの種類の影響を検討した。( I ) の膨潤状態のフィルムは酸, 種々の電解質溶液中で収縮するが, 銅 ( II ) イオンの存在で収縮率は増加する。この現象は ( I ) にあるリン酸基と銅 ( II ) イオンが配位結合することによって生ずるものと考えられる。これらの結果は, 金属アンミン錯体水溶液中の PVA フィルムの収縮に関する結果と比較した。
  • 岩間 真道, 本間 輝武
    1971 年 74 巻 2 号 p. 277-281
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ゲルパームエーションクロマトグラムおよび普遍変換曲線に対する溶媒の影響について実験的考察を行なった。この目的のために溶媒の力によって影響を受けないような担体として多孔性ガラス玉を用いて実験を行なった。普通使用されているポリスチレンゲルと異なり, ガラス玉の場合には吸着性について十分考慮しなければならない。そこでまずガラス玉の吸着性について調べたところ, シクロヘキサンを溶媒としたとき, ポリスチレンの回収率が非常に悪く, 回収率が 100% になるようなガラス玉の処理方法について検討を行なった。これらのガラス玉カラムを用いてシクロヘキサン, MEK, THF, トルエンの溶媒による普遍変換曲線を求めたところ, それぞれ別々の曲線を示し, 普遍変換曲線を得ることはできなかった。また分子量分布もシクロヘキサンの場合を除いては今迄と同様, 他の方法によって求められたものと一致する曲線を与えたが, シクロヘキサンでは多少吸着の影響を受けることがわかった。
    ポリスチレンゲルカラムについても同様な実験を行なったが, シクロヘキサンの場合は先の結果と同様ポリスチレンの回収率は 100% ではなく,ゲルの孔径の小さいカラム程回収率は低下する傾向にあった。また普遍変換曲線も溶媒により異なり,特にシクロヘキサンでは,大きくはずれることがわかった。
  • 住田 雅夫, 宮坂 啓象, 石川 欣造
    1971 年 74 巻 2 号 p. 281-287
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンの非晶配向度を whitex (蛍光染料) およびヨウ素の二色性および 1155cm-1 の非晶バンドの赤外二色性から研究した。
    本研究ではこれら三種類の方法から得られる非晶配向度と従来の X線回折, 複屈折の組合せから間接的に誘導される非晶配向度とが比較された。60℃ 水中で延伸されたポリプロピレンフィルムに対して直接法から得られる配向度は延伸倍率に対して0から単調に増加するが, 間接法から得られる非晶複屈折は延伸倍率に対して0から負の値をとりさらに高延伸倍率で正の値に変化し以後単調に増加する。
  • 小谷 悌三, 桑原 豊
    1971 年 74 巻 2 号 p. 287-295
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    一連のプロック鎖長の異なったスチレン-ブタジエン共重合体はn-ブチルリチウム開始のアニオン重合法によって合成された。それらは化学組成および平均分子量を一定にしたものである。そしてえられた共重合体のモレキュラーキャラクタリゼーションを行なった。
    さらにそれらの試料の転移領域やゴム状領域の緩和弾性率をボケッチノ型緩和計および動的粘弾性測定装置によって測定した。仕込量から算出したスチレンプロック鎖長ns、に対する粘弾性データの解析から,次のような結果をえた。系の自由容積分率はns、が増大するとともに減少し, ns が 25~40 で最小となる。それ以上では急に上昇し, 最終的には一定値に近づくことがわかった。等自由容積状態においてその移動因子log aT は, ns が 40 以下の試料群において WLF 式によく適合するが 40 以上の試料群において 60℃以上でいちじるしい背異が認められた。等時状態において緩和弾性率の温度依存性は, ns が 40 以下でランダム共重合体の, 40 以上ではポリブレンドのそれと類似になった。ns=40 では両者の中間の形状であった。
  • 伊木 義雄, 木下 雅悦, 井本 稔
    1971 年 74 巻 2 号 p. 295-298
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    セルロース類の放射化分析により銅およびその他の金属が微量含まれていることが明らかになったので, セルロース・水・四塩化炭素系によるメタクリル酸メチルの重合に対する微量の金属塩の添加効果を調べた。特に銅イオンの重合促進効果が著しく, セルロースに銅イオンを吸着させることにより重合速度が数倍になった。水, 四塩化炭素, メタクリル酸メチルなどの量に対する速度の依存性は銅イオンを吸着させない場合と同様の傾向を示した。これよりセルロース中に含まれる銅がその重合開始活性に対して重要な役割を果たしていることがわかった。
  • 青柳 重郎, 田川 徹, 篠原 功
    1971 年 74 巻 2 号 p. 298-301
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スチレン-無水マレイン酸共重合体 (分子量1800) を大過剰の混合アルコールによってエステル化し, 個々のエステルの生成速度と混合エステル化物組成の関係を検討した。まず四種のアルコール (n-ブタノール,i-ブチルアルコール, i-アミルアルコール, ベンジルアルコール) について片エステル化速度を無触媒系で求めた。次にn-ブタノールi-アミルアルコール系で混合エステル化を試みたが組成分析から[P]/[P2]==k1[B1]o/k[B2]oなる関係が得られた。これを一般化してn成分の混合アルコールを用いたとき, その混合エステルの組成式は次式となる。(ただし, [P]:エステル基濃度, [B]o:アルコール初濃度,k:反応速度定数,i,j=1,……n)
  • 指尾 稔, 田中 誠, 村田 二郎
    1971 年 74 巻 2 号 p. 301-305
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    5, 5-ジメチルヒダントインおよび1-アルキル-5,5-ジメチルヒダンドインの3-α-および3-β-アセトキシエチル誘導体の熱分解によるビニル誘導体の合成について検討した。
    3-α-アセトキシエチル誘導体はヒダントィン類と酢酸ビニルを水酸化カリウム触媒の存在の下で, 100~170℃で加熱することにより得た。
    5,5-ジメチルヒダントインは 1-アセチル-3-付加物 ( I )となり, 1-アルキル-5,5-ジメチルヒダントインは 150℃以下では好収率で3-付加物 [アルキル;メチル( II ),エチル( III )] となったが, 170℃では 3-ビニル誘導体が主生成物として生成するために付加物の収率は低かった。
    3-β-アセトキシエチル誘導体はヒダントイン類とエチレンクロルヒドリンを反応させたのちアセチル化して得た。
    熱分解は約 30% アセトン溶液を約 1ml/min の速度で所定温度に加熱したステンレス管に滴下して行なった。
    この結果, ( I ), ( II ), ( III )では, 450, 500℃で( I )を除いてビニル誘導体の収率は 85~95%, 転化率は約 100% であったが, ( I )では, 脱酢酸あるいは脱酢酸と 1位の脱アセチル基が起こった。3-β-アセトキシエチル誘導体では,520 ~590℃の範囲で収率は 30~70%, 転化率 40~100% であり, 550℃が最適であることがわかった。
    また, 3-エチル-5,5-ジメチルヒダントインと酢酸ビニルを酢酸水銀, 硫酸触媒の存在の下で, 室温で長時間放置すると 1-ビニル誘導体が生成した。
  • 石井 孝美, 滝川 尚久
    1971 年 74 巻 2 号 p. 306-312
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    無水酢酸溶媒中で BF3OEt2触媒を用いる高分子量ポリオキシメチレン (POM)の主鎖開裂分子量調節同時安定化法について研究した。POMを無水酢酸(Ac20)溶媒中に分散させ BF3OEt2 を触媒として常温以下での反応を行ない次の結果を得た。1)POMは主鎖開裂反応を起こし分子鎖の短かくなったポリオキシメチレソジアセテート (POM-OAc) を生成する。2)開裂反応においてポリマー収率は 100% であり開裂ポリマーの平均分子量は時間とともに減少する。3)開裂速度は BF3OEt2 濃度の1次に比例する。4)開裂ポリマーの熱安定性は著しく向上し [η]=1.5 程度の実用分子量領域では k222=0.3%/min 以下の値を示した。
    k222値は開裂反応条件には関係しないで原料 POM の平均分子量によってきまり,原料 POM の平均分子量が大きい程開裂ポリマーの k222値は小さくなって熱安定性は増大する。5)常温以下の反応では開裂ポリマー両末端は 100% アセチル基となっているが, 原料 POM の両未端から由来する OH 基はそのまま残存している。開裂ポリマーのジアセテート部分の含有率 (W) は開裂数をNとするとき W=(N-1)/(N+1) で表わされる。6)無水酢酸と BF3OEt2 の反応によって BF30Ac2錯体が得られた。BF3OEt2 を触媒とする無水酢酸とジエチルエーテルもしくはジ-n-ブチルエーテルとの反応によって酢酸エチルまたは酢酸ブチルが生成した。これらの結果に基づいて, BF3OEt2 は無水酢酸によって配位子交換を行ない BF30Ac2 錯体となりこれが POM主鎖に配位しそれに伴って〓結合が開裂する反応機構について考察した。
  • 柳井 弘, 林 忠信, 武田 公, 大久保 民生
    1971 年 74 巻 2 号 p. 312-314
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 西 久夫, 市川 進, 永井 芳男
    1971 年 74 巻 2 号 p. 314-316
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 三橋 啓了, 高橋 和行, 在間 忠孝, 浅原 照三
    1971 年 74 巻 2 号 p. 316-318
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 寺本 亘二, 阿部 浩, 村山 敬博, 野口 芳孝, 丸山 博, 市ノ川 秀男
    1971 年 74 巻 2 号 p. 318-320
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1971 年 74 巻 2 号 p. A9-A19
    発行日: 1971/02/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
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