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権 相旭, 金 炳〓, 石川 平七
1971 年 74 巻 12 号 p.
2411-2415
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
アルミン酸ナトリウムの二酸化炭素分解によるアルミナ生成の際, 不純物として夾雑されるものがドーソナイトであることが最近知られて来た。著者らはドーソナイトを不純物でなく主成分として純度の高いものを生成させるためその生成条件について検討した。又, X線回折, 電子回折, 赤外吸収スペクトル等によりその化学構造についても究明した。その結果, 生成条件はアルミン酸ナトリウム調製の出発アルミナにより多少異なるが, アルミン酸ナトリウム溶液中のアルカリが中和され, アルミナが過飽和状態にある溶液に HCO
3- が多量存在する場合ドーソナイトが生成されることが判った。この条件を満足させるにはアルミン酸ナトリウム溶液の Na
2O/Al
2O
3 モル比が大きいこと, 温度は 50~90℃, 二酸化炭素の吹込み速度が急激であることなどである。ドーソナイトの性状は, 真比重 2.44 で嵩比重は生成条件によって異なり最適条件で生成されたものは 0.21 であった。生成条件, 赤外吸収スペクトルなどにより示性式は NaAlO(OH)HCO
3 と推定された。結晶構造は 5.7Å を周期とする繊維状結晶で 5.7Å, 2.8 に非常に強いピークを現わすX線回折図を示す。単位格子は a : 6.71Å, b : 10.411Å, c : 5.58Å で単位結晶は4分子からなり, NaO
4(OH)
2 と AlO
2(OH)
4 のややゆがんだ8面体と平面状の CO
3 グループから成立し CO
3 グループの1個の酸素は水素結合しているものと推定された。
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上原 保彦
1971 年 74 巻 12 号 p.
2415-2421
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
O.4wt% の五酸化バナジウムを含むリチウム亜鉛フェライト粉体を, 1, 5, 20 時間湿式粉砕し, 走査型電子顕微鏡観察, X線分析, 熱分析, 比表面積測定などで粉体物性を測定した。この結果, 粒子表面に結合水を含んだ無定形層が生成されることを確かめた。この粉体の焼結機構を知るために成形体を作り, 600~900℃ の温度領域の等温収縮量を求め, log(ΔL/L
0)
100min を 1/7 に対して Arrhenius プロットした。この場合, 約 700℃ の温度で直線に折点が現われ, 700℃ 以下では長時間粉砕試料は短時間粉砕試料に比べ, 見掛けの焼結活性化エネルギーが大きく, 焼結速度が遅いという焼結異常現象がみられた。これにつき考察し, 700℃ 以下の温度領域では, 粒子表面の無定形層が, 粒界拡散による焼結を妨げているためであるとの結論に達した。
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石井 英一, 三宅 義造
1971 年 74 巻 12 号 p.
2421-2425
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
塩化ヒ素 (III) の製造法としては, 亜ヒ酸を塩酸にとかした溶液に脱水剤として硫酸を加えたのち蒸留するバッチ蒸留法よりも, 亜ヒ酸スラリーに塩化水素ガスを吹込む通気蒸留法が種々の点ですぐれている。本報告ではこの操作を行なった時の揮発性不純物イオウ, セレンの挙動について検討した。
共存するイオウの分離の程度はふんい気ガスによって影響され, ふんい気ガスは水素, 窒素, アルゴンなどよりも空気を用いる方が良い結果をえた。また活性炭の使用は効果的で, これらの組合せにより 99.7% のイオウ除去率をあげることができた。これに対しセレンの分離は活性炭だけでは不完全であったが, 硫酸ヒドラジンのわずかの添加が非常に効果的であった。高純度塩化ヒ素 (III) をうるための適当な操作はつぎのようなものである。亜ヒ酸スラリーにわずかの硫酸ヒドラジンを含ませ, 塩化水素ガスと空気の混合ガスを吹込んで溶解した後, 生成した塩化ヒ素 (III) を活性炭を充填したカラムを通して蒸留する。この操作でえた塩化ヒ素 (III) は一定時間の還流加熱をした後再蒸留することによって, 揮発性不純物イオウ, セレンの 99,9% が除去された。
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佐々木 栄一
1971 年 74 巻 12 号 p.
2426-2429
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
シュウ酸はシュウ酸カルシウムを 50~60℃ で硫酸を用い分解して製造するのが一般的である。
Ca(COO)
2 + H
2SO
4 → (COOH)
2 + CaSO
4しかし, より高い反応温度および濃厚な硫酸を用いて分解が行なわれたときには, 生成されたシュウ酸はさらに CO
2, CO, H
2O に分解するおそれがある。シュウ酸の分解についてはすでに第2報で報告した。
本報ではシュウ酸カルシウムの分解に用いる最適な硫酸量および濃度について探索した。シュウ酸カルシウムと硫酸の固液反応においては, 硫酸はカルシウム塩に対して 2.3~2.5 当量, 20~24% の濃度を必要とする。シュウ酸カルシウム分解後の生成混合物をロ過する場合, 一部温稀硫酸で洗浄すれぽ, シュウ酸と硫酸カルシウムからシュウ酸カルシウムが可逆的に再生することを防止でき非常に効果的である。
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武井 たつ子, 小島 林平
1971 年 74 巻 12 号 p.
2430-2436
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
トリフルオル酢酸銅を用いる非水溶液中での電解銅メッキについての一連の研究を行なっており, 本研究ではトリフルオル酢酸銅-ホルムアミド浴の性質やその浴からの銅電析の挙動を調べた。
トリフルオル酢酸銅は 20℃ でホルムアミド 100g に対して 182g 溶解した。また, トリフルオル酢酸銅-ホルムアミド浴の比導電率は銅塩濃度 200g/l 付近で極大値を示した。
トリフルオル酢酸銅-ホルムアミド浴からの銅電析の際のカソード電流効率は 100% に近く,アノードのそれは 100% 以上の値を示した。電流密度 2.0~10.OA/dm
2 の範囲内で良好な電着面が得られ, 特に, 低電流密度で得られた良好な電着面は粒状であった。電着層はすべて粒状組織であった。
トリフルオル酢酸銅-ホルムアミド浴からの銅電析反応は, 電流密度がおよそ 0.8~2.3A/dm
2 の範囲内では電荷移動過程が律速になっており, みかけの通過係数 (αc), みかけの価数 (
n), 交換電流密度 (
i0C) Tafel 線の勾配 (
bC) およびみかけの活性化エネルギー (E
C) の値はおおよそ次のようであった。
αc=O.78 (すなわち d log
i0C/d log C
0=0.22, ただし C
0 は2価の銅イオン濃度である。)
n=O.77
i0C=0.63A/dm
2 bC=-O.11V E
C=3kcal/mol
これらの値からトリフルオル酢酸銅-ホルムアミド浴からの銅電析反応は
Cu
2+ + e
- → Cu
+Cu
+ + e
- → Cu
0のように進行し, 2価の銅イオンから1価の銅イオンになる反応が律速になっているものと考えられる。
トリフルオル酢酸-ホルムアミド浴からの水素発生の活性化過電圧はトリフルオル酢酸水溶液からのそれよりも高かった。
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膳 昭之助, 広岡 素子, 田中 良子, 厚東 伸佶
1971 年 74 巻 12 号 p.
2437-2439
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ある種類のイオウ化合物として, 1-オキシピリジン-2-チオン, ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム, チオ尿素およびチオール類などを, 酸性浴中の銅の腐食抑制剤として用いた。これらはかなりの防食効果があり, その作用機構は従来の吸着説とは異なり, 銅表面に水に難溶性の対応する銅キレートの被膜が生成するためにその腐食が抑制されるとの結論を得た。すなわち, 銅表面から直接対応するキレートを抽出または採取し, 精製し, 別途合成した各対応する銅キレートと比較同定することができた。特に両者の比較に赤外線吸収スペクトルの結果を用い, また遠赤外領域の吸収から 386~342 および 281~205cm
-1 におのおの ν(Cu-O) および ν(Cu-S) に基づくと推定できる吸収スペクトルを得ることができた。
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中島 齊, 木村 武夫, 小南 直也, 宮田 征司, 小林 孝
1971 年 74 巻 12 号 p.
2440-2444
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
塩化パラジウム-塩化セシウム触媒による塩化水素共存下のエチレンのオキシシアン化反応を動力学的に検討した。オキシシアン化反応中, 触媒はシアン基により覆われていることがわかった。r
AN (アクリロニトリル生成速度) 式は原料組成により変化するが, 典型的組成における r
AN は下記の通りである。
r
AN=
kP
C2H4・PO
2・P
HCN-0.5・P
HClO.6k=7.8×10
6 exp(-14.7×10
3/RT) [mol/l・catalyst・min・atm
2.1]
P
C2H4,P
HCN,P
HCl : ~0.05気圧, P
O2 : 0.025 気圧
r
AN は 0.5~8 気圧の範囲で, 全圧の 1.1 乗に比例した。アクリロニトリル生成の選択性は4気圧で最高になった。
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中島 齊, 木村 武夫, 小南 直也, 桜井 勅男
1971 年 74 巻 12 号 p.
2444-2446
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
塩化パラジウム-塩化セシウム触媒による塩化水素共存下のエチレンのオキシシアン化反応において, アクリロニトリル, 水蒸気,炭酸ガス, 一酸化炭素, 水素, 硫化水素あるいは亜硫酸ガスを添加してアクリロニトリル生成速度への影響を調べた。アクリロニトリルの生成は 2.5% の硫化水素により禁止され, アクリロニトリルあるいは水素により大きく抑制され, 一酸化炭素により若干抑制される。水蒸気, 炭酸ガスならびに亜硫酸ガスはアクリロニトリルの生成に影響を及ぼさない。
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中島 齊, 木村 武夫, 小南 直也, 宮田 征司, 小林 孝
1971 年 74 巻 12 号 p.
2447-2450
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エチレンならびにプロピレンのオキシシアン化, 特に初期段階における塩化パラジウム-塩化セシウム触媒の活性低下ならびに再生について動力学的に検討した。活性低下比速度ならびに炭素質析出速度とも触媒層の入口側の方が大きく, また, オレフィンの分圧に依存しない。さらに, 活性低下比速度と炭素質析出比速度の一致が見られた。活性低下した触媒は 300℃ 前後で, 酸素含有気流中で処理することにより再生された。触媒の活性低下はシアン化水素から生成した炭素質の析出にもとつくことがわかった。300℃ 前後では, 再生比速度は活性低下比速度に比べてかなり小さい。4気圧のオキシシアン化における活性低下比速度は1気圧のそれより若干大きい。エチレンのオキシシアン化の 500 時間の長時間連続実験を行なった。活性低下比速度は最初の段階を除くと 5×10
-6min
-1であった。
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木村 武夫, 丁野 昌純, 中島 齊, 小南 直也
1971 年 74 巻 12 号 p.
2450-2452
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
オキシシアン化反応用の触媒担体の化学的ならびに物理的性質の影響を検討した。シリカ・アルミナ, シリカ・マグネシアのような酸性点を持つ担体を用いると, オキシシアン化活性が小さく, 一酸化炭素生成活性が大きかった。この一酸化炭素は露出した担体表面で, シアン化水素より生成したものと思われる。シリカゲル担体の比表面積ならびに細孔径が異なっても, 単位表面積あたりのオキシシアン化活性, 選択性, 活性低下比速度のいずれも, ほとんど同じであった。シリカゲルに塩化セシウムを含浸さぜて熱処理すると, 活性は小さくなったがアクリロニトリル選択率が向上した。
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木村 武夫, 中島 齊, 小南 直也, 丁野 昌純, 宮田 征司, 小林 孝, 桜井 勅男
1971 年 74 巻 12 号 p.
2453-2455
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エチレンのオキシシアン化の触媒として, パラジウム-セシウム-鉛・3元系触媒を検討した。パラジウム-セシウム触媒に鉛化合物を加えると, アクリロニトリル選択率が向上した。パラジウム-セシウム-鉛-シリカ触媒中の最適鉛含量は塩化鉛換算で 6.7wt% 付近にあり, 鉛化合物を加えたシリカゲルの熱処理温度は 500~600℃ が良い。大気圧下で 1200 時間にわたる触媒活性テストを行なったが, 活性低下は認められなかった。しかし, 5気圧では触媒の活性低下が認められた。オキシシアン化反応中の鉛化合物の形態をX線回折ならびに化学分析により検討した。鉛は塩化セシウムとの複合塩化物のかたちで存在すると思われる。
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中島 齊, 丁野 昌純, 木村 武夫, 小南 直也, 桜井 勅男
1971 年 74 巻 12 号 p.
2456-2459
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エチレンのオキシシアン化触媒へのバナジウムの添加効果, 特に活性低下防止効果を検討した。バナジウムの添加は現場再生促進効果をもたらし, 活性低下を防止した。バナジウムを添加した触媒 (パラジウム-塩化セシウム-バナジア-アルミナ触媒) の調製法を検討した。塩化バナジウム (III) 水溶液とアルミナゾルを共沈・乾燥後, 不活性ガス気流中, 800℃ で5時間処理し, 塩化パラジウムを塩酸溶液から含浸し, 硫化水素気流中, 800℃ で5時間処理し, 塩化セシウムを水溶液から含浸し, 乾燥した触媒が活性低下を起さなかった。3価のバナジウムの酸化物とアルミナを不活性気流中で熱処理すると, バナジウムはγ-アルミナに固溶して安定化する。硫化水素気流中での熱処理はパラジウムの安定化に有効な操作と思われる。
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中島 齊, 木村 武夫, 丁野 昌純, 小南 直也
1971 年 74 巻 12 号 p.
2460-2463
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
パラジウム-塩化セシウム-バナジア-アルミナ触媒によるエチレンのオキシシアン化反応を動力学的に検討し, 酸化バナジウム (バナジア) の働きを考察した。酸化バナジウムの添加によリアクリロニトリル生成の見掛けの活性化エネルギーが増大し, 46.5kcal/mol であった。活性成分全圧を上げるとアクリロニトリル生成速度が増大するが, 全圧の効果は1気圧を越えた付近で飽和した。1気圧付近におけるアクリロニトリル生成速度はエチレンに 1.2次, 酸素に0.3次,塩化水素に0.4次,シアン化水素に負の次数で依存する。塩化水素の寄与は 0.01気圧を越えると飽和する。シアン化水素の次数の絶対値はシアン化水素分圧の上昇にしたがって大きくなる。酸化バナジウムの添加は酸素の活性化を通して反応を促進すると同時に, シアン化水素のもともと強過ぎる吸着をさらに強めて反応を抑制していると言える。
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小南 直也, 中島 齊, 木村 武夫, 桜井 勅男
1971 年 74 巻 12 号 p.
2464-2468
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
イソプチレン, スチレン, 塩化ビニル, アクリロニトリルならびにベンゼンのナキシシアン化反応を行なった。イソブチレンからはβ,β-ジメチルアクリロニトリルが生成した。イソブチレンのオキシシアン化反応の動力学的挙動はエチレンに似ている。スチレンからは
cis-β-ならびに
trans-β-フェニルアクリロニトリルが生成した。塩化ビニルからはα-,
cis-β- ならびに
trans-β-クロロアクリロニトリルが得られた。β-クロロアクリロニトリルより逐次的にフマロニトリルが生成した。アクリロニトリルのオキシシアン化によりフマロニトリルが得られたが, その量は塩化ビニルのオキシシアン化により得られたフマロニトリルよりぎわめて少なかった。ベンゼンよりベンゾニトリルが得られた。
エチレン誘導体のオキシシアン化反応性と Harnmett の置換基定数 σPとの間に, σP=-0.02 (スチレンの近く) を頂点とした火山型の関係が認められた。σp≧-0.02の領域ではσPの増大に応じて反応性は急激に減少し, σP≦-O.02 の領域ではσPの減少に応じて反応性は少し減少した。
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中島 齊
1971 年 74 巻 12 号 p.
2468-2470
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エチレンのオキシシアン化用のパラジウム-塩化セシウム-バナジア-アルミナ触媒の研究を行なった。反応の中途でシアン化水素の供給を停止しても,なお 100 分以上にわたってアクリロニトリルの生成が継続した。この種のパーターベーションに対する触媒の応答を調べ, 以前行なったパラジウム触媒の場合と比較した。パラジウム-塩化セシウム-バナジア-アルミナ触媒は反応中はシアン基に覆われているものと思われる。触媒がシアン基で覆われているため, 炭酸ガス, 一酸化炭素, アセトニトリルならびに塩化ビニールの生成がかなり抑制され, その結果, エチレンのオキシシアン化によりアクリロニトリルが選択率よく得られた。塩化水素を添加すると, パラジウムとシアン基の結合が活性化されオキシシアン化反応が促進された。総括すると, 酸化バナジウムをオキシシアン化触媒に添加しても, 触媒表面の特性はあまり変わらない。
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古川 滋, 神谷 佳男, 太田 暢人
1971 年 74 巻 12 号 p.
2471-2474
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
酸化モリブデン-アルミナ触媒上でのプロピレンの不均化反応を通常のガス流通法で研究した。反応条件は 50~260℃, GHSV=60, 常圧で行なった。
三酸化モリブデンはアルミナなしでは不均化活性をもたない。Mo/Al (原子比) が 1/25 の組成の時触媒活性は最大値を示した。この触媒では 120℃ 以下では不均化が円滑におこるが, 200℃ を越えると, 水素化, ブテンの2重結合移行, 重合などの副反応が盛んになり, 炭素の析出による活性の経時的低下が顕著となる。アンモニア水で抽出したモリブデン-アルミナ触媒の活性に関する実験結果は, アルミナと結合していない遊離の酸化モリブデンは不均化に関与せず, 特に高温において副反応を促進し, 触媒活性の経時的低下にあずかっていることや, 不均化にはアルミナと結合したモリブデンが触媒として働いていることを示した。触媒の水素による前処理の効果や, 触媒のX線所見から, 上記の活性点, モリブデン-アルミナ結合体のモリブデンは6価より下で4価より高い原子価状態にある時, 特に高い不均化活性を示すことが分った。
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難波 征太郎, 青沼 孝正
1971 年 74 巻 12 号 p.
2475-2478
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
予備硫化したコバルト・モリブデン-アルミナ触媒によるチオフェン水素化分解反応で生成するブテン, ブタンの生成速度を解明するために, チオフェン水素化分解反応と同様にブテンの水素化を行なった。
チオフェン消失 (
rt),ブテン生成 (
rB),ブタン生成 (
rC)の各速度式はつぎのようになる。
rt=
ktP
tP
H2,
rB=
ktP
tP
H2-
kBP
BP
H21/2,
rC=
kBP
BP
H21/2但し,
kt,
kB は速度定数, P
t,P
B,P
H2 はそれぞれチオフェン圧, ブテン圧, 水素圧である。チオフェン水素化分解によって生成するブタンはすべてブテンを経由している。ブテン水素化の律速段階はブテンの半水素化である。ブテンの水素化に対してチオフェン水素化分解反応の速度を大きくするためには, 触媒予備硫化を 400℃ で行ない, 比較的高い反応温度, 高い水素圧で反応を行なえばよい。水素化分解と水素化の活性種は異なっていると推定した。
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川又 元夫
1971 年 74 巻 12 号 p.
2479-2485
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
各種溶媒中のナトリウムアマルガムによるアクリロニトリルの水素化二量化反応を検討した。二酸化炭素ガスで反応液の pH を調節しながら, 各種溶媒中のアクリロニトリル水溶液とナトリウムアマルガムを槽型の装置内で接触させて反応をおこなった。
各種の溶媒のうち極性非プロトン溶媒の多くはアクリロニトリルの水素化二量化反応に対し促進作用を示したが, 溶媒のプロトン非供与性のみではこの種の化合物の作用を説明できず, 溶媒の塩基度も考慮しなければいけないことが明らかになった。
極性非プロトン溶媒として N,N-ジメチルホルムアミドを使用した場合, アマルガム中のナトリウムの反応速度はナトリウム濃度が約 0.05wt% 以上ではナトリウム濃度に関係しない0次反応であり, それ以下の濃度ではナトリウム濃度に比例する一次反応であった。
アマルガムのかくはん効果に影響を与えるかくはん回転速度, アマルガム深さはいずれも反応速度に大きな影響を与えた。アマルガムと反応液の界面積は反応速度に比例する関係をもつが, アマルガム中のナトリウム濃度の低い側では, アマルガムのかくはん効果のためみかけ上界面積の二乗に比例する速度式を示した。
一定のかくはん効果を示す条件下で測定した反応のみかけの活性化エネルギーは 10℃ 付近を境として大きく異なり, 低温側では約 20kcal/mol Na 以上, 高温側では 7~9kcal/mol Na であり, N,N-ジメチルホルムアミドの作用は第四アンモニウム塩の作用と異なり, 反応液中のアクリロニトリルの拡散にも関係があることを示唆する結果が得られた。
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桶田 秀雄, 山神 喜三郎, 榎 吉二, 谷 敏行
1971 年 74 巻 12 号 p.
2485-2490
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
テレフタル酸 (TPA) とエチレンオキシド (EO) との反応により, ビス (β-ヒドロキシエチル) テレフタレートを合成する方法について検討した。溶媒の使用により反応が促進されるという従来の説に反し, 溶媒は反応体を希釈して反応速度の低下をもたらし, むしろ無溶媒系の方が反応が円滑に進行し, 反応速度が大きいことがわかった。無溶媒系における反応条件について検討し, 次の知見を得た。
(1) 反応速度は触媒量に対して1次, EO 濃度に対しても1次的に変化する。
(2) 反応温度は 90~130℃, とくに 110℃ 付近が適当である。
(3) 副生物 (エーテル結合を有する化合物) の生成量は, 反応系の EO/TPA モル比により影響されるが, EO 量が十分に多く, かつ反応条件が適切ならば, 反応生成物中の含有率は 1.Omol% 以下で実用上支障はない程度である。
さらに反応生成物をそのまま重合して得られるポリマーの品質について無溶媒法と溶媒法を比較検討し, 色調の点では前者がはるかにすぐれ, 他の点では両者に差がないことを知った。
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今村 成一郎, 武上 善信
1971 年 74 巻 12 号 p.
2490-2494
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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コバルト, マンガン, クロム塩触媒による各種芳香族炭化水素の液相酸素酸化を行ない, 反応時における触媒の活性形態について考察した。コバルト塩触媒を用いた場合にはいずれの炭化水素の酸化においても定常酸化進行期において3価のコバルトは一定濃度となり, 中間生成物である過酸化物も定常濃度となった。
この過酸化物定常濃度は本実験条件下の比較的高触媒濃度領域 (約1×10
-4mol/mol-soln~6×10
-3mol/mol-soln) において, 触媒濃度の増大に伴ない高くなることが認められた。この現象はコバルト塩触媒の場合に特有のものであり, これらの結果から, コパルト塩は反応中において一定した形態ではないが, 配位子として過酸化物を保持すると推論した。さらに, コバルト塩-クロム塩共触媒の作用についても若干の考察を行なった。
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浅岡 忠知, 島崎 長一郎, 大城 靖男
1971 年 74 巻 12 号 p.
2495-2499
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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サリチル酸 (SA) とホルムアルデヒド (F) との反応を硫酸触媒中にて行ない, 触媒濃度, 反応温度, モル比 F/SA などが生成物の分子量, 収率, 構造におよぼす影響について検討した。その結果, 一般に F/SAのモル比が増加するにつれて分子量が増大した。96% 硫酸では反応温度が上昇するにつれて, 収率は急減し, 同時に付加縮合反応よりスルホン化反応が優先し, 後者は F/SA のモル比が増大するにつれて抑制されることが判った。
初期生成物の構造化学的検討では 50% 硫酸, 120~130℃ の反応条件は 5,5'-メチレンジサリチル酸 (5,5'-MDA) を, 96% 硫酸 0~10℃ で反応させたものは 3,3'-MDA を生じることが, 5-プロムサリチル酸の縮合物と各 MDA の臭素化物との同定により確認された。
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長尾 幸徳, 御園生 尭久
1971 年 74 巻 12 号 p.
2500-2502
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド (PTCI) を硫酸分解して 3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸無水物 (PTCA) を生ずる反応の中間物と思われる 3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸モノイミド (PTCMI) を高収率で得るために PTCI の硫酸分解による成分の変化を分光光度法で測定して速度論的に検討した。
硫酸濃度は 75~100% の各種濃度, 反応温度は 180℃, 200℃, 220℃ で行なった。求めた反応曲線よりこの反応は 90~95% 硫酸濃度で 180℃ で反応させた時反応が円滑に進み,かつ PTCMI の生成率は 55% 前後となり最高を示した。またこの反応は PTCI→PTCMI→PTCA に進む逐次1次反応に従い, PTCMI の生成率は (
k2/
k1)が減少するほど高くなることを確認した。求めた速度定数と硫酸濃度の関係から, この反応には水が関与していると考えられる。97.08% 硫酸濃度の時の反応の活性化エネルギーは
k1からは 37.3kcal/mol,
k2 からは 28.7kcal/mol と求められた。
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小松 紀陸, 田村 修二, 黒木 宣彦
1971 年 74 巻 12 号 p.
2503-2507
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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スルホニルアジド類は熱あるいは光により分解し, ナイトレン中間体を経て CH 結合への挿入, 環状付加, 溶媒からの水素引抜きなどを起すことはよく知られている。このような反応性のあるスルホニルアジド基を持った反応性染料を合成し, ポリプロピレン繊維およびポリエステル繊維への適用性を検討した。
これらのアゾ染料をポリプロピレンのモデルとしてのイソオクタン中で熱分解し, イソオクタンとの反応生成物 1-4'-N-イソオクチルスルホンアミドフェニルアゾ-2-ナフトールを得た。
これらの染料の熱固着には, 150℃, 2時間または 160℃, 1時間が必要であった。この条件はポリプロピレン繊維には酷であるので, ポリプロピレンへの適用は困難であった。しかし, この新しい染色法はポリエステル繊維には適用でき, この方法による染色物は非常に高い昇華堅ろう度を示した。
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西 久夫, 高野 善太郎
1971 年 74 巻 12 号 p.
2507-2509
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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(A) ジベンゾ [b,h] アクリダン (N-メチル-4,5-ジカルボイミド)-7-オン (VI) をつぎの2段階で合成した。
i) 4-(2-カルボキシナフチルアミノ)-N-メチルナフタルイミド (V) は 4-プロム-N-メチルナフタルイミド (IV) と 3-アミノ-2-ナフトエ酸 (II) をシクロヘキサノール中還流温度で2時間縮合させ, 約 50% の収率で調製された。
ii) Vのポリリソ酸中での閉環は定量的収率で VI を与えた。
(B) ジベンゾ [a,i] アクリダン (N-メチル-4,5-ジカルボイミド)-14-オン (IX) は 3-プロム-N-メチルナフタルイミドと II へをもちいてAのごとくにして合成された。VI は濃黄色針状結晶で紫外線照射下で蛍光をもち, 約 450℃ で黒化する。IX は赤色針状結晶で紫外線照射下で蛍光はなく約 440℃ 付近で黒化する。VI と IX は新化合物である。
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関口 辰夫, 井上 定夫
1971 年 74 巻 12 号 p.
2510-2515
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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クロルベンゼンまたは
o-ジクロルベンゼン中で 1 : 1.1 モル比の 4-ニトロフタルイミドと五塩化リンの混合物を加熱し, 生成した塩素化物を計算量の種々のジアミンと処理する方法により数種のピスアゾメチン顔料が得られた。顔料は約 13~46% 収率で生成し, それぞれ異なった色調を呈した。非共役系ジアミンは一般に顔料の色調に浅色効果を与え 4,4'-ジアミノジフェニルスルホンから合成した黄色顔料のλdは 573.3mμ であった。また共役系ジアミンは深色効果を与え,
o-トリジンから合成した赤色顔料は 615.4mμ のλdを有した。顔料は 300℃ 以上の融点をもち, 通常の有機溶媒には不溶または難溶のものが多かった。日光堅ロウ度は各化学構造によって異なり, たとえば
m-フェニレンジアミン, 1,8-ジアミノナフタリンから合成した顔料は3級であったが, 1,4-,1,5-ジアミノアントラキノンから合成した顔料は7級であった。ニトロ基は無置換型顔料の耐光, 耐溶媒性の向上に役立ったが, なお十分ではなかった。
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井上 定夫, 関口 辰夫
1971 年 74 巻 12 号 p.
2515-2519
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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不活性有機溶媒中で, サッカリンを五塩化リンとともに加熱しその塩素化合物を生成させたのち芳香族ジアミン類と反応させてピスアゾメチン型の顔料を合成した。サッカリンを顔料合成の原料として使用した例はなく, 生成した顔料も従来の文献にみられない新しい顔料であるためその合成法および性質を明らかにすることを目的とした。
サッカリンを不活性溶媒, たとえぽクロルベンゼンまたは
o-ジクロルベンゼンの中で五塩化リンと 120℃ に加熱すると容易に塩素置換が行なわれ, これに芳香族ジアミンの溶液を加えると 40~50% の収率で顔料を得た。しかしジアミン類として
o-および
m-フェニレンジアミン, 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル, 4,4'-ジアミノジフェニルメタンおよび 4,4'-ジアミノジフェニルスルホンを使用した場合は顔料は得られなかった。
生成した顔料は使用ジアミンの種類により色調を異にするが, 一般に黄色またはカッ色を示し, 耐有機溶媒性, 耐酸, 耐アルカリ性は良好であり, 耐光性も 6~7 級を示し特に 1,4-, 1,5-, 2,6- ジアミノアントラキノンより得られた顔料は8級で非常にすぐれていた。
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伊奈 勉, 黒沢 俊英, 小松 障, 山本 啓久, 高岡 恒郎
1971 年 74 巻 12 号 p.
2519-2524
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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ポリアクリル酸エチルの分子量による分取分別をθ溶媒 (エチルアルコール) を用い, 大量でかつ迅速に行なえる方法をθカラム分別法により検討した。まず, θカラム分別に適したカラム装置, および昇温装置を試作し, ついで昇温変化の仕方, 温度範囲を決定した。また, 大量分別, 迅速化のための付着法も検討し, 10~50gの分別処理を行なった。その分別は [η] の逆転現象もなく良好であった。また, θカラム分別法の分別精度を分別物の分布比 Mw/Mnで調べたところ 1.1以下であった。この値は通常のカラム分別法で到達する値であり, 分取分別の仕方としてθカラム分別法が信頼出来る有効な一方法であることが明らかとなった。
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新井 洸三, 新海 正浩
1971 年 74 巻 12 号 p.
2525-2529
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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未加硫ゴムの有限変形下の伸長応力と歪の関係を調べる目的で, 2種類のイソプレンゴムを用いて温度, Tおよび伸長比, αを変えて一連の一軸伸長応力緩和実験をおこなった。初期断面積あたりの応力,
fは時間依存性を考慮した Mooney-Rivlin 式
f(
t,T)={2C
1(
t,T)α+2C
2(
t,T)}(1-α
-3)
によって良く記述された。係数 C
1 および C
2 はそれぞれ時間と温度の換算が可能で, 任意の温度に関して合成曲線をつくることができた。これらの二組の合成曲線から
2C
1(
t/a
T)+2C
2(
t/a
T)≒G(
t/σ
T)
および
H
1.1(θ/a
T)+H
1,2(θ/a
T)≒H
1(θ/a
T)
という結果を得た。ここでa
T, G(
t/a
T) および H
1(θ/aT) はそれぞれ線型粘弾性現象論によって定義される量で, 時間温度換算の際の移動因子, 時間
tのみの関数である緩和剛性率および緩和時間θのみの関数である緩和スペクトルである。また, H
1.1(θ/a
T) および H
1,2(θ/a
T) はそれぞれ 2C
1(
t/a
T)および 2C
2(
t/a
T) から計算された緩和スペクトルをあらわす。
この場合, 2C
1(
t/a
T) は短時間側で大きな値を有し, 時間の経過とともに急激に減少するのに対し, 2C
2(
t/a
T) は比較的長時間側でも存在する。この結果, 室温以上の温度における未加硫ゴムの真応力, σ(
t/a
T)と伸長比, αの関係は
σ(
t/a
T)≒(α-α
-2)G(
t/a
T)
であらわされることがわかった。
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小松 公栄, 奥谷 栄太郎, 西山 重之, 広田 準, 安永 秀敏, 古川 淳二
1971 年 74 巻 12 号 p.
2529-2536
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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ブタジエンを, カルボン酸ニッケルートリエチルアルミニウム-三フッ化ホウ素エーテラート触媒で
cis-1,4-重合したのち, 重合の末期にトリエチルアルミニウムまたはジイソブチルアルミニウムヒドリドを加えると, 分子量ジャンプ反応が起る。重合条件または分子量ジャンプ条件が分子量ジャンプの程度に及ぼす影響について検討した。また, ニッケル以外の重合触媒によって生成する
cis-1,4-ポリブタジエンの分子量ジャンプについても検討した。
重合条件のうち, 特に重合触媒組成の影響が著しく, 三フッ化ホウ素の多い組成ほど, またニッケルの少ない組成ほどジャンプ反応による分子量の増加が大きかった。ジャンプ剤としては, ジイソブチルアルミニウムヒドリドのような弱いルイス酸性を有する有機金属化合物が有効であった。しかし, エチルアルミニウムジクロリドまたは四塩化チタンのようなカチオン試薬は, ニッケル触媒によって生成した
cis-1,4-ポリブタジエンのジャンプに効果が無いことがわかった。ニッケル以外の触媒によって生成した
cis-1,4-ポリブタジエンおよび触媒が失活しているポリマーの場合には弱いルイス酸によるジャンプが起らず, カチオン試薬によってジャンプが起った。
ニッケル触媒によって生成する
cis-1,4-ポリブタジエンのジャンプ反応は独特なものであり, アニオン型の反応と考えられる。ニッケル以外の触媒で生成したポリマーのジャンプ反応はカチオン型の反応と考えられる。アニオン型ジャンプ反応は環化反応などの副反応が無いことに特徴がある。以上のような結果から, 重合との関連でジャンプ反応の機構を考察した。
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斎藤 嘉宏, 中川 恒夫, 李 秀逸, 井本 立也
1971 年 74 巻 12 号 p.
2537-2540
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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メタクリル酸メチル (以下MMAとする) の塊状ラジカル重合反応における自動促進効果の「球モデル」による定量化を行なった。MMA の塊状封管重合を行ない, 定常状態仮定にもとづき検討した結果, 重合初期は定常状態式が成立するが後期については成立しない。そこで系の粘度を考慮した球モデルを提示し, 停止速度定 (
kt) の変化として次式を得た。
kt/
kt0=(1+Aη/η
0)
-1 (1)
ここでAは定数, ηは系の粘度, サフィックス0は初期値を示す。重合に伴う系の粘度変化は 60℃ で落球法により測定し, 実験式として
η/η
0=(100x)
5.6 (2)
を得た。xは重合率
(2) 式を用いて系の粘度増大による
kt の減少を (1) 式により求め, 重合率 70~80% まで MMA の塊状ラジカル重合を定量的に表現しえた。
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高橋 璋, 高橋 史朗
1971 年 74 巻 12 号 p.
2541-2545
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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硝酸第二セリウムアンモンを開始剤として, カルボニル基およびカルボキシル基含量の異なるセルロース試料にメタクリル酸メチルをグラフト重合させ, 開始剤濃度, モノマー濃度, 反応温度および官能基の重合におよぼす影響を検討した。
グラフト率は開始剤濃度が 3~5mmolのとき最大値を示し, モノマー濃度の一次に比例して増大した。初期の重合速度からみかけの活性化エネルギーを求めると 3.8kcal/molが得られた。
僅かにカルボニル基を含む試料へのグラフト率がそれを含まない試料に比べて大きく, カルボニル基とセリウム塩のレドックス反応により重合が促進される。カルボニル基が約 10mmolより多くなると分岐ポリマーは短かくなり, グラフト量は減少した。また, カルボキシル基はグラフト重合に関与しない。
これらのことから C(2), C(3) の水酸基へのグラフト重合がセルロースの鎖末端へのそれに優先するものと考えられる。
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岩見 陽子, 石川 齊, 箕浦 有二
1971 年 74 巻 12 号 p.
2546-2549
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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ポリ塩化ビニルのジメチルホルムアミド中での脱塩化水素反応はチオフェノールを添加すると抑制され, チオフェノキシ基がポリマー中に導入されることをみとめた。このチオフェノールの安定効果を明らかにするため, ポリ塩化ビニルとチオフェノールの反応をジメチルホルムアミド, およびテトラヒドロフラン中 80~140℃ でおこなった。その結果, チオフェノールはポリ塩化ビニル中のアリル位の塩素と反応し, 脱塩化水素を抑制することを明らかにした。
なお, 種々のメルカプタンの効果についても実験した。
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関根 吉郎, 池田 幸治, 沢井 信明, 吉崎 洋之
1971 年 74 巻 12 号 p.
2550-2556
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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モノマーの性質, 単独重合条件の比較および TCBPA のカセイソーダ水溶液と BPA のビスクロロホルメートの反応から共重合条件を調べた。
TCBPA の重合条件を BPA と比較すると, ホスゲン化速度および縮合速度が小さいためホスゲン化時間 (6~8時間) を長くする。TCBPA のクロロホルメート基は加水分解され易いため pH9.6~10.0 で行なう。界面での接触をよくするため乳化剤 (非イオン性) 0.25~0.50% 添加する。触媒 (TMBAC) をホスゲン化に0.6%,重縮合に2~3%添加(BPAでは分解)する。これらの点に留意し, 収率 80~85%, M約3万の重合体が合成された。分子量分布の経時変化を濁度法より求め, 定性的に Schulz-Zimm 型の分布曲線と類似し, 条件の適切さが示された。
共重縮合は pH12.0, 触媒量 1% (2%で分解) 乳化剤なしで行ない, 初期に塩素%の低下を伴ないつつオリゴマーが形成され, オリゴマー同志が反応して M 約 10 万塩素 % 12~13.5 (計算値21.94%) の重合物となり, 目的組成の共重合体とするには触媒量, pH による加水分解を避ける必要がある。
モノマー反応性 比
r1=
k11/
k12=1.87,
r2=
k22/
k21=O.5 (M
1 : BPA, M
2 : TCBPA) から
r1・
r2≒1 となり, ビニル重合のモノマー逐次添加方法と上述の反応条件の考慮により, 化学的に均一組成の共重合体の合成が可能である。
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関根 吉郎, 池田 幸治, 吉崎 洋之
1971 年 74 巻 12 号 p.
2557-2563
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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モノマーの逐次添加方式により, 化学的に均一組成の共重合体を合成する方法の検討を行なった。モノマーの添加方法は反応の初期に BPA を少なく, TCBPA を多く, 後期に BPA のみを添加する添加曲線 I, II (モノマー比 50/50) に従った。
反応条件は前報の検討結果に基づいた。重合物は収率 80~90%, M 18000~72000, Cl% 20~22 (計算値 21.94%) で合成され, 再現性もよい。勾配の急な I の方が好結果となり, メタノールの添加による分子量の調節, モノマー組成比変化 75/25, 25/75 からも目的の共重合体が得られた。分別物の塩素 % と M の関係から組成の均一性が示され, 熱分解曲線から, 不均一のものと明らかに差異が認められた。皮膜の弾性率も向上する。
ホスゲン化反応におけるCl%の経時変化はビニル重合の共重合組成式 [m
1]/[m
2]=[M
1]/[M
2]・
r1[M
1]+[M
2]/
r2[M
2]+[M
1](
r1,
r2前報参照) から計算した結果とほぼ一致し, 不一致の部分は前報のホスゲン化速度比の考慮により補正される。重縮合では乳化剤量によるオリゴマーの拡散の防害と, BPA が多い配合での触媒量による分解が M の生長に大きい影響を持つ。
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関根 吉郎, 池田 幸治, 加藤 正二
1971 年 74 巻 12 号 p.
2564-2570
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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Morey-Tamblyn の沈殿濁度滴定法 (塩化メチレン-シクロヘキサン系) を用い, 前報で合成した塩素化ポリカーボネートの分子量分布について検討した。
検量線の作成には重合法の異なった二種類の共重合物 (TT-BB, TB-TB) と単独重合物 (TT-TT) の分別試料を用い, γ=
k log c+f(M) から
k と
M, k と
f(M) の関係を求めた。TT-BB : -
k=O.0539 M
-0.111(M 15000~100000), TT-TT:-
k=3.652
k log M
-0.498(M 10000~60000) となり
k は Mによって変わる。濁度法と逐次分別沈殿法との比較, 等量混合物の検討はいずれもよい一致を示した。重合の経時変化から求めた分子量分布曲線は重合条件によって多峰性となるが, 条件の適切なものは計算から求めた Schulz-Zimm 型の分布曲線とよい一致を示し, 前報の検討結果が裏付けされた。最終時の重合体の分布曲線から算出した変動係数 δ=(Mz/Mw-1)
1/2 は TT-BB:0.5~0.6,TB-TB:0.3となり重合法により差異が認められた。第二ビリアル係数は BPA からのポリカーボネートより小さい。
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山尾 正義, 貫井 繁雄, 山田 忠和, 田中 誠之
1971 年 74 巻 12 号 p.
2571-2576
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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レゾール型フェノール樹脂の加熱硬化機構について, 赤外吸収スペクトル法により定量的に追跡を行なった。レゾール型フェノール樹脂としては, モル比 (F/P) 1.0, 1.5, 2.0 のカセイソーダ触媒のものを使用し, 加熱温度は, 120~180℃ とした。
その結果, 次のような知見を得た。
1. 吸収強度比により定量的に追跡を行なう場合の基準の吸収帯としては, 1610cm
-1 の吸収が, モル比,試料調製時の反応時間, 加熱硬化時間によりほとんど変化せず, 使用出来ることを認めた。
2. 120℃ 加熱においては, 各モル比ともジメチレンテーテル結合の生成が主であり, 長時間加熱を行なってもほぼ一定値を示している。また 1650cm
-1 のカルボニル基の生成もそれほど多くなくモル比による差も顕著ではない。
3. 140℃ 加熱では, 1.0, 1.5 のモル比のものは, 初期にジメチレンエーテル結合の生成が見られるが, その後すぐ減少し, カルボニル基の生成が多い。モル比 2.0 のものは, ジメチレンエーテル結合が生成しその後徐々に減少して行き, カルボニル基の生成速度も, 低モル比のものよりむしろ遅い。
4. 160℃ においても, モル比 2.0 の場合, 初期にジメチレンエーテル基の生成が見られ, その後減少する。180℃ においては加熱初期からジメチレンエーテル結合は減少し, カルボニル基の生成が顕著である。
5. 以上のことより, カルボニル基の生成と, ジメチレンエーテル基の分解とは密接な相関があるものと考えられる。
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土井 章, 小石 俊夫, 加藤 忠蔵
1971 年 74 巻 12 号 p.
2577-2578
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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西 久夫, 久保 正雄, 中安 正弘
1971 年 74 巻 12 号 p.
2579-2580
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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瀬尾 邦昭, 杉山 政則, 猪川 三郎
1971 年 74 巻 12 号 p.
2581-2582
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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梶原 鳴雪, 斎藤 肇
1971 年 74 巻 12 号 p.
2583-2585
発行日: 1971/12/05
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585a
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585b
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585c
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585d
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585e
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585f
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585g
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585h
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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フリー
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585i
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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1971 年 74 巻 12 号 p.
2585j
発行日: 1971年
公開日: 2011/09/02
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